説明

視聴装置

【構成】携帯電話機10が動作するための電力はバッテリ30により供給される。TVモードでは、現在放送されている現番組は、録画操作に応答して記録媒体44に録画され、録画処理が実行されていないときだけLCDモニタ34に表示される。表示処理が実行されているとき、CPU26は、現番組の残り放送時間を繰り返し算出する一方、バッテリ30の残量で規定される録画可能時間を繰り返し算出する。そして、算出された残り放送時間が算出された録画可能時間を下回るとき、録画操作を促すメッセージを出力する。
【効果】バッテリ残量が少ない状態であっても、現番組の視聴が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、視聴装置に関し、特にたとえば、バッテリで駆動される、視聴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この従来装置は、PC等の外部機器から楽曲データを取り込み、取り込まれた楽曲データを記憶し、そして記憶された楽曲データを再生する。かかる動作のための電力は、内蔵電池から供給される。電池残量が閾値以下になると、楽曲の特定区間たとえば間奏区間において再生速度を遅くすることで、楽曲全体の再生を確保する。
【特許文献1】特開2006−211807号公報[02J 7/00]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1は、予め記憶された楽曲の再生を確保する方策については開示するものの、放送番組の視聴を確保する方策については何ら開示していない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、バッテリ残量が少ない状態で放送番組の視聴を確保できる、視聴装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に従う視聴装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、バッテリ(30)によって供給される電力で動作する視聴装置であって、現在放送されている第1放送番組を録画操作に応答して録画する第1録画手段(42,S21,S27,S29)、第1録画手段との間で相補的に起動され第1放送番組を表示する表示手段(32,S25,S31)、表示手段の表示処理が実行されているとき第1放送番組の残り放送時間を算出する第1算出手段(S43,S4)、バッテリの残量で規定される第1録画手段の録画可能時間を第1算出手段の算出処理に関連して算出する第2算出手段(S47)、および第1算出手段によって算出された残り放送時間と第2算出手段によって算出された録画可能時間とが第1条件を満足するときメッセージを出力する出力手段(S53)を備える。
【0006】
視聴装置が動作するための電力はバッテリによって供給される。現在放送されている第1放送番組は、録画操作に応答して第1録画手段により録画され、第1録画手段の録画処理が実行されていないときだけ表示手段によって表示される。
【0007】
表示手段の表示処理が実行されているとき、第1算出手段は第1放送番組の残り放送時間を算出し、第2算出手段はバッテリの残量で規定される第1録画手段の録画可能時間を算出する。出力手段は、第1算出手段によって算出された残り放送時間と第2算出手段によって算出された録画可能時間とが第1条件を満足するとき、メッセージを出力する。
【0008】
表示手段の表示処理に要する電力は、第1録画手段の録画処理に要する電力よりも大きい。ユーザがメッセージに応じて録画操作を行えば、表示手段の表示処理は中断され、第1録画手段の録画処理が開始される。必要なバッテリ残量のあるうちに録画処理に移行することで、第1放送番組の残りの録画が可能となり、バッテリ残量が少ない状態であっても、第1放送番組の視聴が確保される。
【0009】
請求項2の発明に従う視聴装置は、請求項1に従属し、第1条件は第1算出手段によって算出された残り放送時間が第2算出手段によって算出された録画可能時間を下回るという条件である。
【0010】
請求項3の発明に従う視聴装置は、請求項1または2に従属し、メッセージは録画操作を促すメッセージである。
【0011】
請求項4の発明に従う視聴装置は、請求項1ないし3のいずれかに従属し、移動通信網と協働して無線通信を行う無線通信手段(14)をさらに備える。
【0012】
無線通信手段が移動通信網と協働して無線通信を行うことで、番組視聴に加え、通話やデータ通信も可能となる。
【0013】
請求項5の発明に従う視聴装置は、請求項4に従属し、将来放送されるべき第2放送番組の録画を予約する予約手段(S15)、予約手段によって予約された第2放送番組を録画する第2録画手段(42,S89)、予約手段の予約処理に応答して第2録画手段による録画処理の完遂に必要なバッテリの残量を算出する第3算出手段(S65)、予約手段の予約完了から第2録画手段の録画開始までの期間にバッテリの残量を検知する検知手段(S67)、検知手段によって検知された残量と第3算出手段によって算出された残量とが第2条件を満足するとき無線通信手段の動作を少なくとも禁止する禁止手段(S73,S33)を備える。
