説明

自動車用の表示装置及び自動車用の表示装置の制御方法

本発明は、自動車用の表示装置及び自動車用の表示装置を作動させる方法に関し、特に、運転のために、燃料に加えて添加剤を必要とする自動車であり、この添加剤は消費される燃料及び他の運転パラメータに応じて消費される。本発明による表示装置を用いて、全燃料タンクの残量に基づいて、添加剤の残量レベルが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の表示装置及び自動車用の表示装置を作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2005年10月以降、トラック及びバスなどの自動車は、窒素酸化物及び微粒子エミッションについての新しい規制値があり、欧州連合によって制定された、新しいEuro4排気ガス規制に適合しなければならない。これらの規制に適合するには、いわゆる選択還元触媒(SCR)の使用が好ましい。この排気ガスの後処理の方法において、汚染物質は、排気系にある触媒コンバーターに噴射される尿素水溶液によって無害化される。国際的に広く知られ、製品名AdBlueの名で市場に導入されている、SCRプロセスに必要な動作物質は、車両に設けられた別個のタンクに入れて運ばれる。しかし、AdBlueを販売する給油スタンドの広範囲な普及は、やっと緒についたばかりである。
【0003】
SCR技術を使用するために、自動車は改造されるか又は追加のタンクを備えて組立てられる。自動車の種類及び系列によって、ディーゼル燃料及びAdBlue用のタンク容積の比率が、非常に異なることがある。エンジン形式の違い、及び、車両の運転方法の違いによって、AdBlueの消費量は、ディーゼル燃料の消費量の2パーセントから6パーセントの間で変動する。しかしながら、1つの全AdBlueタンクが少なくとも1つの全ディーゼル燃料タンクの範囲に常に十分であるように、添加剤AdBlueのタンク容積が少なくとも選択されるであろうという良識的な想定に基づくと、異なるディーゼル燃料タンク容積と恐らく異なるAdBlueタンク容積との組合せから、AdBlueとディーゼルの消費割合のアンバランスが生じ得る。たとえば、AdBlueの6%がディーゼル消費に基づいて消費されることに基づくと、380リットルの容量を有するディーゼル燃料タンクと25リットルの容量を有するAdBlueタンクとの組合せからは、1.1というディーゼル燃料の貯蔵に対するAdBlueの貯蔵の割合が生じる。即ち、ディーゼル燃料タンク1.1杯分の走行には、AdBlueタンク満タンで十分である。しかし、同じ種類の車両に、125リットルの容量を有するディーゼルタンクと45リットルの容量を有するAdBlueタンクとが装備されることもあり、この場合、AdBlueの満タンに対して、ディーゼル燃料タンクの6回分という比率が生じる。90又は145リットルのAdBlueタンク容積と組み合わせた、400〜1400リットルのディーゼル燃料タンク容積を有する、より大型の車両の場合には、そのディーゼル燃料タンクに対して、AdBlueが1〜6倍の間で利用比率が変動する。AdBlueのタンク比率を選択するためには、運転経路及びAdBlueを販売する給油スタンドの利用可能性について考えなければならない。
【0004】
AdBlueとディーゼルとのタンク比率が車両によってかなり異なるという背景を考慮すると、タンク毎の含有量を単に示す先行技術のように、AdBlueタンク含有量を示す従来のレベル指示器では、通常、頻繁な車両変更に対処しなければならない職業運転手にとっては不適当である。たとえば、AdBlueタンク用の残量警告表示が、タンク容積の残り14%で点灯する場合、この充填レベルは、好適な条件においては、ディーゼル燃料のフルタンク分の走行にまだ十分であるかもしれない。運転者がディーゼルタンクとAdBlueタンクとの容積の比率を認識していない場合、AdBlueの残量レベルの表示は、その運転者にとっては意味がない。たとえこの比率を認識している場合でも、運転者は、AdBlue用のレベル指示器の重要性を理解できるためには、ディーゼル燃料とAdBlueとの消費の比率をさらに認識する必要がある。ディーゼル燃料の充填レベルとAdBlue充填レベルとの間の、この種の消費関係は、同じタンク比率及び消費関係を有する車両を長期に渡って使用することによってのみ熟知し、学習され得るものであろう。このような状況は、職業運転手には通常起きないものである。
【0005】
