説明

被覆層形成システム、被覆層を有する物品の製造方法、被覆層を有する遊技機部品を備えた遊技機の製造方法、及び遊技機

【課題】被覆層の形成を好適に行うことが可能となるようにすること。
【解決手段】被覆層形成システム10は、形成対象部品に被覆層を自動的に形成するための被覆層形成装置11を備えている。被覆層形成装置11における土台ユニット12の上面には、複数の形成対象部品を並べた状態で支持するための支持台13が設けられている。また、土台ユニット12には支持枠ユニット14が設けられている。支持枠ユニット14において横方向に延びるガイドベース16には、液剤を収容した貯留タンク17と、当該貯留タンク17に収容された液剤を形成対象部品に付与して被覆層を形成するための付与装置18と、が一体化された搬送装置19が取り付けられている。各形成対象部品に対する付与装置18の相対位置は自動的に変更されるとともに、付与装置18からの液剤の付与も自動的に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低摩擦化層などといった被覆層の形成装置、被覆層を有する物品の製造方法、被覆層を有する遊技機部品を備えた遊技機の製造方法、及び遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、パチンコ機やスロットマシン等が知られている。
【0003】
パチンコ機は、遊技球を貯留する球受け皿が遊技機前面部に設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技機内部に設けられた遊技球発射機構に導かれる。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に導かれた遊技球が遊技領域へ打ち出される。遊技領域内は、遊技機前面部に設けられた窓部を通じて遊技機前方から視認可能となっている。そして、遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。
【0004】
一方、スロットマシンは、外周部に複数の図柄が付されたリールを複数備えており、遊技機前面部に設けられた窓部を通じて図柄が視認可能な構成となっている。そして、遊技者がメダルを投入してスタートレバーを操作することで役の抽選が行われるとともに各リールが回転を開始し、その後、ストップスイッチを操作することで各リールが停止する。また、全てのリールが回転を停止した際に有効ライン上に当選となった図柄の組合せが停止すると、遊技者に特典が付与される。この特典としては、例えば所定枚数のメダルの払い出しがあり、またボーナスゲームといった特別遊技状態への移行などがある。
【0005】
上記のような遊技機においては、演出効果を高めて、遊技者の遊技への注目度を高める必要がある。かかる演出効果を高めるための一手法として、電動アクチュエータにより動作する可動物を設ける構成が知られている。例えば、特許文献1には、パチンコ機において、表示画面に隣接させて設けられた装飾ユニットに可動物を設け、表示画面における表示演出とリンクさせて当該可動物を動作させる構成が開示されている。これにより、表示画面における表示演出と可動物の動作とを遊技者に一体的に視認させることが可能となり、遊技への注目度を高めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−319076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、可動物の動作は滑らかに行われることが好ましく、当該動作を滑らかにするためには当該可動物の動作に際して接触する側の部品や、当該可動物に、低摩擦化を可能とする被覆層を形成することが好ましい。
【0008】
当該被覆層を形成する方法としては、被覆層を形成するための材料を、上記可動物などの部品に対して刷毛などを利用して人の手により塗布する方法が考えられる。しかしながら、当該方法のみにより被覆層の形成を行おうとすると、効率が悪い。また、上記被覆層を形成するための他の方法としては、被覆層を形成するための液体に対して、上記可動物などの部品を浸す方法が考えられる。しかしながら、当該方法のみにより被覆層の形成を行おうとすると、被覆層を形成するのに必要な量以上の被覆層用液剤が必要となり、コストが高くなってしまう。
【0009】
なお、上記問題は、低摩擦化を図るための被覆層を形成する場合に限られた問題ではなく、耐摩耗性を向上させるための被覆層や、塗料としての被覆層を形成する場合においても同様に発生する問題である。また、上記問題は、遊技機部品に限られた問題ではなく、他の装置を構成する部品に被覆層を形成する場合においても同様に発生する問題である。
【0010】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、被覆層の形成を好適に行うことが可能な被覆層形成システム、被覆層を有する物品の製造方法、被覆層を有する遊技機部品を備えた遊技機の製造方法、及び当該製造方法に製造された遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0012】
請求項1記載の発明は、被覆層形成システムにおいて、
被覆層形成対象品を複数支持可能な支持部を有する支持手段と、
前記支持部に配置された各被覆層形成対象品に対して被覆用液剤を付与するための付与手段と、
前記被覆用液剤を貯留するとともに、その貯留している被覆用液剤を前記付与手段に供給経路を通じて供給する貯留手段と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対する前記付与手段の相対位置を変更させる位置変更手段と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対応したそれぞれの位置に前記付与手段が配置されるように前記位置変更手段を制御する位置制御手段と、
前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段と、
当該撹拌手段を駆動制御する撹拌駆動制御手段と、
を備え、
当該撹拌駆動制御手段は、前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とするものであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、被覆層を有する物品の製造方法において、
被覆層形成対象品を複数支持可能な支持部を有する支持手段と、前記支持部に配置された各被覆層形成対象品に対して被覆用液剤を付与するための付与手段と、前記被覆用液剤を貯留するとともに、その貯留している被覆用液剤を前記付与手段に供給経路を通じて供給する貯留手段と、前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対する前記付与手段の相対位置を変更させる位置変更手段と、前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対応したそれぞれの位置に前記付与手段が配置されるように前記位置変更手段を制御する位置制御手段と、前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段と、を備えた被覆層形成システムを用いて、被覆層形成対象品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われる前に前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を開始させる工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とする工程と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被覆層の形成を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は被覆層形成システムを説明するための図であり、(b)は貯留タンクの構成を説明するための一部破断部分を含む正面図である。
【図2】(a)は被覆層形成装置の正面図であり、(b)は被覆層形成装置の側面図である。
【図3】(a)はスプレー式装置及びその周辺を拡大して示す被覆層形成装置の正面図であり、(b)は刷毛式装置及びその周辺を拡大して示す被覆層形成装置の正面図である。
【図4】(a)は内部構造を説明するためのスプレー式装置の縦断面図であり、(b)は内部構造を説明するための刷毛式装置の縦断面図である。
【図5】被覆層形成装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図6】(a)及び(b)は各形成対象部品に対する付与装置の相対位置を変更させる様子を説明するための図であり、(c)〜(e)は刷毛式装置を利用して液剤の塗布を行う場合における動作を説明するための図である。
【図7】スプレー式装置を利用して液剤の付与を行う場合における動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】パチンコ機の正面図である。
【図9】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図10】遊技盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、遊技領域に向けて遊技球を発射することで遊技が行われるパチンコ機の部品に、被覆層を自動的に形成するための被覆層形成システム10について具体化している。図1(a)は被覆層形成システム10を説明するための図である。
【0017】
被覆層形成システム10は、パチンコ機の部品に対して自動的に被覆層を形成するための被覆層形成装置11を備えている。被覆層形成装置11は、直方体状に形成された土台ユニット12を備えている。土台ユニット12の上面には、被覆層を形成する対象の部品(以下、形成対象部品という)を支持するための支持台13が設けられている。また、土台ユニット12には、当該土台ユニット12の4個の周面のうち、一の周面と、その反対側の周面とを、土台ユニット12の上方にて橋渡すようにして形成された支持枠ユニット14が設けられている。
【0018】
支持枠ユニット14は、当該支持枠ユニット14の固定箇所が存在する一対の周面における長手方向の両端部のうち一方の端部に設けられている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、支持枠ユニット14が偏倚させて設けられた側を後側ともいい、その逆側を前側ともいい、さらに支持枠ユニット14が橋渡す方向を横方向ともいう。