【0014】
予約手段は将来放送されるべき第2放送番組の録画を予約し、第2録画手段は予約手段によって予約された第2放送番組を録画する。第3算出手段は、第2録画手段による録画処理の完遂に必要なバッテリの残量を、予約手段の予約処理に応答して算出する。
【0015】
検知手段は予約手段の予約完了から第2録画手段の録画開始までの期間にバッテリの残量を検知する。禁止手段は、検知手段によって検知された残量と第3算出手段によって算出された残量とが第2条件を満足するとき少なくとも無線通信手段の動作を禁止する。
【0016】
こうして、バッテリの残量が少ない状態では、無線通信よりも第2録画手段の録画処理を優先することで、第2録画手段の録画処理の完遂が可能となり、予約された第2放送番組の視聴も確保できる。
【0017】
請求項6の発明に従う視聴装置は、請求項5に従属し、第2条件は検知手段によって検知された残量が第3算出手段によって算出された残量を下回るという条件である。
【0018】
請求項7の発明に従う視聴装置は、請求項5または6に従属し、禁止手段は第1録画手段および表示手段の各々の処理をさらに禁止する。これにより、予約録画完遂の可能性が高まる。
【0019】
請求項8の発明に従う視聴装置は、請求項4ないし7のいずれかに従属し、無線通信手段を通して電子番組案内情報を取得する取得手段(S35)をさらに備える。
【0020】
取得手段は、無線通信手段を通して電子番組案内情報(EPG情報)を取得する。一定範囲のEPG情報は放送電波に含めて提供されるが、取得手段の取得処理によって、より広範囲のEPG情報の利用が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、バッテリ残量が少ない状態で、放送番組の視聴を確保することができる。
【0022】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1を参照して、この実施例の携帯電話機10は、キー入力装置24を含む。キー入力装置24によって発呼操作が行われると、CPU26は、無線通信回路14およびデータ処理回路16を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から放出され、移動通信網を経て通話相手の電話機に送信される。通話相手が着呼操作を行うと、通話可能状態が確立される。
【0024】
一方、通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着信をCPU26に通知する。CPU26は、LCDドライバ32を制御して、着信通知に記述された発信元情報をLCDモニタ34に表示し、かつ無線通信回路14およびデータ処理回路16を制御して着信音をスピーカ20から出力する。キー入力装置24によって着呼操作が行われると、通話可能状態が確立される。
【0025】
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送られてきた変調音声信号(高周波信号)はアンテナ12によって捉えられ、捉えられた変調音声信号は無線通信回路14によって復調処理を施される。復調された音声信号は、データ処理回路16によってDA変換処理を施されることで、アナログ信号である受話音声信号に変換される。変換された受話音声信号はスピーカ20に入力され、スピーカ20から受話音声が出力される。
【0026】
マイクロフォン18によって取り込まれた送話音声信号は、データ処理回路16によってAD変換処理を施されることで、ディジタル信号である送話音声データに変換される。変換された送話音声データは無線通信回路14によって変調処理を施され、これにより変調音声信号が生成される。生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して通話相手に送信される。
【0027】
通話可能状態が確立された後に、キー入力装置24によってオフフック操作が行われるか、あるいは通話相手がオフフック操作を行うと、携帯電話機10の状態は通話可能状態から非通話状態に移行する。
【0028】
以上のように、無線通信回路14およびデータ処理回路16が起動状態にあって、発着信が可能な状態を、待受け状態と呼ぶ。
【0029】
キー入力装置24によってTV起動操作が行われると、携帯電話機10はTVモードの1つである視聴モードに移行する。CPU26は、TV受信回路38およびデータ処理回路40への電源の供給を開始し、初期チャネルの選局をTV受信回路38に命令する。前回TV停止操作が行われたとき選局されていたチャネルがフラッシュメモリ22に記憶されており、TV受信回路38は記憶されたチャネルを初期チャネルとして選局する。
【0030】
TV受信回路38は、アンテナ36を通して高周波テレビジョン信号を受信し、受信された高周波テレビジョン信号から初期チャネルの番組信号を抽出する。抽出された番組信号は、データ処理回路40によって復調処理および復号処理を施され、これにより番組映像データ,番組音声データおよびEPG(Electronic Program Guide)データが生成される。
