説明

被挿入物の把持・挿入装置および被挿入物の把持・挿入方法

【課題】 被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入するに際して、種々の大きさの被挿入物に対応することができ、簡単な構造により、短時間に、作業能率よく挿入することができる被挿入物の把持・挿入装置を提供する。
【解決手段】 被挿入物を把持して挿入孔に軸心を揃えて挿入するために使用される被挿入物の把持・挿入装置60が、3本以上の把持指65を有し、これらの把持指65は、円周方向に間隔を置いて配置されて、放射方向に進退可能にされ、把持指65の内側面は、被挿入物を把持する把持面とされ、把持指65の外側面は、少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、挿入孔の入口に接触可能にされ、被挿入物把持・挿入装置60の位置を挿入孔の位置にならわせて修正するならい機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、被挿入物の把持・挿入装置に関し、特に被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入するに際して、種々の大きさの被挿入物に対応することができ、簡単な構造により、短時間に、作業能率よく、被挿入物を挿入孔に挿入することができるようにされた被挿入物の把持・挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットなどの機械により、被挿入物を挿入孔に挿入して嵌め合わせを行なう場合、従来は、挿入用の治具を使用したり、ビジョン(二次元視覚装置)により挿入孔の位置を検出したりして、挿入孔と被挿入物の現在位置とのずれの対応をなしている。
【0003】
例えば、挿入用治具が使用される場合(特開昭59−115129号)、図17に図示されるように、挿入用治具01は、挿入孔02より大きな入口を有し、この入口からテーパ形状もしくは緩やかなカーブ形状をなして、入口と反対側にある挿入孔02の入口部と同形状の出口(挿入口)につながっている。
【0004】
このような形状の挿入用治具01は、先ず、挿入孔02を有する物体(例えば、シリンダ)05の挿入孔02の開口部上に、できるだけ挿入孔02と軸心が揃うようにして載置される。このとき、挿入用治具01の軸心と挿入孔02の軸心とは合致していない。この状態で、内方から外方に押し広げられる複数本の指をもった押し広げ装置03を挿入孔02に挿入して、複数本の指を外方に押し広げると、挿入用治具01が移動して、挿入用治具01の軸心と挿入孔02の軸心とが合致することになる(図18参照)。この状態で、挿入用治具01を移動しないように固定する。
【0005】
次いで、被挿入物(例えば、ピストン)04を挿入用治具01のテーパ形状にならわせながら挿入孔02の方向に押し込むことにより、被挿入物04は、挿入用治具01の出口を経て挿入孔02に挿入される(図19参照)。
【0006】
しかしながら、このような従来の挿入用治具01を使用する方法では、孔の形状に応じた挿入用治具01が必要になり、したがって、孔の種類の数だけの挿入用治具01が必要になる。また、押し広げ装置03も必要であり、これによる位置合わせ作業のために、余分の作業時間も必要になる。これらの事情により、3品種を越える多品種混合生産ラインでは、挿入用治具01を使用する方法での対応が困難となる。例えば、多品種混合生産のエンジン組立ラインにおいては、シリンダ孔へのピストン挿入工程を人手による作業で実施している所が多い。
【0007】
他に治具が使用されたものとして、位置検出用治具を移動させ、挿入孔位置を力制御を用いて探索しながらならわせて検出するようにしたもの(特開平4−256526号)があるが、このものは、被挿入物の把持・挿入装置が治具と部品の持ち替えを行なわなければならず、そのために時間がかかり、治具を何度も持ち替える毎に持ち替え誤差が発生するといった難点がある。また、同様のならい機構を利用したものとして、被挿入物自体を挿入孔に接触させてならわせながら挿入孔位置を検出するようにしたもの(特開平5−108108号、特開平8−168927号)があるが、これらは、いずれも被挿入物自体を挿入孔に接触させて位置検出を行なうので、部品の損傷等の問題がある。
【0008】
次に、ビジョン(二次元視覚装置)が使用される場合には、ビジョンにより被挿入物と挿入孔とのずれを検出し、被挿入物を把持・搬送するロボットの位置データを補正して、正しいロボット位置において、被挿入物を挿入孔に押し込み挿入することになるが、ビジョンは比較的高価であり、コストアップの要因になる。
【0009】
また、ビジョンによる計測の精度は、その分解能以上にはならないので、高精度に孔位置を検出するためには、孔を近くからアップして見なければならず、孔が大きい場合には、3台以上のカメラが必要となる。また、精度を高めようとすると、さらにコストがアップする。さらに、ビジョンの座標系とロボットの座標系とを合わせるための校正作業が大変であり、完全に合わせることが不可能であることから、誤差の発生が避けられない。加えて、機械的な変化(重量、衝撃、温度変化等)、照明の変化、孔の光学条件の変化等でも、誤差が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭59−115129号公報
【特許文献2】特開平04−256526号公報
【特許文献3】特開平05−108108号公報
【特許文献4】特開平08−168927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願の発明は、従来の被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入する手段が有する前記のような問題点を解決して、種々の大きさの被挿入物に対応することができ、簡単な構造により、短時間に、作業能率よく、被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入することができるようにされた被挿入物の把持・挿入装置および被挿入物の把持・挿入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の発明は、前記のような課題を解決した被挿入物の把持・挿入装置および被挿入物の把持・挿入方法に係り、その請求項1に記載された発明は、被挿入物を把持して挿入孔に軸心を揃えて挿入するために使用される被挿入物の把持・挿入装置であって、前記把持・挿入装置は、3本以上の把持指を有し、前記把持指は、円周方向に間隔を置いて配置されて、放射方向に進退可能にされ、前記把持指の内側面は、前記被挿入物を把持する把持面とされ、前記把持指の外側面は、少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、前記挿入孔の入口に接触可能にされ、前記3本以上の把持指の各外側面の先端部を前記挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、前記挿入孔の入口と前記把持指の内側面が作る前記把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、前記被挿入物把持・挿入装置の位置を前記挿入孔の位置にならわせて修正するならい機構を備えたことを特徴とする被挿入物の把持・挿入装置である。
【0013】
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、円周方向に間隔を置いて配置された3本以上の複数本の把持指の外側面は、概ね円錐状になり、被挿入物の挿入孔位置を探るのに適した形状になる。この形状により、複数本の把持指の外側面が挿入孔の入口に同じ様に接触させられると、挿入孔位置を正確に検出することが可能になり、検出されたこの位置に把持・挿入装置を固定して、該把持・挿入装置の把持指の内側面が把持する被挿入物を挿入孔に向けて押し込むだけの操作により、被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入することができるようになる。この結果、きわめて簡単な構造により、短時間に、作業能率よく、被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入することができる。なお、この場合には、把持・挿入装置は、挿入孔位置を検出した後、この位置を記憶しておいて、被挿入物の供給場所まで被挿入物を取りに行くことになる。