【0019】
支持枠ユニット14は、土台ユニット12から縦方向に起立する一対の柱部15a,15bと、当該柱部15a,15bの上端同士を連結するように横方向に延びるガイドベース16と、を備えている。ガイドベース16には、被覆層を形成するための液剤を収容した貯留タンク17と、当該貯留タンク17に収容された液剤を上記支持台13に支持された形成対象部品に付与して被覆層を形成するための付与装置18と、が一体化された搬送装置19が取り付けられている。
【0020】
<支持台13と付与装置18との相対位置を変化させるための構成>
以下、支持台13上に載置された複数の形成対象部品のそれぞれに対して付与装置18を近付けるための構成を説明する。図2(a)は被覆層形成装置11の正面図であり、図2(b)は被覆層形成装置11の側面図である。
【0021】
図2(a)及び図2(b)に示すように、土台ユニット12の上面は水平面となっており、当該上面には前後方向に延びるレール部材21が設けられている。また、レール部材21の上方には、当該レール部材21に支持されるようにして可動台座22が設けられている。可動台座22は、水平な上面を形成する板状の台座部23を備えている。当該台座部23の上面により下方から受けられるようにして、既に説明した支持台13が設けられている。
【0022】
支持台13は、図1(a)に示すように、板面が四角形となる板状に形成されており、当該支持台13の上面には、形成対象部品を載置するための載置部13aが複数形成されている。これら各載置部13aは、支持台13の上面を下方に凹ませることで形成されている。このように各載置部13aが凹ませて形成されていることで、各載置部13aに載置された形成対象部品が対応する載置部13aから変位しようとしても、その変位が当該載置部13aの凹み面により規制される。
【0023】
複数の載置部13aは、支持台13の所定の一辺に沿う方向に所定の間隔を置いて配列されているとともに、当該所定の一辺とは直交する方向に所定の間隔を置いて配列されている。具体的には、前後方向に等間隔となるように複数(詳細には6個)の載置部13aが設けられているとともに、横方向に等間隔となるように複数(詳細には5個)の載置部13aが設けられている。
【0024】
支持台13を下方から支持する可動台座22は、図2(a)及び図2(b)に示すように、台座部23の下面から下方に突出するとともに、レール部材21の内部に入り込む係合部24を備えている。係合部24は、レール部材21を横方向に挟むようにして左右一対として設けられており、当該係合部24はレール部材21内に設けられた図示しない可動部に係合されている。当該可動部は、図2(b)に示すように、土台ユニット12の内部に設けられた前後駆動部25により駆動されて動作する。前後駆動部25は、電動アクチュエータであり、例えば前後駆動部25として回転モータを用いた場合には、ラック及びピニオンを利用して可動部を前後方向にスライド移動させる。
【0025】
前後駆動部25が所定の動作をした場合、支持台13は後方へスライド移動するとともに、前後駆動部25が所定の動作とは逆の動作をした場合、支持台13は前方へスライド移動する。また、支持台13が後方へスライド移動する場合、及び支持台13が前方へスライド移動する場合のいずれであっても、支持台13の上面の高さ位置は変更されないように、前後駆動部25は支持台13を水平方向又は略水平方向に移動させる。
【0026】
上記のように支持台13が前後方向にスライド移動する構成に対して、付与装置18を支持する搬送装置19は、横方向にスライド移動可能となるようにガイドベース16に設けられている。具体的には、搬送装置19は、図2(b)に示すように、縦方向の途中位置よりも下側部分31は、搬送装置19の背面を前方に向けて凹ませて形成されており、この下側部分31の厚み寸法(すなわち前後寸法)はそれよりも上側部分32の厚み寸法に比べて小さくなっている。搬送装置19は、上記厚み寸法を変化させるための下向き段差面33をガイドベース16の上面に対して上方から対向させるとともに、下側部分31の背面をガイドベース16の前面に対して前方から対向させて、ガイドベース16に取り付けられている。
【0027】
ガイドベース16の前面には、図2(a)に示すように、横方向に延びるガイド溝34が上下一対となるようにして形成されている。これらガイド溝34を介して、搬送装置19の下側部分31に設けられた図示しない係合部がガイドベース16内に入り込んでおり、当該係合部はガイドベース16内に設けられた図示しない可動部に係合されている。当該可動部は、図2(a)に示すように、ガイドベース16の内部に設けられた横駆動部35により駆動されて動作する。横駆動部35は、電動アクチュエータであり、例えば横駆動部35として回転モータを用いた場合には、ラック及びピニオンを利用して可動部を横方向にスライド移動させる。そして、可動部が横方向にスライド移動することで、搬送装置19が横方向にスライド移動する。
【0028】
搬送装置19には、図2(a)及び図2(b)に示すように、その下端部分に装着部36が設けられている。装着部36は横長となっており、前方に向けて開放されたネジ孔37が複数形成されている。当該ネジ孔37を利用して装着部36に対して前方からネジ止めを行うことを通じて、図1(a)に示すように、貯留タンク17が一体化された付与装置18が装着部36に装着されている。
【0029】
横駆動部35が所定の動作をした場合、付与装置18は右方へスライド移動するとともに、横駆動部35が所定の動作とは逆の動作をした場合、付与装置18は左方へスライド移動する。また、横駆動部35のみが動作して、付与装置18が右方へスライド移動する場合、及び付与装置18が左方へスライド移動する場合のいずれであっても、支持台13の上面に対する付与装置18までの高さ位置は変更されないように、横駆動部35は付与装置18を水平方向又は略水平方向に移動させる。
【0030】
搬送装置19には、付与装置18を縦方向に移動させるための機能が設けられている。当該機能について詳細に説明すると、搬送装置19は、図2(b)に示すように、下端部分に上記装着部36が設けられた縦移動体41を備えている。縦移動体41は、搬送装置19内において縦方向に移動可能に支持されており、その移動範囲は最も上方に位置する状況で装着部36が搬送装置19の下端部分に存在するように設定されている。縦移動体41は、搬送装置19の内部に設けられた縦駆動部42により駆動されて動作する。縦駆動部42は、電動アクチュエータであり、例えば縦駆動部42として回転モータを用いた場合には、ラック及びピニオンを利用して縦移動体41を縦方向にスライド移動させる。
【0031】
縦駆動部42が所定の動作をした場合、付与装置18は下方へスライド移動するとともに、縦駆動部42が所定の動作とは逆の動作をした場合、付与装置18は上方へスライド移動する。また、縦駆動部42のみが動作して、付与装置18が下方へスライド移動する場合、及び付与装置18が上方へスライド移動する場合のいずれであっても、付与装置18の前後方向や横方向の位置は変更されないように、縦駆動部42は付与装置18を鉛直方向又は略鉛直方向に移動させる。
【0032】
ここで、上記のように横駆動部35、前後駆動部25及び縦駆動部42が設けられていることにより、支持台13に支持された各形成対象部品に対する付与装置18の相対位置は、X軸(すなわち横方向)、Y軸(すなわち前後方向)及びZ軸(すなわち縦方向)の合計3軸の方向に変位可能となっている。そして、X軸及びY軸の相対的な移動範囲は、支持台13上の全ての形成対象部品上に付与装置18の先端を配置することが可能なように設定されている。また、Z軸の相対的な移動範囲は、支持台13の上面付近から搬送装置19の下端付近の範囲で、付与装置18の先端を配置することが可能なように設定されている。
【0033】
横駆動部35、前後駆動部25及び縦駆動部42は、土台ユニット12に内蔵された変位用駆動回路43から供給される駆動信号に基づき駆動状態となり各々動作する。この場合、ガイドベース16と搬送装置19との間には、変位用駆動回路43からの駆動信号を縦駆動部42に供給するためのケーブル44が設けられている。このケーブル44は、図2(b)に示すように、一端が搬送装置19の上面に固定されており、他端がガイドベース16の上面に固定されている。そして、搬送装置19が横方向のいずれの位置に配置されている状況であっても、当該搬送装置19の移動を阻害しないように、ケーブル44の長さ寸法が設定されている。
【0034】
なお、被覆層形成装置11には、その前面側に手動操作部45が設けられており、当該手動操作部45を手動操作することで横駆動部35、前後駆動部25及び縦駆動部42を動作させることができるようになっている。
【0035】
<付与装置18の構成>
次に、搬送装置19の装着部36に装着される付与装置18の構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0036】
図3(a)は付与装置18の一種であるスプレー式装置18a及びその周辺を拡大して示す被覆層形成装置11の正面図であり、図3(b)は付与装置18の一種である刷毛式装置18b及びその周辺を拡大して示す被覆層形成装置11の正面図である。また、図4(a)は内部構造を説明するためのスプレー式装置18aの縦断面図であり、図4(b)は内部構造を説明するための刷毛式装置18bの縦断面図である。
【0037】
搬送装置19の装着部36には既に説明したとおり、ネジを利用して付与装置18が装着されるが、当該付与装置18として、スプレー式装置18aと、刷毛式装置18bとのそれぞれを用いることが可能となっている。ちなみに、これらスプレー式装置18a及び刷毛式装置18bの交換は、手動で行われるが、スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bのうち使用しない側を待機させておくための貯蔵部と、スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bのうち装着部36に装着されている側と貯蔵部にて待機されている側とを自動的に交換するための交換装置と、を設けることで付与装置18の交換が自動で行われる構成としてもよい。
【0038】
先ず、図3(a)及び図4(a)を参照しながら、スプレー式装置18aについて詳細に説明する。
【0039】