【0031】
生成された番組映像データはLCDドライバ32に与えられ、生成された番組音声データはデータ処理回路16に与えられ、そして生成されたEPGデータはCPU26に与えられる。CPU26は、与えられたEPGデータをフラッシュメモリ22に格納し、そして番組映像の表示をLCDドライバ32に命令し、かつ番組音声の出力をデータ処理回路16に命令する。
【0032】
LCDドライバ32は、与えられた番組映像データに従ってLCDモニタ34を駆動し、これにより番組映像がLCDモニタ34に表示される。データ処理回路16は、与えられた番組音声データを番組音声信号に変換し、変換された番組音声信号をスピーカ20に入力する。これにより、スピーカ20から番組音声が出力される。
【0033】
キー入力装置24によってチャネル変更操作が行われると、CPU26はTV受信回路38に対してチューニングの実行を命令する。TV受信回路38は、番組信号を抽出すべきチャネルを所望のチャネルに変更する。また、キー入力装置24によってTV停止操作が行われると、CPU26は、TV受信回路38およびデータ処理回路40への電源の供給を停止する。これによって、TV受信機能が停止する。
【0034】
TV視聴中にキー入力装置24によって録画開始操作が行われると、携帯電話機10は視聴モードからTVモードの他の1つである通常録画モードに移行する。CPU26は、記録処理回路42への電源の供給をさらに開始し、生成された番組映像データおよび生成された番組音声データ(以下“番組データ”)の供給先をLCDドライバ32およびデータ処理回路16から記録処理回路42に変更し、そして番組データの記録媒体44への記録(以下“録画処理”)の開始を記録処理回路42に命令する。LCDドライバ32およびデータ処理回路16への電力供給は抑制される。これによって、番組映像の表示および番組音声の出力(以下“番組表示”)は中断され、録画処理が開始される。
【0035】
また、キー入力装置24によって録画停止操作が行われると、携帯電話機10は通常録画モードから視聴モードに復帰する。CPU26は、LCDドライバ32およびデータ処理回路16への電力供給の抑制を解除して、番組データの供給先を記録処理回路42からLCDドライバ32およびデータ処理回路16に戻し、記録処理回路42への電源の供給を停止する。これによって、録画処理は停止され、番組表示が再開される。
【0036】
キー入力装置24によって録画予約操作が行われると、携帯電話機10はTVモードのその他の1つである予約録画モードに移行し、CPU26は予約設定を行う。具体的には、録画予約操作に基づいて録画予約情報を生成し、生成された録画予約情報をフラッシュメモリ22に格納する。録画予約情報には、録画すべき番組のチャネル,開始時刻および終了時刻が記述される。
【0037】
なお、この録画予約操作は、過去に高周波テレビジョン信号から抽出され、フラッシュメモリ22に格納されたEPG情報に基づく。不足するEPG情報は、インターネットからダウンロードすることが可能である。具体的には、キー入力装置24によってデータ通信モードを選択し、無線通信回路14およびデータ処理回路16を制御してダウンロードを行う。または、キー入力装置24の操作によって、チャネル,開始時刻および終了時刻を逐一入力してもよい。
【0038】
予約設定が完了すると、携帯電話機10の状態は、待受け状態となる。そして、フラッシュメモリ22の録画予約情報に記述された開始時刻が到来する直前たとえば1分前になると、CPU26は、TV受信回路38,データ処理回路40および記録処理回路42への電源の供給を開始し、録画予約情報に記述されたチャネルの選局をTV受信回路38に命令する。TV受信回路38による選局処理が完了し、開始時刻が到来すると、CPU26は録画処理の開始を記録処理回路42に命令する。この後、録画予約情報に記述された終了時刻が到来すると、CPU26は、TV受信回路38,データ処理回路40および記録処理回路42への電源の供給を停止する。予約番組は、こうして録画される。予約番組の録画が完了すると、携帯電話機10は予約録画モードを脱する。
【0039】
ところで、携帯電話機10では、CPU26,無線通信回路14,TV受信回路38その他の要素が動作するための電源は、バッテリ30によって電源回路28を通して供給される。CPU26による前述のような電源制御は、電源回路28を介して行われる。さらに、視聴モードおよび予約録画モードの各々では、電源回路28がバッテリ30の残量を検知し、CPU26は検知結果に基づいて次のような電源制御も行う。
【0040】
すなわち、視聴モードでは、CPU26は、フラッシュメモリ22から現番組のEPG情報を取得し、取得されたEPG情報に基づいて放送終了時刻までの残り放送時間(=Trem)つまり現時刻Tcrntと現番組の放送終了時刻Tendとの差分を算出する。そして、算出された残り時間をタイマTにセットし、タイマTをスタートする。タイマTの値つまり残り放送時間Tremは、時間の経過につれてデクリメントされていく。
