表示装置
【課題】表示装置の接続端子部における金属配線層を伝達・成長する腐食反応を完全に抑制することはできないため、時間の経過により断線に至り、表示不良が発生する。
【解決手段】一辺に端子電極群を備える第1の基板と、液晶材を介して第1の基板と対向配置される第2の基板とを備える。第1の基板上の端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している。第2の基板は端子電極群を覆わないように配置されている。また、端子電極と分離領域とを共通に覆い、分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層が設けられている。
【解決手段】一辺に端子電極群を備える第1の基板と、液晶材を介して第1の基板と対向配置される第2の基板とを備える。第1の基板上の端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している。第2の基板は端子電極群を覆わないように配置されている。また、端子電極と分離領域とを共通に覆い、分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、外部駆動回路と接続するための接続端子部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高解像度のディスプレイとして表示装置の中でも特に平面表示装置(Flat Panel Display Device)が広く用いられている。平面表示装置の一つである液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のスイッチング素子が形成された基板(以下、TFT基板と呼ぶ。)とカラーフィルタ、ブラックマトリクス等が形成された対向基板(以下、CF基板と呼ぶ。)を有する。液晶表示装置は、TFT基板と対向基板との間に狭持された液晶に印加される電界を変化させることにより、液晶分子の配向方向を変化させ、光の透過量を各々の画素毎に制御して表示を可能としている。電界を印加するために、TFT基板は駆動回路を設けた外部配線基板に接続される。この外部配線基板としてはTCP(Tape Carrier Package)やCOG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)などが用いられる。
【0003】
図10に、配線基板としてTCPを採用した場合の一般的な液晶表示装置の断面図を示す。図10に示すように、TFT基板1はCF基板13と比較して面積が大きく形成されている。TFT基板1とCF基板13とが液晶材14を介して対向する領域を表示領域呼ぶ。この表示領域に隣接して配置されておりCF基板13に対してTFT基板1がはみ出した領域とシール材15の領域の両方を含めて周辺領域と呼ぶ。TFT基板1上の表示領域内に形成されたデータ線、走査線、電源配線などは、表示領域から周辺領域に引き出されて、基板の一辺に端子電極群を形成する。表示領域内配線、引き出し配線、端子電極は、図示された金属配線層2で共通して形成している。この金属配線層2の一端側に形成された端子電極群は、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと呼ぶ。)7を介して、TCP8のTCP配線9と電気的に接続される。
【0004】
図11に、図10の周辺領域におけるTFT基板1とTCP8の接続部(以下、接続端子部と呼ぶ。)付近の詳細を示す。図11(a)および図11(b)に示すように、端子電極群を構成するように周辺領域に引き出された金属配線層2は絶縁層4によって保護されているが、各端子電極表面の一部にはTFT基板1とTCP8を接続するためのコンタクトホール5が絶縁層4に形成されている。コンタクトホール5はITO(Indium Tin Oxide)などの表面導電層6によって被覆されている。
【0005】
このように、端子電極2上のコンタクトホール5は、表面導電層6やACF7で覆われている。しかし、ITOは水分浸入抑制効果が低く、また、ACF7もある程度の吸水性を有している。そのため、端子電極2が腐食し、断線などによる表示不良を引き起こすことを抑制することが重要となる。
【0006】
液晶表示装置(LCD)は高精細化、大画面化にともない、配線金属の低抵抗化が図られている。そのため、これまで使用されていたCrなどの耐食性のある配線材料から、Al、Cuなどの低抵抗ではあるが耐食性に乏しい配線材料が多く用いられるようになってきた。このような背景の下、上述した端子電極2の腐食対策が益々重大となってきた。
【0007】
このような問題を解決する技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された画像表示装置の接続電極は、導電層上であって絶縁層によって被覆されていない開口部(コンタクトホール)を導電層の一方の端部に寄せて配置した構成としている。この構成により、開口部の一部で生じた腐食反応が導電層の両端部に到達するまでに要する時間が長大化し、断線の発生を抑制することができることとされている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−205550号公報(段落〔0029〕−〔0032〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された画像表示装置の構成では、金属配線層を伝達・成長する腐食反応を完全に抑制することはできないため、時間の経過により断線に至り、表示不良が発生するという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、金属配線層の腐食が発生しても、金属配線層の完全な断線を防止することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示装置は、表示領域から基板周辺へ引き出された金属配線層に形成された端子電極群を備える第1の基板と、その第1の基板と対向配置される第2の基板とを有する表示装置において、端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の表示装置によれば、スイッチング素子が形成された第1の基板と、第1の基板と液晶材料を挟んで対向する第2の基板を有し、第1の基板は、スイッチング素子を含む表示領域と、表示領域に隣接する周辺領域からなり、周辺領域に配置され、表示領域から延伸した金属配線層と金属配線層の一部が開口した接続領域とを含む複数の接続端子部を有し、複数の接続端子部のうち少なくとも一の接続端子部は、金属配線層が2以上の配線領域からなる部分を有し、各配線領域は金属配線層が延伸する方向と平行な方向には連続しており、延伸する方向と交差または直交する方向に対して互いに離間している。
【0013】
とくに本発明による表示装置は、一辺に端子電極群を備える第1の基板と、液晶材を介して第1の基板と対向配置される第2の基板とを備える。第1の基板上の端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している。第2の基板は端子電極群を覆わないように配置されている。また、端子電極と分離領域とを共通に覆い、分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示装置は、接続端子部の完全な断線を防止することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
まず、本発明の第1の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図1から図5を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の端子電極の構造を示す断面図である。図1(a)は、PCT等の配線基板を接続する前段階の構成を示す。第1の基板としてのTFT基板1は、図示していないスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をマトリクス配置しているアクティブマトリクス基板を想定している。第2の基板としてのCF基板13には、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等が形成されている。TFT基板1とCF基板との間に液晶材14が狭持され、シール材15で封止されている。TFT基板1は図1(a)に示すように、表示領域と周辺領域から構成される。表示領域は、対向するCF基板13との間に液晶材14が存在する領域であり、そこには、図示されていないTFTが形成されている。周辺領域は、表示領域に隣接して配置されており、シール材15の領域とCF基板13に対してTFT基板1がはみ出している領域の両方を含む。この周辺領域に、表示領域から引き出された金属配線層2が形成され、図1(b)に示すように、薄膜トランジスタの駆動回路を設けた外部配線基板と接続する端子電極が形成される。
【0018】
図1(b)に、配線基板としてTCP(Tape Carrier Package)を用い、TCP8とTFT基板1を接続した状態を示す。TCP8に形成された配線端子としてのTCP配線9が、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと呼ぶ。)7を介して、TFT基板1の端子電極2と接続される。
【0019】
図2に本実施形態におけるTFT基板1の端子電極の構造を示す。図2(a)は平面図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X’断面図である。図2では、2個の端子電極が周辺領域に並設されている場合を示しているが、通常は配線数に合わせて複数本の端子電極が同一ピッチで並設されて端子電極群を形成している。しかし本実施の形態では、端子電極の数や配置は特に限定されない。
【0020】
図2に示すように、TFT基板1上の各端子電極2は互いに離間した2個の金属配線領域から形成されている。本実施形態では各々の端子電極2の中央近傍に分離領域としてスリットを設けた。すなわち、端子電極2を構成する金属材料が除去された金属層除去部(以下、スリットと呼ぶ)3を設けた。すなわち、スリットを有する端子電極、すなわち分岐型端子電極2が形成される構成とした。ここで、スリットを有する端子電極2の一部で腐食が発生した場合、発生した腐食は時間の経過と共に端子電極2内で進行する。しかし本実施形態によれば、端子電極2がスリット3により分離されているので、このスリット3で腐食の進行が阻止される。したがって、腐食による端子電極2の完全な断線を防止することができる。