スプレー式装置18aは、形成対象部品に液剤を噴霧して、当該形成対象部品の表面に被覆層を形成するためのものである。詳細には、スプレー式装置18aは、図4(a)に示すように、内部空間を形成するように設けられた複数のハウジング部材を備えており、さらに先端部にはエアキャップ52が設けられており、これら部材により全体として円筒形をなすハウジング51aが形成されている。また、エアキャップ52の内側にはノズル53aが設けられている。
【0040】
エアキャップ52の先端には、外方に向けて開放された吹付け口54が形成されている。当該吹付け口54は、エアキャップ52の内周面とノズル53aの外周面との間の隙間を含めて形成された噴霧エア流路55を通じて、ハウジング51aの周面に形成された噴霧エア用の開口56に連通されている。当該噴霧エア用の開口56を通じて外部からエアキャップ52内にエアが供給されることで、吹付け口54を通じてエアが噴射される。
【0041】
ハウジング51a内には、ノズル53aの先端開口を構成するオリフィス57aを先端として、ハウジング51aの基端側に亘って直線状に延びる挿通孔58aが形成されており、この挿通孔58a内にピストン61aが挿通されている。ピストン61aは、その先端部が先細りされており、その先細りした先端部がノズル53a内に入り込んでいる。また、ピストン61aの基端部は拡径されており、その拡径部62aと、ハウジング51aの基端底部との間には、付勢部材としてのスプリング63aが圧縮状態で設けられている。これにより、スプレー式装置18aの自然状態では、スプリング63aによりピストン61aが先端に向けて押圧されて、当該ピストン61aの先端部によりノズル53aのオリフィス57aが内側から閉塞された状態となる。
【0042】
ピストン61aが挿通された挿通孔58aは、軸線方向の途中位置であって複数箇所にて、ハウジング51aの周面から外部に開放されている。当該複数の開口の一つとして、ハウジング51aの基端側には、挿通孔58aにおいてピストン61aの拡径部62aを収容する収容領域64aに対して、動作エア流路65aを通じて連通された動作エア用の開口66aが形成されている。当該動作エア用の開口66aを通じて外部から収容領域64aに圧縮エアが供給されることで、拡径部62aに対して基端側に向けた力が付与され、スプリング63aの付勢力に抗してピストン61aが基端側に移動する。これにより、ノズル53aのオリフィス57aが開放される。一方、圧縮エアが供給された状態を解除して、動作エア用の開口66aを通じて収容領域64aを大気開放させることで、スプリング63aの付勢力によりピストン61aが先端側に移動して、ノズル53aのオリフィス57aを再度閉塞させる。
【0043】
上記複数の開口の他の一つとして、ハウジング51aの先端側には、ノズル53aの内部空間に液剤流路67aを通じて連通された液剤用の開口68aが形成されている。当該液剤用の開口68aから供給された液剤は、ピストン61aが基端側に移動してオリフィス57aを開放させることで、吹付け口54を通じて噴射される。
【0044】
上記構成のスプレー式装置18aは、図3(a)に示すように、装着用治具69を利用して、搬送装置19の装着部36に装着される。また、ハウジング51aの周面に形成された各開口56,66a,68aには、それぞれ流通管71〜73が外部から接続される。これら各開口56,66a,68aのうち、液剤用の開口68aには、図3(a)及び図4(a)に示すように、液剤用配管71の一端が接続されており、当該液剤用配管71の他端は貯留タンク17に接続されている。
【0045】
噴霧エア用の開口56には、図3(a)及び図4(a)に示すように、噴霧エア用配管72の一端が接続されているとともに、動作エア用の開口66aには、動作エア用配管73の一端が接続されている。一方、噴霧エア用配管72の他端及び動作エア用配管73の他端は、いずれも圧縮エア供給装置81に接続されている。
【0046】
なお、噴霧エア用配管72及び動作エア用配管73は、いずれも可撓性を有するように形成されており、図1に示すようにスプレー式装置18aの可動範囲の全域において当該スプレー式装置18aの移動を阻害しないように、それらの長さ寸法が設定されている。
【0047】
圧縮エア供給装置81は、図4(a)に示すように、噴霧エア用配管72に通じる噴霧エア流路を備えており、当該噴霧エア流路は電磁弁82を介して圧縮エアの供給源83に接続されている。圧縮エア供給装置81に設けられた供給用駆動回路84から電磁弁82に駆動信号が出力されることで、電磁弁82が開弁状態となり、噴霧エア用の開口56に圧縮エアが供給され、当該駆動信号の出力が停止されることで電磁弁82が閉弁状態となり、圧縮エアの供給が停止される。ちなみに、圧縮エア供給装置81には、図示しないエア圧調整機構が設けられており、噴霧エア用の開口56に供給する圧縮エアのエア圧を調整可能となっている。
【0048】
また、圧縮エア供給装置81は、動作エア用配管73に通じる動作エア流路を備えており、当該動作エア流路は電空レギュレータ85を介して圧縮エアの供給源86に接続されているとともに大気開放可能となっている。供給用駆動回路84から電空レギュレータ85に給気用の駆動信号が出力されることで、電空レギュレータ85内の図示しない給気弁が開弁状態となり、動作エア用の開口66aに圧縮エアが供給される。一方、供給用駆動回路84から電空レギュレータ85に排気用の駆動信号が出力されることで、電空レギュレータ85内の図示しない排気弁が開弁状態となり、動作エア用の開口66aが大気開放状態となる。
【0049】
上記構成のスプレー式装置18aでは、所定の液圧とされた液剤が、液剤用の開口68aを通じてノズル53a内に供給され続ける。当該液剤は、動作エア用の開口66aを通じて動作エアが供給されていない状態では吹付け口54からの吹付けが阻止されており、動作エアが供給されることで、吹付け口54から吹付けられる。また、この液剤を吹付けさせるタイミングに同期させて、噴霧エア用の開口56を通じて噴霧エアが供給されることで、液剤はエアとともに吹付けられることとなり、結果的に液剤が噴霧されることとなる。また、噴霧エアの供給は、ピストン61aの動作とは無関係で行うことが可能であり、液剤の供給を停止している状況であっても、吹付け口54から噴霧エアを吹付けることが可能となっている。
【0050】
次に、図3(b)及び図4(b)を参照しながら、刷毛式装置18bについて詳細に説明する。
【0051】
刷毛式装置18bは、形成対象部品に液剤を塗布して、当該形成対象部品の表面に被覆層を形成するためのものである。刷毛式装置18bは、図4(b)に示すように、複数のハウジング部材と、ノズル53bと、を備えており、全体として円筒形をなすハウジング51bを有している点が、スプレー式装置18aと同様となっている。また、ノズル53bの先端に形成されたオリフィス57bが液剤流路67bを通じて液剤用の開口68bに連通されている点、オリフィス57bを開閉するためのピストン61bが挿通孔58bに設けられている点、ピストン61bを付勢するスプリング63bが設けられている点、及び拡径部62bを収容するための収容領域64bが動作エア流路65bを通じて動作エア用の開口66bに連通されている点も、スプレー式装置18aと同様となっている。
【0052】
但し、刷毛式装置18bは、エアキャップ52が設けられておらず、代わりに刷毛シャフト91が設けられている。刷毛シャフト91は、筒状に形成されたシャフト部92と、当該シャフト部92の軸線方向の一端に設けられた刷毛部93と、を備えており、シャフト部92において刷毛部93が設けられた側とは反対側の端部がノズル53bに接続されている。この場合、シャフト部92はピストン61bと同一軸線上に存在している。ちなみに、刷毛式装置18bでは、刷毛シャフト91に対して噴霧エアを供給する必要がないため、噴霧エア流路55及び噴霧エア用の開口56は不具備となっている。
【0053】
上記構成の刷毛式装置18bは、図3(b)に示すように、装着用治具69を利用して、搬送装置19の装着部36に装着される。また、ハウジング51bの周面に形成された各開口66b,68bには、それぞれ流通管71,73が外部から接続される。
【0054】
これら各開口66b,68bのうち、液剤用の開口68bには、図3(b)及び図4(b)に示すように、液剤用配管71の一端が接続されており、当該液剤用配管71の他端は貯留タンク17に接続されている。また、液剤用の開口68bは、スプレー式装置18aに対して用いる液剤用配管71と同一のものを用いることができるように形成されている。
【0055】
一方、動作エア用の開口66bには、動作エア用配管73の一端が接続されている。この動作エア用配管73の他端は、既に説明したとおり圧縮エア供給装置81に接続されている。また、動作エア用の開口66bは、スプレー式装置18aに対して用いる動作エア用配管73と同一のものを用いることができるように形成されている。
【0056】
なお、刷毛式装置18bには、既に説明したとおり噴霧エア用の開口56は形成されていないため、圧縮エア供給装置81から延びる噴霧エア用配管72は刷毛式装置18bに対して非接続の状態となっている。
【0057】
上記構成の刷毛式装置18bでは、所定の液圧とされた液剤が、液剤用の開口68bを通じてノズル53b内に供給され続ける。当該液剤は、動作エア用の開口66bを通じて動作エアが供給されていない状態では刷毛シャフト91内への供給が阻止されており、動作エアが供給されることで、刷毛シャフト91内に供給される。刷毛シャフト91内に供給された液剤は、シャフト部92内を刷毛部93に向けて下り、当該刷毛部93にて留まる。これにより、刷毛部93を形成対象部品の表面に接触させることで、当該表面に液剤を塗布することが可能となる。
【0058】
<貯留タンク17の構成>
次に、スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bといった付与装置18に液剤を供給するための貯留タンク17について、図1(b)を参照しながら説明する。図1(b)は、貯留タンク17の構成を説明するための一部破断部分を含む正面図である。
【0059】
貯留タンク17は、液剤を貯留するための貯留部101により底側が形成されているとともに、当該貯留部101の上方には本体部102が設けられている。貯留部101における底側の先端には、液剤用配管71を接続するための接続部103が設けられている。
【0060】