【0014】
しかも、この把持・挿入装置の把持指は、放射方向に進退可能にされているので、被挿入物の大きさに合わせて把持指を放射方向に進退調節することにより、種々の大きさの被挿入物を把持することができ、種々の大きさの被挿入物に対応することができて、多品種混合生産の物品組立ラインに適する被挿入物の把持・挿入装置を得ることができる。
【0015】
また、この把持・挿入装置は、3本以上の把持指の各外側面の先端部を挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、前記挿入孔の入口と前記把持指の内側面が作る前記把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、前記被挿入物把持・挿入装置の位置を前記挿入孔の位置にならわせて修正するならい機構を備えるので、把持指の外側面を挿入孔方向に前進させるだけの操作で、挿入孔位置の検出が可能になり、挿入孔位置の検出がきわめて容易になる。
【0016】
また、請求項2記載のように請求項1記載の発明を構成することにより、前記把持・挿入装置は、前記把持指と同方向に伸長する一対のL字状の把持アームをさらに有し、前記被挿入物は、ピストンとコンロッドとの組立体とされ、前記挿入孔は、シリンダ孔とされ、
前記把持指は、前記ピストンを把持し、前記一対のL字状の把持アームは、それらのL字の先端で、前記ピストンに組み付けられたコンロッドの大径部側を前記ピストンと軸心を揃えて把持するようにされる。この結果、ピストンとコンロッドとの組立体をシリンダ孔に軸心を揃えて挿入する作業を、きわめて簡単な構造により、短時間に、能率よく行なうことができる。
【0017】
また、その請求項3に記載された発明は、請求項1記載の被挿入物の把持・挿入装置を使用する被挿入物の把持・挿入方法であって、前記3本以上の把持指の各外側面の先端部を前記挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、前記挿入孔の入口と前記把持指の内側面が作る前記把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、前記ならい機構により、前記被挿入物把持・挿入装置の位置を前記挿入孔の位置にならわせて修正して、前記挿入孔の位置を検出し、前記挿入孔の位置が検出された時の前記被挿入物把持・挿入装置の位置を移動量・回転量制御部に記憶させ、前記移動量・回転量制御部に記憶させた位置に、前記被挿入物把持・挿入装置を位置させた状態において、前記被挿入物把持・挿入装置が、その前記3本以上の把持指が把持する前記被挿入物を前記挿入孔に挿入するようにしたことを特徴とする被挿入物の把持・挿入方法である。
【0018】
請求項3に記載された発明は、前記のように構成されているので、その移動量・回転量制御部を使用する方法の発明を実施することにより、前記した、請求項1に記載された発明が奏する効果をさらに能率よく奏することができる。
【発明の効果】
【0019】
本願の発明は、前記のように構成されているので、円周方向に間隔を置いて配置された3本以上の複数本の把持指の外側面は、概ね円錐状になり、被挿入物の挿入孔位置を探るのに適した形状になる。この形状により、複数本の把持指の外側面が挿入孔の入口に同じ様に接触させられると、挿入孔位置を正確に検出することが可能になり、検出されたこの位置に把持・挿入装置を固定して、該把持・挿入装置の把持指の内側面が把持する被挿入物を挿入孔に向けて押し込むだけの操作により、被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入することができるようになる。この結果、きわめて簡単な構造により、短時間に、作業能率よく、被挿入物を挿入孔に軸心を揃えて挿入することができる。
【0020】
しかも、この把持・挿入装置の把持指は、放射方向に進退可能にされているので、被挿入物の大きさに合わせて把持指を放射方向に進退調節することにより、種々の大きさの被挿入物を把持することができ、種々の大きさの被挿入物に対応することができて、多品種混合生産の物品組立ラインに適する被挿入物の把持・挿入装置を得ることができる。
【0021】
また、この把持・挿入装置は、3本以上の把持指の各外側面の先端部を挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、挿入孔の入口と把持指の内側面が作る把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、被挿入物把持・挿入装置の位置を挿入孔の位置にならわせて修正するならい機構を備えるので、把持指の外側面を挿入孔方向に前進させるだけの操作で、挿入孔位置の検出が可能になり、挿入孔位置の検出がきわめて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願の発明の一実施形態(実施形態1)における被挿入物の把持・挿入装置が搭載されるXYZ直交座標ロボットを備える組立ユニットの全体斜視図である。
【図2】同被挿入物の把持・挿入装置の斜視図である。
【図3】同被挿入物の把持・挿入装置と同XYZ直交座標ロボットとの間に介設されるθθθ軸回りの姿勢制御ロボットの斜視図である。
【図4】同被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図5】本願の発明の他の実施形態(実施形態2)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図6】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態3)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図7】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態4)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図8】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態5)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図9】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態6)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図10】図9の実施形態6の変形例を示す図である。
【図11】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態7)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図12】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態8)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図13】同把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【図14】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態9)における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【図15】同把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【図16】本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態10)における被挿入物の把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【図17】従来の挿入用治具を使用して被挿入物を挿入孔に挿入する作業の一工程を示す図である。
