説明

自動車のサスペンションクロスメンバ構造

【課題】パワーユニット等の整備作業性に優れると共に、剛性が確保できる自動車のサスペンションクロスメンバ構造を提供する。
【解決手段】サスペンションクロスメンバ10は、車幅方向に延在する前部クロスメンバ本体11Aの各端部に左右のフロントサイドフレーム1に取付支持される前部取付部33及び第1支持部32を備えた前部クロスメンバ11と、前部クロスメンバ本体11Aより車体後方で車幅方向に延在する後部クロスメンバ本体41Aの各端部にそれぞれ第1支持部32に分離可能に締結する第2支持部45を備えた後部クロスメンバ41により構成する。前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41によりサスペンションクロスメンバ10の剛性が確保できると共に、後部クロスメンバ41を分離することによって前部クロスメンバ11の後側に充分な作業スペースが確保できて整備作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンションクロスメンバ構造に関し、特に車幅方向に延在して各端部がそれぞれ左右のフロントサイドフレームに支持されてパワーユニット及びサスペンション装置を支持するサスペンションクロスメンバ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の左右のフロントフレーム間に設けられるサスペンションクロスメンバには、前輪のサスペンション装置、前輪の操向装置、エンジン等のパワーユニットが支持される。一般にサスペンションクロスメンバはプレス加工した上下一対の鋼板の周囲を溶接した中空形状を有しており、その下面にステアリングギヤボックスを収納する凹部が車幅方向に延在して形成される。ところが、車幅方向に延在する凹部を形成するとサスペンションクロスメンバの前後方向の剛性が大幅に低下するため、サスペンション装置から入力さえる荷重に対抗する剛性が要求される。
【0003】
この種のサスペンションクロスメンバとしては、例えば特許文献1に開示されるサスペンションクロスメンバ構造がある。特許文献1のサスペンションクロスメンバ構造は、左右のフロントサイドフレームに両端部が支持されるサスペンションクロスメンバの下面にステアリングギヤボックスを収容する凹部を車幅方向に沿って形成して前部及び後部に車幅方向に連続する中空部を形成している。このサスペンションクロスメンバの中央部上面にエンジンマウントブラケットを介してパワーユニットが支持され、車幅方向の両端部下面にサスペンション装置のサスペンションアームが支持されている。更に、サスペンションクロスメンバの両端部近傍において凹部を前後に架設する補強ブラケット及び補強プレートを設けている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−122378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のサスペンションクロスメンバ構造によると、サスペンションクロスメンバの下面に形成された凹部を前後に架設する補強ブラケット及び補強プレートを設けることから、サスペンション装置からサスペンション支持部に入力される荷重に対抗する剛性が確保できる。
【0006】
しかし、車幅方向に連続し、かつ比較的前後方向の幅が大きく一体形成されたサスペンションクロスメンバの両端が左右のフロントサイドフレームに支持され、このサスペンションクロスメンバの中央部にエンジンマウントブラケットを介してパワーユニットを支持することから、整備作業等においてパワーユニットを着脱する際、パワーユニットと共に大きな外形寸法を有し重量が大きいサスペンションクロスメンバを左右のフロントサイドフレームから脱着しなければならず、整備作業性を阻害する要因となっている。
【0007】
一方、近年、車体デザインの自由度や車室内スペースを確保のためにフロントオーバハング、即ち前輪中心から車体前端までの距離を短縮化する傾向がある。このためにエンジンルームの前後方向の短縮を図る必要があり、サスペンションクロスメンバの配設スペースが制限されてサスペンションクロスメンバの下面にステアリングギヤボックスを収容する凹部を形成することが困難であると共に、この凹部に配置されたステアリングギヤボックス等の取付機器の整備等にあたり取付機器を脱着する作業は厄介であり、作業者の負担の増大が懸念される。
【0008】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、整備作業性に優れると共に、剛性が確保できる自動車のサスペンションクロスメンバ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する請求項1に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造の発明は、車幅方向に延在して各端部がそれぞれ左右のフロントサイドフレームに支持されてパワーユニット及びサスペンション装置を支持するサスペンションクロスメンバ構造において、各端部に上記左右のフロントサイドフレームに取付支持される前部取付部及び第1支持部を備えた前部クロスメンバと、該前部クロスメンバ本体より車体後方で各端部にそれぞれ上記各第1支持部に分離可能に締結する第2支持部を備えた後部クロスメンバとを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、サスペンションクロスメンバが、車幅方向に延在して左右のフロントサイドフレームに取付支持される前部クロスメンバと、前部クロスメンバより車体後方で車幅方向に延在して前部クロスメンバに設けられた第1支持部に分離可能に締結する第2支持部を備えた後部クロスメンバとを備えることから、前部クロスメンバと後部クロスメンバによるサスペンションクロスメンバの剛性が確保できると共に、前部クロスメンバと後部クロスメンバとを近接配置することでサスペンションクロスメンバの前後方向の寸法を抑制することができ小型化及び軽量化が得られる。
【0011】