本体部102には、当該本体部102から貯留部101内に入り込むように撹拌棒104が設けられている。撹拌棒104は、その軸線が縦方向となるように設けられているとともに、その軸線を中心として回転可能に本体部102に支持されている。本体部102には撹拌棒104を回転させるための撹拌用駆動部105と、当該撹拌用駆動部105を動作させるための撹拌用駆動回路106とが設けられている。撹拌用駆動回路106から撹拌用駆動部105に駆動信号が供給されることで、当該撹拌用駆動部105が動作して、撹拌棒104を回転させる。これにより、撹拌棒104の先端に設けられた撹拌羽根107を介して液剤が撹拌され、液剤を構成する各成分の均一化が図られる。
【0061】
ちなみに、本体部102には、貯留液剤用のレギュレータ108が設けられており、当該レギュレータ108を手動操作することで、貯留タンク17から付与装置18に供給される液剤の液圧を調整可能となっている。また、貯留タンク17は、各付与装置18a,18bを装着部36に装着させるために利用される装着用治具69と、液剤用配管71とを通じて、それら各付与装置18a,18bに一体化されている。
【0062】
<被覆層形成システム10の電気的構成>
次に、被覆層形成システム10の電気的構成について、図5のブロック図を参照しながら説明する。
【0063】
被覆層形成システム10は、既に説明した変位用駆動回路43、供給用駆動回路84及び撹拌用駆動回路106を制御するためのコントローラ111を備えている。コントローラ111は、CPU112及びメモリ113を備えており、メモリ113には、変位用駆動回路43、供給用駆動回路84及び撹拌用駆動回路106を制御するためのプログラム113a,113cと、当該プログラム113a,113cに基づく制御の実行に際して、参照されるデータ113b,113dと、が記憶されている。
【0064】
プログラム113a,113cとしては、スプレー式装置18aを利用する場合に実行されるスプレー用プログラム113aと、刷毛式装置18bを利用する場合に実行される刷毛用プログラム113cと、が設定されている。スプレー式装置18aを利用する場合と刷毛式装置18bを利用する場合とでは、形成対象部品に液剤を付与する場合の縦方向の位置が大きく異なり、さらには刷毛式装置18bではスプレー式装置18aとは異なり電磁弁82を利用しない。したがって、これらの相違に対応させてスプレー用プログラム113aと、刷毛用プログラム113cとが個別に設定されている。
【0065】
データ113b,113dとしては、スプレー式装置18aを利用する場合に実行されるスプレー用データ113bと、刷毛式装置18bを利用する場合に実行される刷毛用データ113dと、が設定されている。これら各データ113b,113dにて、前後駆動部25、横駆動部35及び縦駆動部42のそれぞれについて、移動開始タイミング、移動量及び移動速度が設定される。また、電空レギュレータ85について、給気開始タイミング、給気終了タイミング、排気開始タイミング及び排気終了タイミングが設定される。また、スプレー用データ113bの場合には、電磁弁82について、給気開始タイミング及び給気終了タイミングが設定される。また、撹拌用駆動部105について、駆動開始タイミング、及び駆動停止タイミングが設定される。
【0066】
メモリ113としてはフラッシュメモリが用いられており、スプレー用データ113b及び刷毛用データ113dを形成対象部品の種類に合わせて変更可能となっている。この変更に際しては、入力操作部114が操作される構成としてもよく、図示しないデータ入力部を介してデータが書き換えられる構成としてもよい。また、スプレー用データ113b及び刷毛用データ113dのそれぞれを、複数種類同時に記憶しておくことが可能な構成としてもよい。
【0067】
所定の形成対象部品に対して液剤を付与して被覆層を形成する場合には、スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bのうち使用する側を入力操作部114の操作を通じて指示するとともに、いずれのデータ113b,113dを使用するのかも入力操作部114の操作を通じて指示する。そして、それらの指示が完了した段階で、開始操作を行うことで、支持台13上に載置された各形成対象部品に対して自動的に被覆層が形成される。
【0068】
<被覆層形成システム10の動作>
次に、被覆層形成システム10の動作について説明する。
【0069】
先ず、被覆層形成システム10の基本動作について、図6(a)及び図6(b)を参照しながら説明する。
【0070】
図6(a)及び図6(b)は、支持台13に載置された各形成対象部品121に対する付与装置18の相対位置を変更させる様子を説明するための図である。
【0071】
図6(a)に示すように、支持台13に載置された各形成対象部品121に対して液剤を付与する場合には、横方向(X軸)及び前後方向(Y軸)のそれぞれに配置された各形成対象部品121のうち、隅角部分のものから液剤の付与が開始される。この場合、初期位置に配置されている付与装置18の高さ位置を支持台13側に向けて下降させることで、隅角部分に配置された形成対象部品121に対する付与用位置に付与装置18が配置される。
【0072】
その隅角部分に載置された形成対象部品121に対する液剤の付与が完了した場合には、搬送装置19を横方向に移動させることで、上記隅角部分の形成対象部品121に対して横方向にて隣り合う形成対象部品121の上方に付与装置18を配置して、当該形成対象部品121への液剤の付与を行う。その後、開始時における横列上に並ぶ各形成対象部品121に対する液剤の付与が完了するまで、搬送装置19の移動を通じた横方向の移動動作と、液剤の付与動作とを繰り返す。
【0073】
開始時における横列上の各形成対象部品121に対する液剤の付与が完了したら、図6(b)に示すように、支持台13を後方向に移動させることで、次の横列上に付与装置18を配置する。そして、当該横列上の各形成対象部品121に対して液剤の付与を行うように、搬送装置19の移動を通じた横方向の移動動作と、液剤の付与動作とを繰り返す。この場合、搬送装置19の移動方向は、開始時における横列上の各形成対象部品121に対して液剤の付与を行う場合とは逆方向となっている。
【0074】
その後は、支持台13の後方向への移動を通じた付与対象とする横列の変更動作と、搬送装置19の移動を通じた横方向の移動動作と、液剤の付与動作とを行うことで、他の横列上の各形成対象部品121に対して液剤の付与を行う。そして、全ての形成対象部品121に対して液剤の付与を行った場合には、支持台13及び搬送装置19を動作させて付与装置18を初期位置に復帰させる。
【0075】
ちなみに、一の形成対象部品121に対する液剤の付与に際しても、当該形成対象部品121の所定部位に対する付与装置18の相対位置を変更させるべく、支持台13及び搬送装置19の移動動作が行われることがある。
【0076】
ここで、支持台13上に載置された全ての形成対象部品121への液剤の付与が完了した場合には、その支持台13は土台ユニット12の可動台座22から取り外され、液剤を乾燥させるための場所に移される。この場合に、形成対象部品121に付与する液剤として、揮発性が高いものを用いた場合には、加熱工程などを行わずに、自然乾燥による乾燥工程を行う。当該揮発性が高い液剤としては、例えばハイドロフルオロエーテル、ポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロポリエーテルを成分として含むフッ素化物の液剤であって、低摩擦化を図るための被覆層を形成するための液剤が考えられる。
【0077】
このように揮発性が高い液剤を利用する場合には、揮発が生じにくい環境下で形成対象部品121に対する液剤の付与を行うことが好ましい。これに対して、本被覆層形成システム10では、密閉空間を形成する貯留タンク17に液剤を貯留しながら、その貯留タンク17から少量ずつ付与装置18に液剤を流し、その液剤を形成対象部品121に付与する構成であるため、揮発性が高い液剤を利用する場合であっても、形成対象部品121への液剤の付与過程における液剤の揮発を抑えることが可能となる。
【0078】
一方、液剤として揮発性が低いものを用いてもよく、この場合、全ての形成対象部品121に対する当該液剤の付与後に、被覆層を形成するための加熱工程を行うようにしてもよい。
【0079】
次に、平面視で円形状の形成対象部品122に対して、刷毛式装置18bを利用して液剤の塗布を行う場合における動作について、図6(c)〜図6(e)を参照しながら説明する。
【0080】
図6(c)に示すように、刷毛式装置18bが形成対象部品122の所定箇所に存在している状況で、搬送装置19の右方向への移動動作及び支持台13の前方向への移動動作が同時に行われることで、図6(d)に示すように、刷毛式装置18bが形成対象部品122の後側の頂点部分に配置される。また、頂点部分への移動が完了したら、搬送装置19の右方向への移動動作及び支持台13の後方向への移動動作が同時に行われることで、図6(e)に示すように、刷毛式装置18bが図6(c)の位置とは線対象となる位置に配置される。この場合、刷毛式装置18bの刷毛部93(図6(c)〜(e)では図示略)が形成対象部品122に接した状態が維持されるため、当該刷毛部93の移動経路上の部位に対して液剤が塗布される。その後、刷毛式装置18bが形成対象部品122に対して一方向に回転して図6(c)の位置に戻るまで、搬送装置19の移動動作及び支持台13の移動動作が同時に行われる。
【0081】
上記のように、XY平面において一方の軸方向への移動動作が搬送装置19にて行われ、他方の軸方向への移動動作が支持台13にて行われる構成であることにより、各駆動に係る構成の簡素化が図られる。また、各方向の駆動対象を異ならせることにより、無理なく両駆動を同時に行うことが可能となる。そして、支持台13と搬送装置19とをXY平面において同時に移動させて液剤を曲線状に付与する構成であるため、各方向の移動を交互に行うことで液剤を曲線状に付与する構成に比べて、曲線状の付与を円滑に行うことが可能となる。
【0082】
次に、スプレー式装置18aを利用して液剤の付与を行う場合における動作について、図7のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0083】
図7(a)は撹拌用駆動部105の動作状況を示し、図7(b)は横駆動部35の動作状況を示し、図7(c)は前後駆動部25の動作状況を示し、図7(d)は縦駆動部42の動作状況を示し、図7(e)は電空レギュレータ85の動作状況を示し、図7(f)は電磁弁82の動作状況を示す。
【0084】