【0021】
この端子電極2およびそこへ導通している引き出し配線層は低抵抗金属膜を用いて形成することが望ましい。低抵抗金属としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)等を主材料として用いることができる。さらに、耐食性を向上させるためにネオジム(Nd)などの耐食性金属で合金化したものを用いてもよい。また、端子電極2およびその引き出し配線層は2層及び3層などの積層構造とすることもできる。なお、スリット3は少なくとも1つの端子電極に設ければよく、必ずしも全ての端子電極に設けなくてもよい。また、図2ではスリット3を同一幅のスリットとしているが、スリット3の形状は特に限定されず、幅を変化させてもよいし、屈曲させてもよい。以下に説明する他の実施形態においても同様である。
【0022】
図2(b)に示すように、端子電極2の上層に形成された絶縁層4の一部が除去され、コンタクトホール5が形成される。ここでは、コンタクトホール5は分離した端子電極2のそれぞれに形成される。絶縁層4は端子電極2を外気から保護するためのものである。絶縁層4としては絶縁性を示す材料であれば特に制限されないが、通常はSiNXやSiO2などの無機絶縁膜が用いられる。図2(b)には絶縁層4を単層構造で示しているが、複数の絶縁材料による積層構造としてもよい。
【0023】
絶縁層4の上面に、各々の端子電極2の2つのコンタクトホール5を完全に覆うように表面導電層6が形成される。本実施形態ではスリット3の上層にも表面導電層6が形成され、ACF7との接続面積を大きくしている。表面導電層6としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの酸化物透明導電膜を用いることができる。
【0024】
図2(a)に示すように、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6よりも長く形成される。そして端子電極2が延伸する方向、すなわち図2(a)の上下方向に、端子電極から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した端子電極2の腐食が、端子電極を越えて図2(a)の上下方向に存在する端子電極2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図2(a)の下方側、すなわち端子電極の先端側のスリット3は、図2(a)に示すように、端子電極の先端まで形成し、端子電極を形成する金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図2(a)の上方側のスリット3と同様に、接端子電極の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0025】
次に、TFT基板1にTCP8を圧接した場合について説明する。この場合、以下に述べるように、TFT基板1とTCP8との接続時に位置ズレが生じることにより端子電極2に腐食が発生し、表示不良となるという問題が生じる。
【0026】
図11は、TFT基板1上の端子電極を形成する金属配線層2とTCP8のTCP配線9とが位置ズレなく貼り合わされている状態を示している。しかし実際には、図12(a)及び図12(b)に示すように、TCP圧接時に用いる圧接装置の位置合わせ精度のばらつき等により、金属配線層2とTCP配線9の位置がずれて圧接される場合が生じる。この位置ズレに対しては、通常ある程度の許容範囲を持って製品の設計がされるため、初期表示状態で不良になることはない。しかし、高温高湿環境下での耐久性試験後においては、図13(a)及び図13(b)に示すように、腐食10の発生により表示不良となる問題があった。
【0027】
上述した位置ズレによる腐食10が発生する箇所は、一般に金属配線層2の絶縁層4に覆われていないコンタクトホール5の端部であり、かつ、位置ズレによってTCP配線9が対向しないこととなった側のコンタクトホール5の端部である。この腐食が発生する機構について、以下の2つの原因が考えられる。第一の原因は、コンタクトホール5の上部をTCP配線9が被覆していないため、外部環境からコンタクトホール5に至るまで水蒸気等が浸透することが容易となることである。第二の原因は、TCP配線9の位置ズレにより、隣接する端子電極へ圧接されたTCP配線9が、当該コンタクトホール5に接近することである。すなわち、この隣接するTCP配線9の接近により、表示信号印加時に端子電極2が隣接するTCP配線9から異なる電界を受けるようになることから、電位差が生じるためである。
【0028】
そして、時間の経過と共に、図13(b)及び図13(c)に示すように、TCP配線9に覆われていない側のコンタクトホール端部から金属配線層2を伝い、反対側のコンタクトホール端部に向かって腐食10が成長してゆく。また、コンタクトホール5の直下の金属配線層2と比較すると、腐食の進行は遅いが、絶縁層4に覆われている金属配線層2にも腐食が成長してゆく。
【0029】
この腐食の進行により、表面導電層6と金属配線層2との接続抵抗が上昇し、更には金属配線層2の腐食10の成長によって断線を生じることなどによって、表示不良が発生する。
【0030】
しかし、本実施形態による液晶表示装置によれば、以下に述べるように、TFT基板1とTCP8の接続時に位置ズレが生じた場合であっても、腐食による金属配線層2の完全な断線を防止することができる。
【0031】
図3に、本実施形態による液晶表示装置のTFT基板1にACF7を介してTCP8を圧接した状態における端子電極の構造を示す。この図では、TCP配線9がTFT基板1の端子電極に対して左側にずれて圧接された形態を示している。端子電極の最上層である表面導電層6とTCP配線9とがACF7を介して接続される。ACF7の異方性により基板1の主面に対して直交する方向にのみ導電性を有するため、TFT基板1の1つの端子電極と向かい合ったTCP配線9のみが接続されることになる。TCP圧接時の位置ズレは圧接装置の位置合わせ精度のばらつき等の理由から生じる。TCP圧接するときに常に位置ズレなく圧接することは困難であるので、端子電極及びTCP8はある程度の許容範囲を持って設計されている。そのため、初期表示の状態では表示不良となることはない。
【0032】
上述したように、TCP圧接時に位置ズレが生じた場合に腐食が発生し、この腐食反応の進行によって接続不良や断線が生じる。本実施形態の端子電極の構造を採用することによって、接続不良や断線を解決できる理由について以下に説明する。
【0033】
図4(a)及び図4(b)に示すように、まずTCP配線9に覆われていないコンタクトホール5(各端子電極の右側のコンタクトホール5)の端部で金属配線層(端子電極)2の腐食10が発生する。発生した腐食10は、時間の経過と共に同図の左方向、つまり逆側のコンタクトホールの端部に向かって進行する。腐食10が伝播する部分は金属配線層2であるため、本実施形態のように金属配線層2が分離している構造においては、金属配線層2の分離部、すなわちスリット3で腐食10の進行が停止する(図4(c))。ここで、二つの配線領域に分離した金属配線層2のうち、腐食10が発生した一方の側の金属配線層では腐食の進行による接続抵抗の上昇などの不良が生じる。しかしながら、分離した他方の金属配線層には腐食10が進行していないので、接続抵抗の上昇が生じることはなく、また完全な断線が生じることもない。
【0034】
なお、腐食10が進行して一方の側の金属配線層2が全体にわたり腐食した場合(図4(c))には、腐食した金属配線層2の接続抵抗が上昇するため、表面導電層6と金属配線層2との接続抵抗も上昇する。しかしながら、腐食が伝播していない他方の側の金属配線層2との接続だけで電気的な接続を充分に行うことができる。したがって、液晶表示装置としての表示上の問題はない。
【0035】
これに対して背景技術に記載した関連技術(特開2004−205550号公報)による接続電極(端子電極)では、コンタクトホールを導電層の一方の端部に寄せて配置した構成としている。しかし、この構成ではTCP圧接時の一方向の位置ズレに対してしか効果が生じない。さらに、コンタクトホールを導電層の一方の端部に寄せて配置するため、コンタクトホールの面積を小さくしている。そのため、コンタクトホールの金属配線層で腐食が生じるとコンタクトホールの全面に腐食が進行し、表面導電層と金属配線層の接続不良が発生してしまう。
【0036】
次に、本実施形態による液晶表示装置の端子電極の製造方法について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のTFT基板の端子電極の構造を示す工程断面図である。
【0037】
まず、図5(a)に示すように、TFT基板1の全面に金属配線層2を、例えばスパッタリング法等を用いて成膜する。TFT基板1にはガラス基板を用いることができる。また、ガラス基板の上にSiNXまたはSiO2などの絶縁膜を堆積したものを用いてもよい。金属配線層2で形成される端子電極およびその引き出し配線には、例えば、AlやAg、Cuなどの低融点金属、AlにNdなどの耐食性金属を添加したAl−Nd合金などを用いることができる。金属配線層2の膜厚は特に制限はないが、本実施の形態では約200nmとした。また金属配線層2は図5に示した単層ではなく、AlまたはAg、Cuなどの低融点金属とMoなどの高融点金属との積層構造としてもよい。この場合の各金属配線層2の膜厚にも特に制限はないが、例えば、上層の金属配線層として約50nmのMo層とし、下層の金属配線層として約l200nmのAl層とすることができる。
【0038】