また、後部クロスメンバを前部クロスメンバから分離することによって前部クロスメンバの後側に充分な作業スペースが確保できて、パワーユニットや取付機器の脱着等の整備及び点検作業が容易になり、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1の自動車のサスペンションクロスメンバ構造において、上記第1支持部は、断面コ字状でそれぞれ上下方向に貫通する取付孔が穿通されて対向する上側取付部及び下側取付部を備え、上記第2支持部は、上記対向する第1支持部の上側取付部と下側取付部との間に嵌合すると共に上下方向に貫通する挿通孔が穿設された管筒を備え、上記上側取付部及び下側取付部の各取付孔及び管筒の挿通孔を貫通して第1支持部及び第2支持部を上記フロントサイドフレームに共締めする締結具を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によると、第1支持部の上側取付部と下側取付部との間に第2支持部の管筒を嵌合して締結具により第1支持部及び第2支持部をフロントサイドフレームに共締めすることにより、第1支持部と第2支持部の結合剛性及びこれら第1支持部及び第2支持部とフロントサイドメンバとの結合剛性が確保できる。更に、単一の締結具によって前部クロスメンバと後部クロスメンバとを結合すると共にフロントサイドメンバへ取り付けることから、後部クロスメンバの脱着作業性が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2の自動車のサスペンションクロスメンバ構造において、上端が前部クロスメンバ本体に結合され下端に第1サスペンション取付部が設けられた第1サスペンション支持ブラケットと、該第1サスペンション支持ブラケットと対向して上下方向に延在し下部に第1サスペンション取付部と協働してサスペンション装置のサスペンションアームを支持する第2サスペンション取付部が設けられ上部に上記上側取付部が形成された第2サスペンション支持ブラケットと、該第2サスペンション支持ブラケットに結合されて上記上側取付部と対向する上記下側取付部が形成された後部取付ブラケットと、上記第1サスペンション支持ブラケットの上部と第2サスペンション支持ブラケットの上部を連結する上側連結ブラケットと、上記第1サスペンション支持ブラケットの下部と第2サスペンション支持ブラケットの下部を連結する下側連結ブラケットと、上記第1サスペンション支持ブラケットの車幅方向内側部分と第2サスペンション支持ブラケットの車幅方向内側部分と前側クロスメンバ本体とを連結する内側連結パネルとを備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明によると、比較的簡単な形状の第1サスペンション支持ブラケット、第2サスペンション支持ブラケット、後部取付ブラケット、上側連結ブラケット、下側連結ブラケット、及び内側連結パネルにより重量が抑制されると共に剛性が確保された第1支持部及びサスペンション装置を支持するサスペンション支持部が形成できる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造において、上記前部クロスメンバ本体と後部クロスメンバ本体を分離可能に連結する連結プレートを備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によると、前部クロスメンバ本体と後部クロスメンバ本体を連結プレートで連結することにより、サスペンションクロスメンバの剛性が更に向上すると共に、サスペンションクロスメンバの振動抑制が得られる。更に、連結プレートが飛散する小石等からパワーユニットや取付機器を保護する保護カバーとして機能する。
【0018】
また、サスペンションアームから入力荷重や衝突時における衝撃荷重、例えばパワーユニットからサスペンションクロスメンバに入力される荷重を前部クロスメンバ及び後部クロスメンバの広範囲に分散でき、入力荷重をフロントサイドフレームに効率的に分散伝達することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4の自動車のサスペンションクロスメンバ構造において、上記連結プレートは、後端部が後部クロスメンバ本体に溶接結合し、上記各側部分の前端部が前部クロスメンバ本体に取り外し可能にボルト結合したことを特徴とする。
【0020】
この発明は、連結プレートの具体的な構成であって、後端部分を後部クロスメンバ本体に溶接結合し前端部分を前部クロスメンバ本体にボルト結合することから、連結プレートを後部クロスメンバと共に脱着できる。また、サスペンションアームからの入力荷重や衝突時における衝撃荷重、例えばパワーユニットからの入力荷重を前部クロスメンバ及び後部クロスメンバの広範囲に効率的に分散でき、フロントサイドフレームに効率的に伝達することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、サスペンションクロスメンバが、前部クロスメンバと、前部クロスメンバに分離可能に締結する後部クロスメンバとを備えることから、サスペンションクロスメンバの剛性が確保できると共に、前部クロスメンバと後部クロスメンバとを近接配置することで小型化及び軽量化が得られる。
【0022】
また、後部クロスメンバを前部クロスメンバから分離することによって前部クロスメンバの後側に充分な作業スペースが確保できて、パワーユニットや取付機器の脱着、整備及び点検等の作業等が容易になり、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る自動車のサスペンションクロスメンバ構造の実施の形態を図1乃至図12を参照して説明する。なお、各図において矢印Fは車体前方方向を示している。
【0024】
図1は車体前部の概略を示す概略平面図であり、エンジンルームEの両側に沿って車体前後方向に延在する左右のフロントサイドフレーム1の間にサスペンションクロスメンバ10が車幅方向に延在して架設されている。このサスペンションクロスメンバ10は車幅方向に延在する前部クロスメンバ11及び後部クロスメンバ41を備え、両端にサスペンション装置のサスペンションアーム3の基端を支持するサスペンション支持部31が形成されている。
