説明

自動分析装置及びその管理方法

【課題】管理を効率よく行うことができる自動分析装置及びその管理方法を提供する。
【解決手段】被検試料の検査項目を設定する検査項目設定画面55と、サンプルラック4に収納された試料容器17を検出する容器検出器186と、管理試料を用いて管理する検査項目を決定する管理部40とを備え、容器検出器186で管理試料を収容する試料容器17が検出されたとき、管理部40は、容器検出器186で検出された試料容器17内の管理試料を用いて管理する検査項目を、検査項目設定画面55で設定された検査項目に応じて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に含まれる成分を分析する自動分析装置及びその管理方法に係り、特に血液や尿等の生体試料に含まれる成分を測定する自動分析装置及びその管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検体から採取された被検試料及び各検査項目に該当する試薬の混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の光分析器を用いて光学的に測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を求める。また、被検試料又は混合液中の成分をイオンセンサや酵素センサ等のトランスデューサを用いて電気化学的に測定することにより、被検試料中の成分濃度を求める。
【0003】
この自動分析装置では、検査対象となる検査項目を設定した被検試料の測定が行われる。そして、各検査項目の分析条件として設定されたサンプル量の被検試料が試料容器から反応容器に分注され、設定された試薬量の試薬が試薬容器から反応容器に分注される。また、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液は撹拌され、撹拌された混合液は光学的又は電気化学的に測定される。
【0004】
ところで、自動分析装置では、多数の被検試料の測定が正常に行われたか否かを判断するために、測定対象の被検試料の測定中又は測定前後に管理試料を測定して各検査項目の管理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
測定終了後、自動分析装置の操作者が管理試料の管理データを検査項目毎に確認し、予め設定された管理値又は複数の管理データを統計処理して得られた統計値から外れた管理試料の区間又は前後で測定された被検試料については、検査項目毎に被検試料の測定に使用される各検査項目に関る各分析ユニットや試薬等を調査してその原因を取り除いてからその区間の被検試料が再測定される。
【特許文献1】特開2000−275249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、管理試料はこの管理試料に設定した検査項目の数だけ測定が行われる。そして、測定中の被検試料に管理試料の検査項目が含まれていない場合、その検査項目の管理を必要とせず、管理に使用される管理試料、試薬、時間等が無駄になってしまう恐れがある。また、測定する被検試料の検査項目を確認して、その被検試料の検査項目に応じて管理試料の検査項目を設定しようとすると、手間がかかる問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、管理を効率よく行うことができる自動分析装置及びその管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、被検試料をこの被検試料の検査項目に該当する試薬を用いて測定する自動分析装置において、前記被検試料の検査項目を設定する検査項目設定手段と、前記検査項目設定手段により設定された検査項目の管理を行う管理試料を収容した試料容器を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料で管理する検査項目を、前記検査項目設定手段により設定された検査項目に応じて決定する管理手段とを備えた特徴とする。
【0009】
また、請求項7に係る本発明の自動分析装置の管理方法は、被検試料をこの被検試料の検査項目に該当する試薬を用いて測定する自動分析装置の管理方法において、前記被検試料の検査項目を検査項目設定手段により設定し、前記検査項目設定手段により設定された検査項目の管理を行う管理試料を収容した試料容器を検出手段により検出し、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料で管理する検査項目を、前記検査項目設定手段により設定された検査項目に応じて管理手段により決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目に応じて、管理試料の検査項目を決定することができる。これにより、検査に要する管理試料、試薬、時間、及び試薬の浪費を防いで、効率よく管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料、被検体から採取された被検試料、及び各検査項目の管理を行うための管理試料等のサンプルを、試薬を用いた測定により標準信号、被検信号、及び管理信号等を生成する分析部19と、分析部19の測定に関る各分析ユニットを作動させる分析制御部25とを備えている。
【0013】
また、分析部19で生成された標準信号、被検信号、及び管理信号を処理して各検査項目の検量データ、分析データ、及び管理データを生成するデータ処理部30と、管理試料で管理を行う検査項目を決定する管理部40と、データ処理部30で生成された検量データ、分析データ、及び管理データを出力する出力部50と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0014】
図2は、分析部19の構成を示した斜視図である。この分析部19は、標準試料、被検試料、管理試料等のサンプルを収容する試料容器17と、この試料容器17を収納するサンプルラック4と、このサンプルラック4を移動可能に支持するサンプラ18と、サンプルに含まれる各検査項目の成分に選択的に反応する第1試薬の入った試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを収納する試薬庫1と、第1試薬と対をなす第2試薬の入った試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを収納する試薬庫2と、サンプル、第1試薬、及び第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク5とを備えている。
【0015】
また、試料容器17内のサンプルを吸引して反応容器3内に吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプルの分注を行うためにサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、サンプル分注プローブ16が試料容器17内のサンプルと接触したときにその液面を検出する液面検出器16aとを備えている。そして、液面検出器16aで検出された液面検出信号は、分析制御部25に出力される。
【0016】