したがって、AdBlueの貯蔵の範囲を予想するための表示は、職業運転手にとって、この添加剤のために別に給油停止することを回避できるような形であることが好ましい。そして、初期においてはAdBlueを販売する給油スタンドが広範囲に渡って普及していないので、運転者にとっては、その表示により、あらかじめAdBlueを積み込むための給油停止を計画できることも重要なことである。
【0006】
特許文献1では、2つの値を光学的に表示する自動車用装置について記述している。2つの値の1つが、燃料の貯蔵に依存する変数を示し、他の値が、燃料消費に依存する変数を示している。2つの値を互いに比較して、差分を求めることにより、運転者は、燃料の貯蔵と示されている現在の燃料消費との間の関係から、燃料の貯蔵の範囲を予想し得る。この表示により、燃料の残りの貯蔵のみがわかっている場合より、特に車両の運転方法に応じて、燃料の貯蔵の範囲の、より正確な予想をすることができる。しかし、この形の表示は、組み合わせられた2つの動作物質の範囲を予想するという課題を解決するのには不適当である。たとえ本文献における添加剤の消費が、燃料の消費に依存する変数として、燃料の貯蔵に対する減数として適用される場合にも、このことは、添加剤の現存する貯蔵が別の全燃料タンクに十分であるかどうかの説明とはならない。
【0007】
特許文献2では、自動車内で情報を光学的に表示する方法及び装置について記述している。機能的に関係する2つの変数が比較されるが、この比較は、同じ場所にある1つの表示上で変数を連続的に示すことによって行われる。機能的な関係とは、タンク含有量/範囲、範囲/距離、現在の消費/平均消費、総運転時間/走行した運転時間などの、対の値である。即ち、この比較は、同じ物理ユニットに基づき、次いで提示された差分を示すか、又はタンク含有量/範囲の対の値が提示される場合に、運転者にとっては余り意味のない、1つの物理ユニットが、異なる、より意味のあるユニットに変換されるかのいずれかである。この手法も同様に、燃料の貯蔵/添加剤の貯蔵の間の関係を意味のある形で示すという課題を解決し得ない。何故なら、車両の種類によって異なる、燃料の貯蔵と添加剤の貯蔵との間の比率は、これまで記述してきた2つの値の間の直接的な関係を作るための均一な基準基盤とはなり得ないからである。
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第3936373A1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19959597C1号明細書 (対応する日本特許出願公開第2001−236054号明細書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、すべての給油スタンドで利用可能なわけではない添加剤の補充ができ、かつ添加剤だけを補充するための給油停止を回避できるよう計画すべき車両の操作に必要な、自動車用の表示装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的は、独立請求項1及び9の特徴によって達成される。好ましい形態が、従属請求項に記載されている。
【0011】
表示装置を作動させるための本発明による方法に従って作動する、電子的に作動可能な表示要素により、添加剤の残量が全燃料タンクの量に対応させて示されるので、運転者は添加剤の現貯蔵量が全燃料タンクに対して十分であるかどうかを一目で判断できる。つまり、燃料が少なくなり始めた時に、全燃料タンクに十分な添加剤の範囲(以下、略して、全範囲と呼ぶ)が表示された場合、運転者は、次の給油スタンドを添加剤を売っている給油スタンドから選択する必要がない。燃料の貯蔵が下がった時に、添加剤の全範囲より少ない範囲が随時表示された場合、このことは、添加剤だけのために後に給油停止を行わなければならなくなることを回避するために、次の給油停止で添加剤も補充すべきであることを、運転者に示している。
【0012】
この場合の用語「範囲」とは、キロメートル情報と限定して理解すべきではない。たとえば、本発明による表示装置の意図した目的で、燃料の貯蔵の範囲の表示として、タンクの含有量を表示することも適切である。何故なら、運転者は、通常、十分な精度を有するこの情報を、到着予定である次の給油停止の範囲として解釈し得るからである。燃料の貯蔵又はキロメートル情報の表示は、特にキロメートル情報が確定変数ではないので、給油スタンドを見つけるまで、あとどのぐらいの余裕があるかを予想するのに匹敵する価値を有するが、車両の運転方法及び/又は地形によっては補正しなければならない。したがって、以下の文中においては、燃料の貯蔵の範囲の表示は、燃料の貯蔵の直接表示をも含むものと理解されたい。しかし、このような、範囲の予想に関して貯蔵と範囲とが匹敵することは、燃料にのみ適用されることである。導入部で既に提示した理由により、添加剤の貯蔵の単純な表示は範囲とは解釈され得ず、したがって、本発明に従って、添加剤の貯蔵の範囲は、燃料の貯蔵に(したがってまた燃料範囲にも)基づいて解釈され得る変数に「変換される」。この変数は、どのぐらいの燃料に添加剤の現在の貯蔵が十分であるか、又はどのような燃料範囲に添加剤範囲が十分であるかを表している。