【0041】
CPU26はまた、電源回路28を通してバッテリ残量を繰り返し検知し、検知結果に基づいて録画可能時間(=Trec)を算出する。なお、録画可能時間は、バッテリ30の残量を、バッテリ30による記録処理回路42への供給電力で除すことにより得られる。そして、残り放送時間Tremと録画可能時間Trecとを比較し、Trem≦TrecであればLCDモニタ34および/またはスピーカ20を通してメッセージを出力する。メッセージによって、現番組を終了まで視聴し続けることが困難であり、録画を勧める旨が示される。
【0042】
メッセージに応じて録画開始操作が行われると、前述と同様に、録画処理が開始され、番組表示は中断される。これによって、図2(A)に示すように、録画処理は現番組の終了時刻Tendまで継続され、現番組の視聴が確保される。なお、図2(A)において、現時刻Tcrntは録画開始操作が行われた時刻と一致し、時刻Tbrdはメッセージを無視して視聴を続けた場合にバッテリ残量が0となるべき時刻を示す。
【0043】
なお、上記のような視聴用の電源制御処理は、チャネル変更操作が行われたときにも実行される。
【0044】
一方、予約録画モードでは、CPU26は、フラッシュメモリ22から予約番組のEPG情報を取得し、取得されたEPG情報に基づいて予約番組の放送時間(=Tprg)を算出し、そして算出された放送時間に基づいて予約番組の録画に必要なバッテリ残量(=Bprg)をさらに算出する。
【0045】
CPU26また、電源回路28を通してバッテリ残量を繰り返し検知し、算出された残量と検知された残量とを比較し、そしてBrem≦Bprgであればスタンバイ設定を行う。
【0046】
スタンバイ設定が行われると、キー入力装置24およびCPU26以外の構成要素への電力供給は停止され、キー入力装置24およびCPU26への電力供給も最小限に抑えられる。したがって、スタンバイ状態では、無線通信機能さえも停止され、CPU26はキー入力装置24を通したスタンバイ解除操作の検出だけを行う。
【0047】
これによって、図2(B)に示すように、スタンバイ移行時刻Tstbyから放送開始時刻Tstrtまでの期間の電力消費が最小限に抑えられ(図ではゼロ)、予約録画処理は予約番組の終了時刻Tendまで継続される結果となる。なお、図2(B)において、時刻Tbrdは、スタンバイ設定を行わなかった場合にバッテリ残量が0となるべき時刻を示す。
【0048】
詳しくは、TVモードにおいて、CPU26は、μITRONなどのマルチタスクOSの制御下で、図3および図4に示すメインタスクと、図5に示す視聴用電源制御タスクと、図6に示す録画予約用電源制御タスクと、図7に示す予約録画タスクとを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのフロー図に対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ22に格納される。
【0049】
図3および図4を参照して、まずステップS1で携帯電話機10の状態がスタンバイ状態か否かを判別し、NOであればステップS7に進む。ステップS1でYESであれば、ステップS3に移ってスタンバイ解除操作の有無を判別する。キー入力装置24によってスタンバイ解除操作が行われると、ステップS3でYESと判別し、ステップS5に移ってスタンバイ設定を解除する。そしてステップS7に進む。ステップS3でNOであればステップS1に戻る。
【0050】
ステップS7では、チャネル切換操作の有無を判別し、ここでYESであれば、ステップS11およびS13の一連の処理を経てステップS1に戻る。ステップS11ではTV受信回路38を制御してチューニングを行い、ステップS13では視聴用電源制御タスクを再起動する。
【0051】
ステップS7でNOであればステップS9に移って録画予約操作の有無を判別し、ここでYESであればステップS15〜S19の一連の処理を経てステップS1に戻る。ステップS15では予約設定を行い、ステップS17では録画予約用電源制御タスクを再起動し、そしてステップS19では予約録画タスクを再起動する。なお、ステップS15の予約設定処理には、録画予約操作の結果に基づいて録画予約情報を生成し、生成された録画予約情報をフラッシュメモリ22に書き込む処理が含まれる。
【0052】
ステップS9でNOであれば、ステップS21に移って録画開始操作の有無を判別し、ここでYESであればステップS25〜S31の一連の処理を経てステップS1に戻る。ステップS25では、LCDドライバ32への電源供給の抑制を電源回路28に命令して、LCDモニタ34への番組表示を中断する。
【0053】
ステップS27では、記録処理回路42を制御して、記録媒体44への録画処理を実行する。ステップS29では録画停止操作の有無を判別し、ここでNOであればステップS27に戻り、YESであればステップS31に移る。ステップS31では、LCDドライバ32への電源供給の抑制解除を電源回路28に命令して、LCDモニタ34への番組表示を再開する。
【0054】
