説明

表面実装モジュールの製造方法および表面実装モジュール

【課題】 洗浄工程が不要でかつ実装される電子部品の性質に応じた半田付けができ、電子部品の実装密度が高い表面実装モジュールの製造方法および表面実装モジュールを提供する。
【解決手段】 (a)配線基板1の上面に半田ペーストを用いて半田パターン3を形成し、(b)第1の電子部品4を半田パターン3の上面に配置し、(c)第1の電子部品4を配置した配線基板1をリフロー加熱して、第1の電子部品4を半田付けし、(d)第1の電子部品4が実装された配線基板1を洗浄することなく、半田箔11を第1の電子部品4が実装された位置との最短距離wが1〜10mmとなる位置に載置し、(e)半田箔11の上面に第2の電子部品5を載置し、(f)半田箔11を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して半田箔11を溶融させて第2の電子部品5と配線基板1とを半田付けして第2の電子部品5を実装して表面実装モジュールを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板の上面に複数個の電子部品を実装してなる表面実装モジュールの製造方法および表面実装モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップやコンデンサなどの電子部品を配線基板の上面に実装した表面実装モジュールが開発されており、この表面実装モジュールの小型化に伴い、これに実装される電子部品の小型化、実装密度を高めることが要求されて、電子部品を配線基板の上面に直接半田付けする方法が用いられている。
【0003】
かかる表面実装モジュールにおける電子部品の半田付け方法は、半田粉末にフラックスを混練した半田ペーストを配線基板の所定の位置にスクリーン印刷法などによって印刷塗布した後、この上面に電子部品を載置し、リフロー炉を通して、リフロー炉内で半田ペーストを溶融させて配線基板と電子部品とを半田付けする方法が採られている。
【0004】
上記方法においては、半田ペーストが溶融する際にその一部が飛散して、半田付けした電子部品の上面に付着してしまい、電子部品の上面に狭い間隔で並んだ複数個の電極端子等の電気的接続部がある場合には短絡する等の不具合があった。そこで、従来この種の実装方法では、半田付けした後にモジュールごと洗浄して飛散した半田粒を除去する工程を追加せざるを得ず、不経済であるとともに大量の洗浄液を使用するために環境に悪影響を及ぼす等の問題があった。
【0005】
これを解消するために、例えば特許文献1には、表面実装モジュールにおける電子部品の半田付け方法として、電子部品の周囲にリボン状の半田を載置してホットエアー供給器の熱風にて熱を加えて半田を溶融させることによって半田付けする方法が記載されている。
【0006】
また、複数種の電子部品を半田付けする際に電子部品の種類に応じて半田付けの方法を変えることも検討されており、特許文献2には、半田ペーストを用いてスクリーン印刷で形成した半田パターン上に第1電子部品(一般の電子部品)を載置してリフロー加熱する通常の半田付け方法により第1電子部品を実装した後、洗浄および乾燥し、無洗浄フラックスを用いてスクリーン印刷で形成した半田パターン上に第2電子部品(洗浄および乾燥により破壊を招くおそれのある電子部品)を載置してリフロー加熱する半田付け方法が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、その図9の(3)に記載されるように、半田ペーストを用いて印刷法で配線基板の上面に半田パターンを形成して抵抗(R)やコンデンサ(C)などの電子部品を載置し、リフロー加熱してこれら一般の電子部品を半田付けした後、一旦配線基板を洗浄し、その後にチップを実装する位置に半田箔を載置し、配線基板全体を下面から加熱しながら半田箔の上面にチップを接触させ、加圧するチップダイボンドによって半田付けする方法について記載されている。
【特許文献1】特開平6−132645号公報
【特許文献2】特開2002−237676号公報
【特許文献3】特開2002−301588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記各方法においては、電子部品の実装密度を高める目的で第1の電子部品と第2の電子部品との実装間隔を10mm以内の近接した位置に近づけると、以下のような不具合が発生するという問題があった。
【0009】
すなわち、特許文献1に開示された方法では、電子部品の周囲にリボン状半田を載置して熱風を当てて半田を溶融させるために、電子部品の上面には半田が飛散するおそれがあった。そのため、実装密度が高い場合には、上面に電気的接続部を有する電子部品等のように半田の付着を嫌う特殊な電子部品をこの方法で実装することができなかった。また、すべての電子部品の半田付け方法がリボン状半田を載置し熱風を当てて半田を溶融させる方法であるために手間がかかるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に開示された方法では、洗浄工程が必要であり手間がかかるという問題があった。また、第1の電子部品を実装した後、第2の電子部品を半田付けするために再びリフロー加熱すると、第1の電子部品を半田付けしていた半田層が再び溶融して周囲に飛散し、第2の電子部品の上面に半田粒が付着するおそれがあった。
【0011】
さらに、特許文献3に開示された方法でも、半田ペーストを用いる場合には半田付けの際に飛散した半田粒を洗浄によって除去しているので手間がかかるという問題があった。また、特許文献3に開示された方法のように配線基板を下面側から加熱しながら第2の電子部品を半田付けする方法では、第2の電子部品を半田付けするときに加熱する位置の調整が難しく、かつ第2の電子部品が実装されている位置に近接して先に実装された抵抗やコンデンサ等の第1の電子部品にも熱がかかって第1の電子部品を半田付けしている半田層が再溶融し、そこから半田粒が飛散して第2の電子部品の上面に付着するおそれがあり、また、第1の電子部品自身の一部が溶けたり特性が劣化したりして第1の電子部品の信頼性が損なわれるおそれもあった。
