説明

自閉症の治療薬

【課題】免疫学的因子の抑制により副作用が少ない自閉症に適した改善薬を提供する。
【解決手段】メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンNおよびハイペンを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することを特徴とする自閉症改善剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自閉症の改善薬とその製法に関し、特に複数の微量な西洋薬を組み合わせた自閉症の治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
自閉症は,社会性や他者とのコミュニケーションを中心とした能力の発達が遅滞する広範囲にわたった症状を示す発達障害である。その症状は知的障害のない者から知的障害の重度の者まで障害の程度が連続することから、自閉症スペクトラム障害と呼ばれることが多い。その症状は、アメリカ精神医学会の発行する『精神障害の診断と統計の手引き』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 以下DSM)の広汎性発達障害に位置づけられている。この広汎性発達障害の基本的特徴は,相互的対人関係技能の質的障害、意思伝達能力の質的障害、常同的な行動・活動・興味の存在が発達水準・精神年齢に比べて明らかに偏っていることである。発症頻度は,以前は1万人あたり4−5人と考えられていたが,次第に増加しており、最近では150人に1人という報告もなされている(非特許文献1)。現在有効な治療法は見つかっていない。
【0003】
病因については、当初は心因説が考えられていた時期もあったが、多くは原因が不明であり,従来から遺伝的な素因の関与が考えられていて,一卵性双生児での高発症率、家族性発症の高リスクが報告されている(非特許文献2)。
【0004】
自閉症は、発達の異常および/または障害の存在、並びに、相互的な社会的関係、コミュニケーション、限局した反復的な行動の3つの領域全てにみられる特徴的な型の機能の異常によって定義される広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders: 相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴付けられる一群の障害)である。
【0005】
自閉症の他に、多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害もしくは行動障害と指摘される場合がある。
【0006】
これに対して、医学界において最近は,化学物質や食事などの環境因子の影響(非特許文献3)や,免疫機能異常の存在を示唆する報告が増えている。バルガスらは,小脳を申心にしてアストロサイトやミクログリアの活性化が著明で,これが組織損傷性のMCP−IやTGF−β1の産生に関与していると報告しており,中枢神経の炎症の存在を示唆している(非特許文献4)・抗体レベル、サイトカイン、細胞因子の異常なども報告されており、また,自己免疫疾患との関連性も指摘されていて,多彩な免疫学的因子の関与が示唆されていている(非特許文献5〜14)。
【0007】
この環境因子については、非特許文献15によれば、「カリフォルニア州における自閉症児の数が1990年以降7〜8倍に増加しているが、このことは軽症例の算入や診断の低年齢化、人口動態だけでは説明できず、環境因子を含めた他の要因を探るべきである」と記載されている。すなわち、従来の遺伝的要因のみに基づく先天的な脳の機能障害説を覆す現象が発生している。環境因子によって、母体内及び後天的に自閉症が発生する可能性を考慮する必要が生じてきた。従って、逆に有害な環境因子を排除し、その環境因子によって生じた自閉症を健康な状態に戻す可能性も十分考えられることとなっている。
【0008】
前記環境因子説以前からも、自閉症を脳機能障害と捉え、薬物の経口投与による脳機能の改善を試みる提案がなされてきている。例えば、特許文献1は、2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタン、その水和物、または薬理学的に許容されるそれらの塩を有効成分とする自閉症治療剤が提案されている。
【0009】
一方、特許文献2では、中国パセリによる自閉症改善薬が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−119858号公報
【特許文献2】特開2006−199662号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】フォンボーン.E(Fombonne E)他著 「エピデミオロジー オブ パーベイシブ デベロップメンタル ディスオーダー(Epidemiology of pervasive developmental disorders)」ペディエイター(Pediatr Res.) 第65巻 第591〜8頁、2009年
【非特許文献2】バイレイ.A(Bailey A)著 「オーティスム アズ ア ストロングリー ジェネティック ディスオーダー エビデンス フロム ア ブリティッシュ ツイン スタディー(Autism as a strongly genetic disorder: evidence from a British twin study)」サイコル メド(Psychol Med)第25巻、第63−77頁 1995年
