表示装置
【課題】立体視モードと複数画面表示モードの表示が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルに画像を表示させる制御回路と、マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化され、マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき単位画素群1つに対応してアレイ状に配置され、制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの表示が可能であり、立体視モードでは、第1の方向に視点を移動したときに立体視可能な映像情報を単位画素群の各々の画素に供給し、複数画面表示モードでは、第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を単位画素群の各々の画素に供給するよう制御することを特徴とする表示装置。
【解決手段】複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルに画像を表示させる制御回路と、マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化され、マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき単位画素群1つに対応してアレイ状に配置され、制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの表示が可能であり、立体視モードでは、第1の方向に視点を移動したときに立体視可能な映像情報を単位画素群の各々の画素に供給し、複数画面表示モードでは、第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を単位画素群の各々の画素に供給するよう制御することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の中には、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることが可能な表示装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1の図14に記載の画像表示装置では、第1、第2画素群の画素の視野角が、それぞれθ1、θ2にセットされており、θ1<θ2にセットされている。そして、第1画素群に表示された画像は狭い範囲でのみ見ることができ、第2画素群に表示された画像は広い範囲で見ることができる。換言すれば、第1画素群に表示された画像は他人に見られにくく、第2画素群に表示された画像は周囲の人が見ることができる。
【0004】
また、特許文献2の図8に記載の表示装置では、レンチキュラーレンズを利用して、複数の視点でそれぞれ異なる画像を観察できるようにしたものが記載されている。また、連続するa、b、cの点に同じ第1の画像を表示し、連続するe、f、gの点に同じ第2の画像を表示し、cとeとの間にあるdの点を非表示とする事でクロストークを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−136909号公報
【特許文献2】特開平9−101749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、第1画素群によって見ることができる範囲と第2画素群によって見ることができる範囲とが重なっている。そのため、広視野角モードにおいて、第1画素群と第2画素群の両方を使って画像を表示させた場合には正面と斜めから見た場合とで著しく輝度が異なるという問題が生じる。逆に、広視野角モードにおいて、第2画素群のみを用いて画像を表示させた場合には、視野角θ2が広いことに起因して輝度が低いという問題が生じる。
【0007】
また、特許文献2では、視野角制御や、広視野角モードと狭視野角モードとの切替に関しては考慮されていない。
【0008】
さらに、特許文献1、特許文献2の何れも、複数画面表示モードと立体視モードとの切替え、または共存に関しては考慮されていない。
【0009】
尚、上記したもの以外のその他の課題は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、マイクロレンズアレイやレンチキュラーレンズなどの光学部材を利用して、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることができる現象を応用する。
【0011】
本発明の構成は、例えば、以下のようなものとすることができる。
【0012】
(1)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する3画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能であり、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0013】
(2)、(1)において、前記制御回路は、1つの前記単位画素群の中においては、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0014】
(3)、(1)または(2)において、前記単位画素群は、前記第2の方向に隣接する3画素以上を1つの単位としてグループ化されており、
前記制御回路は、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第2の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第2の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0015】
(4)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する3画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能であり、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0016】
(5)、(4)において、前記制御回路は、1つの前記単位画素群の中においては、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0017】
(6)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0018】
(7)、(6)において、前記制御回路は、前記複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0019】
(8)、(6)において、前記制御回路は、前記立体視モードと前記複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる映像情報をそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0020】
(9)、(8)において、前記制御回路は、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して、前記第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、前記第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0021】
(10)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【0022】
(11)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【0023】
尚、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記したもの以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の利点は、良好な広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能な表示装置を提供できることである。
【0025】
もしくは、同じ構成のパネルを用いつつパネルを回転させる必要なく立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における画素およびレンズの構成の一例を説明する平面図である。
