説明

被覆鋼帯のフレキシブルロール圧延のための方法

本発明は、板金部材を製造するための方法であって、熱延又は冷延鋼帯が溶融浸漬めっき又は電解めっきされ、めっきされた熱延又は冷延鋼帯はフレキシブルロール圧延処理され、フレキシブルロール圧延処理中、異なるロール圧力によって、鋼帯が肉厚の異なる板金となるようにフレキシブルロール圧延され、めっき時に、前記フレキシブルロール圧延後の板金肉厚に対応して、また、前記フレキシブルロール圧延時のロール圧力に対応して、異なる厚さのめっき層が形成され、その際、ロール圧力に応じ、ロール圧力の高まりが予測されると、めっき層厚さを厚く形成する処理、又は前記めっき層に対して、前フレキシブルロール圧延の前又は後に所望の放射率又は熱吸収率を付与するための機械的又は化学的表面処理、あるいはその両方の処理が施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆鋼帯のフレキシブルロール圧延のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許公開公報第102004023886号から、フレキシブルロール圧延鋼帯を精密加工するための方法及び装置が公知である。フレキシブルロール圧延鋼帯の製造にあたり、この鋼帯の厚さが周期的に変化させられ、これにより、製造する板金部材の鋼帯長手方向に求められる仕様に適合した材料厚さを有するブランク用基材が連続工程で製造される。圧延工程が終了すると、鋼帯は、コイルに巻き取られる。熱処理は、通例、巻き取られたコイルに対して行われる。続いて、鋼帯は再びコイルから巻戻されて、表面処理され、新たにコイルに巻き取られる。その後のさらなる工程において各ブランクの分割と、それぞれに割り与えられた板金部材を作り出すための二次加工が行われる。この工程は、複雑かつコスト高であり、鋼帯の材料厚さが異なるせいで表面処理を最適化できないために、ドイツ特許公開公報第102004023886号の課題は、フレキシブルロール圧延鋼帯の精密加工の容易化ならびに改善を実現するための改良された方法及びこの方法に適合した装置を提案することである。この課題は、鋼帯がフレキシブルロール圧延鋼帯として製造されて、巻き取られ、続いてコイルから巻戻されて、高熱加熱区間、急冷ユニット、予熱ユニット及び亜鉛めっき浴からなる処理工程ラインを全体として連続的に通過させることでことで熱処理及び加熱亜鉛めっき処理が施されることによって解決される。そのため、高熱加熱設備、急冷設備、予熱ユニット及び亜鉛めっき浴を備えた連続加熱炉が設けられ、さらにその最終ステージに位置するブローノズルが設けられる。亜鉛めっきは470〜500℃にて行われ、その際、先行する熱処理に使用されたエネルギーの一部は亜鉛めっき工程で活用される。場合によっては、亜鉛めっき浴後方のブロー装置において、正確なめっき層厚さを達成すべく制御するため、付着している過剰な亜鉛が鋼帯から除去され、その後での鋼帯の厚さが検出され、その検出結果がノズル間隔の制御に利用される。
【0003】
ドイツ特許公開公報第102005031461号から、厚さ変化で特徴付けられた断面形状を有するマイクロ合金冷延鋼帯を製造するための方法が公知である。ここでは、実質的に均一な厚さと強度とを有する熱延鋼帯が、5〜60%の範囲の圧延率にて、実質的に一定の鋼帯厚さを有する冷延鋼帯に圧延され、500〜600℃の温度にて冷延鋼帯の焼きなまし処理が実施され、次いで、冷延鋼帯の第2の圧延が行われ、その際、厚肉領域と薄肉領域とによる所定の厚さ推移が生ずるようにしてフレキシブルロール圧延が実施され、続いて、第2の焼きなまし処理が実施される。
【0004】
欧州特許第1074317号から、金属帯材をフレキシブルロール圧延するための方法が公知である。この場合、金属帯材は、圧延処理の間、2本の作業ロールの間に形成されたロール間隙を通して案内され、このロール間隙は圧延処理の間、金属帯材の全長にわたって異なる金属帯材厚さを達成すべく、意図的に変化させられる。このフレキシブルロール圧延は、圧延処理の間、ロール間隙が意図的に変化させられ、こうした圧延により、異なる金属帯厚さを有する、異なる長さの金属帯部材が形成され、これらの金属帯部材は異なる勾配を経て互いに結合されていることを特徴としている。このフレキシブルロール圧延の目的は、応力及び重量の点で最適化された断面形状を有する圧延製品を製造することである。この欧州特許第1074317号は、幅広の帯材にあっても平坦性の向上した金属帯材を得るための、改善されたフレキシブルロール圧延実施方法を提案している。
【0005】
欧州特許第1080800号から、前述したものと実質的に同じフレキシブルロール圧延実施方法が公知であり、ここでは、圧延中に金属帯材に作用する温度が補償制御されることで、金属帯材の設定最終温度における金属帯材の目標厚さ及び/又は目標長さの誤差を回避しよとしている。