【非特許文献3】カーチスLT他(Curtis LT et al)著 「ニュートリショナル アンド エンビロンメンタル アプローチーズ トゥ プレベンティング アンド トゥリーティング オウティズム アンド アテンション デフィキット ハイパーアクティビティ ディスオーダー(Nutritional and environmental approaches to preventing and treating autism and attention deficit hyperactivity disorder (ADHD))」a review J Altern Complement Med. 第14巻 第79頁
【非特許文献4】バルガス.DL他(Vargas DL et al)著「ニューログリアル アクティベーション アンド ニューロインフラメーション イン ザ ブレイン オブ ペイシャント ウイズ オーティスム(Neuroglial activation and neuroinflammation in the brain of patients with autism)」アン ニューロル(Ann Neurol)第57巻、第67〜81頁、2005年
【非特許文献5】ツィンマーマン AW他(Zimmerman et al)「セラブロスピナル フリッド アンド セーラム マーカーズ オブ インフラメンテーション イン オーティスム(Cerabrospinal fluid and serum markers of inflammation in Autism)」パディアトゥール ノイロール(Pediatr Neurol)第33巻、第198〜205頁、2006年
【非特許文献6】モロイCA他(Molloy CA et al)「エレベイテッド サイトキン レベル イン チルドレン ウイズ オウチスム スペクトラム ディスオーダー(Elevated cytokines levels in children with Austin spectrum disorder)Jニューロミュノル(J Neurommunol)第172巻第198〜205頁、2006年
【非特許文献7】シンガー HS他(Singer HS et al:)「アンチブレイン アンチボディズ イン チルドレン ウイズ オウティスム アンド ゼア アンアフェクテッド エイブリングズ(Antibrain antibodies in children with autism and their unaffected eiblings)Jニューロミュノル(J Neurommunol)第178巻第149〜155頁、2006年
【非特許文献8】ブラウンシュベイク D他(Braunschweig D et al)「オウティアム:またーなりー デライブド アンティボディ スペシフィック フォオ フェタル ブレイン プロテイン(Autiam:maternally derived antibodies specific for fetal brain proteine)」ニューロトキシコロジー(Neurotoxicology)第29巻、第226〜231頁 2008年
【非特許文献9】コーリー HH他(Cohly HH et al)「インミュノロジカル ファインディング イン オウティスム(Immunological findings in autism)」イント レブ ニューロバイオル(Neurobiol)第71巻 第817〜841頁 2005年
【非特許文献10】スイーティーン TL他(Sweeten TL et al)「インクリースド プレバレンス オブ ファミリアル オートイミュニティ イン プロバンド ウイズ パーバシーブ デベロップメンタル ディスオーダー(Increased prevalence of familial autoimmunity in probands with pervasive developmental disorders)」ペディアトリックス(Pediatrics)第112巻、e420頁、2003年
【非特許文献11】コミ AM他(Comi AM et al)「ファミリアル クラスタリング オブ オートイミューン ディスオーダー アンド エバリュエイション オブ メディカル リスク ファクター イン オーティスム(Familial clustering of autoimmune disordars and evaluation of medical risk factors in autism)」Jチャイルドニューロル(J Child Neurol)第14巻 第388〜394頁、1999年
【非特許文献12】アシュウッド P他(Ashwood P et al)「ザ イミューン レスポンス イン オーティスム ニュー フロンティア フォア オーティスム リサーチ(The immune response in autism:a new frontier for autism research)」J レウコック バイオル(J Leukoc Biol)、第80巻 第1〜15頁 2006年
【非特許文献13】スイティーン TL他(Sweeten TL et al)「ハイ ニトリック オキサイド プロダクション イン オーティスティック ディスオーダー ポッシブル ロール フォア インターフェロン ガンマ(High nitric oxide production in autistic disorder: a possible role for interferon−gamma)」バイオル サイチャイアトリー(Biol Psychiatry)第55巻 第434〜437頁
【非特許文献14】ワレン RP他(Warren RP et al)「レデュースド ナチュラル キラー セル アクティビティ イン オーティスム(Reduced natural killer cell activity in autism)」