次に、図5(b)に示すように、金属配線層2をパターニングする。パターニング方法には通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、金属配線層のパターンを残す部分にポジ型レジストを形成し、その後に、このレジストをマスクとして金属配線層2をエッチング除去した。レジストを除去することによって図5(b)に示す金属配線層2のパターンが得られる。このパターニングのときに、少なくとも1つの端子電極の所定箇所にスリット3を設け、金属配線層2を二股形状に分離する。スリット3は、後の工程で表面導電層6が形成される領域を含み、図2(a)の上下方向に延長して設けることが望ましい。金属配線層2のエッチングには、例えばリン酸/硝酸/酢酸/水の混酸を使用したウェットエッチング法を用いることができる。このウェットエッチング方法を用いることにより、Mo/Al系の積層配線層を採用した場合にも、積層膜を一括してテーパーエッチングすることができる。
【0039】
次に、図5(c)に示すように、パターニングされた金属配線層2を完全に被覆するように絶縁層4をTFT基板1の全面に堆積する。絶縁層4の形成には例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い、SiNX膜を約300nmの厚さで形成する。絶縁層4に用いる材料はSiNX膜に限らず、SiO2膜などの絶縁体を用いることができる。また、単層に限らず積層膜としてもよい。
【0040】
次に図5(d)に示すように、金属配線層2の上に堆積した絶縁層4にコンタクトホール5を形成する。コンタクトホール5はTCP配線9とACF7を介して接続するための接続領域となる部分に形成する。コンタクトホール5の形成にも通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、コンタクトホール5のパターンとなる領域以外にポジ型レジストを形成し、このレジストをマスクとして絶縁層4をエッチング除去した。その後このレジストを除去することによって図5(d)に示すコンタクトホール5が形成される。絶縁層4のエッチングには、例えばSF6系やCHF3系のガスを用いたドライエッチング法や、バッファードフッ酸などを使用したウェットエッチング法を用いることができる。
【0041】
次に図5(e)に示すように、表面導電層6をTFT基板1の全面に堆積する。表面導電層6にはITOまたはIZOなどの透明導電膜を用いることができる。この透明導電膜をスパッタリング法等により、例えば膜厚約100nm程度堆積することにより表面導電層6を形成することができる。
【0042】
次に図5(f)に示すように、表面導電層6をパターニングすることにより接続領域を完成する。パターニングには通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、表面導電層6のパターンを残す部分にポジ型レジスト形成し、このレジストをマスクとして用いて表面導電層6をエッチング除去した。なお本実施形態では、スリット3の上部に形成された絶縁層4の上にも表面導電層6が形成されている。レジストを除去することにより図5(f)に示す表面導電層6が完成する。ここで表面導電層6はコンタクトホール5を完全に覆うように形成する。コンタクトホール5と表面導電層6により、ACF7を介してTCP配線9と圧接する接続領域が形成される。表面導電層6のエッチング方法には、例えば塩酸と硝酸の混酸である王水を使用したウェットエッチング法を用いることができる。
【0043】
以上述べたように本実施形態では、TFT基板1の少なくとも1つの端子電極の金属配線層2をスリット3により2以上に分離する構成とした。TCP圧接時に金属配線層2とTCP配線9との位置ズレが生じた場合には、TCP配線9に覆われていないコンタクトホール5の端部で金属配線層2の腐食が発生し得る。しかし本実施形態による液晶表示装置よれば、スリット3で腐食の進行を止めることができるので、金属配線層2の完全な断線を防止し、接続領域の接続性を維持することができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は平面図であり、図6(b)は、図6(a)のX−X’断面図である。
【0045】
上述した第1の実施形態においては、金属配線層2を二個の配線領域に分離する場合を示したが、これに限らず、金属配線層2が複数に分離されていれば本発明の効果が得られる。図6に、各々の端子電極にスリット3を2箇所に形成し、金属配線層2を三個の配線領域に分離した場合の接続領域の構造を示す。金属配線層2の三個の配線領域にそれぞれコンタクトホール5が形成される。
【0046】
本実施形態の端子電極の構造によれば、TCP配線9に覆われていないコンタクトホール端部で腐食が発生し、腐食が進行したとしても、一個目のスリット3で腐食の進行を止めることができる。そのため、3個形成されたコンタクトホール5のうち2個のコンタクトホール5によって、TFT基板1とTCP8との電気的な接続を維持することができる。本実施形態によれば、腐食が発生し進行した場合においても接続が維持されるコンタクトホールの面積が、第1の実施形態による場合よりも大きくなる。したがって、接続領域における接続抵抗の低減を図ることができる。
【0047】
図6(a)に示すように、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして第1の実施形態の場合と同様に、端子電極2が延伸する方向、すなわち図6(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図6(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図6(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図6(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図6(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図7を参照しながら説明する。上述した第1及び第2の実施形態においては、金属配線層2をスリット3によって分離する構造とした。それに対して本実施形態では、金属配線層2を積層方向において異なる層に形成することにより、金属配線層2を分離する構造とした。
【0049】
図7に、本実施形態による液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図7(a)は平面図であり、図7(b)は、図7(a)のX−X’断面図である。図7(b)に示すように、各接続領域の金属配線層2をTFT基板1に対する積層方向に分離し、第1金属配線層2aと第2金属配線層2bをそれぞれ異なる層に形成した。ここで、第1金属配線層2a及び第2金属配線層2bが2以上の配線領域に対応する。
【0050】
図7(b)においては、接続領域の第1金属配線層2aと第2金属配線層2bとを表面導電層6を介して接続する構成としている。この構成に加えて、または、この構成に替えて、図7(a)に示すように接続領域以外の領域に異層接続部11を設ける構成としてもよい。この異層接続部11において第1金属配線層2aと第2金属配線層2bとを表面導電層6を介して接続する。異層接続部11には、各金属配線層と表面導電層6を電気的に接続するためのコンタクトホール12が形成されるので、水分などの外部環境の影響を受けやすい。したがって、図1に示したTFT基板1とCF基板13を貼り合わせるシール材15を形成する領域よりも表示領域側に、異層接続部11を設けることが望ましい。
【0051】
本実施形態では、異層接続部11においても表面導電層6を用いて金属配線層を接続することとしたが、これに限らず、異なる層に形成された金属配線層同士を直接接続させる構造としてもよく、また別の導電層によって接続することとしてもよい。また本実施の形態では金属配線層2は2層からなることとしたが、3層以上としてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、TCP圧接時にズレが生じたことによって一方の金属配線層において腐食が発生し進行した場合であっても、金属配線層2は積層方向に分離しているので、他方の金属配線層に腐食が進行することはない。そのため接続領域における接続を確実に維持することができる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図8を参照しながら説明する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図8(a)は平面図であり、図8(b)は、図8(a)のX−X’断面図である。本実施形態は、表面導電層6のパターンを図2に示す第1の実施形態におけるものから変更したものであり、表面導電層6も金属配線層2と同様に分離した構造とした。図8に示すように、コンタクトホール5が分岐された金属配線層2のそれぞれに対応して2箇所に形成され、この2箇所のコンタクトホール5のそれぞれに表面導電層6を分離して形成した。
【0055】
ここで、第1の実施形態で説明したように、コンタクトホール端部で発生した金属配線層2の腐食は、経過時間と共に金属配線層2を伝播して反対側のコンタクトホール端部へ進行してゆく。一方、コンタクトホール5を覆っている表面導電層6も金属配線層2におけるよりは伝播速度が遅いが、腐食反応が生じ、腐食が進行してゆく可能性がある。しかしながら本実施形態による接続領域においては、表面導電層6も分離して形成されているので、腐食が伝播する経路は存在しない。そのため腐食の進行を完全に防ぐことができる。
【0056】
スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして金属配線層2が延伸する方向、すなわち図8(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図8(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図8(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図8(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図8(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図9を参照しながら説明する。
【0058】