【0013】
本発明による表示装置が、添加剤の全範囲がまだ提示されている時に全燃料タンクに給油した後、その後の運転中の任意の時点に、全範囲より低い添加剤の貯蔵の範囲の値を表示した場合、この値は、燃料の貯蔵の範囲の値より急速に減少し得ない。何故なら、本発明に従って添加剤の範囲を表示するための基準変数は、全燃料タンクであり、また燃料の給油時の添加剤の範囲は、全燃料タンクに十分であったからである。
【0014】
燃料の貯蔵と添加剤の貯蔵との比率は、添加剤の完全な全貯蔵が全燃料タンクの消費以上に十分であるよう構成されるという適切な想定に基づき、運転者が、給油スタンドを探す時に表示された値を考慮する場合、添加剤の貯蔵が燃料の貯蔵より先に無くなり始めるような状況は生じ得ない。したがって、本発明による表示装置及び表示装置を作動させる方法について記述した特性により、添加剤を補充する必要だけのための、給油停止を回避することができる。何故なら、車両に燃料を給油する必要に迫られている場合には、本発明に従って、最大燃料容積に対する添加剤の貯蔵について示された範囲関係に基づいて、添加剤を補充することを回避できるかどうかを、直ぐに読み取り得るからである。
【0015】
添加剤の残量が燃料の現在の残量の範囲にもはや十分でないような状況は、本発明による表示装置については、添加剤範囲が下がっているという表示の後の給油停止中に添加剤が補充されなかった場合にのみ起こり得る。減少しつつある添加剤の残量が、残量を示す絶対変数ではなく、全燃料タンクに基づく範囲で表示されるので、運転者は、この場合、燃料タンクが空になり始めた場合と同じように、この表示に基づいて好適な給油スタンドに到達できるよう計画し得る。たとえば、燃料タンクの半分に対応する添加剤の残量の範囲が表示された場合、運転者は、添加剤を売っている給油スタンドを捜している時に、全燃料タンクの半分しかないかのように行動しなければならないことを認識する。したがって、添加剤が次に補充されるまで、運転者は、添加剤の残量の範囲の表示にのみ集中すれば良く、この表示は、本発明に従って全燃料タンクの範囲を参照する方法に基づいて、燃料の残量又は燃料範囲の表示と同じように解釈され得る。
【0016】
燃料範囲に対する添加剤範囲の関係は、AR/KTRに従って、添加剤の貯蔵の絶対範囲ARと全燃料タンクの範囲KTRとの比率ARTを計算することによって計算されることが好ましく、この範囲ARは、添加剤の現在の貯蔵AVと添加剤の現在の消費ACとの商から生じ、全燃料タンクの範囲KRTは、燃料の最大貯蔵KTVと現在の燃料消費KCとの商から生じる。無次元比率値ARTは、添加剤の現在の貯蔵が、どのような燃料レベルに(又はどのような燃料範囲に)まだ十分であるかを示している。燃料及び添加剤用の貯蔵タンクの互いに対する比率によって、値ARTは、1より大きいこともあれば、1の倍数であることもある。1以上の値の場合は、添加剤の範囲を示すため、1と示されることが好ましい。これは、知られているパラメータである「燃料の残量」又は「燃料範囲」に運転者の注意を集中させためである。運転者にとって本当に重要な要因は、次の給油停止で添加剤を補充する必要があるかどうかであり、全燃料タンク分の量を超える添加剤残量を示すことは運転者の注意を不必要にそらせることとなる。
【0017】
添加剤範囲と燃料範囲との間の、より簡単ではあるが余り正確でない関係も、たとえば、燃料の最大貯蔵に対する添加剤の最大貯蔵の範囲の比率であるAV/KTVを計算することによって、現在の消費とは関係なく示されるであろう。
【0018】
添加剤の貯蔵の残量範囲を示すための統合表示要素がある場合、本発明による表示装置の有用性が増加する。これは、添加剤の残量範囲及び燃料の貯蔵の残量範囲が下がっている場合に知らせるよう作動することが好ましい。燃料の残量範囲は、通常、ある燃料レベルに到達する又はある燃料レベル以下に下がることによって定義され、燃料計の表示要素又は他の警告によって知らされる。上述した方法により添加剤の貯蔵の残量範囲を知らせるということは、添加剤の範囲表示が燃料の範囲表示と同様に作用するだけでなく、添加剤の残量表示も燃料残量表示と同様に作用することを意味する。したがって、添加剤が燃料の貯蔵より先に少なくなり始めた場合、運転者は、燃料表示又は燃料範囲表示に基づいて、慣れ親しんだ燃料補給と同じように次の添加剤の補給を計画し得る。