更に、試薬庫1,2の試薬容器6,7内の第1及び第2試薬を吸引して反応容器3内に吐出する分注を行う第1及び第2試薬分注プローブ14,15と、第1及び第2試薬の分注を行うために第1及び第2試薬分注プローブ14,15を回動及び上下移動可能に保持する第1及び第2試薬分注アーム8,9と、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が試薬容器6,7内の第1及び第2試薬と接触したときにその液面を検出する液面検出器14a,15aとを備えている。そして、液面検出器14a,15aで検出された各液面検出信号は、分析制御部25に出力される。
【0017】
更にまた、反応容器3内に吐出されたサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、反応容器3内の各混合液を光学的に測定する測光部13と、反応容器3内の測定を終えた各混合液の吸引や吸引した後の反応容器3内の洗浄及び乾燥を行う洗浄ユニット12とを備えている。
【0018】
そして、測光部13は、回転移動する反応容器3内の標準試料を含む混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して標準信号を生成する。また、反応容器3内の被検試料を含む混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して被検信号を生成する。更に、反応容器3内の管理試料を含む混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して管理信号を生成する。そして生成した標準信号、被検信号、及び管理信号をデータ処理部30に出力する。
【0019】
また、測定後の反応容器3、サンプル分注プローブ16、各第1及び第2試薬分注プローブ14,15、撹拌ユニット11は、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0020】
図1の分析制御部25は、図2に示した分析部19の各分析ユニットを駆動する機構部26及びこの機構部26を制御する制御部27を備えている。
【0021】
機構部26は、分析部19のサンプルラック4を移動する機構、試薬庫1の試薬ラック1a及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動する機構、反応ディスク5を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。
【0022】
制御部27は、機構部26の各機構を制御する制御回路を備え、機構部26の各機構を制御して分析部19の各分析ユニットを作動させる。
【0023】
制御部27のサンプル分注アーム10の制御回路は、サンプル分注アーム10を上死点の高さでサンプルの吸引が可能なサンプル吸引位置まで回動させた後、例えば駆動パルスを供給してサンプル分注アーム10を下降させる。次いで、液面検出器16aからの液面検出信号に基づいて、サンプル分注プローブ16の先端が試料容器17内のサンプル液面から所定の深さに達したとき、サンプル分注アーム10を停止させる。そして、サンプル分注アーム10の上死点から液面検出位置までに供給した駆動パルスの情報を管理部40に出力する。
【0024】
制御部27の第1及び第2試薬分注アーム8,9の制御回路は、第1及び第2試薬分注アーム8,9を上死点の高さで第1及び第2試薬の吸引が可能な第1及び第2試薬吸引位置まで回動させた後、駆動パルスを供給して第1及び第2試薬分注アーム8,9を下降させる。次いで、液面検出器14a,15aからの液面検出信号に基づいて、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の先端が試薬容器6,7内の第1及び第2試薬液面から所定の深さに達したとき、第1及び第2試薬分注アーム8,9を停止させる。
【0025】
データ処理部30は、分析部19の測光部13から出力された標準信号、被検信号、及び管理信号から各検査項目の検量データ、分析データ、及び管理データの各データの生成を行う演算部31と、演算部31で生成された各データを保存する記憶部32とを備えている。
【0026】
演算部31は、測光部13から出力された標準信号及び予め設定された標準試料の標準値から、各検査項目の成分の濃度や活性値と標準信号の関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部50に出力すると共に記憶部32に保存する。
【0027】
また、測光部13から出力された被検信号に対応する検査項目の検量データを記憶部32から読み出す。次いで読み出した検量データを用いてその被検信号から濃度や活性値として表される分析データを生成し、生成した分析データを出力部50に出力すると共に記憶部32に保存する。
【0028】
更に、測光部13から出力された管理信号に対応する検査項目の検量データを記憶部32から読み出す。次いで読み出した検量データを用いてその管理信号から濃度や活性値として表される管理データを生成し、生成した管理データを管理部40及び出力部50に出力すると共に記憶部32に保存する。
【0029】
記憶部32は、ハードディスクなどを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存し、また分析データを被検試料毎に保存し、更に管理データを管理試料毎に保存する。
【0030】
管理部40は、システム制御部70から供給される各検査項目の管理に使用する管理試料、この管理試料で管理するための管理条件、及び被検試料毎に検査する検査項目の情報に基づいて、管理試料で管理を行う検査項目を決定する。そして、決定した検査項目の情報を分析制御部25の制御部27に出力する。
【0031】
また、管理試料では管理不可能な検査項目(管理外検査項目)の管理を行うための被検試料(第1の管理用被検試料)を決定する。更に、分析制御部25の制御部27から出力される駆動パルスの情報、並びに予め設定された分析部19のサンプルラック4に収納された試料容器17の高さ及び寸法の情報に基づいて、試料容器17内の第1の管理用被検試料の残量を算出する。そして、その第1の管理用被検試料が不足する前に、管理外検査項目の管理を行うための第2の管理用被検試料を決定する。そして、決定した第1の管理用被検試料や第2の管理用被検試料の情報を制御部27に出力する。
【0032】
更にまた、データ処理部30の演算部31から出力された複数の管理データを検査項目毎に統計処理して平均値、標準偏差等の精度管理データを生成し、生成した精度管理データをデータ処理部30の記憶部32に保存すると共に出力部50に出力する。
【0033】
出力部50は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データ、分析データ、及び管理データや、管理部40から出力された精度管理データ等の各データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、演算部31や管理部40から出力された各データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0034】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31や管理部40から出力された各データを表示する。また、各検査項目の分析条件を設定するための分析条件設定画面、各検査項目の管理に使用する管理試料を設定するための管理試料設定画面、管理試料設定画面で設定した管理試料による管理条件を設定するための管理条件設定画面、及び測定対象の被検試料を識別するIDや氏名等の被検体情報を設定するための被検体情報設定画面の表示を行う。
【0035】