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図9(a)は平面図であり、図9(b)は、図9(a)のX−X’断面図である。本実施形態では、コンタクトホール5が金属除去部3を跨って形成される。すなわち、分岐された金属配線層2を構成する2個の配線領域に共通して一個のコンタクトホール5が形成され、スリット3の上面には絶縁層4が形成されない構造となっている。そしてコンタクトホール5を完全に覆うように表面導電層6が形成される。したがって、金属配線層2と表面導電層6との接触面積が大きくなるので、金属配線層2と表面導電層6の接触抵抗をより小さくすることができる。なお、第4の実施形態で説明したとおり、表面導電層6を通して腐食が伝播する可能性もある。しかしながら、ITOなどからなる表面導電層6の腐食の伝播速度は、金属配線層2と比較すると遅い。したがって、分岐された他方の金属配線層2へ表面導電層6を通して腐食が伝播する確率は低く、接続領域部における接続を十分に維持することができる。
【0059】
上述したように本実施形態においては、スリット3の上面には絶縁層4が形成されていない。そのため、スリット3の端部から腐食が発生するおそれがある。しかし、この場合であっても、TCP8に形成された少なくとも一以上のTCP配線9を、二以上に分離されていない単一の領域で構成することにより、この問題を回避することができる。すなわち、TCP配線9を一の領域からなる構成とすることにより、TCP配線9がスリット3を被覆する配置となるので、スリット3の端部から腐食が発生することを防止することができる。これはTCP配線9によって、腐食が発生する原因となる水蒸気等のスリット3に至る浸透を阻止できるからである。この場合には上述の実施形態における場合と同様に、腐食が発生する領域はTCP配線9によって被覆されていない金属配線層2の一方の端部に限定されるので、腐食の進行をスリット3で阻止することができる。
【0060】
本実施形態においても、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして金属配線層2が延伸する方向、すなわち図9(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図9(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図9(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図9(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図9(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0061】
次に、本実施形態による液晶表示装置の接続領域の製造方法について説明する。基本的には第1の実施形態の場合と同じであるが、本実施形態の場合は図5(d)に示したコンタクトホール形成の際に、スリット3上の絶縁層4も取り除く必要がある点が異なる。コンタクトホールを形成するためのエッチングには、SF6またはCHF3系などのエッチングガスを用いたドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることできる。本実施形態ではコンタクトホールを形成するためのエッチング時に、スリット3に露出しているTFT基板1もエッチングされ、金属配線層2の下層基板がサイドエッチングされる可能性がある。そしてサイドエッチングが発生すると金属配線層2がオーバーハングした構造となり、表面導電層6のステップカバレッジ性が劣化し、製造工程における水分が溜まるなど、端子の信頼性を劣化させる原因となる。したがって、本実施形態におけるコンタクトホールを形成するためのエッチング時には、TFT基板1へのサイドエッチングが生じないRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性ドライエッチング法や、絶縁層4とTFT基板1の選択比の高いエッチング方法を用いることが好ましい。
【0062】
なお、上述した第1から第5の実施形態では、液晶表示装置を構成する第1の基板としてTFT基板を用いることとしたが、これに限らず、TFT以外の他のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス基板を用いた場合にも本発明を適用することができる。また、上記各実施形態では本発明を液晶表示装置に適用する場合を示したが、これに限らず、第1の基板の端子電極群と外部配線基板の配線端子群とが接続される表示装置に対しても同様に適用することができる。
【0063】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、接続端子部を備えた表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構造を示し、(a)はTCPを接続する前の断面図であり、(b)はTCPを接続した構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の接続端子部の構造を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じ腐食が発生した場合)を示す平面図(a)であり、(b)は腐食が一部にとどまっている場合のX−X’断面図であり、(c)は腐食が進行した場合におけるX−X’断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の接続端子部の製造方法を示す工程断面図(a)−(f)である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図10】関連する液晶表示装置の構造を示す断面図である。
【図11】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレがない場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図12】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図13】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じ腐食が発生した場合)を示す平面図(a)であり、(b)は腐食が一部にとどまっている場合のX−X’断面図であり、(c)は腐食が進行した場合におけるX−X’断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 TFT基板
2 金属配線層(端子電極および引き出し電極を含む)
2a 第1金属配線層
2b 第2金属配線層
3 金属層除去部(スリット)
4 絶縁層
5 コンタクトホール
6 表面導電層
7 異方性導電膜(ACF)
8 TCP
9 TCP配線
10 腐食
11 異層接続部
12 コンタクトホール
13 CF基板
14 液晶材
15 シール材
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、外部駆動回路と接続するための接続端子部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高解像度のディスプレイとして表示装置の中でも特に平面表示装置(Flat Panel Display Device)が広く用いられている。平面表示装置の一つである液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のスイッチング素子が形成された基板(以下、TFT基板と呼ぶ。)とカラーフィルタ、ブラックマトリクス等が形成された対向基板(以下、CF基板と呼ぶ。)を有する。液晶表示装置は、TFT基板と対向基板との間に狭持された液晶に印加される電界を変化させることにより、液晶分子の配向方向を変化させ、光の透過量を各々の画素毎に制御して表示を可能としている。電界を印加するために、TFT基板は駆動回路を設けた外部配線基板に接続される。この外部配線基板としてはTCP(Tape Carrier Package)やCOG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)などが用いられる。
【0003】
図10に、配線基板としてTCPを採用した場合の一般的な液晶表示装置の断面図を示す。図10に示すように、TFT基板1はCF基板13と比較して面積が大きく形成されている。TFT基板1とCF基板13とが液晶材14を介して対向する領域を表示領域呼ぶ。この表示領域に隣接して配置されておりCF基板13に対してTFT基板1がはみ出した領域とシール材15の領域の両方を含めて周辺領域と呼ぶ。TFT基板1上の表示領域内に形成されたデータ線、走査線、電源配線などは、表示領域から周辺領域に引き出されて、基板の一辺に端子電極群を形成する。表示領域内配線、引き出し配線、端子電極は、図示された金属配線層2で共通して形成している。この金属配線層2の一端側に形成された端子電極群は、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと呼ぶ。)7を介して、TCP8のTCP配線9と電気的に接続される。
【0004】
図11に、図10の周辺領域におけるTFT基板1とTCP8の接続部(以下、接続端子部と呼ぶ。)付近の詳細を示す。図11(a)および図11(b)に示すように、端子電極群を構成するように周辺領域に引き出された金属配線層2は絶縁層4によって保護されているが、各端子電極表面の一部にはTFT基板1とTCP8を接続するためのコンタクトホール5が絶縁層4に形成されている。コンタクトホール5はITO(Indium Tin Oxide)などの表面導電層6によって被覆されている。
【0005】
このように、端子電極2上のコンタクトホール5は、表面導電層6やACF7で覆われている。しかし、ITOは水分浸入抑制効果が低く、また、ACF7もある程度の吸水性を有している。そのため、端子電極2が腐食し、断線などによる表示不良を引き起こすことを抑制することが重要となる。
【0006】
液晶表示装置(LCD)は高精細化、大画面化にともない、配線金属の低抵抗化が図られている。そのため、これまで使用されていたCrなどの耐食性のある配線材料から、Al、Cuなどの低抵抗ではあるが耐食性に乏しい配線材料が多く用いられるようになってきた。このような背景の下、上述した端子電極2の腐食対策が益々重大となってきた。