【非特許文献15】株式会社メディカルトリビューン Medical Tribune“カリフォルニア州の自閉症発症率が急上昇”2009年4月2日第32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタンを用いた治療剤では、副作用を完全になくすことは難しく、また、中国パセリによる改善薬では完全にそのにおいを消すことが難しいことや、治療効果が明確でなく、大きな課題となっていた。
【0013】
また、免疫学的因子の抑制により症状を抑制する明らかな成果は、今まで示されていなかった。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、免疫学的因子の抑制により副作用が少ない自閉症に適した治療薬を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の発明者は,約40年間の漢方臨床を通して、自然素材を使った治療茶、漢方薬(自閉症では主として抑肝散を使用)、及び微量の化学薬品で構成された化学薬品を用いて複数の東方医学的治療を組み合わせた本発明に係る自閉症治療薬を用いたBAT療法(Bio−Active Therapy 生体活性治療)を開発した。本発明に係る自閉症治療薬を用いたBAT療法は、東方医学的視点で、免疫機能を改善することを目的とし、慢性関節リウマチ、各種膠原病などの自己免疫性疾患の治療に効果を認めている)。そのため、自閉症に関しても免疫機能異常や自己免疫疾患との関連性が報告されていることから有効性が期待されるため、本発明に係る自閉症治療薬を用いたBAT療法を行い効果について評価した。
【0016】
本発明の実施の形態に係る特徴は、メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンNおよびハイペンを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することである。
【0017】
前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至10.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至10.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至30.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至1.00mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至1.00mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至15.0mgであってもよい。
【0018】
さらにカルフェニールを含でもよく、その場合、前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至10.0mgであり、ペミラストは、1.0mg乃至10.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至30.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至1.00mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至1.00mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至15.0mgであり、カルフェニールは、1.5mg乃至10.0mgであってもよい。
【0019】
さらにカンテック、バキソ、タザレストを含み多動性症状に効果を有してもよく、前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至7.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至5.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至20.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至0.50mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至0.50mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至10.0mgであり、カンテックは、4.0mg乃至20.0mgであり、バキソは、0.60mg乃至3.00mgであり、タザレストは、5.0mg乃至30.0mgであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、病的な免疫学的因子の抑制により副作用が少ない自閉症に適した改善薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1a】自閉症の程度である自閉度をみるための問診票の例示である。
【図1b】自閉症の程度である自閉度をみるための問診票の例示である。
【図2】本発明に係る改善薬、治療茶を適用した患者について適用前と適用後の自閉度の評価結果である。
【図3】本発明に係る改善薬、治療茶を適用した患者について適用前と適用後の自閉度の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