【図2】本発明における画素およびレンズの構成の他の例を説明する平面図である。
【図3】本発明における単位画素群および画素の構成の一例を説明する平面図である。
【図4】本発明における画素の構成の一例を説明する平面図である。
【図5】図1のI−I’線における断面図であり、本発明による表示装置の表示原理を説明する図である。
【図6】図5で説明した表示の結果を簡略化した説明図である。
【図7】図6の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図8】本発明における広視野角モードにおける表示を説明する説明図である。
【図9】図8の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図10】本発明における狭視野角モードにおける表示を説明する説明図である。
【図11】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図12】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の他の例である。
【図13】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法のさらに他の例である。
【図14】本発明における画素の駆動方法の一例である。
【図15】本発明における画素の駆動方法の一例である。
【図16】レンチキュラーレンズを説明するための斜視図である。
【図17】本発明における複数画面表示モードの表示の一例を説明する説明図である。
【図18】図17の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明における画素およびレンズの構成の一例を説明する平面図である。図2は、本発明における画素およびレンズの構成の他の例を説明する平面図である。図3は、本発明における単位画素群および画素の構成の一例を説明する平面図である。図4は、本発明における画素の構成の一例を説明する平面図である。図5は、図1のI−I’線における断面図であり、本発明による表示装置の表示原理を説明する図である。
【0029】
本発明による表示装置は、図1、図5のように、表示パネル103と、表示パネル103に画像を表示させる制御回路(図示せず)と、マイクロレンズ100がアレイ状に配置されたマイクロレンズアレイとを備えている。マイクロレンズ100は、表示パネル103の前面側(観察者側)に配置されている。
【0030】
制御回路としては、例えば、駆動回路、タイミングコントローラ、画像処理回路、メモリ、CPUなどのうちの少なくとも1つを有したものを用いることができる。
【0031】
図5では、表示パネル103として液晶表示装置を用いた例を示しており、液晶表示パネル101と、液晶表示パネル101の背面側に配置されたバックライトなどの光源102とを有している。但し、表示パネル103はこのような構成に限られず、有機EL表示装置など、他の方式の表示パネルを用いても良い。
【0032】
表示パネル103は、図3のように複数の画素11〜14、21〜24、31〜34、41〜44を有している。そして、これらの画素は、横方向に隣接する4画素、縦方向に隣接する4画素で構成される4×4個の画素を1つの単位としてグループ化されており、単位画素群10を構成している。そして、図1のように、複数の単位画素群10が縦方向および横方向に二次元的に並んで配置されている。
【0033】
そして、マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ100の1つにつき単位画素群10の1つに対応してアレイ状に配置されている。したがって、本実施例においては、1つのマイクロレンズ100は、縦方向4個×横方向4個の画素11〜14、21〜24、31〜34、41〜44に対応することとなる。
【0034】
尚、単位画素群10およびマイクロレンズ100の配置方法は、例えば、図2に示すように1行おきに横方向に半ピッチずらしたデルタ配置としても良い。図示しないが、1列おきに縦方向に半ピッチずらしたデルタ配置や、その他の配置方法に適用してもよい。
【0035】
図4に示すように、各画素は、赤を表示する副画素PXR、緑を表示する副画素PXG、青を表示する副画素PXBの3種類で1つの画素(図4では代表として画素11を図示した)を構成している。但し、これに限られず、赤・緑・青の組合せの代わりに、シアン・マゼンダ・イエローの組合せであっても良い。また、モノクロ表示でよければ副画素は不要である。あるいは、フィールドシーケンシャル方式を用いれば、副画素を用いなくてもカラー表示が可能である。
【0036】
次に、図5を用いて表示装置の表示原理を説明する。
【0037】
視点51から観察した場合には、マイクロレンズ100の作用によって、それぞれの単位画素群10のうち、画素14のみが見えることになる。そして、単位画素群10はアレイ状に配置されているので、視点51からは画素14のみがアレイ状に配置された集合体が観察されることとなる。したがって、例えば制御回路などにより、それぞれの画素14に、画素14の集合体によって画像Dを表示させるための映像情報dを供給するよう制御してやることによって、視点51からは、画面表示61として画像Dが観察できる。
【0038】
同様にして、画素11、12、13に、それぞれ映像情報a、b、cを供給することで、視点52、53、54からは、それぞれ画素13、12、11のみが見えることになるため、画面表示62、63、64として画像C、B、Aが観察できる。
【0039】
したがって、本発明の表示装置によれば、横方向に視点を移動するに従い、観察できる画像を異ならせることが可能である。
【0040】
尚、これまでの説明では横方向についてのみ説明しているが、縦方向についてもほとんど同様の原理であるため、縦方向に視点を移動するに従い、観察できる画像を異ならせることが可能である。
【0041】
視点数の最大値は、1つの単位画素群10の中の画素数と等しい。したがって、本実施例の場合は最大で16の視点から16種類の異なる画像を観察することが可能である。
【0042】
図6は、図5で説明した表示の結果を簡略化した説明図である。図7は、図6の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0043】
図7のように、単位画素群10のうち、一番左の列の画素11、21、31、41には、映像情報aを、左から2番目の列の画素12、22、32、42には、映像情報bを、左から3番目の列の画素13、23、33、43には、映像情報cを、左から4番目の列の画素14、24、34、44には、映像情報dを、それぞれ供給した。このような駆動は、図示しない制御回路により制御できる。その結果、図6のように、視野範囲71、72、73、74ではそれぞれ別々の画像D、C、B、Aが観察できる。尚、画像D、C、B、Aが、それぞれ立体視の相関関係を有する画像である場合には、立体視を行うことも可能である。
【0044】
尚、図7では、単位画素群10の中で、縦方向に隣接する画素同士には同じ映像情報が供給されているので、縦方向に視点を移動した場合には観察できる画像は変化しない。
【0045】
次に、視野角制御の方法について説明する。
【0046】
図8は、本発明における広視野角モードにおける表示を説明する説明図である。図9は、図8の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0047】
図9では、単位画素群10のうち、全ての画素に対して、映像情報aを供給して表示を行っている。したがって、図8のように、視野範囲71、72、73、74の全てにおいて画像Aが観察できる。すなわち、広視野角モードの表示が行われている。尚、1つの単位画素群10のうち縦方向および/または横方向に隣接する画素同士に同じ映像情報aを供給してやることにより、縦方向および/または横方向に視点を移動させても同じ画像を観察できるので、視野角が広くなるため望ましい。
【0048】
図10は、本発明における狭視野角モードにおける表示を説明する説明図である。図11は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0049】
図10では、単位画素群10のうち、横方向の両端の画素11、14、21、24、31、34、41、44に対しては、映像情報xを供給して非表示とし、中央付近の画素12、13、22、23、32、33、42、43には映像情報aを供給している。したがって、図10のように、視野範囲72、73では画像Aが観察できるが、視野範囲71、74では非表示となっている。すなわち、横方向に対しては狭視野角モードの表示が行われている。尚、非表示とするためには、黒表示を行うか、所定の背景色を表示させるようにすればよい。