また、被検試料毎に検査する検査項目を設定するための検査項目設定画面、測定する被検試料を収容した試料容器17を収納するサンプルラック4の収納位置を設定するための被検試料収納位置設定画面、及び分析データや管理データを表示する分析結果表示画面等の表示を行う。
【0036】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析条件、管理試料、管理条件、被検体情報、被検試料毎の検査項目、及び測定対象の被検試料を収容した試料容器17の収納位置の設定を行うための入力操作、各検査項目の標準試料や被検試料の測定を行うための入力操作を行う。
システム制御部70は、CPU及び記憶回路を備え、操作部60から入力されたコマンド信号、各検査項目の分析条件、管理試料、管理条件、被検体情報、被検試料毎の検査項目、試料容器17の収納位置などの入力情報を前記記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析部19の各分析ユニットなどを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量データ、分析データ、及び管理データの生成と出力などシステム全体の制御を行う。
【0037】
次に、図1乃至図4を参照して、分析部19のサンプルラック4及びサンプラ18の構成の詳細、及びサンプラ18の動作を説明する。
図3は、サンプルラック4の構成を示し、サンプルラック4を上から見た図である。このサンプルラック4は、h個のサンプルラック41乃至4hにより構成される。そして、サンプルラック41は、上部に試料容器17の収納が可能な例えば5つの第1乃至第5の開口部41a乃至41eを有し、一側面にサンプルラック41を識別するID、番号等のラック識別情報41fを有する。
【0038】
また、サンプルラック42は符号が変わる以外はサンプルラック41と同様に構成され、上部に5つの第1乃至第5の開口部42a乃至42eを有し、一側面にラック識別情報42fを有する。更に、サンプルラック43乃至4hは符号が変わる以外はサンプルラック41と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0039】
図4は、サンプラ18の構成を示し、サンプラ18を上から見た図である。このサンプラ18は、待機エリア181上に載置された各サンプルラック41乃至4hの矢印L1方向への移動及びL1方向へ移動した後の矢印L2方向への移動を行う第1のベルト182と、第1のベルト182により引き込み位置183へ移動した各サンプルラック41乃至4hの各ラック識別情報41f乃至4hfを読み取るリーダ184とにより構成される。
【0040】
また、引き込み位置183の各サンプルラック41乃至4hの矢印L3方向への移動及びL3方向へ移動した後の矢印L4方向への移動を行う第2のベルト185と、引き込み位置183からL3方向へ移動する各サンプルラック41乃至4hの各第1乃至第5の開口部の近傍を検出することにより試料容器17の有無を検知するための容器検出器186とにより構成される。
【0041】
リーダ184は、引き込み位置183の例えばサンプルラック41のラック識別情報41fを読み取り、読み取ったラック識別情報41fをシステム制御部70に出力する。システム制御部70では、サンプルを測定するために予め設定された情報に基づいて、リーダ184からのラック識別情報41fを有するサンプルラック41が、測定対象の被検試料を収容する試料容器17を収納した測定対象のサンプルラックであるか否かを判断する。そして、リーダ184からのラック識別情報41fを有するサンプルラック41が測定対象のサンプルラックである場合、分析制御部25の制御部27に第2のベルト185の制御を指示する。
【0042】
なお、操作部60から標準試料や被検試料の測定開始操作が行われてから、測定終了操作により分析部19が停止すまでの間を測定中とし、この測定中に測定されるサンプルを測定対象のサンプルとする。また、測定開始操作前及び測定終了操作後を待機中とする。
【0043】
第2のベルト185は、制御部27による機構部26の制御により、引き込み位置183の測定対象のサンプルラックをL3方向へ移動する。
【0044】
容器検出器186は、測定対象のサンプルラックの各第1乃至第5の開口部近傍に例えば光を照射し、試料容器17が収納されている場合には試料容器17からの反射光を含む光を検出する。そして、各第1乃至第5の開口部近傍を検出した検出信号をシステム制御部70に出力する。
【0045】
システム制御部70では、容器検出器186からの検出信号に基づいて測定対象のサンプルラックの各第1乃至第5の開口部に試料容器17が収納されているか否かを判断する。そして、試料容器17が収納されている場合、測定対象の被検試料が収容された試料容器17の収納位置の情報や管理試料の管理条件の情報に基づいて、その収納された試料容器17内のサンプルが測定対象のサンプルであるか否かを判断する。次いで、測定対象のサンプルである場合、そのサンプルの測定を制御部27に指示する。また、試料容器17が収納されていない場合、人為的ミスであるか否かを判断する。そして、人為的ミスであると判断した場合、表示部52に警告情報を表示する。
【0046】
なお、容器検出器186の替わりに例えばバーコードラベル等の識別情報を読み取る第2のリーダを設け、また試料容器17にこの試料容器17内のサンプルの識別が可能な容器識別情報を取り付ける。そして、測定対象のサンプルラックの各第1乃至第5の開口部の近傍を第2のリーダで読み取ることにより容器識別情報が検出された場合に試料容器17を検知し、その容器識別情報に基づいて判断するように実施してもよい。
【0047】
第2のベルト185は、測定対象の試料容器17がサンプル吸引位置に到達するまで測定対象のサンプルラックをL3方向に移動する。次いで、サンプル吸引位置の試料容器17内のサンプルの吸引が終了した後、L4方向の引き込み位置183まで移動する。第1のベルト182は、引き込み位置183へ移動したサンプルラックをL4方向の取り出しエリア187へ移動する。
【0048】
次に、図1乃至図6を参照して、表示部52に表示される管理試料設定画面及び管理条件設定画面を説明する。図5は、表示部52に表示される管理試料設定画面の一例を示す図である。この管理試料設定画面53は、複数の管理試料の設定が可能なように複数の管理試料設定画面で構成された内の1つの画面である。また、図6は、表示部52に表示される管理条件設定画面の一例を示す図である。
【0049】
図5において、管理試料設定画面53は、管理試料の識別が可能なように管理試料名等の管理試料識別情報を設定する「管理試料」の欄と、「管理試料」の欄に設定した管理識別情報の管理試料で管理可能な検査項目を設定する「検査項目の種類」の欄と、「検査項目の種類」の欄に設定した検査項目の管理データの許容範囲を設定する「範囲」の欄とにより構成される。そして、操作部60からの操作により入力された管理試料の情報は、各欄に表示されると共にシステム制御部70の記憶回路に保存される。
【0050】
「管理試料」の欄に管理試料識別情報を設定するため、例えば管理試料名を入力する操作が行われると、ダイアログボックス53a内に例えば「管理試料C1」が表示される。
【0051】
「検査項目の種類」の欄に、「管理試料」の欄に設定した管理試料で管理する検査項目を設定するため、表示部52に表示される分析条件設定画面で設定された検査項目の中から選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス53b1内に検査項目である例えば「TP」が表示される。また、ダイアログボックス53b2内に「Ca」が表示され、ダイアログボックス53b3内に「GOT」が表示される。そして、選択入力されない例えばダイアログボックス53bk内は空白になる。