【0012】
本発明は、以上のような従来の技術における課題に対して、洗浄工程が不要でかつ実装される電子部品の性質に応じた半田付けができ、半田付け工程も最少の手間にできて経済的であり、特に電子部品間の実装間隔が狭い場合でも良好な半田付けをすることができる表面実装モジュールの製造方法および表面実装モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の表面実装モジュールの製造方法は、(a)配線基板の上面に半田ペーストを用いて半田パターンを形成する工程と、(b)第1の電子部品の下面に配設された端子を前記半田パターンの上面に載置するように前記第1の電子部品を配置する工程と、(c)前記第1の電子部品を配置した配線基板をリフロー加熱して前記第1の電子部品の端子を前記配線基板の上面に半田付けして前記第1の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、(d)前記(c)工程で得られた前記第1の電子部品が実装された配線基板を洗浄することなく、半田箔を前記配線基板の上面の前記第1の電子部品が実装された位置との最短距離が1〜10mmとなる位置に載置する工程と、(e)該半田箔の上面に第2の電子部品を載置する工程と、(f)前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して前記半田箔を溶融させて前記第2の電子部品と前記配線基板とを半田付けして前記第2の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、を具備するものである。
【0014】
ここで、上記構成における前記(d)工程において、前記配線基板と前記半田箔との間を厚みが50〜150μmの半田フラックス層を用いて接着することが望ましい。
【0015】
また、上記各構成における前記(e)工程において、前記半田箔の上面に前記第2の電子部品を載置したときの上面視で、前記半田箔が前記第2の電子部品よりも10〜500μm幅だけ大きい外周を有する形状であることが望ましい。
【0016】
さらに、上記構成における前記(d)工程において、前記半田箔が上面視で前記第2の電子部品の外周より内側に貫通孔を有する形状であることが望ましい。
【0017】
さらには、上記各構成における前記(f)工程において、前記半田箔が半田付けされる部分をくり抜いたマスク板を、上面視で前記くり抜いた部分に前記第2の電子部品および前記半田箔が位置するように前記(e)工程で得られた前記第1の電子部品を実装して、第2の電子部品を上面に載置した配線基板の上面に載置した状態で、前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して前記半田箔を溶融させて前記第2の電子部品と前記配線基板とを半田付けすることが望ましい。
【0018】
また、本発明の表面実装モジュールは、配線基板と、端子が形成された第1の電子部品であって、前記端子は前記第1の電子部品の下面側に配置されて前記配線基板の上面に半田付けされているとともに、前記第1の電子部品の前記半田付けされた下面とは反対の上面に半田粒が10個以下の範囲内で付着している第1の電子部品と、前記第1の電子部品と1〜10mm離間した位置に第2の電子部品の下面が半田付けされているとともに、該半田付けされた下面とは反対の上面に半田粒が付着していない第2の電子部品とを具備するものである。
【0019】
ここで、上記構成において、前記第1の電子部品を半田付けした半田内にハロゲン元素が塩素換算量で0.02〜0.1原子%の割合で含有されているとともに、前記第2の電子部品を半田付けした半田内のハロゲン元素の含有量が塩素換算量で10ppm以下であることが望ましい。
【0020】
また、上記各構成において、前記第1の電子部品に半田付けされている半田層と前記第2の電子部品に半田付けされている半田層とを上面から見た投影像において、前記第1の電子部品を半田付けした半田内に10〜30面積%のボイドが存在するとともに、前記第2の電子部品を半田付けした半田内に存在するボイドが5面積%以下であることが望ましい。
【0021】
さらに、上記各構成において、前記第2の電子部品の下面が全面にわたって半田付けされていることが望ましい。
【0022】
また、上記各構成において、前記第2の電子部品の下面に接着されている半田層の厚みが30〜70μmであることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の表面実装モジュールの製造方法によれば、半田ペーストを用いリフロー加熱する方法で第1の電子部品を半田付けした後、洗浄せずに、半田箔を用いて赤外線照射またはレーザー照射する方法で第2の電子部品を半田付けすることから、洗浄工程が不要で、洗浄に弱い第1の電子部品が洗浄不良によって電子部品の内部に洗浄液が入り込んで変質や破裂を引き起こすことを防止でき、かつ上面に導電性の異物が付着しても不具合のない電子部品と上面に導電性の異物が付着すると不具合が発生する電子部品とが混在して実装されるにもかかわらず、実装される電子部品の性質に応じた半田付けができて半田付け工程も最少の手間にできて経済的である。また、第1の電子部品と第2の電子部品間の最小実装間隔が1〜10mmと狭い場合でも、第1の電子部品が第2の電子部品の半田付け時に変質したり先に半田付けした半田層が再溶融して半田粒が発生することなく、良好な半田付けをすることができる。
【0024】
