説明

複合顕微鏡

【課題】試料に対するより幅広い解析を行うことを可能とすること。
【解決手段】試料5上のXY座標に対応させてLSM像とSPM像とをCPU18により画像情報メモリ22aに記憶し、SPM像のZ座標位置情報DzをCPU18により高さ情報メモリ22bに記憶し、CPU18によって高さ情報メモリ22bからSPM像のZ座標位置情報Dzを読み出すと共に、画像情報メモリ22aに記憶されたLSM像に含まれる輝度情報Dpを抽出し、これらZ座標位置情報Dzと輝度情報Dpとを合わせて試料5の三次元画像情報を作成して表示部23に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の輝度情報を含む光学像の情報を測定する光学顕微鏡と、試料の高さ情報を含む物性情報を測定する走査型プローブ顕微鏡とを有する複合顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡(以下、SPMと称する)ユニットと走査型レーザ顕微鏡(以下、LSMと称する)ユニットとを組み合わせた装置が例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1は、LSMユニットによってレーザビームを試料上に照射し、試料上に形成されるレーザビームのスポットをガルバノスキャナ等によってラスタスキャンし、試料からの反射光を光検出器で受光してその出力信号をガルバノスキャナ等のスキャン信号に同期した処理を行い試料表面の光学像情報(LSM像)を取得し、このLSM像を例えばCRTディスプレイに表示することを開示している。
【0003】
又、特許文献1は、例えばジョイスティック又はマウスを操作してCRTディスプレイに表示された画像上でマーカを移動し、このマーカによってSPMユニットの探針の走査領域を指定し、この指定した走査領域にSPMユニットの探針を走査させて原子レベルオーダの試料の高さ情報を含む物性情報すなわちSPM像を測定することを開示している。
【特許文献1】特許第3126047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、特許文献1は、LSMユニットによって取得した試料表面のLSM像とSPMユニットによって測定された試料のSPM像とをそれぞれ独立してCRTディスプレイに表示するものであって、オペレータは、試料表面のLSM像とSPM像とをそれぞれ別々に表示して試料を観察するものとなる。
【0005】
試料表面のLSM像は、試料表面の輝度情報を有しており、オペレータは、CRTディスプレイに表示されるLMS像から試料表面の輝度の状態を観察できる。一方、試料表面のSPM像は、試料表面の高さ情報を有しており、オペレータは、CRTディスプレイに表示されるSPM像から試料表面の高さ、すなわち凹凸形状を高精度に観察できる。
【0006】
しかしながら、試料表面のLSM像とSPM像とをそれぞれ別々に表示して試料を観察しなければならないので、LSM像の観察結果とSPM像の観察結果との対応を付けるのが難しく、試料に対する幅広い解析を行うのに困難性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、試料の輝度情報を含む光学像の情報を測定する光学顕微鏡と、試料の高さ情報を含む物性情報を測定する走査型プローブ顕微鏡とを有する複合顕微鏡において、光学顕微鏡により測定された光学像情報と走査型プローブ顕微鏡により測定された物性情報とを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された光学像情報に含む輝度情報と物性情報に含む高さ情報とを合わせて試料の三次元画像情報を作成する画像処理部と、画像処理部により作成された三次元画像情報を表示する表示部とを具備した複合顕微鏡である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、試料に対するより幅広い解析を行うことを可能とする複合顕微鏡を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は複合顕微鏡の構成図である。除振台1上には、XYステージ2が設けられている。このXYステージ2は、X軸方向に移動可能なXステージ3と、X軸方向に直交するY軸方向に移動可能なYステージ4とを有する。これらXステージ3とYステージ4とは、それぞれ独立してX軸方向、Y軸方向に移動可能である。このXYステージ2上には、試料5が載置される。
【0011】
位置検出器6がXYステージ2に設けられている。この位置検出器6は、XYステージ2の移動位置を検出し、その位置検出信号を出力する。