ステップS21でNOであれば、ステップS23に移ってスタンバイ命令(S73:後述)の有無を判別し、ここでYESであればステップS33の処理を経てステップS1に戻る。ステップS33ではスタンバイ設定を行う。これによって、電源回路28による各構成要素への電源供給量は最小に抑えられる。
【0055】
ステップS23でNOであれば、ステップS35の処理を経てステップS1に戻る。ステップS35では、その他の処理たとえばEPG情報のダウンロードなどを実行する。
【0056】
視聴用電源制御タスクは、図5のフローに従う。図5を参照して、まずステップS41で現番組のEPG情報をフラッシュメモリ22から取得し、次のステップS43では取得されたEPG情報に基づいて放送終了時刻までの残り放送時間Tremを算出する。その次のステップS45では、算出された残り放送時間TremをタイマTにセットし、タイマTをスタートする。そしてステップS47に移る。これにより、タイマTの値つまり残り放送時間Tremは、単位時間毎にデクリメントされていく。
【0057】
ステップS47では、電源回路28を通してバッテリ残量を検知し、検知結果に基づいて録画可能時間(=Trec)を算出する。次のステップS49では、算出された残り放送時間と算出された録画可能時間とを比較して、Trem≦Trecであるか否かを判別する。ここでNOつまりTrem>Trecであれば、ステップS51で所定時間たとえば1分間待機し、そしてステップS47に戻る。なお、
ステップS49でYESであればステップS53に移り、録画を勧めるメッセージをLCDモニタ34およびまたは/スピーカ20を通して出力する。メッセージ出力後、このタスクを終了する。
【0058】
なお、ステップS49の比較の際には、算出された残り放送時間Tremと算出された録画可能時間Trecとを直に比較しているが、たとえばTrecから1分を減じた時間(Trec−1)をTremと比較するなど、時間に一定のマージンを持たせてもよい。
【0059】
録画予約用電源制御タスクは、図6のフローに従う。図6を参照して、まずステップS61で予約番組のEPG情報をフラッシュメモリ22から取得し、次のステップS63では取得されたEPG情報に基づいて放送時間(=Tprg)を算出する。その次のステップS65では、算出された放送時間に基づいて、予約番組の録画に必要なバッテリ残量(=Bprg)を算出する。そしてステップS67に移る。
【0060】
ステップS67では、電源回路28を通して現在のバッテリ残量(=Brem)を検知する。次のステップS69では、算出された残量と検知された残量とを比較して、Brem≦Bprgであるか否かを判別する。
【0061】
ステップS69でYESであれば、ステップS73に移ってスタンバイ命令を発行する。命令に応じてメインタスクがスタンバイ設定を行うと、このタスクは終了される。ステップS69でNOつまりBrem>Bprgであれば、ステップS71で所定時間たとえば1分間待機した後、ステップS67に戻る。
【0062】
なお、ステップS69の比較の際には、算出された残量Bprgと検知された残量Bremとを直に比較しているが、たとえば(Brem−1)をBprgと比較するなど、残量に一定のマージンを持たせてもよい。
【0063】
予約録画タスクは、図7のフローに従う。図7を参照して、まずステップS81で録画予約情報をフラッシュメモリ22から取得し、次のステップS83では、取得された録画予約情報に基づいて、予約番組の放送開始1分前になったか否かを判別する。ここでYESであれば、ステップS85に移って準備処理を実行する。準備処理には、TV受信回路38等への電源供給の開始や、チューニングなどの処理が含まれる。
【0064】
準備処理が完了するとステップS87に移り、予約番組の放送開始時刻が到来したか否かを判別する。ここでYESであれば、ステップS89で録画処理を実行し、その後ステップS91で予約番組の放送終了時刻が到来したか否かを判別する。ステップS91でNOであればステップS89に戻り、YESであればこのタスクを終了する。
【0065】
以上から明らかなように、この実施例の携帯電話機10が動作するための電力は、バッテリ30によって供給される。現在放送されている現番組(第1放送番組)は、録画操作に応答して記録媒体44に録画され、録画処理が実行されていないときだけLCDモニタ34に表示される(S21〜S31)。
【0066】
表示処理が実行されているとき、CPU26は、現番組の残り放送時間を繰り返し算出し(S43,S45)、またバッテリ30の残量で規定される録画可能時間を繰り返し算出する(S47)。そして、算出された残り放送時間が算出された録画可能時間を下回るとき、録画操作を促すメッセージを出力する(S53)。
【0067】
表示処理に要する電力は、録画処理に要する電力よりも大きい。ユーザがメッセージに応じて録画操作を行えば、表示処理は中断され、録画処理が開始される。必要なバッテリ残量のあるうちに録画処理に移行することで、現番組の残りの録画が可能となり、バッテリ残量が少ない状態であっても、現番組の視聴が確保される。
【0068】