【0006】
さらに、欧州特許公開公報第1181991号から、容易な方法で非対称的な金属帯材厚さ勾配の達成を可能にする、金属帯材のフレキシブルロール圧延を行うための方法及び装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開公報第102004023886号
【特許文献2】ドイツ特許公開公報第102005031461号
【特許文献3】欧州特許第1074317号
【特許文献4】欧州特許第1080800号
【特許文献5】欧州特許公開公報第1181991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、焼入れプレス処理を受ける、フレキシブルロール圧延耐食金属帯を従来よりも遥かに安価に製造する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、請求項1記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0010】
その他の好適な実施形態の特徴は従属請求項に記載されている。
【0011】
従来技術から公知のように、異なる厚さを有する鋼帯を製造するフレキシブルロール圧延では、異なるロール圧力が用いられる。ただし、フレキシブルロール圧延はめっき層の厚さ層にも作用するために、従来は、フレキシブルロール圧延には、亜鉛めっき又はその他の方法でめっきされた鋼板は使用されなかった。さらに、本発明では、フレキシブルロール圧延後に要求される異なる鋼板厚さに応じて異なる加熱曲線が要求されるという問題を考慮している。フレキシブルロール圧延の後工程の加熱処理が、特にはプレス焼入れが加熱されたブランクを熱成形型に装入してそこで成形するか又は直接部材を成形してから加熱して成形型内で型焼入れする、ことになるからである。これは、異なる加熱曲線によって異なる温度が作り出されることとなり、それにより、鋼板厚さに応じて材料特性がさまざまに変化することにもなるという点で、問題がある。
【0012】
本発明により、フレキシブルロール圧延する鋼帯に対して行われるめっきは、溶融浸漬めっき及び電解めっきである。可能な溶融浸漬めっきは、例えば、加熱亜鉛めっき又は加熱アルミニウムめっきであるが、ただし、それらの混合態様、すなわち、亜鉛・アルミニウム合金めっき、また、亜鉛とその他の金属との合金めっき、又はアルミニウムとその他の金属との合金めっきもそうである。
可能な電解めっきは、例えば、電解被着亜鉛めっきであるが、ただし、その他の電解被着金属めっきも可能であることはいうまでもない。
【0013】
以下において、亜鉛めっき又は加熱亜鉛めっきが論じられる場合には、それはその他の上述の可能なめっきを代表するものとして使用されているにすぎない。
【0014】
本発明によって認識された、種々相違した鋼板厚さは鋼帯全長にわたって異なる加熱曲線が生じると共に、フレキシブルロール圧延処理の結果として種々の異なる厚さの亜鉛めっき層が生ずるとの問題は、本発明により、熱延鋼帯がフレキシブルロール圧延前に加熱亜鉛めっきされ、及び/又は、亜鉛めっき表面の機械的又は化学的処理によって放射率ないし吸収率に影響を与えることによって解決される。放射率/吸収率のこうした調整により、鋼帯全長にわたって、異なる熱容量を達成することが可能である。例えば、鋼帯及び/又はめっき層が特に薄い領域の吸収率は低く設定され、鋼帯及び/又はめっき層が特に厚い領域の吸収率は特に高く設定される。当然、これに相応して中間厚さに対しても適切な吸収率が設定される。
【0015】
フレキシブルロール圧延処理の結果としての異なる亜鉛めっき層厚さを補整して、フレキシブルロール圧延後のすべての鋼板部分が統一的な厚さの亜鉛めっき層で被覆されていると共に、統一的な耐食特性も有するようにすべく、熱延鋼帯の加熱亜鉛めっきに際し、亜鉛めっき層厚さは可変調節式のスクレーパ力ないし追加的な電磁場によって予備的に調整される。したがって、続いて、非常に薄肉にフレキシブルロール圧延される領域は、加熱亜鉛めっき後に、厚い亜鉛めっき層を有し、厚肉のままとされる領域は薄い亜鉛めっき層を有することになる。この場合にも、当然、相応して異なる中間厚さ領域もそのような層を持つことになる。あるいはそうした中間厚さ領域が容易に設定可能である。
【0016】
本発明による方法により、後処理としての亜鉛めっきのためのコイル搬送コスト、ならびに従来技術において通例の覆い式焼きなましが不要となるために、コストパフォーマンスに著しく優れたフレキシブルロール圧延自動車板金部材の製造が実現される。加えてさらに、ヴッパーマン法(WM−FVZ、図2参照)による個品亜鉛めっき又は狭幅鋼帯亜鉛めっきに代えて、コスト的に著しく有利な連続加熱亜鉛めっき工程を鋼帯に適用することができるため、この場合にも顕著なコスト節減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1つの実施形態における方法の工程を模式的に示すフローチャートである。