また、配線基板の第1の電子部品が半田付けされた部分以外の上面に半田箔を載置するとともに、配線基板と半田箔との間を厚みが50〜150μmの半田フラックス層を用いて接着することが、半田フラックス層にて半田箔の位置を接着固定することができることから、半田箔の載置位置がずれて第2の電子部品の下面に半田箔がはみ出すことを防止することができる点で望ましい。
【0025】
さらに、前記半田箔が、第2の電子部品の上面に半田箔を載置したときの上面視で、半田箔が第2の電子部品よりも10〜500μm幅だけ大きい外周を有することが、半田付けした後の半田層が上面視で第2の電子部品の外周より少しだけ外側にはみ出して見えるので、半田付けの状態を目視で確認できる点で望ましい。また、半田箔が第2の電子部品よりも10〜500μm幅だけ大きい外周を有することによって、半田付けによって形成される半田層は、断面形状が配線基板に接着する面側が広い台形形状となり、これによって、表面実装モジュールにヒートサイクルが繰り返しかかるような場合でも、第2の電子部品と配線基板との熱応力差による半田層界面への応力集中を防止して、半田層の接続耐久性を高めることができる。
【0026】
さらに、半田フラックス層を用いて接着する場合には、前記半田箔が、上面視で第2の電子部品の外周よりも内側に貫通孔を有する形状であることが望ましく、これによって、半田箔の貫通孔に半田フラックス層が充填されて、半田箔の上面に載置される第2の電子部品と半田フラックス層とが接触することができ、半田箔と第2の電子部品との両方が半田フラックス層にて接着固定されるので、半田箔のみならず第2の電子部品についてもその載置位置がずれることなく、所望の位置に確実な半田付けができる。
【0027】
なお、前記(f)工程において、前記半田箔が半田付けされる部分をくり抜いたマスク板を上面視で前記くり抜いた部分に前記第2の電子部品および前記半田箔が位置するように(e)工程で得られた第1の電子部品を実装するとともに、第2の電子部品を上面に載置した配線基板の上面に載置した状態で前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して半田箔を溶融させて第2の電子部品と配線基板とを半田付けすることによって、第1の電子部品およびそれを半田付けしている半田層には熱がほとんどかからないことから、第1の電子部品の半田付け部分に悪影響を及ぼすことなく、第2の電子部品の半田付けが接続不良を起こすことなく確実に半田付けできる。
【0028】
また、本発明の表面実装モジュールによれば、配線基板の上面に、半田層との接着面である下面(裏面)とは反対側の上面に半田粒が10個以下の範囲内で付着している第1の電子部品と、第1の電子部品と1〜10mm離間した位置に半田付けされており、半田粒が付着していない第2の電子部品と、が実装されているものであることから、第1の電子部品および第2の電子部品とも洗浄しておらず、かつ両者間の実装距離が狭い間隔であっても良好な実装が可能であることから、製造工程の簡素化や製造コストの削減を図りながら、実装密度を高めて、表面実装モジュールとして電気的な短絡による動作不良等が発生することがなく電気信頼性を確保できるという効果がある。
【0029】
ここで、上記構成において、第1の電子部品を半田付けした半田内にハロゲン元素が塩素換算量で0.02〜0.1原子%の割合で含有されているとともに、第2の電子部品を半田付けした半田内のハロゲン元素の含有量が塩素換算量で10ppm以下であることによって、第2の電子部品が発熱量の大きい部品である場合には、半田層は熱履歴によって疲労しやすく第1の電子部品の半田層に比べて劣化しやすいものであるが、半田層内のハロゲン元素が塩素換算量で10ppm以下であれば第1の電子部品の半田層の劣化を防止することができる。その結果、第2の電子部品の半田層の寿命を第1の電子部品の半田層の寿命と同程度に延命することができることから、第2の電子部品の上面に導体パッドが存在してワイヤボンディングにより接続する場合、そのワイヤボンディングの接続が確実にできるという効果がある。
【0030】
さらに、前記第2の電子部品に半田付けされている半田層を上面から見た投影像において、第2の電子部品を半田付けした半田内に存在するボイドが5面積%以下である場合には、第2の電子部品として発熱量の高い電子部品を用いた場合でもその放熱性を高めることができる。なお、例えば、第1の電子部品を半田付けした半田層内には5面積%を越え、特に10〜30面積%のボイドが存在していても、第1の電子部品には発熱量の低い電子部品が用いられるので、表面実装モジュールの動作には問題がない。
【0031】
また、第2の電子部品の下面が全面にわたって半田付けされている場合には、半田層が熱伝導の良い材質であることから、第2の電子部品が発熱する場合に、第2の電子部品で発生した熱を速やかに逃がす放熱効果を高めて、第2の電子部品が高温になって動作不良を引き起こすことを防止できる。
【0032】
ここで、使用環境の温度変化や、特に第2の電子部品が動作することによって高温になる場合には、半田付け接合部において第2の電子部品と配線基板との熱膨張差によって残留応力が半田付け接合部に集中しやすく、第2の電子部品が動作と非動作を繰り返すことによって、半田付け接合部が疲労によって破壊しやすくなる。この応力集中を緩和する点では、前記第2の電子部品の下面に接着されている半田層の厚みが30μm以上であることが望ましい。また、第2の電子部品に発生した熱を放熱する点では、第2の電子部品に発生した熱を速やかに配線基板側に放熱できることが望ましく、かかる観点では半田層の厚みが70μm以下であることが望ましい。