【図18】同他の一工程を示す図である。
【図19】同さらに他の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1ないし図4に図示される本願の発明の一実施形態(実施形態1)について説明する。
図1は、本実施形態1における被挿入物の把持・挿入装置が搭載されるXYZ直交座標ロボットを備える組立ユニットの全体斜視図、図2は、被挿入物の把持・挿入装置の斜視図、図3は、被挿入物の把持・挿入装置とXYZ直交座標ロボットとの間に介設されるθθθ軸回りの姿勢制御ロボットの斜視図、図4は、同被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0024】
本実施形態1における被挿入物の把持・挿入装置は、内燃機関の組立工程において、ピストンをシリンダ孔に軸心を揃えて挿入するに際して使用される。図1に図示されるように、ピストンをシリンダ孔に挿入するための組立ユニット1は、そのフロア2の中央にワーク支持台10が設置され、そのフロア2の図1において右側に第1のXYZ直交座標ロボット(以下、第1のロボットという。)20が設置され、また、そのフロア2の図1において左側に第2のXYZ直交座標ロボット(以下、第2のロボットという。)30が設置されている。ワーク支持台10と第1のロボット20との間には、ワーク仮置台40が設けられている。
【0025】
ワーク支持台10は、一方のワークをなすシリンダブロック11を載置するターンテーブル12を上部に有する。第1のロボット20は、シリンダブロック11のシリンダ孔13にピストン62とコンロッド63との組立体(図2参照。以下、単に組立体という。)61を挿入するために、この組立体61をシリンダ孔13の位置まで運ぶ。第2のロボット30は、シリンダ孔13に挿入されるコンロッド63の先端部を把持してガイドする一対の把持アーム31を、シリンダ孔13の反対側の開口を通ってその内部まで運ぶ。ワーク仮置台40には、他方のワークをなす組立体61が複数個係架されて、シリンダ孔13に挿入される作業のために待機している。シリンダブロック11は4気筒用のものであり、シリンダ孔13は4個あり、これに対応させて、組立体61も4個用意されている。
【0026】
組立体61は、図2に図示されるように、被挿入物把持・挿入装置60により把持され、この被挿入物把持・挿入装置60は、図3に図示されるように、組立体61の軸心回りの軸ぶれや、回転ぶれを修正するために、θθθ3軸の各軸回りにモータ51、52、53をそれぞれ備えた姿勢制御ロボット50により支持されている。この姿勢制御ロボット50は、さらに、図1に図示されるように、第1のロボット20のY軸に固定的に取り付けられることにより、第1のロボット20により支持されている。
【0027】
次に、被挿入物把持・挿入装置60の構造について説明する。
被挿入物把持・挿入装置60は、図2に図示されるように、そのベース部64から図2において左下方向に突出する6本のピストン把持指65を有している。これら6本のピストン把持指65は、円周方向に等間隔に配置され、放射方向に進退可能にされており、その内側面は、ピストン62を把持する把持面とされ、その外側面は、少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、6本のピストン把持指65の全ての外側面が合わさって作られる形状が先端に行くに従い窄まるテーパ状(先細り状)にされて、第1のロボット20側に向かって開口するシリンダ孔13の入口に接触可能な構造にされている。図示される実施形態においては、把持指65の長さ方向の過半にわたって、その先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されている。各ピストン把持指65の外側面のテーパ形状は、1つの円錐面(仮想)上に整列している。ピストン把持指65の数は、3本以上とされる。なお、これらのピストン把持指65は、円周方向に間隔を置いて配置されればよいが、望ましくは、円周方向に等間隔に配置される。
【0028】
ピストン把持指65をベース部64上で放射方向に進退可能にする機構は、周知のものであり、図示を省略するが、各ピストン把持指65の脚部の裏面にはピンが突出させられており、このピンがならうカム溝が形成されたカム板が、ベース部64の内部に収容されている。そこで、このカム板が正逆回転すると、ピンがカム溝中を相対的に往復動して、該ピンと一体のピストン把持指65が放射方向に進退動する。カム板の回転は、モータ66により行なわれる。
【0029】
ベース部64には、また、エアチャック67が一体に取り付けられており、このエアチャック67からは、一対のコンロッド把持アーム68がピストン把持指65と同方向に伸長している。このコンロッド把持アーム68はL字状をなし、そのL字の先端で、ピストン62に組み付けられたコンロッド63の大径部側をピストン62と軸心を揃えて把持する。この一対のコンロッド把持アーム68は、エアチャック67に供給される空気圧の連通、遮断により、互いに接近もしくは離反する方向に揺動する。そして、互いに接近する方向に揺動するとき、コンロッド63の大径部側を把持する。
【0030】
ベース部64の図2において裏側には、力センサー69が一体に取り付けられている。この力センサー69は、シリンダ孔13の位置を検出するために6本のピストン把持指65の各外側面がシリンダ孔13の入口に押圧接触させられたとき(図4参照)、各ピストン把持指65がシリンダ孔13から受ける反力の合力の大きさと方向とを検出する。この反力の合力Fは、XYZ軸方向の力成分F、F、Fと、θθθ軸回りの回転力成分FθX 、FθY 、FθZ とからなる。したがって、各ピストン把持指65がシリンダ孔13から受ける反力の合力Fは、 F=F(F、F、F、FθX 、FθY 、FθZ )と表すことができる。
【0031】
力成分F、F、FθX 、FθY 、FθZ が存在することは、シリンダ孔13と6本のピストン把持指65の外側面が作る仮想円錐面もしくは6本のピストン把持指65の内側面が作る仮想円筒面(把持面)との間に相対的な位置ずれが生じていることを示している。そこで、検出の結果、これらの力成分F、F、FθX 、FθY 、FθZ が存在することが判明すれば、これらの力成分が解消されるように、つまり、Y軸方向の力成分Fのみが残るように、6本のピストン把持指65を有する被挿入物把持・挿入装置60の位置が、第1のロボット20によるXZ軸方向の移動量制御および姿勢制御ロボット50によるθθθ軸回りの回転量制御により、繰り返し修正される。
【0032】
このようにして、被挿入物把持・挿入装置60の位置が、シリンダ孔13の位置にならって繰り返し修正されて、前記力成分が解消されたか、ほとんど解消されたときの被挿入物把持・挿入装置60の位置をもって、シリンダ孔13の正確な位置とすることができる。このとき、6本のピストン把持指65の各外側面が整列する1つの円錐面の軸心および各内側面が整列する1つの円筒面の軸心は、シリンダ孔13の軸心に揃っている。このときの被挿入物把持・挿入装置60の位置は、記憶される。
【0033】
被挿入物把持・挿入装置60の6本のピストン把持指65、第1のロボット20および姿勢制御ロボット50は、前記のように作用するので、これらは、相合わさって、シリンダ孔13の位置を検出するためのならい機構を構成しているということができる。
【0034】