【0012】
又、除振台1上には、門型フレーム7が設けられている。この門型フレーム7は、XYステージ2の上方を囲うように設けられる。この門型フレーム7の上部には、試料5の輝度情報を含む光学像の情報を測定する光学顕微鏡としての走査型レーザ顕微鏡(LSM)ユニット8と、試料5の高さ情報を含む物性情報を測定する走査型プローブ顕微鏡(SPM)ユニット9とが所定の間隔で設けられている。これらLSMユニット8及びSPMユニット9は、試料5の上方に配置され、試料5と対峙するものとなる。
【0013】
これらLSMユニット8とSPMユニット9とは、それぞれ例えばX軸方向に沿って所定の間隔だけ離れて設けられている。従って、Xステージ3のX軸方向への移動によって試料5がLSMユニット8又はSPMユニット9の下方に搬送される。
【0014】
LSMユニット8は、レーザビームを試料5上にラスタスキャンし、試料5からの反射光を受光して試料5の表面の光学像情報(LSM像)を取得する。このLSMユニット8は、その下部にZ駆動機構10を介してレボルバ11が設けられ、このレボルバ11に複数の対物レンズ12が取り付けられている。Z駆動機構10は、レボルバ11及び複数の対物レンズ12を一体的にZ軸方向に昇降させる。
【0015】
このZ駆動機構10には、Z位置検出装置13が設けられている。このZ位置検出装置13は、Z駆動機構10の駆動による対物レンズ12のZ軸方向への移動位置を検出し、その位置検出信号を出力する。
【0016】
図2はLSMユニット8の構成例を示す。光源80は、レーザビームを出射する。この光源80から出射されるレーザビームの光路上には、ビームエキスパンダ81、ハーフミラー82が設けられている。ビームエキスパンダ81は、光源80から出射されるレーザビームのビーム径を拡大する。ハーフミラー82は、光源80からのレーザビームを透過し、かつ試料5からの反射光ビームを反射する。
【0017】
このハーフミラー82の透過光路上には、Y軸ガルバノミラー83が設けられ、このY軸ガルバノミラー83のスキャン方向にX軸ガルバノミラー84が設けられている。Y軸ガルバノミラー83は、ハーフミラー82を透過したレーザビームをY軸方向にスキャンする。X軸ガルバノミラー84は、Y軸ガルバノミラー83によってY軸方向にスキャンされたレーザビームをX軸方向にスキャンする。これらY軸ガルバノミラー83及びX軸ガルバノミラー84の各スキャン動作の結果、レーザビームは、XY軸方向にラスタスキャンされる。このラスタスキャンされるレーザビームの光路上には、対物レンズ12が配置される。
【0018】
又、ハーフミラー82の反射光路上には、結像レンズ85、ピンホール86、受光素子87が設けられている。結像レンズ85は、ハーフミラー82で反射した試料5からの反射光ビームを収束する。ピンホール86は、対物レンズ12によるレーザビームの収束点と共役な位置に設けられている。受光素子87は、ピンホール86を通過した反射光ビームのみ受光してその受光強度に応じた光強度検出信号を出力する。
【0019】
SPMユニット9は、門型フレーム7の上部に対してZ移動機構14を介して設けられている。このZ移動機構14は、SPMユニット9をZ軸方向に昇降させる。又、このZ移動機構14には、Z位置検出装置15が設けられている。このZ位置検出装置15は、Z移動機構14の駆動によるSPMユニット9のZ軸方向への移動位置を検出し、その位置検出信号を出力する。
【0020】
SPMユニット9は、探針16を走査させて原子レベルオーダで試料5の高さ情報を含む物性情報すなわちSPM像を取得する。すなわち、SPMユニット9は、その下部にカンチレバー17が設けられている。このカンチレバー17の自由端(先端部)に探針16が設けられている。SPMユニット9は、カンチレバー17をXY軸方向にスキャンさせると共にZ軸方向に変位させる(Zサーボ制御)スキャナーと、カンチレバー17の変位を検出する変位センサとを内蔵する。このうち変位センサは、例えばカンチレバー17に光ビームを照射する光源と、カンチレバー17で反射した光ビームの位置を検出する受光素子とを有する光てこ方式が用いられる。
【0021】
次に、画像処理系の構成について説明する。複合顕微鏡の全体を制御する中央演算処理部(CPU)18が設けられている。このCPU18には、ステージコントローラ19、スキャナコントローラ20、指示入力部21、記憶部22及び表示部23が接続されている。
【0022】
ステージコントローラ19は、位置検出器6から出力されたXYステージ2の移動位置を示す位置検出信号と、Z位置検出装置13から出力される対物レンズ12のZ軸方向への移動位置を示す位置検出信号と、Z位置検出装置15から出力されるSPMユニット9のZ軸方向への移動位置を示す位置検出信号とを入力し、LSMユニット8の対物レンズ12又はSPMユニット9の探針16が試料5に対峙するようにXYステージ3をXY軸方向に移動制御する。