したがって、望ましい半田層の厚みは30〜70μm、特に望ましい範囲は40〜60μmである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の表面実装モジュールの製造方法は、(a)配線基板の上面に半田ペーストを用いて半田パターンを形成する工程と、(b)第1の電子部品の下面に配設された端子を前記半田パターンの上面に載置するように前記第1の電子部品を配置する工程と、(c)前記第1の電子部品を配置した配線基板をリフロー加熱して前記第1の電子部品の端子を前記配線基板の上面に半田付けして前記第1の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、(d)前記(c)工程で得られた前記第1の電子部品が実装された配線基板を洗浄することなく、半田箔を前記配線基板の上面の前記第1の電子部品が実装された位置との最短距離が1〜10mmとなる位置に載置する工程と、(e)該半田箔の上面に第2の電子部品を載置する工程と、(f)前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して前記半田箔を溶融させて前記第2の電子部品と前記配線基板とを半田付けして前記第2の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、を具備するものである。
【0034】
以下、その好適例を示す工程毎の断面図である図1(a)〜(f)を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
(a)工程
まず、図1(a)に示す例においては、(a)工程に用いる配線基板1は、絶縁基板1aと導体配線層1bと樹脂膜1cとで構成されている。絶縁基板1aとしては、Al、AlN、Si、ガラスセラミックス等のセラミックス、または有機樹脂が用いられるが、中でも、後述する第1の電子部品や第2の電子部品が動作することによって発熱して配線基板1が高温になる場合には、Al、AlNまたはSiのセラミック基板が好適である。また、単層または複数層の絶縁基板1aの表面および内部に形成される導体配線層1bは、主成分がW、MoまたはCuからなり所定の配線パターンをなしている。
【0036】
また、配線基板1の上面には前記配線パターンの一部として導体パッド2が形成されている。図1(a)に示す例においては、導体パッド2として、第1の電子部品に接続される導体パッド2a、第2の電子部品を固定する導体パッド2b、第2の電子部品の上面に存在する端子とワイヤボンディングにより接続される導体パッド2cが存在する。そして、第1の電子部品に接続される導体パッド2aの上面に半田ペーストを用い、スクリーン印刷法、ディスペンサ法、転写法等にて半田パターン3を形成する。
【0037】
さらに、図1(a)に示す例においては、絶縁基板1aの下面に導体配線層1bのサイズを調整(トリミング)して抵抗の大きさを調整した抵抗パターン等(図示せず)が形成されており、このトリミングの際に生じる傷を保護するための樹脂膜1cが配線基板1の下面のほぼ全面にわたって形成されている。
【0038】
(b)工程
次に、図1(b)に示すように、第1の電子部品4を、この半田パターン3の上面に第1の電子部品4の端子4aが配置されるように載置する。本発明における電子部品は、抵抗やコンデンサ、ダイオード等の一般の電子部品や、下面に接続端子を有するチップ部品等の第1の電子部品4と、図1(e)(f)に示した、上面側の表面に300μm以下、特に100μm以下の間隙で複数個の電極を具備するチップ部品等の第2の電子部品5とに大別される。言い換えると、第1の電子部品4は、図1(c)に示すように、その上面に300μm以下、例えば100μm程度の半田粒6が単独で付着しても短絡による電気的な絶縁不良を起こさないものであり、第2の電子部品5はその上面に100μm程度の半田粒6が付着すると短絡による電気的な絶縁不良を起こすおそれのあるようなもの、例えば上面に300μm以下の間隔で近接した電極等の導体パターンを有するものである。
【0039】
なお、上記半田粒6とは、図2にその一例を顕微鏡写真で示すが、第1の電子部品4の上面(図2では第1の電子部品4の表面を示す。)に直径30〜300μmの粒状で存在する半田である。この半田粒6は、半田ペーストを用いこれを加熱して半田付けする時、半田の溶融に伴って半田ペースト中のフラックス成分が蒸発するが、このフラックス成分が蒸発する際に溶融した半田が一緒に飛び散ることによって発生するものである。
【0040】
また、図2においては、半田粒6の直径を測定する際の読み取り位置を図示しており、写真中に1で示す半田粒6−1の直径は188μm、写真中に2で示す半田粒6−2の直径は53μmである。
【0041】
(c)工程
そして、図1(c)に示すように、第1の電子部品4の下面に形成された端子4aを配線基板1の半田パターン3の上面に位置するように第1の電子部品4を載置した状態で配線基板1をリフロー加熱する。これによって、半田パターン3中の半田成分を溶融させて第1の電子部品4の端子4aを配線基板1上面の導体パッド2aに半田層21で半田付けして、第1の電子部品4を配線基板1の上面に実装する。
【0042】
ここで、このリフロー加熱時には、半田パターン3中の半田成分が溶融すると同時に半田パターン3中のフラックス成分が半田成分とともに周囲に飛散して、第1の電子部品4の周囲、特に第1の電子部品4の上面にも半田粒6が付着する。
【0043】
従来の半田付け方法であれば、この飛散して付着した半田粒6を洗浄により除去するのであるが、本発明によれば、(c)工程で得られた第1の電子部品4が半田付けされた配線基板1を洗浄することなく、後述する(d)工程にて、配線基板1の第1の電子部品4が半田付けされた部分以外の上面に半田箔11を載置するため、第1の電子部品4の上面に付着した半田粒6が残存する状態となる。
【0044】
この場合、第1の電子部品4が半田付けされた位置に対して第2の電子部品5が半田付けされる位置が1mm以上離間した位置に設定されていることが重要であり、これによって、後述する(f)工程において、第1の電子部品4の位置から飛散した半田粒6が第2の電子部品5に悪影響を与える可能性をなくし、逆に第2の電子部品5を半田付けする際に、第1の電子部品4の半田層21が再溶融することを防止できる。また、第2の電子部品5を半田付けする際に第1の電子部品4自身にも熱がかかって特性が劣化したり、溶融することも防止できる。
