薬剤含有インプラント及びその使用方法
【課題】対象の長期間の服薬継続を助ける治療方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るインプラントは、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含み、それによって、対象における薬剤の治療レベルを維持し、薬剤を実質的に線形速度で放出し、統合失調症及び他の疾患を治療する。
【解決手段】本発明に係るインプラントは、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含み、それによって、対象における薬剤の治療レベルを維持し、薬剤を実質的に線形速度で放出し、統合失調症及び他の疾患を治療する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持する、治療薬剤を実質的に線形速度で放出する、並びに、本発明に係るインプラントを使用して統合失調症及び他の疾患を治療するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
服薬の不履行は、統合失調症の再発における最も決定的な要因である。そのため、対象の長期間の服薬継続を助ける治療方法が、実質的に臨床成果を向上させる。従来の統合失調症用の治療薬剤(例えば、リスペリドン)を投薬する方法は、前記薬剤の1ヶ月間又はそれ以下の期間の投与量しか提供しない。したがって、リスペリドン及び他の薬剤の治療レベルを提供する方法が当該技術分野で求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持する、治療薬剤を実質的に線形速度で放出する、並びに、本発明に係るインプラントを使用して統合失調症及び他の疾患を治療するための方法を提供する。
【0004】
ある実施形態では、本発明は、生分解性インプラントであって、(a)当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含むインプラントを提供する。
【0005】
他の実施形態では、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヶ月維持するための方法であって、前記対象に、(a)前記個々のインプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)前記個々のインプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーを含み、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が、実質的に互いに異ならない1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを投与する投与ステップを含む方法を提供する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持するための方法であって、(1)(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有する生分解性インプラントの初期セットを、前記対象に投与する投与ステップと、(2)前記対象に、前記生分解性インプラントの初期セットの放出ピーク時点の近くで、前記生分解性インプラントの初期セットの前記個々の生分解性インプラントとPLA:PGAモル比が同等の追加的な個々の生分解性インプラントを含有する1つ以上の生分解性インプラントの維持セットを投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なり、そのことによって、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含有するポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持するための方法であって、前記治療薬剤を実質的に線形速度で放出することにより、統合失調症及び他の疾患を治療する方法を提供する。
【0008】
ある実施形態では、本発明は、服薬不履行の可能性が高い疾患における薬剤服用順守を向上させるための、埋め込み型の長期間薬剤送達システムを提供する。前記送達システムは、ある実施形態では、埋め込み可能な棒状構造体内で治療薬剤を含み、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象の薬剤服用順守を向上させる。
【0009】
「埋め込み可能(implantable)」という用語は、様々な実施形態では、対象の例えば、皮下、筋肉内などに挿入可能な組成物を含む。さらなる実施形態では、埋め込み可能な組成物は、取り出し可能でもある。
【0010】
「長期間」という用語は、様々な実施形態では、約3ヵ月以上の期間、約4ヵ月以上の期間、約5ヵ月以上の期間、約6ヵ月以上の期間、約7ヵ月以上の期間、約8ヵ月以上の期間、約9ヵ月以上の期間、約10ヵ月以上の期間、約11ヵ月以上の期間、約1年以上の期間、又はそれ以上の期間を含む。
【0011】
「長期間送達システム」は、ある実施形態では、対象に一旦投与されると、目的の治療薬剤を、服薬不履行の可能性が高い疾患の治療に効果的な用量で、対象に徐々に送達するシステムを含む。前記薬剤は、他の実施形態では、3ヵ月以上の期間、約4ヵ月以上の期間、約5ヵ月以上の期間、約6ヵ月以上の期間、約7ヵ月以上の期間、約8ヵ月以上の期間、約9ヵ月以上の期間、約10ヵ月以上の期間、約11ヵ月以上の期間、約1年以上の期間、又はそれ以上の期間に渡って送達される。
【0012】
「薬剤服用順守の向上」という表現は、ある実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患の対象が、前記疾患を治療するために目的の治療薬剤を服用する回数の割合の向上を意味する。
【0013】
「服薬不履行の可能性が高い疾患」という表現は、ある実施形態では、例えば、統合失調症、双極性障害、認知症、精神錯乱、衝動調節障害、精神病的な憂うつ、薬物中毒などの精神病性障害を含む。また、「服薬不履行の可能性が高い疾患」は、ある実施形態では、患者の服薬不履行率が高い疾患である。前記表現は、他の実施形態では、患者の判断や精神能力に影響を及ぼす疾患を含む。また、前記表現は、他の実施形態では、対象の服薬履行率が低い(例えば、様々な実施形態では、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満である)疾患を含む。
【0014】
「治療薬剤」という用語は、ある実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患を治療するのに使用される薬剤を含む。他の実施形態では、前記治療薬剤は、低pH環境において溶解度の増加を示す。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗うつ剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗不安剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗精神病剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、避妊剤ある。
【0015】
「溶解度の増加」は、他の実施形態では、中性pHでの、溶解度の少なくとも10%以上の増加を意味する。他の実施形態では、前記表現は、中性pHでの、溶解度の少なくとも20%以上の増加を意味する。他の実施形態では、前記増加は少なくとも30%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも40%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも50%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも60%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも70%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも80%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも100%(2倍)である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも3倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも4倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも5倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも6倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも8倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも3倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも10倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも15倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも20倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも30倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも40倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも50倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも70倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも100倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも150倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも200倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも300倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも500倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも1000倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも1000倍より大きい。他の実施形態では、前記薬剤は、中性pHでは、無視できるほど低い溶解度を示す。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0016】
「低pH環境」は、他の実施形態では、5.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、5.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.0のpHを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、生分解性インプラントであって、(a)当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含有し、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含む生分解性インプラントを提供する。
【0018】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、滅菌インプラントである。他の実施形態では、前記インプラントは、滅菌する必要はない。他の実施形態では、前記インプラントは、実質的に無菌である。他の実施形態では、前記インプラントは滅菌されている。他の実施形態では、前記インプラントは無菌であるが、滅菌カバーを取り外して埋め込むまでの間に、微量の汚染物質が導入される場合がある。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0019】
ここで使用される「生分解性」という用語は、ある実施形態では、生物学的環境で分解される材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生物学的環境で有限の半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生物学的環境で測定可能な半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で分解される材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で有限の半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で測定可能な半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、「生体内分解性」と同意味である。
【0020】
ある実施形態では、前記半減期は、1ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、2ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、3ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、4ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、5ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、6ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、8ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、10ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、1年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、1.5年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、2年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、3年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、4年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、5年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、7年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、10年以下である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0021】
「ポリマー」は、ある実施形態では、個々の単位又はモノマーから成る高分子を意味する。他の実施形態では、前記ポリマーは、分岐ポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、線状ポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、架橋されたポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、当該技術分野で公知の他の種類のポリマーである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0022】
PLAポリマーはPLAのモノマーのみを含むが、PLA:PGAポリマーはPLA及びPGAのモノマーを含む。PLAポリマー及びPLA:PGAポリマーの使用及び合成方法は、当該技術分野で公知であり、例えば「Macromol Biosci 5(1): 21-9, 2005(Fukushima K et al)」、「Macromol Biosci 15;4(3): 232-7, 2004(Saulnier B et al)」及び「J Colloid Interface Sci 27 1(2): 336-4 1, 2004(Park SJ et al)」に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0023】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、棒状である。ここに記載されているように、本発明の結果は、リスペリドン及び他の薬剤の長期間の送達を提供するために、棒状のインプラント並びにディスク状のインプラントを使用できることを実証している。他の実施形態では、前記インプラントは、ディスク状である。他の実施形態では、前記インプラントは、円筒状である。他の実施形態では、前記インプラントは、シートである。他の実施形態では、前記インプラントは、生体組織(例えば、皮下組織)内に保持されるのに適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、皮下腔内での構造的安定性に適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、皮下腔内での耐性に適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、当該技術分野で公知の任意の形状を有する。
【0024】
「棒状」は、ある実施形態では、その断面が実質的に円形であり、その長さが前記断面の直径の少なくとも2倍である形状を意味する。他の実施形態では、前記断面の形状は、本発明の断面形状の他のいずれかである。他の実施形態では、前記長さは、少なくとも前記断面の直径と同程度である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.1倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.2倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.3倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.4倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.5倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.6倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.7倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.8倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.9倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の2.2倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の2.5倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の3倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の4倍である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0025】
「ディスク状」は、ある実施形態では、実質的に円形で平らな形状を意味する。他の実施形態では、前記形状は、長円形、正方形、長方形などである。厚さは、ある実施形態では、円形、長円形などの直径未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記形状の直径の0.9倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.8倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.7倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.6倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.5倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.4倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.3倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.2倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.1倍未満である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0026】
ある実施形態では、ここに記載した棒状、ディスク状、円筒状は、実質的に円形の断面形状を有する。他の実施形態では、前記断面の形状は楕円形である。他の実施形態では、前記楕円形は、その周縁が円形である必要はない。他の実施形態では、前記断面形状は、図16に示した形状のいずれかである。他の実施形態では、前記断面形状は、当該技術分野で公知の他の形状である。本発明では、インプラントからの薬剤の放出速度がインプラントの表面積に比例することが示されている。したがって、ある実施形態では、表面積を一定に保つことにより放出速度を変更することなく、所望の性質を付与するためにインプラントの形状を改変することができる。また、本発明では、インプラントからの薬剤の放出期間は、インプラントのSA:Vの比に比例することが示されている。したがって、ある実施形態では、SA:Vの比を一定に保つことにより放出期間を変更することなく、所望の性質を付与するためにインプラントの形状を改変することができる。各形状は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0027】
「実質的に円形」は、他の実施形態では、いずれの断面においても長径が短径の150%未満である円又は円様形状を意味する。他の実施形態では、いずれの断面においても長径は短径の145%未満である。他の実施形態では、前記割合は、140%である。他の実施形態では、前記割合は、135%である。他の実施形態では、前記割合は、130%である。他の実施形態では、前記割合は、125%である。他の実施形態では、前記割合は、120%である。他の実施形態では、前記割合は、115%である。他の実施形態では、前記割合は、110%である。他の実施形態では、前記割合は、105%である。
【0028】
他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の150%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の145%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の140%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の135%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の130%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の125%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の120%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の115%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の110%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の105%以下である。
【0029】
他の実施形態では、最長径の最短径に対する比は、実質的に円形な形状と両立する他の比である。他の実施形態では、前記割合は、実質的に円形な形状と両立する他の割合である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0030】
他の実施形態では、前記断面積は、本発明の棒状、ディスク状及びシリンダー状のインプラントの長さに渡って実質的に一定である。他の実施形態では、前記断面積は一定ではない。他の実施形態では、前記断面寸法は、本発明に係る棒状、ディスク状、及びシリンダー状のインプラントの長さに渡って実質的に一定である。他の実施形態では、前記断面寸法は一定ではない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0031】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントの断面形状は、長方形である。他の実施形態では、前記断面形状は正方形である。他の実施形態では、前記断面形状は、当該技術分野で公知の他の形状である。
【0032】
他の実施形態では、インプラントは、一体型である。他の実施形態では、インプラントは、互いに融合させた複数個(10個以下)の構成要素から成る。他の実施形態では、前記構成要素は、互いに連結している。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0033】
上記した全体形状及び断面形状のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0034】
インプラントの挿入方法は、当該技術分野では公知である。ある実施形態では、インプラントは、「トロカール」と呼ばれる手術器具を使用した最小の侵襲性の処置により挿入される。他の実施形態では、前記インプラントは、ノルプラント(Townsend S "Insertion and removal of Norplant" Netw Fr 6: 8-9, 1991)に使用されるのと同様の処置又は器具セット(トロカール及び栓子)を使用して挿入される。他の実施形態では、棒状のインプラントは、挿入が容易である、及び挿入後の不快感がないという利点を有する(図15)。他の実施形態では、棒状のインプラントは、インプラントの挿入に必要とする切開が小さいという利点を有する(例えば、様々な実施形態では、約2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、又は7mmである)。他の実施形態では、このインプラントは、外来患者に埋め込むことができるという利点を有する。前記切開部位は、他の実施形態では、一重縫合又はステリストリップ(steristrip)で閉じられる(図15)。他の実施形態では、前記インプラントは、当該技術分野で公知の他の外科方法によって挿入される。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0035】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、患者が数週間ごとに注射を受ける必要がないので、患者の薬剤服用順守が増加するという利点を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、患者の自律性が高まるという利点を有する。他の実施形態では、このインプラントは、投与部位における不快感がないという利点を有する。
【0036】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、送達期間中における体温下で安定するという利点を有する。
【0037】
他の実施形態では、前記インプラントは、完全に浸食されるので、残留物質を取り出しする必要がないという利点を有する。ある実施形態では、前記侵食は、主に表面侵食である。他の実施形態では、前記侵食は、主にバルク侵食である。他の実施形態では、前記侵食は、相当量の表面侵食及びバルク侵食の組み合わせである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0038】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、容易にその設置場所を特定し、必要に応じて取り出すために、繋留される(図2)。ここに記載されているように、この取り出し方法は、マウス及びラットにおいて成功裏に試験された。他の実施形態では、インプラントを触診した後に小さい切開を形成し、鉗子を使用してインプラントの残留物質を取り出す。
【0039】
他の実施形態では、前記インプラントは、取り出し可能である。「取り出し可能」は、ある実施形態では、前記インプラントを外科的手段又は他の手段によって取り出せることを意味する。他の実施形態では、「取り出し可能」は、前記インプラントの残存物を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「取り出し可能」は、前記インプラントの残存物の大部分を取り出せることを意味する。ある実施形態では、前記インプラントは、インプラント内の薬剤に対する有害反応が原因で取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、医師の決断によって取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、患者の決断によって取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤の過剰摂取が原因で取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、一連の治療の中止が望ましい他の理由によって取り出される。ここで説明するように(図15)、本発明に係るインプラントは、取り出しが容易であり、薬剤送達期間を通じて凝集を維持している。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間中を通じて取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて容易に取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間を通じて容易に取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて凝集している。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間を通じて凝集している。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0040】
「容易に取り出し可能」は、他の実施形態では、鉗子又は同様の器具を使用して、取り出せる能力を意味する。他の実施形態では、前記表現は、強い吸引力を用いずに取り出せる能力を意味する。他の実施形態では、前記表現は、周囲組織を取り出す必要がなく、取り出せる能力を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0041】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、ポリマーが構成要素モノマーに分解されるときに内部pH環境が低下するという利点を示す。他の実施形態では、前記した分解に伴うpH低下は、中性pHでは不溶性(そのため、前記インプラント内にロックされている)でありpHが低下すると溶解度が増加する薬剤及び活性物質の時間依存性放出を増大させる。他の実施形態では、前記インプラントにおいて、低pHで薬剤の溶解度が増加したときに、薬剤放出が増大する。他の実施形態では、前記インプラントにおいて、酸性pKaのときに、薬剤放出が増大する。他の実施形態では、前記時間依存性放出が増大すると、化合物の体循環への放出が増加する。
【0042】
他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、ハロペリドールである。他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、当該技術分野で公知の薬剤である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0043】
他の実施形態では、分解に伴いpHが低下すると、ポリマーの時間に対しての分解速度が増加する。他の実施形態では、前記した分解に伴うpH低下は、結果的にポリマーの分解の自己触媒をもたらす。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0044】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、分解に伴いpHが低下するという利点を示す。この利点は、少量の投与形態(例えば、微小粒子)では観察されない。
【0045】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物で使用されるポリマーは、PLAを含むが、PGAは含まない。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAとPGAとを含む。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAのみから成る。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAとPGAとから成る。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0046】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントの薬剤搭載量は、30〜60%である。ここで説明する(実施例7)ように、本発明の結果は、生分解性インプラントの薬剤搭載量における特定の範囲の有効性を実証している。「薬剤搭載量(drug load)」は、ある実施形態では、インプラント内の薬剤の質量パーセントを意味する。他の実施形態では、「薬剤搭載量」は、前記薬剤の重量パーセントを意味する。他の実施形態では、例えば、前記治療薬剤及び前記ポリマー以外の他の物質が前記インプラント内に存在する場合は、薬剤搭載量は前記他の物質のことを考慮せずに計算される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0047】
他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、約40〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、1〜5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、2〜5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜10%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜15%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、65〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70〜75%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、75〜80%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、80〜85%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、85〜90%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、90〜95%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、95〜99%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜15%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70〜80%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、80〜90%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、90〜99%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜70%である。
【0048】
他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、2%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、3%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、6%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、8%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、12%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、14%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、16%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、18%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、22%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、24%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、26%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、28%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、32%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、34%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、36%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、38%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、42%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、44%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、46%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、48%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、52%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、54%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、56%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、58%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70%である。各薬剤搭載量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0049】
本発明に係る方法及び組成物を説明するのに使用された数値範囲及び他の範囲は、境界値を包含することを理解されたい。前記範囲内の数値又は数値の組み合わせのそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0050】
「治療薬剤」は、ある実施形態では、対象に投与したときに任意の種類の治療効果又は有益な効果を示す、任意の薬剤又は化合物である。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラント内に含有されている前記治療薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、9−OHリスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、チオチキセンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ハロペリドールである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、コルチコステロンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、イブプロフェンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、アスピリンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ピモジド(pimozide)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、アリピプラゾール(aripiprazole)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、オランザピン(olanzapine)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ドネペジル(donepezil)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、当該技術分野で公知の他の治療薬剤である。
【0051】
PLAポリマー及びPLA:PGAポリマーは、ある実施形態では、前記ポリマーに組み込む前に、前記薬剤を化学的に改変する必要がないという利点を示す。前記薬剤は、ポリマーマトリックスに物理的に混入するだけでよい。したがって、様々な治療薬剤を組み込むことができる。
【0052】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、ドーパミン作用剤である。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、アゴニストである。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、アンタゴニストである。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、半アゴニストである。ある実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、モノアミン再取り込み阻害剤である。ある実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、モノアミン取り込み促進剤である。
【0053】
別の実施形態では、前記治療薬剤は、次の薬剤の1つである、又は次の薬剤分類の1つに属するものである。降圧剤、抗うつ剤、抗不安剤、抗凝固剤、抗けいれん剤、血糖降下剤、充血除去剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗炎症剤、抗精神病剤、向知性剤、コレステロール降下剤、抗肥満剤、自己免疫疾患治療剤、性的不能治療剤、抗菌剤及び抗真菌剤、催眠剤、抗パーキンソン病剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗新生物剤、鎮静剤、栄養剤、βブロッカー、吐剤、抗吐剤、利尿剤、抗凝血剤、強心剤、アンドロゲン、コルチコイド、同化剤、成長ホルモン分泌促進剤、抗感染症剤、冠血管拡張剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗原虫剤、胃腸剤、セロトニン拮抗剤、麻酔剤、血糖降下剤、抗アルツハイマー病剤、抗潰瘍剤、抗血小板剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、及びホスホジエステラーゼ阻害剤。
【0054】
別の実施形態では、前記治療薬剤は、次の薬剤の1つである。クロルプロパミド、フルコナゾール、アトルバスタチン・カルシウム、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ドキセピン、ベシル酸アムロジピン、ピロキシカム、セリコキシブ、バルジコキシブ、カルベニシリンインダニルナトリウム、塩酸バカンピシリン、トロレアンドマイシン、及びドキシサイクリンハイクレート。
【0055】
別の実施形態では、治療薬剤は、次の薬剤の1つである、又は次の薬剤分類の1つに属するものである。白金化合物(例えば、スピロプラチン、シスプラチン、及びカルボプラチン)、メトトレキサート、フルオロウラシル、アドリアマイシン、マイトマイシン、アンサミトシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリシン、ビンクリスチン、ブスルファン、クロラムブシル、メルファラン(例えば、PAM、L−PAM又はフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジン・ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、パクリタキセル及び他のタキセン、ラパマイシン、マニュマイシンA、TNP−470、プリカマイシン(ミトラマイシン)、アミノグルテチミド、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)エルウィニアアスパラギナーゼ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、テニポシド(VM−26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、及びダカルバジン;分裂抑制剤(例えば、エトポシド、コルヒチン、及びビンカアルカロイド)、放射性医薬品(例えば、放射性ヨウ素及びリン製剤);ホルモン(例えば、プロゲスチン、エストロゲン及び抗エストロゲン);駆虫剤、抗マラリア剤、及び抗結核剤;生物製剤(例えば、免疫血清、抗毒素及び抗毒血清);狂犬病予防用薬剤;細菌ワクチン;ウイルス性ワクチン;呼吸器官用剤(例えば、キサンチン誘導体のテオフィリン及びアミノフィリン);甲状腺疾患治療剤(例えば、ヨウ素製剤及び抗甲状腺剤);キレート剤及び水銀利尿剤を含む心血管系疾患治療剤及び強心配糖体;グルカゴン;血液製剤(例えば、非経口鉄、ヘミン、ヘマトポルフィリン及びそれらの誘導体);生物反応修飾物質(例えば、ムラミルジペプチド、ムラミルトリペプチド、微生物細胞壁構成成分、リンフォカイン(例えば、リポ多糖類やマクロファージ活性化因子などの細菌内毒素)、細菌のサブユニット(例えば、マイコバクテリウム属、コリネバクテリウム属)、合成ジペプチド・N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン);抗真菌剤(例えば、ケトコナゾール、ナイスタチン、グリセオフルビン、フルシトシン(5−fc)、ミコナゾール、アンフォテリシンB、リシン、シクロスポリン、及びβラクタム系抗生物質(例えば、スルファゼシン));ホルモン(例えば、成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン及びリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロン・アセトニド、トリアムシノロン二酢酸、トリアムシノロン・ヘキサアセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、オキシトシン、バソプレシン、及びそれらの誘導体);ビタミン(例えば、シアノコバラミン・ネイノイック・アシッド、レチノイド及び誘導体(例えば、パルミチン酸レチノール)、及びα−トコフェロール);ペプチド(例えば、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ);酵素(例えば、アルカリホスファターゼ);抗アレルギー剤(例えば、アメレキサノックス);抗凝固剤(例えば、フェンプロクモン及びヘパリン);循環器官用剤(例えば、プロプラノロール);代謝増強剤(例えば、グルタチオン);抗結核剤(例えば、パラアミノサリチル酸、イソニアジド、硫酸カプレオマイシン・サイクロセリン、塩酸エタンブトール・エチオナミド、ピラジンアミド、リファンピン、及び硫酸ストレプトマイシン);抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン・アジドチミジン(AZT、DDI、フォスカネット、又はジドブジン)、リバビリン及びビダラビン一水和物(アデニン・アラビノシド、ara−A));抗狭心症剤(例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン(三硝酸グリセリン)及び四硝酸ペンタエリスリトール);抗凝血剤(例えば、フェンプロクモン、ヘパリン);抗生物質(例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン・エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG及びペニシリンVを含むペニシリン、チカルシリン・リファンピン及びテトラサイクリン);抗炎症剤(例えば、ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメイト、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン及びサリチル酸塩);抗原虫剤(例えば、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メトロニダゾール、キニーネ及びアンチモン酸メグルミン);抗リウマチ剤(例えば、ペニシラミン);麻酔剤(例えば、パレゴリック);鎮静剤(例えば、コデイン、ヘロイン、メタドン、モルヒネ及びアヘン);強心配糖体(例えば、デスラノシド、ジギトキシン、ジゴキシン、ジギタリン及びジギタリス);神経筋遮断薬(例えば、メシル酸アトラクリウム、ガラミントリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化サクシニルコリン(塩化スキサメトニウム)、塩化ツボクラリン及び臭化ベクロニウム);鎮静剤(睡眠剤)(例えば、アモバルビタール、アモバルビタール・ナトリウム、アプロバルビタール、ナトリウムブタバルビタール、抱水クロラール、エスクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトトリメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラム、パラアルデヒド、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパム及びトリアゾラム);局所麻酔剤(例えば、塩酸ブピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸エチドカイン、塩酸リドカイン、塩酸メピバカイン、塩酸プロカイン及び塩酸テトラカイン);全身麻酔剤(例えば、ドロペリドール、エトミデート、クエン酸フェンタニル・ドロペリドール合剤、塩酸ケタミン、メトヘキシタールナトリウム及びチオペンタールナトリウム);及び放射性粒子又は放射性イオン(例えば、ストロンチウム、ヨウ化レニウム及びイットリウム)。
【0056】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、リスペリドンの代謝物である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、上記の薬剤のうちの1つの代謝物である。ある実施形態では、前記代謝物は、活性代謝物である。
【0057】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、慢性的に使用される薬剤である。
【0058】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、強力な薬剤である。「強力な薬剤」は、ある実施形態では、治療効果を発揮するためには、血中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。他の実施形態では、「強力な薬剤」は、治療効果を発揮するためには、組織中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。他の実施形態では、「強力な薬剤」は、治療効果を発揮するためには、体中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0059】
ある実施形態では、強力な薬剤が治療効果を発揮するために必要な前記濃度は、0.01mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.02mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.03mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.04mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.05mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.06mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.07mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.08mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.09mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.10mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.12mg/kgである。「強力な薬剤」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0060】