【0025】
前部クロスメンバ11の中央部に設けたエンジンマウントブラケット14A、14Bを介してエンジン6の後方に変速機7が配置された縦置きのパワーユニット5のエンジン部分を支持し、変速機7から駆動軸4を介して前輪に動力伝達される。更に、前側クロスメンバ11の前部に車幅方向に延在するスタビライザ9がブラケット28を介して支持されている。後部クロスメンバ41の後部にギヤボックスマウントブラケット47を介してステアリング装置のステアリングギヤボックス8が取り付けられている。
【0026】
次に、この前部クロスメンバ11及び後部クロスメンバ41を備えたサスペンションクロスメンバ10について説明する。図2はサスペンションクロスメンバ10の上方斜め後方からの斜視図、図3はサスペンションクロスメンバ10の下方斜め前方からの斜視図、図4は図2のA部拡大図、図5は前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41とを分離した状態を示す斜視図である。なお、サスペンションクロスメンバ10は車体中心にほぼ左右対称形に構成されることからサスペンションクロスメンバ10の端部構造については一方の端部構造を主に説明し、他方の詳細な説明は省略する。
【0027】
前部クロスメンバ11は、上面12Aとこの上面12Aの前縁及び後縁から下方に折曲形成された前面12B及び後面12Cを有する下方が開放された断面略コ字状で略直線状で延在する中央部から両端に移行するに従って滑らかに上昇して車幅方向に延在するアッパパネル12と、アッパパネル12の前面12Bの下端と後面12Cの下端との間に架設されて車幅方向に延在するロアパネル13とにより中空状に形成された前部クロスメンバ本体11Aを備えている。
【0028】
アッパパネル12の上面12Aの車幅方向端部にそれぞれフロントサイドフレーム1に形成された前部取付部1Dに下方から重合する取付部12Dが隆起して形成されている。この取付部12Dに上下方向に貫通する取付孔12Daが穿設されている。
【0029】
アッパパネル12の上面12Aの中央部近傍に一対のエンジンマウントブラケット14A、14Bが互いに車幅方向に離間して設けられ、ロアパネル13の中央部近傍にナットを備えた一対の連結プレート結合部13A、13Bが車幅方向に離間して形成されている。
【0030】
前部クロスメンバ11の端部構造について、図6乃至図10を参照して説明する。図6は図4のB矢視図、図7は図5のC矢視図であり、図8は図5のD矢視図、図9は図5のE矢視図、図10は分解斜視図である。
【0031】
前部クロスメンバ11の端部には、比較的簡単な形状のサスペンション支持ブラケットである第1サスペンション支持ブラケット21、第2サスペンション支持ブラケット22、後部取付ブラケット23、上部連結ブラケット24、下部連結ブラケット25、内側連結パネル26、スタビライザ取付ブラケット27、及び前側取付ブラケット29により形成されたブラケット構造体20を備えている。このブラケット構造体20によってサスペンション支持部31及び後部クロスメンバ41と連結する第1支持部32及び前部クロスメンバ11をフロントサイドフレーム1に取り付ける前部取付部33が形成される。
【0032】
第1サスペンション支持ブラケット21は、車幅方向に延在する基部21A及びこの基部21Aの車幅方向外側の縁部から前方に折曲形成される外側面部21Bを備えた断面略L字状で上下方向に連続すると共に、外側面部21Bの前端縁から車幅方向外方に折曲形成された上下方向に延在するフランジ部21Cとが一体形成された板金部材であって、基部21Aの上部がアッパパネル12の後面12Cに結合される。更に基部21Aの下端近傍に前後方向に貫通する取付孔21Daを備えた第1サスペンション取付部21Dが形成されている。基部21の車幅方向の幅は下部に形成された第1サスペンション取付部21Dからアッパパネル12の後面12Cに結合する上部に移行するに従って漸次増大してアッパパネル12の結合長を確保してアッパパネル12との結合剛性を確保している。
【0033】
第2サスペンション支持ブラケット22は、第1サスペンション支持ブラケット21の基部21Aと対向する基部22A及びこの基部22Aの車幅方向外側の縁部から前方に折曲形成される外側面部22Bを備えた断面略L字状で上下方向に連続すると共に、基部22Aの上端に車体後方に折曲形成されて上下方向に貫通する取付孔22Caが穿設された上側取付部22Cが一体形成されている。基部22Aの下端近傍にはサービス孔22Aaが開口している。
【0034】
更に第2サスペンション支持ブラケット22の基部22Aの上下方向中間部に上側取付部22Cと離間して対向すると共に上下方向に貫通する取付孔23Caが穿設された下側取付部23Cを備えた後部取付ブラケット23が取り付けられる。これら第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cと後部取付ブラケット23の下側取付部23Cによって後方が開放されたコ字状の第1支持部32が形成される。
【0035】
上側連結ブラケット24は、上方が開放された断面略U字状で車幅方向に連続する基部24Aを有し、基部24Aの前縁部に沿って形成されたフランジ部24Bがアッパパネル12の後面12C及び第1サスペンション支持ブラケット22の上部に結合される。基部24Aの後縁部に第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cの上面に結合されると共にフロントサイドフレーム1に設けられたクロスメンバ支持ブラケット66の下面に重合可能な取付部24Cが折曲形成されている。この取付部24Cに第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cに形成された取付孔22Caと対応する取付孔24Caが穿設されている。
【0036】