【0045】
さらに、従来の半田付け方法であれば、第1の電子部品4と第2の電子部品5との間隔が10mm以内に近接している場合には、第1の電子部品4を半田付けするために用いる半田から発生する半田粒6が第2の電子部品5の上面に付着する可能性があるが、本発明によれば、第1の電子部品4と第2の電子部品5との間隔が10mm以内、特に5mm以内、さらに3mm以内に近接している場合であっても、本発明の第2の電子部品5を半田付けする際の加熱する方法によれば配線基板1の上面の一部に対して局所的に加熱することが可能であることから、半田粒6が第2の電子部品5の上面に付着することなく良好な半田付け、実装が可能である。
【0046】
また、リフロー加熱の際、後述する第2の電子部品5のボンディングワイヤ7を接続するための導体パッド2cの上面には、半田粒6の飛散を防止するための保護フィルム(図示せず)を被覆した状態でリフロー加熱し、その後、この保護フィルムを剥がすことが望ましい。
【0047】
(d)工程
次に、図1(d)に示すように、第1の電子部品4を実装した配線基板1に対して、第1の電子部品4からの最短距離が1〜10mm離間した位置に半田箔11を載置する。第1の電子部品4が複数個実装されている場合には、半田箔11から最も近い位置にある第1の電子部品4との距離wが最短距離となる。
【0048】
この工程において、配線基板1と半田箔11との間を厚みが50〜150μmの半田フラックス層13を用いて接着することが、半田箔11の載置位置がずれて第2の電子部品5の下面から半田箔11が片寄ってはみ出して半田付けされることを防止できるとともに、半田箔11の活性度を高めて比較的低温で半田箔11を確実に溶融させることができる点で望ましい。
【0049】
(e)工程
次に、図1(e)に示すように、半田箔11の上面に第2の電子部品5を載置する。この(e)工程において、半田箔11の上面に第2の電子部品5を載置したときの上面視で、半田箔11が第2の電子部品5よりも10〜500μm幅だけ大きい外周を有する形状であることが、半田付けした後に第2の電子部品5の外周における半田付けの状態を目視で容易に確認できる点で望ましい。
【0050】
なお、前記(d)工程において、半田フラックス層13を塗布する場合には、半田箔11が上面視で第2の電子部品5の外周より内側に貫通孔15を有する形状であることによって、図3に(e)工程における要部拡大断面図で示すように、貫通孔15が半田箔11のみならず第2の電子部品5をも半田フラックス層13に接触させることができるために、半田箔6および第2の電子部品5の両方の載置位置ずれを防止できる点で望ましい。
【0051】
(f)工程
そして、図1(f)に示すように、半田箔11を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して第2の電子部品5を配線基板1の上面に半田付けして第2の電子部品5を配線基板1の上面することによって、配線基板1の上面に第1の電子部品4と第2の電子部品5とを実装することができる。
【0052】
これによって、第1の電子部品4や第2の電子部品5間の実装間隔が10mm以下と狭い場合でも良好な半田付けをすることができてより小型化ができ、また、洗浄工程が不要である。しかも実装される電子部品の性状に応じた半田付けができ、半田付け工程も最少の手間にできて経済的である。
【0053】
また、この(f)工程において、半田箔11が半田付けされる部分をくり抜いたマスク板17を、上面視で前記くり抜いた部分に第2の電子部品5および半田箔11が位置するように前記(e)工程で得られた第1の電子部品4を実装して第2の電子部品5を上面に載置した配線基板1の上面に載置した状態で、半田箔11を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して半田箔11を溶融させて第2の電子部品5と配線基板1とを半田層22で半田付けすることによって、第1の電子部品4およびその半田層21に悪影響を及ぼすことなく、第2の電子部品5の半田付けを確実に行なうことができる。
【0054】
なお、上記加熱方法の中でも、上述したマスク板17を用いて赤外線照射にて加熱する方法を採用することによって、第2の電子部品5を複数個実装する場合に、半田箔11を一括で溶融させて一括で半田付けすることができる。一方、レーザー照射にて加熱する方法によれば、第1の電子部品4と第2の電子部品5との実装間隔が狭い場合であっても、局所的な加熱ができて局所的な半田付けが可能である。
【0055】
以上のような本発明の製造方法における半田箔11を溶融させるための加熱方法によれば、配線基板1の下面は高温になることを防止できるので、樹脂膜1cが劣化することもない。
【0056】
また、上述した(a)〜(f)工程の後、第2の電子部品5の上面に形成された接続端子5aには導体パッド2cとの間にボンディングワイヤ7が接続され、これにより、第2の電子部品5は配線基板1の導体配線層2bと電気的に接続されることによって、表面実装モジュール20となる(図4参照)。
【0057】
(表面実装モジュール)
上記製造方法によって、後述する本発明の表面実装モジュールを作製することができる。
【0058】
図4は、本発明の表面実装モジュールの好適な実施形態の一例を示し、(a)は上から見た概略平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。図4に示すように、表面実装モジュール20は、上述した絶縁体からなる絶縁基板1aの表面および内部に、導体配線層1bが形成された配線基板1を備えている。
【0059】