【0007】
このような問題を解決する技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された画像表示装置の接続電極は、導電層上であって絶縁層によって被覆されていない開口部(コンタクトホール)を導電層の一方の端部に寄せて配置した構成としている。この構成により、開口部の一部で生じた腐食反応が導電層の両端部に到達するまでに要する時間が長大化し、断線の発生を抑制することができることとされている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−205550号公報(段落〔0029〕−〔0032〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された画像表示装置の構成では、金属配線層を伝達・成長する腐食反応を完全に抑制することはできないため、時間の経過により断線に至り、表示不良が発生するという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、金属配線層の腐食が発生しても、金属配線層の完全な断線を防止することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示装置は、表示領域から基板周辺へ引き出された金属配線層に形成された端子電極群を備える第1の基板と、その第1の基板と対向配置される第2の基板とを有する表示装置において、端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の表示装置によれば、スイッチング素子が形成された第1の基板と、第1の基板と液晶材料を挟んで対向する第2の基板を有し、第1の基板は、スイッチング素子を含む表示領域と、表示領域に隣接する周辺領域からなり、周辺領域に配置され、表示領域から延伸した金属配線層と金属配線層の一部が開口した接続領域とを含む複数の接続端子部を有し、複数の接続端子部のうち少なくとも一の接続端子部は、金属配線層が2以上の配線領域からなる部分を有し、各配線領域は金属配線層が延伸する方向と平行な方向には連続しており、延伸する方向と交差または直交する方向に対して互いに離間している。
【0013】
とくに本発明による表示装置は、一辺に端子電極群を備える第1の基板と、液晶材を介して第1の基板と対向配置される第2の基板とを備える。第1の基板上の端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している。第2の基板は端子電極群を覆わないように配置されている。また、端子電極と分離領域とを共通に覆い、分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示装置は、接続端子部の完全な断線を防止することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
まず、本発明の第1の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図1から図5を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の端子電極の構造を示す断面図である。図1(a)は、PCT等の配線基板を接続する前段階の構成を示す。第1の基板としてのTFT基板1は、図示していないスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をマトリクス配置しているアクティブマトリクス基板を想定している。第2の基板としてのCF基板13には、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等が形成されている。TFT基板1とCF基板との間に液晶材14が狭持され、シール材15で封止されている。TFT基板1は図1(a)に示すように、表示領域と周辺領域から構成される。表示領域は、対向するCF基板13との間に液晶材14が存在する領域であり、そこには、図示されていないTFTが形成されている。周辺領域は、表示領域に隣接して配置されており、シール材15の領域とCF基板13に対してTFT基板1がはみ出している領域の両方を含む。この周辺領域に、表示領域から引き出された金属配線層2が形成され、図1(b)に示すように、薄膜トランジスタの駆動回路を設けた外部配線基板と接続する端子電極が形成される。
【0018】
図1(b)に、配線基板としてTCP(Tape Carrier Package)を用い、TCP8とTFT基板1を接続した状態を示す。TCP8に形成された配線端子としてのTCP配線9が、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと呼ぶ。)7を介して、TFT基板1の端子電極2と接続される。
【0019】
図2に本実施形態におけるTFT基板1の端子電極の構造を示す。図2(a)は平面図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X’断面図である。図2では、2個の端子電極が周辺領域に並設されている場合を示しているが、通常は配線数に合わせて複数本の端子電極が同一ピッチで並設されて端子電極群を形成している。しかし本実施の形態では、端子電極の数や配置は特に限定されない。
【0020】
図2に示すように、TFT基板1上の各端子電極2は互いに離間した2個の金属配線領域から形成されている。本実施形態では各々の端子電極2の中央近傍に分離領域としてスリットを設けた。すなわち、端子電極2を構成する金属材料が除去された金属層除去部(以下、スリットと呼ぶ)3を設けた。すなわち、スリットを有する端子電極、すなわち分岐型端子電極2が形成される構成とした。ここで、スリットを有する端子電極2の一部で腐食が発生した場合、発生した腐食は時間の経過と共に端子電極2内で進行する。しかし本実施形態によれば、端子電極2がスリット3により分離されているので、このスリット3で腐食の進行が阻止される。したがって、腐食による端子電極2の完全な断線を防止することができる。
【0021】
この端子電極2およびそこへ導通している引き出し配線層は低抵抗金属膜を用いて形成することが望ましい。低抵抗金属としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)等を主材料として用いることができる。さらに、耐食性を向上させるためにネオジム(Nd)などの耐食性金属で合金化したものを用いてもよい。また、端子電極2およびその引き出し配線層は2層及び3層などの積層構造とすることもできる。なお、スリット3は少なくとも1つの端子電極に設ければよく、必ずしも全ての端子電極に設けなくてもよい。また、図2ではスリット3を同一幅のスリットとしているが、スリット3の形状は特に限定されず、幅を変化させてもよいし、屈曲させてもよい。以下に説明する他の実施形態においても同様である。
【0022】
図2(b)に示すように、端子電極2の上層に形成された絶縁層4の一部が除去され、コンタクトホール5が形成される。ここでは、コンタクトホール5は分離した端子電極2のそれぞれに形成される。絶縁層4は端子電極2を外気から保護するためのものである。絶縁層4としては絶縁性を示す材料であれば特に制限されないが、通常はSiNXやSiO2などの無機絶縁膜が用いられる。図2(b)には絶縁層4を単層構造で示しているが、複数の絶縁材料による積層構造としてもよい。
【0023】
絶縁層4の上面に、各々の端子電極2の2つのコンタクトホール5を完全に覆うように表面導電層6が形成される。本実施形態ではスリット3の上層にも表面導電層6が形成され、ACF7との接続面積を大きくしている。表面導電層6としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの酸化物透明導電膜を用いることができる。
【0024】
図2(a)に示すように、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6よりも長く形成される。そして端子電極2が延伸する方向、すなわち図2(a)の上下方向に、端子電極から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した端子電極2の腐食が、端子電極を越えて図2(a)の上下方向に存在する端子電極2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図2(a)の下方側、すなわち端子電極の先端側のスリット3は、図2(a)に示すように、端子電極の先端まで形成し、端子電極を形成する金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図2(a)の上方側のスリット3と同様に、接端子電極の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0025】
次に、TFT基板1にTCP8を圧接した場合について説明する。この場合、以下に述べるように、TFT基板1とTCP8との接続時に位置ズレが生じることにより端子電極2に腐食が発生し、表示不良となるという問題が生じる。
【0026】
図11は、TFT基板1上の端子電極を形成する金属配線層2とTCP8のTCP配線9とが位置ズレなく貼り合わされている状態を示している。しかし実際には、図12(a)及び図12(b)に示すように、TCP圧接時に用いる圧接装置の位置合わせ精度のばらつき等により、金属配線層2とTCP配線9の位置がずれて圧接される場合が生じる。この位置ズレに対しては、通常ある程度の許容範囲を持って製品の設計がされるため、初期表示状態で不良になることはない。しかし、高温高湿環境下での耐久性試験後においては、図13(a)及び図13(b)に示すように、腐食10の発生により表示不良となる問題があった。
【0027】
上述した位置ズレによる腐食10が発生する箇所は、一般に金属配線層2の絶縁層4に覆われていないコンタクトホール5の端部であり、かつ、位置ズレによってTCP配線9が対向しないこととなった側のコンタクトホール5の端部である。この腐食が発生する機構について、以下の2つの原因が考えられる。第一の原因は、コンタクトホール5の上部をTCP配線9が被覆していないため、外部環境からコンタクトホール5に至るまで水蒸気等が浸透することが容易となることである。第二の原因は、TCP配線9の位置ズレにより、隣接する端子電極へ圧接されたTCP配線9が、当該コンタクトホール5に接近することである。すなわち、この隣接するTCP配線9の接近により、表示信号印加時に端子電極2が隣接するTCP配線9から異なる電界を受けるようになることから、電位差が生じるためである。