支持台13上に載置された形成対象部品に対して液剤の付与作業を開始する場合には、撹拌用駆動部105の動作が開始されて貯留タンク17内の液剤が撹拌される。その後、当該撹拌がある程度行われた後のタイミングであるt1のタイミングで、撹拌用駆動部105の動作が停止されて液剤の撹拌が終了される。
【0085】
その後、t1のタイミングから待機期間T(例えば5sec)が経過したタイミングであるt2のタイミングで縦駆動部42の下降方向への動作が開始されて、支持台13に近付くようにスプレー式装置18aが下降し出す。そして、当該スプレー式装置18aの高さ位置が付与用位置となるt3のタイミングで、縦駆動部42の下降方向への動作が停止されて、スプレー式装置18aの下降が終了する。
【0086】
その後、t3のタイミングにて、電空レギュレータ85による給気動作が開始されるとともに、電磁弁82による給気動作が開始されることで、最初の形成対象部品に対する液剤の噴霧が開始される。この噴霧は、t4のタイミングまで継続し、当該t4のタイミングにて、電空レギュレータ85による排気動作が開始されるとともに、電磁弁82による給気動作が停止される。また、t4のタイミングでは、横駆動部35の右方向への動作が開始されて、隣の形成対象部品に向けたスプレー式装置18aの変位が開始され、当該隣の形成対象部品の位置に到達するt5のタイミングまで当該変位が継続される。
【0087】
その後、t6のタイミングまで、液剤の噴霧と、横駆動部35の右方向への動作に基づくスプレー式装置18aの変位とが繰り返され、t6のタイミングにて、最初の横列における最後の形成対象部品に対する液剤の付与が完了する。
【0088】
このt6のタイミングにて、次の横列にスプレー式装置18aを変位させるべく、前後駆動部25の後方向への動作が開始されて、次の横列に向けたスプレー式装置18aの変位が開始され、当該次の横列上に到達するt7のタイミングまで当該変位が継続される。そして、t7のタイミング〜t8のタイミングに亘って液剤の噴霧が行われる。また、t8のタイミングにて、横駆動部35の左方向への動作が開始されて、隣の形成対象部品に向けたスプレー式装置18aの変位が開始され、当該隣の形成対象部品の位置に到達するt9のタイミングまで当該変位が継続される。そして、当該横列の各形成対象部品に対して、液剤の付与を行うように、液剤の噴霧と、横駆動部35の左方向への動作に基づくスプレー式装置18aの変位とが繰り返される。
【0089】
その後、t10のタイミングで、最後の形成対象部品に対する液剤の付与が完了する。このt10のタイミングでは、撹拌用駆動部105の動作が開始されて、貯留タンク17内の液剤の撹拌が開始される。このように、最後の形成対象部品に対する液剤の付与が完了したタイミングで撹拌を開始することで、次の付与作業が即座に開始される場合であっても、液剤の撹拌期間を長く確保することが可能となる。
【0090】
また、t10のタイミングでは、前後駆動部25及び縦駆動部42のそれぞれについて動作を開始させることで、スプレー式装置18aの初期位置への復帰動作を開始させる。これら各駆動部25,42のうち、縦駆動部42の動作は、スプレー式装置18aが付与用位置から退避用位置に配置されるタイミングであるt11のタイミングで終了される。
【0091】
この退避用位置への変位が完了したt11のタイミングで、電空レギュレータ85による給気動作を行わないようにしながら、電磁弁82による給気動作が開始される。このように電磁弁82のみの給気動作が行われることで、スプレー式装置18aの吹付け口54からはエアの噴射が行われる。これにより、仮に吹付け口54に液剤が僅かに残っていたとしても、当該液剤が吹付け口54から排除されて、吹付け口54の目詰まりを防止することが可能となる。また、当該エアの噴射は、スプレー式装置18aが付与用位置から離れた場合、より詳細には退避用位置に配置された場合に開始されるため、エアの噴射の影響が、液剤付与後の形成対象部品に及んでしまう可能性が低減される。
【0092】
その後、t12のタイミングでスプレー式装置18aの初期位置への復帰が完了することで、前後駆動部25の動作が停止される。
【0093】
<パチンコ機130の構成>
次に、上記形成対象部品として被覆層の形成対象となる部品を有するパチンコ機130について、簡単に説明する。
【0094】
図8はパチンコ機130の正面図、図9はパチンコ機130の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【0095】
図8に示すように、パチンコ機130は遊技機本体131を有する。遊技機本体131は、図9に示すように、内枠132と、その内枠132の前方に配置される前扉枠133と、内枠132の後方に配置される裏パックユニット134とを備えており、前扉枠133及び裏パックユニット134は内枠132に対して回動可能に支持されている。
【0096】
内枠132は、樹脂ベース135を主体に構成されている。樹脂ベース135の中央部には略楕円形状の窓孔136が形成されている。樹脂ベース135には遊技盤137が着脱可能に取り付けられている。遊技盤137は合板よりなり、遊技盤137の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース135の窓孔136を通じて内枠132の前面側に露出した状態となっている。
【0097】
内枠132の前面側全体を覆うようにして前扉枠133が設けられている。前扉枠133には、図8に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓パネル141が設けられている。窓パネル141の周囲には、各種ランプやスピーカ部が設けられている。
【0098】
前扉枠133における窓パネル141の下方には、手前側へ膨出した上皿部142と下皿部143とが上下に並設されている。上皿部142は、裏パックユニット134に設けられた図示しない払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留する。また、上皿部142は、内枠132に設けられた遊技球発射機構144側に向けて、上記貯留している遊技球を一列に整列させながら導くための機能を有する。遊技球発射機構144へ導かれた遊技球は、前扉枠133に設けられた回転ハンドル式の発射操作装置145が遊技者により手動操作されることで、遊技球発射機構144のソレノイド146が動作して、遊技領域に向けて発射される。一方、下皿部143は、上皿部142内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0099】
なお、内枠132の背面側には、図示しない各種制御装置が設けられており、これら制御装置にて所定の処理が実行されることで、遊技の進行が制御される。かかる遊技の進行の制御の一部として、遊技球の発射制御や、遊技球の払出制御が実行される。
【0100】
次に、遊技盤137の構成について、図10を参照しながら説明する。図10は、遊技盤137の正面図である。
【0101】
遊技盤137には、前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口151、可変入賞装置152、上作動口153a、下作動口153b、メイン表示部155及び可変表示ユニット157等がそれぞれ設けられている。なお、図10においてBは遊技球を示す。
【0102】
一般入賞口151、可変入賞装置152及び作動口153a,153bに遊技球が入ると、それが遊技盤137の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤137の最下部にはアウト口158が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口158を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤137には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘159が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0103】
可変表示ユニット157には、作動口153a,153bへの入賞をトリガとして図柄を表示面161aにて可変表示する図柄表示装置161が設けられている。また、可変表示ユニット157には、表示面161aを囲むようにしてセンターフレーム162が配設されている。
【0104】
図柄表示装置161は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、図示しない表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置161の表示面161aには、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たり状態という)が発生することとなる。
【0105】
可変入賞装置152は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり状態に移行した際に、遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置152の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置152が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0106】
メイン表示部155は、遊技領域の左下部側に設けられている。メイン表示部155では、上作動口153a又は下作動口153bへの入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口153a又は下作動口153bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。そして、上作動口153a又は下作動口153bへの入賞に基づく内部抽選の結果が大当たり状態への移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部155にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、大当たり状態へ移行する。
【0107】
ここで、上記センターフレーム162には、演出効果を高めるために可動装飾ユニット163が設けられている。
【0108】