また、将来放送されるべき番組の録画が予約されると(S15)、予約された予約番組(第2放送番組)は録画される(S89)。CPU26は、予約処理に応答して予約録画処理の完遂に必要なバッテリ30の残量を算出し(S65)、予約完了から予約録画開始までの期間にバッテリ30の残量を繰り返し検知する(S67)。そして、検知された残量が算出された残量を下回るとき、予約録画以外の処理を禁止する(S73,S33)。
【0069】
こうして無線通信機能をも停止させることで、予約録画処理の完遂が可能となり、予約番組の視聴も確保できる。
【0070】
なお、残り放送時間の算出処理(S43,S45),録画可能時間の算出処理(S47)およびバッテリ残量の検知処理(S67)の各々は、この実施例では繰り返し実行されたが、ただ1度だけ実行された場合でも、番組視聴を確保できる場合がある。
【0071】
以上では、一例として、携帯電話機10について説明したが、この発明は、放送番組を視聴するための、バッテリで駆動される視聴装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は図1実施例に適用される視聴モードでのバッテリ残量の変化を示すグラフであり、(B)は図1実施例に適用される予約録画モードでのバッテリ残量の変化を示すグラフである。
【図3】図1実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図4】図1実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図5】図1実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図6】図1実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図7】図1実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0073】
10 …携帯電話機
14 …無線通信回路
26 …CPU
28 …電源回路
30 …バッテリ
32 …LCDドライバ
34 …LCDモニタ
38 …テレビ受信回路
42 …記録処理回路
44 …記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリによって供給される電力で動作する視聴装置であって、
現在放送されている第1放送番組を録画操作に応答して録画する第1録画手段、
前記第1録画手段との間で相補的に起動され、前記第1放送番組を表示する表示手段、
前記表示手段の表示処理が実行されているとき前記第1放送番組の残り放送時間を算出する第1算出手段、
前記バッテリの残量で規定される前記第1録画手段の録画可能時間を前記第1算出手段の算出処理に関連して算出する第2算出手段、および
前記第1算出手段によって算出された残り放送時間と前記第2算出手段によって算出された録画可能時間とが第1条件を満足するときメッセージを出力する出力手段を備える、視聴装置。
【請求項2】
前記第1条件は前記第1算出手段によって算出された残り放送時間が前記第2算出手段によって算出された録画可能時間を下回るという条件である、請求項1記載の視聴装置。
【請求項3】
前記メッセージは前記録画操作を促すメッセージである、請求項1または2記載の視聴装置。
【請求項4】
移動通信網と協働して無線通信を行う無線通信手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の視聴装置。
【請求項5】
将来放送されるべき第2放送番組の録画を予約する予約手段、
前記予約手段によって予約された第2放送番組を録画する第2録画手段、
前記予約手段の予約処理に応答して前記第2録画手段による録画処理の完遂に必要な前記バッテリの残量を算出する第3算出手段、
前記予約手段の予約完了から前記第2録画手段の録画開始までの期間に前記バッテリの残量を検知する検知手段、
前記検知手段によって検知された残量と前記第3算出手段によって算出された残量とが第2条件を満足するとき少なくとも前記無線通信手段の動作を禁止する禁止手段を備える、請求項4記載の視聴装置。
【請求項6】
前記第2条件は前記検知手段によって検知された残量が前記第3算出手段によって算出された残量を下回るという条件である、請求項5記載の視聴装置。
【請求項7】
前記禁止手段は前記第1録画手段および前記表示手段の各々の処理をさらに禁止する、請求項5または6記載の視聴装置。
【請求項8】
前記無線通信手段を通して電子番組案内情報を取得する取得手段をさらに備える、請求項4ないし7のいずれかに記載の視聴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−219532(P2008−219532A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54984(P2007−54984)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】