【0023】
スキャナコントローラ20は、SPMユニット9に内蔵されているスキャナー、すなわちカンチレバー17をXY軸方向にスキャンさせると共にZ軸方向に変位させるスキャナーを動作制御する。
【0024】
指示入力部21としては、例えばSPMユニット9による試料5の表面上における測定領域の指定や表示部23に表示する画像の指定などの各種指定を行うためのもので、マウス及びキーボードが用いられる。
【0025】
記憶部22は、画像情報メモリ22aと高さ情報メモリ22bとを有する。
【0026】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイである。
【0027】
これらCPU18、指示入力部21、記憶部22及び表示部23は、パーソナルコンピュータを構成する。
【0028】
CPU18は、LSMユニット8の測定により取得される試料5の表面の光学像情報(LSM像)とSPMユニット9の測定により取得される物性情報(SPM像)とを記憶部22の画像情報メモリ22aに記憶する。このときCPU18は、試料5上のXY座標に対応させてLSM像とSPM像とを画像情報メモリ22aに記憶する。
【0029】
これと共にCPU18は、SPMユニット9によりSPM像を取得するときのXY座標位置情報を画像情報メモリ22aに記憶し、かつカンチレバー17のZ軸方向への変位に応じた高さ情報すなわちZ座標位置情報を高さ情報メモリ22bに記憶する。
【0030】
LSM像の取得は、例えば次のように行われる。CPU18は、LSMユニット8のZ駆動機構10を駆動して対物レンズ12をZ軸方向に所定間隔毎に例えば上昇させ、各Z軸座標の高さ位置毎にLSMユニット8により試料5の各LSM像を取得することを繰り返し、これらLSM像から試料5の全面に合焦する各LSM像を抽出(エクステンド画像)し、画像情報メモリ22aに記憶する。
【0031】
又、CPU18は、LSMユニット8のZ駆動機構10を駆動して対物レンズ12をZ軸方向の任意の位置に設定し、このZ軸座標でLSMユニット8により試料5のLSM像を取得し、すなわち1ショットのLSM像を取得して画像情報メモリ22aに記憶する。
【0032】
CPU18は、複合顕微鏡全体の一連の動作制御をするもので、予め格納された画像制御表示プログラムを実行することにより画像処理部18aを動作させ、又その結果を表示部23に表示する。
【0033】
画像処理部18aは、高さ情報メモリ22bに記憶されたSPM像のZ座標位置情報を読み出すと共に、画像情報メモリ22aに記憶されたLSM像に含まれる輝度情報を抽出し、これらZ座標位置情報と輝度情報とを合わせて試料5の三次元画像情報を作成する。
【0034】
表示制御部18bは、画像処理部18aにより作成された試料5の三次元画像情報を表示部23に表示する。
【0035】
具体的に画像処理部18aは、SPMユニット9により測定されたSPM像を表示部23に三次元表示させ、かつ表示部23に表示されているSPM像に含まれるZ座標位置情報に従ってLSMユニット8により取得されたLSM像に含まれる輝度情報を貼り付けて試料5の三次元画像情報を作成する。この場合、画像処理部18aは、試料5上のXY座標に従ってSPM像に含まれるZ座標位置情報にLSM像の輝度情報を貼り付ける。
【0036】
又、画像処理部18aは、LSMユニット8の測定により取得された試料5の表面のLSM像とSPMユニット9の測定により取得されたSPM像とを画像情報メモリ22aから読み出し、これらLSM像とSPM像とを並列に並べた画像データを作成し、表示制御部18bに渡す。この表示制御部18bは、LSM像とSPM像とを表示部23に同時に表示する。すなわち、表示制御部18bは、表示部23の表示画面を例えば2分割し、これら分割画面にそれぞれLSM像とSPM像とを表示する。
【0037】
次に、上記の如く構成された複合顕微鏡の動作について説明する。
【0038】
LSMユニット8により試料5のLSM像を取得する。すなわち、図2に示すように光源80からレーザビームが出射されると、このレーザビームは、ビームエキスパンダ81によりビーム径が拡大され、ハーフミラー82を透過し、Y軸ガルバノミラー83及びX軸ガルバノミラー84の各スキャン動作によってXY軸方向にラスタスキャンされる。このラスタスキャンされたレーザビームは、対物レンズ12を通して試料5の表面上をスキャンする。
【0039】