【0019】
電子的に作動可能な表示要素は、指針及び/又はLED表示要素によって実現できる。燃料の量がタンクにしめる割合で表示される場合、認識が容易さで、標準的なアナログ式の指針表示であることが好ましい。この場合、表示される指針が物理的な針なのか、指針が画面上に電子的に示されるかどうかは、本願ではどちらでも良い。燃料情報は走行可能なキロメートル表示の形でも提供でき、この情報は、アナログの形で、たとえば棒グラフにより所定の目盛りに沿って、又はディジタル値として示され得る。これも同様に、ディスプレイ装置により、又はディスプレイ装置よりクリアなコントラストを持つLED表示要素を用いて実施され得る。
【0020】
本発明では、好ましくは、燃料タンク量に基づいて燃料の残量の範囲を示す第1の表示要素と、添加剤の残量の範囲を示す第2の表示要素があり、両方の表示要素が共に1つの目盛りを基準として表示される。目盛りは、広く使われているものと同様に、燃料の量がタンクにしめる割合を示す分割された目盛りである。既に何度も述べたように、燃料計の値も、大多数の燃料計目盛りはリットル表示に基づかないように、タンクに示す割合をFULL、3/4、1/2、1/4、Emptyと示すことにより認識しうる。この単位次元のない表示により、タンク量を示すレベル針が、FULLレベル、3/4レベル、1/2レベル、1/4レベル、Emptyレベルを表示しているのを認識できる。しかし、キロメートル情報を有する目盛りも、走行可能距離を示すのに好適である。
【0021】
第1の表示要素は燃料の貯蔵レベルを表示するため、走行可能範囲を予想することができる。光学的に表示される第2の表示要素により、基準変数「燃料タンク残量」又は「燃料タンク満タン」に対する添加剤の残量の比率が明らかとなる。さらに、燃料残量の表示との組合せにより、関係する2つの残量の比率をすぐに認識することができる。
【0022】
2つの値が共通の目盛りに沿って示されるために、運転者は、運転距離に対する添加剤の貯蔵レベルに関する情報や、どの物質が十分であるか正確な情報を得ることができる。本発明によると、たとえば、2つの動作物質である燃料と添加剤の残量の表示要素が、これらの間を識別することができる専用の指針によって共通の目盛りに基づいて別々に表示される場合、1つの指針が他の指針より高い値を示す場合、どちらの動作物質がより長く持ちこたえるかを瞬時に認識できる。
【0023】
好ましい実施形態によれば、第1の表示要素が指針によって実現され、第2の表示要素が目盛り全体に沿って配置された複数のLED表示要素によって具現化されるとよい。この場合、十分な数のLED表示要素を、目盛りの基点から開始して連続して点灯するようにし、作動点灯したLED表示要素が燃料タンク量に基づいた添加剤の残量レベルを表示する。2つの動作物質の範囲が、異なる形の表示要素、つまり燃料用の指針、添加剤用のLED表示要素を用いて同時に表示されることにより、たとえば別々に設置した残量計の場合に起こり得るような2つの残量の相対関係の認識ミスが起きるはずがない。第1の表示要素として指針を使用することは、燃料計の表示として広く使われている形式であるので、運転者に何ら特別な経験を要求しない。目盛りに沿って点灯するLED表示要素により添加剤範囲を示すことにより、運転者は、表示された両方の変数及び互いに対するそれらの関係を、混乱する危険性もなく、一目で理解することができる。
【0024】
この場合、目盛りは円弧の形で構成され、目盛り全体に沿って配置されたLED表示要素は、これに対応してカーブした形であることが好ましい。円弧の形の目盛りは、燃料計の標準的な形式であり、この種の表示計の要求仕様を満たすものである。これにより、視覚的配向が容易となる。湾曲した目盛りにLED表示要素の形状及び配置を適応させることにより、視覚的に分かりやすい、要求仕様に従った形式が実現できる。
【0025】
4つのLED表示要素を備えた第2の表示要素の実施形態が、適用可能距離を予想するための十分な精度を有する。
− 目盛りの基点から配置されたLED表示要素の第1部分は、ART≧1/4の場合に点灯する、
− それに隣接するLED表示要素の第2部分は、ART≧1/2の場合に点灯する、
− それに隣接するLED表示要素の第3部分は、ART≧3/4の場合に点灯する、
− それに隣接するLED表示要素の第4部分は、ART=1の場合に点灯する、