このようなシリンダ孔13の位置検出方法は、シリンダ孔13の被挿入物把持・挿入装置60に対する相対的な位置ずれ量および回転ずれ量を電気的値として検出して、これらのずれ量が解消されるように、第1のロボット20および姿勢制御ロボット50の各コントローラに命じて、被挿入物把持・挿入装置60をXZ平面内で移動させ、あるいはXYZ回転軸回りに回転させる方法であり、電気的方法であるが、このような電気的方法に代えて、機械的方法を採用することができる。
【0035】
このような機械的方法として、フローティング機構を用いる方法がある。この方法によれば、電気的方法における力センサー69に代えて、フローティング機構が使用される。この場合、被挿入物把持・挿入装置60の先端部、すなわち、該被挿入物把持・挿入装置60が有する6本のピストン把持指65の各先端部がシリンダ孔13の入口に押圧接触させられて、次いで、わずかに前後方向(Y軸方向、すなわち、シリンダ孔13の軸心と平行な方向)に移動されると、該フローティング機構が作用して、該被挿入物把持・挿入装置60がXZ平面内で摺動し、自動的に位置合わせができるようになっている。
【0036】
被挿入物把持・挿入装置60は、図2および図3に図示されるように、その力センサー69の後部から突出する取付け腕部70が姿勢制御ロボット50の第3フレーム54に回転可能に取り付けられることにより、姿勢制御ロボット50に吊持されている。この第3フレーム54には、モータ51が固定されており、このモータ51の回転軸は、取付け腕部70に相対回転不能に連結されるので、被挿入物把持・挿入装置60は、このモータ51によりθ軸回りに回転可能である。第3フレーム54は、モータ52によりθ軸回りに回転可能に第2フレーム55に吊持されている。
【0037】
第2フレーム55は、モータ53によりθ軸回りに回転可能に第1フレーム56に吊持されている。第1フレーム56は、第1のロボット20のY軸に固定されている。このようにして、姿勢制御ロボット50が、第1のロボット20により支持されている。
【0038】
以上のような被挿入物把持・挿入装置60の姿勢制御ロボット50による吊持および姿勢制御ロボット50の第1のロボット20による支持により、前記したシリンダ孔13のならい機構を利用した位置検出および後述する組立体61のシリンダ孔13への軸心を揃えた挿入が可能になる。
【0039】
次に、被挿入物把持・挿入装置60、姿勢制御ロボット50および第1、第2のロボット20、30の作用について、さらに詳細に説明する。
前記のようにして、シリンダ孔13の位置が検出されると、シリンダ孔13の軸心と6本のピストン把持指65の各外側面が整列する1つの円錐面もしくは各内側面が整列する1つの円筒面の軸心とが揃っていて、このときの被挿入物把持・挿入装置60の位置(XYZ軸上の位置およびθθθ軸回りの回転位置)は記憶されているので、次いで、第1のロボット20は、このシリンダ孔13の位置検出位置を離れ、被挿入物把持・挿入装置60をワーク(ピストン)仮置台40の位置まで搬送する。
【0040】
このとき、6本のピストン把持指65の各外側面が整列する1つの円錐面の軸心は鉛直にされ、6本のピストン把持指65は、ワーク仮置台40に係架された特定のピストン62の真上に位置するように移動させられるので、6本のピストン把持指65を第1のロボット20によりさらに下方移動させ、モータ66を回転させてこれらのピストン把持指65を放射方向に進退動させることにより、これらのピストン把持指65は、ピストン62を把持することができる。ピストン62にはコンロッド63が一体に組み付けられているので、これらのピストン把持指65がピストン62を把持するとき、一対のコンロッド把持アーム68がコンロッド63をピストン62と軸心を揃えて把持する。
【0041】
このようにして、6本のピストン把持指65が特定のピストン62を把持すると、第1のロボット20は、先に記憶されたXZ軸上の位置まで被挿入物把持・挿入装置60を搬送し、さらに、姿勢制御ロボット50は、先に記憶されたθθθ軸回りの回転位置まで被挿入物把持・挿入装置60を回転させて、組立体61をシリンダ孔13に挿入する作業の開始に備える。
【0042】
次いで、第1のロボット20が、6本のピストン把持指65がシリンダ孔13の入口端面に当接するまで被挿入物把持・挿入装置60をY軸に沿って搬送して、組立体61をコンロッド63の先端部からシリンダ孔13内に挿入する。そうすると、シリンダ孔13の反対側の開口からその内部に移動させられて待機している一対の把持アーム31がコンロッド63の先端部を把持し、次いで、一対のコンロッド把持アーム68がコンロッド63を解放して後退し、同時に一対の把持アーム31も後退する。これにより、ピストン62がシリンダ孔13内に引き込まれて、シリンダ孔13に挿入される。
【0043】
前記のようにして、6本のピストン把持指65がシリンダ孔13の入口端面に当接したとき、これらのピストン把持指65の内側面は、シリンダ孔13の内周面と面一にされており、これらのピストン把持指65の内側面が作る円筒面の軸心は、シリンダ孔13の軸心に揃っているので、ピストン62はスムースにシリンダ孔13に挿入される。
以上のような作業が、複数のシリンダ孔13の各々について繰り返される。
【0044】
本実施形態1は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入するために使用される被挿入物の把持・挿入装置60が、6本のピストン把持指65を有し、これらのピストン把持指65は、円周方向に等間隔に配置されて、放射方向に進退可能にされ、これらのピストン把持指65の内側面は、ピストン62を把持する把持面とされ、これらのピストン把持指65の外側面は、それぞれ少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、シリンダ孔13の入口に接触可能にされている。
【0045】
この結果、円周方向に等間隔に配置された6本のピストン把持指65の外側面は、概ね円錐状になり、ピストン62の挿入孔(シリンダ孔13)の位置を探るのに適した形状になる。この形状により、6本のピストン把持指65の外側面がシリンダ孔13の入口に同じ様に接触させられると、シリンダ孔13の位置を正確に検出することが可能になり、検出されたこの位置に被挿入物把持・挿入装置60を固定して、6本のピストン把持指65の内側面が把持するピストン62をシリンダ孔13に向けて押し込む(引き込む)だけの操作により、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができるようになる。これにより、きわめて簡単な構造により、短時間に、作業能率よく、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができる。
【0046】
しかも、この被挿入物把持・挿入装置60の6本のピストン把持指65は、放射方向に進退可能にされているので、ピストン62の大きさに合わせて把持指65を放射方向に進退調節することにより、種々の大きさのピストン62を把持することができ、種々の大きさのピストン62に対応することができて、多品種混合生産のエンジン組立ラインに適する被挿入物の把持・挿入装置60を得ることができる。
【0047】
また、把持・挿入装置60は、6本のピストン把持指65の外側面がシリンダ孔13の入口に接触するとき、これらのピストン把持指65の外側面が作る円錐面の軸心がシリンダ孔13の軸心に揃うようにならうならい機構を備えるようにされているので、これらのピストン把持指65の外側面をシリンダ孔13方向に前進させるだけの操作で、シリンダ孔13の位置の検出が可能になり、シリンダ孔13の位置検出がきわめて容易である。
【0048】