試料5からの反射光ビームは、X軸ガルバノミラー84、Y軸ガルバノミラー83を戻ってハーフミラー82に入射し、このハーフミラー82で反射し、結像レンズ85により収束される。ピンホール86は、対物レンズ12によるレーザビームの収束点と共役な位置に設けられているので、試料5の表面上で合焦した反射光ビームは、ピンホール86を通過して受光素子87で受光される。この受光素子87は、ピンホール86を通過した反射光ビームを受光してその受光強度に応じた光強度検出信号を出力する。
【0040】
CPU18は、LSMユニット8の受光素子87から出力される光強度検出信号を入力し、LSMユニット8の測定により取得される試料5の表面のLSM像として画像情報メモリ22aに記憶する。このとき、CPU18は、試料5上のXY座標に対応させてLSM像を画像情報メモリ22aに記憶する。これと共に表示制御部18bは、画像情報メモリ22aに記憶された試料5の表面のLSM像を読み出して表示部23に表示する。
【0041】
LSMユニット8により試料5を測定する場合、試料5の三次元画像を取得する。このとき、CPU18は、LSMユニット8のZ駆動機構10を駆動して対物レンズ12をZ軸方向に所定間隔毎に例えば上昇させる。CPU18は、LSMユニット8のZ軸位置の高さ毎に上記同様にレーザビームを試料5に対してラスタスキャンし、試料5の表面のLSM像を取得する。
【0042】
次に、CPU18は、図3に示すようにLSMユニット8により各Z軸座標の各高さ位置毎に試料5の各LSM像Ld〜Ldを取得することを繰り返し、これらLSM像Ld〜Ldから各画素毎の最高輝度情報を抽出し、これに基づいて試料5の全面に合焦したLSM像を作成し、これをエクステンド画像として画像情報メモリ22aに記憶する。
【0043】
次に、表示制御部18bは、画像情報メモリ22aに記憶された試料5の表面のエクステンド画像を読み出して表示部23に表示する。
【0044】
又、CPU18は、LSMユニット8のZ駆動機構10を駆動して対物レンズ12をZ軸方向の任意の高さ位置に設定する。この状態で、CPU18は、任意の高さ位置に設定されたZ軸座標でLSMユニット8により試料5のLSM像を取得する、すなわち1ショットのLSM像を取得して画像情報メモリ22aに記憶する。
【0045】
オペレータは、表示部23に表示されている試料5の表面のLSM像を観察し、指示入力部21を操作してLSM像中からSPMユニット9による測定領域を指定する。
【0046】
CPU18は、指示入力部21からのSPMユニット9による測定領域の指定を受けると、この測定領域の座標に従ったXY移動指令をステージコントローラ19に送出する。これによりステージコントローラ19は、XYステージ2をXY軸方向に駆動制御し、指示入力部21により指定した試料5中の測定領域をSPMユニット9の探針16の下方に配置させ、かつSPMユニット9に内蔵されるスキャナーによりカンチレバー17の探針16で試料5中の測定領域をXY軸方向にスキャンさせる。
【0047】
カンチレバー17の探針16をスキャンさせたとき、カンチレバー17は、試料5の表面形状すなわちZ軸方向の凹凸形状に倣ってZ軸方向に変位する。この状態で、光源からカンチレバー17に対して光を照射し、このカンチレバー17で反射した光ビームの位置を受光素子で検出し、その位置検出信号を出力する。
【0048】
CPU18は、SPMユニット9の受光素子から出力される位置検出信号を入力し、SPMユニット9の測定により取得されるSPM像を画像情報メモリ22aに記憶する。このときCPU18は、試料5上のXY座標に対応させてSPM像を画像情報メモリ22aに記憶する。
【0049】
これと共にCPU18は、SPMユニット9によりSPM像を取得するときのXY座標位置情報を画像情報メモリ22aに記憶し、かつカンチレバー17のZ軸方向への変位に応じた高さ情報すなわちZ座標位置情報を高さ情報メモリ22bに記憶する。
【0050】
SPMユニット9よる測定の終了後、オペレータがSPM像のZ座標位置情報DzとLSM像の輝度情報Dpとの合成の指示を指示入力部21に行うと、画像処理部18aは、図4に示すように高さ情報メモリ22bに記憶されたSPM像のZ座標位置情報Dzを読み出すと共に、画像情報メモリ22aに記憶されたLSM像に含む輝度情報Dpを抽出する。CPU18は、これらZ座標位置情報Dzと輝度情報Dpとを合わせて試料5の三次元画像情報を作成する。表示制御部18bは、画像処理部18aにより作成された三次元画像情報を表示部23に表示する。
【0051】