【0050】
図12は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の他の例である。
【0051】
図12では、図11に比べ、縦方向の両端の画素12、13、42、43も映像情報xを供給して非表示としている点が異なる。このように、単位画素群10の中の周辺部分の画素を非表示とし、中央付近の画素のみで表示を行うことにより、縦方向および横方向の両方に対して狭視野角モードの表示が行われる。
【0052】
図13は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法のさらに他の例である。
【0053】
図13では、横方向に対しては狭視野角モードの表示が行われ、縦方向に対しては視点に応じて複数の画像を観察することが可能な表示が行われている。
【0054】
尚、これまでの実施例では単位画素群10が4×4の画素で構成されている場合を例にして説明してきたが、これに限られない。単位画素群10は、視野角を制御したい方向に対して3画素以上を有するものであれば、狭視野角モードにおいて両端を非表示にすることが可能である。また、5画素以上を有する場合は、両端から1画素ずつを非表示にするものに限られず、両端から少なくとも2画素ずつを非表示にしてもよい。視野角を制御しない方向に対しては1画素以上あればよいが、1画素だけの場合であればマイクロレンズアレイを用いるのではなく、後述するようにレンチキュラーレンズを用いた方が良いので、マイクロレンズ100を用いる方式の場合は2画素以上であることが望ましい。
【0055】
すなわち、表示パネル103の複数の画素が、第1の方向(例えば横方向)に隣接する3画素以上、かつ、第1の方向とは異なる第2の方向(例えば縦方向)に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群10にグループ化されている場合、例えば制御回路などにより、広視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、狭視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御して駆動すればよい。
【0056】
こうすることで、広視野角モードの場合でも正面から見た場合と斜めから見た場合との輝度の差が小さくなる。また、1画素が担当する視野範囲が狭いので、光を効率的に利用でき、明るい表示ができる。
【0057】
尚、1つの単位画素群10の中においては、表示を行う画素に対して、第1の方向および/または第2の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが、視野角を広げる観点からは望ましい。
【0058】
また、第2の方向にも3画素以上をグループ化して、第2の方向に対しても視野角制御を行っても良い。
【実施例2】
【0059】
図16は、レンチキュラーレンズを説明するための斜視図である。
【0060】
レンチキュラーレンズ100’は、一方向に延在するシリンドリカルレンズを、他方向に複数並べてアレイ状にした光学部材である。
【0061】
実施例2では、実施例1においてマイクロレンズアレイの代わりにレンチキュラーレンズ100’を用いた。
【0062】
例えば、シリンドリカルレンズが縦方向に延在する場合は、縦方向に対してはレンズ効果はないが、横方向に対してはレンズ効果を有する。したがって、例えば単位画素群10としては横方向には画素11、12、13、14(3画素以上)で構成し、縦方向はグループ化しなくても良い。
【0063】
視野角制御できるのはレンズ効果を持った方向のみである点を除けば、その他は実施例1とほぼ同様である。
【0064】
例えば、表示パネル103の複数の画素を、第1の方向(例えば横方向)に隣接する3画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群10にグループ化した場合、レンチキュラーレンズ100’は、第1の方向とは異なる第2の方向(例えば縦方向)に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、第1の方向には1つの単位画素群10、第2の方向には複数の単位画素群10に対応してシリンドリカルレンズがアレイ状に配置される。
【0065】
そして、例えば制御回路などにより、広視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、狭視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御して駆動すればよい。
【0066】
尚、1つの単位画素群10の中においては、表示を行う画素に対して、第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが、視野角を広げる観点からは望ましい。
【実施例3】
【0067】
次に、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置について説明する。
【0068】
基本的な構成は、実施例1で説明したマイクロレンズアレイを用いる構成と同じであり、異なる点は、その制御方法あるいは駆動方法である。
【0069】
図14および図15は、本発明における画素の駆動方法の一例である。
【0070】
図14では、単位画素群10のそれぞれの画素11、12、13、14、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44に対して、それぞれ別々の映像情報a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、pを供給している。これにより、16の視点から16の異なる画像を観察できる。
【0071】
まず、立体視モードの場合を説明する。
【0072】
それぞれの画像を立体視の相関関係を持つ画像とすれば、立体視が可能となる。例えば、映像情報a、b、c、dの間に、立体視の相関関係を持たせてやれば、横方向に視点を移動したときに、視点の移動に伴って見えている物体の角度が変わるような画像が観察できるようにすることができるので、ある物体を回り込んで観察しているかのような立体視が可能となる。また、左眼で観察される画像と右眼で観察される画像とが別々になるような視点、例えば一方の眼が視野範囲72に、他方の眼が視野範囲73に入っている場合においては、左右の眼の視差の情報を考慮した画像B、Cを表示することで、両眼視差を利用した立体視をすることもできる。
【0073】
また、例えば、映像情報a、e、i、mの間に、立体視の相関関係を持たせてやれば、縦方向に視点を移動したときに、視点の移動に伴って見えている物体の角度が変わるような画像が観察できるようにすることができるので、ある物体を回り込んで観察しているかのような立体視が可能となる。
【0074】
そして、表示装置自体は同じ構成としながら、表示する映像情報を、立体視の相関関係のないものに変えるだけで、複数画面表示モードとすることができる。図14の場合であれば、視点によって最大で16種類の異なる画像を表示できる。
【0075】
尚、複数画面表示モードにおいては、図15のように、横方向に隣接するもの同士で同じ画像を表示させることが望ましい。左右の眼に別々の画像が観察されるのを防いで画像を見やすくするためである。特に、立体視を前提としている場合は1つの画素が担当する視野範囲を狭く設計するのが通常であるため、左右の眼には別々の画像が観察されやすくなってしまうため、図15のようにする効果が高い。そして、縦方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない別々の画像が認識できるようにしている。
【0076】
比較例としては、レンチキュラーレンズを用いて、1つの単位画素群10を画素11と画素12だけで構成する、すなわち、右眼用と左眼用の2つだけの画像を用い、両眼視差を利用した立体視の場合と比べてみる。この比較例の場合、同じパネルの構成で複数画面表示モードにしようとすれば、パネルを90°回転させ、上下方向に視点を移動したときに別々の画像を表示するように構成する必要が生じる。もともと立体視用に設計されているため、パネルを90°回転させないと右眼と左眼に別々の画像が見えてしまうからである。
【0077】