ある実施形態では、強力な薬剤が治療効果を発揮するために必要な前記濃度は、1ナノグラム(ng)/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、1.5ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、2ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、3ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、4ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、5ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、6ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、7ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、8ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、9ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、10ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、12ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、15ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、20ng/mlである。「強力な薬剤」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0061】
各治療薬剤は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0062】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、治療薬剤の組み合わせを含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、2つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、3つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、4つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、4つより多くの治療薬剤を含有する。他の実施形態では、前記インプラントは、上記の薬剤のうちの1つとさらなる別の薬剤との組み合わせを含む。他の実施形態では、前記インプラントは、上記した薬剤以外の、2つ以上の薬剤の組み合わせを含む。他の実施形態では、前記インプラントに含有された薬剤の組み合わせは、相乗効果を有する。他の実施形態では、前記インプラントに含有された薬剤の組み合わせは、相加効果を有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0063】
上述したように、様々な薬剤をPLAポリマー及びPLA:PGAポリマーに組み込むことができる。組み込む前に、薬剤(又は「活性成分」)は、当該技術分野で公知の方法によって作成される。活性成分を含有する薬学的組成物の作成としては、例えば、混合、造粒、又はタブレット形成プロセスが当該技術分野ではよく知られている。前記活性成分は、ある実施形態では、薬学的に許容されるかつ前記活性成分に適合する賦形剤と混合される。他の実施形態では、前記活性成分又は前記活性成分の生理学的に許容される誘導体(例えば、塩、エステル、N−オキシドなど)の1つは、この目的のために通常使用される添加物(例えば、担体、安定剤、不活性希釈剤など)と混合される。
【0064】
活性成分は、他の実施形態では、中和された薬学的に許容される塩の形態で、前記組成物に組み入れられる。薬学的に許容される塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸)、又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)から作成される酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基から作成される)が挙げられる。また、遊離カルボキシル基から形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化(第二)鉄など)及び有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から作成することができる。
【0065】
上記の添加物、賦形剤、組成物、及び投与方法のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0066】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のポリマーの前記PLA:PGAモル比は、約75:25〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜55:45である。他の実施形態では、前記モル比は、55:15〜60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、95:5〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、96:4〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、97:3〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、98:2〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、99:1〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜95:05である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜100:0である。
【0067】
他の実施形態では、前記モル比は、50:50である。他の実施形態では、前記モル比は、52:48である。他の実施形態では、前記モル比は、54:46である。
【0068】
他の実施形態では、前記モル比は、56:44である。他の実施形態では、前記モル比は、58:42である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、62:38である。他の実施形態では、前記モル比は、64:36である。他の実施形態では、前記モル比は、66:34である。他の実施形態では、前記モル比は、68:32である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、72:28である。他の実施形態では、前記モル比は、74:26である。他の実施形態では、前記モル比は、76:24である。他の実施形態では、前記モル比は、78:22である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、82:18である。他の実施形態では、前記モル比は、84:16である。他の実施形態では、前記モル比は、86:14である。他の実施形態では、前記モル比は、88:12である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、92:8である。他の実施形態では、前記モル比は、94:6である。他の実施形態では、前記モル比は、96:4である。他の実施形態では、前記モル比は、97:3である。他の実施形態では、前記モル比は、98:2である。他の実施形態では、前記モル比は、99:1である。他の実施形態では、前記モル比は、100:0(例えば、PGAが実質的に1%未満)である。
【0069】
ここに説明するように(実施例5)、本発明の結果は、生分解性インプラントにおける特定のPLA:PGA比の有効性を実証している。ある実施形態では、前記PLA:PGA比は、モル比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、質量比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、重量比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、容量比である。上記の各PLA:PGA比は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0070】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のポリマーは、クロロホルム中で約0.2〜0.9dl/gの固有粘度を示す。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.3dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.4dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.85〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.40dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.70dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.80dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.40dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.80dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.95dl/gである。
【0071】
他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.95dl/gである。
【0072】
上記の各固有粘度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0073】
「固有粘度(inherent viscosity)」は、ある実施形態では、ポリマーが溶液中で前記溶液の粘度を高める能力の程度を意味する。他の実施形態では、ポリマーの分子量の増加に伴い増加する固有粘度(intrinsic viscosity)は、重合条件に依存し、ポリマーのPLA:PGA比とは無関係に変化し得る。他の実施形態では、前記固有粘度(intrinsic viscosity)は、ゼロ濃度における特定の粘度/濃度比の極限値と定義される。したがって、粘度は、様々な濃度で測定した後に、ゼロ濃度に外挿される。他の実施形態では、「固有粘度(inherent viscosity)」は、「固有粘度(intrinsic viscosity)」と同義語である。「固有粘度」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0074】
固有粘度の測定方法は、当該技術分野では公知であり、例えば、「J Biomed Mater Res, A 68(1): 43-51(Meek MF et al., 2004)」及び「J Control Release 71(2):165-73(Deng X et al., 2001)」に記載されている。他の実施形態では、固有粘度は、本明細書の実施例1に記載した方法によって測定される。他の実施形態では、固有粘度は、クロロホルム中で測定される。他の実施形態では、固有粘度は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶液中で測定される。他の実施形態では、固有粘度は、当該技術分野で公知の他の適切な溶媒中で測定される。他の実施形態では、前記溶媒はFDAクラスIII溶媒(低毒性であり、残留溶媒の除去の必要性が最小限に押えられる)である。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0075】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約1〜3mm2/mm3の表面積/体積(SA:V)比を有する。他の実施形態では、前記比は、0.5〜1mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.7〜1.2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.9〜1.4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.1〜1.6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.3〜1.8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜1.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、7〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜8.5mm2/mm3である。
【0076】
他の実施形態では、前記比は、0.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.0mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、7mm2/mm3である。上記の各SA:V比は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0077】
ここに記載されているように(実施例6)、本発明の結果は、生分解性インプラントにおける特定範囲のSA:V比の有効性を実証している。SA:V比の測定方法は、当該技術分野で公知である。SA:V比は、ある実施形態では、形状(例えば、規則正しい形状の場合)の測定から表面積及び体積を計算することにより求められる。他の実施形態では(不規則な形状の場合)、表面積は、BET(Brunauer, Emmett and Teller)装置を使用して計算される(J de Kanel and J W Morse, J Phys E: Sci Instrum 12: 272-273, 1979)。他の実施形態では、表面積は、当該技術分野で公知の他の方法によって測定される。他の実施形態では、体積は、水又は他の液体の変位によって測定される。他の実施形態では、体積は、当該技術分野で公知の他の方法によって測定される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0078】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約1〜5mmの長さを有する。「長さ」は、ある実施形態では、インプラントの最長の寸法を意味する。他の実施形態では、「長さ」は、例えば、円筒形状のインプラントの場合は、ストレージ・エッジの寸法(straight-edge dimension)を意味する。例えば、「ストレージ・エッジの寸法」は、完全な直線である必要はなく、例えばわずかな曲線であってもよい。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0079】
他の実施形態では、前記インプラントの長さは、1〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜1.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜1.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜6.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜7mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜7mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜8mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜7mmである。
【0080】
他の実施形態では、前記インプラントの長さは、0.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.7mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.9mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.2mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.4mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.2mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.4mmである。
他の実施形態では、前記長さは、2.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、6mmである。他の実施形態では、前記長さは、7mmである。他の実施形態では、前記長さは、8mmである。上記の各長さは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0081】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約2〜4mmの直径を有する。「直径」は、ある実施形態では、前記インプラントの断面を横切る距離を意味する。他の実施形態では、例えばディスク状インプラントの場合は、前記断面を横切る前記距離は、上記の長さよりも長いことがある。他の実施形態では、例えば棒状インプラントの場合は、前記断面を横切る前記距離は、上記の長さよりも短い。他の実施形態では、前記断面は、円形である必要はなく、上述したように、楕円、正方形、長方形などであってもよい。したがって、他の実施形態では、前記直径は、断面における最長又は最短の直径の幾何平均である。他の実施形態では、前記直径は、断面における最長又は最短の直径の算術平均である。他の実施形態では、前記様々な直径における最長のものである。他の実施形態では、前記直径は、例えば正方形又は長方形の場合は、断面の対角を横切る距離である。他の実施形態では、前記直径は、例えば直径がインプラントの長さによって異なる場合は、最大の断面を横切る距離である。他の実施形態では、前記直径は、最大の断面を横切る平均距離である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0082】
他の実施形態では、前記直径は、約2〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜1mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜1.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5.5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜1.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜7mmである。
【0083】
他の実施形態では、前記直径は、0.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.7mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.9mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、6mmである。上記の各直径は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0084】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約0.75グラム(g)以下の質量を有する。ここに記載されているように、本発明は、有効量のリスペリドンをヒトに6ヵ月間に渡って送達するためにインプラントを約0.75g以下で使用することの実現可能性を実証している(実施例14)。他の実施形態では、本発明は、有効量のリスペリドンを1年間に渡って送達するためにインプラントを約1.5g以下で使用することの実現可能性を実証している。他の実施形態では、前記インプラントは、約0.1グラム(g)以下の質量を有する。他の実施形態では、前記質量は、0.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.3g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.5g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.7g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.9g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.0g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.1g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.3g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.5g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.7g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.9g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、3g以下である。
【0085】
他の実施形態では、前記質量は、0.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、2gである。他の実施形態では、前記質量は、2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、2.4gである。他の実施形態では、前記質量は、2.6gである。他の実施形態では、前記質量は、2.8gである。他の実施形態では、前記質量は、3gである。
【0086】
他の実施形態では、前記質量は、約0.1〜0.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、l.0〜1.4gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.4gである。他の実施形態では、前記質量は、2.5〜2.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4〜1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2.5〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜2.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1〜3gである。
【0087】
上記の各質量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、溶媒キャスト法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、圧縮成形を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、溶融混合を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、界面活性剤の使用を必要としない溶融混合押出法(melt mix extrusion)を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、エマルジョンの使用を必要としない溶融混合押出法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、界面活性剤又はエマルジョンの使用を必要としない溶融混合押出法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、押出成形を含む工程によって作成される。ある実施形態では、前記押出成形は、高圧押出成形である。ある実施形態では、圧縮成形によって作成されたインプラントは、高密度を示す。他の実施形態では、圧縮成形によって作成されたインプラントは、向上した均一性を示す。他の実施形態では、様々な形状のインプラントを、圧縮成形によって作成することができる。他の実施形態では、押出成形によって作成されたインプラントの場合は、作成中の材料損失が少ない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0089】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、乳化工程を利用する技術よりも、潜在的な薬剤搭載量が大きいという利点を示す。他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、洗浄剤が不要な工程(例えば、溶媒キャスト法)を使用するために、潜在的な薬剤搭載量がより大きいという利点を示す。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0090】
他の実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象を治療するための方法を提供する。この方法は、埋め込み可能な棒状構造体を備える長期間送達システム内に含有されている目的の治療薬剤を、対象に投与することを含む。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象を治療する薬学的組成物を作成するための、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。
【0092】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0093】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約2ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0095】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約4ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0096】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを約4ヵ月間以上維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを上記の期間の1つの期間の間維持する薬学的組成物の作成のための、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。
【0098】
他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、他のパラメータ(例えば、薬剤搭載量、質量、SA:V比、長さ、直径、又はポリマーの固有粘度)についても互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比については同等であるが、他のパラメータについては同等ではない。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの2つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの3つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの4つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの5つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの全てについても同等である各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0099】
他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、薬剤搭載量について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、質量について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、SA:V比について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、長さについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、直径について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、固有粘度について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの2つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの3つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの4つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの全てについて互いに同等である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0100】
他の実施形態では、PLA:PGAの比は、前記個々のインプラントの間では実質的に不変である(例えば、前記個々のインプラントのそれぞれは、PLA:PGAの比が異なる部分で構成されていない)。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの薬剤搭載量についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの質量についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントのSA:Vについても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの長さについても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの直径についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントのポリマーの固有粘度についても当てはまる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0101】
ここに記載されているように、本発明は、治療薬剤レベルの長期間に渡る維持を、単一ポリマーのシステム(例えば、同一のインプラントのセット)によって達成できることを実証する。さらに、ウサギにおける単一ポリマーのインプラントは(図3B)、個々のポリマーによって血清中薬剤濃度がほぼ対称パターンとなることが実証された。さらに、図3Bに示すように、相関係数(R2)が0.86のデータのトレンドラインは、約6ヵ月後に最大放出値を示した。
【0102】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヵ月間維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0103】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約1年間維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0104】
「放出ピーク時点」は、他の実施形態では、放出が最大になる時点である。他の実施形態では、この用語は、インプラント投与前の実験に基づいた、ヒトの対象における放出ピーク時点の平均を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0105】
放出ピーク時点の「近くで」は、他の実施形態では、放出ピーク時点の1週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の10日以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の2週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の3週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の4週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の5週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の6週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の2ヵ月以内を意味する。
【0106】
他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから10%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから5%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから15%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから20%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから25%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから30%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから35%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから40%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから50%以内の時点での投与を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0107】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを長期間に渡って維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0108】
「長期間」は、他の実施形態では、少なくとも6ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも4ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも5ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも7ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも8ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも9ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも10ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも12ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも14ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも16ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも18ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも21ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも24ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、24ヵ月以上の期間を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0109】
他の実施形態では、前記維持セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。他の実施形態では、前記初期セット及び前記維持セットの個々の生分解性インプラントは、PLA:PGAのモル比について実質的に各セット内又はセット間で異ならない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0110】
他の実施形態では、ステップ(b)は、前記対象内の前記薬剤レベルを所望の期間に維持するために、必要に応じて繰り返される。
【0111】
他の実施形態では、前記維持セットは、前回投与のインプラントのセットからの薬剤放出の低下が始まる時点の近くで投与される。
【0112】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを上記の期間の1つの期間の間維持する薬学的組成物を作成するための、(a)本発明に係る生分解性インプラントの初期セット、及び(b)本発明に係る生分解性インプラントの維持セットの使用を提供する。
【0113】
ある実施形態では、前記維持セットは、6ヵ月に1回投与される。他の実施形態では、前記維持セットは、約5ヵ月の期間の後に投与される。他の実施形態では、前記期間は、約4ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約3ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約2ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約6週間である。他の実施形態では、前記期間は、約1ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約7ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約8ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約9ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約10ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約11ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約12ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約14ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約16ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約18ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約20ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約22ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約24ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約30ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約36ヵ月である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0114】
他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比に加えて、他のパラメータ(例えば、薬剤搭載量、質量、SA:V比、長さ、直径、又はポリマーの固有粘度)についても互いに同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比の代わりに、前記パラメータの1つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比については同等であるが、他のパラメータについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの2つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの3つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの4つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの5つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの全てについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの2つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの3つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの4つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの5つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0115】
他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントにおいて上述した特性のいずれかを有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0116】
本発明で実証されたように、単一ポリマー・セットからの放出特性がほぼ対称であることにより、薬剤送達を無期限に持続させるために、ほぼ6ヵ月毎にインプラントの埋め込みを重ね合わせながら行うことが可能となる(図13B)。ある実施形態では、この方法により、あるセットからの放出の着実な減少を、それに続くセットからの放出の緩やかな開始によって相殺することができる。
【0117】
他の実施形態では、本発明に係る方法によって、薬剤の治療レベルが維持される期間は、1ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、1.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、2ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、2.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、3ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、3.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、4ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、6ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、7ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、8ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、9ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、10ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、11ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、12ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、13ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、14ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、15ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、16ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、17ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、18ヵ月である。
【0118】
他の実施形態では、前記期間は、前記生分解性インプラントの初期セットの投与ステップの1ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の1週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の3週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の5週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の6週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2.5ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の3ヵ月後に始まる。
【0119】
上記の各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0120】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを対象に投与するステップをさらに含む。前記スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、PLA:PGAモル比が異なり、初期セットのインプラントよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達する。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、薬剤搭載量が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、SA:Vの比が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、質量が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、長さが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、直径が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、ポリマーの固有粘度が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の2つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の3つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の4つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の全てが異なる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0121】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、PLA:PGA比、薬剤搭載量、長さ、直径、SA:V比、及び固有粘度が、実質的に互いに異ならない。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、前記パラメータの1つについて実質的に互いに異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、前記パラメータの1つ以上について実質的に互いに異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、互いに異なる放出特性を有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0122】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、初期セットの個々のインプラントにおいて上記した特性のいずれかを有する。各特性は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0123】
他の実施形態では、インプラントの初期セットと、同一のインプラントの維持セットとを含む本発明に係る方法では、スターターセットのインプラントは、初期セットのインプラントと共に投与される。「と共に」は、ある実施形態では、1つ以上のインプラントの他のセットと同日に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、単一の操作又は工程の間に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から3日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から4日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から3週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1ヵ月以内に投与することを意味する。の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2ヵ月以内に投与することを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0124】
他の実施形態では、ここに記載されているように(実施例16)、スターターセットのインプラントによって、薬剤の治療レベルにより早く到達することが可能となる。他の実施形態では、維持セットのインプラントの投与時には存在しない薬剤レベルをスターターセットのインプラントが補うので、スターターセットのインプラントが存在のおかげで、初期セットのインプラントに必要なインプラントの数は少なくなる(維持セットのインプラントに対して)。
【0125】
本発明では、単一ポリマーの放出特性を複合ポリマーの放出特性と比較することによって、スターターセットのより急速な放出を可能にする能力を示した。複合ポリマーについて、初期の時点で、より高い血中レベルが観察された(図1及び3A)。
【0126】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントを初期インプラントと共に投与する代わりに、治療レベルにより早く到達させるために、インプラントの数をより多くする(維持セットのインプラントに対して)。
【0127】
他の実施形態では、インプラントの初期セットを投与するステップは可逆的である。他の実施形態では、インプラントのスターターセットを投与するステップは可逆的である。ある実施形態では、「可逆的」は、外科的手段又は他の手段によってインプラント・セットの残存物を取り出せる能力を意味する。ある実施形態では、「可逆的」は、1つ以上のインプラントの残存物を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「可逆的」は、インプラント・セットの残存物の大部分を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「可逆的」は、1つ以上のインプラントの残存物の大部分を取り出せることを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0128】
他の実施形態では、本発明に係る方法の対象は、ヒトである。他の実施形態では、前記対象は、霊長類である。他の実施形態では、前記対象は、哺乳動物である。他の実施形態では、前記対象は、齧歯動物である。他の実施形態では、前記対象は、実験動物である。他の実施形態では、前記対象は、家畜である。他の実施形態では、前記対象は、雄である。他の実施形態では、前記対象は、雌である。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野で公知の他の対象である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0129】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの長さを有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの長さの組み合わせを有する。