【図2】従来技術による方法の工程を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を例示的に説明する。
従来技術において、これまで通例、非めっきの標準自動車用熱延鋼帯が規格化されており、これがフレキシブルロール圧延され、次いで、圧延によって生じた組織変化を再び除去すべく、再結晶焼きなましされている。この再結晶焼きなましは、通例、覆い型焼きなまし炉で行われ、その際、鋼帯は先ずコイル体となるように巻き取られ、全体としてのコイル体が焼きなましされる。続いて、この焼きなましされたコイル体は亜鉛めっき装置に搬送され、そこで亜鉛めっきされ、その後に再び戻されて、ブランクに切断されたのち、完成品となる部材に成形される。
【0019】
本発明によれば、熱延鋼帯又は冷延鋼帯は加熱亜鉛めっき設備に供給され、そこで、鋼帯はコイル体から巻き戻され、先行する鋼帯に溶接接合されて、亜鉛めっき装置を通過する。亜鉛めっき装置内で鋼帯の加熱が行なわれ、続いて、それ自体公知の加熱亜鉛めっき浴通過が行なわれる。
【0020】
加熱亜鉛めっき浴の後方に、亜鉛めっきされたばかりの鋼帯上の亜鉛めっき層を調整する剥離用ノズが設けられることはそれ自体公知である。その際、空気又はその他のガスが、幅広スリットノズルから、まだ液状の亜鉛めっき層上に吹き付けられるため、液状亜鉛を鋼帯通過方向とは反対方向に押し戻す圧力が亜鉛層上に生じ、その結果、めっきノズルの処理を終えると、所定のめっき層厚さが得られることになる。続いて、鋼帯は、場合により、熱処理ないし冷却される。
【0021】
本発明によれば、スクレーパ装置により、種々に形成された層厚さを有する亜鉛めっき層が作り出される。このスクレーパ装置は、電磁場を介して亜鉛めっき層に剥離作用を及ぼす装置であってもよい。
【0022】
亜鉛めっき装置を通過する鋼帯の長さが予めわかっていると、その後のフレキシブルロール圧延時に薄肉に圧延される鋼帯の長さ及び肉厚ががわかる。その後フレキシブルロール圧延を引き受ける圧延ロールは鋼帯の長さに応じても調整され、しかも、正確なコイル体の、正確な鋼帯部分又は正確にどこの鋼帯長さ部分がちょうど圧延ロールを通過しているかはいつでも既知であることから、剥離用ノズル圧力を変化させるのに同じ制御装置が使用される。したがって、鋼帯の異なる領域に異なる厚さの亜鉛めっき層を確保することも可能である。例えばその後、特に強度に、つまり薄肉に圧延される領域では、ノズル圧力は低く選択されて、その後低い圧延率が実施される領域よりも少ない材料がスクレーパされる。こうした処置により、その後フレキシブルロール圧延された鋼帯全体にわたって、鋼帯厚さが異なっていても、統一的な厚さの亜鉛めっき層を確保することが可能である。
【0023】
上記加熱亜鉛めっき法は、同様にして、その他の溶融亜鉛めっきの場合にも問題なく使用できることはいうまでなく、これは、例えば、加熱アルミニウムめっき又は、アルミニウム系合金又は亜鉛系合金ならびにその他の金属からなる合金の溶融浸漬めっき又は、亜鉛及びアルミニウム以外の金属による溶融浸漬めっきについても同様である。
【0024】
電解めっきにおいて、被着するめっき層厚さは、電解実効電流の強さ及び/又は電解めっき浴を通過する鋼帯速度を介して制御されるが、その際、制御装置として、フレキシブルロール圧延時に正確な位置で異なる鋼板厚さの変化も実現する制御装置を同じく使用することが実質的に可能である。
【0025】
めっき処理、例えば亜鉛めっきの後、続いて、フレキシブルロール圧延を行うことができるが、この場合、フレキシブルロール圧延に際して、異なる鋼板厚さは、既述のように、鋼帯長さに関連して正確にポジショニングされて、達成される。フレキシブルロール圧延された鋼板から、続いて、それ自体公知の方法で、相応して、長さないし幅に関して所定の厚さ推移も有するブランクが切断される。これらの異なる厚さ勾配を有するブランクは、次いで、本発明により、焼入れプレスに使用される。
この場合、焼入れプレスは2つの異なる方法で実現可能である。
【0026】
第1の方法において、切断されたブランクはオーステナイト化され、つまり、鋼材に応じてオーステナイト転移が生ずる熱処理される。続いて、高温のブランクは熱成形型に装入され、熱成形型内で所定形状の部材に成形されると同時に冷却される。この場合、冷却は限界焼入れ温度以上の温度で行われるために、成形型内で、同時に、硬化が生ずる。焼入れされて成形されたブランクは続いてプレス機を離れるが、これは、場合により、なお手直しを施すことができるかもしくはすでに完成品である。