これに対して、本願の構成によれば、マイクロレンズアレイを用いているため、立体視モードの場合と同じパネルの構成のまま、パネルを回転させることなく複数画面表示モードに切替えることが可能となる。
【0078】
本発明では、1つの単位画素群10は、横方向に2画素以上、かつ、縦方向に2画素以上を有するものであれば適用できる。
【0079】
そして、例えば、立体視モードでは、第1の方向(例えば横方向)に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給し、複数画面表示モードでは、第2の方向(例えば縦方向)に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給するよう制御して駆動してやればよい。
【0080】
ここで、複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが望ましい。
【0081】
尚、本発明では、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示することも可能である。
【0082】
例えば、単位画素群のそれぞれの画素に対して、第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給すればよい。
【0083】
図14を例に説明すれば、映像情報a、b、c、dの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報e、f、g、hの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報i、j、k、lの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報m、n、o、pの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。これに対して、映像情報a、e、i、mの間には立体視の相関関係を持たせないようにする。こうすれば、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる。
【実施例4】
【0084】
次に、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置の他の例について説明する。
【0085】
基本的な構成は、実施例1、実施例3で説明したマイクロレンズアレイを用いる構成と同じであり、異なる点は、その制御方法あるいは駆動方法である。
【0086】
図17は、本発明における複数画面表示モードの表示の一例を説明する説明図である。図18は、図17の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0087】
図18では、単位画素群10のうち左半分の画素には映像情報aを、右半分の画素には映像情報bを供給している。したがって、図17のように、視野範囲71、72では画像Bが観察され、視野範囲73、74では画像Aが観察される。
【0088】
本発明では、立体視を行うパネルと同じパネル構成を用いて、立体視が可能な視点移動方向と同じ方向に対して複数画面表示を行う場合に、隣り合う2つ以上の視野範囲に対して同じ画像を表示することにより、実質的に視野範囲を拡大することができ、複数画面表示の品質を向上させることが可能となる。
【0089】
1つの単位画素群10の中の画素数を多くして視点数を増やした場合や、立体視を前提としている場合は、1つの画素が担当する視野範囲を狭く設計するのが通常であるため、左右の眼には別々の画像が観察されやすくなってしまう。これに対して、本発明のようにすれば、この問題を低減でき、表示品質を向上できる。
【0090】
本発明では、例えば、立体視モードでは、第1の方向(例えば横方向)に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給し、複数画面表示モードでは、第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御して駆動すればよい。
【0091】
尚、本発明では、1つの単位画素群10の中の画素数は、第1の方向に4画素以上あれば良い。複数の画像を表示する際に、1つの画像を表示するために第1の方向には同じ映像情報が供給される2つ以上の画素が割り当てられるからである。
【実施例5】
【0092】
実施例5では、実施例4においてマイクロレンズアレイの代わりにレンチキュラーレンズ100’を用いた。
【0093】
基本的な構成としてはレンチキュラーレンズ100’を用いた実施例である実施例2の構成と同じである。
【0094】
1つの単位画素群10の中の画素数は、実施例4と同様に第1の方向に4画素以上あれば良い。
【0095】
そして、駆動方法を実施例4と同じようにすればよい。
【実施例6】
【0096】
次に、複数画面表示モードの応用例を説明する。
【0097】
複数画面表示モードは、例えば、車載、携帯電話、PCモニタ、ゲーム、アミューズメント用途のディスプレイなどに適用できる。
【0098】
車載用途では、平面地図とバードビュー、拡大表示と縮小表示、ナビゲーション表示と交通情報表示等といった別画面を視点の変化で即時に切替えて見ることができる。また、運転手と助手席とで別映像を見たり、3Dのナビゲーション表示を行うこともできる。
【0099】
携帯電話用途では、画面サイズが小さいことから、解像度を増やしても細かすぎて見ることが出来ないため、フォントサイズを大きくして使用する。このため一度に見れる情報量は少ないが、複数画面同時表示を使用することで、倍以上の情報を見ることができる。
【0100】
PCモニタ用途では、2つのモニタを使用し、デュアルディスプレイとして使用するのではなく、1つのモニタでデュアルディスプレイが可能となる。
【0101】
ゲーム用途では、対戦ゲームは通常一つの画面を2分割して行うため、画面サイズが半分になるが、本発明を用いれば画面サイズはそのままで表示できる。
【0102】
アミューズメント用途では、通常の表示画面に加えデータ画面なども同時に見ることができる。
【0103】
尚、本発明は、これまでに説明した実施例1から実施例6に限定されず、技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。さらには、実施例1から実施例6は、単体に、あるいは、矛盾しない限り相互に組み合わせて用いることが可能である。例えば、視野角制御と、立体視モードと、複数画面表示モードとを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0104】
10・・・単位画素群、11、12、13、14、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44・・・画素、51、52、53、54・・・視点、61、62、63、64・・・画面表示、71、72、73、74・・・視野範囲、100・・・マイクロレンズ、100’・・・レンチキュラーレンズ、101・・・液晶表示パネル、102・・・光源、103・・・表示パネル、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、x・・・映像情報、A、B、C、D・・・画像、PXR、PXG、PXB・・・副画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の中には、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることが可能な表示装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1の図14に記載の画像表示装置では、第1、第2画素群の画素の視野角が、それぞれθ1、θ2にセットされており、θ1<θ2にセットされている。そして、第1画素群に表示された画像は狭い範囲でのみ見ることができ、第2画素群に表示された画像は広い範囲で見ることができる。換言すれば、第1画素群に表示された画像は他人に見られにくく、第2画素群に表示された画像は周囲の人が見ることができる。
【0004】
また、特許文献2の図8に記載の表示装置では、レンチキュラーレンズを利用して、複数の視点でそれぞれ異なる画像を観察できるようにしたものが記載されている。また、連続するa、b、cの点に同じ第1の画像を表示し、連続するe、f、gの点に同じ第2の画像を表示し、cとeとの間にあるdの点を非表示とする事でクロストークを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−136909号公報