配線基板1の上面には、複数種類の電子部品が実装されており、これらは、その上面に直径が300μm以下で100μm程度の半田粒6が付着しても短絡による電気的な絶縁不良を起こさない第1の電子部品4と、上面に300μm以下の半田粒6が付着すると短絡による電気的な絶縁不良を起こすおそれのあるような導体パターンを有する第2の電子部品5とに大別される。
【0060】
第1の電子部品4の下面または側面に配置された接続端子4aは配線基板1の上面に形成された接続端子をなす導体パッド2aの上面に半田層21で半田付けされており、これによって第1の電子部品4が配線基板1の上面に実装されている。一方、第2の電子部品5の下面は全面が配線基板1の導体パッド2bに半田層22で半田付けされている。また、第2の電子部品5の上面(半田付けされた下面とは反対側の表面)には複数個の接続端子5aが形成されており、これら複数個の接続端子5aはボンディングワイヤ7により配線基板1の上面に別途形成された接続端子をなす導体パッド2cに電気的に接続されている。
【0061】
本発明の表面実装モジュールにおいては、第1の電子部品4の半田付けされた下面、すなわち半田層21との界面となる表面とは反対の表面(上面)に半田粒6が10個以下の範囲内で付着しているとともに、第2の電子部品5の半田付けされた下面とは反対の表面(上面)における半田粒の付着量が0個である、すなわち全く付着していないことが大きな特徴である。
【0062】
この構成によって、第1の電子部品4の上面に付着した半田粒6は電気的な不具合を生じず、むしろ第1の電子部品4の上面に半田粒6が付着した状態であるほうが、第1の電子部品4を洗浄、乾燥したときの乾燥不良等によって洗浄に弱い第1の電子部品4が変質したり破裂する不具合を発生させることもなく、かつ電気的な不具合も発生することがない。
【0063】
なお、第1の電子部品4の上面に半田粒6が11個以上存在していると、半田粒6同士が連結して第1の電子部品4の端子4a間が短絡して第1の電子部品4にも電気的な接続不良が発生するおそれがある。
【0064】
ここで、本発明において、第1の電子部品4の上面に付着している半田粒6の数は、その第1の電子部品4の上面を観察して付着している半田粒6の数を確認し、その数に対して、その第1の電子部品4の上面の面積を1mmに換算した時の個数で表わす。そして、各電子部品4については以下のようにして観察される。すなわち、同じ形状の同じ電子部品4を1品種として、その品種の電子部品4が1個のみ存在する場合には、その1個についての半田粒6の個数そのもので表わされる。同じ品種の電子部品4が2〜4個ある場合には、その2〜4個すべてについて半田粒6の付着した数を確認し、上記方法によってそれぞれの半田粒6の個数を算出する。そして、その平均値を半田粒6の個数とする。同じ品種の電子部品4が5個以上ある場合には、そのうちの任意の4個についての半田粒6の付着した数を確認し、上記方法によってそれぞれの半田粒6の個数を算出する。そして、その平均値を半田粒6の個数とする。
【0065】
また、第1の電子部品4の上面に付着する半田粒6の数の好ましい範囲は、第1の電子部品4の電気的信頼性をより高めるために、第1の電子部品4の上面の面積を1mmに換算した値で、0.25〜6.0個、特に0.5〜4.0個である。
【0066】
一方、第2の電子部品5の上面に半田粒が1つでも付着しているものが1個でもあると、第2の電子部品5の端子5a間が短絡による絶縁不良を引き起こす可能性が高くなり、表面実装モジュール20の電気的信頼性が低下する。
【0067】
また、本発明によれば、第1の電子部品4と第2の電子部品5との実装間隔を10mm以下に狭くすることができ、電子部品4、5の実装密度を高めることができる。なお、第2の電子部品5の上面に半田粒を確実に付着させないためには、第1の電子部品4と第2の電子部品5との間隔は1mm以上離間させることが重要である。
【0068】
ここで、第1の電子部品4を半田付けした半田層21内にハロゲン元素が塩素換算量で0.02〜0.1原子%の割合で含有されているとともに、第2の電子部品5を半田付けした半田層22内にハロゲン元素が塩素換算量で10ppm以下であることによって、第2の電子部品5が発熱量の大きい部品であるとき、半田層22は熱履歴によって疲労しやすく第1の電子部品4の半田層21に比べて劣化しやすいものであるが、半田層22内のハロゲン元素が塩素換算量で10ppm以下であれば第1の電子部品4の半田層21の劣化を防止することができて、半田層22の寿命を半田層21の寿命と同程度に延命することができる。
【0069】
さらに、第2の電子部品5として発熱量の高い部品を用いた場合、第1の電子部品4に半田付けされている半田層21と第2の電子部品5に半田付けされている半田層22とを上面から見た投影像において、第2の電子部品5を半田付けした半田層22内に存在するボイドが5面積%以下であることが、その放熱性を高めることができる点で望ましい。なお、第1の電子部品4を半田付けした半田層21内には、半田ペーストを用いリフロー加熱によって作製されたものであるから10〜30面積%のボイドが存在する場合が多いが、第1の電子部品4には発熱量の低い電子部品が用いられるので、表面実装モジュール20の動作には特に問題はない。
【0070】
また、第2の電子部品5の下面が全面にわたって半田付けされていることが、第2の電子部品5が動作して発熱する場合に、第2の電子部品5で発生した熱を速やかに逃がす放熱効果を高めて、第2の電子部品5が高温になって動作不良を引き起こすことを防止できる点で望ましい。
【0071】
さらに、第2の電子部品5の下面に接着される半田層22の厚みが30〜70μmであることが、半田付け接合部における残留応力を緩和できて半田付け強度の信頼性が高まるとともに、第2の電子部品5の放熱性を確保できる点で望ましい。
【実施例】
【0072】
(実施例)