本発明による自閉症に適した改善薬は、メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンNおよびハイペンを含有し、その各成分の適切な量は、前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至10.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至10.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至30.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至1.00mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至1.00mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至15.0mgが好ましい。
【0024】
さらに通常は、カルフェニールを含むことを含むことが好ましく、その場合、カルフェニールは、1.5mg乃至10.0mgであることが好ましい。
【0025】
一方、多動性の患者に対しては、カンテック、バキソ、タザレストを含み、カンテックは、4.0mg乃至20.0mgであり、バキソは、0.60mg乃至3.00mgであり、タザレストは、5.0mg乃至30.0mgであることが好ましい。
【0026】
本治療薬を構成するメイラックスは、一般名がロフラゼプ酸エチルであり、ベンゾジアゼピン系の緩和精神安定剤(マイナートランキライザー)である。神経受容体「BZD受容体」に結合し、抗不安作用と鎮静・催眠作用と筋緊張緩和作用とを備える。
【0027】
本治療薬を構成するエクセグランは、ゾニサミドから構成され、脳神経の興奮をおさえて、てんかんの発作を予防する機能を備える。
【0028】
本治療薬を構成するアーチストは、成分はカルベジロールであり、降圧剤、β遮断剤、持続性、高血圧・狭心症治療剤の機能を併せ持つ。
【0029】
本治療薬を構成するムコスタは、成分はレバミピドであり、消化性潰瘍用剤、胃炎・胃潰瘍治療剤として機能し、胃酸に対する抵抗力を高める。
【0030】
本治療薬を構成するクラリチンは、成分はロラタジンであり、アレルギー用薬、抗ヒスタミン薬、持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤として機能し、ヒスタミンの受容体をブロックして、アレルギー症状を止め、アレルギーによるクシャミ、鼻水、じんま疹、皮膚のカユミなどに有効である。
【0031】
本治療薬を構成するジオールは、成分はブレグナンジオールであり、卵胞ホルモン,黄体ホルモン、プレグナンジオール製剤として機能し、黄体ホルモンの代謝産生物であり、皮脂分泌量の減少効果がある。
【0032】
本治療薬を構成するムイロジンは、成分はベンズブロマロンであり、痛風治療剤、高尿酸血症改善剤機能を有する。尿酸を尿中に排泄させる機能を有する。
【0033】
本治療薬を構成するペミラストンは、成分はペミロラスト カリウムであり、アレルギー用薬、アレルギー性疾患治療剤であり、ヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサンなど、いろいろな体内物質を抑える機能を有する。
【0034】
本治療薬を構成するリカマイシンは、ロキタマイシンを成分として、主にg陽性菌,マイコプラズマ用剤、マクロライド系抗生物質、マクロライド系抗生物質製剤であり、細菌の蛋白質の合成を阻害することで、その増殖を抑える機能を備える。
【0035】
本治療薬を構成するマーズレンSは、成分はマーズレンと、アズレンとL−グルタミンであり、消化性潰瘍用剤、胃炎・消化性潰瘍治療剤という機能を有する。アズレンは、胃の炎症をやわらげ、弱った胃の粘膜を保護し、L−グルタミンは、胃を守る粘液を増やしたりすることで、胃酸に対する防御機能を高め、傷ついた組織の修復を助ける作用を有する。
【0036】
本治療薬を構成するガスロンNは、マレイン酸イルソグラジンから構成され、消化性潰瘍用剤と、粘膜防御性胃炎・胃潰瘍治療剤に使用する。
【0037】
本治療薬を構成するハイペンは、成分はエトドラクであり、解熱鎮痛消炎剤、アリール酢酸系、非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤であり、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制する。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによる。
【0038】
本治療薬を構成するカルフェニールは、ロベンザリット 二ナトリウムから構成され、抗リウマチ薬であり、体の免疫機能の異常を修正する作用があり、関節の痛みや腫れをひき、病気の進行を遅らせる。
【0039】
本治療薬を構成するカンテックは、成分は、マロチラートであり、肝臓疾患用剤、肝蛋白代謝改善剤であり、肝臓のたん白質の合成を高めたり、線維化を抑制する機能を有する。
【0040】
本治療薬を構成するバキソは、成分はビロキシカムであり、解熱鎮痛消炎剤、オキシカム系、持続性鎮痛・消炎剤以上の機能を有し、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害する。
【0041】
本治療薬を構成するタザレストは、成分はタザノトラストであり、アレルギー用薬、喘息治療剤としての機能を備え、気道に存在する免疫系のマスト細胞に作用し、ヒスタミンやロイコトリエン等の化学伝達物質の遊離を抑制し、そのような作用から化学伝達物質遊離抑制薬(ケミカルメディエーター遊離抑制作用)と呼ばれる。
【0042】
本発明の自閉症治療薬の剤型としては、錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤、液剤などの内用剤があげられる。また、注射剤として用いられることもある。