【特許文献2】特開平9−101749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、第1画素群によって見ることができる範囲と第2画素群によって見ることができる範囲とが重なっている。そのため、広視野角モードにおいて、第1画素群と第2画素群の両方を使って画像を表示させた場合には正面と斜めから見た場合とで著しく輝度が異なるという問題が生じる。逆に、広視野角モードにおいて、第2画素群のみを用いて画像を表示させた場合には、視野角θ2が広いことに起因して輝度が低いという問題が生じる。
【0007】
また、特許文献2では、視野角制御や、広視野角モードと狭視野角モードとの切替に関しては考慮されていない。
【0008】
さらに、特許文献1、特許文献2の何れも、複数画面表示モードと立体視モードとの切替え、または共存に関しては考慮されていない。
【0009】
尚、上記したもの以外のその他の課題は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、マイクロレンズアレイやレンチキュラーレンズなどの光学部材を利用して、観察者の視点によって観察できる画像を異ならせることができる現象を応用する。
【0011】
本発明の構成は、例えば、以下のようなものとすることができる。
【0012】
(1)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する3画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能であり、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0013】
(2)、(1)において、前記制御回路は、1つの前記単位画素群の中においては、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0014】
(3)、(1)または(2)において、前記単位画素群は、前記第2の方向に隣接する3画素以上を1つの単位としてグループ化されており、
前記制御回路は、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第2の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第2の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0015】
(4)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する3画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能であり、前記広視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、前記狭視野角モードでは、前記単位画素群のうち前記第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御する回路であることを特徴とする。
【0016】
(5)、(4)において、前記制御回路は、1つの前記単位画素群の中においては、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0017】
(6)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0018】
(7)、(6)において、前記制御回路は、前記複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0019】
(8)、(6)において、前記制御回路は、前記立体視モードと前記複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる映像情報をそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0020】
(9)、(8)において、前記制御回路は、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して、前記第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、前記第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする。
【0021】
(10)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【0022】
(11)、表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【0023】
尚、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記したもの以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の利点は、良好な広視野角モードと狭視野角モードの2種類の表示が可能な表示装置を提供できることである。
【0025】
もしくは、同じ構成のパネルを用いつつパネルを回転させる必要なく立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における画素およびレンズの構成の一例を説明する平面図である。
【図2】本発明における画素およびレンズの構成の他の例を説明する平面図である。
【図3】本発明における単位画素群および画素の構成の一例を説明する平面図である。
【図4】本発明における画素の構成の一例を説明する平面図である。
【図5】図1のI−I’線における断面図であり、本発明による表示装置の表示原理を説明する図である。
【図6】図5で説明した表示の結果を簡略化した説明図である。
【図7】図6の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図8】本発明における広視野角モードにおける表示を説明する説明図である。
【図9】図8の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図10】本発明における狭視野角モードにおける表示を説明する説明図である。
【図11】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【図12】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の他の例である。
【図13】図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法のさらに他の例である。
【図14】本発明における画素の駆動方法の一例である。
【図15】本発明における画素の駆動方法の一例である。
【図16】レンチキュラーレンズを説明するための斜視図である。
【図17】本発明における複数画面表示モードの表示の一例を説明する説明図である。
【図18】図17の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明における画素およびレンズの構成の一例を説明する平面図である。図2は、本発明における画素およびレンズの構成の他の例を説明する平面図である。図3は、本発明における単位画素群および画素の構成の一例を説明する平面図である。図4は、本発明における画素の構成の一例を説明する平面図である。図5は、図1のI−I’線における断面図であり、本発明による表示装置の表示原理を説明する図である。
【0029】
本発明による表示装置は、図1、図5のように、表示パネル103と、表示パネル103に画像を表示させる制御回路(図示せず)と、マイクロレンズ100がアレイ状に配置されたマイクロレンズアレイとを備えている。マイクロレンズ100は、表示パネル103の前面側(観察者側)に配置されている。
【0030】
制御回路としては、例えば、駆動回路、タイミングコントローラ、画像処理回路、メモリ、CPUなどのうちの少なくとも1つを有したものを用いることができる。
【0031】
図5では、表示パネル103として液晶表示装置を用いた例を示しており、液晶表示パネル101と、液晶表示パネル101の背面側に配置されたバックライトなどの光源102とを有している。但し、表示パネル103はこのような構成に限られず、有機EL表示装置など、他の方式の表示パネルを用いても良い。
【0032】