【0027】
第2の実施形態では、熱成形に代えて、型焼入れが実施される。型焼入れの場合、ブランクは冷間成形される。この冷間成形は、三次元方向のすべての方向にすでに完全に行なわれているのが好ましく、辺縁の裁断及び穴パターンの生成についても同様である。好ましくは、0.5〜2%の過小寸法のブランクが三次元方向に成形され、続いて、オーステナイト化される。オーステナイト化に際し、0.5〜2%の縮小成形は熱膨張によって補償されるため、所定の完全な加熱が行なわれた後の成形済みブランクは完成形状寸法を有している。今や完成形状寸法ないし完成輪郭に一致したこのブランクは、同じく、所望の完成部材の正確な輪郭ないし形状寸法を有する焼入れ型に装入される。部材は、焼入れ型内で、少なくとも特に強く成形された、例えば厚肉に成形された領域において、型との間で相互の幾何形状を合わせた状態で保持され、好ましくは完全に相互の凹凸を一致させた状態で保持されて、冷却され、この冷却によって硬化される。
続いて、部材は、完成品として焼入れ型から取り出される。
【0028】
上述したように、ブランクのオーステナイト化が行われる。その際、ブランクは、好ましくは使用された22MnB5タイプの焼入れ鋼の場合、約900〜950度に加熱される。ブランクが異なる鋼板厚さを有していることにより、鋼板中においても、異なる熱勾配ないし熱処理勾配が生じ、これらは最終的にブランクの全長ないし全幅にわたって異なる温度となる。完全な焼入れが施されるため、厚肉の鋼板領域も少なくともオーステナイト化温度に達しなければならない。ただし、これは薄肉の鋼板領域がいわば過熱されるという結果をもたらす。ブランクにおけるこのような処理工程全体に及ぶ、異なる厚さの鋼板領域での異なる温度勾配ないし熱処理勾配により、異なる硬度ないし材料特性が生じてしまう。
【0029】
これを回避又は減少させるべく、亜鉛めっきの後、またフレキシブルロール圧延の前に、又は、フレキシブルロール圧延の後、またブランク切断の前に、鋼帯の表面にその目的にかなった影響を与える処理が施される。
【0030】
そのような鋼帯の表面処理は種々の方法で行うことが可能である。この表面処理の目的は、熱ないし熱放射の放射率ないし吸収に影響を与えることである。これにより、圧延前の亜鉛めっき層被着厚さのさまざまな相異も回避可能であると共に、単に表面処理によるだけで、ほぼ同じ特性が焼きなまし時に達成される。
【0031】
本発明によれば、これは、艶消し処理、ドレッシングすなわち表面の微小輪郭削り、又は付加的なコーティングによって行うことも提案される。
この場合、フレキシブルロール圧延時に特に強く圧延されて、その後薄肉の鋼帯領域を生ずる領域を特に強度な反射又は放射を生ずるように形成させ、オーステナイト化のための加熱時にできるだけ僅かな熱しか吸収しないようにすることが可能となる。
【0032】
その後のフレキシブルロール圧延後に厚肉に形成される領域又はすでにフレキシブルロール圧延されて厚肉に形成されている領域は、艶消しされた低反射表面ないしドレッシングされた表面を得るように表面処理されるか、暗色仮保護塗膜が付されるか、特に優れた熱放射吸収を可能にして、厚肉領域の十分な加熱を可能にする金属酸化物表面コートが形成されるようにすることができる。
【0033】
表面処理には、実質的に、フレキシブルロール圧延又はフレキシブル亜鉛めっきに使用されるのと同じ制御装置が使用されるため、位置的に正確にかつ非常に適正に、当該領域のそれぞれの表面性状を変化させることが可能である。
【0034】
本発明の利点は、焼入れのために熱処理されなければならない焼入れ鋼を、フレキシブルロール圧延し、なお防食めっきを施して形成することが可能である点にあり、この場合、材料特性の点で優れた均質性を有する製品が得られる。
【0035】
加えてさらに、本方法により、非常に安価な方法で鋼板部材を得ることが可能である。
この場合、本発明は、例えば22MnB5タイプの焼入れ性鋼材に制限されるものではない。フレキシブル亜鉛めっきないしフレキシブルなめっき層厚さによる亜鉛めっきは、なんらその他の熱処理されることのない鋼板の場合にも、適用可能である。
【0036】
加えてさらに、フレキシブルロール圧延後に、本来の材料特性が回復すりょうに、焼きなましされる鋼板であって、本発明によるフレキシブル亜鉛めっきが施されてフレキシブルロール圧延された鋼板を連続焼鈍処理にかけることが可能であり、この場合、表面の放射率が異なって設定されていることにより、連続焼鈍処理法においても、非常に正確均質な材料特性分布が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金部材を製造するための方法であって、熱延又は冷延鋼帯が溶融浸漬めっき処理又は電解めっき処理され、前記めっきされた熱延又は冷延鋼帯はフレキシブルロール圧延処理され、前記フレキシブルロール圧延処理に際し、異なるロール圧力によって、前記鋼帯が肉厚の異なる板金となるようにフレキシブルロール圧延され、