更に、基部24Aの車幅方向端縁前部に第1サスペンション支持ブラケット21の外側面部21Bに結合される外側面部24Dが折曲形成され、基部24Aの車幅方向端縁前部に第1サスペンション支持ブラケット21の外側面部21Bに結合される外側面部24Eが折曲形成される。この上側連結ブラケット24により第1サスペンション支持ブラケット21の上部分と第2サスペンション支持ブラケット22の上部分が連結される。
【0037】
下側連結ブラケット25は、上側連結ブラケット24の基部24Aの下面と対向する基部25Aと、基部25Aの後縁から第2サスペンション支持ブラケット22の外側面部22Bの端縁に沿って下方に折曲形成されて第1サスペンション支持ブラケット21の基部21Aに形成された第1サスペンション取付部21Dと対向して取付孔25Baが穿設された第2サスペンション取付部25Bと、第2サスペンション取付部25Bの下縁から後方に折曲形成されて第2サスペンション支持ブラケット22の下端に結合される下端部25Cとが連続形成される。
【0038】
更に基部25Aの車幅方向外側の縁部に上側連結ブラケット24の外側面部24D及び第1サスペンション支持ブラケット21の外側面部21Bに結合する外側面部25Dが折曲形成され、第2サスペンション取付部25Bの縁部に第2サスペンション支持ブラケット22の外側面部22Bに結合する結合フランジ部25Eが折曲形成されている。また、基部25Aの車幅方向内側の縁部に後述する内側連結パネル26の基部26Aの下縁に結合する内側結合フランジ25Fが折曲形成されている。これにより第2サスペンション支持ブラケット22の下端部に第2サスペンション取付部25Bが設けられると共に、下側連結ブラケット25によって第1サスペンション支持ブラケット21の下部分と第2サスペンション支持ブラケット22の下部分が連結される。
【0039】
内側連結パネル26は、図7に示しように矩形平板状の基部26Aと基部26の前縁に延設されクロスメンバ結合部26Bを備え、基部26Aの後縁26Aaが第2サスペンション支持ブラケット22の基部22Aの下部に、下縁26Abが下部連結ブラケット25の内側結合フランジ26Fに、前縁26Acが第1サスペンション支持ブラケット21の基部21Aの下部にそれぞれ結合し、クロスメンバ結合部26Bがアッパパネル12の前面12B及び後面12Cの下縁及びロアパネル13、即ちクロスメンバ本体11Aに結合されている。これにより前側リンクブラケット21の車幅方向内側部分と後部リンクブラケット22の車幅方向内側部分と前側クロスメンバ本体11Aと内側連結パネル26によって強固に連結されて第1サスペンション支持ブラケット21や第2サスペンション支持ブラケット22の剛性が向上する。
【0040】
スタビライザ取付ブラケット27は、上縁がアッパパネル12の前面12Bに結合されて垂下すると共に下縁が車幅方向外方に移行するに従って漸次下降すると共の車幅方向外方の端縁が上下方向に延在する略三角形の平板状の基部27Aを有している。基部27Aの端縁の近傍にスタビライザ取付部27Bが前方に膨出して形成され、このスタビライザ取付部27Bにブラケット28を介してスタビライザ9が支持される。
【0041】
前側取付ブラケット29は、第1サスペンション支持ブラケット21のフランジ部21Cとスタビライザ取付ブラケット27の基部27Aとの間において上下方向に延在する平板状の基部29Aと、基部29Aの前縁に沿って折曲形成されてスタビライザ取付ブラケット27の基部27Aに結合されるフランジ29Bと、基部29Aの後縁に沿って折曲形成されて第1サスペンション支持ブラケット21のフランジ部21Cに結合するフランジ部29Cと、基部29Aの上端から車幅方向外方に折曲形成されてアッパパネル12に形成された取付部12Dと上下方向に離間して対向する取付部29Dとが一体形成されている。取付部29Dにアッパパネル12の取付部12Dに形成され取付孔12Daに対応する取付孔29Daが穿設されている。
【0042】
このアウタパネル12の取付部12Dと前側取付ブラケット29の取付部29Dによってクロスメンバ前部取付部33が形成される。
【0043】
このように形成された前部クロスメンバ11は、アッパパネル12とロアパネル13によって中央部上面にエンジンマウントブラケット14及び下面に連結プレート結合部13A、13Bが設けられて車幅方向に延在する剛性に優れた中空状の前部クロスメンバ本体11Aが形成される。
【0044】
この前部クロスメンバ本体11Aの端部に第1サスペンション支持ブラケット21と第2サスペンション支持ブラケット22とを上側連結ブラケット24及び下側連結ブラケット25によって連結することによって前部クロスメンバ本体11Aから下方にオフセットした第1サスペンション支持ブラケット21の第1サスペンション取付部21Dと下側連結ブラケット25の第2サスペンション取付部25Bによるサスペンションアーム4の基端を支持するサスペンション支持部31が形成される。更に、互いに結合される第1サスペンション支持ブラケット21のフランジ部21Cと前側取付ブラケット29のフランジ部29Cによって第1サスペンション取付部21Dと前側取付ブラケット29の取付部29Cと間に連続する剛性が確保されたリブ35が形成される。このリブ35は第1サスペンション取付部21から取付部29Cへ効率的に荷重伝達する荷重伝達系路となる。
【0045】
この上側連結ブラケット24の断面略U字状に車幅方向に連続するU字状の基部24A上に車幅方向に延在する駆動軸4が貫通する駆動軸配設スペースが確保される。
【0046】
また、内側連結パネル26の基部26Aによって第2サスペンション支持ブラケット22の基部22Aの下部、下部連結ブラケット25の内側結合フランジ26F、第1サスペンション支持ブラケット21の基部21Aの下部が互い連結され、かつクロスメンバ結合部26Bがクロスメンバ本体11Aに結合されて第1サスペンション支持ブラケット21、第2サスペンション支持ブラケット22、上側連結ブラケット24等の変形が拘束されて第1サスペンション支持ブラケット21と第2サスペンション支持ブラケット22が強固に連結される。また、サスペンションアーム4からサスペンション支持部31に入力される軸方向の荷重を確実に受け止めることができる。更に、第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cと後部取付ブラケット23の下側取付部23Cによって形成される第1支持部32と前部クロスメンバ本体10Aとの結合剛性が確保できる。