表示パネル103は、図3のように複数の画素11〜14、21〜24、31〜34、41〜44を有している。そして、これらの画素は、横方向に隣接する4画素、縦方向に隣接する4画素で構成される4×4個の画素を1つの単位としてグループ化されており、単位画素群10を構成している。そして、図1のように、複数の単位画素群10が縦方向および横方向に二次元的に並んで配置されている。
【0033】
そして、マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ100の1つにつき単位画素群10の1つに対応してアレイ状に配置されている。したがって、本実施例においては、1つのマイクロレンズ100は、縦方向4個×横方向4個の画素11〜14、21〜24、31〜34、41〜44に対応することとなる。
【0034】
尚、単位画素群10およびマイクロレンズ100の配置方法は、例えば、図2に示すように1行おきに横方向に半ピッチずらしたデルタ配置としても良い。図示しないが、1列おきに縦方向に半ピッチずらしたデルタ配置や、その他の配置方法に適用してもよい。
【0035】
図4に示すように、各画素は、赤を表示する副画素PXR、緑を表示する副画素PXG、青を表示する副画素PXBの3種類で1つの画素(図4では代表として画素11を図示した)を構成している。但し、これに限られず、赤・緑・青の組合せの代わりに、シアン・マゼンダ・イエローの組合せであっても良い。また、モノクロ表示でよければ副画素は不要である。あるいは、フィールドシーケンシャル方式を用いれば、副画素を用いなくてもカラー表示が可能である。
【0036】
次に、図5を用いて表示装置の表示原理を説明する。
【0037】
視点51から観察した場合には、マイクロレンズ100の作用によって、それぞれの単位画素群10のうち、画素14のみが見えることになる。そして、単位画素群10はアレイ状に配置されているので、視点51からは画素14のみがアレイ状に配置された集合体が観察されることとなる。したがって、例えば制御回路などにより、それぞれの画素14に、画素14の集合体によって画像Dを表示させるための映像情報dを供給するよう制御してやることによって、視点51からは、画面表示61として画像Dが観察できる。
【0038】
同様にして、画素11、12、13に、それぞれ映像情報a、b、cを供給することで、視点52、53、54からは、それぞれ画素13、12、11のみが見えることになるため、画面表示62、63、64として画像C、B、Aが観察できる。
【0039】
したがって、本発明の表示装置によれば、横方向に視点を移動するに従い、観察できる画像を異ならせることが可能である。
【0040】
尚、これまでの説明では横方向についてのみ説明しているが、縦方向についてもほとんど同様の原理であるため、縦方向に視点を移動するに従い、観察できる画像を異ならせることが可能である。
【0041】
視点数の最大値は、1つの単位画素群10の中の画素数と等しい。したがって、本実施例の場合は最大で16の視点から16種類の異なる画像を観察することが可能である。
【0042】
図6は、図5で説明した表示の結果を簡略化した説明図である。図7は、図6の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0043】
図7のように、単位画素群10のうち、一番左の列の画素11、21、31、41には、映像情報aを、左から2番目の列の画素12、22、32、42には、映像情報bを、左から3番目の列の画素13、23、33、43には、映像情報cを、左から4番目の列の画素14、24、34、44には、映像情報dを、それぞれ供給した。このような駆動は、図示しない制御回路により制御できる。その結果、図6のように、視野範囲71、72、73、74ではそれぞれ別々の画像D、C、B、Aが観察できる。尚、画像D、C、B、Aが、それぞれ立体視の相関関係を有する画像である場合には、立体視を行うことも可能である。
【0044】
尚、図7では、単位画素群10の中で、縦方向に隣接する画素同士には同じ映像情報が供給されているので、縦方向に視点を移動した場合には観察できる画像は変化しない。
【0045】
次に、視野角制御の方法について説明する。
【0046】
図8は、本発明における広視野角モードにおける表示を説明する説明図である。図9は、図8の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0047】
図9では、単位画素群10のうち、全ての画素に対して、映像情報aを供給して表示を行っている。したがって、図8のように、視野範囲71、72、73、74の全てにおいて画像Aが観察できる。すなわち、広視野角モードの表示が行われている。尚、1つの単位画素群10のうち縦方向および/または横方向に隣接する画素同士に同じ映像情報aを供給してやることにより、縦方向および/または横方向に視点を移動させても同じ画像を観察できるので、視野角が広くなるため望ましい。
【0048】
図10は、本発明における狭視野角モードにおける表示を説明する説明図である。図11は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0049】
図10では、単位画素群10のうち、横方向の両端の画素11、14、21、24、31、34、41、44に対しては、映像情報xを供給して非表示とし、中央付近の画素12、13、22、23、32、33、42、43には映像情報aを供給している。したがって、図10のように、視野範囲72、73では画像Aが観察できるが、視野範囲71、74では非表示となっている。すなわち、横方向に対しては狭視野角モードの表示が行われている。尚、非表示とするためには、黒表示を行うか、所定の背景色を表示させるようにすればよい。
【0050】
図12は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法の他の例である。
【0051】
図12では、図11に比べ、縦方向の両端の画素12、13、42、43も映像情報xを供給して非表示としている点が異なる。このように、単位画素群10の中の周辺部分の画素を非表示とし、中央付近の画素のみで表示を行うことにより、縦方向および横方向の両方に対して狭視野角モードの表示が行われる。
【0052】
図13は、図10の表示を行なわせるための画素の駆動方法のさらに他の例である。
【0053】
図13では、横方向に対しては狭視野角モードの表示が行われ、縦方向に対しては視点に応じて複数の画像を観察することが可能な表示が行われている。
【0054】
尚、これまでの実施例では単位画素群10が4×4の画素で構成されている場合を例にして説明してきたが、これに限られない。単位画素群10は、視野角を制御したい方向に対して3画素以上を有するものであれば、狭視野角モードにおいて両端を非表示にすることが可能である。また、5画素以上を有する場合は、両端から1画素ずつを非表示にするものに限られず、両端から少なくとも2画素ずつを非表示にしてもよい。視野角を制御しない方向に対しては1画素以上あればよいが、1画素だけの場合であればマイクロレンズアレイを用いるのではなく、後述するようにレンチキュラーレンズを用いた方が良いので、マイクロレンズ100を用いる方式の場合は2画素以上であることが望ましい。
【0055】
すなわち、表示パネル103の複数の画素が、第1の方向(例えば横方向)に隣接する3画素以上、かつ、第1の方向とは異なる第2の方向(例えば縦方向)に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群10にグループ化されている場合、例えば制御回路などにより、広視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、狭視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御して駆動すればよい。
【0056】
こうすることで、広視野角モードの場合でも正面から見た場合と斜めから見た場合との輝度の差が小さくなる。また、1画素が担当する視野範囲が狭いので、光を効率的に利用でき、明るい表示ができる。
【0057】
尚、1つの単位画素群10の中においては、表示を行う画素に対して、第1の方向および/または第2の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが、視野角を広げる観点からは望ましい。
【0058】
また、第2の方向にも3画素以上をグループ化して、第2の方向に対しても視野角制御を行っても良い。
【実施例2】
【0059】
図16は、レンチキュラーレンズを説明するための斜視図である。
【0060】