【0130】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントを投与するステップは、可逆的である。他の実施形態では、上記のいずれかのセットを投与するステップは、可逆的である。他の実施形態では、「可逆的」は、上記した意味の1つを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0131】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの直径を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの直径の組み合わせを有する。
【0132】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントの任意のSA:V比を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかのSA:Vの組み合わせを有する。
【0133】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントの任意の質量を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの質量の組み合わせを有する。
【0134】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、単一の構造体(例えば、棒状構造体、束状構造体など)に組み合わせされる。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの長さを有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの直径を有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかのSA:V比を有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの質量を有する。他の実施形態では、前記構造体は、埋め込む構造体の数を減少させることを可能にする。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0135】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの前記個々の生分解性インプラントは、本発明に係るインプラントいずれかの特性を有する。各特性は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0136】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、インプラントの放出速度が十分に高くなるまでに治療薬剤レベルに到達させるかつ前記治療レベルを維持するために、治療薬剤をインプラントの初期セットと共に異なる経路で投与するステップをさらに含む。他の実施形態では、同様な治療効果を有する異なる薬剤を、インプラントの初期セットと共に投与する。当該技術分野で公知の任意の経路を使用し得る。各経路は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、治療薬剤を対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、チオチキセンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、チオチキセンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0139】
他の実施形態では、本発明は、ハロペリドールを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、ハロペリドールを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0140】
他の実施形態では、本発明は、HCTZを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、HCTZを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0141】
他の実施形態では、本発明は、イブプロフェンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、イブプロフェンを含有する本発明に係るインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0142】
他の実施形態では、本発明は、アスピリンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、アスピリンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0143】
他の実施形態では、本発明は、コルチコステロンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、コルチコステロンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0144】
「数ヵ月間」は、様々な実施形態では、本発明のいずれかの期間を意味する。各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0145】
他の実施形態では、本発明は、治療薬剤を対象の生体組織内に、数週間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0146】
前記治療薬剤は、様々な実施形態では、本発明のいずれかの治療薬剤である。各薬剤は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0147】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物における実質的に線形な速度は、定常状態の放出相における前記インプラントの放出速度である。「定常状態」は、ある実施形態では、インプラントが実質的に線形な放出速度を示す期間を意味する(実施例10に例示されている)。
【0148】
ある実施形態では、実質的な線形速度は、0.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、2.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、10mg/日である。各速度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0149】
他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.7〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜1.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜2.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜1.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約4〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約4〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜6mg/日である。
【0150】
上記の各速度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0151】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも1ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0152】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも2ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0153】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも3ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0154】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも4ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0155】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも5ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0156】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも6ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0157】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも7ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0158】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも8ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0159】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも9ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0160】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも10ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0161】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも11ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0162】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも12ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0163】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも14ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0164】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも16ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0165】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも18ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0166】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの統合失調症を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0167】
ある実施形態では、前記統合失調症は、緊張型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、妄想型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、解体型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、鑑別不能型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、残遺型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、陰性又は欠損型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、精神病である。他の実施形態では、前記統合失調症は、当該技術分野で公知の他の種類の統合失調症である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0168】
ここに記載されているように、本発明に係る方法は、リスペリドンの長期間送達及び統合失調症の治療において効果的であった(実施例8及び9)。インビボでのリスペリドンの血清中濃度は、放出期間の大部分において目標範囲の2〜15ng/ml(Foster RH and Goa KL (1998) Pharmacoeconomics 14: 97-133)以内であった(図1及び3)。
【0169】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの双極性障害を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0170】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの認知症を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0171】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神錯乱を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0172】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの動揺を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0173】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの衝動調節障害を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0174】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神病的な憂うつを治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0175】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの統合失調症を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0176】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの双極性障害を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0177】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの認知症を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0178】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神錯乱を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0179】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの動揺を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0180】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの衝動調節障害を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0181】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神病的な憂うつを治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0182】
他の実施形態では、本発明は、統合失調症を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、統合失調症を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0183】
他の実施形態では、本発明は、双極性障害を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、双極性障害を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0184】
他の実施形態では、本発明は、認知症を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、認知症を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0185】
他の実施形態では、本発明は、精神錯乱を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、精神錯乱を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0186】
他の実施形態では、本発明は、動揺を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、動揺を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0187】
他の実施形態では、本発明は、衝動調節障害を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、衝動調節障害を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0188】
他の実施形態では、本発明は、精神病的な憂うつを治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、精神病的な憂うつを治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0189】
上記のいずれかの疾患に対して、本発明によって提供される治療の期間は、本発明の期間のいずれかであり得る。各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0190】
「治療」は、ある実施形態では、治療的介入を意味する。他の実施形態では、この用語は、予防的介入を意味する。他の実施形態では、この用語は、疾患又は障害の症状の改善を意味する。他の実施形態では、この用語は、治療の対象となっている疾患又は障害によって二次的に発生する症状、疾患又は障害の改善を意味する。他の実施形態では、「治療」は、疾患の進行を遅延させることを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0191】
上記の疾患の重症度を診断及び評価する方法は、当該技術分野では公知であり、例えば、米国精神医学会(Washington D.C.)出版の「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。他の実施形態では、統合失調症又は上記の他の疾患は、リスペリドン治療の有効性の評価方法において上記した方法によって診断される。
【0192】
動物及びヒトにおけるリスペリドン治療の有効性を評価する方法は、当該技術分野では公知である。動物の場合は、リスペリドン治療の有効性は、例えば、PPI(後述する)、自発運動、ロータロッド、及びカタレプシー評価によって評価され得る。自発運動は、ある実施形態では、「ホームケージ(home cage)」活動モニターシステム(MedAssociates, St. Albans, VT)によって測定される。このシステムでは、標準的で清潔なホームケージが、フォトビーム・フレーム内に置かれる。このフレームでは、互いに1.25インチ離れた8ビームのアレイ上に2つのレベルのセンサーが配置している。コンピュータ検出システムが、移動パラメータ(ambulations parameter)のために、フォトビームの遮断をモニターする。動物がケージ内で動くことによるフォトビームの遮断数によって全移動が求められる。データはパーソナルコンピュータの医用ソフトウェアに記録され、例えば、各活動モニター期間あたり、5分間隔で合計で30分間モニターされる。ラットは、通常は、最初のアンフェタミンの投与前に、装置及びタスクに数日間慣らされる。
【0193】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、ロータロッドが使用される。ある実施形態では、運動機能を測定するために、ロータロッド・トレッドミルを加速する装置(Stoelting Co., Wood Dale, IL)が使用される。ラットは、装置に順応させるために、静止したロータロッドに置かれる。速度を、その後、2から20rpmまで、除々に増加させる。平衡及び姿勢を維持する際の最大スコアを固定する(例えば5分間、Lelas S, Wong H et al, J Pharmacol Exp Ther 309: 293-302, 2004)。このテストは、前記期間が経過したとき、又は、動物がロッドから落ちたときに終了する。
【0194】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、カタレプシー評価が使用される。カタレプシーは、リスペリドン・インプラントによる運動効果を評価するために、動物(例えば、ラット)において検査される。ラットをその前脚がケージ側面と対向するように位置させ、通常の姿勢を取り戻すのに要する時間が記録される。4本の足の全てをケージの底面につける通常の姿勢を取り戻すのに要する時間が増加した場合は、リスペリドンによって二次的に運動障害が発生したことを示す。
【0195】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、聴性驚愕反応が使用される。聴性驚愕反応は、大きな音刺激後の、定量化可能の反射性運動である。プレパルス抑制(Prepulse inhibition:PPI)は、より低い程度の感覚刺激が予め与えられることによって、驚愕反応が低下したときに生じる(Hoffman HS, Searle JL (1965) J Comp Physiol Psychol 60:53-58)。PPIは、アポモルヒネ(APO)やアンフェタミン(AMPH)などのドーパミン(DA)アゴニストを投与することによって、弱めることができる(Mansbach RS, Geyer MA (1989). Neuropsychopharmacol 2: 299-308; Swerdlow NR et al, (1991). J Pharmacol Exp Ther 256: 530-536; Swerdlow NR et al, Neuropsychopharmacol 18: 50-56)。したがって、DA受容体アゴニストによるPPIの弱化は、統合失調症で見られる感覚入力プロセスの障害を試験するための、効果的な動物モデルである。
【0196】
聴性誘発電位を記録する方法は、当該技術分野では公知である。ある実施形態では、聴性誘発電位は、三極の電極集合体の定位埋め込みによって記録することができる。他の実施形態では、前記集合体は、聴性誘発電位を麻酔をかけない状態で記録するために使用される。これらの方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、「Connolly et al., 2003; Connolly et al. , 2004; Maxwell et aL, 2004; Siegel et al., 2005」に記載されている。
【0197】
動物におけるリスペリドンの有効性を評価する他の方法としては、行動観察がある。これは、当該技術分野で公知であり、例えば、「Brockington A et al., Cocaine cross-sensitization to dopamine uptake inhibitors: unique effects of GBR12909. Pharmacol Biochem Behav 53: 911-918, 1996」に記載されている。例えば、下記の行動が観察され、その行動が5分間に存在するか否かのスコアが付けられる。静寂状態、嗅ぐ動作、舐める動作、齧る動作、毛づくろい、移動(4本の脚で)、立ち上がり(両方の前脚をケージの底面から離す)、ヘッドダウン(動物の立姿勢、鼻が水平位よりも下にある状態で5秒間以上歩く又は走る)、体を揺らす動作(動物の頭又は体が3秒間以上に律動的に揺れる動き)、旋回(連続的な円で5秒間以上歩く又は走る)。
【0198】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性は、脳試料(皮質、海馬、線条体、及び/又は小脳)におけるドーパミンD2及び/又はセロトニン5HT1A/2A/2C受容体の発現を定量化することによって評価される。リスペリドンは、ドーパミンD2受容体の発現を増加させ、セロトニン5HT1A/2A/2C受容体の発現を減少させる。セロトニン受容体のウェスタンブロットには、ポリクローナル抗体であるAB5406(Chemicon, Temecula, CA)、PC176L(Calbiochem, CA)、又はAB5655(Chemicon)を使用することができる。D2受容体のウェスタンブロットには、ポリクローナル抗体であるWR−3526(Research and Diagnostic Antibodies, Berkeley, CA)を使用することができる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0199】
ヒトにおけるリスペリドンの有効性を評価する方法は、例えば、「Heresco-Levy U et al., Biol Psychiatry 2005 57(6): 577- 85」、「Moller HJ et al., Tnt Clin Psychophannacol. 2005 20(3): 121-30」、及び「Hirschfeld RM et al., Am J Psychiatry. 2004 161(6): 1057-65」に記載されている。他の実施形態では、リスペリドン投与の理由である障害の程度でヒトにおけるリスペリドンの有効性を評価する方法では、DSM−IVが使用される。動物におけるリスペリドンの有効性を評価する上記の各方法は、ヒトに使用され得る。逆もまた同様である。
【0200】
リスペリドンの有効性を評価する上記の方法のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0201】
他の実施形態では、本発明は、薬剤搭載量が約20〜30質量%の治療薬剤と、70〜80質量%のポリマーとを含むインプラントを提供する。前記ポリマーは、PLA及び随意的にPGAを含み、PLA:PGAの質量比は80:20〜100:0である。前記インプラントは、下記の式によって決定される半径R0を有する
但し、「erf(x)」は、
である。
dMd/dtは、時間tにおける、治療薬剤の定常状態における望ましい放出速度である。Dはマトリックス内への水の拡散係数であり、kは反応速度であり、Cwは時間tにおけるインプラント内の水の濃度である。kは下記の式によって決定される。
ただし、Sは治療薬剤の水中での溶解度であり、kは0.05〜0.33の間の定数である。
【0202】
ある実施形態では、上記のインプラントに含まれる治療薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤はハロペリドールであり、Dは1.7×10−10であり、kは0.07である(実施例10)。他の実施形態では、前記治療薬剤はチオチキセンであり、Dは9×10−10であり、kは0.06である。他の実施形態では、前記治療薬剤はHCTZであり、Dは2.1×10−6であり、kは0.26である。他の実施形態では、前記治療薬剤はコルチコステロンであり、Dは2.5×10−7であり、kは0.33である。他の実施形態では、前記治療薬剤はイブプロフェンであり、Dは7.0×10−6であり、kは0.16である。他の実施形態では、前記治療薬剤はアスピリンであり、Dは8.0×10−2であり、kは0.06である。他の実施形態では、前記治療薬は、当該技術分野で公知の他の薬剤である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0203】
他の実施形態では、分解反応速度係数のkは、薬剤の溶解度とOH基の存在との組み合わせとして与えられる薬剤特性に依存する(実施例11)。水溶解度が同じ薬剤については、ポリマーの加水分解速度はOH基の密度と共に増加する。一方、OH基の密度が同じ薬剤では、kは溶解度の増加と共に減少する。他の実施形態では、実施例10に記載したように、kは実験的に決定されている。
【0204】
他の実施形態では、前記薬剤の存在は、ポリマーの分解速度に作用する。ある実施形態では、前記薬剤は、ポリマーマトリックス内への水の拡散に影響を与えることによって、ポリマーの分解速度に作用する。他の実施形態では、前記薬剤は、分解反応の速度に影響を与えることによって、ポリマーの分解速度に作用する。他の実施形態では、前記薬剤は、上記のメカニズムの組み合わせによって、ポリマーの分解速度に作用する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0205】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方程式(例えば、方程式4、5a、又は5b)を使用することによって、治療薬剤の目的の放出速度を達成するインプラントを設計する方法を提供する。
【0206】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方程式(例えば、実施例12の方程式8、9、又は10)を使用することによって、治療薬剤の目的の血中濃度を達成するインプラントを設計する方法を提供する。
【0207】
他の実施形態では、本発明は、時間tにおける薬剤放出速度dMd/dtを達成する方法であって、本発明の方程式(例えば、方程式4、5a、又は5b)を使用して半径が決定されたインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0208】
他の実施形態では、本発明は、時間tにおける血清中濃度xを達成する方法であって、本発明の方程式(例えば、方程式8、9、又は10)を使用して半径が決定されたインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0209】
本発明に係る方法のいずれも、本発明に係るインプラントのいずれかを使用し得る。本発明に係る方法と本発明に係るインプラントとの組み合わせのそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0210】
他の実施形態では、本発明は、本発明に係る方法の実施に使用される試薬を含有するキットを提供する。他の実施形態では、本発明は、本発明に係るインプラントを含むキットを提供する。
【実施例】
【0211】
≪実施例1:サルにおけるPLGAインプラントからのハロペリドールの長期放出≫
【0212】
<材料及び実験方法>
【0213】
対象
【0214】
2匹のサル(カニクイザル、Rangos Research Facility)のそれぞれにPLGA(ポリ(d,1−乳酸グリコール酸))コポリマーを含むインプラントを投与した。実験サルに投与したこのインプラントは、40質量%のハロペリドールと下記の表2に記載されている60質量%のPLGAポリマーの内の1つとを含んでいた。対照のサルに投与したインプラントは、表2に記載されているPLGAポリマーを100%含んでいた。PLGAポリマーは、Medisorb(登録商標)Alkermes、(Cincinnati, OH)から調達した。ハロペリドールは、その血清中濃度が2〜10ng/mlになるように、12ヶ月間における投与量を平均して1mg/kg/日になるようにした。
【0215】
表2.第1の実験に使用されたインプラントにおける、ポリ乳酸:ポリグリコール酸(PLA:PGA)のモル比及びPLGAポリマーの固有粘度。表中の固有粘度は、クロロホルム中のdl/gの単位で表示されており、25サイズのCannon-Fenskeガラス毛細管粘度計を使用して30℃、0.5dl/gで測定した。
【0216】
インプラントの製造
【0217】
ポリマー及びハロペリドール(Sigma, St. Louis, MO)を60/40の質量比で混合し、それに対してアセトン(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)で溶媒キャスト法を行った。形成された膜を、直径が20mm、平均厚さが1.22±0.0mm、質量が493±2mg、密度が1.28±0.0g/ccのディスク状のインプラントに圧縮成形した。
【0218】
薬物動態の測定:
【0219】
毎月2回、血液を採取した。血液を遠心分離し、分析するときまでに血清を−80℃で凍結した。各時点に各動物におけるリスペリドン及び9−OHリスペリドンの血清中濃度を2回測定した。遠心分離で試料を分離し、高圧液体クロマトグラフィー(high-pressure liquid chromatography(HPLC))における紫外線(UV)検出でハロペリドールのレベルを測定した(図1)。対照動物に対して行った分析では、薬剤のレベルはゼロであった。
【0220】
≪結果≫
【0221】
全ての実施例では、インプラントは良好な耐容性を示し、皮膚において副作用が観察されることはなかった。図1に示されているように、ハロペリドールの放出を443日間測定した。最初の224日間では、平均血清中濃度は、1つの例外(40日目における27.1ng/ml)を除き、10.5±1.5ng/mlであった。次の176日間では、ハロペリドールの血清中レベルは、より低い4.0±0.4ng/mlの平均濃度に維持された。最後の45日間では、このレベルはさらに減少した(平均血清中濃度は、1.2±0.3ng/ml)。
【0222】
したがって、生分解性のインプラントを使用することによって、サルにおいてハロペリドールの放出を14ヶ月間維持することができた。
【0223】
≪実施例2:ウサギにおけるPLGAインプラントからのハロペリドールの長期放出≫
【0224】
<材料及び実験方法>
【0225】
実験設計
【0226】
2つのインプラント・システムについて調べた。第1のシステムは5個の異なるポリマーのインプラント(実施例1と同様)を含み、第2のシステムは単一ポリマーを有する5個のインプラントを含んでいた。単一ポリマーのモデルを使用する目的は、1年間に放出を維持すると同時に最初の放出レベルの上昇を低減するためである。
【0227】
対象
【0228】
体重が4.0〜5.7kgのウサギ(12羽(Covance, Denver, PA))を使用した。単一ポリマー(100%PLA)と40%のハロペリドールとを含むインプラントを、全薬剤投与量が418±7mg/kgになるように5羽のウサギに投与した。それによって、予想送達期間である365日間における1日当たりに投与される薬剤量は1.13±0.02mg/kg/日であった。他の5羽のウサギには、組み合わされたポリマーのシステム(75:25、85:15、90:10(IV:高)、90:10(IV:低)、及び100:0のPLGA)を含むインプラントを投与した。この群の平均投与量は473±4mg/kgであり、予想放出期間は365日であり、1日当たりの平均投与量は1.29±0.03mg/kg/日であった。対照として2匹のウサギに薬剤を含まないインプラントを投与した。1つの対照ウサギには、単一ポリマーの条件を模倣するために、100%のPLAインプラントを投与した。他方の対照には、組み合わされたポリマー・システムを反映するために、75:25、85:15、90:10(IV:高)、90:10(IV:低)、及び100:0のPLGAから成るインプラントを施した。
【0229】
インプラントの製造
【0230】
インプラントは、実施例1に記載されている手法を使用して作成した。この
場合、平均質量は536±2mgであり、密度は1.24±0.00g/ccであった。検視の際のインプラント部位の特定を容易にするために、インプラントをその部位に連結した。
【0231】
薬物動態の評価
【0232】
固相抽出(Solid phase extraction:SPE)は、Waters 20-postion SPE真空マニホールド及びWaters Oasis MCX SPEカートリッジ(3ml/60μgカートリッジ)を使用して行った。メタノール及び水でカートリッジをコンディショニングし、2%のリン酸を含む試料をロードし、5%のメタノールを含む0.1Nの塩酸でカートリッジを洗浄し、次に100%のアセトニトリルで洗浄した。その後、5%のNH4OH(100%のアセトニトリルに溶かした状態で)で溶出した。窒素下で試料を乾燥させ、100μlの移動相に再溶解し、ボルテックスした後、5分間遠心分離した。75μlの再溶解した試料を自動サンプラーにロードした。50μlが注入された。HPLCは、Waters XTerra RP 18 のカラム(5μm、4.6×150mm)を使用して行った。流速は1.0ml/分であり、流出時間は30分であった。移動相及び試料の緩衝液は、55%のH2O、35%のアセトニトリル、及び10%の100mMの重炭酸アンモニウムで構成されており、そのpHは10であった。ピークは、波長280nmで検出された。リスペリドン及び9−OHリスペリドンの標準溶液は、正常なラット血清で作成し(1.25〜50ng/mlの範囲で)、抽出し、それぞれの化合物の標準曲線及び保持時間を得るためにそれぞれの流出に使用した。リスペリドン及び9−OHリスペリドンの保持時間は、それぞれ8.6及び5.9分であった。
【0233】
組織病理学
【0234】
中間病理分析のために9ヵ月後に5羽のウサギを屠殺し、残りの7羽のウサギは、その4ヵ月後に屠殺した。インプラントを投与した全てのウサギにおいて、インプラントの残存物が元の場所に連結していたことが確認された(図2)。
【0235】
インプラントを取り出す際、残存インプラントは移植後の282日目には平均して元の大きさの17%であり、移植後の423日目には元の大きさの5%であった。HPLC/紫外分光法及びNMR分光法により、残存インプラントでハロペリドール及びPLGAの分解産物の存在が確認された。残存インプラントの薬剤含量に関してHPLC分析を行ったところ、282日目に取り出されたインプラントのリスペリドンは平均して10重量%残存し、423日目に取り出されたインプラントのリスペリドンは平均して9重量%残存していることが示された。NMRは、Varian Unity Inova 300 Mhz機器にて25℃で行い、スペクトルは、Vnmr 6. lbソフトウェア(Varian, Inc., Palo Alto, CA)を使用して分析した(図2C)。PLA((Alkermes 100DL、IV:高)及びハロペリドールの対照試料をDMSO及びクロロホルム(CDCl3)に溶解した状態で分析し、各化合物の関心のあるピークを特定した(図2のD及びE)。ウサギからインプラントを取り出し、最初DMSO−d6に溶解し、ろ過で残存物を除去し、クロロホルムに溶解した。ハロペリドールの予想される全てのピークがDMSOで見られた。5.2〜5.4ppmにおける小さなピークはPLAの−CHのピークを示し、ポリマーの低濃度領域ではPLAのCH3ピークがハロペリドールのピークによって不明瞭になっていたと考えられる。CDC13の試料は、8.1及び7.4ppmにおいてハロペリドールに特徴的なピークを示したが、DMSOの試料よりも強度が低かった(おそらく、ハロペリドールの大部分がDMSOに抽出されたため)。クロロホルム分画は、0.9、1.2、3.9、及び4.5においてPLAの分解産物である乳酸に相当するピークを示した。
【0236】
インプラントはカプセル形成を引き起こさず、それによって、簡単に除去された。HPLC/紫外分光法及びNMR分光法により、残存インプラントにおいてハロペリドール及びPLGAの分解産物が確認された。組織学的分析により、ウサギの全ての器官系が正常であることが示された。
【0237】
≪結果≫
【0238】
同様な実験をウサギに対して行った。この場合、異なるポリマーから成る5個のインプラント(実施例1と同様)を、単一ポリマーから成る5個のインプラントと比較した。複合ポリマー・システムを投与したウサギは、360日間に4.0±0.6ng/mlのレベルのハロペリドールを有していた。高濃度のハロペリドールが確認される初期の期間は、最初の198日間であった(平均血清中濃度は6.1±0.7ng/ml)(図3A)。ハロペリドールのレベルは、320日目までには平均して1.1±0.3ng/mlまでに除々に減少し、360日目には検出可能以下のレベルにまで低下した。単一ポリマー・システムを投与したウサギは、より対称的な放出特性を示し、平均血清中濃度は、2.5±0.4ng/mlであり、複合ポリマー・システムで観察された結果と同様に360日目には検出可能以下のレベルにまで低下した(図3B)。
【0239】
したがって、ウサギから得られた結果は、サルの分析結果を確証するものであり、生分解性のインプラントを使用すると、12ヶ月間のハロペリドール放出を達成できることを示す。また、これらの結果は、単一ポリマー・システムを使用すると、場合によっては、複合ポリマー・システムを使用するときよりもより対称的な放出特性が達成されることを示す。
【0240】
≪実施例3:放出速度に対するインプラントの形状の効果≫
【0241】
<材料及び実験方法>
【0242】
40%のハロペリドールと60%のPLGA(50:50)とを含むインプラントを溶媒キャスティング法で作成した。この物質をディスク状に圧縮形成した、又は高圧ピストン押出機(DACA Instruments, Goleta, CA)を使用して棒状になるように100℃でゆっくりと押出した。出来上がった棒状又はディスク状のインプラントは、同じ重量を有していた。これらの形状のインプラントの表面積の容量に対する比(SA:V)に関して、ディスク状(半径:3mm、厚さ:1.6mm)のものは1.92であり、棒状(半径:1.8mm、長さ:4.5)のものは1.56であった。
【0243】
放出特性を確認するために、これらのインプラントを500mlのリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline:PBS)(pH7.0、37℃、40rpm)に入れ、暗下に置いた。
【0244】
≪結果≫
【0245】
ハロペリドールの放出に対するインプラントの形状(棒状及びディスク状)の効果を調べた。2つの形状に関する放出特性は、ほぼ同じであった(図4)。したがって、対象において治療レベルの薬剤を長期で送達及び維持するために、棒状のインプラントを使用することができる。
【0246】
≪実施例4:生理溶液におけるリスペリドンの安定性≫
【0247】
生理溶液におけるリスペリドンの長期安定性を評価するために、10mgのリスペリドンを100μlのアセトニトリルに溶解し、次に1,000mlのPBS(0.9%のNaCl、0.01MのNaOH、0.01MのNaH2PO4、pH7.0)に溶解し、10,000ナノグラムng/mlの最終溶液を作成した。この溶液を遮光性の琥珀色のビンに入れ、37℃で1分間40の回転数で振った。1週間に3回、試料を1ml取り出し、その薬剤濃度を紫外分光法(Amersham Biosciences, Buckinghamshire, UK)で測定した。薬剤の濃度はわずかにしか変化しなかった(343日間に1.4%、1日当たり0.004%に相当する、トレンドライン:y=−0.0004x+9.777)。紫外分光光度法及びHPLCを使用してこの分析を再び行った(図5)。HPLCと紫外分光光度法との間に0.99の相関係数が確認された。これは、紫外分光光度法がリスペリドンの濃度をインビトロで分析する正確な方法であることを示す。
【0248】
したがって、リスペリドンは、生理溶液では長期にわたって安定することが判明した。
【0249】
≪実施例5:リスペリドンの放出に対するPLA:PGA比の効果≫
【0250】
インビトロでのリスペリドンの放出に対するPLA:PGA比の効果を評価するために、50:50、65:35、及び75:25のPLGA含有の異なるポリマーからのリスペリドンの放出を評価した。実施例1にしたがってインプラントを作成した。この場合、リスペリドン(RBI, Flanders, NJ)は20%であり、PLGA(Alkermes)は80%であった。各種類のインプラントの3つの複製物を、500mlのPBSが入った別々の遮光性ビンに入れ、37℃、40rpmで振った。毎週3回、各ビンから1mlのアリコートを採取し、紫外分光光度法で分析した。尚、紫外分光光度法の後は、容量を一定に保つために1mlの緩衝液を入れた。75:25のポリマーが、最も遅い放出を示した(図6A)。
【0251】
別の調査では、複数のマウスの間でポリマーの効果の一貫性を評価した。8匹のマウスに20%のリスペリドン薬剤を含む75:25のPLA:PGAのインプラントを投与し、42日後にリスペリドン及び9−OHリスペリドンの血清中濃度を測定した。表1に結果を示す。そこでは、放出速度(mg/kg/日)(インプラントにあるリスペリドンの重量/マウスの体重/放出の推定日数(120)を計算することで求めた)も示す。
【0252】
表1.上の8匹のマウスにリスペリドンを含有するインプラントを投与した。下の5匹のマウスには、リスペリドンを含有しない対照インプラントを投与した。
【0253】
≪実施例6:リスペリドンの放出にへの、表面積の容量に対する比の効果≫
【0254】
<材料及び実験方法>
【0255】
この調査では、各条件に4つの棒状インプラントを使用した。この棒状のインプラントにおける表面積の容量に対する比(SA:V)は2.75及び6.17であり、両方とも30%のリスペリドン薬剤と75:25のPLGAとを含んでいた。これらの棒状インプラントを、PBS含有の異なるビンに入れ、37℃、40rpmで振った。毎週3回、0.3mlの試料を採取し、HPLC及び紫外分光光度法(Bio-teck Instruments, Winoo ski, VT)で分析した。
【0256】
≪結果≫
【0257】
リスペリドンの放出に対するSA:V比の効果を評価するために、同じ構成物で構成されるが、SA:V比が異なる棒状インプラントからのリスペリドンの放出を測定した。SA:V比が異なる2つの棒状インプラントの放出パターンは、放出後の44日間では異なっていた。半径がより小さな棒状インプラント(SA:V比はより大きい)の方が、より速い放出を示した(図6B)。したがって、直径がより大きな棒状インプラント(SA:V比はより小さい)は、直径がより小さな棒状インプラントよりもさらに長期の薬剤送達を示す。
【0258】
これらの結果は、生分解性インプラントからの放出がSA:V比と関数関係(下記の方程式(8)によって示される)にあることを示すことによって、それによって、実施例3の結果をさらに確証するものである。したがって、生分解性のインプラントからの長期の薬剤放出を可能にするために、棒状並びにディスク状を利用することができる。
【0259】
≪実施例7:インプラントにおけるリスペリドンの最適な量の決定≫
【0260】
インプラントにおけるリスペリドンの最適な濃度を決定するために、単一ポリマー(85:15PLGA)と、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は60重量%のリスペリドンとを組み合わせてインプラントを作成した(図7)。それぞれのインプラントの質量は約50mgであるので、それぞれ、5、10、15、20、25、及び30mgの薬剤を含むことになる。10%及び60%の薬剤を含んできたインプラントの薬剤の大部分が最初の30日間以内に放出されたのに対し、20%、30%、40%、及び50%の薬剤を含むインプラントは、リスペリドンをより遅く放出した。また、50%の薬剤を含むインプラントは、リスペリドンをさらに遅く放出した。最も線形的な放出パターンは、40%及び50%のリスペリドンで達成され、それらの曲線は分析期間中には同様であった。
【0261】
≪実施例8:リスペリドンのインプラントは、インプラント投与の14及び21日後にPPI及びP20を増加させ、アンフェタミン誘導のN−40誘発電位減少を阻害する。≫
【0262】
<材料及び実験方法>
【0263】
リスペリドンを含むインプラントを投与したところ、42日後には、リスペリドンの血清中濃度は7.3±0.68ng/ml(平均値±標準誤差)となり、9−OHリスペリドンの血清中濃度は8.1±0.95となった。脳におけるリスペリドン及び9−OHリスペリドンの濃度は、それぞれ6.2±1.45及び4.6±0.52ngであった。ディスク状のインプラント(SA:V比は2.34)は、85:15のPLGA(IVは0.66〜0.80)及び20%のリスペリドン薬剤で作成した。麻酔無しで聴性誘発反応を記録するための3極電極集合体(PlasticsOne Inc., Roanoke, VA)を定位でマウス(C57/BL/6J)にインプラントする(Connolly et al., 2003; Connolly et al., 2004; Maxwell et al., 2004; Siegel et al., 2005)前に、マウスにリスペリドンを含むインプラント又はポリマーのみを投与した(それぞれ8匹)。聴性驚愕反応の驚愕及びプレパルス抑制(PPI)の検査は、「Gould TJ et al., Sensorimotor gating deficits in transgenic mice expressing a constitutively active form of Gs alpha. Neuropsychopharmacol 29: 494-501」に記載の方法にしたがってインプラント投与後の14日目及び21日目の間に行った。誘発電位の記録は、電極の設置の28日後に行った。薬剤に対する暴露試験の記録は、2mg/kgのアンフェタミンの注入(腹腔内)の6分後に始め、アンフェタミン投与前の記録と比較した。Micro 1401ハードウェア及びSpikeS(CED, Cambridge, England)ソフトウェアで刺激を引き起こし、ケージの上部に連結しているスピーカで送信した。一連の50回のホワイトノイズ(継続時間:それぞれ10ミリ秒、合計で500ミリ秒)のクリックを行った。各ホワイトノイズの間の間隔は9秒間であり、それらの大きさはバックグラウンドの70dbに対して85dbであった。波形を、1〜500Hzの間でフィルターし、刺激開始に基準線を補正し、動きアーチファクトに関する個々のスイープを、二乗平均平方根振幅の2倍の基準(criteria of two times the root mean squared amplitude)に基づいて除去した。平均波は、刺激の50ミリ秒前から刺激終了の200ミリ秒後まで形成された。刺激開始前にマウスを15分間Faradayケージ順応させた。
【0264】
<結果>
【0265】
マウス(C57BL/6J)には、リスペリドン(n=8)又はポリマーを含むインプラントのみを投与し、インプラントした3極電極集合体で聴性誘発反応を麻酔無しで記録した。リスペリドンによって、驚愕の度合いが変化することはなかったが(図8A)、対照と比較してPPIが増加した(図8B)。また、リスペリドンのインプラントによって、対照のマウスと比較してP20(ヒトP50の類似体)が増加し(図9A)、アンフェタミン誘発のN40(ヒトN100の類似体)の減少が低下した(図9B)。P50及びN100における異常は、聴覚反応の発生及び調節に関連する神経構造の異常を反映するものであり、統合失調症における一般的な神経学的障害の情報を提供するものである(Adler LE, Olincy A et al, Schizophr Bull 24: 189-202, 1998; Freedman R, Adler LB et al, Harv Rev Psychiatry 2: 179-192, 1994)。
【0266】
≪実施例9:リスペリドン・インプラントを投与すると、PPI及びP20が増加し、アンフェタミン誘導のN40誘発電位の減少が阻害される。≫
【0267】
驚愕反応、PPI、P20、及びN40に対する実施例8のリスペリドン・インプラントの効果を評価するための実験を行った。この場合、リスペリドン・インプラントを投与した動物では、これらの全てのパラメータに関して大きな効果が観察された。これらの効果は、実施例5乃至7の放出速度の増大及びその後の薬剤の血清中濃度の増加と一致するものであった。
【0268】
≪実施例10:加水分解型の生分解性インプラントの放出速度は、薬剤の溶解度及びインプラントの分解速度を基に求めることができる。≫
【0269】
<材料及び実験方法>
【0270】
薬剤
【0271】
次の6個の薬剤について調べた。
(1)チオチキセン:N,N−ジメチル−9−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピリデン]チオキサンテン−2−スルホンアミド
(2)ハロペリドール:4−[4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドリキシー1−ピペリジル]−1−(4−フルオフェニル)−ブタン−1−オン
(3)ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide:HCTZ):9−クロロー5,5−ジオキソ−5λ6−チアー2,4−ジアザビシクロ[4.4.0]デカ−6,8,10−トリエン−8−スルホンアミド
(4)コルチコステロン:11−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−1,2,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタフェナントレン−3−オン
(5)イブプロフェン:2−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]プロパン酸
(6)アスピリン:2−アセチルオキシ安息香酸
【0272】
これらの薬剤の特性を表3に示す。全ての薬剤は、Sigma-Aldrich, Inc.から調達した。
【0273】
表3.この実施形態で使用された薬剤の特性
*下記のように14日後に測定した。
**kは1/日の単位であり、Dは無次元値である。図11に示されているように、図10にプロッティングされたデータを方程式(4)に当てはめることによって得られた。
【0274】
紫外線(UV)スキャン
【0275】