【0052】
「範囲」の欄に、「検査項目の種類」の欄に設定した検査項目の許容範囲を設定するため、「TP」の許容範囲を入力する操作が行われると、ダイアログボックス53c1内に許容範囲である例えば「7.7±0.2」が表示される。また、「Ca」の許容範囲を入力する操作が行われると、ダイアログボックス53c2内に「10.0±0.2」が表示され、「GOT」の許容範囲を入力する操作が行われると、ダイアログボックス53c3内に「40±2」が表示される。そして、入力されないダイアログボックス53ck内は空白になる。
【0053】
図6は、表示部52に表示される管理条件設定画面の一例を示した図である。この管理条件設定画面54は、管理条件を設定する「第1の管理条件」及び「第2の管理条件」の欄により構成される。そして、操作部60からの操作により入力された各管理条件の情報は、各欄に表示されると共にシステム制御部70の記憶回路に保存される。
【0054】
「第1の管理条件」の欄は、測定対象の管理試料を設定する「種類」の欄と、「種類」の欄に設定した管理試料を収容した試料容器17を収納するサンプルラック4の収納位置を設定する「位置」の欄と、「種類」の欄に設定した管理試料で管理する検査項目を決定するための「検索範囲」の欄とにより構成される。
【0055】
「種類」の欄に、図3の管理試料設定画面53を含む複数の管理試料設定画面で設定された例えばm種類の管理試料の識別情報である「管理試料C1」乃至「管理試料Cm」が表示される。測定対象の管理試料を設定するため、「管理試料C1」乃至「管理試料Cm」の中から例えば「管理試料C1」及び「管理試料C2」を選択入力する操作が行われると、各ダイアログボックス54a1及び54a2内に「レ」が表示される。そして、測定対象外の管理試料に対応する例えばダイアログボックス54a3乃至54am内は空白になる。
【0056】
「位置」の欄に、「種類」の欄に設定された測定対象の管理試料を収容した試料容器17を収納する各サンプルラック41乃至4h収納位置を設定するため、「種類」の欄に設定した「管理試料C1」を収容した試料容器17の収納位置を入力する操作が行われると、ダイアログボックス54b1内に収納位置である例えば「4e」が表示される。また、「管理試料C2」を収容した試料容器17の収納位置を入力する操作が行われると、ダイアログボックス54b2内に収納位置である例えば「42b」が表示される。そして、入力されないダイアログボックス54b3乃至54bm内は空白になる。
【0057】
ここで、「管理試料C1」のように「位置」の欄に設定した収納位置が数字1文字及びアルファベット1文字の合計2文字で表される場合、システム制御部70は、図3に示したサンプルラック41乃至4hの内の前記アルファベットを含む符号が付記された全ての開口部に収納された試料容器17内のサンプルを「管理試料C1」と判断する。従って「4e」が設定されていると、サンプルラック41乃至4hの第5の開口部41e乃至4heに収納された試料容器17内のサンプルを「管理試料C1」として判断する。
【0058】
また、「管理試料C2」のように「位置」の欄に設定した収納位置が数字2文字及びアルファベット1文字の合計3文字で表される場合、サンプルラック41乃至4hの3文字で表される符号が付記された1箇所の開口部に収納されている試料容器17内のサンプルを「管理試料C2」として判断する。従って、例えば「42b」が設定されていると、サンプルラック42の第2の開口部42bに収納された試料容器17内のサンプルを「管理試料C2」として判断する。
【0059】
なお、分析部19のサンプラ18に容器検出器186の替わりに第2のリーダを設けた場合、「位置」の欄には測定対象の管理試料を収容した試料容器17に取り付ける容器試料情報を設定する。
【0060】
「検索範囲」の欄に、「種類」の欄に設定した「管理試料C1」で管理する検査項目を測定対象の被検試料の検査項目に応じて決定するため、「管理試料C1」の測定前に測定された被検試料を対象とする選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス54c1内に選択入力された「測定前」が表示される。また、ダイアログボックス54c1内に表示された「測定前」の対象とする被検試料の数を入力する操作が行われると、ダイアログボックス54d1内に被検試料の数である例えば「4」が表示される。
【0061】
また、「管理試料C2」の検査項目を測定対象の被検試料の検査項目に応じて決定するため、「管理試料C2」の測定後に測定される被検試料を対象とする選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス54c2内に選択入力された「測定後」が表示される。また、ダイアログボックス54c2内に表示された「測定後」の対象とする被検試料の数を入力する操作が行われると、ダイアログボックス54d2内に被検試料の数である例えば「4」が表示される。
【0062】
そして、入力されないダイアログボックス54c3乃至54cm及びダイアログボックス54d3乃至54dm内は空白になる。
【0063】
ここで、「種類」の欄に設定した「管理試料C1」のように「測定前」及び「4」が設定されている場合、管理部40は「管理試料C1」の検査項目を、「管理試料C1」を測定する前に測定された4つの直近の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。また、「管理試料C2」のように「測定後」及び「4」が設定されている場合、「管理試料C2」の検査項目を、「管理試料C2」を測定した後に測定された4つの直近の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。
【0064】
そして、管理部40は、決定した検査項目の情報を分析制御部25の制御部27に出力する。制御部27では、分析部19に決定した検査項目で「管理試料C1」の測定を指示する。
【0065】
なお、測定中において、「測定前」を設定して「管理試料C1」を測定する前に測定された被検試料が4つ未満である場合、4つ未満の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。また「管理試料C1」を測定する前に被検試料がない場合、「管理試料C1」の測定後に測定される4つの直近の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。更に「管理試料C1」の測定後に測定される被検試料が4つ未満である場合、4つ未満の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。
【0066】
また、測定中において、「測定後」を設定して「管理試料C2」を測定した後に測定される被検試料が4つ未満である場合、4つ未満の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。また「管理試料C2」を測定した後に被検試料がない場合、「管理試料C2」の測定前に測定される4つの直近の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。更に「管理試料C2」の測定前に測定された被検試料が4つ未満である場合、4つ未満の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する。