レンチキュラーレンズ100’は、一方向に延在するシリンドリカルレンズを、他方向に複数並べてアレイ状にした光学部材である。
【0061】
実施例2では、実施例1においてマイクロレンズアレイの代わりにレンチキュラーレンズ100’を用いた。
【0062】
例えば、シリンドリカルレンズが縦方向に延在する場合は、縦方向に対してはレンズ効果はないが、横方向に対してはレンズ効果を有する。したがって、例えば単位画素群10としては横方向には画素11、12、13、14(3画素以上)で構成し、縦方向はグループ化しなくても良い。
【0063】
視野角制御できるのはレンズ効果を持った方向のみである点を除けば、その他は実施例1とほぼ同様である。
【0064】
例えば、表示パネル103の複数の画素を、第1の方向(例えば横方向)に隣接する3画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群10にグループ化した場合、レンチキュラーレンズ100’は、第1の方向とは異なる第2の方向(例えば縦方向)に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、第1の方向には1つの単位画素群10、第2の方向には複数の単位画素群10に対応してシリンドリカルレンズがアレイ状に配置される。
【0065】
そして、例えば制御回路などにより、広視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向に隣接する全ての画素を用いて表示を行わせ、狭視野角モードでは、単位画素群10のうち第1の方向の両端の画素を非表示として表示を行わせるよう制御して駆動すればよい。
【0066】
尚、1つの単位画素群10の中においては、表示を行う画素に対して、第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが、視野角を広げる観点からは望ましい。
【実施例3】
【0067】
次に、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置について説明する。
【0068】
基本的な構成は、実施例1で説明したマイクロレンズアレイを用いる構成と同じであり、異なる点は、その制御方法あるいは駆動方法である。
【0069】
図14および図15は、本発明における画素の駆動方法の一例である。
【0070】
図14では、単位画素群10のそれぞれの画素11、12、13、14、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44に対して、それぞれ別々の映像情報a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、pを供給している。これにより、16の視点から16の異なる画像を観察できる。
【0071】
まず、立体視モードの場合を説明する。
【0072】
それぞれの画像を立体視の相関関係を持つ画像とすれば、立体視が可能となる。例えば、映像情報a、b、c、dの間に、立体視の相関関係を持たせてやれば、横方向に視点を移動したときに、視点の移動に伴って見えている物体の角度が変わるような画像が観察できるようにすることができるので、ある物体を回り込んで観察しているかのような立体視が可能となる。また、左眼で観察される画像と右眼で観察される画像とが別々になるような視点、例えば一方の眼が視野範囲72に、他方の眼が視野範囲73に入っている場合においては、左右の眼の視差の情報を考慮した画像B、Cを表示することで、両眼視差を利用した立体視をすることもできる。
【0073】
また、例えば、映像情報a、e、i、mの間に、立体視の相関関係を持たせてやれば、縦方向に視点を移動したときに、視点の移動に伴って見えている物体の角度が変わるような画像が観察できるようにすることができるので、ある物体を回り込んで観察しているかのような立体視が可能となる。
【0074】
そして、表示装置自体は同じ構成としながら、表示する映像情報を、立体視の相関関係のないものに変えるだけで、複数画面表示モードとすることができる。図14の場合であれば、視点によって最大で16種類の異なる画像を表示できる。
【0075】
尚、複数画面表示モードにおいては、図15のように、横方向に隣接するもの同士で同じ画像を表示させることが望ましい。左右の眼に別々の画像が観察されるのを防いで画像を見やすくするためである。特に、立体視を前提としている場合は1つの画素が担当する視野範囲を狭く設計するのが通常であるため、左右の眼には別々の画像が観察されやすくなってしまうため、図15のようにする効果が高い。そして、縦方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない別々の画像が認識できるようにしている。
【0076】
比較例としては、レンチキュラーレンズを用いて、1つの単位画素群10を画素11と画素12だけで構成する、すなわち、右眼用と左眼用の2つだけの画像を用い、両眼視差を利用した立体視の場合と比べてみる。この比較例の場合、同じパネルの構成で複数画面表示モードにしようとすれば、パネルを90°回転させ、上下方向に視点を移動したときに別々の画像を表示するように構成する必要が生じる。もともと立体視用に設計されているため、パネルを90°回転させないと右眼と左眼に別々の画像が見えてしまうからである。
【0077】
これに対して、本願の構成によれば、マイクロレンズアレイを用いているため、立体視モードの場合と同じパネルの構成のまま、パネルを回転させることなく複数画面表示モードに切替えることが可能となる。
【0078】
本発明では、1つの単位画素群10は、横方向に2画素以上、かつ、縦方向に2画素以上を有するものであれば適用できる。
【0079】
そして、例えば、立体視モードでは、第1の方向(例えば横方向)に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給し、複数画面表示モードでは、第2の方向(例えば縦方向)に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給するよう制御して駆動してやればよい。
【0080】
ここで、複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御することが望ましい。
【0081】
尚、本発明では、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示することも可能である。
【0082】
例えば、単位画素群のそれぞれの画素に対して、第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給すればよい。
【0083】
図14を例に説明すれば、映像情報a、b、c、dの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報e、f、g、hの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報i、j、k、lの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。また、映像情報m、n、o、pの組に対しては互いに立体視の相関関係を持たせる。これに対して、映像情報a、e、i、mの間には立体視の相関関係を持たせないようにする。こうすれば、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる。
【実施例4】
【0084】
次に、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能な表示装置の他の例について説明する。
【0085】
基本的な構成は、実施例1、実施例3で説明したマイクロレンズアレイを用いる構成と同じであり、異なる点は、その制御方法あるいは駆動方法である。
【0086】
図17は、本発明における複数画面表示モードの表示の一例を説明する説明図である。図18は、図17の表示を行なわせるための画素の駆動方法の一例である。
【0087】
図18では、単位画素群10のうち左半分の画素には映像情報aを、右半分の画素には映像情報bを供給している。したがって、図17のように、視野範囲71、72では画像Bが観察され、視野範囲73、74では画像Aが観察される。
【0088】
本発明では、立体視を行うパネルと同じパネル構成を用いて、立体視が可能な視点移動方向と同じ方向に対して複数画面表示を行う場合に、隣り合う2つ以上の視野範囲に対して同じ画像を表示することにより、実質的に視野範囲を拡大することができ、複数画面表示の品質を向上させることが可能となる。