めっき処理時に、前記フレキシブルロール圧延後の板金肉厚に対応して、また、前記フレキシブルロール圧延時のロール圧力に対応して、異なる厚さのめっき層が形成され、その際、ロール圧力に応じ、ロール圧力の高まりが予測されると、めっき層厚さを厚く形成する処理、又は前記めっき層に対して、前記フレキシブルロール圧延の前又は後に所望の放射率又は熱吸収率を付与するための機械的又は化学的表面処理、あるいはその両方の処理が施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記めっき層厚さが、溶融浸漬めっき設備における剥離用ノズルにおけるガス流圧力の強さによって調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記めっき層厚さが、電解実効電流の強さの変化及び/又は電解浴中の鋼帯通過速度によって調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記めっき層厚さが、電磁法によるか又は電磁法を含む方法を用いて調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記表面が、艶消し処理又は反射特性処理又は有色被覆処理又はドレッシング処理によって形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記鋼帯のめっき層厚さの制御及び/又は前記表面処理の制御のために、前記鋼帯の位置的に正確なフレキシブルロール圧延を実施するために必要な制御装置が使用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
鋼材として、焼入れ鋼が使用されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
22MnB5タイプの鋼材が使用されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
鋼材厚さに応じて異なるめっき層厚さをもって及び/又は表面処理が施されて形成された前記フレキシブルロール圧延された鋼材からブランクが切断され、前記ブランクは続いてオーステナイト化され、オーステナイト化された高温の前記ブランクは熱成形され、熱成形型中で冷却され、前記冷却によって硬化されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
鋼板厚さに対応しためっき層を有するとともに表面処理なし又は表面処理有りでフレキシブルロール圧延された鋼帯からブランクが切断され、前記ブランクは続いて冷間成形され、冷間成形された前記ブランクは続いてオーステナイト化され、前記オーステナイト化された高温の成形済みブランクは焼入れ型に装入され、前記焼入れ型は完成部材の輪郭又は形状寸法に実質的に一致しており、前記高温の成形済みブランクは前記焼入れ型内で、少なくとも強く成形された領域において、型との間で相互の幾何形状を合わせた状態で保持されて、冷却され、硬化されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
めっき層として、亜鉛又は亜鉛系からなる溶融浸漬めっき処理による層、又はアルミニウム又はアルミニウム系からなる溶融浸漬めっき処理による層、又は亜鉛又は亜鉛系からなる電解めっき処理による層が被覆されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−521588(P2010−521588A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553929(P2009−553929)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000786
【国際公開番号】WO2008/113426
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506029255)フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー (11)
【氏名又は名称原語表記】VOESTALPINE STAHL GMBH
【住所又は居所原語表記】VOESTALPINE−STRASSE 3, A−4020 LINZ, AUSTRIA
【Fターム(参考)】