具体的に画像処理部18aは、SPMユニット9により測定されたZ座標位置情報Dzを含むSPM像を表示部23に三次元表示させる。画像処理部18aは、試料5上のXY座標に従い、表示部23に表示されているSPM像に含まれるZ座標位置情報Dzに従ってLSMユニット8により測定されたLSM像に含まれる輝度情報Dpを貼り付け、これにより作成された三次元画像情報を表示制御部18bに渡して表示部23に表示させる。
【0052】
又、オペレータがSPM像のZ座標位置情報Dzと1ショットで取得されたLSM像の輝度情報Dpとの合成の指示を指示入力部21に行うと、画像処理部18aは、高さ情報メモリ22bに記憶されたSPM像のZ座標位置情報Dzを読み出すと共に、画像情報メモリ22aに記憶された1ショットのLSM像に含む輝度情報Dpを抽出する。画像処理部18aは、これらZ座標位置情報Dzと輝度情報Dpとを合わせて試料5の三次元画像情報を作成し、この三次元画像情報を表示制御部18bに渡して表示部23に表示させる。
【0053】
オペレータがSPM像とLSM像との同時表示の指示を指示入力部21に行うと、画像処理部18aは、LSMユニット8の測定により取得された試料5の表面のLSM像とSPMユニット9の測定により取得されたSPM像とを画像情報メモリ22aから読み出し、これらLSM像とSPM像とを並列に並べた画像データを作成し、表示制御部18bに渡す。
【0054】
この表示制御部18bは、LSM像とSPM像とを表示部23に同時に同じレンジで表示する。すなわち、表示制御部18bは、図5に示すように表示部23の表示画面を例えば2分割し、これら分割画面にそれぞれLSM像とSPM像とを表示する。
【0055】
このように上記一実施の形態によれば、試料5上のXY座標に対応させてLSM像とSPM像とを画像情報メモリ22aに記憶し、SPM像のZ座標位置情報Dzを高さ情報メモリ22bに記憶し、高さ情報メモリ22bからSPM像のZ座標位置情報Dzを読み出すと共に、画像情報メモリ22aに記憶されたLSM像に含まれる輝度情報Dpを抽出し、これらZ座標位置情報Dzと輝度情報Dpとを貼り合わせて試料5の三次元画像情報を作成して表示部23に表示する。
【0056】
これにより、試料5の表面の高さすなわち凹凸形状を高精度に観察できるSPM像に、LSM像に含む試料5の表面の輝度情報を貼り合わせた試料5の三次元画像情報の画像を観察することができ、試料5の表面の状態を幅広く解析できる。そのうえ、SPM像と試料5の表面の輝度情報とは、XY座標を一致させて貼り合わせるので、精度高く試料5の表面状態を解析できる。例えば、SPM像に輝度情報を貼り合わせた三次元画像情報の画像のみを観察するだけで、SPM像から試料5の表面の微小な凹凸形状を高精度に観察できると共に、試料5の表面の輝度情報すなわち表示部23の画面上での輝度から試料5の表面における材料の状態の解析が可能になる。
【0057】
なお、LSMユニット8は、数十ミクロン程度でスキャン可能であり、SPMユニット9は、数ナノ程度でスキャン可能なので、SPM像にLSM像の輝度情報を貼り合わせても観察する精度に問題はない。
【0058】
又、LSM像とSPM像とを表示部23に同時に表示することによっても、表示部23の1画面上でLSM像とSPM像とを比較観察でき、試料5の表面の状態を幅広く解析することが可能になる。
【0059】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、次のように変形してもよい。
【0060】
LSMユニット8とSPMユニット9とは、それぞれ別々の各Z駆動機構10、14によってZ軸方向に移動するようにしたが、これに限らず、1つの共用のZ駆動機構に設けると共に1つのZ位置検出装置を設け、この共用のZ駆動機構によってLSMユニット8及びSPMユニット9を一体的にZ軸方向に昇降させると共にそのZ軸の高さ位置を1つのZ位置検出装置により検出する構成にしてもよい。
【0061】
LSMユニット8とSPMユニット9とは、門型フレーム7に設けられているが、これに限らず、他の構造体、例えば三次元情報を取得可能な光学顕微鏡における中間鏡筒取付部当にSPMユニット9を取り付けてもよい。
【0062】
LSMユニット8とSPMユニット9とは、それぞれ別々の各Z駆動機構10、14によってZ軸方向に移動するようにしたが、これに限らず、レボルバ11に複数の対物レンズ12を取り付けると共に、このレボルバ11にSPMユニット9を取り付けてもよい。このSPMユニット9は、小型化した構造のものを用いる。このような構成であれば、レボルバ11を回転することにより、複数の対物レンズ12に切り替えられると共に、SPMユニット9に切り替えることができる。
【0063】