アルミナ質セラミックスにて構成された厚み200μmの絶縁層を7層積層してなる絶縁基板の表面および内部にタングステンを主成分とした導体配線層にて所定の配線パターンを形成した配線基板を準備した。なお、絶縁基板の下面にはトリミングの傷を保護するためのエポキシ樹脂膜を形成した。配線基板の上面には、第1の電子部品である抵抗、コンデンサ、ダイオード、下面に接続端子を有するチップ部品と、並びに第2の電子部品である上面に接続端子を有するチップ部品を半田付けして電気的に接続するための導体パッドを形成した。
【0073】
上記導体パッドにSn−Ag−Cu系半田粒子とフラックスとを混練した半田ペーストをスクリーン印刷法により印刷、塗布して半田パターンを形成した。
【0074】
次に、この半田パターンの上面に第1の電子部品の端子を載置して、この第1の電子部品を載置した配線基板を250℃でリフロー加熱して半田パターン中の半田成分を溶融させて第1の電子部品を配線基板の上面に半田付けした。
【0075】
そして、この第1の電子部品が実装された配線基板の上面の所定位置に、ディスペンサ法によって表1に示す厚みの半田フラックス層を形成した状態で、Sn−Ag−Cu系の2.5mm×3.5mm×厚み50μmの表1に示す寸法、形状の半田箔を載置した。この時、半田箔を載置した位置は最も近接した第1の電子部品を実装した位置から表1に示す最短距離wとした。また、表1中、半田箔の外周とは、半田箔の上面に第2の電子部品を載置した時、上面視で第2の電子部品の外周からはみ出した半田箔の外周部の平均幅を示している。また、半田箔には、表1に示すように、上面視で第2の電子部品の外周よりも内側に貫通孔を有するものと有しないものを使用した。
【0076】
次に、半田箔の上面に2種類、計10個の第2の電子部品を載置した。
【0077】
そして、第2の電子部品の半田箔が加熱されて半田付けされるように表1の温度、時間で赤外線照射するか、または表1の最高温度となるようなパワーのレーザー光を走査しながら照射することによって加熱して第2の電子部品を配線基板の上面に半田付けして、表面実装モジュールを作製した。
【0078】
(比較例)
実施例の表面実装モジュールに対する比較例として、表1に示すように、第1の電子部品、第2の電子部品とも半田ペーストを用いて半田パターンを作製し、ともにリフロー加熱によって半田付けしたもの(試料No.7)、半田ペーストを用いた半田パターンの上面に第1の電子部品を載置してこれをリフロー加熱することによって半田付けし、配線基板を洗浄した後、半田箔を用い配線基板の下面から加熱しながら第2の電子部品を熱圧着する方法によって半田付けしたもの(試料No.8)、第1の電子部品、第2の電子部品とも半田箔を用いて、これに熱風を当てて加熱することによって半田付けしたもの(試料No.9)を同様に作製した。
【表1】

【0079】
得られた表面実装モジュールに対して、金属顕微鏡を用いて第1の電子部品および第2の電子部品の上面における半田粒の存在個数を確認した。なお、金属顕微鏡で観察した際に肉眼で半田粒の有無を判別できない場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)に付随のX線マイクロアナライザー分析法(EPMA)を用いて、電子部品の上面についての面分析を行ない、半田粒の有無を確認した。
【0080】
この時、第1の電子部品および第2の電子部品が複数個存在する場合にはそれぞれの電子部品の品種別に分け、また、それぞれの品種について2〜4個同じ部品が存在する場合にはそれらすべてについて、5個以上同じ部品が存在する場合にはそのうちの任意の4個ずつ選択し、選択したそれぞれの上面について観察し、その個数を平均値で表記した。それぞれの品種の電子部品についての半田粒の個数について、その最小個数〜最大個数として表記した。
【0081】
また、第2の電子部品の任意の3個について、これを半田付けしている半田層について断面観察を行ない走査型電子顕微鏡(SEM)によって半田層の厚みを測定した。さらに、第1の電子部品と第2の電子部品を各品種それぞれ任意の各3個ずつに対して、これを半田付けしている半田層について、上面からX線検査装置を用いてX線投影写真を撮り、この投影写真から画像解析法によってボイド比率を見積もった。さらに、上記半田層をそれぞれ削り取ってICP分析によりハロゲン元素の含有量を分析した。
【0082】
さらに、第1の電子部品のうちのコンデンサと第2の電子部品のベアチップについてそれぞれ外観確認および導通テストを行なった。実施例および比較例に対するそれぞれの評価結果は表2に示した。
【表2】

【0083】
表1、2に示す結果から明らかなとおり、本発明の製造方法の(a)〜(f)工程を経て表面実装モジュールを作製した実施例の試料No.2〜6は、いずれも第1の電子部品の上面には半田粒が0.5〜10個存在し、第2の電子部品の上面には半田粒が全く存在していなかった。そして、第1の電子部品と第2の電子部品の外観および導通テストをそれぞれ評価したところ、いずれも問題ないことがわかった。
【0084】
これに対して、第1の電子部品と第2の電子部品との実装間隔が1mmよりも狭い試料No.1では、第2の電子部品の上面に半田粒が付着していることが確認された。また、第1の電子部品、第2の電子部品とも半田ペーストを用いて半田パターンを作製し、ともにリフロー加熱によって半田付けした試料No.7は、第2の電子部品の上面に半田粒が存在していることが確認された。さらに、半田ペーストを用いた半田パターンの上面に第1の電子部品を載置してこれをリフロー加熱することによって半田付けし、配線基板を洗浄した後、半田箔を用いて第2の電子部品を半田付けした試料No.8では、第2の電子部品に近接して実装された第1の電子部品の一部が熱によって溶融して変質していた。また、第1の電子部品の一部に、乾燥不良による外観不良が生じているものがあった。さらに、第1の電子部品、第2の電子部品とも半田箔を用いて、これに熱風を当てて加熱することによって半田付けした試料No.9では、第1の電子部品および第2の電子部品の上面にともに半田粒が存在していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】(a)〜(f)は、それぞれ本発明の表面実装モジュールの製造方法の好適例を示す工程毎の断面図である。