可動装飾ユニット163として、センターフレーム162の上部には、棒状部材164と、当該棒状部材164を縦方向に変位させるための駆動部165と、当該駆動部165の動力を棒状部材164に伝達するためのリンク部材166と、を備えている。そして、表示面161aでの画像による演出に合わせて駆動部165が駆動状態となることで、図10の二点鎖線に示すように、リンク部材166が下方に変位し、それに伴って棒状部材164が下方に撓むこととなる。
【0109】
この場合、棒状部材164の動作に際して、当該棒状部材164の先端部167がリンク部材166の一部に対して摺動することとなる。具体的には、棒状部材164の先端部167にはリンク部材166に突出した図示しない突起が形成されており、この突起がリンク部材167に形成された図示しない長孔に入り込んでいる。そして、棒状部材164の動作に際しては、上記突起が上記長孔の周面上を摺動することとなる。これに対して、これら棒状部材164の先端部167(少なくとも上記突起)及びリンク部材166(少なくとも上記長孔の周面)には、被覆層形成システム10を利用して、摺動性を向上させるための被覆層が形成されているため、摺動抵抗が低く抑えられ、棒状部材164の動作が円滑に行われる。
【0110】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0111】
支持台13上に配置された形成対象部品に対する付与装置18の相対位置が自動的に変更されるとともに、貯留タンク17に貯留された液剤が付与装置18から形成対象部品に対して自動的に付与される構成であるため、人の手により液剤を塗布する場合に比べて作業効率が向上する。また、付与装置18から必要量の液剤のみを付与することが可能であるため、液剤に形成対象部品を浸す場合に比べて液剤の量が少なくて済む。以上より、被覆層の形成を好適に行うことが可能となる。
【0112】
貯留タンク17に撹拌棒104が設けられているため、貯留タンク17から付与装置18に自動的に液剤が付与される構成において、複数の成分を含有する液剤の均一化を図ることが可能となる。さらにまた、付与装置18から液剤の付与が行われている状況では、撹拌棒104による撹拌が行われない制限状態に設定されるため、貯留タンク17内の液剤が動的に安定している状態で、当該液剤を付与装置18に供給することが可能となる。これにより、撹拌棒104が設けられた構成であっても、付与装置18から液剤を付与する場合において、撹拌棒104による撹拌の影響を低減した状態で当該付与を行うことが可能となる。
【0113】
また、撹拌棒104による撹拌が停止してから予め定められた待機期間が経過した後に、付与装置18による液剤の付与が開始されるため、貯留タンク17内の液剤が動的に安定した状態となってから液剤の付与を開始することが可能となる。さらにまた、支持台13上に載置されている複数の形成対象部品のうち最初の形成対象部品に対する液剤の付与が開始される前に撹拌棒104による撹拌が停止され、さらにその制限状態は、上記複数の形成対象部品のうち最後の形成対象部品に対する液剤の付与が完了するまで継続される。これにより、撹拌棒104について制限状態の設定とその設定解除とを短い周期で繰り返す必要がなくなる。また、一の形成対象部品に対する液剤の付与が完了してから次の形成対象部品に対する液剤の付与が開始されるまでの期間内に撹拌棒104による撹拌を行おうとすると、仮に次の形成対象部品に対して液剤が付与されている状況では撹拌棒104による撹拌を行わないとしても、その直前の期間内における撹拌の影響が出てしまうことが懸念される。これに対して、このような不都合を生じさせないようにすることが可能となる。
【0114】
付与装置18として刷毛式装置18bを利用することにより、刷毛部93により液剤を形成対象部品に直接塗布することが可能となる。これにより、複数の形成対象部品間の距離を狭くした状況下で一の形成対象部品の隅部分に液剤を付与したとしても、当該付与対象の隣の形成対象部品にまで液剤が付与されてしまう可能性が低減される。その一方、付与装置18としてスプレー式装置18aを利用することにより、単位時間当たりにおける液剤の付与範囲を刷毛式装置18bよりも広く確保することが可能となり、刷毛式装置18bを利用する場合よりも液剤の付与に要する時間の短縮化が図られる。さらにまた、使用する付与装置18としてスプレー式装置18a及び刷毛式装置18bを選択可能な構成であるため、形成対象部品の形状に応じた液剤の付与を行うことが可能となる。
【0115】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
【0116】
(1)貯留タンク17が付与装置18に一体化されている構成に代えて、貯留タンク17が付与装置18や支持台13の変位に追従しないように設けられていてもよい。この場合、液剤用配管71を、付与装置18の変位に追従できるよう可撓性を持たせて形成するとともに、十分に追従できるような長さ寸法を有するようにする必要がある。
【0117】
(2)スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bの両方が被覆層形成装置11に設置されており、それらの一方を使用している状態から他方を使用する状態への変更に際して、一方を取り外すための作業及び他方を装着するための作業を必要としない構成としてもよい。
【0118】
例えば、搬送装置19として、スプレー式装置18aを支持するものと、刷毛式装置18bを支持するものとが個別に設けられており、液剤の付与用に移動対象となる搬送装置が切り換えられる構成としてもよい。この場合、支持枠ユニット14を各搬送装置に対応させて設けるとともに、各支持枠ユニットをそれぞれ退避位置と使用時位置との間で変位可能に設けるとよい。
【0119】
また、例えば、スプレー式装置18a及び刷毛式装置18bのうち一方についてはZ軸方向の移動を他方とは別に行うことが可能なように、又はそれら両方のそれぞれについてZ軸方向の移動を個別に行うことが可能なように、それら装置18a,18bを設置してもよい。この場合、スプレー式装置18aと刷毛式装置18bとが同一の搬送装置19に設置されていてもよく、それぞれ異なる搬送装置19に設置されていてもよい。
【0120】
後者の場合には、液剤の付与に際してX軸方向に両装置18a,18bが同時に移動することとなる。また、当該構成において、液剤の付与に際してZ軸方向に両装置18a,18bが同時に移動する構成としてもよい。この場合に、上記のように両装置18a,18bの相対的な高さ位置の調整を可能とすることで、スプレー式装置18aによる液剤の付与に際して好ましい高さ位置の調整、及び刷毛式装置18bによる液剤の付与に際して好ましい高さ位置の調整が可能となる。
【0121】
(3)形成対象部品が載置された支持台13の交換も自動的に行われる構成としてもよい。
【0122】
(4)撹拌棒104による撹拌を制限する制限状態は、撹拌棒104による撹拌を停止させる状態である必要はなく、例えば撹拌棒104による撹拌速度を複数段階で変更可能な構成においては、制限状態では通常の撹拌時よりも撹拌速度が遅くなる構成としてもよい。
【0123】
(5)撹拌棒104のオン操作及びオフ操作がコントローラ111からの指令に基づき自動的に行われる構成としたが、これに代えて、当該オン操作及びオフ操作を行うためのスイッチを設け、当該スイッチの手動操作によりオン操作及びオフ操作が行われる構成としてもよい。この場合であっても、付与装置18からの液剤の付与が行われる場合には、撹拌棒104による撹拌を停止させることが好ましく、またその制限状態の設定が行われてから待機期間が経過した後に支持台13上の最初の形成対象部品に対する液剤の付与が開始されることが好ましく、さらにはその制限状態は支持台13上の全ての形成対象部品に対する液剤の付与が完了するまで継続されることが好ましい。
【0124】
(6)付与装置18は、上記実施の形態のスプレー式装置18aや、上記実施の形態の刷毛式装置18bに限定されることはなく、例えばヘラや刷毛といった塗布部を有する塗布式装置であってその塗布部が形成対象部品に押し付けられた場合に液剤の付与を可能とする弁が設けられたものであってもよい。この場合、液剤の付与状態と付与阻止状態との間での切り換えに際して、動作エアが必要なくなる。また、吹出し口から液剤を吹出す構成において、その吹出しに際して噴霧エアは噴出されないことで、単純に液剤が吹出される構成の吹出し式装置を用いてもよい。
【0125】
(7)支持台13上の最初の形成対象部品に対して液剤の付与を行う前における付与装置18の初期位置、及び支持台13上の全ての形成対象部品に対して液剤の付与が完了した後における付与装置18の退避用位置は、いずれの形成対象部品の上方にも配置されない位置としてもよい。
【0126】
(8)支持台13は、その上面が鉛直上方を向くようにして水平方向に配置されている構成としたが、これに限定されることはなく、当該上面(すなわち支持面)が傾斜するように支持台13が配置されている構成としてもよく、当該上面の法線が水平方向となるように支持台13が配置されている構成としてもよい。これらの場合、支持台13上において被覆層の形成対象部品を保持するための保持手段を設けることが好ましい。当該保持手段としては、形成対象部品の一部に引掛けるためのフックなどが考えられる。
【0127】
(9)支持台13の移動速度が、供給装置18の移動速度よりも低くてもよい。この場合、支持台13の振動に対して載置部13a上における向きが変化し易い部品が被覆層の形成対象となっている場合であっても、支持台13はゆっくりと移動することで、当該形成対象部品の向きが変化しづらくなる。その一方、供給装置18の移動速度を高くすることで、液剤の塗布に要する時間の短縮化が図られる。
【0128】
(10)液剤の付与に際して、供給装置18が移動している場合及び支持台13が移動している場合のいずれにおいても撹拌棒104による撹拌を停止する構成に限定されることはなく、例えば供給装置18が移動している場合には当該撹拌を停止するが、支持台13が移動している場合には当該撹拌を停止しない構成としてもよい。また、当該構成において、支持台13の移動速度を、供給装置18の移動速度よりも低くしてもよい。
【0129】
(11)液剤を付与する対象は任意であり、パチンコ機部品ではなく、スロットマシンの部品や、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機の部品であってもよく、遊技機以外の装置の部品であってもよい。
【0130】
また、液剤としては、低摩擦化を図るための被覆層を形成する液剤である必要はなく、例えば耐摩耗性を向上させるための被覆層を形成する液剤や、塗料としての被覆層を形成するための液剤であってもよい。この場合であっても液剤が複数の成分を含むのであれば、貯留タンク17に撹拌棒104を設けることが好ましい。