薬剤を、インビトロで予想される溶解度にしたがってpH7.4のPBSに溶解した。200〜400nmの範囲内の薬剤溶液の吸光度をスキャンした(対照として、食塩水を含むキュベットを使用した)。それぞれの薬剤に関するUV吸収パターンを生成し、最大値が発生した波長を次のインビトロの分析に使用した。ランバート・ベアの法則で吸光度を濃度に変換できるように、PBSに溶解しているそれぞれの薬剤に関する標準曲線を作成した。
【0276】
ポリマー/薬剤ペレットの作成
【0277】
溶媒キャスト法から400mgの50:50のPLGA及び100mgの薬剤から20質量%の薬剤を有する膜を作成した。ポリマー及び薬剤を45ミリリットル(mL)のアセトン(Fisher Scientific, Inc.)に溶解し、ボルテックスし、蒸発皿に流し、真空下(3インチHg)40℃で少量の気流を当てて乾燥させた。7日後にオーブンから前記皿を取り出した。蒸発後の残留物はポリマー及び薬剤の混合薄膜であり、その外観は均質であった。溶媒が完全除去されたことを確認するためにこの薄膜を丁寧に計量し、Teflon(登録商標)でコーティングされたペレットプレスを使用して、1mmの厚さ及び1.2mmの直径を有するディスク型のペレットに圧縮した(25キロポンド(klb)及び60℃で)。ペレットを丁寧に計量し、その密度を求めた。薬剤が0%である陰性対照も、同様な方法で500mgのポリマー(薬剤を使用せずに)から作成した。
【0278】
水における薬剤の溶解度
【0279】
0.5〜200mgの質量の薬剤を、質量が大きくなる順に10〜50mLの蒸留水を有する蓋の付いたガラス・ジャー(Wheaton, Inc.)に入れ、14日間21℃で穏やかに混合した。定期間隔で1mLのアリコートを採取して紫外分光法で最大飽和濃度を測定した。
【0280】
インビトロでの薬剤放出の分析
【0281】
互いに均質な4つのペレットから成るセットのそれぞれに関して分析を3重に行った。500mLのPBS溶液を有する蓋の付いた琥珀ガラスのジャー(Wheaton, Inc.)にそれぞれのペレットを加え、37℃暗下で穏やかに振った。定期間隔でそれぞれの溶液から1mLのアリコートを採取して紫外分光法で分析した。また、実験期間中の生理食塩水における各薬剤の安定性を評価するために、PBS及び10mgの薬剤を含む(20%の薬剤を含有する50mgのペレットの予想される最大放出量に相当する)陽性対照のジャーも使用した。
【0282】
6つの薬剤のPLGAマトリックスからの放出を調べた。図10には、ペレットから放出された薬剤の量(f)が時間(t)の関数としてプロットされている。長期には全ての薬剤が放出され、f=約1であった。放出された薬剤(Δf)及び時間(Δt)の間の線形関係からも明らかなように、この完全放出前の領域では、放出速度はかなり一定であった。
【0283】
これらの結果は、単一型の生分解性のポリマーによって線形パターンの薬剤放出を達成できることを示すものである。
【0284】
上記の薬剤放出の測定から他の2つの特徴が明らかになった。第1の特徴として、一部の薬剤(例えば、チオチキセン)が実験開始と共に放出されるのに対して、他の薬剤(例えば、ハロペリドール)は放出誘導期間(測定可能な量の薬剤放出が確認されない期間)を示した。また、定常放出(一定のΔf/Δt)では、それぞれの異なる薬剤は異なる放出速度を示した。したがって、定常状態における放出速度及び薬剤が放出された全期間の両方で違いが確認された。目視で観察すると、それぞれ異なる薬剤を含有するペレットが異なる速度で溶解し、異なる期間(UV分光法でf=約1になるまでの期間)の後には肉眼で見えなくなることがわかる。したがって、ポリマーからの薬剤の放出速度は、2つのグローバル・パラメータで特徴付けることができる。それらは、遅延期間(すなわち、定常状態の放出速度に達するまでの期間)及び定常状態における放出速度である。
【0285】
上記のマトリックスのそれぞれには同じポリマーが使用された。したがって、マトリックスの遅延期間及び定常状態における放出速度の相違は、マトリックスの薬剤成分によるものである。薬剤マトリックスの放出速度における相違は、ポリマーマトリックス内の薬剤の分散及び溶出速度、及び/又はポリマーの分解速度の相違による可能性がある。ペレットが異なる速度で消失することからわかるように、この実験で使用されたマトリックスのポリマーの分解速度は互いに異なる。したがって、薬剤は重合体の分解速度に影響する。
【0286】
組み込まれた薬剤のポリマー分解に対する効果を理解するために、本発明のデータに基づいて下記の分解プロセスのモデルを作成した。ポリマーマトリックスでの薬剤の移動度(拡散)は、ポリマーの分解速度と比較して無視できるほどかなり小さいと思われる。したがって、薬剤放出は主にポリマーの分解を介して生じる。ポリマーPLGAの乳酸及びグリコール酸への分解は水との反応を介して次のように起きる。
(C3H4O2)x(C2H2O2)y+2H2O→CH3CHOHCOOH+HCHOHCOOH
したがって、分解速度は、水分子の存在に依存する。水がペレットの中に拡散できないシステムでは、表面侵食が起きる。水のポリマーへの拡散性が高いシステムでは、バルク侵食が起きる。
【0287】
分解反応はポリマー及び水の間の一次反応であると思われる。したがって、2つの物質の局所濃度に比例する。しかしながら、ポリマーがペレットの大部分を構成するので、その濃度はあらゆる領域で固定されている。したがって、分解反応は、水の局所濃度に比例する(拡散率の関数)。ポリマーペレットへの水の拡散係数をDと定義すると、水に関する拡散/反応の方程式は下記の(1)となる。
但し、反応速度であるk(ポリマーの局所濃度を含む)は一定である。適切な境界条件では、粒子の境界における水の濃度は溶液値cw0によって調節され、最初(t=0において)は、粒子における水の濃度は0である。
【0288】
方程式(1)は、Dが0に近いシステムにおいて、水がポリマー粒子へ拡散することがなく、ペレット内のcwが0であり、全ての反応がポリマー/溶液の接触面で起きることを示す。反応速度と比較して拡散速度が大きいシステムでは、水は浸透し、バルク浸食で粒子全体を分解する。水の濃度プロファイルは、ペレットが半無限溶媒であると仮定することで求めることができる。拡散距離がペレットの大きさに比べて小さい最初の段階及び定常段階では、この仮定は適切である。
【0289】
ポリマー/溶液の接触面からの距離をxと定義すると、次の式が成り立つことが判明した。
任意の位置(x)で水と反応し、分解したポリマーの量は、下記の式(3.a)のように時間の積分で求めることができる。
但し、dMp(x,t)は、x点におけるポリマーペレットの質量の変化である。したがって、分解したポリマーの全質量は下記の式(3.b)で表される。
また、放出された薬剤の量Md(薬剤の拡散を無視して)は式(4)で表される。
但し、φは粒子中の薬剤の重量分率である。最初、tが小さいとき、Mdは下記の式(5.a)で表される。
一方のその後の時点での放出速度は下記の式(5.b)で表される。
【0290】
したがって、最初、放出された薬剤の量は時間の3/2乗にしたがって増加するが、その際の放出速度(傾き)は水の拡散係数Dのみに依存する。時間が経つにつれ、時間に対する薬剤の放出量は線形になる。このとき、システムは「定常状態」に達し、その際の分解速度及び放出される薬剤の量は時間に対して一定となる。したがって、放出速度は、拡散定数と反応定数との間の比によって変化する。
【0291】
方程式(4)によって表されるモデルは、図10に示されている6つの薬剤に関する薬剤放出データと合致する(ハロペリドール及びアスピリンのカーブは、図11に示す)。検査した薬剤が様々なので(ハロペリドール及びアスピリンは非常に異なる)、これは注目すべき結果である。後期で見られる値の逸脱は、ペレットの大きさが有限であることから生じた。
【0292】
したがって、生分解性のマトリックスからの薬剤の放出速度は、D及びkの2つのパラメータのみを含むモデルで求めることができる。
【0293】
≪実施例11:放出の方程式におけるパラメータD及びKは、薬剤の溶解度及びヒドロキシル基の密度から求めることができる。≫
【0294】
全ての薬剤に関して分解反応の係数であるパラメータkが1桁以内しか変化しなかった(0.05〜0.33)のに対して、拡散係数であるDが8桁変化したことが確認された(表2)。
【0295】
固体のポリマー媒体における分子の拡散定数は、D0e sup[−δε]で表される。但し、D0は比例係数、εは活性化エネルギー又は相互作用エネルギー、δはとりわけシステムの温度に依存する熱力学定数である。この場合、ポリマー・マトリックス及び温度は同じなので、全てのポリマー/薬剤ペレットに関してD0及びδは同じである。しかしながら、活性化エネルギーεは、拡散因子とマトリックスとの間の特定の相互作用に影響されやすく、したがって、薬剤の種類及びその搭載量(質量分率)によって異なる。また、水での薬剤(理想混合物と仮定して)の溶解度も、εで表すことができる。溶解度Sは、S0e−sup[−δε]に等しい。但し、S0は比例係数であり、σは熱力学定数である。D及びSの関係を組み合わせると、下記の関係が導かれる。
この場合、かっこ内の数式はシステムの定数である。
【0296】
図12に示されているように、溶解度のデータを方程式(6)に当てはめた。溶解度へのDの依存性は、指数法則で表され、その際の係数は約5.3である。
【0297】
結論として、20%の薬剤を含有するPLGAインプラントの定常状態における薬剤放出速度を予想するのに方程式(4)で表されるモデルを使用することができる。Dは溶解度の5.3乗に比例し、kは約0.05〜0.33の範囲内の数字である。
【0298】
≪実施例12:PLGAポリマーインプラントの薬剤放出の測定、並びに時間及びインプラントの特性に応じた血清中薬剤濃度≫
【0299】
実施例10〜11が分解及び放出速度に対する薬剤/ポリマー/水の相互作用の効果を調べることに焦点を当てたものであるので、元のモデルに無限に大きいインプラントが使用された。本実施例は、インビボでの薬剤の時間依存の濃度を説明するものである。そこで、(1)インプラントの有限サイズ及び(2)薬剤吸収及びクリアランス(代謝速度)を考慮するために、前モデルを改変した。インプラントからの薬剤の放出速度は、インプラントの表面積(SA)に比例する。インプラントの質量の変化に関して補正すると、インプラントのSAであるAを下記の方程式(7)で表すことができる。但し、R(t)は時間tにおけるインプラントの半径、R0は最初の半径、Dはマトリックスへの水の拡散の係数、kは反応速度、Cwは水の濃度である。
【0300】
したがって、方程式(8)にしたがって単位時間当たりの薬剤の放出速度を測定することができる。
但し、「erf(x)」は
である。
【0301】
リスペリドンの代謝速度は、血液中のこの薬剤の指数関数的な減衰として表すことができる。その場合、特有の減衰速度τは薬剤及び代謝速度によって異なる。したがって、薬剤の有効濃度に関して、方程式(9)で示す複雑な関数が得られる。この関数は非対称となる可能性があり、非対称の度合いは、所定の薬剤に特有の代謝時間であるτの値によって決まる。τの値が高いと、代謝速度が小さいことになるので、関数はより対称的となる。τの値が低いと、代謝が速くなり、ピークがt=0に接近するので、関数はさらに非対称になる。
【0302】
時間の関数としての薬剤の濃度は、複雑な関数である。誤差関数は、erf(x)〜1−e−7x/4として近似することができ、薬剤濃度に関する方程式(10)が得られる。a1はインプラント中の全薬剤含量に等しい定数であり、変数a2は代謝速度に等しい定数であり、変数a3はインプラントからの薬剤の拡散を示すものであり、変数a4はポリマーの分解を示し、全放出時間に影響するものである。本発明者らは、ウサギのハロペリドールのデータを当てはめることで、係数τ=約0.027であることを引き出した。これは、ウサギにおけるハロペリドールの血清中半減期が約130分であることを示し、文献「Wurzburger RJ, Miller RL et al, J Pharmacol Exp Ther 217: 757-763」で公開されたデータと一致する。この方程式は、0.87の相関係数(R2)でウサギのインビボのデータに適合する。
【0303】
≪実施例13:PLGAポリマーのインプラントからの薬剤放出に対するポリマーの組成及び固有粘度の効果の評価≫
【0304】
PLGAポリマーのインプラントからの薬剤放出に対するポリマーの組成及び固有粘度の効果を評価するために、実施例1〜7に記載されているようにポリマーの構成物及び固有粘度を変えた。
【0305】
≪実施例14:ヒトの対象に投与するリスペリドン・インプラントのスケールアップ≫
【0306】
リスペリドンの代謝は生物の種類によって異なる。ウサギ及びサルは、ヒトと同じ血漿中濃度のリスペリドンを得るためには、ヒトの約15〜30倍の投与量を必要とする(Bacopoulos NG, Redmond DE, et al, J Pharmacoll Exp Ther 212: 1-5; Jibiki I, Kubota T, et al., Jpn J Psychiatry Neurol 47: 627-629; Klintenberg R, Gunne L, Andren PB (2002) Mov Disord 17: 360-365)。したがって、上記の動物実験に使用された絶対投与量は、体重の違いに関わらず、ヒトに必要な薬剤量に近似する。リスペリドンをデボー製剤としてヒトに投与する際に約1mg/kg/月(一般的には、約1.8mg/日)の投与量が必要となるので、600mgのリスペリドンを含有するインプラント・システムを50kgの患者に投与すると、この患者は1年分の治療を受けることになる。したがって、動物実験で使用されるインプラントの設計では、リスペリドンを1年間投与するために40%のリスペリドンを含有するインプラントが1.5グラム必要となる。1.2g/ccの密度及び3.6mmの直径を有する棒状のインプラントを使用する場合は、このインプラントの長さは約6.5cmである必要がある。
【0307】
下記のパラメータ内のリスペリドン・インプラントをヒトに投与する。
薬剤の搭載量は約30〜60%
PLA:PGAのモル比は約50:50〜100:0
形状は棒状
SA:Vの比は約1.5〜2
【0308】
例えば、3〜5mmの長さ及び2〜3.6mmの直径を有する棒状のインプラントは、目的のSA:Vを示す。1つ以上のインプラントを投与すると、実施例2で見られるように、リスペリドンのレベルは約6ヶ月目にピークに達し、インプラント投与後の2〜8ヶ月間に治療レベルが達成される(図13A)。
【0309】
≪実施例15:リスペリドン・インプラントのサイクル投与により、長期にわたって治療レベルのリスペリドンを実現することができる。≫
【0310】
約6ヶ月ごとに新しいセットのインプラントを導入することによって、実施例14に記載の対称的な放出特性を利用して長期に治療レベルの薬剤を提供することができる。例えば、長さが3.2cmであり、100%のPLAを有する2つの棒状のインプラントを6ヶ月ごとに投与する。図13Cに示されているように、後に投与されたインプラントのセットによる薬剤レベルは、前に投与されたインプラントのセットによる薬剤レベルが減少する速度と同じ速度で増加する。
【0311】
≪実施例16:最初のインプラント投与の際に、薬剤をより速く放出するポリマーを使用することで初期の薬剤レベルを高めることができる。≫
【0312】
単一ポリマーのシステムにおける欠点は、最初のインプラント投与後に治療レベルに達するまでに時間がかかるということである。したがって、最初のインプラント投与の際に、より速く薬剤濃度を上げる別のインプラントを使用する。表4に記載されている1つ以上のインプラントが使用される。表4に記載されている速放出型のインプラントの放出速度及びその結果生じる血清中濃度は、方程式8〜10のa1及びa4のパラメータ(薬剤含量(全投与量)及びポリマーの分解(PLGA比及び固有粘度)に関連する)を変えることで求めることができる。
【0313】
表4.最初のインプラント投与の際に使用される別のポリマーインプラント。インプラントは、40〜60%のリスペリドンを含み、0.15mg/日の送達量を示す。各棒状インプラントは、3.6mmの直径及び1立方センチメートル当たり1.2グラム(g/cc)の密度を有し、約125mg/cmである。
【0314】
例えば、図14Aでは、約4、8、16、及び12週間の半減期、並びにそれぞれ約4、8、及び24週間の放出期間を示す4つの速放出型インプラントからの放出パターンが示されている。例えば、最初の6ヶ月間の半分に必要な薬剤を含むインプラントのセットは、平均の長さが0.8であり、それぞれ50:50、65:35、75:25、及び85:15のPLGAから成る4つインプラントを含む。このセットを、残りの半分の薬剤を提供する遅放出型のインプラントと組み合わせて投与する。インプラントのこの組み合わせを最初に投与するとき、インプラント投与後の数日以内に薬剤が治療レベルに達し、遅放出型のインプラントを6ヶ月間隔で投与することによって無限にこのレベルを維持することができる(図14)。
【0315】
≪実施例17:滅菌及び生分解性のPLGA−リスペリドンのインプラントは、リスペリドンを長期に放出する。≫
【0316】
滅菌リスペリドン・インプラントのインビトロでの放出特性を見た。図17に示されているように、0〜58日間にインプラントから薬剤が放出され、その後、薬剤が放出されることはなかった。したがって、滅菌PLGA−リスペリドン・インプラントは、本発明の方法に適切な放出特性を提供する。
【0317】
滅菌インプラント及び非滅菌インプラントの特性をさらに調べるために、実施例5に示されている方法を使用してマウスに滅菌又は非滅菌PLGA−リスペリドン・インプラントを投与した。14、27、56、又は83日後にインプラントを取り出し、マウスを屠殺し、血清中のリスペリドンの濃度を測定した。56日以内に屠殺された最初の3つの群では、血清中リスペリドン濃度は、14日目には7〜10ng/mlであり、27及び56日目には15〜20ng/mlまでに増加した。83日目にインプラントを取り除いたとき、血清中に検出可能な薬剤が確認されなかった(図18)。これは、インビトロにおける放出パターン(上記の実施例)及びリスペリドンの残存量に関する結果(下記の実施例)と一致する。
【0318】
要約すると、滅菌及び非滅菌インプラントは、56日間に薬剤を送達し、83日目までに完全に分解することなく、取り出し可能な状態を維持していた。したがって、滅菌及び非滅菌インプラントの間には著しい差は見られなかった。よって、上記の実施例で示されたインプラントの全ての特性は、滅菌及び非滅菌インプラントに当てはまるものである。
【0319】
≪実施例18:取り出した後のインプラントの残存量≫
【0320】
前の実施例において、マウスからインプラントを取り出した際にリスペリドンの残存量を測定した。図19に示されているように、インプラントに搭載されている薬剤のパーセンテージは初期値である30%から時間と共に減少した(すなわち、ポリマーの分解速度よりも速い速度で薬剤が放出された)。したがって、インプラントは、薬剤が放出された期間をかなり過ぎた後も完全に分解することがなく、取り出し可能な状態を維持していた。これは、本発明に係るインプラントを、薬剤放出期間の所望の時点で取り出すことができることを意味する。しかしながら、本発明に係るインプラントは生分解性であるために、取り出す必要はない。
【0321】
≪実施例19:インビトロにおける低pHでのリスペリドンの安定性≫
【0322】
低pHの環境がリスペリドンに影響を与えるか否かを確認するために、リスペリドンを4.4〜7.4のpHで172日間保存したところ、完全に安定していたことが判明した(図20)。リスペリドンを2.0及び3.0のpHで68日間保存しても、同様な結果が観察された。したがって、リスペリドンは中性のpH及び低pHでは安定する。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】霊長類にハロペリドールのインプラントを施し、長期(443日)にわたってハロペリドールを検出する様子を示すである。
【図2A−B】(A)手術する際のウサギにおけるインプラントの設置を示す写真である。連結されているインプラント(白い矢印)が示されている。撮影しやすくするために大きく切開した。(B)2つの止血鉗子の間の連結位置で分解したインプラント(黒の矢印)を示す解剖写真である。インプラントを取り出した際に線維症は観察されなかった。両方の写真のスケール・バーは20mmである。
【図2C】DMSO−d6におけるPLA及び40%(w/w)のハロペリドールの混合物の1HNMRスペクトルを示す図である。差し込み図はハロペリドール及びPLAの化学構造を示すものである。
【図2D】DMSO−d6におけるウサギの試料。ピークは、対照スペクトルで見られたハロペリドールのピークと一致する。
【図2E】クロロホルムにおけるウサギの試料。0.9、1.2、3.9、及び4.5におけるピークは、PLAの分解産物である乳酸に対応する。
【図3A】ウサギにおけるポリマーインプラント(複合ポリマー・システム)から放出されたハロペリドールの血清中濃度を示す図である。5羽のウサギに関する平均値±標準誤差が表示されている。データはトレンドラインと共に示されている。
【図3B】ビットにおけるポリマーインプラント(単一ポリマー・システム)から放出されたハロペリドールの血清中濃度を示す図である。5羽のウサギに関する平均値±標準誤差が表示されている。データはトレンドラインと共に示されている。
【図4】ディスク状及び棒状のインプラントによるインビトロでの濃度の蓄積を示す図である。各点は、ディスク状又は棒状のインプラントに関して3回行われた分析のデータの平均値を表す。
【図5A】生理水溶液におけるリスペリドンの安定性を示す図である。リスペリドンの残量対時間のグラフである。y切片は、10.23mg(HPLCで得られた値)及び10.23mg(紫外分光法で得られた値)を示すものである。同様に、HPLCで得られた切片の傾きは0.01であり、紫外分光法で得られた切片の傾きは0.00である。
【図5B】Aにおける陽性対照の値、並びに表面積の体積に対する比に関する分析(図6B)における試料の値をHPLC及び紫外分光法で分析し、比較した。これらの方法における相関係数は0.99(182試料)である。これは、紫外分光法がインビトロの水溶液における薬剤レベルを測定する正確な方法であることを示す。
【図6A】Aポリマーの構成の影響を示す図である。20%のリスペリドンと50:50、65:35、又は75:25のPLGAとを含むインプラントからの放出で蓄積するリスペリドンの量を示す。データは、蓄積量/全放出量で表されている。各点は、3つのインプラントに関する平均値±標準誤差(SEM)を表す。全放出は、それぞれ、約40、80、120日目に起きた。
【図6B】SAの体積に対する比の影響を示す図である。28〜44日目の間で、より小さな半径を有する(したがって、SA:Vの比がより大きい)棒状インプラント(丸印)がより大きな半径を有する棒状インプラント(三角印)よりも高い蓄積濃度を示すことから分かるように、インビトロでは、より小さな半径を有する棒状インプラントは、より大きな半径を有する棒状インプラントよりも速く薬剤を放出する。点は、4つの棒状インプラントから得られた平均値±標準誤差を表す。データは、HPLC及び紫外分光法で分析され、図5と同様に同じ結果を示した。
【図7A】85:15のPLGAと、10、20、30、40、50、又は60重量%のリスペリドンとを含むインプラントからのインビトロでの放出によるリスペリドンの蓄積を示す図である。この図では、インビトロ水溶液におけるリスペリドンの蓄積質量(平均値±標準誤差)を示す。
【図7B】明確にするために、40%のリスペリドンを含むインプラントの放出パターンのみを示す図である。パターンをさらに明らかにするために、0.99の相関係数を有するトレンドラインも示されている。
【図7C】薬剤の搭載量に応じた放出パターンの比較を容易にするために、30、40、50、及び60%のリスペリドンを含むインプラントからの累積放出量を、全薬剤量に対するパーセンテージで示す図である。各種類のインプラント平均値も示されている。これらの4つのインプラントのそれぞれに関するトレンドラインの相関係数(R2)は0.99であった。見やすくするために、10%及び20%の薬剤を含むインプラントに関する曲線を省略した。
【図7D】さらに明確にするために、40%の薬剤を含むインプラントに関する曲線のみが示されている。
【図8A】リスペリドンが驚愕の程度を増加させないことを示す図である。リスペリドン・インプラント投与の14及び21日後には、驚愕の程度に関して差がほとんど見られない。
【図8B】リスペリドンがPPIを増加させることを示す図である。リスペリドン・インプラント投与の14及び21日後には、リスペリドン・インプラントによってPPIが増加する(p=0.052)。
【図9A】リスペリドンが、C57BL/6JのマウスにおいてP20を増加させる(p=0.03)ことを示す図である。
【図9B】リスペリドンが、C57BL/6JのマウスにおいてアンフェタミンによるN40の減少を低下させる(p=0.02)ことを示す図である。
【図10】時間に応じた薬剤の放出量(全量に対する)を異なる薬剤に関して示した図である。全ての放出パターンがS字型であったが、初期放出の領域における放出速度、一定の放出領域(Δf/Δtが一定の領域)における傾き、及び全放出(f=1)にかかった期間はかなり異なっていた。
【図11】ハロペリドール(A)及びイブプロフェン(B)のデータを、方程式4に当てはめる(パラメータD及びkを使用して)際に得られるグラフを示す図である。(A)kは約0.1(1/日)であり、Dは0.045である。(B)kは約0.164(1/日)であり、Dは0.051である。
【図12】14日後の水における薬剤の最大溶解度(mg/mL)と、ポリマー/薬剤の複合体への水の拡散の係数であるDとの関係を示す図である(図10のデータを方程式4に当てはめることで計算した)Dは、溶解度の5.3乗に比例する。
【図13A】1つ以上の単一ポリマーのインプラントから放出される薬剤の血清中濃度のパターンを示す図である。
【図13B】4つの単一ポリマーインプラントのシステムを投与する際の複数の放出パターンを示す図である。尚、インプラントは6ヶ月ごとに投与される。矢印はインプラントの投与を示す。
【図13C】個々のインプラントからの薬剤の放出(点線)が重複することによって生じる全血清中薬剤濃度が実線で示されている。薬剤レベルは多少変動するが、任意のインプラントによって薬剤の濃度のピークが発生する時点付近で他のインプラントを投与する限り、目的の薬剤濃度は維持される。矢印はインプラントの投与を示す。
【図14A】4つの速放出型のインプラントのセットによって発生する血清中薬剤濃度を示す図である。
【図14B】5つのポリマー・システムによって発生する血清中薬剤濃度を示す図である。これらのポリマー・システムでは、4つの速分解型のポリマー・システム(スターターセット)が、維持セットとして6ヶ月ごとにインプラントされる長期間持続型のポリマーの1つと組み合わされる。全薬剤濃度は実線で示されており、個々のポリマーからの放出パターンは点線で示されている。約1週間で目的の薬剤レベルに達することができ、その後、薬剤レベルは多少変動する。
【図15】棒状のインプラントの挿入及び取り出しを示す写真である。(A)4mmの穴を介した1cmの棒状インプラントの挿入を示す写真である。(B)トロカールを使用して4mmの穴を通じて1cmのインプラントを挿入する様子を示す写真である。(C)一重縫合で閉じた後のインプラント部位を示す写真である。(D)10分後のマウス(ケージの中)の様子を示す写真である。尚、マウスには苦痛の兆候が見られなかった。(E)インプラント投与の2週間後のマウスを示す写真である。インプラント部位は完全に治癒し、苦痛又は有害性が確認されなかった。(F)インプラントの取り出しが可能であるかどうかを確認するために、インプラント投与の2又は4週間後に、サブセットのマウスからインプラントを取り出した。(G)各時点でインプラントを容易に取り出すことができ、インプラントが付着する、又は傷が形成されることはなかった。矢印は、取り出されたインプラントを示す。(H)インプラントを除去した10分後のマウスのケージ内での様子を示す写真である。その後、これらのグループのマウスを屠殺し、血清中リスペリドン及び9−OHのレベルを測定した。無菌のリスペリドン・インプラントによる血清中リスペリドンのレベルは、インプラント投与の2週間後には7.3であり、4週間後には12.8であった。
【図16】本発明の代表的な棒状、ディスク状、及びシリンダー状のインプラント(これらのリストは制限するものではない)の断面形状を示す図である
【図17】インプラントによるインビトロのリスペリドン濃度。値は平均値±標準誤差として示されており、n=4である。
【図18】マウスにおける、各時点での滅菌インプラント(S)及び未滅菌インプラント(U)の放出パターンを示す図である。
【図19】マウスから取り出されたインプラントにおけるリスペリドンの含量(インプラントの質量に対するパーセンテージとして表されている)。
【図20A】pH7.4、6.4、5.4、及び4.4の水溶液におけるリスペリドンの安定性を示す図である。全ての試料は安定していた。尚、検査の77日間には、薬剤の質量は、極わずかにしか変化しなかった(pH7.4に関しては0.06%、pH6.4に関しては0.04%、pH5.4に関しては0.10%、pH4.4に関しては0.00%)。(
【図20B】pH2.0〜7.4におけるリスペリドンの安定性を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持する、治療薬剤を実質的に線形速度で放出する、並びに、本発明に係るインプラントを使用して統合失調症及び他の疾患を治療するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
服薬の不履行は、統合失調症の再発における最も決定的な要因である。そのため、対象の長期間の服薬継続を助ける治療方法が、実質的に臨床成果を向上させる。従来の統合失調症用の治療薬剤(例えば、リスペリドン)を投薬する方法は、前記薬剤の1ヶ月間又はそれ以下の期間の投与量しか提供しない。したがって、リスペリドン及び他の薬剤の治療レベルを提供する方法が当該技術分野で求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持する、治療薬剤を実質的に線形速度で放出する、並びに、本発明に係るインプラントを使用して統合失調症及び他の疾患を治療するための方法を提供する。
【0004】
ある実施形態では、本発明は、生分解性インプラントであって、(a)当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含むインプラントを提供する。
【0005】
他の実施形態では、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヶ月維持するための方法であって、前記対象に、(a)前記個々のインプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)前記個々のインプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーを含み、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が、実質的に互いに異ならない1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを投与する投与ステップを含む方法を提供する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持するための方法であって、(1)(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有する生分解性インプラントの初期セットを、前記対象に投与する投与ステップと、(2)前記対象に、前記生分解性インプラントの初期セットの放出ピーク時点の近くで、前記生分解性インプラントの初期セットの前記個々の生分解性インプラントとPLA:PGAモル比が同等の追加的な個々の生分解性インプラントを含有する1つ以上の生分解性インプラントの維持セットを投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なり、そのことによって、対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含有するポリマーとを含むインプラントを提供する。また、本発明は、対象における治療薬剤の治療レベルを維持するための方法であって、前記治療薬剤を実質的に線形速度で放出することにより、統合失調症及び他の疾患を治療する方法を提供する。
【0008】
ある実施形態では、本発明は、服薬不履行の可能性が高い疾患における薬剤服用順守を向上させるための、埋め込み型の長期間薬剤送達システムを提供する。前記送達システムは、ある実施形態では、埋め込み可能な棒状構造体内で治療薬剤を含み、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象の薬剤服用順守を向上させる。
【0009】
「埋め込み可能(implantable)」という用語は、様々な実施形態では、対象の例えば、皮下、筋肉内などに挿入可能な組成物を含む。さらなる実施形態では、埋め込み可能な組成物は、取り出し可能でもある。
【0010】
「長期間」という用語は、様々な実施形態では、約3ヵ月以上の期間、約4ヵ月以上の期間、約5ヵ月以上の期間、約6ヵ月以上の期間、約7ヵ月以上の期間、約8ヵ月以上の期間、約9ヵ月以上の期間、約10ヵ月以上の期間、約11ヵ月以上の期間、約1年以上の期間、又はそれ以上の期間を含む。
【0011】
「長期間送達システム」は、ある実施形態では、対象に一旦投与されると、目的の治療薬剤を、服薬不履行の可能性が高い疾患の治療に効果的な用量で、対象に徐々に送達するシステムを含む。前記薬剤は、他の実施形態では、3ヵ月以上の期間、約4ヵ月以上の期間、約5ヵ月以上の期間、約6ヵ月以上の期間、約7ヵ月以上の期間、約8ヵ月以上の期間、約9ヵ月以上の期間、約10ヵ月以上の期間、約11ヵ月以上の期間、約1年以上の期間、又はそれ以上の期間に渡って送達される。
【0012】
「薬剤服用順守の向上」という表現は、ある実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患の対象が、前記疾患を治療するために目的の治療薬剤を服用する回数の割合の向上を意味する。
【0013】
「服薬不履行の可能性が高い疾患」という表現は、ある実施形態では、例えば、統合失調症、双極性障害、認知症、精神錯乱、衝動調節障害、精神病的な憂うつ、薬物中毒などの精神病性障害を含む。また、「服薬不履行の可能性が高い疾患」は、ある実施形態では、患者の服薬不履行率が高い疾患である。前記表現は、他の実施形態では、患者の判断や精神能力に影響を及ぼす疾患を含む。また、前記表現は、他の実施形態では、対象の服薬履行率が低い(例えば、様々な実施形態では、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満である)疾患を含む。
【0014】
「治療薬剤」という用語は、ある実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患を治療するのに使用される薬剤を含む。他の実施形態では、前記治療薬剤は、低pH環境において溶解度の増加を示す。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗うつ剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗不安剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、抗精神病剤である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、避妊剤ある。
【0015】
「溶解度の増加」は、他の実施形態では、中性pHでの、溶解度の少なくとも10%以上の増加を意味する。他の実施形態では、前記表現は、中性pHでの、溶解度の少なくとも20%以上の増加を意味する。他の実施形態では、前記増加は少なくとも30%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも40%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも50%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも60%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも70%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも80%である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも100%(2倍)である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも3倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも4倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも5倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも6倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも8倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも3倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも10倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも15倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも20倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも30倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも40倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも50倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも70倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも100倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも150倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも200倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも300倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも500倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも1000倍である。他の実施形態では、前記増加は少なくとも1000倍より大きい。他の実施形態では、前記薬剤は、中性pHでは、無視できるほど低い溶解度を示す。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0016】
「低pH環境」は、他の実施形態では、5.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.5未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.0未満のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、5.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、4.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、3.0のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.5のpHを意味する。他の実施形態では、前記表現は、2.0のpHを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、生分解性インプラントであって、(a)当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含有し、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含む生分解性インプラントを提供する。
【0018】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、滅菌インプラントである。他の実施形態では、前記インプラントは、滅菌する必要はない。他の実施形態では、前記インプラントは、実質的に無菌である。他の実施形態では、前記インプラントは滅菌されている。他の実施形態では、前記インプラントは無菌であるが、滅菌カバーを取り外して埋め込むまでの間に、微量の汚染物質が導入される場合がある。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0019】
ここで使用される「生分解性」という用語は、ある実施形態では、生物学的環境で分解される材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生物学的環境で有限の半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生物学的環境で測定可能な半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で分解される材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で有限の半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、生命有機体の内部で測定可能な半減期を有する材料を意味する。他の実施形態では、「生分解性」は、「生体内分解性」と同意味である。
【0020】
ある実施形態では、前記半減期は、1ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、2ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、3ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、4ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、5ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、6ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、8ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、10ヵ月以下である。他の実施形態では、前記半減期は、1年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、1.5年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、2年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、3年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、4年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、5年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、7年以下である。他の実施形態では、前記半減期は、10年以下である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0021】
「ポリマー」は、ある実施形態では、個々の単位又はモノマーから成る高分子を意味する。他の実施形態では、前記ポリマーは、分岐ポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、線状ポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、架橋されたポリマーである。他の実施形態では、前記ポリマーは、当該技術分野で公知の他の種類のポリマーである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0022】
PLAポリマーはPLAのモノマーのみを含むが、PLA:PGAポリマーはPLA及びPGAのモノマーを含む。PLAポリマー及びPLA:PGAポリマーの使用及び合成方法は、当該技術分野で公知であり、例えば「Macromol Biosci 5(1): 21-9, 2005(Fukushima K et al)」、「Macromol Biosci 15;4(3): 232-7, 2004(Saulnier B et al)」及び「J Colloid Interface Sci 27 1(2): 336-4 1, 2004(Park SJ et al)」に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0023】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、棒状である。ここに記載されているように、本発明の結果は、リスペリドン及び他の薬剤の長期間の送達を提供するために、棒状のインプラント並びにディスク状のインプラントを使用できることを実証している。他の実施形態では、前記インプラントは、ディスク状である。他の実施形態では、前記インプラントは、円筒状である。他の実施形態では、前記インプラントは、シートである。他の実施形態では、前記インプラントは、生体組織(例えば、皮下組織)内に保持されるのに適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、皮下腔内での構造的安定性に適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、皮下腔内での耐性に適切な任意の形状を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、当該技術分野で公知の任意の形状を有する。
【0024】
「棒状」は、ある実施形態では、その断面が実質的に円形であり、その長さが前記断面の直径の少なくとも2倍である形状を意味する。他の実施形態では、前記断面の形状は、本発明の断面形状の他のいずれかである。他の実施形態では、前記長さは、少なくとも前記断面の直径と同程度である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.1倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.2倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.3倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.4倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.5倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.6倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.7倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.8倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の1.9倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の2.2倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の2.5倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の3倍である。他の実施形態では、前記長さは、前記断面の直径の4倍である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0025】
「ディスク状」は、ある実施形態では、実質的に円形で平らな形状を意味する。他の実施形態では、前記形状は、長円形、正方形、長方形などである。厚さは、ある実施形態では、円形、長円形などの直径未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記形状の直径の0.9倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.8倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.7倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.6倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.5倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.4倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.3倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.2倍未満である。他の実施形態では、前記厚さは、前記直径の0.1倍未満である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0026】
ある実施形態では、ここに記載した棒状、ディスク状、円筒状は、実質的に円形の断面形状を有する。他の実施形態では、前記断面の形状は楕円形である。他の実施形態では、前記楕円形は、その周縁が円形である必要はない。他の実施形態では、前記断面形状は、図16に示した形状のいずれかである。他の実施形態では、前記断面形状は、当該技術分野で公知の他の形状である。本発明では、インプラントからの薬剤の放出速度がインプラントの表面積に比例することが示されている。したがって、ある実施形態では、表面積を一定に保つことにより放出速度を変更することなく、所望の性質を付与するためにインプラントの形状を改変することができる。また、本発明では、インプラントからの薬剤の放出期間は、インプラントのSA:Vの比に比例することが示されている。したがって、ある実施形態では、SA:Vの比を一定に保つことにより放出期間を変更することなく、所望の性質を付与するためにインプラントの形状を改変することができる。各形状は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0027】
「実質的に円形」は、他の実施形態では、いずれの断面においても長径が短径の150%未満である円又は円様形状を意味する。他の実施形態では、いずれの断面においても長径は短径の145%未満である。他の実施形態では、前記割合は、140%である。他の実施形態では、前記割合は、135%である。他の実施形態では、前記割合は、130%である。他の実施形態では、前記割合は、125%である。他の実施形態では、前記割合は、120%である。他の実施形態では、前記割合は、115%である。他の実施形態では、前記割合は、110%である。他の実施形態では、前記割合は、105%である。
【0028】
他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の150%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の145%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の140%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の135%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の130%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の125%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の120%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の115%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の110%以下である。他の実施形態では、前記最長径は、前記最短径の105%以下である。
【0029】
他の実施形態では、最長径の最短径に対する比は、実質的に円形な形状と両立する他の比である。他の実施形態では、前記割合は、実質的に円形な形状と両立する他の割合である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0030】
他の実施形態では、前記断面積は、本発明の棒状、ディスク状及びシリンダー状のインプラントの長さに渡って実質的に一定である。他の実施形態では、前記断面積は一定ではない。他の実施形態では、前記断面寸法は、本発明に係る棒状、ディスク状、及びシリンダー状のインプラントの長さに渡って実質的に一定である。他の実施形態では、前記断面寸法は一定ではない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0031】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントの断面形状は、長方形である。他の実施形態では、前記断面形状は正方形である。他の実施形態では、前記断面形状は、当該技術分野で公知の他の形状である。
【0032】
他の実施形態では、インプラントは、一体型である。他の実施形態では、インプラントは、互いに融合させた複数個(10個以下)の構成要素から成る。他の実施形態では、前記構成要素は、互いに連結している。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0033】
上記した全体形状及び断面形状のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0034】