【0089】
1つの単位画素群10の中の画素数を多くして視点数を増やした場合や、立体視を前提としている場合は、1つの画素が担当する視野範囲を狭く設計するのが通常であるため、左右の眼には別々の画像が観察されやすくなってしまう。これに対して、本発明のようにすれば、この問題を低減でき、表示品質を向上できる。
【0090】
本発明では、例えば、立体視モードでは、第1の方向(例えば横方向)に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を単位画素群10のそれぞれの画素に対して供給し、複数画面表示モードでは、第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御して駆動すればよい。
【0091】
尚、本発明では、1つの単位画素群10の中の画素数は、第1の方向に4画素以上あれば良い。複数の画像を表示する際に、1つの画像を表示するために第1の方向には同じ映像情報が供給される2つ以上の画素が割り当てられるからである。
【実施例5】
【0092】
実施例5では、実施例4においてマイクロレンズアレイの代わりにレンチキュラーレンズ100’を用いた。
【0093】
基本的な構成としてはレンチキュラーレンズ100’を用いた実施例である実施例2の構成と同じである。
【0094】
1つの単位画素群10の中の画素数は、実施例4と同様に第1の方向に4画素以上あれば良い。
【0095】
そして、駆動方法を実施例4と同じようにすればよい。
【実施例6】
【0096】
次に、複数画面表示モードの応用例を説明する。
【0097】
複数画面表示モードは、例えば、車載、携帯電話、PCモニタ、ゲーム、アミューズメント用途のディスプレイなどに適用できる。
【0098】
車載用途では、平面地図とバードビュー、拡大表示と縮小表示、ナビゲーション表示と交通情報表示等といった別画面を視点の変化で即時に切替えて見ることができる。また、運転手と助手席とで別映像を見たり、3Dのナビゲーション表示を行うこともできる。
【0099】
携帯電話用途では、画面サイズが小さいことから、解像度を増やしても細かすぎて見ることが出来ないため、フォントサイズを大きくして使用する。このため一度に見れる情報量は少ないが、複数画面同時表示を使用することで、倍以上の情報を見ることができる。
【0100】
PCモニタ用途では、2つのモニタを使用し、デュアルディスプレイとして使用するのではなく、1つのモニタでデュアルディスプレイが可能となる。
【0101】
ゲーム用途では、対戦ゲームは通常一つの画面を2分割して行うため、画面サイズが半分になるが、本発明を用いれば画面サイズはそのままで表示できる。
【0102】
アミューズメント用途では、通常の表示画面に加えデータ画面なども同時に見ることができる。
【0103】
尚、本発明は、これまでに説明した実施例1から実施例6に限定されず、技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。さらには、実施例1から実施例6は、単体に、あるいは、矛盾しない限り相互に組み合わせて用いることが可能である。例えば、視野角制御と、立体視モードと、複数画面表示モードとを組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0104】
10・・・単位画素群、11、12、13、14、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44・・・画素、51、52、53、54・・・視点、61、62、63、64・・・画面表示、71、72、73、74・・・視野範囲、100・・・マイクロレンズ、100’・・・レンチキュラーレンズ、101・・・液晶表示パネル、102・・・光源、103・・・表示パネル、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、x・・・映像情報、A、B、C、D・・・画像、PXR、PXG、PXB・・・副画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記立体視モードと前記複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる映像情報をそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して、前記第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、前記第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する2画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第2の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記複数画面表示モードでは、表示を行う画素に対して、前記第1の方向に隣接するもの同士に同じ映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記立体視モードと前記複数画面表示モードの2種類の表示を同時に表示できる映像情報をそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して、前記第1の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係を持った映像情報を供給し、前記第2の方向に隣接する画素同士には立体視の相関関係のない映像情報を供給するよう制御する回路であることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
マイクロレンズアレイとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上、かつ、前記第1の方向とは異なる第2の方向に隣接する2画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ1つにつき前記単位画素群1つに対応してアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
表示パネルと、
前記表示パネルに画像を表示させる制御回路と、
レンチキュラーレンズとを備えた表示装置であって、
前記表示パネルは複数の画素を有し、
前記複数の画素は、第1の方向に隣接する4画素以上を1つの単位とする複数の単位画素群にグループ化されており、
前記レンチキュラーレンズは、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在するシリンドリカルレンズ1つにつき、前記第1の方向には1つの前記単位画素群、前記第2の方向には複数の前記単位画素群に対応して前記シリンドリカルレンズがアレイ状に配置されており、
前記制御回路は、立体視モードと複数画面表示モードの2種類の表示が可能であり、前記立体視モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視が可能な映像情報を前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給し、前記複数画面表示モードでは、前記第1の方向に視点を移動したときに立体視の相関関係のない複数の画像を観察できる映像情報で、かつ、前記第1の方向に連続する2画素以上が同じ映像情報となるような映像情報を、前記単位画素群のそれぞれの画素に対して供給するよう制御する回路であることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−128612(P2011−128612A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268439(P2010−268439)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【分割の表示】特願2005−11038(P2005−11038)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【分割の表示】特願2005−11038(P2005−11038)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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