【0028】
そして、時間の経過と共に、図13(b)及び図13(c)に示すように、TCP配線9に覆われていない側のコンタクトホール端部から金属配線層2を伝い、反対側のコンタクトホール端部に向かって腐食10が成長してゆく。また、コンタクトホール5の直下の金属配線層2と比較すると、腐食の進行は遅いが、絶縁層4に覆われている金属配線層2にも腐食が成長してゆく。
【0029】
この腐食の進行により、表面導電層6と金属配線層2との接続抵抗が上昇し、更には金属配線層2の腐食10の成長によって断線を生じることなどによって、表示不良が発生する。
【0030】
しかし、本実施形態による液晶表示装置によれば、以下に述べるように、TFT基板1とTCP8の接続時に位置ズレが生じた場合であっても、腐食による金属配線層2の完全な断線を防止することができる。
【0031】
図3に、本実施形態による液晶表示装置のTFT基板1にACF7を介してTCP8を圧接した状態における端子電極の構造を示す。この図では、TCP配線9がTFT基板1の端子電極に対して左側にずれて圧接された形態を示している。端子電極の最上層である表面導電層6とTCP配線9とがACF7を介して接続される。ACF7の異方性により基板1の主面に対して直交する方向にのみ導電性を有するため、TFT基板1の1つの端子電極と向かい合ったTCP配線9のみが接続されることになる。TCP圧接時の位置ズレは圧接装置の位置合わせ精度のばらつき等の理由から生じる。TCP圧接するときに常に位置ズレなく圧接することは困難であるので、端子電極及びTCP8はある程度の許容範囲を持って設計されている。そのため、初期表示の状態では表示不良となることはない。
【0032】
上述したように、TCP圧接時に位置ズレが生じた場合に腐食が発生し、この腐食反応の進行によって接続不良や断線が生じる。本実施形態の端子電極の構造を採用することによって、接続不良や断線を解決できる理由について以下に説明する。
【0033】
図4(a)及び図4(b)に示すように、まずTCP配線9に覆われていないコンタクトホール5(各端子電極の右側のコンタクトホール5)の端部で金属配線層(端子電極)2の腐食10が発生する。発生した腐食10は、時間の経過と共に同図の左方向、つまり逆側のコンタクトホールの端部に向かって進行する。腐食10が伝播する部分は金属配線層2であるため、本実施形態のように金属配線層2が分離している構造においては、金属配線層2の分離部、すなわちスリット3で腐食10の進行が停止する(図4(c))。ここで、二つの配線領域に分離した金属配線層2のうち、腐食10が発生した一方の側の金属配線層では腐食の進行による接続抵抗の上昇などの不良が生じる。しかしながら、分離した他方の金属配線層には腐食10が進行していないので、接続抵抗の上昇が生じることはなく、また完全な断線が生じることもない。
【0034】
なお、腐食10が進行して一方の側の金属配線層2が全体にわたり腐食した場合(図4(c))には、腐食した金属配線層2の接続抵抗が上昇するため、表面導電層6と金属配線層2との接続抵抗も上昇する。しかしながら、腐食が伝播していない他方の側の金属配線層2との接続だけで電気的な接続を充分に行うことができる。したがって、液晶表示装置としての表示上の問題はない。
【0035】
これに対して背景技術に記載した関連技術(特開2004−205550号公報)による接続電極(端子電極)では、コンタクトホールを導電層の一方の端部に寄せて配置した構成としている。しかし、この構成ではTCP圧接時の一方向の位置ズレに対してしか効果が生じない。さらに、コンタクトホールを導電層の一方の端部に寄せて配置するため、コンタクトホールの面積を小さくしている。そのため、コンタクトホールの金属配線層で腐食が生じるとコンタクトホールの全面に腐食が進行し、表面導電層と金属配線層の接続不良が発生してしまう。
【0036】
次に、本実施形態による液晶表示装置の端子電極の製造方法について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のTFT基板の端子電極の構造を示す工程断面図である。
【0037】
まず、図5(a)に示すように、TFT基板1の全面に金属配線層2を、例えばスパッタリング法等を用いて成膜する。TFT基板1にはガラス基板を用いることができる。また、ガラス基板の上にSiNXまたはSiO2などの絶縁膜を堆積したものを用いてもよい。金属配線層2で形成される端子電極およびその引き出し配線には、例えば、AlやAg、Cuなどの低融点金属、AlにNdなどの耐食性金属を添加したAl−Nd合金などを用いることができる。金属配線層2の膜厚は特に制限はないが、本実施の形態では約200nmとした。また金属配線層2は図5に示した単層ではなく、AlまたはAg、Cuなどの低融点金属とMoなどの高融点金属との積層構造としてもよい。この場合の各金属配線層2の膜厚にも特に制限はないが、例えば、上層の金属配線層として約50nmのMo層とし、下層の金属配線層として約l200nmのAl層とすることができる。
【0038】
次に、図5(b)に示すように、金属配線層2をパターニングする。パターニング方法には通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、金属配線層のパターンを残す部分にポジ型レジストを形成し、その後に、このレジストをマスクとして金属配線層2をエッチング除去した。レジストを除去することによって図5(b)に示す金属配線層2のパターンが得られる。このパターニングのときに、少なくとも1つの端子電極の所定箇所にスリット3を設け、金属配線層2を二股形状に分離する。スリット3は、後の工程で表面導電層6が形成される領域を含み、図2(a)の上下方向に延長して設けることが望ましい。金属配線層2のエッチングには、例えばリン酸/硝酸/酢酸/水の混酸を使用したウェットエッチング法を用いることができる。このウェットエッチング方法を用いることにより、Mo/Al系の積層配線層を採用した場合にも、積層膜を一括してテーパーエッチングすることができる。
【0039】
次に、図5(c)に示すように、パターニングされた金属配線層2を完全に被覆するように絶縁層4をTFT基板1の全面に堆積する。絶縁層4の形成には例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い、SiNX膜を約300nmの厚さで形成する。絶縁層4に用いる材料はSiNX膜に限らず、SiO2膜などの絶縁体を用いることができる。また、単層に限らず積層膜としてもよい。
【0040】
次に図5(d)に示すように、金属配線層2の上に堆積した絶縁層4にコンタクトホール5を形成する。コンタクトホール5はTCP配線9とACF7を介して接続するための接続領域となる部分に形成する。コンタクトホール5の形成にも通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、コンタクトホール5のパターンとなる領域以外にポジ型レジストを形成し、このレジストをマスクとして絶縁層4をエッチング除去した。その後このレジストを除去することによって図5(d)に示すコンタクトホール5が形成される。絶縁層4のエッチングには、例えばSF6系やCHF3系のガスを用いたドライエッチング法や、バッファードフッ酸などを使用したウェットエッチング法を用いることができる。
【0041】
次に図5(e)に示すように、表面導電層6をTFT基板1の全面に堆積する。表面導電層6にはITOまたはIZOなどの透明導電膜を用いることができる。この透明導電膜をスパッタリング法等により、例えば膜厚約100nm程度堆積することにより表面導電層6を形成することができる。
【0042】
次に図5(f)に示すように、表面導電層6をパターニングすることにより接続領域を完成する。パターニングには通常のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。本実施の形態では、表面導電層6のパターンを残す部分にポジ型レジスト形成し、このレジストをマスクとして用いて表面導電層6をエッチング除去した。なお本実施形態では、スリット3の上部に形成された絶縁層4の上にも表面導電層6が形成されている。レジストを除去することにより図5(f)に示す表面導電層6が完成する。ここで表面導電層6はコンタクトホール5を完全に覆うように形成する。コンタクトホール5と表面導電層6により、ACF7を介してTCP配線9と圧接する接続領域が形成される。表面導電層6のエッチング方法には、例えば塩酸と硝酸の混酸である王水を使用したウェットエッチング法を用いることができる。
【0043】
以上述べたように本実施形態では、TFT基板1の少なくとも1つの端子電極の金属配線層2をスリット3により2以上に分離する構成とした。TCP圧接時に金属配線層2とTCP配線9との位置ズレが生じた場合には、TCP配線9に覆われていないコンタクトホール5の端部で金属配線層2の腐食が発生し得る。しかし本実施形態による液晶表示装置よれば、スリット3で腐食の進行を止めることができるので、金属配線層2の完全な断線を防止し、接続領域の接続性を維持することができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は平面図であり、図6(b)は、図6(a)のX−X’断面図である。
【0045】
上述した第1の実施形態においては、金属配線層2を二個の配線領域に分離する場合を示したが、これに限らず、金属配線層2が複数に分離されていれば本発明の効果が得られる。図6に、各々の端子電極にスリット3を2箇所に形成し、金属配線層2を三個の配線領域に分離した場合の接続領域の構造を示す。金属配線層2の三個の配線領域にそれぞれコンタクトホール5が形成される。
【0046】