【0043】
上記のものを製造する場合は、周知の方法で製造することができる。例えば、内用剤を製造する場合には、必要に応じて賦形剤、補助剤、添加剤等を加えて製造することが可能である。賦形剤は充填剤、増量剤等に分類され、具体的には、糖類、デンプン、無機物、結晶セルロース等がある。補助剤は緩衝剤、乳化剤、分散剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤等に分けられる。添加剤には保存剤、芳香剤、香味剤等がある。
【0044】
本発明の自閉症治療薬の用法としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口投与法がある。その他に、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射等の投与法を採用することも可能である。
【0045】
投与量としては、症状や剤型により一定ではないが一般的には有効成分が1日当り20mg〜500mgの範囲であるのが望ましい。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0047】
本発明に係る自閉症治療薬を用いたBAT療法(Bio−ActiveTherapy,生体活性治療)について、自閉症児7例(初診時4才から13才,平均7.5±4歳,全貝男性)に,本発明に係る自閉症治療薬を用いたBAT療法を行った。
【0048】
本発明に係る自閉症治療薬である化学方剤は複数の微量の西洋薬を組み合わせたもので,一般的な西洋薬とは違った作用機序で作用して,免疫バランスを整えると考えている。
【0049】
本発明に係る自閉症治療薬は、通常の自閉症の場合は、メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンN、ハイペンおよびカルフェニールを含有し、その量は、前記メイラックスは、0.07mgであり、エクセグランは、6.0mgであり、アーチストは、0.2mgであり、ムコスタは、15.0mgであり、クラリチンは、0.15mgであり、ジオールは、0.35μgであり、ムイロジンは、3.50mgであり、ペミラストンは、2.5mgであり、リカマイシンは、10.0mgであり、マーズレンSは、0.25mgであり、ガスロンNは、0.25mgであり、ハイペンは、5.0mgであり、カルフェニールは、3.0mgとした。
【0050】
また、本発明に係る自閉症治療薬において、多動児に対しては、メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンN、ハイペン、カンテック、バキソおよびタザレストを含有し、その量は、前記メイラックスは、0.07mgであり、エクセグランは、6.0mgであり、アーチストは、0.2mgであり、ムコスタは、15.0mgであり、クラリチンは、0.15mgであり、ジオールは、0.35μgであり、ムイロジンは、3.50mgであり、ペミラストンは、2.5mgであり、リカマイシンは、10.0mgであり、マーズレンSは、0.25mgであり、ガスロンNは、0.25mgであり、ハイペンは、5.0mgであり、カンテックは、8.0mgであり、バキソは、1.20mgであり、タザレストは、10.0mgとした。
【0051】
評価は、図1a、1bに示すように小児自閉症評定尺度(CARS:Childhood Autism Rating Scale)によって行い,治療開始前と,8ヶ月経過時点,12ヶ月経過時点,18ケ月経過時点での症状を比較した。
【0052】
小児自閉症評定尺度(CARS)は,アメリカの自閉症治療教育プログラム(TEACCH:Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Childlen)で用いられている,15項目の行動評価と合計得点で自閉症の診断と重症度を評価する評価尺度である。
【0053】
15項目の行動評価内容は以下のものである。
1.人との関係:人との相互交渉をもつような状況での行動を評定する。
2.模倣:言語性・動作性ともに、模倣する能力を評定する。
3.情緒反応:場面に適切な感情反応が見られるかどうかを評価する。
4.身体の使い方:年齢相応の身体の使い方が出来ているかどうか、身体動作の協応と適切さを評価する。
5.物の扱い方:物への関心と、適切な使い方が出来ているかどうかを評価する。
6.変化に対する適応:ルーチンやパターン変化の困難さ、変化に対応できるかどうかを評価する。
7.視覚による反応:人や物を見るかどうかを評価する。中空を凝視するような奇妙な見方をしないかどうかを評価する。
8.聴覚による反応性:音や言葉に対する反応はどうかを評価する。敏感なのか無関心なのかどうかを評価する。
9.味覚、嗅覚、触覚反応と使い方:味覚、嗅覚、触覚の反応は正常かどうかを評価する。
10.恐れや不安反応:異常な恐れや理解のできないような恐れを評定する。
11.言語性のコミュニケーション:発語の有無、オウム返しや奇妙な話し方があるかどうかを評定する。
12.非言語性のコミュニケーション:顔の表情・身振りなどへの反応・表出があるかどうかを評定する。
13.活動水準:多動あるいは寡動か、行動抑制ができるかどうかを評定する。
14.知的機能の水準とバランス:知的機能に遅れがあるかどうかを評定し、また、アンバランスがあるかどうかを評定する。
15.全体的な印象:自閉症の程度について、検査者の主観的な印象に基づいて全体的な評定をする。
【0054】