【0067】
「第2の管理条件」の欄には、「第1の管理条件」の欄の「種類」の欄に設定した「管理試料C1」の「検索範囲」の欄に設定した管理条件で決定された検査項目の内、管理試料設定画面53で設定した検査項目に含まれていない管理外検査項目の管理を行うか否かを設定する。そして、管理外検査項目の管理を行わない選択入力操作が行われると、ダイアログボックス54e1内に「管理しない」が表示される。また、「第1の管理条件」の欄の「種類」の欄に設定した「管理試料C2」に対して管理外検査項目の管理を行う選択入力操作が行われると、ダイアログボックス54e2内に「管理する」が表示される。
【0068】
ここで、「管理試料C1」に対して管理外検査項目の管理を行う設定が行われた場合、管理部40は、「管理試料C1」の測定の前に、被検試料の測定で生成された管理外検査項目の分析データの内、例えば最大と最小の分析データが得られた2つの被検試料を第1の管理用被検試料として決定する。また、分析制御部25の制御部27から出力される駆動パルスの情報、並びに予め設定された分析部19のサンプルラック4に収納された試料容器17の高さ及び寸法の情報に基づいて、試料容器17内の第1の管理用被検試料の残量を算出する。
【0069】
そして、試料容器17内の最大の分析データが得られた第1の管理用被検試料が不足する前に、最大の次に大きい分析データが得られた被検試料を第2の管理用被検試料として決定する。また、試料容器17内の最小の分析データが得られた第1の管理用被検試料が不足する前に、最小の次に小さい分析データが得られた被検試料を第2の管理用被検試料として決定する。
【0070】
このように、管理条件設定画面54に各管理条件を設定することにより、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目に応じて、測定対象の管理試料で管理する検査項目を決定することができる。そして、管理試料の検査項目を、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目に決定することができる。また、被検試料の検査項目に管理外検査項目が含まれている場合、管理外検査項目が設定された被検試料を第1の管理用試料として決定することができる。更に、第1の管理用試料が不足する前に第2の管理用試料を決定することができる。
【0071】
以下、図1乃至図10を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図7は、表示部52に表示された検査項目設定画面の一例を示す図である。図8は、表示部52に表示された被検試料収納位置設定画面の一例を示す図である。図9は、自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。図10は、表示部52に表示された分析結果表示画面の一例を示す図である。
【0072】
システム制御部70の記憶回路には、図5の管理試料設定画面53で設定された管理試料の情報、及び図6の管理条件設定画面54で設定された管理条件の情報が保存されている。また、各検査項目の標準試料の測定により生成された検量データが保存されている。そして、操作部60からの表示操作により、表示部52に検査項目設定画面が表示される。
【0073】
図7は、表示部52に表示された検査項目設定画面の一例を示した図である。この検査項目設定画面55は、表示部52の分析条件設定画面で設定された検査項目が表示される「項目」の欄と、表示部52の被検体情報設定画面で設定された測定対象の被検試料を識別する被検体情報が表示される「ID」の欄と、「ID」の欄に表示された被検体情報毎に検査対象の検査項目を設定するための測定項目設定エリア55aとにより構成される。そして、操作部60からの操作により入力された被検体情報毎の検査項目の情報は、測定項目設定エリア55aに表示されると共にシステム制御部70の記憶回路に保存される。
【0074】
「項目」の欄には、検査項目である「GOT」、「GPT」、「Ca」、「TP」等が表示されている。また、「ID」の欄には被検体情報である「1」、「2」、「3」、及び「4」が表示されている。
【0075】
そして、「ID」の欄の「1」の被検体情報に対して、「項目」の欄の「GOT」を選択入力する操作が行われると、測定項目設定エリア55aの1テストのエリアに測定が行われる印である「○」が表示され、「項目」の欄の「Ca」を選択入力する操作が行われると、測定項目設定エリア55aの2テストのエリアに「○」が表示される。
【0076】
また、「ID」の欄の「2」、「3」、及び「4」の被検体情報に対して「項目」の欄の「Ca」を選択入力する操作が行われると、測定項目設定エリア55aの3テスト乃至5テストのエリアに「○」が表示される。そして、入力されないエリアには測定が行われない印である「・」が表示される。
【0077】
次に、操作部60からの表示操作により、表示部52に被検試料収納位置設定画面が表示される。
【0078】
図8は、表示部52に表示された被検試料収納位置設定画面の一例を示した図である。この被検試料収納位置設定画面56は、表示部52の被検体情報設定画面で設定された検査対象となる被検試料の被検体情報が表示される「ID」の欄、及びこの「ID」の欄に表示された被検体情報に対応する被検試料を収容した試料容器17を収納するサンプルラック4の収納位置を設定する「位置」の欄により構成される。そして、操作部60からの操作により入力された収納位置の情報は、「位置」の欄に表示されると共にシステム制御部70の記憶回路に保存される。
【0079】
「ID」の欄には、図7に示した検査項目設定画面55の「ID」の欄に表示された被検体情報と同じ「1」、「2」、「3」、及び「4」が表示されている。
【0080】
「位置」の欄には、図6に示した管理条件設定画面54で設定された測定対象の管理試料の収納位置以外の位置を設定する。そして、「ID」の欄に表示された「1」の被検体情報に対応する被検試料を収容した試料容器17の収納位置を設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス56a1内に例えばサンプルラック41の第1の開口部41aを収納位置とする「41a」が表示される。
【0081】
また、「ID」の欄に表示された「2」の被検体情報に対応する被検試料を収容した試料容器17の収納位置を設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス56a2内にサンプルラック41の第2の開口部41bを収納位置とする「41b」が表示される。
【0082】
更に、「ID」の欄に表示された「3」の被検体情報に対応する被検試料を収容した試料容器17の収納位置を設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス56a3内にサンプルラック41の第3の開口部41cを収納位置とする「41c」が表示される。
【0083】
更にまた、「ID」の欄に表示された「4」の被検体情報に対応する被検試料を収容した試料容器17の収納位置を設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス56a4内にサンプルラック41の第4の開口部41dを収納位置とする「41d」が表示される。
【0084】
なお、分析部19のサンプラ18に容器検出器186の替わりに第2のリーダを設けた場合、「位置」の欄には試料容器17内の被検試料の識別が可能なように容器識別情報を設定する。