本実施形態の端子電極の構造によれば、TCP配線9に覆われていないコンタクトホール端部で腐食が発生し、腐食が進行したとしても、一個目のスリット3で腐食の進行を止めることができる。そのため、3個形成されたコンタクトホール5のうち2個のコンタクトホール5によって、TFT基板1とTCP8との電気的な接続を維持することができる。本実施形態によれば、腐食が発生し進行した場合においても接続が維持されるコンタクトホールの面積が、第1の実施形態による場合よりも大きくなる。したがって、接続領域における接続抵抗の低減を図ることができる。
【0047】
図6(a)に示すように、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして第1の実施形態の場合と同様に、端子電極2が延伸する方向、すなわち図6(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図6(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図6(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図6(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図6(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図7を参照しながら説明する。上述した第1及び第2の実施形態においては、金属配線層2をスリット3によって分離する構造とした。それに対して本実施形態では、金属配線層2を積層方向において異なる層に形成することにより、金属配線層2を分離する構造とした。
【0049】
図7に、本実施形態による液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図7(a)は平面図であり、図7(b)は、図7(a)のX−X’断面図である。図7(b)に示すように、各接続領域の金属配線層2をTFT基板1に対する積層方向に分離し、第1金属配線層2aと第2金属配線層2bをそれぞれ異なる層に形成した。ここで、第1金属配線層2a及び第2金属配線層2bが2以上の配線領域に対応する。
【0050】
図7(b)においては、接続領域の第1金属配線層2aと第2金属配線層2bとを表面導電層6を介して接続する構成としている。この構成に加えて、または、この構成に替えて、図7(a)に示すように接続領域以外の領域に異層接続部11を設ける構成としてもよい。この異層接続部11において第1金属配線層2aと第2金属配線層2bとを表面導電層6を介して接続する。異層接続部11には、各金属配線層と表面導電層6を電気的に接続するためのコンタクトホール12が形成されるので、水分などの外部環境の影響を受けやすい。したがって、図1に示したTFT基板1とCF基板13を貼り合わせるシール材15を形成する領域よりも表示領域側に、異層接続部11を設けることが望ましい。
【0051】
本実施形態では、異層接続部11においても表面導電層6を用いて金属配線層を接続することとしたが、これに限らず、異なる層に形成された金属配線層同士を直接接続させる構造としてもよく、また別の導電層によって接続することとしてもよい。また本実施の形態では金属配線層2は2層からなることとしたが、3層以上としてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、TCP圧接時にズレが生じたことによって一方の金属配線層において腐食が発生し進行した場合であっても、金属配線層2は積層方向に分離しているので、他方の金属配線層に腐食が進行することはない。そのため接続領域における接続を確実に維持することができる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図8を参照しながら説明する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図8(a)は平面図であり、図8(b)は、図8(a)のX−X’断面図である。本実施形態は、表面導電層6のパターンを図2に示す第1の実施形態におけるものから変更したものであり、表面導電層6も金属配線層2と同様に分離した構造とした。図8に示すように、コンタクトホール5が分岐された金属配線層2のそれぞれに対応して2箇所に形成され、この2箇所のコンタクトホール5のそれぞれに表面導電層6を分離して形成した。
【0055】
ここで、第1の実施形態で説明したように、コンタクトホール端部で発生した金属配線層2の腐食は、経過時間と共に金属配線層2を伝播して反対側のコンタクトホール端部へ進行してゆく。一方、コンタクトホール5を覆っている表面導電層6も金属配線層2におけるよりは伝播速度が遅いが、腐食反応が生じ、腐食が進行してゆく可能性がある。しかしながら本実施形態による接続領域においては、表面導電層6も分離して形成されているので、腐食が伝播する経路は存在しない。そのため腐食の進行を完全に防ぐことができる。
【0056】
スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして金属配線層2が延伸する方向、すなわち図8(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図8(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図8(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図8(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図8(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置について、図9を参照しながら説明する。
【0058】
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板1にTCP8を圧接した状態における接続領域の構造を示す。図9(a)は平面図であり、図9(b)は、図9(a)のX−X’断面図である。本実施形態では、コンタクトホール5が金属除去部3を跨って形成される。すなわち、分岐された金属配線層2を構成する2個の配線領域に共通して一個のコンタクトホール5が形成され、スリット3の上面には絶縁層4が形成されない構造となっている。そしてコンタクトホール5を完全に覆うように表面導電層6が形成される。したがって、金属配線層2と表面導電層6との接触面積が大きくなるので、金属配線層2と表面導電層6の接触抵抗をより小さくすることができる。なお、第4の実施形態で説明したとおり、表面導電層6を通して腐食が伝播する可能性もある。しかしながら、ITOなどからなる表面導電層6の腐食の伝播速度は、金属配線層2と比較すると遅い。したがって、分岐された他方の金属配線層2へ表面導電層6を通して腐食が伝播する確率は低く、接続領域部における接続を十分に維持することができる。
【0059】
上述したように本実施形態においては、スリット3の上面には絶縁層4が形成されていない。そのため、スリット3の端部から腐食が発生するおそれがある。しかし、この場合であっても、TCP8に形成された少なくとも一以上のTCP配線9を、二以上に分離されていない単一の領域で構成することにより、この問題を回避することができる。すなわち、TCP配線9を一の領域からなる構成とすることにより、TCP配線9がスリット3を被覆する配置となるので、スリット3の端部から腐食が発生することを防止することができる。これはTCP配線9によって、腐食が発生する原因となる水蒸気等のスリット3に至る浸透を阻止できるからである。この場合には上述の実施形態における場合と同様に、腐食が発生する領域はTCP配線9によって被覆されていない金属配線層2の一方の端部に限定されるので、腐食の進行をスリット3で阻止することができる。
【0060】
本実施形態においても、スリット3は、コンタクトホール5とそれを完全に被覆する表面導電層6が形成された接続領域に形成される。そして金属配線層2が延伸する方向、すなわち図9(a)の上下方向に、接続領域から延長距離の分だけ拡張してスリット3を設けることが望ましい。この理由は、コンタクトホール5の端部で発生した金属配線層2の腐食が、接続領域を越えて図9(a)の上下方向に存在する金属配線層2へ伝播する場合についても、腐食の進行による断線を防止することができるからである。なお、図9(a)の下方側、すなわち接続領域の先端側のスリット3は、図9(a)に示すように、接続領域の先端まで形成し、金属配線層2を完全に分離する構造が望ましい。しかし延長距離が充分あれば、図9(a)の上方側のスリット3と同様に、接続領域の先端に至る途中までスリット3を形成することとしてもよい。このときの延長距離としては、例えば金属配線層2の横幅以上の距離とすることができる。
【0061】
次に、本実施形態による液晶表示装置の接続領域の製造方法について説明する。基本的には第1の実施形態の場合と同じであるが、本実施形態の場合は図5(d)に示したコンタクトホール形成の際に、スリット3上の絶縁層4も取り除く必要がある点が異なる。コンタクトホールを形成するためのエッチングには、SF6またはCHF3系などのエッチングガスを用いたドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることできる。本実施形態ではコンタクトホールを形成するためのエッチング時に、スリット3に露出しているTFT基板1もエッチングされ、金属配線層2の下層基板がサイドエッチングされる可能性がある。そしてサイドエッチングが発生すると金属配線層2がオーバーハングした構造となり、表面導電層6のステップカバレッジ性が劣化し、製造工程における水分が溜まるなど、端子の信頼性を劣化させる原因となる。したがって、本実施形態におけるコンタクトホールを形成するためのエッチング時には、TFT基板1へのサイドエッチングが生じないRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性ドライエッチング法や、絶縁層4とTFT基板1の選択比の高いエッチング方法を用いることが好ましい。
【0062】
なお、上述した第1から第5の実施形態では、液晶表示装置を構成する第1の基板としてTFT基板を用いることとしたが、これに限らず、TFT以外の他のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス基板を用いた場合にも本発明を適用することができる。また、上記各実施形態では本発明を液晶表示装置に適用する場合を示したが、これに限らず、第1の基板の端子電極群と外部配線基板の配線端子群とが接続される表示装置に対しても同様に適用することができる。