また、組立ユニット1は、被挿入物把持・挿入装置60をシリンダ孔13の位置まで搬送するとともに、ピストン62がシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入されるように該被挿入物の把持・挿入装置60の姿勢を制御するロボットを具備しているので、シリンダ孔13の位置検出のための被挿入物把持・挿入装置60のならい制御、被挿入物把持・挿入装置60のシリンダ孔13位置までの搬送および被挿入物把持・挿入装置60のシリンダ孔13に対する姿勢制御を、ロボットを利用して自動的に行なうことができる。
【0049】
次に、図5に図示される本願の発明の他の実施形態(実施形態2)について説明する。
図5は、本実施形態2における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0050】
本実施形態2における被挿入物の把持・挿入装置60においては、6本のピストン把持指65の各外側面は、その先端部65a にテーパが付されておらず、1つの円筒面(仮想)上に整列していて、この円筒面の軸心とシリンダ孔13の軸心とが平行に並んだとき、シリンダ孔13の内周面と平行な面になり得るような形状に形成されている。このため、6本のピストン把持指65がそれぞれ放射方向に後退動させられたときには、これら6本のピストン把持指65の各外側面の先端部65a は、シリンダ孔13の入口部内周面に接触可能である。
本実施形態2は、以上の点で実施形態1と異なっているが、その他の点で実施形態1と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態2は、前記のように構成されているので、6本のピストン把持指65の各外側面の先端部65a がシリンダ孔13の入口部内周面に接触したとき、その接触圧が6本のピストン把持指65間でどのようにばらつくかを、実施形態1における力センサー69と同様の力センサーを用いて検出することにより、シリンダ孔13の位置検出が可能である。その他、実施形態1と同様の効果を奏することができる。なお、本実施形態2において、シリンダ孔13の位置検出には、フローティング機構を用いる機械的方法が最適である。
【0052】
次に、図6に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態3)について説明する。
図6は、本実施形態3における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0053】
本実施形態3における被挿入物の把持・挿入装置60においては、挿入孔(シリンダ孔13)の位置検出機能と被挿入物(ピストン62)の把持・挿入機能とが2つの部材に分離付与されている点で、実施形態1と異なっている。すなわち、ピストン把持指65の内側面は、ピストン62を把持する把持面とされるが、その外側面は、シリンダ孔13の位置検出に与らず、これに与るのは、ピストン把持指65とは別体の孔位置検出指71である。
【0054】
この孔位置検出指71は、ピストン把持指65と同数の6本設けられ、円周方向に等間隔に配置されて、その基端部がピストン把持指65の先端部に枢支され、この基端枢支部を中心に内外方向に揺動可能である。そして、その外側面の少なくとも先端部71a は、実施形態1におけるピストン把持指65の外側面と同様に、先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、シリンダ孔13の入口部内周面に接触可能にされている。
【0055】
本実施形態3におけるピストン把持指65と孔位置検出指71とは、これらが合わさって、実施形態1におけるピストン把持指65と同様に作用する。実施形態1におけるピストン把持指65は、本実施形態3におけるピストン把持指65と孔位置検出指71とが一体化されたものに相当する。孔位置検出指71がシリンダ孔13の位置検出の役割をなした後には、孔位置検出指71は外方に揺動されるので、ピストン62がシリンダ孔13に挿入される妨げとなることはない。
本実施形態2は、以上の点で実施形態1と異なっているが、その他の点で実施形態1と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態3は、前記のように構成されているので、その被挿入物把持・挿入装置60は、ピストン把持指65がピストン62を把持したまま、孔位置検出指71がシリンダ孔13の位置検出の役割を果たすことができ、シリンダ孔13の位置が検出された後、被挿入物であるピストン62の仮置き場所までピストン62を取りに行く必要がない。この結果、実施形態1と比較して、さらに短時間に、さらに作業能率よく、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができる。
【0057】
また、孔位置検出指71の基端部は、ピストン把持指65の先端部に枢支されるので、ピストン把持指65の内側面が把持するピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入するのに、孔位置検出指71とピストン把持指65との間の機械的誤差のみが問題となり、この誤差は非常に小さくて、容易に補正可能であるので、ピストン62をシリンダ孔13により正確に軸心を揃えて挿入することができる。その他、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0058】
次に、図7に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態4)について説明する。
図7は、本実施形態4における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0059】
本実施形態4における被挿入物の把持・挿入装置60においては、6本の孔位置検出指71の各基端部が、ベース部64の外周部に枢支されている。
本実施形態4は、以上の点で実施形態3と異なっているが、その他の点で実施形態3と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態4は、前記のように構成されているので、実施形態3と比較して、孔位置検出指71をより堅固且つ安定的に枢支することができる。その他、実施形態3と略同様の効果を奏することができる。
【0061】
次に、図8に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態5)について説明する。
図8は、本実施形態5における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0062】
本実施形態5における被挿入物の把持・挿入装置60においては、実施形態4における6本の孔位置検出指71のうちの2本が、コンロッド63を把持する手段である一対のコンロッド把持アーム68(図2参照)を兼用するように改変されている。
【0063】
そのために、これら2本の孔位置検出指71には、シリンダ孔13の位置検出のためにテーパ状にされた外側面先端部71a がある部分よりも内方に、コンロッド63に届く延長部71b が形成されている。なお、残りの4本の孔位置検出指71は、延長部71b を有せず、この延長部71b を除いた前記2本の孔位置検出指71と同形状にされている。
本実施形態5は、以上の点で実施形態4と異なっているが、その他の点で実施形態4と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態5は、前記のように構成されているので、一対のコンロッド把持アーム68を、孔位置検出指71とは異なる別部材を使用することなく、きわめて簡単に構成することができる。その他、実施形態4と同様の効果を奏することができる。
【0065】
なお、本実施形態5において、一対のコンロッド把持アーム68に兼用されるのは、2本の孔位置検出指71に限定されず、4本が左右2本ずつに分けられて、その左右の組の対が、それに兼用されるようにされてもよい。また、一対のコンロッド把持アーム68の各々に1本もしくは2本の孔位置検出指71が取り付けられるようにされてもよい。
【0066】
次に、図9に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態6)について説明する。