【0085】
表示部52の各画面への入力操作が終了した後、被検試料収納位置設定画面56の「ID」の欄に表示された「1」、「2」、「3」、及び「4」の被検体情報に対応する被検試料を収容した4個の試料容器17を、サンプルラック41の第1乃至第4の開口部41a,41b,41c,41dに収納する。また、「管理試料C1」に対応する管理試料を収容した試料容器17をサンプルラック41の第5の開口部41eに収納する。
【0086】
なお、分析部19のサンプラ18に容器検出器186の替わりに第2のリーダを設けた場合、試料容器17にこの試料容器17内のサンプルの識別が可能な容器識別情報を取り付ける。
【0087】
図9は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。サンプルラック41を分析部19におけるサンプラ18の待機エリア181に載置した後、操作部60から被検試料の測定開始操作が行われると、自動分析装置100は測定動作を開始する(ステップS1)。
【0088】
システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、及び管理部40に測定動作を指示する。また、図5の管理試料設定画面53で設定された管理試料の情報、図6の管理条件設定画面54で設定された管理条件の情報、及び図7の検査項目設定画面55で設定された検査項目の情報を管理部40に供給する。分析制御部25の機構部26は、制御部27の制御により、分析部19の各ユニットを作動させる。
【0089】
分析部19におけるサンプラ18の第1のベルト182は、待機エリア181のサンプルラック41を引き込み位置183へ移動する。リーダ184は、引き込み位置183へ移動したサンプルラック41のラック識別情報41fを読み取ってシステム制御部70に出力する。
【0090】
システム制御部70は、管理条件設定画面54及び図8に示した被検試料収納位置設定画面56で設定された収納位置の情報に基づいて、リーダ184から出力されたラック識別情報41fを有するサンプルラック41が測定対象のサンプルラックであるか否かを判断する。
【0091】
そして、サンプルラック41が測定対象のサンプルラックである場合(ステップS2のはい)、ステップS3へ移行する。また、測定対象外のサンプルラックである場合(ステップS2のいいえ)、表示部52に警告情報を表示する(ステップS4)。その後、ステップS15へ移行する。ここでは、被検試料収納位置設定画面56で設定された「41a」乃至「41d」の収納位置の情報から、サンプルラック41が測定対象のサンプルラックであると判断する。
【0092】
第2のベルト185は、引き込み位置183の測定対象のサンプルラックをL3方向へ移動する。容器検出器186は、通過する測定対象のサンプルラックの第nの開口部(n=1)近傍を検出し、その検出信号をシステム制御部70に出力する(ステップS3)。
【0093】
システム制御部70は、容器検出器186から出力された検出信号により測定対象のサンプルラックの第nの開口部に試料容器17が収納されているか否かを判断する。そして、第nの開口部に試料容器17が収納されている場合(ステップS5のはい)、ステップS6へ移行する。また、第nの開口部に試料容器17が収納されていない場合(ステップS5のいいえ)、ステップS10へ移行する。
【0094】
ステップS5の「はい」の後に、システム制御部70は、試料容器17が収納された第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56又は管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれている場合、第nの開口部の試料容器17を測定対象のサンプルを収容した測定対象の試料容器17であると判断する。また、第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56及び管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれていない場合、第nの開口部の試料容器17を測定対象外のサンプルを収容した測定対象外の試料容器17であると判断する。
【0095】
そして、第nの開口部の試料容器17が測定対象の試料容器17である場合(ステップS6のはい)、ステップS7へ移行する。また、測定対象外の試料容器17である場合(ステップS6のいいえ)、ステップS13へ移行する。
【0096】
ステップS6の「はい」の後に、システム制御部70は、第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56で設定された収納位置の情報に含まれている場合、第nの開口部に収納された試料容器17内のサンプルを被検試料であると判断する。また、管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれている場合に第nの開口部に収納された試料容器17内のサンプルを管理試料であると判断し、その管理試料の前に測定された被検試料の情報を管理部40に供給する。
【0097】
そして、試料容器17内のサンプルが被検試料である場合(ステップS7のはい)、ステップS8へ移行する。また、管理試料である場合(ステップS7のいいえ)、ステップS9へ移行する。
【0098】
ステップS7の「はい」の後に、システム制御部70は、第nの開口部の被検試料の検査項目を、被検試料収納位置設定画面56で第nの開口部の収納位置が設定された被検体情報に対して検査項目設定画面55で設定された検査項目に決定する(ステップS8)。
【0099】
ステップS7の「いいえ」の後に、管理部40は、システム制御部70から供給される管理試料設定画面53で設定された管理試料の情報、この管理試料の前に測定された被検試料の情報、管理条件設定画面54で設定された管理条件の情報、及び検査項目設定画面55で設定された検査項目の情報に基づいて、第nの開口部の試料容器17に収容された管理試料の検査項目を、第nの開口部よりも前の収納位置に収納された4つの直近の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定する(ステップS9)。そして、決定した検査項目の情報を制御部27に出力する。
【0100】
このように、測定対象の管理試料の収納位置に試料容器17が収納されているとき、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目に応じて、その管理試料の検査項目を決定することができる。
【0101】
ステップS5の「いいえ」の後に、システム制御部70は、第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56又は管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれている場合、第nの開口部を測定対象の収納位置であると判断する。また、第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56及び管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれていない場合に、第nの開口部を測定対象外の収納位置であると判断する。
【0102】
そして、測定対象の収納位置である場合(ステップS10のはい)、ステップS11へ移行する。また、測定対象外の収納位置である場合(ステップS10のいいえ)、ステップS13へ移行する。
【0103】