という条件に従って作動する4つのLED表示要素により、運転者は、本発明による表示装置から、添加剤範囲に関する以下の5つのレベルを読み取ることができる。
− 4つのすべてのLED表示要素が点灯:添加剤の残量は、全燃料タンクの走行分に十分である。
− 3つのLED表示要素が点灯:添加剤の残量は、少なくとも燃料タンク四分の三の走行分には十分であるが、全燃料タンクの走行分には十分でない、
− 2つのLED表示要素が点灯:添加剤の残量は、少なくとも燃料タンクの半分の走行分には十分であるが、燃料タンク四分の三の走行分には十分でない、
− 1つのLED表示要素が点灯:添加剤の残量は、少なくとも燃料タンクの四分の一の走行分には十分であるが、燃料タンク半分の走行分には十分でない、
− LED表示要素が点灯しない:添加剤の残量は、燃料タンクの四分の一の走行分にも満たない。
【0026】
本発明に従って燃料計の表示と同じ方法で解釈され得る、添加剤の範囲の、これらの5つの(又は添加剤のリザーブ残量の警告表示も含めた6つの)状態表示は、一般に、いつ給油スタンドを探すかという問題を評価するのには十分である。さらに、ある状況における添加剤の残量表示を、より細かく分割して表示することにより、燃料消費と添加剤消費との間に比較的複雑な関係がある場合であっても、精度良く表示できる。
【0027】
通常、エンジンスピードを含む、多くの要因が、燃料消費に非線形に依存する燃料及添加剤の両方の、範囲計算の一部を形成する。この計算から生じた値は、たとえば車両の運転方法又は地形などの変化する条件に応じて変動する。つまり、燃料消費自体も、これに依存する添加剤の消費も、線形に減少する。範囲を提示する場合の消費の変動についての過度に正確な詳細説明は、運転者を助けるというより、運転者をいらいらさせるものである。5つ又は6つのみの状態が示される場合、変動する要因は十分な程度に補正される。さらに、本発明による表示装置で、第2の表示要素が4つのLED表示要素によって実現される場合、装置の仕様において、過度に複雑なものにはならない。
【0028】
添加剤の範囲を示すLED表示要素は、一般に添加剤を表すのに使用される色に従って着色されることが好ましい。添加剤に一般的な色表示が施される場合、LED表示要素がこの色で構成されていると、LED表示要素がこの色で表された物質に関係することが認識できるので、表示装置の添加剤のために示された値についての理解が高まる。
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明による表示装置の代表的な実施形態を示している。その実施形態は、燃料の残量(貯蔵量)を表示するための半円の目盛り3と、燃料の現在の残量を示す指針1とを備えた燃料計を示している。このように表示される燃料の残量により、通常、運転者は、次の給油停止をいつにするか判断できる。したがって、燃料の残量を表示するための目盛りは、燃料の残量の範囲を視覚的に認識するための目盛りとしても好適である。勿論、キロメートルを示す目盛りを付しても良い。
【0031】
4つのLED表示要素2が、燃料の残量を表示するための目盛り3に沿って配置される。図1a〜図1eは、燃料の残量に対応して識別できる、添加剤の残量の様々な状態を表している。
【0032】
図1aに示されている表示要素の形態は、点灯する4つのLED表示要素2と、目盛り間の任意の箇所を指示できる指針1を備えており、このような表示にある場合、燃料を給油している時に、添加剤が少なくとも燃料タンク満タン分の走行に十分であること、即ちこの給油停止中に添加剤を補充する必要がないことを運転者に知らせることができる。
【0033】
図1b及び図1cに示されている表示要素の形態は、3つの又は2つのLED表示要素が点灯しており、LED要素によって点灯する範囲内に位置づけられた指針を示している。この場合、添加剤の残量が現在の燃料残量分の走行に十分であること、及び燃料を給油するための次の停止中に添加剤も補充すべきであることを示している。
【0034】
図1dに示されている形態は、1つのLED表示要素が点灯しており、指針がLED要素によって点灯する範囲外の位置にあるのを示している。これは、添加剤の残量が現在の燃料残量分の走行にはもはや十分でないことを示し、したがって添加剤を補充するために給油停止を計画する必要があることを示している。
【0035】
図1eに示されている形態は、4つのLED表示要素のいずれも点灯しない状況であり、これは、添加剤の残量が全燃料タンク分の走行の四分の一分にも満たないことを示している。
【0036】
図2は本発明による表示装置の別の実施形態を示すもので、同じ要素1及び2と四分円の形の目盛り3とを備える。