インプラントの挿入方法は、当該技術分野では公知である。ある実施形態では、インプラントは、「トロカール」と呼ばれる手術器具を使用した最小の侵襲性の処置により挿入される。他の実施形態では、前記インプラントは、ノルプラント(Townsend S "Insertion and removal of Norplant" Netw Fr 6: 8-9, 1991)に使用されるのと同様の処置又は器具セット(トロカール及び栓子)を使用して挿入される。他の実施形態では、棒状のインプラントは、挿入が容易である、及び挿入後の不快感がないという利点を有する(図15)。他の実施形態では、棒状のインプラントは、インプラントの挿入に必要とする切開が小さいという利点を有する(例えば、様々な実施形態では、約2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、又は7mmである)。他の実施形態では、このインプラントは、外来患者に埋め込むことができるという利点を有する。前記切開部位は、他の実施形態では、一重縫合又はステリストリップ(steristrip)で閉じられる(図15)。他の実施形態では、前記インプラントは、当該技術分野で公知の他の外科方法によって挿入される。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0035】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、患者が数週間ごとに注射を受ける必要がないので、患者の薬剤服用順守が増加するという利点を有する。他の実施形態では、前記インプラントは、患者の自律性が高まるという利点を有する。他の実施形態では、このインプラントは、投与部位における不快感がないという利点を有する。
【0036】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、送達期間中における体温下で安定するという利点を有する。
【0037】
他の実施形態では、前記インプラントは、完全に浸食されるので、残留物質を取り出しする必要がないという利点を有する。ある実施形態では、前記侵食は、主に表面侵食である。他の実施形態では、前記侵食は、主にバルク侵食である。他の実施形態では、前記侵食は、相当量の表面侵食及びバルク侵食の組み合わせである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0038】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、容易にその設置場所を特定し、必要に応じて取り出すために、繋留される(図2)。ここに記載されているように、この取り出し方法は、マウス及びラットにおいて成功裏に試験された。他の実施形態では、インプラントを触診した後に小さい切開を形成し、鉗子を使用してインプラントの残留物質を取り出す。
【0039】
他の実施形態では、前記インプラントは、取り出し可能である。「取り出し可能」は、ある実施形態では、前記インプラントを外科的手段又は他の手段によって取り出せることを意味する。他の実施形態では、「取り出し可能」は、前記インプラントの残存物を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「取り出し可能」は、前記インプラントの残存物の大部分を取り出せることを意味する。ある実施形態では、前記インプラントは、インプラント内の薬剤に対する有害反応が原因で取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、医師の決断によって取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、患者の決断によって取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤の過剰摂取が原因で取り出される。他の実施形態では、前記インプラントは、一連の治療の中止が望ましい他の理由によって取り出される。ここで説明するように(図15)、本発明に係るインプラントは、取り出しが容易であり、薬剤送達期間を通じて凝集を維持している。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間中を通じて取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて容易に取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間を通じて容易に取り出し可能である。他の実施形態では、前記インプラントは、薬剤送達期間を通じて凝集している。他の実施形態では、前記インプラントは、検出可能な薬剤送達期間を通じて凝集している。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0040】
「容易に取り出し可能」は、他の実施形態では、鉗子又は同様の器具を使用して、取り出せる能力を意味する。他の実施形態では、前記表現は、強い吸引力を用いずに取り出せる能力を意味する。他の実施形態では、前記表現は、周囲組織を取り出す必要がなく、取り出せる能力を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0041】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、ポリマーが構成要素モノマーに分解されるときに内部pH環境が低下するという利点を示す。他の実施形態では、前記した分解に伴うpH低下は、中性pHでは不溶性(そのため、前記インプラント内にロックされている)でありpHが低下すると溶解度が増加する薬剤及び活性物質の時間依存性放出を増大させる。他の実施形態では、前記インプラントにおいて、低pHで薬剤の溶解度が増加したときに、薬剤放出が増大する。他の実施形態では、前記インプラントにおいて、酸性pKaのときに、薬剤放出が増大する。他の実施形態では、前記時間依存性放出が増大すると、化合物の体循環への放出が増加する。
【0042】
他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、ハロペリドールである。他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、pH依存溶解度を有する前記薬剤は、当該技術分野で公知の薬剤である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0043】
他の実施形態では、分解に伴いpHが低下すると、ポリマーの時間に対しての分解速度が増加する。他の実施形態では、前記した分解に伴うpH低下は、結果的にポリマーの分解の自己触媒をもたらす。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0044】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、分解に伴いpHが低下するという利点を示す。この利点は、少量の投与形態(例えば、微小粒子)では観察されない。
【0045】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物で使用されるポリマーは、PLAを含むが、PGAは含まない。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAとPGAとを含む。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAのみから成る。他の実施形態では、前記ポリマーは、PLAとPGAとから成る。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0046】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントの薬剤搭載量は、30〜60%である。ここで説明する(実施例7)ように、本発明の結果は、生分解性インプラントの薬剤搭載量における特定の範囲の有効性を実証している。「薬剤搭載量(drug load)」は、ある実施形態では、インプラント内の薬剤の質量パーセントを意味する。他の実施形態では、「薬剤搭載量」は、前記薬剤の重量パーセントを意味する。他の実施形態では、例えば、前記治療薬剤及び前記ポリマー以外の他の物質が前記インプラント内に存在する場合は、薬剤搭載量は前記他の物質のことを考慮せずに計算される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0047】
他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、約40〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、1〜5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、2〜5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜10%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜15%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、65〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70〜75%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、75〜80%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、80〜85%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、85〜90%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、90〜95%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、95〜99%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜15%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70〜80%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、80〜90%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、90〜99%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、55〜70%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5〜25%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10〜30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、15〜35%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20〜40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、25〜45%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30〜50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、35〜55%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40〜60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、45〜65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50〜70%である。
【0048】
他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、2%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、3%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、5%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、6%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、8%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、10%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、12%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、14%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、16%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、18%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、20%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、22%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、24%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、26%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、28%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、30%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、32%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、34%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、36%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、38%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、40%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、42%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、44%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、46%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、48%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、50%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、52%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、54%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、56%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、58%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、60%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、65%である。他の実施形態では、前記薬剤搭載量は、70%である。各薬剤搭載量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0049】
本発明に係る方法及び組成物を説明するのに使用された数値範囲及び他の範囲は、境界値を包含することを理解されたい。前記範囲内の数値又は数値の組み合わせのそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0050】
「治療薬剤」は、ある実施形態では、対象に投与したときに任意の種類の治療効果又は有益な効果を示す、任意の薬剤又は化合物である。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラント内に含有されている前記治療薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、9−OHリスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、チオチキセンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ハロペリドールである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、コルチコステロンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、イブプロフェンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、アスピリンである。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ピモジド(pimozide)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、アリピプラゾール(aripiprazole)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、オランザピン(olanzapine)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、ドネペジル(donepezil)である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、当該技術分野で公知の他の治療薬剤である。
【0051】
PLAポリマー及びPLA:PGAポリマーは、ある実施形態では、前記ポリマーに組み込む前に、前記薬剤を化学的に改変する必要がないという利点を示す。前記薬剤は、ポリマーマトリックスに物理的に混入するだけでよい。したがって、様々な治療薬剤を組み込むことができる。
【0052】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、ドーパミン作用剤である。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、アゴニストである。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、アンタゴニストである。他の実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、半アゴニストである。ある実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、モノアミン再取り込み阻害剤である。ある実施形態では、前記ドーパミン作用剤は、モノアミン取り込み促進剤である。
【0053】
別の実施形態では、前記治療薬剤は、次の薬剤の1つである、又は次の薬剤分類の1つに属するものである。降圧剤、抗うつ剤、抗不安剤、抗凝固剤、抗けいれん剤、血糖降下剤、充血除去剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗炎症剤、抗精神病剤、向知性剤、コレステロール降下剤、抗肥満剤、自己免疫疾患治療剤、性的不能治療剤、抗菌剤及び抗真菌剤、催眠剤、抗パーキンソン病剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗新生物剤、鎮静剤、栄養剤、βブロッカー、吐剤、抗吐剤、利尿剤、抗凝血剤、強心剤、アンドロゲン、コルチコイド、同化剤、成長ホルモン分泌促進剤、抗感染症剤、冠血管拡張剤、炭酸脱水酵素阻害剤、抗原虫剤、胃腸剤、セロトニン拮抗剤、麻酔剤、血糖降下剤、抗アルツハイマー病剤、抗潰瘍剤、抗血小板剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、及びホスホジエステラーゼ阻害剤。
【0054】
別の実施形態では、前記治療薬剤は、次の薬剤の1つである。クロルプロパミド、フルコナゾール、アトルバスタチン・カルシウム、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ドキセピン、ベシル酸アムロジピン、ピロキシカム、セリコキシブ、バルジコキシブ、カルベニシリンインダニルナトリウム、塩酸バカンピシリン、トロレアンドマイシン、及びドキシサイクリンハイクレート。
【0055】
別の実施形態では、治療薬剤は、次の薬剤の1つである、又は次の薬剤分類の1つに属するものである。白金化合物(例えば、スピロプラチン、シスプラチン、及びカルボプラチン)、メトトレキサート、フルオロウラシル、アドリアマイシン、マイトマイシン、アンサミトシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトポリリシン、ビンクリスチン、ブスルファン、クロラムブシル、メルファラン(例えば、PAM、L−PAM又はフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジン・ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、パクリタキセル及び他のタキセン、ラパマイシン、マニュマイシンA、TNP−470、プリカマイシン(ミトラマイシン)、アミノグルテチミド、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)エルウィニアアスパラギナーゼ、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、テニポシド(VM−26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、及びダカルバジン;分裂抑制剤(例えば、エトポシド、コルヒチン、及びビンカアルカロイド)、放射性医薬品(例えば、放射性ヨウ素及びリン製剤);ホルモン(例えば、プロゲスチン、エストロゲン及び抗エストロゲン);駆虫剤、抗マラリア剤、及び抗結核剤;生物製剤(例えば、免疫血清、抗毒素及び抗毒血清);狂犬病予防用薬剤;細菌ワクチン;ウイルス性ワクチン;呼吸器官用剤(例えば、キサンチン誘導体のテオフィリン及びアミノフィリン);甲状腺疾患治療剤(例えば、ヨウ素製剤及び抗甲状腺剤);キレート剤及び水銀利尿剤を含む心血管系疾患治療剤及び強心配糖体;グルカゴン;血液製剤(例えば、非経口鉄、ヘミン、ヘマトポルフィリン及びそれらの誘導体);生物反応修飾物質(例えば、ムラミルジペプチド、ムラミルトリペプチド、微生物細胞壁構成成分、リンフォカイン(例えば、リポ多糖類やマクロファージ活性化因子などの細菌内毒素)、細菌のサブユニット(例えば、マイコバクテリウム属、コリネバクテリウム属)、合成ジペプチド・N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン);抗真菌剤(例えば、ケトコナゾール、ナイスタチン、グリセオフルビン、フルシトシン(5−fc)、ミコナゾール、アンフォテリシンB、リシン、シクロスポリン、及びβラクタム系抗生物質(例えば、スルファゼシン));ホルモン(例えば、成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン及びリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾン二ナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロン・アセトニド、トリアムシノロン二酢酸、トリアムシノロン・ヘキサアセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、オキシトシン、バソプレシン、及びそれらの誘導体);ビタミン(例えば、シアノコバラミン・ネイノイック・アシッド、レチノイド及び誘導体(例えば、パルミチン酸レチノール)、及びα−トコフェロール);ペプチド(例えば、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ);酵素(例えば、アルカリホスファターゼ);抗アレルギー剤(例えば、アメレキサノックス);抗凝固剤(例えば、フェンプロクモン及びヘパリン);循環器官用剤(例えば、プロプラノロール);代謝増強剤(例えば、グルタチオン);抗結核剤(例えば、パラアミノサリチル酸、イソニアジド、硫酸カプレオマイシン・サイクロセリン、塩酸エタンブトール・エチオナミド、ピラジンアミド、リファンピン、及び硫酸ストレプトマイシン);抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン・アジドチミジン(AZT、DDI、フォスカネット、又はジドブジン)、リバビリン及びビダラビン一水和物(アデニン・アラビノシド、ara−A));抗狭心症剤(例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン(三硝酸グリセリン)及び四硝酸ペンタエリスリトール);抗凝血剤(例えば、フェンプロクモン、ヘパリン);抗生物質(例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン・エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG及びペニシリンVを含むペニシリン、チカルシリン・リファンピン及びテトラサイクリン);抗炎症剤(例えば、ジフルニサル、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメイト、メフェナム酸、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、アスピリン及びサリチル酸塩);抗原虫剤(例えば、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メトロニダゾール、キニーネ及びアンチモン酸メグルミン);抗リウマチ剤(例えば、ペニシラミン);麻酔剤(例えば、パレゴリック);鎮静剤(例えば、コデイン、ヘロイン、メタドン、モルヒネ及びアヘン);強心配糖体(例えば、デスラノシド、ジギトキシン、ジゴキシン、ジギタリン及びジギタリス);神経筋遮断薬(例えば、メシル酸アトラクリウム、ガラミントリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化サクシニルコリン(塩化スキサメトニウム)、塩化ツボクラリン及び臭化ベクロニウム);鎮静剤(睡眠剤)(例えば、アモバルビタール、アモバルビタール・ナトリウム、アプロバルビタール、ナトリウムブタバルビタール、抱水クロラール、エスクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトトリメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラム、パラアルデヒド、ペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパム及びトリアゾラム);局所麻酔剤(例えば、塩酸ブピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸エチドカイン、塩酸リドカイン、塩酸メピバカイン、塩酸プロカイン及び塩酸テトラカイン);全身麻酔剤(例えば、ドロペリドール、エトミデート、クエン酸フェンタニル・ドロペリドール合剤、塩酸ケタミン、メトヘキシタールナトリウム及びチオペンタールナトリウム);及び放射性粒子又は放射性イオン(例えば、ストロンチウム、ヨウ化レニウム及びイットリウム)。
【0056】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、リスペリドンの代謝物である。他の実施形態では、前記治療薬剤は、上記の薬剤のうちの1つの代謝物である。ある実施形態では、前記代謝物は、活性代謝物である。
【0057】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、慢性的に使用される薬剤である。
【0058】
他の実施形態では、前記治療薬剤は、強力な薬剤である。「強力な薬剤」は、ある実施形態では、治療効果を発揮するためには、血中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。他の実施形態では、「強力な薬剤」は、治療効果を発揮するためには、組織中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。他の実施形態では、「強力な薬剤」は、治療効果を発揮するためには、体中濃度が低い必要がある薬剤を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0059】
ある実施形態では、強力な薬剤が治療効果を発揮するために必要な前記濃度は、0.01mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.02mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.03mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.04mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.05mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.06mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.07mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.08mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.09mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.10mg/kgである。他の実施形態では、前記濃度は、0.12mg/kgである。「強力な薬剤」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0060】
ある実施形態では、強力な薬剤が治療効果を発揮するために必要な前記濃度は、1ナノグラム(ng)/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、1.5ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、2ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、3ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、4ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、5ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、6ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、7ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、8ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、9ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、10ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、12ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、15ng/mlである。他の実施形態では、前記濃度は、20ng/mlである。「強力な薬剤」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0061】
各治療薬剤は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0062】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、治療薬剤の組み合わせを含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、2つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、3つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、4つの治療薬剤を含有する。ある実施形態では、前記インプラントは、4つより多くの治療薬剤を含有する。他の実施形態では、前記インプラントは、上記の薬剤のうちの1つとさらなる別の薬剤との組み合わせを含む。他の実施形態では、前記インプラントは、上記した薬剤以外の、2つ以上の薬剤の組み合わせを含む。他の実施形態では、前記インプラントに含有された薬剤の組み合わせは、相乗効果を有する。他の実施形態では、前記インプラントに含有された薬剤の組み合わせは、相加効果を有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0063】
上述したように、様々な薬剤をPLAポリマー及びPLA:PGAポリマーに組み込むことができる。組み込む前に、薬剤(又は「活性成分」)は、当該技術分野で公知の方法によって作成される。活性成分を含有する薬学的組成物の作成としては、例えば、混合、造粒、又はタブレット形成プロセスが当該技術分野ではよく知られている。前記活性成分は、ある実施形態では、薬学的に許容されるかつ前記活性成分に適合する賦形剤と混合される。他の実施形態では、前記活性成分又は前記活性成分の生理学的に許容される誘導体(例えば、塩、エステル、N−オキシドなど)の1つは、この目的のために通常使用される添加物(例えば、担体、安定剤、不活性希釈剤など)と混合される。
【0064】
活性成分は、他の実施形態では、中和された薬学的に許容される塩の形態で、前記組成物に組み入れられる。薬学的に許容される塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸)、又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)から作成される酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基から作成される)が挙げられる。また、遊離カルボキシル基から形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化(第二)鉄など)及び有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から作成することができる。
【0065】
上記の添加物、賦形剤、組成物、及び投与方法のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0066】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のポリマーの前記PLA:PGAモル比は、約75:25〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜55:45である。他の実施形態では、前記モル比は、55:15〜60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、95:5〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、96:4〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、97:3〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、98:2〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、99:1〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜65:35である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、85:15〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜95:05である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20〜100:0である。他の実施形態では、前記モル比は、50:50〜75:25である。他の実施形態では、前記モル比は、55:45〜80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40〜85:15である。他の実施形態では、前記モル比は、65:35〜90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30〜95:5である。他の実施形態では、前記モル比は、75:25〜100:0である。
【0067】
他の実施形態では、前記モル比は、50:50である。他の実施形態では、前記モル比は、52:48である。他の実施形態では、前記モル比は、54:46である。
【0068】
他の実施形態では、前記モル比は、56:44である。他の実施形態では、前記モル比は、58:42である。他の実施形態では、前記モル比は、60:40である。他の実施形態では、前記モル比は、62:38である。他の実施形態では、前記モル比は、64:36である。他の実施形態では、前記モル比は、66:34である。他の実施形態では、前記モル比は、68:32である。他の実施形態では、前記モル比は、70:30である。他の実施形態では、前記モル比は、72:28である。他の実施形態では、前記モル比は、74:26である。他の実施形態では、前記モル比は、76:24である。他の実施形態では、前記モル比は、78:22である。他の実施形態では、前記モル比は、80:20である。他の実施形態では、前記モル比は、82:18である。他の実施形態では、前記モル比は、84:16である。他の実施形態では、前記モル比は、86:14である。他の実施形態では、前記モル比は、88:12である。他の実施形態では、前記モル比は、90:10である。他の実施形態では、前記モル比は、92:8である。他の実施形態では、前記モル比は、94:6である。他の実施形態では、前記モル比は、96:4である。他の実施形態では、前記モル比は、97:3である。他の実施形態では、前記モル比は、98:2である。他の実施形態では、前記モル比は、99:1である。他の実施形態では、前記モル比は、100:0(例えば、PGAが実質的に1%未満)である。
【0069】
ここに説明するように(実施例5)、本発明の結果は、生分解性インプラントにおける特定のPLA:PGA比の有効性を実証している。ある実施形態では、前記PLA:PGA比は、モル比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、質量比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、重量比である。他の実施形態では、前記PLA:PGAの比は、容量比である。上記の各PLA:PGA比は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0070】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のポリマーは、クロロホルム中で約0.2〜0.9dl/gの固有粘度を示す。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.3dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.4dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.85〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.40dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.70dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.80dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.40dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75〜0.95dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2〜0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25〜0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3〜0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35〜0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4〜0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45〜0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5〜0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55〜0.80dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6〜0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65〜0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7〜0.95dl/gである。
【0071】
他の実施形態では、前記固有粘度は、0.2dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.25dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.3dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.35dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.4dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.45dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.5dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.55dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.6dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.65dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.7dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.75dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.8dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.85dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.9dl/gである。他の実施形態では、前記固有粘度は、0.95dl/gである。
【0072】
上記の各固有粘度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0073】
「固有粘度(inherent viscosity)」は、ある実施形態では、ポリマーが溶液中で前記溶液の粘度を高める能力の程度を意味する。他の実施形態では、ポリマーの分子量の増加に伴い増加する固有粘度(intrinsic viscosity)は、重合条件に依存し、ポリマーのPLA:PGA比とは無関係に変化し得る。他の実施形態では、前記固有粘度(intrinsic viscosity)は、ゼロ濃度における特定の粘度/濃度比の極限値と定義される。したがって、粘度は、様々な濃度で測定した後に、ゼロ濃度に外挿される。他の実施形態では、「固有粘度(inherent viscosity)」は、「固有粘度(intrinsic viscosity)」と同義語である。「固有粘度」の各定義は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0074】
固有粘度の測定方法は、当該技術分野では公知であり、例えば、「J Biomed Mater Res, A 68(1): 43-51(Meek MF et al., 2004)」及び「J Control Release 71(2):165-73(Deng X et al., 2001)」に記載されている。他の実施形態では、固有粘度は、本明細書の実施例1に記載した方法によって測定される。他の実施形態では、固有粘度は、クロロホルム中で測定される。他の実施形態では、固有粘度は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶液中で測定される。他の実施形態では、固有粘度は、当該技術分野で公知の他の適切な溶媒中で測定される。他の実施形態では、前記溶媒はFDAクラスIII溶媒(低毒性であり、残留溶媒の除去の必要性が最小限に押えられる)である。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0075】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約1〜3mm2/mm3の表面積/体積(SA:V)比を有する。他の実施形態では、前記比は、0.5〜1mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.7〜1.2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.9〜1.4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.1〜1.6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.3〜1.8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜1.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、7〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.5〜4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1〜5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5〜5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2〜6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5〜6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3〜7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5〜7.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4〜8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5〜8.5mm2/mm3である。
【0076】
他の実施形態では、前記比は、0.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.7mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、0.8mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.0mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、1.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、2.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、3.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、4.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、5.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、6.5mm2/mm3である。他の実施形態では、前記比は、7mm2/mm3である。上記の各SA:V比は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0077】
ここに記載されているように(実施例6)、本発明の結果は、生分解性インプラントにおける特定範囲のSA:V比の有効性を実証している。SA:V比の測定方法は、当該技術分野で公知である。SA:V比は、ある実施形態では、形状(例えば、規則正しい形状の場合)の測定から表面積及び体積を計算することにより求められる。他の実施形態では(不規則な形状の場合)、表面積は、BET(Brunauer, Emmett and Teller)装置を使用して計算される(J de Kanel and J W Morse, J Phys E: Sci Instrum 12: 272-273, 1979)。他の実施形態では、表面積は、当該技術分野で公知の他の方法によって測定される。他の実施形態では、体積は、水又は他の液体の変位によって測定される。他の実施形態では、体積は、当該技術分野で公知の他の方法によって測定される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0078】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約1〜5mmの長さを有する。「長さ」は、ある実施形態では、インプラントの最長の寸法を意味する。他の実施形態では、「長さ」は、例えば、円筒形状のインプラントの場合は、ストレージ・エッジの寸法(straight-edge dimension)を意味する。例えば、「ストレージ・エッジの寸法」は、完全な直線である必要はなく、例えばわずかな曲線であってもよい。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0079】
他の実施形態では、前記インプラントの長さは、1〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜1.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜1.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜2mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜3mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5〜6.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜7mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜4mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、4〜7mmである。他の実施形態では、前記長さは、5〜8mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、1〜5mmである。他の実施形態では、前記長さは、2〜6mmである。他の実施形態では、前記長さは、3〜7mmである。
【0080】
他の実施形態では、前記インプラントの長さは、0.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.7mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、0.9mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.2mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.4mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、1.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.2mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.4mmである。