図9は、本実施形態6における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0067】
本実施形態6における被挿入物の把持・挿入装置60においては、被挿入物であるピストン62を挿入孔であるシリンダ孔13の方向に押す押し機構72が具備されている。この押し機構72は、ベース部64のピストン把持指65が設けられる側に固定されていて、シリンダ73と該シリンダ73から突出するプランジャ74とを備え、このプランジャ74が空気圧もしくは液圧により押されてシリンダ73から突出することにより、ピストン62がシリンダ孔13の方向に押されて、該シリンダ孔13に挿入される。なお、この押し機構72は、電気的に構成されてもよい。
【0068】
本実施形態6における押し機構72は、実施形態1〜5のいずれにも適用可能である。本実施形態6は、これらの実施形態と比較して、他に特に異なる点はないので、さらに詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態6は、前記のように構成されているので、シリンダ孔13の位置が検出されて、6本のピストン把持指65がピストン62を把持し、これらのピストン把持指65の内側面が作る円筒面(仮想)の軸心とシリンダ孔13の軸心とが揃うと、直ぐに該ピストン62をシリンダ孔13に押し込むことが可能になり、一層短時間に、一層作業能率よく、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができる。また、ピストン62をシリンダ孔13に押し込むのに、第1のロボット20のY軸が使用されないので、ピストン把持指65を略静止させた状態で、ピストン62をシリンダ孔13に精度よく挿入することができる。
【0070】
なお、ピストン62をシリンダ孔13に押し込むに際しては、ピストン把持指65が放射方向にわずかに後退させられて、6本のピストン把持指65がピストン62を把持する力がわずかに弱められる。これにより、ピストン62は、6本のピストン把持指65の内側面が作る円筒面を摺動しながらシリンダ孔13の方向に向けて移動するので、ピストン62に傷などのダメージが残ることがなく、姿勢が崩れることもなく、スムースにシリンダ孔13に挿入される。その他、実施形態1〜5と同様の効果を奏することができる。
【0071】
図10は、実施形態6の変形例を示す。本変形例においては、ピストン62が、その外周面にピストンリング75を備えている。このピストンリング75は、ピストン62の外周面に形成された環状溝に嵌装されており、ばね性を持っているので、ピストン把持指65の戻し量(後退量)を調節することにより、ピストンリング75がピストン把持指65の内側把持面を摺動するのに最適な接触力を容易に得ることができる。
【0072】
次に、図11に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態7)について説明する。
図11は、本実施形態7における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図である。
【0073】
本実施形態7における被挿入物の把持・挿入装置60においては、シリンダ孔13の入口に面取り76が施されており、6本のピストン把持指65の各先端部には、該面取り76部を埋めることができる突起部77が突出形成されている。したがって、6本のピストン把持指65に把持されたピストン62がシリンダ孔13に挿入されるとき、6本のピストン把持指65の各先端がシリンダ孔13の入口端面に当接すると、この当接位置において、突起部77が面取り76部を丁度埋めることができる。
【0074】
本実施形態7におけるシリンダ孔13の入口の面取り構造およびこの面取り部を埋めることができるピストン把持指65の先端部の突起部構造は、実施形態1〜6のいずれにも適用可能である。特に実施形態1のように、ピストン把持指65の外側面の先端部にすでにテーパが付されている場合には、このテーパ部構造を前記突起部構造に利用することができる(図11の鎖線参照)。本実施形態7は、これらの実施形態と比較して、他に特に異なる点はないので、さらに詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施形態7は、前記のように構成されているので、ピストン62のシリンダ孔13への挿入時、面取り76部に断面楔状の連続的な環状凹所(溝)が形成されることがない。この結果、ピストン62の前端角部がこの環状凹所に引っ掛かることがなく、ピストン62がスムースにシリンダ孔13に挿入される。特にピストン62が前記変形例のようにピストンリング75を備える場合には、ピストン62に対して独立的に挙動し得るピストンリング75がこの環状凹所に落ち込むようなことがないので、特に効果が大きい。
【0076】
次に、図12および図13に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態8)について説明する。
図12は、本実施形態8における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図、図13は、同把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【0077】
本実施形態8における被挿入物の把持・挿入装置60は、実施形態1、6および7における各被挿入物の把持・挿入装置60の構造を合体させた上に、把持指の内側面にも先端に行くに従い内方に向かうテーパを付した構造を組み合わせた構造を備えている。
【0078】
したがって、本実施形態8における被挿入物の把持・挿入装置60を実施形態1におけるそれと比較すると、前者は、図12および図13に図示されるように、ピストン(被挿入物)62をシリンダ孔(挿入孔)13の方向に押す押し機構72をさらに有し、また、その把持指65の内側面は、先端に行くに従い内方に向かうテーパが付された部分78を有して、ピストン62を把持する把持面とされている。さらに、シリンダ孔13の入口は、面取り76がされ、把持指65の外側面の先端(先端部のさらに先端の部分)は、ピストン62がシリンダ孔13に挿入されるとき(図13g、h参照)、該面取り76部に隙間無く丁度当接することができるようにされている。
本実施形態8は、以上の点で実施形態1と異なっているが、その他の点で実施形態1と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0079】
次に、本実施形態8の作用を、被挿入物の把持・挿入装置60が縦置きにして使用される場合を例にとって、説明する。
本実施形態8においては、把持・挿入装置60がシリンダ孔13の位置を検出するとき、その把持指65の内側面は、すでにピストン62を把持している。
【0080】
このように、把持指65がすでにピストン62を把持している把持・挿入装置60を、図13aに図示されるように、先ず、前進(降下)させて、把持指65の外側面の先端部のテーパが付された部分をシリンダ孔13の入口の面取り76部の片方側に接触させる。次いで、把持・挿入装置60をさらに前進させて、把持指65の外側面の先端部を面取り76部にならわせ、同時に、ベース部64を把持指65と一体に、ならい機構をなすフローティング機構69の作動により、図13において右方に順次移動させる(図13b〜d)。このようにして、把持・挿入装置60をさらに前進させることができなくなったとき、6本の把持指65の全ての外側面の先端部が面取り76部に隙間無く接触していて、シリンダ孔13の位置検出(把持・挿入装置60の水平位置出し)が終了している(図13d)。
【0081】