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用に、燃料に加えて、燃料消費及び他の運転パラメータに応じて消費される添加剤も携行する自動車における表示装置において、
全燃料タンク容量に対する前記添加剤の貯蔵レベルを示す電子的に作動可能な表示要素を有する自動車用の表示装置。
【請求項2】
前記燃料の残量レベルに対する添加剤の残量レベルを示す電子的に作動可能な表示要素を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電子的に作動可能な表示要素が、指針及び/又はLED表示要素であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1と第2の表示要素を有し、該双方の表示要素が共通の目盛りを使用し、
前記第1の表示要素が、全燃料タンクの範囲に基づいて前記燃料の残量を表示し、
前記第2の表示要素が、前記添加剤の残量を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の表示要素が、指針(1)によって構成され、
前記第2の表示要素が、前記目盛り(3)全体に沿って配置された複数のLED表示要素(2)によって構成され、十分な数のLED表示要素が、前記目盛りの基点で開始して、連続して点灯するように作動可能であり、点灯した前記LED表示要素が全燃料タンクの残量範囲に対応させて前記添加剤の残量を表示することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記目盛り(3)が、円弧の形で構成され、前記目盛り全体に沿って配置された前記LED表示要素が、これに対応した湾曲した形であることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の表示要素が、4つのLED表示要素(2)によって構成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記LED表示要素(2)が、前記添加剤のための一般的な色表示と同色で表示することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
走行用に、燃料に加えて、燃料消費及び他の運転パラメータに応じて消費される添加剤も携行する自動車の表示装置の表示方法において、該自動車が、全燃料タンクの容量に対する前記添加剤の貯蔵レベルを示す電子的に作動可能な表示要素を備える表示方法。
【請求項10】
全燃料タンクの容量に対する前記添加剤の残量が、
AR/KRTが1より大きい場合、ART=1
さもなければ、ART=AR/KRT
にしたがって、全燃料タンクの容量KTRに対する添加剤の前記貯蔵の範囲ARの比率ARTとして計算されることを特徴とする請求項9に記載の表示方法。
【請求項11】
表示要素が、燃料の前記貯蔵の値KVを示し、前記値ART及びKVが、共通の目盛りに基づいて示されることを特徴とする請求項9あるいは10に記載の表示方法。
【請求項12】
前記値ARTを示すために、4つのLED表示要素(2)が、前記目盛り(3)全体に沿って配置され、前記値KVが、指針によって表示される方法であって、
− ART<1/4の場合、該LED表示要素のいずれも点灯しない、
− ART≧1/4の場合、前記目盛りの基点に配置された前記LED要素の第1部分が点灯するよう作動し、
− ART≧1/2の場合、隣接する前記LED表示要素の第2部分も点灯するよう作動し、
− ART≧3/4の場合、隣接する前記LED表示要素の第3部分も点灯するよう作動し、
− ART=1の場合、隣接する前記LED表示要素の第4部分も点灯するよう作動することを特徴とする請求項11に記載の表示方法。
【請求項13】
前記添加剤のリザーブ残量が、前記燃料のリザーブ残量に対応する量以下である場合、警告表示が起動されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の表示方法。

【公表番号】特表2007−526846(P2007−526846A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518090(P2006−518090)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007182
【国際公開番号】WO2005/002902
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】