ステップS10の「はい」の後に、管理条件設定画面54で設定された収納位置の情報に含まれている場合に、第nの開口部を測定対象の管理試料の収納位置であると判断し、測定中には管理試料を必要としていないと判断する。また、第nの開口部の収納位置の情報が被検試料収納位置設定画面56で設定された収納位置の情報に含まれている場合に、第nの開口部に測定対象の試料容器17を収納し忘れた人為的ミスと判断する。
【0104】
そして、管理試料の収納位置である場合(ステップS11のはい)、ステップS13へ移行する。また、被検試料の収納位置である場合(ステップS11のいいえ)、警告情報を表示部52に表示する(ステップS12)。その後、ステップS13へ移行する。
【0105】
このように、管理試料で管理を必要としない場合、操作部60から測定対象の管理試料の設定を解除する操作を必要とせず、その管理試料の収納位置から試料容器17を取り除くだけの簡単な作業で、不要な管理試料の測定を避けることができる。
【0106】
ステップS6の「いいえ」、又はステップS8、又はステップS9、又はステップS10の「いいえ」、又はステップS11の「はい」、又はステップS12の後に、nが5未満である場合(ステップS13のいいえ)、nに1を加算してステップS3に戻る。また、nが5である場合(ステップS13のはい)、ステップS14へ移行する。
【0107】
ステップS13の「はい」の後に、第2のベルト185は、測定対象の試料容器17がサンプル吸引位置に達するまで測定対象のサンプルラックを移動する。サンプル分注プローブ16は、サンプル吸引位置に到達した測定対象の試料容器17からサンプルを吸引して、図4に示すように、サンプル吐出位置に停止した反応容器3に吐出する分注を行う。
【0108】
ここでは、検査項目設定画面55で設定された1テスト及び2テストの測定を行うために、サンプルラック41の第1の開口部41aに収納された試料容器17内の「1」の被検体情報に対応する被検試料を、1番目と2番目に停止した反応容器3に分注する。また、3テストの測定を行うために、第2の開口部41bに収納された試料容器17内の「2」の被検体情報に対応する被検試料を3番目の反応容器3に分注する。更に、4テストの測定を行うために、第3の開口部41cに収納された試料容器17内の「3」の被検体情報に対応する被検試料を4番目の反応容器3に分注する。更にまた、5テストの測定を行うために、第4の開口部41dに収納された試料容器17内の「4」の被検体情報に対応する被検試料を5番目の反応容器3に分注する。
【0109】
そして、第5の開口部41eに収納された試料容器17内の「管理試料C1」に対応する管理試料を分注する。この場合、管理試料の測定前の4つの直近の被検試料に対応する「1」、「2」、「3」、及び「4」の被検体情報に対して設定された検査項目である「GOT」の管理を行うために、1テストのときと同じ分注条件で管理試料を6番目の反応容器3に分注する。また、「Ca」の管理を行うために、2テスト乃至5テストのときと同じ分注条件で管理試料を7番目の反応容器3に分注する。
【0110】
第1試薬分注プローブ14は、「GOT」の第1試薬を試薬庫1の試薬容器6から1番目の反応容器3に分注する。また、「Ca」の第1試薬を試薬容器6から2番目乃至5番目の反応容器3に分注する。更に、6番目の反応容器3に「GOT」の第1試薬を分注し、7番目の反応容器3に「Ca」の第1試薬を分注する。撹拌ユニット11は、1番目乃至7番目の反応容器3内のサンプルと第1試薬の混合液を撹拌する。
【0111】
第2試薬分注プローブ15は、「GOT」の第2試薬を試薬庫2の試薬容器7から1番目の反応容器3に分注する。また、「Ca」の第2試薬を試薬容器7から2番目乃至5番目の反応容器3に分注する。更に、6番目の反応容器3に「GOT」の第2試薬を分注し、7番目の反応容器3に「Ca」の第2試薬を分注する。撹拌ユニット11は、1番目乃至7番目の反応容器3内のサンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する。
【0112】
測光部13は、1番目乃至5番目の反応容器3内の混合液を測定して1テスト乃至5テストの被検信号を生成し、6番目及び7番目の反応容器3内の混合液を測定して各管理信号を生成する。そして生成した各被検信号及び各管理信号をデータ処理部30の演算部31に出力する。演算部31は、1テスト乃至5テストの被検信号から第1乃至第5の分析データを生成し、2つの管理信号から第1及び第2の管理データを生成する。そして、生成した各分析データ及び各管理データを記憶部32に保存すると共に、表示部52の分析結果表示画面に表示する(ステップS14)。
【0113】
図10は、表示部52に表示された分析結果表示画面の一例を示した図である。この分析結果表示画面57は、「サンプルの種別」、「項目」、及び「分析結果」の欄により構成される。
【0114】
「サンプルの種別」の欄には、測定された被検試料の被検体情報である「1」、「2」、「3」、及び「4」が表示され、測定された管理試料の管理試料識別情報である「管理試料C1」が表示されている。
【0115】
「項目」の欄には、「サンプル種別」の欄の「1」に対して検査項目設定画面55で設定された検査項目である「GOT」及び「Ca」が表示され、「2」に対して「Ca」が表示されている。また、「3」及び「4」に対して夫々「Ca」が表示されている。更に、「管理試料C1」に対して、管理部40で管理する検査項目として決定された「GOT」及び「Ca」が表示されている。
【0116】
「分析結果」の欄には、「サンプル種別」の欄の「1」の被検試料の測定により生成された「項目」の欄の「GOT」の分析データである「第1の分析データ」及び「Ca」の分析データである「第2の分析データ」が表示され、「サンプル種別」の欄の「2」の被検試料の測定により生成された「項目」の欄の「Ca」の分析データである「第3の分析データ」が表示されている。
【0117】
また、「サンプル種別」の欄の「3」の被検試料の測定により生成された「項目」の欄の「Ca」の分析データである「第4の分析データ」が表示され、「4」の被検試料の測定により生成された「Ca」の分析データである「第5の分析データ」が表示されている。
【0118】
更に、「管理試料C1」の管理試料の測定により生成された「GOT」の管理データである「第1の管理データ」が表示され、「Ca」の管理データである「第2の管理データ」が表示されている。
【0119】
ここで、「第1の管理データ」が管理試料設定画面53で設定された「GOT」の許容範囲である「40±2」から外れていると、「1」の被検試料を測定したときの「GOT」の「第1の分析データ」が異常であると判定し、再検査の対象となる。また、「第2の管理データ」が管理試料設定画面53で設定された「Ca」の許容範囲である「10.0±0.2」から外れていると、「1」乃至「4」の被検試料を測定したときの「Ca」の「第2の分析データ」乃至「第5の分析データ」が異常であると判定し、再検査の対象となる。
【0120】
このように、管理試料を用いて測定対象の被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目を管理することができる。これにより、測定対象の被検試料の管理に不要な検査項目の検査に要する時間、試薬、及び管理試料の浪費を防ぐことができる。
【0121】