【図2】半田粒の一例を示す顕微鏡写真である。
【図3】本発明の表面実装モジュールの製造方法の(e)工程において、半田箔の内部に貫通孔が存在した場合の半田フラックス層の存在状態を説明するための要部拡大断面図である。
【図4】本発明の表面実装モジュールの一例についての(a)は上から見た概略平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 配線基板
1a 絶縁基板
1b 導体配線層
1c 樹脂膜
2 導体パッド
2a 第1の電子部品に接続される導体パッド
2b 第2の電子部品を固定する導体パッド
2c 第2の電子部品の上面に存在する端子とワイヤボンディングにより接続される導体パッド
3 半田パターン
4 第1の電子部品
4a 端子
5 第2の電子部品
5a 端子
6 半田粒
7 ボンディングワイヤ
11 半田箔
13 半田フラックス層
15 貫通孔
17 マスク
20 表面実装モジュール
21 半田層(第1の電子部品を半田付けする)
22 半田層(第2の電子部品を半田付けする)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配線基板の上面に半田ペーストを用いて半田パターンを形成する工程と、(b)第1の電子部品の下面に配設された端子を前記半田パターンの上面に載置するように前記第1の電子部品を配置する工程と、(c)前記第1の電子部品を配置した配線基板をリフロー加熱して前記第1の電子部品の端子を前記配線基板の上面に半田付けして前記第1の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、(d)前記(c)工程で得られた前記第1の電子部品が実装された配線基板を洗浄することなく、半田箔を前記配線基板の上面の前記第1の電子部品が実装された位置との最短距離が1〜10mmとなる位置に載置する工程と、(e)該半田箔の上面に第2の電子部品を載置する工程と、(f)前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して前記半田箔を溶融させて前記第2の電子部品と前記配線基板とを半田付けして前記第2の電子部品を前記配線基板の上面に実装する工程と、を具備する表面実装モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記(d)工程において、前記配線基板と前記半田箔との間を厚みが50〜150μmの半田フラックス層を用いて接着する請求項1記載の表面実装モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記(e)工程において、前記半田箔の上面に前記第2の電子部品を載置したときの上面視で、前記半田箔が前記第2の電子部品よりも10〜500μm幅だけ大きい外周を有する形状である請求項1または2記載の表面実装モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記(d)工程において、前記半田箔が上面視で前記第2の電子部品の外周より内側に貫通孔を有する形状である請求項2または3記載の表面実装モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記(f)工程において、前記半田箔が半田付けされる部分をくり抜いたマスク板を、上面視で前記くり抜いた部分に前記第2の電子部品および前記半田箔が位置するように前記(e)工程で得られた前記第1の電子部品を実装して第2の電子部品を上面に載置した配線基板の上面に載置した状態で、前記半田箔を赤外線照射またはレーザー照射によって加熱して前記半田箔を溶融させて前記第2の電子部品と前記配線基板とを半田付けする請求項1乃至4のいずれか記載の表面実装モジュールの製造方法。
【請求項6】
配線基板と、
端子が形成された第1の電子部品であって、前記端子は前記第1の電子部品の下面側に配置されて前記配線基板の上面に半田付けされているとともに、前記第1の電子部品の前記半田付けされた下面とは反対の上面に半田粒が10個以下の範囲内で付着した第1の電子部品と、
前記第1の電子部品との最短距離が1〜10mm離間した位置に第2の電子部品の下面が半田付けされているとともに、該半田付けされた下面とは反対の上面に半田粒が付着していない第2の電子部品と、を具備する表面実装モジュール。
【請求項7】
前記第1の電子部品を半田付けした半田内にハロゲン元素が塩素換算量で0.02〜0.1原子%の割合で含有されているとともに、前記第2の電子部品を半田付けした半田内のハロゲン元素の含有量が塩素換算量で10ppm以下である請求項6記載の表面実装モジュール。
【請求項8】
前記第2の電子部品に半田付けされている半田層を上面から見た投影像において、前記第2の電子部品を半田付けした半田内に存在するボイドが5面積%以下である請求項6または7記載の表面実装モジュール。
【請求項9】
前記第2の電子部品の下面が全面にわたって半田付けされている請求項6乃至8のいずれか記載の表面実装モジュール。
【請求項10】
前記第2の電子部品の下面に接着されている半田層の厚みが30〜70μmである請求項6乃至9のいずれか記載の表面実装モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−201286(P2007−201286A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19656(P2006−19656)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】