【0047】
後側クロスメンバ41は、図1乃至図5に示すように前方が開放された断面コ字状で略直線状で延在する中央部から両端に移行するに従って滑らかに上昇して車幅方向に延在する後側パネル42と、後方が開放された断面コ字状で後側クロスメンバ41と嵌合及び結合して車幅方向に延在する前側パネル43とにより断面中空状に形成された後部クロスメンバ本体41Aを備えている。後部クロスメンバ本体41Aの後部にギヤボックスマウントブラケット47を介して車幅方向に延在するステアリングギヤボックス8が取り付けられる。
【0048】
後部クロスメンバ本体41Aの端部に管筒46によって形成された第2支持部45が設けられている。管筒46は、上下方向に貫通する挿通孔46aを有し、前部クロスメンバ11の側部構造体20を形成する第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cと後部取付ブラケット23の下側後部取付部23Cの間に嵌合する軸方向の長さの円筒部材によって形成されている。この互いに嵌合する前部クロスメンバ11の第1支持部32によって第1支持部材32と後部クロスメンバ41の第2支持部45によってフロントサイドメンバ1の後部取付部1Eに共に結合されるクロスメンバ後部取付部36が形成される。
【0049】
後部クロスメンバ本体41Aの下面中央部に連結プレート51が取り付けられている。連結プレート51は、図3に示すように前後方向に延在する一対の側部分51A、51Bの中間部を連結した平面視略H字状乃至X字状であって、各側部分51A、51Bの各後端部に形成された後部取付部51C、51Dが後部クロスメンバ本体41Aの下面に溶接結合される。各側部分51A、51Bの前端部に前部クロスメンバ11の下面に形成された連結プレート結合部13A、13Bに対応して取付孔が穿設された前部取付部51E、51Fが形成されている。この平面視H字状乃至X字状に形成された連結プレート51の前部取付部51E、51Fと後部取付部51C、51Dは図3に仮想線で示すように交差する平面視X字状に配置される。
【0050】
次に、サブクロスメンバ10のクロスメンバ前部取付部33及びクロスメンバ後部取付部36をフロントサイドメンバ1に取り付ける取付部構造について説明する。
【0051】
各フロントサイドフレーム1の前部取付部1Dは、図11に図1のI−I線断面図を示すように、上側面1A、内側面1B、下側面1Cを有しエンジンルームEの側部を形成するホイールエプロン2の内面に上方フランジ1a及び下方フランジ1bが結合された断面略ハット状で前後方向に延在し、上側面1A、内側面1B、下側面1Cの内側に沿って上側面61A、内側面61B、下側面61Cを有する断面コ字状のリンフォース61が配設されている。フロントサイドフレーム1及びリンフォース61の下側面1C、61Cに貫通孔1Ca、61Caが穿設されている。
【0052】
前部クロスメンバ11のアッパパネル12の取付部12Dの取付孔12Daに上方から円筒状のフランジ付きブッシュ62が挿入されその先端が前部取付ブラケット28の取付部28Dに当接して位置決めされている。一方、フロントサイドフレーム1の下側面1Cと上側面1Aとの間、より詳細にはリンフォース61の下側面61Cと上側面61Aとの間に筒状のナット63が配置されている。
【0053】
そして、下方から前部取付ブラケット28の取付部28Dに形成された取付孔28Daから挿入されてブッシュ62の貫通孔62a、フロントサイドフレーム1及びリンフォース61の貫通孔1Ca、61Caを貫通してナット63に螺合する取付ボルト65によって前部クロスメンバ11がフロントサイドフレーム1の前部取付部1Dに締結される。
【0054】
このようにしてフロントサイドフレーム1の前部取付部1Dに取り付けられた前部取付部33は、フロントサイドフレーム1の下面1Cと前側取付ブラケット29の取付部29Dの間に介在する円筒状のブッシュ62を介して前部取付ブラケット29がフロントサイドフレーム1に強固に結合される。また、リンフォース61の下側面61Cと上側面61Aとの間に筒状のナット63が掛け渡されるように配置されて、フロントサイドフレーム1の前部取付部1Dの変形が拘束されてフロントサイドフレーム1と前部取付部33の結合剛性が確保できる。
【0055】
フロントサイドフレーム1の後部取付部1Eは、図12に図1のII−II線断面図を示すように、フロントサイドフレーム1の下側面1Cに貫通孔67a及び68aが形成された第1ブラケット67及び第2ブラケット68からなるクロスメンバ支持ブラケット66が設けられている。第1ブラケット67の上面に、その貫通孔67aに対応してナット69が配設されている。
【0056】
一方、前部クロスメンバ11の第1支持部32を形成する第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cと後部取付ブラケット23の下側取付部23Cとの間に、後部クロスメンバ41の第2支持部45を形成する管筒46が嵌合して配置される。
【0057】
そして、下方から下側取付部23Cに穿設された取付孔23Caから挿入され、管筒46の挿通孔46a、上側取付部22Cに穿設された取付孔22Ca、上側連結ブラケット24の取付部23Cに穿設された取り付け孔23Ca及び第1ブラケット67の貫通孔67aを貫通してナット69に螺合する締結具である取付ボルト70によって前部クロスメンバ11の第1支持部32及び後部クロスメンバ41の第2支持部34が共にフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに締結される。
【0058】
このようにしてフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに取り付けられたクロスメンバ後部取付部36は、後部取付ブラケット23の下側取付部23Cに穿設された取付孔23Ca、管筒46の挿通孔46a、第2サスペンション支持ブラケット22の上側取付部22Cに穿設された取付孔22Ca、上側連結ブラケット24の上側取付部23Cに穿設された取付孔23Ca、及び第1ブラケット67の貫通孔67aを貫通する取付ボルト70及びナット69により共締めすることから、第1支持部32及び第2支持部45の変形が拘束されて前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41が互いに強固に結合されると共にクロスメンバ支持ブラケット66を介してフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに締結される。
【0059】
更に、後部クロスメンバ41の下面に後端取付部51C、51Dが結合された連結プレート51の前部取付部51E、51Fを前部クロスメンバ10の下面に形成された連結プレート結合部13A、13Bに重合する。そして、下方から連結プレート51の前部取付部51E、51Fに穿設された取付孔に挿入して連結結合部13A、13Bに設けられたナットに螺合する取付ボルト71によって前部クロスメンバ10の下面に連結プレート51の前部取付部51E、51Fを結合する。
【0060】
これにより、車幅方向に延在して左右のフロントサイドフレーム1に両端が支持された前部クロスメンバ10及び後部クロスメンバ41を備え、この前部クロスメンバ10と後部クロスメンバ41が連結プレート51によって連結されたフロントサスペンションクロスメンバ10が形成される。
【0061】
前部クロスメンバ本体11Aの中央部に設けられた一対のエンジンマウント14A、14Bを介してエンジン6が支持されてパワーユニット5が搭載される。また、第1サスペンション支持ブラケット21の第1サスペンション取付部21D及び下側連結ブラケット25の第2サスペンション取付部25Bによって構成されたサスペンション支持部31にサスペンションアーム3の基端が取り付けられる。このサスペンションアーム3の取り付けは、サスペンションアーム3の基端に設けられた弾性ブッシュを第1サスペンション取付部21Dと第2サスペンション取付部25Bの間にセットし、第1サスペンション取付部21Dの取付孔21Daから挿入して弾性ブッシュを貫通して第2サスペンション取付部25Bの取付孔25Baから突出する取付ボルトに、第2サスペンション支持ブラケット22のサービス孔22Aaから挿入する締付工具によってナットを螺合することによって取り付けられる。
【0062】
同様に、スタビライザ9が前部クロスメンバ11の前部にブラケット28を介して取り付けられる。更にステアリングギヤボックス8がギヤボックスマウントブラケット47を介して後部クロスメンバ41の後部に車幅方向に延在して取り付けられる。これらスタビライザ9及びステアリングギヤボックス8は、サスペンションクロスメンバ10の前後方向の寸法が抑制されて比較的作業スペースが容易に確保できる前部クロスメンバ11の前側及び後部クロスメンバ41の後側にブラケット28やギヤボックスマウントブラケット47を介して取り付けられることから、脱着作業性に優れ交換や補修等のメンテナンスが容易に行える。また、仕様の異なるスタビライザ9及びステアリングギヤボックス8と交換することができる。
【0063】
このように構成されたサスペンションクロスメンバ10は、前側クロスメンバ11の前部取付部33が、フロントサイドフレーム1の前部取付部1Dにフロントサイドフレーム1の下面1Cと前側取付ブラケット29の取付部29Dの間に介在する円筒状のブッシュ62を介して取付ボルト65及びナット63によって強固に締結され、前側クロスメンバ11の第1支持部32を形成する上側取付部22Cと下側取付部23Cとの間に後側クロスメンバ41の第2支持部45を形成する剛性が確保された管筒46に嵌合して取付ボルト70及びナット76によってフロントフレーム1の後部取付部1Eに設けられたクロスメンバ支持ブレケット66に締結することから、第1支持部32と第2支持部45の結合剛性及びこれら第1支持部32及び第2支持部45とフロントサイドメンバ1との結合剛性が確保でき、更に前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41とが連結プレート51を介して連結されてサスペンションクロスメンバ10の剛性及びサスペンションクロスメンバ10とフロントサイドフレーム1との結合剛性が確保される。
【0064】
しかも、後部クロスメンバ41の後方にステアリングギヤボックス8を配設することにより前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41を近接配置されてサスペンションクロスメンバ10の前後方向の寸法を抑制することができサスペンションクロスメンバ10の小型化及び軽量化が得られる。
【0065】
また、前部クロスメンバ11と後部クロスメンバ41の下面を連結する連結プレート51が、サスペンションクロスメンバ10全体の振動を抑制すると共に、パワーユニット5や取付機器、特に変速機7を飛散する小石等から保護する保護カバーとして機能する。
【0066】
また、走行等に伴うサスペンションアーム3から車体側部体20のサスペンション支持部31に主にサスペンションアーム3の延在方向、即ち外方から内方に移行する従って上昇するように傾斜した車幅方向の外力が入力されるが、その外力はサスペンション支持部31を形成する第1サスペンション支持ブラケット21の第1サスペンション取付部21D及び下側連結ブラケット25の第2サスペンション取付部25Bに分散して入力され、内側連結パネル26、下部連結ブラケット25、上側連結ブラケット24等によって変形が拘束された第1サスペンション支持ブラケット21及び第2サスペンション支持ブラケット23等により構成されたブラケット構造体20を介して前側クロスメンバ11及び後側クロスメンバ41に分散されて左右のフロントサイドフレーム1により確実に受け止められる。
【0067】