【0063】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、接続端子部を備えた表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構造を示し、(a)はTCPを接続する前の断面図であり、(b)はTCPを接続した構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の接続端子部の構造を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じ腐食が発生した場合)を示す平面図(a)であり、(b)は腐食が一部にとどまっている場合のX−X’断面図であり、(c)は腐食が進行した場合におけるX−X’断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の接続端子部の製造方法を示す工程断面図(a)−(f)である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係るTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図10】関連する液晶表示装置の構造を示す断面図である。
【図11】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレがない場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図12】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じた場合)を示す平面図(a)及びX−X’断面図(b)である。
【図13】関連する液晶表示装置のTFT基板にTCPを圧接した状態における接続端子部の構造(位置ズレが生じ腐食が発生した場合)を示す平面図(a)であり、(b)は腐食が一部にとどまっている場合のX−X’断面図であり、(c)は腐食が進行した場合におけるX−X’断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 TFT基板
2 金属配線層(端子電極および引き出し電極を含む)
2a 第1金属配線層
2b 第2金属配線層
3 金属層除去部(スリット)
4 絶縁層
5 コンタクトホール
6 表面導電層
7 異方性導電膜(ACF)
8 TCP
9 TCP配線
10 腐食
11 異層接続部
12 コンタクトホール
13 CF基板
14 液晶材
15 シール材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域から基板周辺へ引き出された金属配線層に形成された端子電極群を備える第1の基板と、前記第1の基板と対向配置される第2の基板とを有する表示装置において、
前記端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその前記端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記端子電極群に接続された配線端子群を有する外部配線基板をさらに有し、前記配線端子群の内、すくなくとも前記分岐型端子電極と接続する配線端子は少なくとも前記分岐された電極領域の一方に対向するような単一の領域からなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記分離領域は前記端子電極を構成する金属材料が除去された除去部を含み、前記除去部を境界として2以上の前記電極領域が構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記端子電極と前記分離領域とを共通に覆い、前記分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層をさらに有し、前記除去部の長さが、前記耐食性導電層よりも長いことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの端子電極の一部を露出するようなコンタクトホールを有するように前記端子電極を被覆する絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールを連結して被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールをそれぞれ別個に被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記コンタクトホールは2以上の前記分岐型端子電極を含むように開口しており、前記コンタクトホールを被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記分岐型端子電極のそれぞれは、前記第1の基板の主面に対して直交する方向に離間した2以上の異なる層にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの端子電極の一部を露出するようなコンタクトホールを有するように前記端子電極を被覆する絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールを連結して被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールをそれぞれ別個に被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項10記載の表示装置。
【請求項13】
前記接続端子部以外の領域に配置され、前記2以上の配線領域を互いに電気的に接続する異層接続部を有することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示領域の外周に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液晶材料を封止するシール材を有し、前記異層接続部は前記シール材より内側の前記表示領域に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項1】
表示領域から基板周辺へ引き出された金属配線層に形成された端子電極群を備える第1の基板と、前記第1の基板と対向配置される第2の基板とを有する表示装置において、
前記端子電極群の少なくとも一つの端子電極はその前記端子電極群の配列方向と交差する方向に沿った分離領域を介して空間的に分岐された電極領域を備えた分岐型端子電極を形成している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記端子電極群に接続された配線端子群を有する外部配線基板をさらに有し、前記配線端子群の内、すくなくとも前記分岐型端子電極と接続する配線端子は少なくとも前記分岐された電極領域の一方に対向するような単一の領域からなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記分離領域は前記端子電極を構成する金属材料が除去された除去部を含み、前記除去部を境界として2以上の前記電極領域が構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記端子電極と前記分離領域とを共通に覆い、前記分離領域で隔離された各端子電極を電気的に導通する耐食性導電層をさらに有し、前記除去部の長さが、前記耐食性導電層よりも長いことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの端子電極の一部を露出するようなコンタクトホールを有するように前記端子電極を被覆する絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールを連結して被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールをそれぞれ別個に被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記コンタクトホールは2以上の前記分岐型端子電極を含むように開口しており、前記コンタクトホールを被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記分岐型端子電極のそれぞれは、前記第1の基板の主面に対して直交する方向に離間した2以上の異なる層にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの端子電極の一部を露出するようなコンタクトホールを有するように前記端子電極を被覆する絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールを連結して被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記コンタクトホールは前記分岐型端子電極ごとにそれぞれ形成されており、前記コンタクトホールをそれぞれ別個に被覆する表面導電層を有することを特徴とする請求項10記載の表示装置。
【請求項13】
前記接続端子部以外の領域に配置され、前記2以上の配線領域を互いに電気的に接続する異層接続部を有することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示領域の外周に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液晶材料を封止するシール材を有し、前記異層接続部は前記シール材より内側の前記表示領域に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−75556(P2009−75556A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162070(P2008−162070)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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