他の実施形態では、前記長さは、2.6mmである。他の実施形態では、前記長さは、2.8mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.0mmである。他の実施形態では、前記長さは、3.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、4mmである。他の実施形態では、前記長さは、4.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5mmである。他の実施形態では、前記長さは、5.5mmである。他の実施形態では、前記長さは、6mmである。他の実施形態では、前記長さは、7mmである。他の実施形態では、前記長さは、8mmである。上記の各長さは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0081】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約2〜4mmの直径を有する。「直径」は、ある実施形態では、前記インプラントの断面を横切る距離を意味する。他の実施形態では、例えばディスク状インプラントの場合は、前記断面を横切る前記距離は、上記の長さよりも長いことがある。他の実施形態では、例えば棒状インプラントの場合は、前記断面を横切る前記距離は、上記の長さよりも短い。他の実施形態では、前記断面は、円形である必要はなく、上述したように、楕円、正方形、長方形などであってもよい。したがって、他の実施形態では、前記直径は、断面における最長又は最短の直径の幾何平均である。他の実施形態では、前記直径は、断面における最長又は最短の直径の算術平均である。他の実施形態では、前記様々な直径における最長のものである。他の実施形態では、前記直径は、例えば正方形又は長方形の場合は、断面の対角を横切る距離である。他の実施形態では、前記直径は、例えば直径がインプラントの長さによって異なる場合は、最大の断面を横切る距離である。他の実施形態では、前記直径は、最大の断面を横切る平均距離である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0082】
他の実施形態では、前記直径は、約2〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜1mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜1.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5.5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜1.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.5〜2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜2.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.5〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜3mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.5〜3.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.5〜4.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.5〜5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1〜4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2〜5mmである。他の実施形態では、前記直径は、3〜6mmである。他の実施形態では、前記直径は、4〜7mmである。
【0083】
他の実施形態では、前記直径は、0.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.7mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、0.9mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、1.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、2.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.4mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.6mmである。他の実施形態では、前記直径は、3.8mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.0mmである。他の実施形態では、前記直径は、4.2mmである。他の実施形態では、前記直径は、5mmである。他の実施形態では、前記直径は、5.5mmである。他の実施形態では、前記直径は、6mmである。上記の各直径は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0084】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、約0.75グラム(g)以下の質量を有する。ここに記載されているように、本発明は、有効量のリスペリドンをヒトに6ヵ月間に渡って送達するためにインプラントを約0.75g以下で使用することの実現可能性を実証している(実施例14)。他の実施形態では、本発明は、有効量のリスペリドンを1年間に渡って送達するためにインプラントを約1.5g以下で使用することの実現可能性を実証している。他の実施形態では、前記インプラントは、約0.1グラム(g)以下の質量を有する。他の実施形態では、前記質量は、0.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.3g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.5g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.7g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、0.9g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.0g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.1g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.3g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.5g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.7g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、1.9g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.2g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.4g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.6g以下である。他の実施形態では、前記質量は、2.8g以下である。他の実施形態では、前記質量は、3g以下である。
【0085】
他の実施形態では、前記質量は、0.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、2gである。他の実施形態では、前記質量は、2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、2.4gである。他の実施形態では、前記質量は、2.6gである。他の実施形態では、前記質量は、2.8gである。他の実施形態では、前記質量は、3gである。
【0086】
他の実施形態では、前記質量は、約0.1〜0.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.4gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.7〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、l.0〜1.4gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.4gである。他の実施形態では、前記質量は、2.5〜2.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.4〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.0gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.4〜1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2.5〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜0.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜0.9gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、1.2〜1.9gである。他の実施形態では、前記質量は、1.6〜2.1gである。他の実施形態では、前記質量は、1.8〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜2.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.1〜1.1gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜1.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜1.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.6〜1.6gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、2〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜1.7gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜1.8gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、1.0〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、1.5〜3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.2〜2.2gである。他の実施形態では、前記質量は、0.3〜2.3gである。他の実施形態では、前記質量は、0.5〜2.5gである。他の実施形態では、前記質量は、0.8〜2.8gである。他の実施形態では、前記質量は、1〜3gである。
【0087】
上記の各質量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のインプラントは、溶媒キャスト法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、圧縮成形を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、溶融混合を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、界面活性剤の使用を必要としない溶融混合押出法(melt mix extrusion)を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、エマルジョンの使用を必要としない溶融混合押出法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、界面活性剤又はエマルジョンの使用を必要としない溶融混合押出法を含む工程によって作成される。他の実施形態では、前記インプラントは、押出成形を含む工程によって作成される。ある実施形態では、前記押出成形は、高圧押出成形である。ある実施形態では、圧縮成形によって作成されたインプラントは、高密度を示す。他の実施形態では、圧縮成形によって作成されたインプラントは、向上した均一性を示す。他の実施形態では、様々な形状のインプラントを、圧縮成形によって作成することができる。他の実施形態では、押出成形によって作成されたインプラントの場合は、作成中の材料損失が少ない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0089】
他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、乳化工程を利用する技術よりも、潜在的な薬剤搭載量が大きいという利点を示す。他の実施形態では、本発明に係るインプラントは、洗浄剤が不要な工程(例えば、溶媒キャスト法)を使用するために、潜在的な薬剤搭載量がより大きいという利点を示す。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0090】
他の実施形態では、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象を治療するための方法を提供する。この方法は、埋め込み可能な棒状構造体を備える長期間送達システム内に含有されている目的の治療薬剤を、対象に投与することを含む。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、服薬不履行の可能性が高い疾患を有する対象を治療する薬学的組成物を作成するための、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。
【0092】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0093】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約2ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0095】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約4ヵ月間維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0096】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを約4ヵ月間以上維持するための方法であって、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る生分解性インプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。前記生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有し、前記生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを上記の期間の1つの期間の間維持する薬学的組成物の作成のための、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。
【0098】
他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、他のパラメータ(例えば、薬剤搭載量、質量、SA:V比、長さ、直径、又はポリマーの固有粘度)についても互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比については同等であるが、他のパラメータについては同等ではない。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの2つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの3つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの4つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの5つについても同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAのモル比に加えて、前記他のパラメータの全てについても同等である各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0099】
他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、薬剤搭載量について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、質量について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、SA:V比について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、長さについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、直径について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、PLA:PGAの比の代わりに、固有粘度について互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの2つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの3つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの4つについて互いに同等である。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、前記パラメータの全てについて互いに同等である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0100】
他の実施形態では、PLA:PGAの比は、前記個々のインプラントの間では実質的に不変である(例えば、前記個々のインプラントのそれぞれは、PLA:PGAの比が異なる部分で構成されていない)。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの薬剤搭載量についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの質量についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントのSA:Vについても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの長さについても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントの直径についても当てはまる。他の実施形態では、このことは、前記個々のインプラントのポリマーの固有粘度についても当てはまる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0101】
ここに記載されているように、本発明は、治療薬剤レベルの長期間に渡る維持を、単一ポリマーのシステム(例えば、同一のインプラントのセット)によって達成できることを実証する。さらに、ウサギにおける単一ポリマーのインプラントは(図3B)、個々のポリマーによって血清中薬剤濃度がほぼ対称パターンとなることが実証された。さらに、図3Bに示すように、相関係数(R2)が0.86のデータのトレンドラインは、約6ヵ月後に最大放出値を示した。
【0102】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヵ月間維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0103】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを少なくとも約1年間維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0104】
「放出ピーク時点」は、他の実施形態では、放出が最大になる時点である。他の実施形態では、この用語は、インプラント投与前の実験に基づいた、ヒトの対象における放出ピーク時点の平均を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0105】
放出ピーク時点の「近くで」は、他の実施形態では、放出ピーク時点の1週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の10日以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の2週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の3週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の4週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の5週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の6週間以内を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出ピーク時点の2ヵ月以内を意味する。
【0106】
他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから10%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから5%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから15%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから20%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから25%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから30%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから35%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから40%以内の時点での投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、放出率が最大レベルから50%以内の時点での投与を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0107】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを長期間に渡って維持するための方法であって、(1)1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る初期セットを前記対象に投与するステップと、(2)前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、1つ以上の個々の生分解性インプラントから成る維持セットを前記対象に投与する投与ステップとを含む方法を提供する。前記初期セットの生分解性インプラントは、(a)インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在する治療薬剤と、(b)インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、PLA及び随意的にPGAを含み、かつPLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを有する。前記維持セットの生分解性インプラントは、PLA:PGAモル比が前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントと同一である追加的な個々の生分解性インプラントから成る。この方法では、前記初期セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。
【0108】
「長期間」は、他の実施形態では、少なくとも6ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも4ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも5ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも7ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも8ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも9ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも10ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも12ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも14ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも16ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも18ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも21ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも24ヵ月の期間を意味する。他の実施形態では、この用語は、24ヵ月以上の期間を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0109】
他の実施形態では、前記維持セットの個々の生分解性インプラントが2つ以上の場合は、PLA:PGAのモル比は実質的に互いに異ならない。他の実施形態では、前記初期セット及び前記維持セットの個々の生分解性インプラントは、PLA:PGAのモル比について実質的に各セット内又はセット間で異ならない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0110】
他の実施形態では、ステップ(b)は、前記対象内の前記薬剤レベルを所望の期間に維持するために、必要に応じて繰り返される。
【0111】
他の実施形態では、前記維持セットは、前回投与のインプラントのセットからの薬剤放出の低下が始まる時点の近くで投与される。
【0112】
他の実施形態では、本発明は、対象内での薬剤の治療レベルを上記の期間の1つの期間の間維持する薬学的組成物を作成するための、(a)本発明に係る生分解性インプラントの初期セット、及び(b)本発明に係る生分解性インプラントの維持セットの使用を提供する。
【0113】
ある実施形態では、前記維持セットは、6ヵ月に1回投与される。他の実施形態では、前記維持セットは、約5ヵ月の期間の後に投与される。他の実施形態では、前記期間は、約4ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約3ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約2ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約6週間である。他の実施形態では、前記期間は、約1ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約7ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約8ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約9ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約10ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約11ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約12ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約14ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約16ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約18ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約20ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約22ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約24ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約30ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、約36ヵ月である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0114】
他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比に加えて、他のパラメータ(例えば、薬剤搭載量、質量、SA:V比、長さ、直径、又はポリマーの固有粘度)についても互いに同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比の代わりに、前記パラメータの1つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAのモル比については同等であるが、他のパラメータについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの2つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの3つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの4つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの5つについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、PLA:PGAの比に加えて、前記他のパラメータの全てについて同等である。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの2つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの3つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの4つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントと、前記他のパラメータの5つについて同等であるが、PLA:PGAの比にについては同等ではない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0115】
他の実施形態では、前記維持セットの前記個々のインプラントは、前記初期セットの前記個々のインプラントにおいて上述した特性のいずれかを有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0116】
本発明で実証されたように、単一ポリマー・セットからの放出特性がほぼ対称であることにより、薬剤送達を無期限に持続させるために、ほぼ6ヵ月毎にインプラントの埋め込みを重ね合わせながら行うことが可能となる(図13B)。ある実施形態では、この方法により、あるセットからの放出の着実な減少を、それに続くセットからの放出の緩やかな開始によって相殺することができる。
【0117】
他の実施形態では、本発明に係る方法によって、薬剤の治療レベルが維持される期間は、1ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、1.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、2ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、2.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、3ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、3.5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、4ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、5ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、6ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、7ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、8ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、9ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、10ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、11ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、12ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、13ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、14ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、15ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、16ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、17ヵ月である。他の実施形態では、前記期間は、18ヵ月である。
【0118】
他の実施形態では、前記期間は、前記生分解性インプラントの初期セットの投与ステップの1ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の1週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の3週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の5週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の6週間後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の2.5ヵ月後に始まる。他の実施形態では、前記期間は、前記初期投与の3ヵ月後に始まる。
【0119】
上記の各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0120】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを対象に投与するステップをさらに含む。前記スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、PLA:PGAモル比が異なり、初期セットのインプラントよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達する。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、薬剤搭載量が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、SA:Vの比が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、質量が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、長さが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、直径が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、ポリマーの固有粘度が異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の2つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の3つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の4つが異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、オリジナルセットのインプラントに対して、前記特性の全てが異なる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0121】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、PLA:PGA比、薬剤搭載量、長さ、直径、SA:V比、及び固有粘度が、実質的に互いに異ならない。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、前記パラメータの1つについて実質的に互いに異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、前記パラメータの1つ以上について実質的に互いに異なる。他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、互いに異なる放出特性を有する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0122】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントは、初期セットの個々のインプラントにおいて上記した特性のいずれかを有する。各特性は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0123】
他の実施形態では、インプラントの初期セットと、同一のインプラントの維持セットとを含む本発明に係る方法では、スターターセットのインプラントは、初期セットのインプラントと共に投与される。「と共に」は、ある実施形態では、1つ以上のインプラントの他のセットと同日に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、単一の操作又は工程の間に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から3日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から4日以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から3週間以内に投与することを意味する。他の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から1ヵ月以内に投与することを意味する。の実施形態では、「と共に」は、インプラントの他のセットの投与から2ヵ月以内に投与することを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0124】
他の実施形態では、ここに記載されているように(実施例16)、スターターセットのインプラントによって、薬剤の治療レベルにより早く到達することが可能となる。他の実施形態では、維持セットのインプラントの投与時には存在しない薬剤レベルをスターターセットのインプラントが補うので、スターターセットのインプラントが存在のおかげで、初期セットのインプラントに必要なインプラントの数は少なくなる(維持セットのインプラントに対して)。
【0125】
本発明では、単一ポリマーの放出特性を複合ポリマーの放出特性と比較することによって、スターターセットのより急速な放出を可能にする能力を示した。複合ポリマーについて、初期の時点で、より高い血中レベルが観察された(図1及び3A)。
【0126】
他の実施形態では、スターターセットのインプラントを初期インプラントと共に投与する代わりに、治療レベルにより早く到達させるために、インプラントの数をより多くする(維持セットのインプラントに対して)。
【0127】
他の実施形態では、インプラントの初期セットを投与するステップは可逆的である。他の実施形態では、インプラントのスターターセットを投与するステップは可逆的である。ある実施形態では、「可逆的」は、外科的手段又は他の手段によってインプラント・セットの残存物を取り出せる能力を意味する。ある実施形態では、「可逆的」は、1つ以上のインプラントの残存物を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「可逆的」は、インプラント・セットの残存物の大部分を取り出せることを意味する。他の実施形態では、「可逆的」は、1つ以上のインプラントの残存物の大部分を取り出せることを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0128】
他の実施形態では、本発明に係る方法の対象は、ヒトである。他の実施形態では、前記対象は、霊長類である。他の実施形態では、前記対象は、哺乳動物である。他の実施形態では、前記対象は、齧歯動物である。他の実施形態では、前記対象は、実験動物である。他の実施形態では、前記対象は、家畜である。他の実施形態では、前記対象は、雄である。他の実施形態では、前記対象は、雌である。他の実施形態では、前記対象は、当該技術分野で公知の他の対象である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0129】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの長さを有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの長さの組み合わせを有する。
【0130】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントを投与するステップは、可逆的である。他の実施形態では、上記のいずれかのセットを投与するステップは、可逆的である。他の実施形態では、「可逆的」は、上記した意味の1つを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0131】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの直径を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの直径の組み合わせを有する。
【0132】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントの任意のSA:V比を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかのSA:Vの組み合わせを有する。
【0133】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、本発明に係るインプラントの任意の質量を有する。他の実施形態では、前記個々のインプラントは、本発明に係るインプラントのいずれかの質量の組み合わせを有する。
【0134】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの個々のインプラントは、単一の構造体(例えば、棒状構造体、束状構造体など)に組み合わせされる。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの長さを有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの直径を有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかのSA:V比を有する。他の実施形態では、前記構造体は、本発明に係るインプラントのいずれかの質量を有する。他の実施形態では、前記構造体は、埋め込む構造体の数を減少させることを可能にする。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0135】
他の実施形態では、上記のいずれかのセットの前記個々の生分解性インプラントは、本発明に係るインプラントいずれかの特性を有する。各特性は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0136】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、インプラントの放出速度が十分に高くなるまでに治療薬剤レベルに到達させるかつ前記治療レベルを維持するために、治療薬剤をインプラントの初期セットと共に異なる経路で投与するステップをさらに含む。他の実施形態では、同様な治療効果を有する異なる薬剤を、インプラントの初期セットと共に投与する。当該技術分野で公知の任意の経路を使用し得る。各経路は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、治療薬剤を対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、チオチキセンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、チオチキセンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0139】
他の実施形態では、本発明は、ハロペリドールを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、ハロペリドールを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0140】
他の実施形態では、本発明は、HCTZを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、HCTZを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0141】
他の実施形態では、本発明は、イブプロフェンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、イブプロフェンを含有する本発明に係るインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0142】
他の実施形態では、本発明は、アスピリンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、アスピリンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0143】
他の実施形態では、本発明は、コルチコステロンを対象の生体組織内に、数ヵ月間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、コルチコステロンを含有する本発明に係るインプラントを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0144】
「数ヵ月間」は、様々な実施形態では、本発明のいずれかの期間を意味する。各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0145】
他の実施形態では、本発明は、治療薬剤を対象の生体組織内に、数週間に渡って、実質的に線形速度で放出する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0146】
前記治療薬剤は、様々な実施形態では、本発明のいずれかの治療薬剤である。各薬剤は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0147】
ある実施形態では、本発明に係る方法及び組成物における実質的に線形な速度は、定常状態の放出相における前記インプラントの放出速度である。「定常状態」は、ある実施形態では、インプラントが実質的に線形な放出速度を示す期間を意味する(実施例10に例示されている)。
【0148】
ある実施形態では、実質的な線形速度は、0.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、2.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、10mg/日である。各速度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0149】
他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.7〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.4〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜0.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜1.9mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜2.4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.1〜0.6mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.2〜0.7mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜0.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜1.0mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.6〜1.1mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約4〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.3〜1.3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜1.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.8〜1.8mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約4〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜2mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.0〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3.5〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約0.5〜2.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1〜3mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜3.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1〜4mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約1.5〜4.5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約2〜5mg/日である。他の実施形態では、前記速度は、約3〜6mg/日である。
【0150】
上記の各速度は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0151】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも1ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0152】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも2ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0153】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも3ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0154】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも4ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0155】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも5ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0156】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも6ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0157】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも7ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0158】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも8ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0159】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも9ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0160】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも10ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0161】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも11ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0162】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも12ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0163】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも14ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0164】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも16ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0165】