具体的には、第1サスペンション取付部21Dに入力されたサスペンションアーム3からの外力は、主に第1サスペンション支持ブラケット21、第1サスペンション支持ブラケット21に結合された前側取付ブラケット29を介してアッパパネル12及び前部クロスメンバ取付部33に伝達され、前部クロスメンバ取付部33からフロントサイドフレーム1の前部取付部1Dに分散伝達されて効率的にフロントサイドフレーム1によって受け止められる。また、アッパパネル12から前部クロスメンバ11及び前部クロスメンバ11に連結プレート51を経由して後部クロスメンバ41に伝達されてサスペンションクロスメンバ10を介して左右のフロントサイドフレーム1の広範囲に分散伝達される。
【0068】
特に、下端部に第1サスペンション取付部21Dが形成された第1サスペンション支持ブラケット21のフランジ部21Cと前側取付ブラケット29のフランジ部29Cとの結合によって第1サスペンション取付部21Dと取付部29Dとの間に連続形成されたリブ35を荷重伝達系路として第1サスペンション取付部21に入力された荷重を直接的に前部取付部33に伝達されて効率的にフロントサイドフレーム1によって受け止められる。
【0069】
一方、第2サスペンション取付部25Bに入力されたサスペンションアーム3からの入力荷重は、主に第2サスペンション取付部25Bが設けられた第2サスペンション支持ブラケット22を介して第2サスペンション支持ブラケット22の上部に形成された第1支持部32及び第2支持部45を介して後部取付部36からフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに伝達されてフロントサイドフレーム1によって受け止められると共に、互いに結合された第1支持部32及び第2支持部45及び連結プレート51を介して前部クロスメンバ11及び後部クロスメンバ41に分散伝達されて左右のフロントサイドフレーム1の広範囲に分散されて受け止められる。
【0070】
一方、前面衝突等により車体前方から外力、即ち衝撃荷重がパワーユニット5に入力されたときには、その外力がパワーユニット5を支持するエンジンマウントブラケット14A、14Bから前部クロスメンバ11に伝達され、前部クロスメンバ11の両端の各前部取付部33から左右のフロントサイドフレーム1に分散伝達すると共に、連結プレート51を介して後部クロスメンバ41にも伝達されて各クロスメンバ後部取付部36からそれぞれ左右のフロントサイドフレーム1に分散伝達されてパワーユニット5の後退を効率よく受け止めることができる。特に、連結プレート51を平面視H字状乃至X字状に形成し前部クロスメンバ11に連結する前部取付部51E、51Fと後部クロスメンバ41に連結する後部取付部51C、51Dを図3に仮想線で示すように交差するX字状に配置することにより、パワーユニット5に外力P2が前方からオフセットして入力された際にも前部クロスメンバ11から後部クロスメンバ41の広範囲に効率的に分散して伝達することができる。
【0071】
次に、整備及び点検等におけるパワーユニット5の変速機7を脱着に作業について説明する。
【0072】
変速機7の取り外し作業は、連結プレート51の前部取付部51E、51Fを前部クロスメンバ本体11Aに締結している取付ボルト71を取り外して連結プレート51の前部取付部51E、51Fから前部クロスメンバ11の連結プレート結合部13A、13Bを分離させる。
【0073】
また、前部クロスメンバ11の第1支持部32及び後部クロスメンバ41の第2支持部45をフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに設けられたクロスメンバ支持ブラケット66に共に締結している取付ボルト70を取り外してフロントサイドブレーム1と第1支持部32と第2支持部45の締結を解除する。そして、後部クロスメンバ41の端部に設けられた第2支持部45の管筒46を第1支持部32の上側取付部22Cと下側取付部23Cとの間から抜き出して後部クロスメンバ41を取り外す。この後部クロスメンバ41を取り外すことにより前部クロスメンバ11の後側に充分な作業スペースを確保する。
【0074】
そして、エンジン6がエンジンマウントブラケット14A、14Bを介して前部クロスメンバ11に支持された状態で、エンジン6と変速機7を結合している図示しない取付ボルト等を取り外してエンジン6から変速機7を分離する。このエンジン6から分離した変速機7を後部クロスメンバ41が取り外されて作業スペースが確保された前部クロスメンバ11の後側からエンジンルームEの下方に搬出する。
【0075】
一方、変速機7の装着は、後部クロスメンバ11が取り外されて前部クロスメンバ41の後方に確保された作業スペースから変速機7をエンジンルームE内に搬入し、前部クロスメンバ11に支持されたエンジン11に変速機7を取り付けて取付ボルトにより締結する。
【0076】
そして、前部クロスメンバ11の第1支持部32を形成する上側取付部22Cと下側取付部23Cとの間に、後部クロスメンバ41の第2支持部45を形成する管筒46を差し込み嵌合する。更に、下側取付部23Cに穿設された取付孔23Caから取付ボルト70を挿入して、管筒46の挿通孔46a、上側取付部22Cに穿設された取付孔22Ca、上側連結ブラケット24の取付部23Cに穿設された取付孔23Ca、第1ブラケット67の貫通孔67aを貫通してナット69に締結して前部クロスメンバ11の第1支持部32及び後部クロスメンバ41の第2支持部34が共にフロントサイドフレーム1の後部クロスメンバ取付部1Eに取り付ける。
【0077】
しかる後、連結プレート51の前部取付部51E、51Fを前部クロスメンバ11の連結プレート結合部13A、13Bに取付ボルト71により締結する。
【0078】
この変速機7の脱着は、後部クロスメンバ11が取り外して前部クロスメンバ41の後方に作業スペースを確保した状態で前部クロスメンバ11に支持されたエンジン6から変速機7を脱着し、かつ後部クロスメンバ41が取り外されて作業スペースが確保された前部クロスメンバ11の後方より変速機7をエンジンルームEから搬出及び搬入することから、容易に変速機7の脱着ができ、作業者の負担が大幅に軽減される。
【0079】