表示部23に表示する画像は、SPM像にLSM像の輝度情報を貼り合わせた三次元画像だけでなく、例えばこの三次元画像とLSM像又はSPM像とを同時に表示したり、三次元画像とLSM像とSPM像との3つの画像を同時に表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る複合顕微鏡の一実施の形態を示す構成図。
【図2】同複合顕微鏡におけるLSMユニットの構成例を示す図。
【図3】同複合顕微鏡のLSMユニットにより取得されるエクステンド画像を示す模式図。
【図4】同複合顕微鏡によるSPM像とLSM像との合成表示を示す図。
【図5】同複合顕微鏡によるSPM像とLSM像との同時表示を示す図。
【符号の説明】
【0065】
1:除振台、2:XYステージ、3:Xステージ、4:Yステージ、5:試料、6:位置検出器、7:門型フレーム、8:走査型レーザ顕微鏡(LSM)ユニット、9:走査型プローブ顕微鏡(SPM)ユニット、10:Z駆動機構、11:レボルバ、12:対物レンズ、13:Z位置検出装置、14:Z移動機構、15:Z位置検出装置、16:探針、17:カンチレバー、18:中央演算処理部(CPU)、18a:画像処理部、18b:表示制御部、19:ステージコントローラ、20:スキャナコントローラ、21:指示入力部、22:記憶部、22a:画像情報メモリ、22b:高さ情報メモリ、23:表示部、80:光源、81:ビームエキスパンダ、82:ハーフミラー、83:Y軸ガルバノミラー、84:X軸ガルバノミラー、85:結像レンズ、86:ピンホール、87:受光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の輝度情報を含む光学像の情報を測定する光学顕微鏡と、前記試料の高さ情報を含む物性情報を測定する走査型プローブ顕微鏡とを有する複合顕微鏡において、
前記光学顕微鏡により測定された前記光学像情報と前記走査型プローブ顕微鏡により測定された前記物性情報とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記光学像情報に含まれる前記輝度情報と前記物性情報に含まれる前記高さ情報とを合わせて前記試料の三次元画像情報を作成する画像処理部と、
前記画像処理部により作成された前記三次元画像情報を表示する表示部と、
を具備したことを特徴とする複合顕微鏡。
【請求項2】
前記記憶部に記憶される前記光学像情報は、前記試料と前記光学顕微鏡との間隔を可変する毎に前記試料の測定を繰り返して複数の画像情報を取得し、これら画像情報から前記試料全面に合焦する画像情報を抽出して取得されることを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項3】
前記記憶部に記憶される前記光学像情報は、前記試料と前記光学顕微鏡とを任意の間隔に設定して取得されることを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項4】
前記記憶部には、前記試料上の座標と対応させて前記光学像情報と前記物性情報とが記憶されることを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記試料上の座標に従って前記輝度情報と前記高さ情報とを合わせて前記試料の前記三次元画像情報を作成することを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項6】
前記表示部は、前記光学顕微鏡により測定された前記光学像情報と前記走査型プローブ顕微鏡により測定された前記物性情報とを同時に表示することを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項7】
前記光学顕微鏡は、走査型レーザ顕微鏡であることを特徴とする請求項1記載の複合顕微鏡。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記走査型プローブ顕微鏡により測定された前記物性情報に含む前記高さ情報を前記表示部に三次元表示させ、かつ前記表示部に表示されている前記高さ情報に前記走査型レーザ顕微鏡により測定された前記光学像情報に含む前記輝度情報を貼り付けて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7記載の複合顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−133183(P2006−133183A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325423(P2004−325423)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】