次いで、把持・挿入装置60を、把持指65の先端がシリンダ孔13の内部に面取り76部の縦方向(シリンダ孔13の軸心方向)長さだけ進入した位置まで後退(上昇)させて、把持・挿入装置60の垂直位置出しを終了する(図13e)。次いで、押し機構72のプランジャを伸長させて、ピストン62を押し、該ピストン62をして把持指65の内側面のテーパ部分78を滑らせる。これにより、把持指65の外側面の先端が放射方向外方に順次押し広げられて(図13f〜h)、ピストン62がそこの広げられた通路(ピストン挿入路)を通過することができるようになり、ピストン62が把持指65から離脱、落下することなく、テーパが付された部分にガイドされながら、ピストン62をシリンダ孔13に確実かつ円滑に挿入することができる。このとき、把持指65の外側面の先端は、面取り76部に隙間無く丁度当接している。
【0082】
本実施形態8は、前記のように構成されており、前記のように作用するので、その被挿入物の把持・挿入装置60は、ピストン62の供給場所までピストン62を取りに行く必要がなくなり、把持指65の内側面がピストン62を把持したまま、シリンダ孔13の位置検出を行なうことができ、さらに短時間に、さらに作業能率よく、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができ、エンジン組立ラインにおける生産性の向上に寄与することができる。また、ピストン62の供給場所までピストン62を取りに行く必要をなくすために、ピストン62の把持指65とは別に特別の孔位置検出指(実施形態3参照)を設ける必要もなく、把持・挿入装置60の構造を複雑化することがない。
【0083】
さらに、ならい機構には機械的なフローティング機構69が使用されているので、複雑な力制御を用いない簡易な被挿入物の把持・挿入装置60として、低コストの装置を提供することができる。その他、実施形態1、6および7と同様の効果を奏することができる。
【0084】
次に、図14および図15に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態9)について説明する。
図14は、本実施形態9における被挿入物の把持・挿入装置の要部構造をモデル化して示す説明図、図15は、同把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【0085】
本実施形態9における被挿入物の把持・挿入装置60は、実施形態8におけるそれと比較すると、挿入孔の位置検出や把持・挿入装置60の位置決めの機能を担う把持指65の外形面形状が異なっている。すなわち、実施形態8においては、実施形態1におけると同様、把持指65の外側面は、少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、シリンダ孔13の入口に接触可能にされていたのに対して、本実施形態9においては、把持指65の端面は、その内周縁近傍部分を除く部分(以下、平坦部分という。)が平坦にされて、シリンダ孔13の入口を囲む壁面に当接可能にされ、かつ、その内周縁近傍部分に先端に行くに従い内方に向かうテーパ80が付されて、シリンダ孔13の入口に接触可能にされている。そして、その把持指65の外側面は、略円弧面をなしていて、端面に直角に連なり、特に挿入孔の位置検出や把持・挿入装置60の位置決めに与っていない。
【0086】
これに伴い、本実施形態9においては、把持指65の端面の内周縁近傍部分が、ピストン62がシリンダ孔13に挿入されるとき(図15f、g参照)、面取り76部に隙間無く丁度当接することができるようにされており、また、把持指65の端面の内周縁近傍部分がシリンダ孔13の入口に接触するとき、6本の把持指65の全ての端面の内周縁近傍部分が作る円錐面の軸心がシリンダ孔13の軸心に揃うようにならうようにされている。
本実施形態9は、以上の点で実施形態8と異なっているが、その他の点で実施形態8と異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0087】
次に、本実施形態9の作用を、被挿入物の把持・挿入装置60が縦置きにして使用される場合を例にとって、説明する。
本実施形態9の作用は、実施形態8の作用と比較すると、把持・挿入装置60による挿入孔の位置検出(把持・挿入装置60の水平位置出し)と、被挿入物の挿入孔への挿入時における把持・挿入装置60の位置決め(把持・挿入装置60の垂直位置出し)との両作業の順序と具体的態様とが異なっている。
【0088】
すなわち、先ず、両作業の順序について、実施形態8においては、最初に把持・挿入装置60によるシリンダ孔13の位置検出(把持・挿入装置60の水平位置出し)が行なわれ、次いで、ピストン62のシリンダ孔13への挿入時における把持・挿入装置60の位置決め(把持・挿入装置60の垂直位置出し)が行なわれたのに対して、本実施形態9においては、この順序が逆にされている。
【0089】
本実施形態9においては、図15aに図示されるように、把持指65がすでにピストン62を把持している把持・挿入装置60を、最初に前進(降下)させて、把持指65の端面の平坦部分79をシリンダ孔13の入口を囲む壁面に当接させる。これにより、把持・挿入装置60の垂直位置出しが終了する(図15b)。次いで、押し機構72のプランジャを伸長させて、ピストン62を押し、該ピストン62をして把持指65の内側面のテーパ部分78を滑らせる。これにより、把持指65の先端(端面の内周縁近傍部分のテーパ部80)を放射方向外方に、6本の把持指65の全てについて等量ずつ、順次押し広げて、把持指65の先端を面取り76部にならわせ、同時に、ベース部64を把持指65と一体に、ならい機構をなすフローティング機構69の作動により、図15において右方に順次移動させる(図15c〜e)。
【0090】
このようにして、把持指65の先端が放射方向外方に押し広げられて形成される広げられた通路(ピストン挿入路)を、ピストン62が通過することができるようになるとともに、6本の把持指65の全ての端面の内周縁近傍部分のテーパ部80が面取り76部に接触して、シリンダ孔13の位置検出(把持・挿入装置60の水平位置出し)が終了する(図15e)。
【0091】
次いで、押し機構72のプランジャをさらに伸長させて、ピストン62を押せば、ピストン62が把持指65から離脱、落下することなく、ピストン62をシリンダ孔13に挿入することができる。このとき、把持指65の端面の内周縁近傍部分のテーパ部80は、面取り76部に隙間無く丁度当接している。
【0092】
本実施形態9は、前記のように構成されており、前記のように作用するので、被挿入物の把持・挿入装置60がシリンダ孔13の位置を検出するに際して、把持指65の端面の平坦部分79を、該把持・挿入装置60をシリンダ孔13の軸心方向に位置決めする面として作用させることができ、該把持・挿入装置60をこの方向に静止させることができて、軸心のぶれも解消されるので、これらが相俟ってシリンダ孔13の位置の検出精度を向上させることができる。また、シリンダ孔13の位置検出とピストン62のシリンダ孔13への挿入とを同時に行なうことができるので、さらに短時間に、さらに作業能率よく、ピストン62をシリンダ孔13に軸心を揃えて挿入することができる。その他、実施形態1、6および7と同様の効果を奏することができる。その他、実施形態8と同様の効果を奏することができる。
【0093】
次に、図16に図示される本願の発明のさらに他の実施形態(実施形態10)について説明する。
図16は、本実施形態10における被挿入物の把持・挿入装置の一連の作動状態を順を追って示す図である。
【0094】
本実施形態10における被挿入物の把持・挿入装置60は、実施形態8および9におけるそれらと比較すると、押し機構72が、被挿入物(ピストン62)を吸着する吸着機能を備えるようにされている点において異なっている。このために、その押し機構72を構成するプランジャには、詳細には図示されないが、真空源に連通する通孔が形成されている。
【0095】
本実施形態10は、前記のように構成されているので、その作用は、実施形態8および9におけるそれらと比較すると、次のように異なっている。