また、後部クロスメンバ41を取り外して前部クロスメンバ11の後方に作業スペースを確保してステアリングギヤボックス8や他の取付機器の交換及び整備等をすることによりその作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施の形態では後部クロスメンバ41を後側パネル42と前部パネル43により中空状に形成したが、パイプ等によって形成することもできる。また、第1支持部32及び第2支持部45をクロスメンバ支持ブラケット66を介在してフロントサイドフレーム1の後部取付部1Eに結合したが、クロスメンバ支持ブラケット66を介在することなく、直接的に後面取付部1Eに結合することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係るサスペンションクロスメンバを備えた車体前部の概略平面図である。
【図2】サスペンションクロスメンバの上方斜め後方からの斜視図である。
【図3】サスペンションクロスメンバの下方斜め前方からの斜視図である。
【図4】図2のA部拡大図である。
【図5】前部クロスメンバと後部クロスメンバとを分離した状態のサスペンションクロスメンバの斜視図である。
【図6】図4のB矢視図である。
【図7】図5のC矢視図である。
【図8】図5のD矢視図である。
【図9】図5のE矢視図である。
【図10】分解斜視図である。
【図11】図1のI−I線断面図である。
【図12】図1のII−II線断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 フロントサイドフレーム
1D 前部取付部
1E 後部取付部
3 サスペンションアーム(サスペンション装置)
5 パワーユニット
6 エンジン
7 変速機
8 ステアリングギヤボックス
10 サスペンションクロスメンバ
11 前部クロスメンバ
11A 前部クロスメンバ本体
12 アッパパネル
12D 取付部
13 ロアパネル
13A、13B 連結プレート結合部
20 ブラケット構造体
21 第1サスペンション支持ブラケット(サスペンション支持ブラケット)
21C フランジ部
21D 第1サスペンション取付部
22 第2サスペンション支持ブラケット
22C 上側取付部
23 後部取付ブラケット
23C 下側取付部
24 上側連結ブラケット
25 下側連結ブラケット
25B 第2サスペンション取付部
26 内側連結パネル
29 前側取付ブラケット
29C フランジ部
29D 取付部
31 サスペンション支持部
32 第1支持部
33 前部取付部
35 リブ
36 クロスメンバ後部取付部
41 後部クロスメンバ
41A 後部クロスメンバ本体
45 第2支持部
46 管筒
47 ギヤボックスマウントブラケット
51 連結プレート
51A、51B 側部分
51C、51D 後部取付部
51E、51F 前部取付部
65 取付ボルト
66 クロスメンバ支持ブラケット
67 第1ブラケット
70 取付ボルト(締結具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延在して各端部がそれぞれ左右のフロントサイドフレームに支持されてパワーユニット及びサスペンション装置を支持するサスペンションクロスメンバ構造において、
各端部に上記左右のフロントサイドフレームに取付支持される前部取付部及び第1支持部を備えた前部クロスメンバと、
該前部クロスメンバより車体後方で各端部にそれぞれ上記第1支持部に分離可能に締結する第2支持部を備えた後部クロスメンバと、
を備えたことを特徴とする自動車のサスペンションクロスメンバ構造。
【請求項2】
上記第1支持部は、断面コ字状でそれぞれ上下方向に貫通する取付孔が穿設されて対向する上側取付部及び下側取付部を備え、
上記第2支持部は、上記対向する第1支持部の上側取付部と下側取付部との間に嵌合すると共に上下方向に貫通する挿通孔が穿設された管筒を備え、
上記上側取付部及び下側取付部の各取付孔及び管筒の挿通孔を貫通して上記第1支持部及び第2支持部を上記左右のフロントサイドフレームに共締めする締結具を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造。
【請求項3】
上端が前部クロスメンバ本体に結合され下端に第1サスペンション取付部が設けられた第1サスペンション支持ブラケットと、
該第1サスペンション支持ブラケットと対向して上下方向に延在し下部に第1サスペンション取付部と協働してサスペンション装置のサスペンションアームを支持する第2サスペンション取付部が設けられ上部に上記上側取付部が形成された第2サスペンション支持ブラケットと、
該第2サスペンション支持ブラケットに結合されて上記上側取付部と対向する上記下側取付部が形成された後部取付ブラケットと、
上記第1サスペンション支持ブラケットの上部と第2サスペンション支持ブラケットの上部を連結する上側連結ブラケットと、
上記第1サスペンション支持ブラケットの下部と第2サスペンション支持ブラケットの下部を連結する下側連結ブラケットと、
上記第1サスペンション支持ブラケットの車幅方向内側部分と第2サスペンション支持ブラケットの車幅方向内側部分と前側クロスメンバ本体とを連結する内側連結パネルと
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造。
【請求項4】
上記前部クロスメンバ本体と後部クロスメンバ本体を分離可能に連結する連結プレートを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造。
【請求項5】
上記連結プレートは、
後端部が後部クロスメンバ本体に溶接結合し、上記各側部分の前端部が前部クロスメンバ本体に取り外し可能にボルト結合したことを特徴とする請求項4に記載の自動車のサスペンションクロスメンバ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−168791(P2008−168791A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4031(P2007−4031)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】