他の実施形態では、本発明は、リスペリドンを対象の生体組織内に、少なくとも18ヵ月間、実質的に線形速度で放出する方法であって、リスペリドンを含有する本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0166】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの統合失調症を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0167】
ある実施形態では、前記統合失調症は、緊張型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、妄想型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、解体型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、鑑別不能型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、残遺型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、陰性又は欠損型統合失調症である。他の実施形態では、前記統合失調症は、精神病である。他の実施形態では、前記統合失調症は、当該技術分野で公知の他の種類の統合失調症である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0168】
ここに記載されているように、本発明に係る方法は、リスペリドンの長期間送達及び統合失調症の治療において効果的であった(実施例8及び9)。インビボでのリスペリドンの血清中濃度は、放出期間の大部分において目標範囲の2〜15ng/ml(Foster RH and Goa KL (1998) Pharmacoeconomics 14: 97-133)以内であった(図1及び3)。
【0169】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの双極性障害を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0170】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの認知症を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0171】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神錯乱を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0172】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの動揺を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0173】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの衝動調節障害を治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0174】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神病的な憂うつを治療する方法であって、本発明に係るインプラント又はインプラントのセットをヒトに投与するステップを含む方法を提供する。
【0175】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの統合失調症を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0176】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの双極性障害を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0177】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの認知症を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0178】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神錯乱を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0179】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの動揺を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0180】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの衝動調節障害を治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0181】
他の実施形態では、本発明は、ヒトの精神病的な憂うつを治療する方法であって、対象内の薬剤の治療レベルを維持する上記の方法の1つを行うことを含む方法を提供する。
【0182】
他の実施形態では、本発明は、統合失調症を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、統合失調症を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0183】
他の実施形態では、本発明は、双極性障害を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、双極性障害を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0184】
他の実施形態では、本発明は、認知症を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、認知症を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0185】
他の実施形態では、本発明は、精神錯乱を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、精神錯乱を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0186】
他の実施形態では、本発明は、動揺を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、動揺を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0187】
他の実施形態では、本発明は、衝動調節障害を治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、衝動調節障害を治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0188】
他の実施形態では、本発明は、精神病的な憂うつを治療する薬学的組成物の作成のための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットの使用を提供する。他の実施形態では、本発明は、精神病的な憂うつを治療するための本発明に係るインプラント又はインプラントのセットを含む組成物を提供する。
【0189】
上記のいずれかの疾患に対して、本発明によって提供される治療の期間は、本発明の期間のいずれかであり得る。各期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0190】
「治療」は、ある実施形態では、治療的介入を意味する。他の実施形態では、この用語は、予防的介入を意味する。他の実施形態では、この用語は、疾患又は障害の症状の改善を意味する。他の実施形態では、この用語は、治療の対象となっている疾患又は障害によって二次的に発生する症状、疾患又は障害の改善を意味する。他の実施形態では、「治療」は、疾患の進行を遅延させることを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0191】
上記の疾患の重症度を診断及び評価する方法は、当該技術分野では公知であり、例えば、米国精神医学会(Washington D.C.)出版の「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。他の実施形態では、統合失調症又は上記の他の疾患は、リスペリドン治療の有効性の評価方法において上記した方法によって診断される。
【0192】
動物及びヒトにおけるリスペリドン治療の有効性を評価する方法は、当該技術分野では公知である。動物の場合は、リスペリドン治療の有効性は、例えば、PPI(後述する)、自発運動、ロータロッド、及びカタレプシー評価によって評価され得る。自発運動は、ある実施形態では、「ホームケージ(home cage)」活動モニターシステム(MedAssociates, St. Albans, VT)によって測定される。このシステムでは、標準的で清潔なホームケージが、フォトビーム・フレーム内に置かれる。このフレームでは、互いに1.25インチ離れた8ビームのアレイ上に2つのレベルのセンサーが配置している。コンピュータ検出システムが、移動パラメータ(ambulations parameter)のために、フォトビームの遮断をモニターする。動物がケージ内で動くことによるフォトビームの遮断数によって全移動が求められる。データはパーソナルコンピュータの医用ソフトウェアに記録され、例えば、各活動モニター期間あたり、5分間隔で合計で30分間モニターされる。ラットは、通常は、最初のアンフェタミンの投与前に、装置及びタスクに数日間慣らされる。
【0193】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、ロータロッドが使用される。ある実施形態では、運動機能を測定するために、ロータロッド・トレッドミルを加速する装置(Stoelting Co., Wood Dale, IL)が使用される。ラットは、装置に順応させるために、静止したロータロッドに置かれる。速度を、その後、2から20rpmまで、除々に増加させる。平衡及び姿勢を維持する際の最大スコアを固定する(例えば5分間、Lelas S, Wong H et al, J Pharmacol Exp Ther 309: 293-302, 2004)。このテストは、前記期間が経過したとき、又は、動物がロッドから落ちたときに終了する。
【0194】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、カタレプシー評価が使用される。カタレプシーは、リスペリドン・インプラントによる運動効果を評価するために、動物(例えば、ラット)において検査される。ラットをその前脚がケージ側面と対向するように位置させ、通常の姿勢を取り戻すのに要する時間が記録される。4本の足の全てをケージの底面につける通常の姿勢を取り戻すのに要する時間が増加した場合は、リスペリドンによって二次的に運動障害が発生したことを示す。
【0195】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性を評価するために、聴性驚愕反応が使用される。聴性驚愕反応は、大きな音刺激後の、定量化可能の反射性運動である。プレパルス抑制(Prepulse inhibition:PPI)は、より低い程度の感覚刺激が予め与えられることによって、驚愕反応が低下したときに生じる(Hoffman HS, Searle JL (1965) J Comp Physiol Psychol 60:53-58)。PPIは、アポモルヒネ(APO)やアンフェタミン(AMPH)などのドーパミン(DA)アゴニストを投与することによって、弱めることができる(Mansbach RS, Geyer MA (1989). Neuropsychopharmacol 2: 299-308; Swerdlow NR et al, (1991). J Pharmacol Exp Ther 256: 530-536; Swerdlow NR et al, Neuropsychopharmacol 18: 50-56)。したがって、DA受容体アゴニストによるPPIの弱化は、統合失調症で見られる感覚入力プロセスの障害を試験するための、効果的な動物モデルである。
【0196】
聴性誘発電位を記録する方法は、当該技術分野では公知である。ある実施形態では、聴性誘発電位は、三極の電極集合体の定位埋め込みによって記録することができる。他の実施形態では、前記集合体は、聴性誘発電位を麻酔をかけない状態で記録するために使用される。これらの方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、「Connolly et al., 2003; Connolly et al. , 2004; Maxwell et aL, 2004; Siegel et al., 2005」に記載されている。
【0197】
動物におけるリスペリドンの有効性を評価する他の方法としては、行動観察がある。これは、当該技術分野で公知であり、例えば、「Brockington A et al., Cocaine cross-sensitization to dopamine uptake inhibitors: unique effects of GBR12909. Pharmacol Biochem Behav 53: 911-918, 1996」に記載されている。例えば、下記の行動が観察され、その行動が5分間に存在するか否かのスコアが付けられる。静寂状態、嗅ぐ動作、舐める動作、齧る動作、毛づくろい、移動(4本の脚で)、立ち上がり(両方の前脚をケージの底面から離す)、ヘッドダウン(動物の立姿勢、鼻が水平位よりも下にある状態で5秒間以上歩く又は走る)、体を揺らす動作(動物の頭又は体が3秒間以上に律動的に揺れる動き)、旋回(連続的な円で5秒間以上歩く又は走る)。
【0198】
他の実施形態では、リスペリドン治療の有効性は、脳試料(皮質、海馬、線条体、及び/又は小脳)におけるドーパミンD2及び/又はセロトニン5HT1A/2A/2C受容体の発現を定量化することによって評価される。リスペリドンは、ドーパミンD2受容体の発現を増加させ、セロトニン5HT1A/2A/2C受容体の発現を減少させる。セロトニン受容体のウェスタンブロットには、ポリクローナル抗体であるAB5406(Chemicon, Temecula, CA)、PC176L(Calbiochem, CA)、又はAB5655(Chemicon)を使用することができる。D2受容体のウェスタンブロットには、ポリクローナル抗体であるWR−3526(Research and Diagnostic Antibodies, Berkeley, CA)を使用することができる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0199】
ヒトにおけるリスペリドンの有効性を評価する方法は、例えば、「Heresco-Levy U et al., Biol Psychiatry 2005 57(6): 577- 85」、「Moller HJ et al., Tnt Clin Psychophannacol. 2005 20(3): 121-30」、及び「Hirschfeld RM et al., Am J Psychiatry. 2004 161(6): 1057-65」に記載されている。他の実施形態では、リスペリドン投与の理由である障害の程度でヒトにおけるリスペリドンの有効性を評価する方法では、DSM−IVが使用される。動物におけるリスペリドンの有効性を評価する上記の各方法は、ヒトに使用され得る。逆もまた同様である。
【0200】
リスペリドンの有効性を評価する上記の方法のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0201】
他の実施形態では、本発明は、薬剤搭載量が約20〜30質量%の治療薬剤と、70〜80質量%のポリマーとを含むインプラントを提供する。前記ポリマーは、PLA及び随意的にPGAを含み、PLA:PGAの質量比は80:20〜100:0である。前記インプラントは、下記の式によって決定される半径R0を有する
但し、「erf(x)」は、
である。
dMd/dtは、時間tにおける、治療薬剤の定常状態における望ましい放出速度である。Dはマトリックス内への水の拡散係数であり、kは反応速度であり、Cwは時間tにおけるインプラント内の水の濃度である。kは下記の式によって決定される。
ただし、Sは治療薬剤の水中での溶解度であり、kは0.05〜0.33の間の定数である。
【0202】
ある実施形態では、上記のインプラントに含まれる治療薬剤は、リスペリドンである。他の実施形態では、前記治療薬剤はハロペリドールであり、Dは1.7×10−10であり、kは0.07である(実施例10)。他の実施形態では、前記治療薬剤はチオチキセンであり、Dは9×10−10であり、kは0.06である。他の実施形態では、前記治療薬剤はHCTZであり、Dは2.1×10−6であり、kは0.26である。他の実施形態では、前記治療薬剤はコルチコステロンであり、Dは2.5×10−7であり、kは0.33である。他の実施形態では、前記治療薬剤はイブプロフェンであり、Dは7.0×10−6であり、kは0.16である。他の実施形態では、前記治療薬剤はアスピリンであり、Dは8.0×10−2であり、kは0.06である。他の実施形態では、前記治療薬は、当該技術分野で公知の他の薬剤である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0203】
他の実施形態では、分解反応速度係数のkは、薬剤の溶解度とOH基の存在との組み合わせとして与えられる薬剤特性に依存する(実施例11)。水溶解度が同じ薬剤については、ポリマーの加水分解速度はOH基の密度と共に増加する。一方、OH基の密度が同じ薬剤では、kは溶解度の増加と共に減少する。他の実施形態では、実施例10に記載したように、kは実験的に決定されている。
【0204】
他の実施形態では、前記薬剤の存在は、ポリマーの分解速度に作用する。ある実施形態では、前記薬剤は、ポリマーマトリックス内への水の拡散に影響を与えることによって、ポリマーの分解速度に作用する。他の実施形態では、前記薬剤は、分解反応の速度に影響を与えることによって、ポリマーの分解速度に作用する。他の実施形態では、前記薬剤は、上記のメカニズムの組み合わせによって、ポリマーの分解速度に作用する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0205】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方程式(例えば、方程式4、5a、又は5b)を使用することによって、治療薬剤の目的の放出速度を達成するインプラントを設計する方法を提供する。
【0206】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方程式(例えば、実施例12の方程式8、9、又は10)を使用することによって、治療薬剤の目的の血中濃度を達成するインプラントを設計する方法を提供する。
【0207】
他の実施形態では、本発明は、時間tにおける薬剤放出速度dMd/dtを達成する方法であって、本発明の方程式(例えば、方程式4、5a、又は5b)を使用して半径が決定されたインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0208】
他の実施形態では、本発明は、時間tにおける血清中濃度xを達成する方法であって、本発明の方程式(例えば、方程式8、9、又は10)を使用して半径が決定されたインプラントを投与するステップを含む方法を提供する。
【0209】
本発明に係る方法のいずれも、本発明に係るインプラントのいずれかを使用し得る。本発明に係る方法と本発明に係るインプラントとの組み合わせのそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0210】
他の実施形態では、本発明は、本発明に係る方法の実施に使用される試薬を含有するキットを提供する。他の実施形態では、本発明は、本発明に係るインプラントを含むキットを提供する。
【実施例】
【0211】
≪実施例1:サルにおけるPLGAインプラントからのハロペリドールの長期放出≫
【0212】
<材料及び実験方法>
【0213】
対象
【0214】
2匹のサル(カニクイザル、Rangos Research Facility)のそれぞれにPLGA(ポリ(d,1−乳酸グリコール酸))コポリマーを含むインプラントを投与した。実験サルに投与したこのインプラントは、40質量%のハロペリドールと下記の表2に記載されている60質量%のPLGAポリマーの内の1つとを含んでいた。対照のサルに投与したインプラントは、表2に記載されているPLGAポリマーを100%含んでいた。PLGAポリマーは、Medisorb(登録商標)Alkermes、(Cincinnati, OH)から調達した。ハロペリドールは、その血清中濃度が2〜10ng/mlになるように、12ヶ月間における投与量を平均して1mg/kg/日になるようにした。
【0215】
表2.第1の実験に使用されたインプラントにおける、ポリ乳酸:ポリグリコール酸(PLA:PGA)のモル比及びPLGAポリマーの固有粘度。表中の固有粘度は、クロロホルム中のdl/gの単位で表示されており、25サイズのCannon-Fenskeガラス毛細管粘度計を使用して30℃、0.5dl/gで測定した。
【0216】
インプラントの製造
【0217】
ポリマー及びハロペリドール(Sigma, St. Louis, MO)を60/40の質量比で混合し、それに対してアセトン(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)で溶媒キャスト法を行った。形成された膜を、直径が20mm、平均厚さが1.22±0.0mm、質量が493±2mg、密度が1.28±0.0g/ccのディスク状のインプラントに圧縮成形した。
【0218】
薬物動態の測定:
【0219】
毎月2回、血液を採取した。血液を遠心分離し、分析するときまでに血清を−80℃で凍結した。各時点に各動物におけるリスペリドン及び9−OHリスペリドンの血清中濃度を2回測定した。遠心分離で試料を分離し、高圧液体クロマトグラフィー(high-pressure liquid chromatography(HPLC))における紫外線(UV)検出でハロペリドールのレベルを測定した(図1)。対照動物に対して行った分析では、薬剤のレベルはゼロであった。
【0220】
≪結果≫
【0221】
全ての実施例では、インプラントは良好な耐容性を示し、皮膚において副作用が観察されることはなかった。図1に示されているように、ハロペリドールの放出を443日間測定した。最初の224日間では、平均血清中濃度は、1つの例外(40日目における27.1ng/ml)を除き、10.5±1.5ng/mlであった。次の176日間では、ハロペリドールの血清中レベルは、より低い4.0±0.4ng/mlの平均濃度に維持された。最後の45日間では、このレベルはさらに減少した(平均血清中濃度は、1.2±0.3ng/ml)。
【0222】
したがって、生分解性のインプラントを使用することによって、サルにおいてハロペリドールの放出を14ヶ月間維持することができた。
【0223】
≪実施例2:ウサギにおけるPLGAインプラントからのハロペリドールの長期放出≫
【0224】
<材料及び実験方法>
【0225】
実験設計
【0226】
2つのインプラント・システムについて調べた。第1のシステムは5個の異なるポリマーのインプラント(実施例1と同様)を含み、第2のシステムは単一ポリマーを有する5個のインプラントを含んでいた。単一ポリマーのモデルを使用する目的は、1年間に放出を維持すると同時に最初の放出レベルの上昇を低減するためである。
【0227】
対象
【0228】
体重が4.0〜5.7kgのウサギ(12羽(Covance, Denver, PA))を使用した。単一ポリマー(100%PLA)と40%のハロペリドールとを含むインプラントを、全薬剤投与量が418±7mg/kgになるように5羽のウサギに投与した。それによって、予想送達期間である365日間における1日当たりに投与される薬剤量は1.13±0.02mg/kg/日であった。他の5羽のウサギには、組み合わされたポリマーのシステム(75:25、85:15、90:10(IV:高)、90:10(IV:低)、及び100:0のPLGA)を含むインプラントを投与した。この群の平均投与量は473±4mg/kgであり、予想放出期間は365日であり、1日当たりの平均投与量は1.29±0.03mg/kg/日であった。対照として2匹のウサギに薬剤を含まないインプラントを投与した。1つの対照ウサギには、単一ポリマーの条件を模倣するために、100%のPLAインプラントを投与した。他方の対照には、組み合わされたポリマー・システムを反映するために、75:25、85:15、90:10(IV:高)、90:10(IV:低)、及び100:0のPLGAから成るインプラントを施した。
【0229】
インプラントの製造
【0230】
インプラントは、実施例1に記載されている手法を使用して作成した。この
場合、平均質量は536±2mgであり、密度は1.24±0.00g/ccであった。検視の際のインプラント部位の特定を容易にするために、インプラントをその部位に連結した。
【0231】
薬物動態の評価
【0232】
固相抽出(Solid phase extraction:SPE)は、Waters 20-postion SPE真空マニホールド及びWaters Oasis MCX SPEカートリッジ(3ml/60μgカートリッジ)を使用して行った。メタノール及び水でカートリッジをコンディショニングし、2%のリン酸を含む試料をロードし、5%のメタノールを含む0.1Nの塩酸でカートリッジを洗浄し、次に100%のアセトニトリルで洗浄した。その後、5%のNH4OH(100%のアセトニトリルに溶かした状態で)で溶出した。窒素下で試料を乾燥させ、100μlの移動相に再溶解し、ボルテックスした後、5分間遠心分離した。75μlの再溶解した試料を自動サンプラーにロードした。50μlが注入された。HPLCは、Waters XTerra RP 18 のカラム(5μm、4.6×150mm)を使用して行った。流速は1.0ml/分であり、流出時間は30分であった。移動相及び試料の緩衝液は、55%のH2O、35%のアセトニトリル、及び10%の100mMの重炭酸アンモニウムで構成されており、そのpHは10であった。ピークは、波長280nmで検出された。リスペリドン及び9−OHリスペリドンの標準溶液は、正常なラット血清で作成し(1.25〜50ng/mlの範囲で)、抽出し、それぞれの化合物の標準曲線及び保持時間を得るためにそれぞれの流出に使用した。リスペリドン及び9−OHリスペリドンの保持時間は、それぞれ8.6及び5.9分であった。
【0233】
組織病理学
【0234】
中間病理分析のために9ヵ月後に5羽のウサギを屠殺し、残りの7羽のウサギは、その4ヵ月後に屠殺した。インプラントを投与した全てのウサギにおいて、インプラントの残存物が元の場所に連結していたことが確認された(図2)。
【0235】
インプラントを取り出す際、残存インプラントは移植後の282日目には平均して元の大きさの17%であり、移植後の423日目には元の大きさの5%であった。HPLC/紫外分光法及びNMR分光法により、残存インプラントでハロペリドール及びPLGAの分解産物の存在が確認された。残存インプラントの薬剤含量に関してHPLC分析を行ったところ、282日目に取り出されたインプラントのリスペリドンは平均して10重量%残存し、423日目に取り出されたインプラントのリスペリドンは平均して9重量%残存していることが示された。NMRは、Varian Unity Inova 300 Mhz機器にて25℃で行い、スペクトルは、Vnmr 6. lbソフトウェア(Varian, Inc., Palo Alto, CA)を使用して分析した(図2C)。PLA((Alkermes 100DL、IV:高)及びハロペリドールの対照試料をDMSO及びクロロホルム(CDCl3)に溶解した状態で分析し、各化合物の関心のあるピークを特定した(図2のD及びE)。ウサギからインプラントを取り出し、最初DMSO−d6に溶解し、ろ過で残存物を除去し、クロロホルムに溶解した。ハロペリドールの予想される全てのピークがDMSOで見られた。5.2〜5.4ppmにおける小さなピークはPLAの−CHのピークを示し、ポリマーの低濃度領域ではPLAのCH3ピークがハロペリドールのピークによって不明瞭になっていたと考えられる。CDC13の試料は、8.1及び7.4ppmにおいてハロペリドールに特徴的なピークを示したが、DMSOの試料よりも強度が低かった(おそらく、ハロペリドールの大部分がDMSOに抽出されたため)。クロロホルム分画は、0.9、1.2、3.9、及び4.5においてPLAの分解産物である乳酸に相当するピークを示した。
【0236】
インプラントはカプセル形成を引き起こさず、それによって、簡単に除去された。HPLC/紫外分光法及びNMR分光法により、残存インプラントにおいてハロペリドール及びPLGAの分解産物が確認された。組織学的分析により、ウサギの全ての器官系が正常であることが示された。
【0237】
≪結果≫
【0238】
同様な実験をウサギに対して行った。この場合、異なるポリマーから成る5個のインプラント(実施例1と同様)を、単一ポリマーから成る5個のインプラントと比較した。複合ポリマー・システムを投与したウサギは、360日間に4.0±0.6ng/mlのレベルのハロペリドールを有していた。高濃度のハロペリドールが確認される初期の期間は、最初の198日間であった(平均血清中濃度は6.1±0.7ng/ml)(図3A)。ハロペリドールのレベルは、320日目までには平均して1.1±0.3ng/mlまでに除々に減少し、360日目には検出可能以下のレベルにまで低下した。単一ポリマー・システムを投与したウサギは、より対称的な放出特性を示し、平均血清中濃度は、2.5±0.4ng/mlであり、複合ポリマー・システムで観察された結果と同様に360日目には検出可能以下のレベルにまで低下した(図3B)。
【0239】
したがって、ウサギから得られた結果は、サルの分析結果を確証するものであり、生分解性のインプラントを使用すると、12ヶ月間のハロペリドール放出を達成できることを示す。また、これらの結果は、単一ポリマー・システムを使用すると、場合によっては、複合ポリマー・システムを使用するときよりもより対称的な放出特性が達成されることを示す。
【0240】
≪実施例3:放出速度に対するインプラントの形状の効果≫
【0241】
<材料及び実験方法>
【0242】
40%のハロペリドールと60%のPLGA(50:50)とを含むインプラントを溶媒キャスティング法で作成した。この物質をディスク状に圧縮形成した、又は高圧ピストン押出機(DACA Instruments, Goleta, CA)を使用して棒状になるように100℃でゆっくりと押出した。出来上がった棒状又はディスク状のインプラントは、同じ重量を有していた。これらの形状のインプラントの表面積の容量に対する比(SA:V)に関して、ディスク状(半径:3mm、厚さ:1.6mm)のものは1.92であり、棒状(半径:1.8mm、長さ:4.5)のものは1.56であった。
【0243】
放出特性を確認するために、これらのインプラントを500mlのリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline:PBS)(pH7.0、37℃、40rpm)に入れ、暗下に置いた。
【0244】
≪結果≫
【0245】
ハロペリドールの放出に対するインプラントの形状(棒状及びディスク状)の効果を調べた。2つの形状に関する放出特性は、ほぼ同じであった(図4)。したがって、対象において治療レベルの薬剤を長期で送達及び維持するために、棒状のインプラントを使用することができる。
【0246】
≪実施例4:生理溶液におけるリスペリドンの安定性≫
【0247】
生理溶液におけるリスペリドンの長期安定性を評価するために、10mgのリスペリドンを100μlのアセトニトリルに溶解し、次に1,000mlのPBS(0.9%のNaCl、0.01MのNaOH、0.01MのNaH2PO4、pH7.0)に溶解し、10,000ナノグラムng/mlの最終溶液を作成した。この溶液を遮光性の琥珀色のビンに入れ、37℃で1分間40の回転数で振った。1週間に3回、試料を1ml取り出し、その薬剤濃度を紫外分光法(Amersham Biosciences, Buckinghamshire, UK)で測定した。薬剤の濃度はわずかにしか変化しなかった(343日間に1.4%、1日当たり0.004%に相当する、トレンドライン:y=−0.0004x+9.777)。紫外分光光度法及びHPLCを使用してこの分析を再び行った(図5)。HPLCと紫外分光光度法との間に0.99の相関係数が確認された。これは、紫外分光光度法がリスペリドンの濃度をインビトロで分析する正確な方法であることを示す。
【0248】
したがって、リスペリドンは、生理溶液では長期にわたって安定することが判明した。
【0249】
≪実施例5:リスペリドンの放出に対するPLA:PGA比の効果≫
【0250】
インビトロでのリスペリドンの放出に対するPLA:PGA比の効果を評価するために、50:50、65:35、及び75:25のPLGA含有の異なるポリマーからのリスペリドンの放出を評価した。実施例1にしたがってインプラントを作成した。この場合、リスペリドン(RBI, Flanders, NJ)は20%であり、PLGA(Alkermes)は80%であった。各種類のインプラントの3つの複製物を、500mlのPBSが入った別々の遮光性ビンに入れ、37℃、40rpmで振った。毎週3回、各ビンから1mlのアリコートを採取し、紫外分光光度法で分析した。尚、紫外分光光度法の後は、容量を一定に保つために1mlの緩衝液を入れた。75:25のポリマーが、最も遅い放出を示した(図6A)。
【0251】
別の調査では、複数のマウスの間でポリマーの効果の一貫性を評価した。8匹のマウスに20%のリスペリドン薬剤を含む75:25のPLA:PGAのインプラントを投与し、42日後にリスペリドン及び9−OHリスペリドンの血清中濃度を測定した。表1に結果を示す。そこでは、放出速度(mg/kg/日)(インプラントにあるリスペリドンの重量/マウスの体重/放出の推定日数(120)を計算することで求めた)も示す。
【0252】
表1.上の8匹のマウスにリスペリドンを含有するインプラントを投与した。下の5匹のマウスには、リスペリドンを含有しない対照インプラントを投与した。
【0253】
≪実施例6:リスペリドンの放出にへの、表面積の容量に対する比の効果≫
【0254】
<材料及び実験方法>
【0255】
この調査では、各条件に4つの棒状インプラントを使用した。この棒状のインプラントにおける表面積の容量に対する比(SA:V)は2.75及び6.17であり、両方とも30%のリスペリドン薬剤と75:25のPLGAとを含んでいた。これらの棒状インプラントを、PBS含有の異なるビンに入れ、37℃、40rpmで振った。毎週3回、0.3mlの試料を採取し、HPLC及び紫外分光光度法(Bio-teck Instruments, Winoo ski, VT)で分析した。
【0256】
≪結果≫
【0257】
リスペリドンの放出に対するSA:V比の効果を評価するために、同じ構成物で構成されるが、SA:V比が異なる棒状インプラントからのリスペリドンの放出を測定した。SA:V比が異なる2つの棒状インプラントの放出パターンは、放出後の44日間では異なっていた。半径がより小さな棒状インプラント(SA:V比はより大きい)の方が、より速い放出を示した(図6B)。したがって、直径がより大きな棒状インプラント(SA:V比はより小さい)は、直径がより小さな棒状インプラントよりもさらに長期の薬剤送達を示す。
【0258】
これらの結果は、生分解性インプラントからの放出がSA:V比と関数関係(下記の方程式(8)によって示される)にあることを示すことによって、それによって、実施例3の結果をさらに確証するものである。したがって、生分解性のインプラントからの長期の薬剤放出を可能にするために、棒状並びにディスク状を利用することができる。
【0259】
≪実施例7:インプラントにおけるリスペリドンの最適な量の決定≫
【0260】
インプラントにおけるリスペリドンの最適な濃度を決定するために、単一ポリマー(85:15PLGA)と、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は60重量%のリスペリドンとを組み合わせてインプラントを作成した(図7)。それぞれのインプラントの質量は約50mgであるので、それぞれ、5、10、15、20、25、及び30mgの薬剤を含むことになる。10%及び60%の薬剤を含んできたインプラントの薬剤の大部分が最初の30日間以内に放出されたのに対し、20%、30%、40%、及び50%の薬剤を含むインプラントは、リスペリドンをより遅く放出した。また、50%の薬剤を含むインプラントは、リスペリドンをさらに遅く放出した。最も線形的な放出パターンは、40%及び50%のリスペリドンで達成され、それらの曲線は分析期間中には同様であった。
【0261】
≪実施例8:リスペリドンのインプラントは、インプラント投与の14及び21日後にPPI及びP20を増加させ、アンフェタミン誘導のN−40誘発電位減少を阻害する。≫
【0262】
<材料及び実験方法>
【0263】
リスペリドンを含むインプラントを投与したところ、42日後には、リスペリドンの血清中濃度は7.3±0.68ng/ml(平均値±標準誤差)となり、9−OHリスペリドンの血清中濃度は8.1±0.95となった。脳におけるリスペリドン及び9−OHリスペリドンの濃度は、それぞれ6.2±1.45及び4.6±0.52ngであった。ディスク状のインプラント(SA:V比は2.34)は、85:15のPLGA(IVは0.66〜0.80)及び20%のリスペリドン薬剤で作成した。麻酔無しで聴性誘発反応を記録するための3極電極集合体(PlasticsOne Inc., Roanoke, VA)を定位でマウス(C57/BL/6J)にインプラントする(Connolly et al., 2003; Connolly et al., 2004; Maxwell et al., 2004; Siegel et al., 2005)前に、マウスにリスペリドンを含むインプラント又はポリマーのみを投与した(それぞれ8匹)。聴性驚愕反応の驚愕及びプレパルス抑制(PPI)の検査は、「Gould TJ et al., Sensorimotor gating deficits in transgenic mice expressing a constitutively active form of Gs alpha. Neuropsychopharmacol 29: 494-501」に記載の方法にしたがってインプラント投与後の14日目及び21日目の間に行った。誘発電位の記録は、電極の設置の28日後に行った。薬剤に対する暴露試験の記録は、2mg/kgのアンフェタミンの注入(腹腔内)の6分後に始め、アンフェタミン投与前の記録と比較した。Micro 1401ハードウェア及びSpikeS(CED, Cambridge, England)ソフトウェアで刺激を引き起こし、ケージの上部に連結しているスピーカで送信した。一連の50回のホワイトノイズ(継続時間:それぞれ10ミリ秒、合計で500ミリ秒)のクリックを行った。各ホワイトノイズの間の間隔は9秒間であり、それらの大きさはバックグラウンドの70dbに対して85dbであった。波形を、1〜500Hzの間でフィルターし、刺激開始に基準線を補正し、動きアーチファクトに関する個々のスイープを、二乗平均平方根振幅の2倍の基準(criteria of two times the root mean squared amplitude)に基づいて除去した。平均波は、刺激の50ミリ秒前から刺激終了の200ミリ秒後まで形成された。刺激開始前にマウスを15分間Faradayケージ順応させた。
【0264】
<結果>
【0265】
マウス(C57BL/6J)には、リスペリドン(n=8)又はポリマーを含むインプラントのみを投与し、インプラントした3極電極集合体で聴性誘発反応を麻酔無しで記録した。リスペリドンによって、驚愕の度合いが変化することはなかったが(図8A)、対照と比較してPPIが増加した(図8B)。また、リスペリドンのインプラントによって、対照のマウスと比較してP20(ヒトP50の類似体)が増加し(図9A)、アンフェタミン誘発のN40(ヒトN100の類似体)の減少が低下した(図9B)。P50及びN100における異常は、聴覚反応の発生及び調節に関連する神経構造の異常を反映するものであり、統合失調症における一般的な神経学的障害の情報を提供するものである(Adler LE, Olincy A et al, Schizophr Bull 24: 189-202, 1998; Freedman R, Adler LB et al, Harv Rev Psychiatry 2: 179-192, 1994)。
【0266】
≪実施例9:リスペリドン・インプラントを投与すると、PPI及びP20が増加し、アンフェタミン誘導のN40誘発電位の減少が阻害される。≫
【0267】
驚愕反応、PPI、P20、及びN40に対する実施例8のリスペリドン・インプラントの効果を評価するための実験を行った。この場合、リスペリドン・インプラントを投与した動物では、これらの全てのパラメータに関して大きな効果が観察された。これらの効果は、実施例5乃至7の放出速度の増大及びその後の薬剤の血清中濃度の増加と一致するものであった。
【0268】
≪実施例10:加水分解型の生分解性インプラントの放出速度は、薬剤の溶解度及びインプラントの分解速度を基に求めることができる。≫
【0269】
<材料及び実験方法>
【0270】
薬剤
【0271】
次の6個の薬剤について調べた。
(1)チオチキセン:N,N−ジメチル−9−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピリデン]チオキサンテン−2−スルホンアミド
(2)ハロペリドール:4−[4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドリキシー1−ピペリジル]−1−(4−フルオフェニル)−ブタン−1−オン
(3)ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide:HCTZ):9−クロロー5,5−ジオキソ−5λ6−チアー2,4−ジアザビシクロ[4.4.0]デカ−6,8,10−トリエン−8−スルホンアミド
(4)コルチコステロン:11−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−1,2,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロシクロペンタフェナントレン−3−オン
(5)イブプロフェン:2−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]プロパン酸
(6)アスピリン:2−アセチルオキシ安息香酸
【0272】
これらの薬剤の特性を表3に示す。全ての薬剤は、Sigma-Aldrich, Inc.から調達した。
【0273】
表3.この実施形態で使用された薬剤の特性
*下記のように14日後に測定した。
**kは1/日の単位であり、Dは無次元値である。図11に示されているように、図10にプロッティングされたデータを方程式(4)に当てはめることによって得られた。
【0274】
紫外線(UV)スキャン
【0275】
薬剤を、インビトロで予想される溶解度にしたがってpH7.4のPBSに溶解した。200〜400nmの範囲内の薬剤溶液の吸光度をスキャンした(対照として、食塩水を含むキュベットを使用した)。それぞれの薬剤に関するUV吸収パターンを生成し、最大値が発生した波長を次のインビトロの分析に使用した。ランバート・ベアの法則で吸光度を濃度に変換できるように、PBSに溶解しているそれぞれの薬剤に関する標準曲線を作成した。
【0276】
ポリマー/薬剤ペレットの作成
【0277】
溶媒キャスト法から400mgの50:50のPLGA及び100mgの薬剤から20質量%の薬剤を有する膜を作成した。ポリマー及び薬剤を45ミリリットル(mL)のアセトン(Fisher Scientific, Inc.)に溶解し、ボルテックスし、蒸発皿に流し、真空下(3インチHg)40℃で少量の気流を当てて乾燥させた。7日後にオーブンから前記皿を取り出した。蒸発後の残留物はポリマー及び薬剤の混合薄膜であり、その外観は均質であった。溶媒が完全除去されたことを確認するためにこの薄膜を丁寧に計量し、Teflon(登録商標)でコーティングされたペレットプレスを使用して、1mmの厚さ及び1.2mmの直径を有するディスク型のペレットに圧縮した(25キロポンド(klb)及び60℃で)。ペレットを丁寧に計量し、その密度を求めた。薬剤が0%である陰性対照も、同様な方法で500mgのポリマー(薬剤を使用せずに)から作成した。
【0278】
水における薬剤の溶解度
【0279】
0.5〜200mgの質量の薬剤を、質量が大きくなる順に10〜50mLの蒸留水を有する蓋の付いたガラス・ジャー(Wheaton, Inc.)に入れ、14日間21℃で穏やかに混合した。定期間隔で1mLのアリコートを採取して紫外分光法で最大飽和濃度を測定した。
【0280】
インビトロでの薬剤放出の分析
【0281】
互いに均質な4つのペレットから成るセットのそれぞれに関して分析を3重に行った。500mLのPBS溶液を有する蓋の付いた琥珀ガラスのジャー(Wheaton, Inc.)にそれぞれのペレットを加え、37℃暗下で穏やかに振った。定期間隔でそれぞれの溶液から1mLのアリコートを採取して紫外分光法で分析した。また、実験期間中の生理食塩水における各薬剤の安定性を評価するために、PBS及び10mgの薬剤を含む(20%の薬剤を含有する50mgのペレットの予想される最大放出量に相当する)陽性対照のジャーも使用した。
【0282】
6つの薬剤のPLGAマトリックスからの放出を調べた。図10には、ペレットから放出された薬剤の量(f)が時間(t)の関数としてプロットされている。長期には全ての薬剤が放出され、f=約1であった。放出された薬剤(Δf)及び時間(Δt)の間の線形関係からも明らかなように、この完全放出前の領域では、放出速度はかなり一定であった。
【0283】
これらの結果は、単一型の生分解性のポリマーによって線形パターンの薬剤放出を達成できることを示すものである。
【0284】
上記の薬剤放出の測定から他の2つの特徴が明らかになった。第1の特徴として、一部の薬剤(例えば、チオチキセン)が実験開始と共に放出されるのに対して、他の薬剤(例えば、ハロペリドール)は放出誘導期間(測定可能な量の薬剤放出が確認されない期間)を示した。また、定常放出(一定のΔf/Δt)では、それぞれの異なる薬剤は異なる放出速度を示した。したがって、定常状態における放出速度及び薬剤が放出された全期間の両方で違いが確認された。目視で観察すると、それぞれ異なる薬剤を含有するペレットが異なる速度で溶解し、異なる期間(UV分光法でf=約1になるまでの期間)の後には肉眼で見えなくなることがわかる。したがって、ポリマーからの薬剤の放出速度は、2つのグローバル・パラメータで特徴付けることができる。それらは、遅延期間(すなわち、定常状態の放出速度に達するまでの期間)及び定常状態における放出速度である。
【0285】
上記のマトリックスのそれぞれには同じポリマーが使用された。したがって、マトリックスの遅延期間及び定常状態における放出速度の相違は、マトリックスの薬剤成分によるものである。薬剤マトリックスの放出速度における相違は、ポリマーマトリックス内の薬剤の分散及び溶出速度、及び/又はポリマーの分解速度の相違による可能性がある。ペレットが異なる速度で消失することからわかるように、この実験で使用されたマトリックスのポリマーの分解速度は互いに異なる。したがって、薬剤は重合体の分解速度に影響する。
【0286】
組み込まれた薬剤のポリマー分解に対する効果を理解するために、本発明のデータに基づいて下記の分解プロセスのモデルを作成した。ポリマーマトリックスでの薬剤の移動度(拡散)は、ポリマーの分解速度と比較して無視できるほどかなり小さいと思われる。したがって、薬剤放出は主にポリマーの分解を介して生じる。ポリマーPLGAの乳酸及びグリコール酸への分解は水との反応を介して次のように起きる。
(C3H4O2)x(C2H2O2)y+2H2O→CH3CHOHCOOH+HCHOHCOOH
したがって、分解速度は、水分子の存在に依存する。水がペレットの中に拡散できないシステムでは、表面侵食が起きる。水のポリマーへの拡散性が高いシステムでは、バルク侵食が起きる。
【0287】
分解反応はポリマー及び水の間の一次反応であると思われる。したがって、2つの物質の局所濃度に比例する。しかしながら、ポリマーがペレットの大部分を構成するので、その濃度はあらゆる領域で固定されている。したがって、分解反応は、水の局所濃度に比例する(拡散率の関数)。ポリマーペレットへの水の拡散係数をDと定義すると、水に関する拡散/反応の方程式は下記の(1)となる。
但し、反応速度であるk(ポリマーの局所濃度を含む)は一定である。適切な境界条件では、粒子の境界における水の濃度は溶液値cw0によって調節され、最初(t=0において)は、粒子における水の濃度は0である。
【0288】
方程式(1)は、Dが0に近いシステムにおいて、水がポリマー粒子へ拡散することがなく、ペレット内のcwが0であり、全ての反応がポリマー/溶液の接触面で起きることを示す。反応速度と比較して拡散速度が大きいシステムでは、水は浸透し、バルク浸食で粒子全体を分解する。水の濃度プロファイルは、ペレットが半無限溶媒であると仮定することで求めることができる。拡散距離がペレットの大きさに比べて小さい最初の段階及び定常段階では、この仮定は適切である。
【0289】
ポリマー/溶液の接触面からの距離をxと定義すると、次の式が成り立つことが判明した。
任意の位置(x)で水と反応し、分解したポリマーの量は、下記の式(3.a)のように時間の積分で求めることができる。
但し、dMp(x,t)は、x点におけるポリマーペレットの質量の変化である。したがって、分解したポリマーの全質量は下記の式(3.b)で表される。
また、放出された薬剤の量Md(薬剤の拡散を無視して)は式(4)で表される。
但し、φは粒子中の薬剤の重量分率である。最初、tが小さいとき、Mdは下記の式(5.a)で表される。
一方のその後の時点での放出速度は下記の式(5.b)で表される。
【0290】
したがって、最初、放出された薬剤の量は時間の3/2乗にしたがって増加するが、その際の放出速度(傾き)は水の拡散係数Dのみに依存する。時間が経つにつれ、時間に対する薬剤の放出量は線形になる。このとき、システムは「定常状態」に達し、その際の分解速度及び放出される薬剤の量は時間に対して一定となる。したがって、放出速度は、拡散定数と反応定数との間の比によって変化する。
【0291】
方程式(4)によって表されるモデルは、図10に示されている6つの薬剤に関する薬剤放出データと合致する(ハロペリドール及びアスピリンのカーブは、図11に示す)。検査した薬剤が様々なので(ハロペリドール及びアスピリンは非常に異なる)、これは注目すべき結果である。後期で見られる値の逸脱は、ペレットの大きさが有限であることから生じた。
【0292】
したがって、生分解性のマトリックスからの薬剤の放出速度は、D及びkの2つのパラメータのみを含むモデルで求めることができる。
【0293】
≪実施例11:放出の方程式におけるパラメータD及びKは、薬剤の溶解度及びヒドロキシル基の密度から求めることができる。≫
【0294】
全ての薬剤に関して分解反応の係数であるパラメータkが1桁以内しか変化しなかった(0.05〜0.33)のに対して、拡散係数であるDが8桁変化したことが確認された(表2)。
【0295】
固体のポリマー媒体における分子の拡散定数は、D0e sup[−δε]で表される。但し、D0は比例係数、εは活性化エネルギー又は相互作用エネルギー、δはとりわけシステムの温度に依存する熱力学定数である。この場合、ポリマー・マトリックス及び温度は同じなので、全てのポリマー/薬剤ペレットに関してD0及びδは同じである。しかしながら、活性化エネルギーεは、拡散因子とマトリックスとの間の特定の相互作用に影響されやすく、したがって、薬剤の種類及びその搭載量(質量分率)によって異なる。また、水での薬剤(理想混合物と仮定して)の溶解度も、εで表すことができる。溶解度Sは、S0e−sup[−δε]に等しい。但し、S0は比例係数であり、σは熱力学定数である。D及びSの関係を組み合わせると、下記の関係が導かれる。
この場合、かっこ内の数式はシステムの定数である。
【0296】
図12に示されているように、溶解度のデータを方程式(6)に当てはめた。溶解度へのDの依存性は、指数法則で表され、その際の係数は約5.3である。
【0297】
結論として、20%の薬剤を含有するPLGAインプラントの定常状態における薬剤放出速度を予想するのに方程式(4)で表されるモデルを使用することができる。Dは溶解度の5.3乗に比例し、kは約0.05〜0.33の範囲内の数字である。
【0298】
≪実施例12:PLGAポリマーインプラントの薬剤放出の測定、並びに時間及びインプラントの特性に応じた血清中薬剤濃度≫