【0131】
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0132】
特徴1.被覆層形成対象品(形成対象部品121,122)を複数支持可能な支持部(支持台13)を有する支持手段(土台ユニット12)と、
前記支持部に配置された各被覆層形成対象品に対して被覆用液剤を付与するための付与手段(スプレー式装置18a、刷毛式装置18b)と、
前記被覆用液剤を貯留するとともに、その貯留している被覆用液剤を前記付与手段に供給経路(液剤用配管71)を通じて供給する貯留手段(貯留タンク17)と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対する前記付与手段の相対位置を変更させる位置変更手段(前後駆動部25、横駆動部35、縦駆動部42)と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対応したそれぞれの位置に前記付与手段が配置されるように前記位置変更手段を制御する位置制御手段(変位用駆動回路43、コントローラ111)と、
を備えていることを特徴とする被覆層形成システム。
【0133】
特徴1によれば、貯留手段に貯留された被覆用液剤が被覆層形成対象品に対して自動的に付与されるため、人の手により塗布する場合に比べて作業効率が向上する。また、付与手段から必要量の被覆用液剤のみを付与することが可能であるため、被覆用液剤に被覆層形成対象品を浸す場合に比べて被覆用液剤の量が少なくて済む。以上より、被覆層の形成を好適に行うことが可能となる。
【0134】
特徴2.前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段(撹拌棒104)と、
当該撹拌手段を駆動制御する撹拌駆動制御手段(撹拌用駆動回路106、コントローラ111)と、
を備え、
当該撹拌駆動制御手段は、前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とするものであることを特徴とする特徴1に記載の被覆層形成システム。
【0135】
特徴2によれば、貯留手段には被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段が設けられているため、貯留手段から付与手段に自動的に被覆用液剤が供給される構成において、被覆用液剤の成分の均一化を図ることが可能となる。
【0136】
さらにまた、付与手段による被覆用液剤の付与が行われている状況では、撹拌手段による撹拌について制限状態に設定されるため、貯留手段内の被覆用液剤が動的に安定している状態で、当該被覆用液剤を付与手段に供給することが可能となる。これにより、上記のように撹拌手段が設けられた構成であっても、付与手段から被覆用液剤を付与する場合において、撹拌手段による撹拌の影響を低減した状態で当該付与を行うことが可能となる。
【0137】
なお、上記特徴2において、「前記被覆用液剤の付与を行う状態と前記被覆用液剤の付与を行わない状態とに前記付与手段の状態を切り換える付与制御手段(供給用駆動回路84、コントローラ111)を備え、当該付与制御手段は、前記付与手段に前記被覆用液剤の付与を行なわせる場合、前記制限状態となってから予め定められた待機期間が経過した後に、前記被覆用液剤の付与を開始させるものである。」という構成を適用することで、貯留手段内の被覆用液剤が動的に安定した状態となってから被覆用液剤の付与を開始することが可能となる。
【0138】
特徴3.前記位置制御手段は、所定の前記被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了した場合、前記支持部に配置されている次の被覆層形成対象品に対応した位置に前記付与手段を移動させることにより、前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与を所定の順序で行わせるものであり、
前記撹拌駆動制御手段は、前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品のうち最初の被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が行われる前に前記制限状態に設定し、当該制限状態を前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品のうち最後の被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了するまで継続させるものであることを特徴とする特徴2に記載の被覆層形成システム。
【0139】
特徴3によれば、撹拌手段について制限状態の設定とその設定解除とを短い周期で繰り返す必要がなくなる。また、一の被覆層形成対象品に対する被覆用液剤の付与が完了してから次の被覆層形成対象品に対する被覆用液剤の付与が開始されるまでの期間内に撹拌手段による撹拌を行おうとすると、仮に次の被覆層形成対象品に対して被覆用液剤が付与されている状況では撹拌手段による撹拌を行わないとしても、その直前の期間内における撹拌の影響が出てしまうことが懸念される。これに対して、このような不都合を生じさせないようにすることが可能となる。
【0140】
特徴4.前記付与手段として、前記被覆用液剤を前記被覆層形成対象品に向けて吹き付ける吹付け口(吹付け口54)を有する吹付け式の付与手段(スプレー式装置18a)を備えており、
当該吹付け式の付与手段は、
前記吹付け口に前記被覆用液剤を供給する液剤流路(液剤流路67a)と、
前記吹付け口に噴霧用気体を供給する気体流路(噴霧エア流路55)と、
を備え、
前記吹付け口から前記被覆用液剤を吹き付ける場合に前記噴霧用気体も合わせて吹付けさせることで当該被覆用液剤を噴霧させることが可能であるとともに、前記被覆用液剤の吹付けを行わせない状況であっても前記噴霧用気体を前記吹付け口から吹付けさせることが可能な付与制御手段(供給用駆動回路84、コントローラ111)を備え、
当該付与制御手段は、前記支持部に配置されている前記被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了した後であって当該被覆層形成対象品から離れる方向に前記吹付け式の付与手段の変位が開始された後に、前記被覆用液剤の吹付けを行わせない状況で前記噴霧用気体を前記吹付け口から吹付けさせるものであることを特徴とする特徴1乃至3のいずれか1に記載の被覆層形成システム。
【0141】
特徴4によれば、被覆用液剤を吹付ける場合に噴霧用気体も合わせて吹付けることで、被覆用液剤を噴霧することが可能となり、一度の吹付けで当該被覆用液剤が付与される領域を広く確保することが可能となる。
【0142】
また、被覆用液剤の吹付けを行わない状況で噴霧用気体を吹付けることで、被覆用液剤の吹付け後において当該被覆用液剤が吹付け口に残存していたとしても、それを吹付け口から除去することが可能となる。よって、吹付け口の目詰まりを防止することが可能となる。
【0143】
さらにまた、被覆層形成対象品に対する被覆用液剤の付与が完了した後であって当該被覆層形成対象品から離れる方向に吹付け式の付与手段が変位された後に、噴霧用気体のみの吹付けが行われる。これにより、被覆用液剤の付与が完了した被覆層形成対象品に対して噴霧用気体の吹付けの影響を与えないようにしながら、吹付け口の目詰まりを防止することが可能となる。
【0144】
特徴5.前記付与手段として、前記被覆用液剤を前記被覆層形成対象品に塗布する塗布部(刷毛部93)を有する塗布式の付与手段(刷毛式装置18b)を備えていることを特徴とする特徴1乃至4のいずれか1に記載の被覆層形成システム。
【0145】
特徴5によれば、塗布部により被覆用液剤が被覆層形成対象品に直接塗布されるため、支持部上において複数の被覆層形成対象品間の距離を狭くしたとしても、塗布対象の隣の被覆層形成対象品にまで被覆用液剤が付与されてしまう可能性が低減される。
【0146】
特徴6.前記位置変更手段は、
前記支持部において前記被覆層形成対象品が配置される支持面に沿う方向である第1の方向に前記支持部を変位させる第1駆動手段(前後駆動部25)と、
前記支持面に沿う方向であって前記第1の方向に直交する方向に前記付与手段を変位させる第2駆動手段(横駆動部35)と、
を備え、
前記位置制御手段は、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を同時に駆動させることで、前記被覆用液剤を曲線状に付与させることが可能であることを特徴とする特徴1乃至5のいずれか1に記載の被覆層形成システム。
【0147】
特徴6によれば、支持部を第1の方向に変位させるとともに、付与手段を第2の方向に変位させる構成であるため、支持部及び付与手段のうち一方のみをそれら第1,第2の方向の両方に変位させる構成に比べて、各駆動手段の構成を簡素化することが可能となる。また、第1駆動手段を支持部に対して設けるとともに、第2駆動手段を付与手段に対して設けることで、第1駆動手段及び第2駆動手段を同時に駆動させることが可能となる。そして、第1駆動手段及び第2駆動手段を同時に駆動させて被覆用液剤を曲線状に付与する構成であるため、第1駆動手段と第2駆動手段とを交互に駆動させて被覆用液剤を曲線状に付与する構成に比べて、当該曲線状の付与を円滑に行うことが可能となる。
【0148】
特徴7.前記付与手段として、前記被覆用液剤を前記被覆層形成対象品に向けて吹き付ける吹付け口(吹付け口54)を有する吹付け式の付与手段(スプレー式装置18a)と、前記被覆用液剤を前記被覆層形成対象品に塗布する塗布部(刷毛部93)を有する塗布式の付与手段(刷毛式装置18b)と、を備えており、
前記被覆用液剤を付与するために使用する付与手段として、前記吹付け式の付与手段を選択することが可能であるとともに、前記塗布式の付与手段を選択することが可能であることを特徴とする特徴1乃至6のいずれか1に記載の被覆層形成システム。
【0149】
特徴7によれば、必要に応じて吹付け式の付与手段と塗布式の付与手段とを選択することが可能となり、被覆層形成対象品の形状に応じた被覆用液剤の付与を行うことが可能となる。
【0150】