この15項目のそれぞれについて、(1)正常範囲内:1〜1.5、(2)軽度の異常:2〜2.5、(8)中度の異常:3〜3.5、(4)重度の異常:4、という評点をつけ、総得点が30点以上の場合に「自閉症」と診断されるが、この基準については、日本の報告では26点が妥当とするものがある。治療開始前と、6ヶ月経過時点、12ヶ月経過時点、18ケ月経過時点での各項目の点数および全項目の合計点数の平均値に関して、t検定(対応のある)を用いて有意差の有無について検討した。
【0055】
評価の結果、全項目の合計点数の平均については、治療開始前40.7点、6ヶ月経過時点36.8点、12ヶ月経過時点29.1点で、18ケ月経過時点24.4点であり、日本の報告でも正常と言われる点数に到達しており、治療開始前と比較して、6ヶ月経過時点および12ケ月経過時点、18ヶ月経過時点において有意な改善を示した(図2)。
【0056】
項目別の平均点数では、以下の項目において有意差を認めた。
1.人との関係は、治療開始前3.1点、18ヶ月経過時点2.1点、
3.情緒反応は、治療開始前2.4点、18ヶ月経過時点1.7点、
5.物の扱い方は、治療開始前2.8点、18ヶ月経過時点1.8点、
7.視覚による反応は、治療開始前3.0点、18ヶ月経過時点2.4点、
8.聴覚による反応性は、治療開始前3.1点、18ケ月経過時点1.8点、
10.恐れや不安反応は、治療開始前2.9点、18ヶ月経過時点1.8点、
11.言語性コミニニケーションは、治療開始前2.9点、18ヶ月経過時点2.3点、
12.非言語性コミュニケーションは、治療開始前3.2点、12ヶ月経過時点1.8点、
13.活動水準は、治療開始前2.8点、18ヶ月経過時点1.8点、
14.知的機能の水準とバランスは、治療開始前2.8点、12ケ月経過時点2.0点、
の項目で、治療開始前と比較して、18ヶ月経過時点において有意な改善を認めた。他の項目についても改善傾向を認めているが、有意差は認めなかった(図3)。
【0057】
以上より、本発明に係る自閉症治療薬を適用することで、18ヶ月で「自閉症」を治療することが可能であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイラックス、エクセグラン、アーチスト、ムコスタ、クラリチン、ジオール、ムイロジン、ペミラストン、リカマイシン、マーズレンS、ガスロンNおよびハイペンを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することを特徴とする自閉症改善剤。
【請求項2】
前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至7.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至5.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至20.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至0.50mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至0.50mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至10.0mgであることを特徴とする請求項1記載の自閉症改善剤。
【請求項3】
さらにカルフェニールを含むことを特徴とする請求項1記載の自閉症改善剤。
【請求項4】
前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至7.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至5.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至20.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至0.50mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至0.50mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至10.0mgであり、カルフェニールは、1.5mg乃至6.0mgであることを特徴とする請求項4記載の自閉症改善剤。
【請求項5】
さらにカンテック、バキソ、タザレストを含み多動性症状に効果を有する請求項1記載の自閉症改善剤。
【請求項6】
前記メイラックスは、0.01mg乃至0.20mgであり、エクセグランは、3.0mg乃至9.0mgであり、アーチストは、0.05mg乃至0.40mgであり、ムコスタは、7.0mg乃至30.0mgであり、クラリチンは、0.05mg乃至0.30mgであり、ジオールは、0.10μg乃至0.70μgであり、ムイロジンは、1.50mg乃至7.0mgであり、ペミラストンは、1.0mg乃至5.0mgであり、リカマイシンは、5.0mg乃至20.0mgであり、マーズレンSは、0.10mg乃至0.50mgであり、ガスロンNは、0.10mg乃至0.50mgであり、ハイペンは、2.0mg乃至10.0mgであり、カンテックは、4.0mg乃至16.0mgであり、バキソは、0.60mg乃至2.40mgであり、タザレストは、5.0mg乃至20.0mgであることを特徴とする請求項5記載の自閉症改善剤。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−256115(P2011−256115A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129404(P2010−129404)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(592110989)
【Fターム(参考)】