そして、ステップS14において、表示部52に各分析データ及び各管理データが表示された後、又はステップS4において表示部52に警告情報が表示された後、操作部60から被検試料の測定終了操作が行われると、システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、及び管理部40に測定動作の停止を指示する。そして、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS15)。
【0122】
以上述べた本発明の実施例によれば、管理条件設定画面54に各管理条件を設定することにより、測定対象の管理試料の収納位置に試料容器17が収納されているとき、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目に応じて、その管理試料の検査項目を決定することができる。そして、その管理試料の検査項目を、被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目に決定することができる。また、被検試料の検査項目に管理外検査項目が含まれている場合、管理外検査項目が設定された被検試料を第1の管理用試料として決定することができる。更に、試料容器17内の第1の管理用試料が不足する前に第2の管理用試料を決定することができる。
【0123】
そして、管理試料を測定することにより、測定対象の被検試料に対して設定された検査項目の管理が可能な管理データを生成することができる。また、管理試料で管理を必要としない場合、操作部60から測定対象の管理試料の設定を解除する操作を必要とせず、その管理試料の収納位置から試料容器17を取り除くだけの簡単な作業で、不要な管理試料の測定を避けることができる。
【0124】
これにより、検査に要する管理試料、試薬、時間、及び試薬の浪費を防いで、効率よく管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施例による自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係るサンプルラックの構成を示す図。
【図4】本発明の実施例に係るサンプラの構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示部に表示される管理試料設定画面の一例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示される管理条件設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示された検査項目設定画面の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る表示部に表示された被検試料収納位置設定画面の一例を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例に係る表示部に表示された分析結果表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0126】
19 分析部
25 分析制御部
26 機構部
27 制御部
30 データ処理部
31 演算部
32 記憶部
40 管理部
50 出力部
51 印刷部
52 表示部
60 操作部
70 システム制御部
100 自動分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料をこの被検試料の検査項目に該当する試薬を用いて測定する自動分析装置において、
前記被検試料の検査項目を設定する検査項目設定手段と、
前記検査項目設定手段により設定された検査項目の管理を行う管理試料を収容した試料容器を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料で管理する検査項目を、前記検査項目設定手段により設定された検査項目に応じて決定する管理手段とを
備えた特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記管理手段は、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料を測定する前に測定された被検試料又は測定した後に測定される被検試料に対して設定された検査項目に応じて決定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記管理手段により決定される検査項目は、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料を測定する前に測定された被検試料又は測定した後に測定される被検試料に対して設定された検査項目と同じ検査項目であることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料を測定する前に測定された被検試料又は測定した後に測定される被検試料の数を設定する被検試料数設定手段を有し、
前記管理手段は、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料を測定する前に測定された、又は測定した後に測定される前記被検試料数設定手段により設定された数の直近の被検試料に対して設定された検査項目に応じて決定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記被検試料の測定により分析データを生成する分析データ生成手段を有し、
前記管理手段は、前記検査項目設定手段により設定された検査項目に前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料では管理不可能な管理外検査項目が含まれている場合、前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料を測定する前の被検試料の測定により生成された前記管理外検査項目の分析データの内、最大又は最小の分析データが得られた被検試料を、前記管理外検査項目の管理を行う第1の管理用被検試料に決定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第1の管理用試料を収容した試料容器内の第1の管理用試料の液面を検出する液面検出手段を有し、
前記管理手段は、前記液面検出手段により検出された検出信号に基づいて前記試料容器内の第1の管理用試料の残量を算出し、算出した残量が不足する前に前記最大の次に大きい分析データが得られた被検試料、又は前記最小の次に小さい分析データが得られた被検試料を、前記管理外検査項目の管理を行う第2の管理用被検試料に決定するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
被検試料をこの被検試料の検査項目に該当する試薬を用いて測定する自動分析装置の管理方法において、
前記被検試料の検査項目を検査項目設定手段により設定し、
前記検査項目設定手段により設定された検査項目の管理を行う管理試料を収容した試料容器を検出手段により検出し、
前記検出手段により検出された試料容器内の管理試料で管理する検査項目を、前記検査項目設定手段により設定された検査項目に応じて管理手段により決定することを特徴とする自動分析装置の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−281988(P2009−281988A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137082(P2008−137082)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】