特徴8.特徴1に記載の被覆層形成システムであって前記貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段を更に備えた被覆層形成システムを用いて、被覆層形成対象品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われる前に前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を開始させる工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とする工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する物品の製造方法。
【0151】
特徴8によれば、貯留手段には被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段が設けられているため、貯留手段から付与手段に自動的に被覆用液剤が供給される構成であったとしても、被覆用液剤の成分の均一化を図ることが可能となる。
【0152】
さらにまた、付与手段による被覆用液剤の付与が行われている状況では、撹拌手段による撹拌について制限状態に設定されるため、貯留手段内の被覆用液剤が動的に安定している状態で、当該被覆用液剤を付与手段に供給することが可能となる。これにより、上記のように撹拌手段が設けられた構成であっても、付与手段から被覆用液剤を付与する場合において、撹拌手段による撹拌の影響を低減した状態で当該付与を行うことが可能となる。
【0153】
特徴9.特徴1乃至7のいずれか1に記載の被覆層形成システムを用いて、被覆層形成対象品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
その付与した被覆用液剤を乾燥させて前記被覆層形成対象品に被覆層を形成させる工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する物品の製造方法。
【0154】
特徴9によれば、上記のような優れた効果を得ながら、被覆層を有する物品を製造することが可能となる。
【0155】
特徴10.特徴1乃至7のいずれか1に記載の被覆層形成システムを用いて、遊技機部品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
その付与した被覆用液剤を乾燥させて前記遊技機部品に被覆層を形成させる工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する遊技機部品の製造方法。
【0156】
特徴10によれば、上記のような優れた効果を得ながら、被覆層を有する遊技機部品を製造することが可能となる。
【0157】
なお、上記遊技機部品を有する遊技機の基本構成を以下に示す。
【0158】
パチンコ機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0159】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【0160】
10…被覆層形成システム、11…被覆層形成装置、12…土台ユニット、13…支持台、17…貯留タンク、18a…スプレー式装置、18b…刷毛式装置、25…位置変更手段又は第1駆動手段を構成する前後駆動部、35…位置変更手段又は第2駆動手段を構成する横駆動部、42…位置変更手段を構成する縦駆動部、43…位置制御手段を構成する変位用駆動回路、55…噴霧エア流路、67a…液剤流路、71…液剤用配管、84…付与制御手段を構成する供給用駆動回路、104…撹拌棒、106…撹拌駆動制御手段を構成する撹拌用駆動回路、111…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆層形成対象品を複数支持可能な支持部を有する支持手段と、
前記支持部に配置された各被覆層形成対象品に対して被覆用液剤を付与するための付与手段と、
前記被覆用液剤を貯留するとともに、その貯留している被覆用液剤を前記付与手段に供給経路を通じて供給する貯留手段と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対する前記付与手段の相対位置を変更させる位置変更手段と、
前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対応したそれぞれの位置に前記付与手段が配置されるように前記位置変更手段を制御する位置制御手段と、
前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段と、
当該撹拌手段を駆動制御する撹拌駆動制御手段と、
を備え、
当該撹拌駆動制御手段は、前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とするものであることを特徴とする被覆層形成システム。
【請求項2】
前記位置制御手段は、所定の前記被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了した場合、前記支持部に配置されている次の被覆層形成対象品に対応した位置に前記付与手段を移動させることにより、前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与を所定の順序で行わせるものであり、
前記撹拌駆動制御手段は、前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品のうち最初の被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が行われる前に前記制限状態に設定し、当該制限状態を前記支持部に配置されている各被覆層形成対象品のうち最後の被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了するまで継続させるものであることを特徴とする請求項1に記載の被覆層形成システム。
【請求項3】
前記付与手段として、前記被覆用液剤を前記被覆層形成対象品に向けて吹き付ける吹付け口を有する吹付け式の付与手段を備えており、
当該吹付け式の付与手段は、
前記吹付け口に前記被覆用液剤を供給する液剤流路と、
前記吹付け口に噴霧用気体を供給する気体流路と、
を備え、
前記吹付け口から前記被覆用液剤を吹き付ける場合に前記噴霧用気体も合わせて吹付けさせることで当該被覆用液剤を噴霧させることが可能であるとともに、前記被覆用液剤の吹付けを行わせない状況であっても前記噴霧用気体を前記吹付け口から吹付けさせることが可能な付与制御手段を備え、
当該付与制御手段は、前記支持部に配置されている前記被覆層形成対象品に対する前記被覆用液剤の付与が完了した後であって当該被覆層形成対象品から離れる方向に前記吹付け式の付与手段の変位が開始された後に、前記被覆用液剤の吹付けを行わせない状況で前記噴霧用気体を前記吹付け口から吹付けさせるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被覆層形成システム。
【請求項4】
前記位置変更手段は、
前記支持部において前記被覆層形成対象品が配置される支持面に沿う方向である第1の方向に前記支持部を変位させる第1駆動手段と、
前記支持面に沿う方向であって前記第1の方向に直交する方向に前記付与手段を変位させる第2駆動手段と、
を備え、
前記位置制御手段は、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段を同時に駆動させることで、前記被覆用液剤を曲線状に付与させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の被覆層形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の被覆層形成システムを用いて、被覆層形成対象品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
その付与した被覆用液剤を乾燥させて前記被覆層形成対象品に被覆層を形成させる工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する物品の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の被覆層形成システムを用いて、遊技機部品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
その付与した被覆用液剤を乾燥させて前記遊技機部品に被覆層を形成させる工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する遊技機部品を備えた遊技機の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載された製造方法により製造された遊技機。
【請求項8】
被覆層形成対象品を複数支持可能な支持部を有する支持手段と、前記支持部に配置された各被覆層形成対象品に対して被覆用液剤を付与するための付与手段と、前記被覆用液剤を貯留するとともに、その貯留している被覆用液剤を前記付与手段に供給経路を通じて供給する貯留手段と、前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対する前記付与手段の相対位置を変更させる位置変更手段と、前記支持部に配置された前記各被覆層形成対象品に対応したそれぞれの位置に前記付与手段が配置されるように前記位置変更手段を制御する位置制御手段と、前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段に貯留されている被覆用液剤を撹拌するための撹拌手段と、を備えた被覆層形成システムを用いて、被覆層形成対象品に前記被覆用液剤を付与する工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われる前に前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を開始させる工程と、
前記付与手段による前記被覆用液剤の付与が行われている状況では、前記撹拌手段による前記被覆用液剤の撹拌を制限する制限状態とする工程と、
を備えていることを特徴とする被覆層を有する物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−573(P2012−573A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138500(P2010−138500)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】