実施形態8を比較例にして説明すると、実施形態8においては、図13f以降の作動において、押し機構72のプランジャを伸長させて、ピストン62を押し、該ピストン62をして把持指65の内側面のテーパ部分78を滑らせ、これにより、把持指65の先端を放射方向外方に順次押し広げ、ピストン62がそこの広げられた通路(ピストン挿入路)を通過することができるようにして、ピストン62が把持指65から離脱、落下することなく、ピストン62をシリンダ孔13に挿入することができるようにされたが、本実施形態10においては、把持指65の先端の放射方向外方への拡張は、把持指65を放射方向に進退可能に保持するベース部64の作動により行なわれる。
【0096】
このベース部64の作動により、把持指65の先端が放射方向外方に押し広げられたとき、ピストン62は、把持指65による把持から開放されるが、押し機構72のプランジャがピストン62を吸着しているので、ピストン62が把持・挿入装置60から離脱、落下することはない(図16f)。そして、ベース部64の引き続く作動により、把持指65の先端が面取り76部に当接するまで放射方向外方に押し広げられたら、押し機構72のプランジャを伸長させて、ピストン62を順次押していけば、ピストン62をシリンダ孔13に挿入することができる(図16f〜h)。なお、この際、ピストン62をして把持指65の内側面のテーパ部分78を最後のわずかな距離だけ滑らせるように、ベース部64の作動による把持指65の先端の押し広げの程度を調節しておけば、テーパ部分78にピストン62のシリンダ孔13への挿入のガイドをさせることができるので、好ましい。
【0097】
次に、実施形態9を比較例にして説明すると、実施形態9においては、図15c以降の作動において、押し機構72のプランジャを伸長させて、ピストン62を押し、該ピストン62をして把持指65の内側面のテーパ部分78を滑らせ、これにより、把持指65の先端(端面の内周縁近傍部分のテーパ部80)を放射方向外方に順次押し広げ、ピストン62がそこの広げられた通路(ピストン挿入路)を通過することができるようにするとともに、シリンダ孔13の位置検出をして、ピストン62が把持指65から離脱、落下することなく、ピストン62をシリンダ孔13に挿入することができるようにされたが、本実施形態10においては、把持指65の先端の放射方向外方への拡張は、把持指65を放射方向に進退可能に保持するベース部64の作動により行なわれる。
【0098】
ベース部64の作動、押し機構72の作動、およびこれらの作動に基づくピストン62のシリンダ孔13への挿入の態様は、実施形態8を比較例にして説明したところから十分に理解されるところであるので、詳細な説明を省略する。
【0099】
本実施形態10は、前記のように構成されており、前記のように作用するので、被挿入物の把持・挿入装置60がシリンダ孔13の位置を検出するに先立って、把持指65の内側面がピストン62をすでに把持していたとしても、ピストン62の通過のためやシリンダ孔13の位置検出のために把持指65の先端が放射方向外方に押し広げられたとき、押し機構72のプランジャがピストン62を吸着しているので、ピストン62が把持・挿入装置60から離脱、落下することが全くなく、ピストン62をシリンダ孔13に確実に挿入することができる。しかも、ピストン62が押し機構72に押されて、把持指65の内側面のテーパ部分78を滑らせられることも少なくなるので、ピストン62が傷付くこともない。
【0100】
本実施形態1〜10において、ピストン把持指65の本数はいずれも6本とされたが、これに限定されず、3本以上であればよい。特に孔位置検出指71が別途設けられる場合には、最小の本数でよく、把持面が広い場合には、2本とされるのも不可能なことではない。
【0101】
また、本実施形態1〜7において、ピストン62は、水平方向からシリンダ孔13に挿入されるようにされたが、これに限定されず、垂直方向上側からこれに挿入されるようにされてもよい。その他、本願の発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…組立ユニット、2…フロア、10…ワーク支持台、11…シリンダブロック、12…ターンテーブル、13…シリンダ孔、20…第1のロボット、30…第2のロボット、31…コンロッド把持アーム、32…、40…ワーク仮置台、50…姿勢制御ロボット、51〜53…モータ、54…第3フレーム、55…第2フレーム、56…第1フレーム、60…被挿入物把持・挿入装置、61…組立体、62…ピストン、63…コンロッド、64…ベース部、65…ピストン把持指、65a …先端部、66…モータ、67…エアチャック、68…コンロッド把持アーム、69…ならい機構(力センサー、フローティング機構)、70…取付け腕部、71…孔位置検出指、71a …先端部、71b …延長部、72…押し機構、73…シリンダ、74…プランジャ、75…ピストンリング、76…面取り、77…突起部、78…テーパ部分、79…平坦部、80…テーパ(部)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被挿入物を把持して挿入孔に軸心を揃えて挿入するために使用される被挿入物の把持・挿入装置であって、
前記把持・挿入装置は、3本以上の把持指を有し、
前記把持指は、円周方向に間隔を置いて配置されて、放射方向に進退可能にされ、
前記把持指の内側面は、前記被挿入物を把持する把持面とされ、
前記把持指の外側面は、少なくともその先端部に先端に行くに従い内方に向かうテーパが付されて、前記挿入孔の入口に接触可能にされ、
前記3本以上の把持指の各外側面の先端部を前記挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、前記挿入孔の入口と前記把持指の内側面が作る前記把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、前記被挿入物把持・挿入装置の位置を前記挿入孔の位置にならわせて修正するならい機構を備えた
ことを特徴とする被挿入物の把持・挿入装置。
【請求項2】
前記把持・挿入装置は、前記把持指と同方向に伸長する一対のL字状の把持アームをさらに有し、
前記被挿入物は、ピストンとコンロッドとの組立体とされ、
前記挿入孔は、シリンダ孔とされ、
前記把持指は、前記ピストンを把持し、
前記一対のL字状の把持アームは、それらのL字の先端で、前記ピストンに組み付けられたコンロッドの大径部側を前記ピストンと軸心を揃えて把持する
ことを特徴とする請求項1記載の被挿入物の把持・挿入装置。
【請求項3】
請求項1記載の被挿入物の把持・挿入装置を使用する被挿入物の把持・挿入方法であって、
前記3本以上の把持指の各外側面の先端部を前記挿入孔の入口部内周面に接触させたとき、前記挿入孔の入口と前記把持指の内側面が作る前記把持面との間の相対的な位置ずれを検出して、その相対的な位置ずれを解消するように、前記ならい機構により、前記被挿入物把持・挿入装置の位置を前記挿入孔の位置にならわせて修正して、前記挿入孔の位置を検出し、
前記挿入孔の位置が検出された時の前記被挿入物把持・挿入装置の位置を移動量・回転量制御部に記憶させ、
前記移動量・回転量制御部に記憶させた位置に、前記被挿入物把持・挿入装置を位置させた状態において、前記被挿入物把持・挿入装置が、その前記3本以上の把持指が把持する前記被挿入物を前記挿入孔に挿入するようにした
ことを特徴とする被挿入物の把持・挿入方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−241254(P2009−241254A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174270(P2009−174270)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2001−40832(P2001−40832)の分割
【原出願日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【出願人】(592053158)
【Fターム(参考)】