【0299】
実施例10〜11が分解及び放出速度に対する薬剤/ポリマー/水の相互作用の効果を調べることに焦点を当てたものであるので、元のモデルに無限に大きいインプラントが使用された。本実施例は、インビボでの薬剤の時間依存の濃度を説明するものである。そこで、(1)インプラントの有限サイズ及び(2)薬剤吸収及びクリアランス(代謝速度)を考慮するために、前モデルを改変した。インプラントからの薬剤の放出速度は、インプラントの表面積(SA)に比例する。インプラントの質量の変化に関して補正すると、インプラントのSAであるAを下記の方程式(7)で表すことができる。但し、R(t)は時間tにおけるインプラントの半径、R0は最初の半径、Dはマトリックスへの水の拡散の係数、kは反応速度、Cwは水の濃度である。
【0300】
したがって、方程式(8)にしたがって単位時間当たりの薬剤の放出速度を測定することができる。
但し、「erf(x)」は
である。
【0301】
リスペリドンの代謝速度は、血液中のこの薬剤の指数関数的な減衰として表すことができる。その場合、特有の減衰速度τは薬剤及び代謝速度によって異なる。したがって、薬剤の有効濃度に関して、方程式(9)で示す複雑な関数が得られる。この関数は非対称となる可能性があり、非対称の度合いは、所定の薬剤に特有の代謝時間であるτの値によって決まる。τの値が高いと、代謝速度が小さいことになるので、関数はより対称的となる。τの値が低いと、代謝が速くなり、ピークがt=0に接近するので、関数はさらに非対称になる。
【0302】
時間の関数としての薬剤の濃度は、複雑な関数である。誤差関数は、erf(x)〜1−e−7x/4として近似することができ、薬剤濃度に関する方程式(10)が得られる。a1はインプラント中の全薬剤含量に等しい定数であり、変数a2は代謝速度に等しい定数であり、変数a3はインプラントからの薬剤の拡散を示すものであり、変数a4はポリマーの分解を示し、全放出時間に影響するものである。本発明者らは、ウサギのハロペリドールのデータを当てはめることで、係数τ=約0.027であることを引き出した。これは、ウサギにおけるハロペリドールの血清中半減期が約130分であることを示し、文献「Wurzburger RJ, Miller RL et al, J Pharmacol Exp Ther 217: 757-763」で公開されたデータと一致する。この方程式は、0.87の相関係数(R2)でウサギのインビボのデータに適合する。
【0303】
≪実施例13:PLGAポリマーのインプラントからの薬剤放出に対するポリマーの組成及び固有粘度の効果の評価≫
【0304】
PLGAポリマーのインプラントからの薬剤放出に対するポリマーの組成及び固有粘度の効果を評価するために、実施例1〜7に記載されているようにポリマーの構成物及び固有粘度を変えた。
【0305】
≪実施例14:ヒトの対象に投与するリスペリドン・インプラントのスケールアップ≫
【0306】
リスペリドンの代謝は生物の種類によって異なる。ウサギ及びサルは、ヒトと同じ血漿中濃度のリスペリドンを得るためには、ヒトの約15〜30倍の投与量を必要とする(Bacopoulos NG, Redmond DE, et al, J Pharmacoll Exp Ther 212: 1-5; Jibiki I, Kubota T, et al., Jpn J Psychiatry Neurol 47: 627-629; Klintenberg R, Gunne L, Andren PB (2002) Mov Disord 17: 360-365)。したがって、上記の動物実験に使用された絶対投与量は、体重の違いに関わらず、ヒトに必要な薬剤量に近似する。リスペリドンをデボー製剤としてヒトに投与する際に約1mg/kg/月(一般的には、約1.8mg/日)の投与量が必要となるので、600mgのリスペリドンを含有するインプラント・システムを50kgの患者に投与すると、この患者は1年分の治療を受けることになる。したがって、動物実験で使用されるインプラントの設計では、リスペリドンを1年間投与するために40%のリスペリドンを含有するインプラントが1.5グラム必要となる。1.2g/ccの密度及び3.6mmの直径を有する棒状のインプラントを使用する場合は、このインプラントの長さは約6.5cmである必要がある。
【0307】
下記のパラメータ内のリスペリドン・インプラントをヒトに投与する。
薬剤の搭載量は約30〜60%
PLA:PGAのモル比は約50:50〜100:0
形状は棒状
SA:Vの比は約1.5〜2
【0308】
例えば、3〜5mmの長さ及び2〜3.6mmの直径を有する棒状のインプラントは、目的のSA:Vを示す。1つ以上のインプラントを投与すると、実施例2で見られるように、リスペリドンのレベルは約6ヶ月目にピークに達し、インプラント投与後の2〜8ヶ月間に治療レベルが達成される(図13A)。
【0309】
≪実施例15:リスペリドン・インプラントのサイクル投与により、長期にわたって治療レベルのリスペリドンを実現することができる。≫
【0310】
約6ヶ月ごとに新しいセットのインプラントを導入することによって、実施例14に記載の対称的な放出特性を利用して長期に治療レベルの薬剤を提供することができる。例えば、長さが3.2cmであり、100%のPLAを有する2つの棒状のインプラントを6ヶ月ごとに投与する。図13Cに示されているように、後に投与されたインプラントのセットによる薬剤レベルは、前に投与されたインプラントのセットによる薬剤レベルが減少する速度と同じ速度で増加する。
【0311】
≪実施例16:最初のインプラント投与の際に、薬剤をより速く放出するポリマーを使用することで初期の薬剤レベルを高めることができる。≫
【0312】
単一ポリマーのシステムにおける欠点は、最初のインプラント投与後に治療レベルに達するまでに時間がかかるということである。したがって、最初のインプラント投与の際に、より速く薬剤濃度を上げる別のインプラントを使用する。表4に記載されている1つ以上のインプラントが使用される。表4に記載されている速放出型のインプラントの放出速度及びその結果生じる血清中濃度は、方程式8〜10のa1及びa4のパラメータ(薬剤含量(全投与量)及びポリマーの分解(PLGA比及び固有粘度)に関連する)を変えることで求めることができる。
【0313】
表4.最初のインプラント投与の際に使用される別のポリマーインプラント。インプラントは、40〜60%のリスペリドンを含み、0.15mg/日の送達量を示す。各棒状インプラントは、3.6mmの直径及び1立方センチメートル当たり1.2グラム(g/cc)の密度を有し、約125mg/cmである。
【0314】
例えば、図14Aでは、約4、8、16、及び12週間の半減期、並びにそれぞれ約4、8、及び24週間の放出期間を示す4つの速放出型インプラントからの放出パターンが示されている。例えば、最初の6ヶ月間の半分に必要な薬剤を含むインプラントのセットは、平均の長さが0.8であり、それぞれ50:50、65:35、75:25、及び85:15のPLGAから成る4つインプラントを含む。このセットを、残りの半分の薬剤を提供する遅放出型のインプラントと組み合わせて投与する。インプラントのこの組み合わせを最初に投与するとき、インプラント投与後の数日以内に薬剤が治療レベルに達し、遅放出型のインプラントを6ヶ月間隔で投与することによって無限にこのレベルを維持することができる(図14)。
【0315】
≪実施例17:滅菌及び生分解性のPLGA−リスペリドンのインプラントは、リスペリドンを長期に放出する。≫
【0316】
滅菌リスペリドン・インプラントのインビトロでの放出特性を見た。図17に示されているように、0〜58日間にインプラントから薬剤が放出され、その後、薬剤が放出されることはなかった。したがって、滅菌PLGA−リスペリドン・インプラントは、本発明の方法に適切な放出特性を提供する。
【0317】
滅菌インプラント及び非滅菌インプラントの特性をさらに調べるために、実施例5に示されている方法を使用してマウスに滅菌又は非滅菌PLGA−リスペリドン・インプラントを投与した。14、27、56、又は83日後にインプラントを取り出し、マウスを屠殺し、血清中のリスペリドンの濃度を測定した。56日以内に屠殺された最初の3つの群では、血清中リスペリドン濃度は、14日目には7〜10ng/mlであり、27及び56日目には15〜20ng/mlまでに増加した。83日目にインプラントを取り除いたとき、血清中に検出可能な薬剤が確認されなかった(図18)。これは、インビトロにおける放出パターン(上記の実施例)及びリスペリドンの残存量に関する結果(下記の実施例)と一致する。
【0318】
要約すると、滅菌及び非滅菌インプラントは、56日間に薬剤を送達し、83日目までに完全に分解することなく、取り出し可能な状態を維持していた。したがって、滅菌及び非滅菌インプラントの間には著しい差は見られなかった。よって、上記の実施例で示されたインプラントの全ての特性は、滅菌及び非滅菌インプラントに当てはまるものである。
【0319】
≪実施例18:取り出した後のインプラントの残存量≫
【0320】
前の実施例において、マウスからインプラントを取り出した際にリスペリドンの残存量を測定した。図19に示されているように、インプラントに搭載されている薬剤のパーセンテージは初期値である30%から時間と共に減少した(すなわち、ポリマーの分解速度よりも速い速度で薬剤が放出された)。したがって、インプラントは、薬剤が放出された期間をかなり過ぎた後も完全に分解することがなく、取り出し可能な状態を維持していた。これは、本発明に係るインプラントを、薬剤放出期間の所望の時点で取り出すことができることを意味する。しかしながら、本発明に係るインプラントは生分解性であるために、取り出す必要はない。
【0321】
≪実施例19:インビトロにおける低pHでのリスペリドンの安定性≫
【0322】
低pHの環境がリスペリドンに影響を与えるか否かを確認するために、リスペリドンを4.4〜7.4のpHで172日間保存したところ、完全に安定していたことが判明した(図20)。リスペリドンを2.0及び3.0のpHで68日間保存しても、同様な結果が観察された。したがって、リスペリドンは中性のpH及び低pHでは安定する。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】霊長類にハロペリドールのインプラントを施し、長期(443日)にわたってハロペリドールを検出する様子を示すである。
【図2A−B】(A)手術する際のウサギにおけるインプラントの設置を示す写真である。連結されているインプラント(白い矢印)が示されている。撮影しやすくするために大きく切開した。(B)2つの止血鉗子の間の連結位置で分解したインプラント(黒の矢印)を示す解剖写真である。インプラントを取り出した際に線維症は観察されなかった。両方の写真のスケール・バーは20mmである。
【図2C】DMSO−d6におけるPLA及び40%(w/w)のハロペリドールの混合物の1HNMRスペクトルを示す図である。差し込み図はハロペリドール及びPLAの化学構造を示すものである。
【図2D】DMSO−d6におけるウサギの試料。ピークは、対照スペクトルで見られたハロペリドールのピークと一致する。
【図2E】クロロホルムにおけるウサギの試料。0.9、1.2、3.9、及び4.5におけるピークは、PLAの分解産物である乳酸に対応する。
【図3A】ウサギにおけるポリマーインプラント(複合ポリマー・システム)から放出されたハロペリドールの血清中濃度を示す図である。5羽のウサギに関する平均値±標準誤差が表示されている。データはトレンドラインと共に示されている。
【図3B】ビットにおけるポリマーインプラント(単一ポリマー・システム)から放出されたハロペリドールの血清中濃度を示す図である。5羽のウサギに関する平均値±標準誤差が表示されている。データはトレンドラインと共に示されている。
【図4】ディスク状及び棒状のインプラントによるインビトロでの濃度の蓄積を示す図である。各点は、ディスク状又は棒状のインプラントに関して3回行われた分析のデータの平均値を表す。
【図5A】生理水溶液におけるリスペリドンの安定性を示す図である。リスペリドンの残量対時間のグラフである。y切片は、10.23mg(HPLCで得られた値)及び10.23mg(紫外分光法で得られた値)を示すものである。同様に、HPLCで得られた切片の傾きは0.01であり、紫外分光法で得られた切片の傾きは0.00である。
【図5B】Aにおける陽性対照の値、並びに表面積の体積に対する比に関する分析(図6B)における試料の値をHPLC及び紫外分光法で分析し、比較した。これらの方法における相関係数は0.99(182試料)である。これは、紫外分光法がインビトロの水溶液における薬剤レベルを測定する正確な方法であることを示す。
【図6A】Aポリマーの構成の影響を示す図である。20%のリスペリドンと50:50、65:35、又は75:25のPLGAとを含むインプラントからの放出で蓄積するリスペリドンの量を示す。データは、蓄積量/全放出量で表されている。各点は、3つのインプラントに関する平均値±標準誤差(SEM)を表す。全放出は、それぞれ、約40、80、120日目に起きた。
【図6B】SAの体積に対する比の影響を示す図である。28〜44日目の間で、より小さな半径を有する(したがって、SA:Vの比がより大きい)棒状インプラント(丸印)がより大きな半径を有する棒状インプラント(三角印)よりも高い蓄積濃度を示すことから分かるように、インビトロでは、より小さな半径を有する棒状インプラントは、より大きな半径を有する棒状インプラントよりも速く薬剤を放出する。点は、4つの棒状インプラントから得られた平均値±標準誤差を表す。データは、HPLC及び紫外分光法で分析され、図5と同様に同じ結果を示した。
【図7A】85:15のPLGAと、10、20、30、40、50、又は60重量%のリスペリドンとを含むインプラントからのインビトロでの放出によるリスペリドンの蓄積を示す図である。この図では、インビトロ水溶液におけるリスペリドンの蓄積質量(平均値±標準誤差)を示す。
【図7B】明確にするために、40%のリスペリドンを含むインプラントの放出パターンのみを示す図である。パターンをさらに明らかにするために、0.99の相関係数を有するトレンドラインも示されている。
【図7C】薬剤の搭載量に応じた放出パターンの比較を容易にするために、30、40、50、及び60%のリスペリドンを含むインプラントからの累積放出量を、全薬剤量に対するパーセンテージで示す図である。各種類のインプラント平均値も示されている。これらの4つのインプラントのそれぞれに関するトレンドラインの相関係数(R2)は0.99であった。見やすくするために、10%及び20%の薬剤を含むインプラントに関する曲線を省略した。
【図7D】さらに明確にするために、40%の薬剤を含むインプラントに関する曲線のみが示されている。
【図8A】リスペリドンが驚愕の程度を増加させないことを示す図である。リスペリドン・インプラント投与の14及び21日後には、驚愕の程度に関して差がほとんど見られない。
【図8B】リスペリドンがPPIを増加させることを示す図である。リスペリドン・インプラント投与の14及び21日後には、リスペリドン・インプラントによってPPIが増加する(p=0.052)。
【図9A】リスペリドンが、C57BL/6JのマウスにおいてP20を増加させる(p=0.03)ことを示す図である。
【図9B】リスペリドンが、C57BL/6JのマウスにおいてアンフェタミンによるN40の減少を低下させる(p=0.02)ことを示す図である。
【図10】時間に応じた薬剤の放出量(全量に対する)を異なる薬剤に関して示した図である。全ての放出パターンがS字型であったが、初期放出の領域における放出速度、一定の放出領域(Δf/Δtが一定の領域)における傾き、及び全放出(f=1)にかかった期間はかなり異なっていた。
【図11】ハロペリドール(A)及びイブプロフェン(B)のデータを、方程式4に当てはめる(パラメータD及びkを使用して)際に得られるグラフを示す図である。(A)kは約0.1(1/日)であり、Dは0.045である。(B)kは約0.164(1/日)であり、Dは0.051である。
【図12】14日後の水における薬剤の最大溶解度(mg/mL)と、ポリマー/薬剤の複合体への水の拡散の係数であるDとの関係を示す図である(図10のデータを方程式4に当てはめることで計算した)Dは、溶解度の5.3乗に比例する。
【図13A】1つ以上の単一ポリマーのインプラントから放出される薬剤の血清中濃度のパターンを示す図である。
【図13B】4つの単一ポリマーインプラントのシステムを投与する際の複数の放出パターンを示す図である。尚、インプラントは6ヶ月ごとに投与される。矢印はインプラントの投与を示す。
【図13C】個々のインプラントからの薬剤の放出(点線)が重複することによって生じる全血清中薬剤濃度が実線で示されている。薬剤レベルは多少変動するが、任意のインプラントによって薬剤の濃度のピークが発生する時点付近で他のインプラントを投与する限り、目的の薬剤濃度は維持される。矢印はインプラントの投与を示す。
【図14A】4つの速放出型のインプラントのセットによって発生する血清中薬剤濃度を示す図である。
【図14B】5つのポリマー・システムによって発生する血清中薬剤濃度を示す図である。これらのポリマー・システムでは、4つの速分解型のポリマー・システム(スターターセット)が、維持セットとして6ヶ月ごとにインプラントされる長期間持続型のポリマーの1つと組み合わされる。全薬剤濃度は実線で示されており、個々のポリマーからの放出パターンは点線で示されている。約1週間で目的の薬剤レベルに達することができ、その後、薬剤レベルは多少変動する。
【図15】棒状のインプラントの挿入及び取り出しを示す写真である。(A)4mmの穴を介した1cmの棒状インプラントの挿入を示す写真である。(B)トロカールを使用して4mmの穴を通じて1cmのインプラントを挿入する様子を示す写真である。(C)一重縫合で閉じた後のインプラント部位を示す写真である。(D)10分後のマウス(ケージの中)の様子を示す写真である。尚、マウスには苦痛の兆候が見られなかった。(E)インプラント投与の2週間後のマウスを示す写真である。インプラント部位は完全に治癒し、苦痛又は有害性が確認されなかった。(F)インプラントの取り出しが可能であるかどうかを確認するために、インプラント投与の2又は4週間後に、サブセットのマウスからインプラントを取り出した。(G)各時点でインプラントを容易に取り出すことができ、インプラントが付着する、又は傷が形成されることはなかった。矢印は、取り出されたインプラントを示す。(H)インプラントを除去した10分後のマウスのケージ内での様子を示す写真である。その後、これらのグループのマウスを屠殺し、血清中リスペリドン及び9−OHのレベルを測定した。無菌のリスペリドン・インプラントによる血清中リスペリドンのレベルは、インプラント投与の2週間後には7.3であり、4週間後には12.8であった。
【図16】本発明の代表的な棒状、ディスク状、及びシリンダー状のインプラント(これらのリストは制限するものではない)の断面形状を示す図である
【図17】インプラントによるインビトロのリスペリドン濃度。値は平均値±標準誤差として示されており、n=4である。
【図18】マウスにおける、各時点での滅菌インプラント(S)及び未滅菌インプラント(U)の放出パターンを示す図である。
【図19】マウスから取り出されたインプラントにおけるリスペリドンの含量(インプラントの質量に対するパーセンテージとして表されている)。
【図20A】pH7.4、6.4、5.4、及び4.4の水溶液におけるリスペリドンの安定性を示す図である。全ての試料は安定していた。尚、検査の77日間には、薬剤の質量は、極わずかにしか変化しなかった(pH7.4に関しては0.06%、pH6.4に関しては0.04%、pH5.4に関しては0.10%、pH4.4に関しては0.00%)。(
【図20B】pH2.0〜7.4におけるリスペリドンの安定性を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
服薬不履行の可能性が高い疾患における薬剤服用順守を向上させるための埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーを有する埋め込み型の棒状構造体と、
前記棒状構造体に収容された治療薬剤とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、薬剤送達期間中に取り出し可能であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、前記棒状構造体の質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、低pH環境で、溶解度の増加を示すことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、チオチキセン、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、コルチコステロン、イブプロフェン、アスピリン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記PLA:PGAのモル比が、75:25〜100:0であることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗うつ剤であることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗不安剤であることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗精神病剤であることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、避妊剤であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、1〜3cmの長さを有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、2〜4mmの直径を有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
生分解性インプラントであって、
治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含み、
前記治療薬剤が、当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在し、
前記ポリマーが、当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在することを特徴とするインプラント。
【請求項16】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
棒状であることを特徴とするインプラント。
【請求項17】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
実質的に円形の断面を有することを特徴とするインプラント。
【請求項18】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
実質的に楕円形の断面を有することを特徴とするインプラント。
【請求項19】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とするインプラント。
【請求項20】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
1〜3cmの長さを有することを特徴とするインプラント。
【請求項21】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
2〜4mmの直径を有することを特徴とするインプラント。
【請求項22】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記PLA:PGAのモル比が、75:25〜100:0であることを特徴とするインプラント。
【請求項23】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
薬剤送達期間中に取り出し可能であることを特徴とするインプラント。
【請求項24】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
当該インプラントは、低pH内部環境を示すことを特徴とするインプラント。
【請求項25】
請求項24に記載の生分解性インプラントであって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とするインプラント。
【請求項26】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
界面活性剤又は乳剤の使用を必要としない、溶媒キャスティング法、溶融混合、又は溶融混合押出法から選択されるステップを含むプロセスにより製造されることを特徴とするインプラント。
【請求項27】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、前記埋め込み物の30〜60質量%の量で存在することを特徴とするインプラント。
【請求項28】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするインプラント。
【請求項29】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、チオチキセン、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、コルチコステロン、イブプロフェン、アスピリン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするインプラント。
【請求項30】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗うつ剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項31】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗不安剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項32】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗精神病剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項33】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、避妊剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項34】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項15に記載の生分解性インプラントを前記ヒトに投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
ヒトの双極性障害、認知症、精神錯乱、動揺、衝動調節障害、又は精神病的な憂うつを治療するための方法であって、
請求項15に記載の生分解性インプラントを前記ヒトに投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
服薬不履行の可能性が高い疾患の対象を治療するための方法であって、
長期間薬剤送達システムに含まれた治療薬剤を前記対象に投与する投与ステップを含み、
前記長期間薬剤送達システムは、治療薬剤及びポリマーを含有する埋め込み型の棒状構造体を含み、
前記ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、
前記PLA:PGAのモル比は、50:50〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、
前記投与ステップが、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記棒状構造体の質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項36に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項36に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、1〜3cmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項36に記載の方法であって、
前記長期間送達システムが、1つ以上の異なる生分解性の棒状構造体のスターターセットをさらに含み、
前記異なる棒状構造体は、請求項36に記載の棒状構造体に対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、請求項36に記載の棒状構造体よりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、
前記1つ以上の異なる生分解性の棒状構造体は、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAのモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項48】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項36に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【請求項49】
対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヶ月維持するための方法であって、
前記対象に、1つ以上の個々の生分解性インプラントのセットを投与する投与ステップを含み、
前記個々の生分解性インプラントのそれぞれは、前記治療薬剤と、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有し、
前記治療薬剤が、前記個々のインプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在し、
前記ポリマーが、前記個々のインプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、
前記個々のインプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が、実質的に互いに異ならないことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法であって、
前記投与ステップは、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントのそれぞれが、低pH内部環境を示すことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、棒状であることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項49に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記個々の生分解性インプラントの質量に対して、30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項49に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項49に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、1〜3cmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、約0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法であって、
1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを前記対象に投与するステップをさらに含み、
前記異なる生分解性インプラントは、請求項49に記載の生分解性インプラントのセットに対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、請求項49に記載の生分解性インプラントのセットよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法であって、
前記異なる生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項64】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項49に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【請求項65】
対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持するための方法であって、
(a)治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有し、前記治療薬剤が10〜60質量%の量で存在し、前記ポリマーが40〜90質量%の量で存在し、その数が2つ以上である場合は前記PLA:PGAモル比において実質的に互いに異ならない1つ以上の個々の生分解性インプラントの初期セットを、前記対象に投与する投与ステップと、
(b)前記対象に、前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、前記初期セットの個々の生分解性インプラントとPLA:PGAモル比が同等の追加的な個々の生分解性インプラントを含有する1つ以上の生分解性インプラントの維持セットを投与する投与ステップと、
(c)必要に応じて前記ステップ(b)を繰り返すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与ステップが、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントのそれぞれが、低pH内部環境を示すことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、棒状であることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、ディスク状であることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントの質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項65に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項65に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、体積比が1〜4mm2/mm3の表面積を有することを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、1〜5mmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項65に記載の方法であって、
前記生分解性インプラントの初期セットと共に、1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを投与するステップをさらに含み、
前記異なる生分解性インプラントは、前記生分解性インプラントの初期セットに対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、前記生分解性インプラントの初期セットよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項79に記載の方法であって、
前記1つ以上の異なる生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項81】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項65に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【請求項1】
服薬不履行の可能性が高い疾患における薬剤服用順守を向上させるための埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーを有する埋め込み型の棒状構造体と、
前記棒状構造体に収容された治療薬剤とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、薬剤送達期間中に取り出し可能であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、前記棒状構造体の質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、低pH環境で、溶解度の増加を示すことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、チオチキセン、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、コルチコステロン、イブプロフェン、アスピリン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記PLA:PGAのモル比が、75:25〜100:0であることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗うつ剤であることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗不安剤であることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、抗精神病剤であることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記治療薬剤が、避妊剤であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、1〜3cmの長さを有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載の埋め込み型の長期間薬剤送達システムであって、
前記棒状構造体が、2〜4mmの直径を有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
生分解性インプラントであって、
治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーとを含み、
前記治療薬剤が、当該インプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在し、
前記ポリマーが、当該インプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在することを特徴とするインプラント。
【請求項16】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
棒状であることを特徴とするインプラント。
【請求項17】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
実質的に円形の断面を有することを特徴とするインプラント。
【請求項18】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
実質的に楕円形の断面を有することを特徴とするインプラント。
【請求項19】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とするインプラント。
【請求項20】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
1〜3cmの長さを有することを特徴とするインプラント。
【請求項21】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
2〜4mmの直径を有することを特徴とするインプラント。
【請求項22】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記PLA:PGAのモル比が、75:25〜100:0であることを特徴とするインプラント。
【請求項23】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
薬剤送達期間中に取り出し可能であることを特徴とするインプラント。
【請求項24】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
当該インプラントは、低pH内部環境を示すことを特徴とするインプラント。
【請求項25】
請求項24に記載の生分解性インプラントであって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とするインプラント。
【請求項26】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
界面活性剤又は乳剤の使用を必要としない、溶媒キャスティング法、溶融混合、又は溶融混合押出法から選択されるステップを含むプロセスにより製造されることを特徴とするインプラント。
【請求項27】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、前記埋め込み物の30〜60質量%の量で存在することを特徴とするインプラント。
【請求項28】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするインプラント。
【請求項29】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、チオチキセン、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、コルチコステロン、イブプロフェン、アスピリン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とするインプラント。
【請求項30】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗うつ剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項31】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗不安剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項32】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、抗精神病剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項33】
請求項15に記載の生分解性インプラントであって、
前記治療薬剤が、避妊剤であることを特徴とするインプラント。
【請求項34】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項15に記載の生分解性インプラントを前記ヒトに投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
ヒトの双極性障害、認知症、精神錯乱、動揺、衝動調節障害、又は精神病的な憂うつを治療するための方法であって、
請求項15に記載の生分解性インプラントを前記ヒトに投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
服薬不履行の可能性が高い疾患の対象を治療するための方法であって、
長期間薬剤送達システムに含まれた治療薬剤を前記対象に投与する投与ステップを含み、
前記長期間薬剤送達システムは、治療薬剤及びポリマーを含有する埋め込み型の棒状構造体を含み、
前記ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、
前記PLA:PGAのモル比は、50:50〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、
前記投与ステップが、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記棒状構造体の質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項36に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項36に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、1〜3cmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項36に記載の方法であって、
前記棒状構造体が、0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項36に記載の方法であって、
前記長期間送達システムが、1つ以上の異なる生分解性の棒状構造体のスターターセットをさらに含み、
前記異なる棒状構造体は、請求項36に記載の棒状構造体に対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、請求項36に記載の棒状構造体よりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、
前記1つ以上の異なる生分解性の棒状構造体は、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAのモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項48】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項36に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【請求項49】
対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約1ヶ月維持するための方法であって、
前記対象に、1つ以上の個々の生分解性インプラントのセットを投与する投与ステップを含み、
前記個々の生分解性インプラントのそれぞれは、前記治療薬剤と、乳酸(PLA)及び随意的にリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有し、
前記治療薬剤が、前記個々のインプラントの質量に対して10〜60質量%の量で存在し、
前記ポリマーが、前記個々のインプラントの質量に対して40〜90質量%の量で存在し、
前記個々のインプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が、実質的に互いに異ならないことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法であって、
前記投与ステップは、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントのそれぞれが、低pH内部環境を示すことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、棒状であることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項49に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記個々の生分解性インプラントの質量に対して、30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項49に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項49に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、1〜4mm2/mm3の表面積/体積比を有することを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、1〜3cmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項49に記載の方法であって、
前記個々の生分解性インプラントが、約0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法であって、
1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを前記対象に投与するステップをさらに含み、
前記異なる生分解性インプラントは、請求項49に記載の生分解性インプラントのセットに対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、請求項49に記載の生分解性インプラントのセットよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法であって、
前記異なる生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項64】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項49に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【請求項65】
対象における治療薬剤の治療レベルを少なくとも約3ヶ月維持するための方法であって、
(a)治療薬剤と、ポリ乳酸(PLA)及び随意的にポリグリコール酸(PGA)を含み、前記PLA:PGAのモル比が50:50〜100:0であるポリマーとを含有し、前記治療薬剤が10〜60質量%の量で存在し、前記ポリマーが40〜90質量%の量で存在し、その数が2つ以上である場合は前記PLA:PGAモル比において実質的に互いに異ならない1つ以上の個々の生分解性インプラントの初期セットを、前記対象に投与する投与ステップと、
(b)前記対象に、前記初期セットの放出ピーク時点の近くで、前記初期セットの個々の生分解性インプラントとPLA:PGAモル比が同等の追加的な個々の生分解性インプラントを含有する1つ以上の生分解性インプラントの維持セットを投与する投与ステップと、
(c)必要に応じて前記ステップ(b)を繰り返すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、
前記対象がヒトであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法であって、
前記投与ステップが、薬剤送達期間中に可逆的であることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントのそれぞれが、低pH内部環境を示すことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、
前記低pH内部環境は、低pHで溶解度を増加させることにより、薬剤の放出を促進することを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、棒状であることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、ディスク状であることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントの質量に対して30〜60質量%の量で存在することを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項65に記載の方法であって、
前記治療薬剤が、リスペリドン、9−OHリスペリドン、又はそれらの活性代謝物であることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項65に記載の方法であって、
前記PLA:PGAのモル比が、85:15〜100:0であることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、体積比が1〜4mm2/mm3の表面積を有することを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、1〜5mmの長さを有することを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、2〜4mmの直径を有することを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項65に記載の方法であって、
前記初期セットの前記個々の生分解性インプラントが、0.75g以下の質量を有することを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項65に記載の方法であって、
前記生分解性インプラントの初期セットと共に、1つ以上の異なる生分解性インプラントのスターターセットを投与するステップをさらに含み、
前記異なる生分解性インプラントは、前記生分解性インプラントの初期セットに対して、薬剤搭載量、PLA:PGAモル比、表面積/体積比、質量、長さ、直径、又は固有粘度が異なり、前記生分解性インプラントの初期セットよりも早く、薬剤放出の定常レベルに到達することを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項79に記載の方法であって、
前記1つ以上の異なる生分解性インプラントは、その数が2つ以上である場合は、前記PLA:PGAモル比が実質的に互いに異なることを特徴とする方法。
【請求項81】
ヒトの統合失調症を治療するための方法であって、
請求項65に記載の方法を前記ヒトに実施することを特徴とする方法。
【図1】
【図2A−B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図2A−B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【公表番号】特表2009−501798(P2009−501798A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522903(P2008−522903)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027894
【国際公開番号】WO2007/011955
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027894
【国際公開番号】WO2007/011955
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】
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