説明

解釈型航空機搭載型レーダ・マップの生成の方法およびシステム

【課題】飛行機レーダシステムから陰になっている地上特徴(地形/障害物)を識別して一意に表示するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】例示的なシステムは、1又は複数の航空機情報源と、3次元地形/障害物データを格納するデータベースと、表示装置と、1又は複数の航空機情報源およびデータベースとデータ通信するプロセッサとを含む。プロセッサは、1又は複数の航空機情報源から、航空機位置、飛行方位及び高度情報を受信する。プロセッサは、受信された航空機位置、飛行方位及び高度情報に基づいて、3次元デジタル空間のベクトルを、データベースに格納された3次元地形/障害物データに投影して、その投影されたベクトルが1より多い地形特徴と交差するかを判断する。その特徴がそのベクトルと交差するものであり、且つそのベクトルと交差する別の特徴よりも更に航空機から離れている場合に、表示装置に一意に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。より具体的には、本発明は、航空機用の表示装置に提示される情報を向上させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の航空機搭載レーダ・システムは、航空機搭乗員への有用な情報を生成する。レーダが地球をマッピングするとき、航空機搭乗員は、レーダ・システムが描くすべての地形および人工の障害物をはっきり見ることができる。しかしながら、レーダは、見通し線によって制限され、従って、地形または他の特徴によって陰になっている区域の情報を生成しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、レーダ・ディスプレイに提示される情報を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、航空機レーダ・システムから陰になっている地上の特徴(地形/障害物)を識別し、一意に表示するためのシステムおよび方法を提供する。
【0005】
例示的な一システムは、1または複数の航空機情報源と、3次元地形/障害物データを格納するデータベースと、表示装置と、1または複数の航空機情報源およびデータベースとデータ通信するプロセッサとを含む。プロセッサは、1または複数の航空機情報源から航空機位置、飛行方位および高度情報を受信する。プロセッサは、受信された航空機位置、飛行方位および高度情報に基づいて、3次元デジタル空間のベクトルを、データベースに格納された3次元地形/障害物データに投影して、投影されたベクトルが1つより多い地形特徴と交差するかを判断する。1つの特徴は、ベクトルと交差しており、且つ該ベクトルとやはり交差する別の特徴よりも更に航空機から離れている場合には、陰になっているものとして示される。次いで、陰になっている特徴が、表示装置に一意に表示される。プロセッサは、後続のベクトルについて、この解析を繰り返す。
【0006】
本発明の一態様では、表示装置は、レーダ画像と、一意に表示される示される特徴とを、同時に表示する。
【0007】
本発明の好ましい実施形態および代替の実施形態について、図面を参照して以下に詳細に述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、レーダ表示画像の表示された情報を向上させるための例示的なシステム20のブロック図を示す。例示的なシステム20は、プロセッサ22と、地形/障害物3次元データベース28と、レーダ・システム32と、ディスプレイ34と、エア・データ・コンピュータ(ADC:air data computer)26、飛行管理システム(FMS:flight management system)24、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)のような測位システム30などのような1または複数の航空機情報源とを含む。
【0009】
プロセッサ22は、地形データベース28、レーダ・システム32、ディスプレイ34および航空機情報源とデータ通信する。プロセッサ22は、FMS 24、ADC 26および測位システム30のうちの1または複数のものから、位置、飛行方位および高度などの航空機情報を受信する。受信された航空機情報を使用して、プロセッサ22は、受信された航空機情報に基づいて、航空機の位置からデータベース28の地形へ投影されたベクトルに基づいて、地形データベース28からの何れかの地形データが他の地形データの陰になっていないかを判断する。次いで、プロセッサ22は、ディスプレイ34に表示するレーダ画像を生成する。レーダ画像は、レーダ・システム32から受信されたレーダ情報を含み、このレーダ情報は、プロセッサ22によってレーダ・シャドウ(レーダの陰)の中にあると判断された地形の領域を識別する画像特徴を伴わせることにより、改善される。
【0010】
図2は、図1のプロセッサ22によって実施される例示的なプロセス100のフローチャートを示す。まずブロック104で、プロセッサ22は、航空機情報源のうちの1または複数のものから、航空機位置、飛行方位および高度情報を受信する。次いで、ブロック106で、ベクトルが、デジタル/仮想3次元(3D)環境で、受信された航空機位置、飛行方位および高度から、地形データベース28に格納された3D地形データへ、投影される(即ち、仮想的/数学的に)。ベクトルは、レーダ・システム32によって生成されるレーダ信号をシミュレートする。判断ブロック110で、例示的なプロセス100は、ベクトルが、地形データベースの1つより多い特徴と交差するかどうかを判断する。ベクトルが1つのみの地形特徴と交差する場合、シャドーイング(陰を作る状態)が生じていないと判断される(ブロック112を参照)。ベクトルが1つより多い地形特徴と交差する場合は、例示的なプロセス100は判断ブロック114へ進み、このブロックは、航空機に最も近い交差した地形特徴が建物または他の何らかの人工構造物であるかを判断する。交差した最も近い地形特徴が建物ではない場合は、ベクトルの交差する他の地形特徴(1または複数)が、交差した最も近い地形特徴のレーダ・シャドウ(レーダの陰)の中にあるものとして示される(ブロック116参照)。次いで、陰になっているものとして示される特徴は、レーダ・ディスプレイ34に、レーダ画像と共に一意に表示される(ブロック118参照)。判断ブロック114で、交差した最も近い地形特徴が建物である場合は、交差した後続の地形特徴のシャドーイングは示されない(ブロック122参照)。ブロック122および118で実施されたステップの後に、例示的なプロセス100は、ブロック124で、次のベクトルを投影し、判断ブロック110へ戻る。例示的なプロセス100は、レーダ・システムが駆動されているかぎり、また、地形シャドーイング特徴が活性化されるかぎり、また、航空機搭乗員やシステム設計者に要望されると、繰り返される。ベクトルの投影および解析が実施され得る。
【0011】
図3は、地形シャドーイングの状況で陰になっているものと実際に識別される地形の図的例示の側面図を示す。この例では、航空機200は、山204を含む地形の上を飛行している。山204の後ろには地形領域206があり、航空機200のレーダ・システムはこの地形領域206を描くことができない。従って、この例では、プロセッサ22は、地形領域206を、陰になっている地形として一意に識別し、この地形領域206を、対応するレーダ画像と共に表示する。地形領域を陰になっているものとして示すことを、他の地上タイプの表示に含めることもできる。
【0012】
図4は、図1のシステム20によって実施される図2のプロセス100に従って実施されるレーダ画像220の一例を示す。レーダ画像220は、レーダ・システム32によって生成されるレーダ反射特徴224および226を含む。この例では、レーダ特徴224は、地形データベース28において、建物や町と識別される。この実施形態では、特徴224の後ろの地形は、陰になっているものと識別されない。しかしながら、他の実施形態では、人工の障害物や建物の後ろの地形を、陰になっているものとして識別することができ、従って、そのように表示されることができる。特徴226は、地形と識別される。地形226の後ろに位置する領域228は、特徴226によって陰になっているものと識別され、従って、ディスプレイ220で異なって示される。航空機搭乗員は、レーダから見える地形(226)と、見えない地形(228)とを容易に区別することができる。
【0013】
プロセッサ22は、地形や障害物が、或る障害物の後ろに位置すると判断される場合は、陰になっていると識別することができ、従って、ディスプレイ34にそれを一意に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従って形成された例示的なシステムの概略図を示す。
【図2】図2は、図1に示されたシステムの1または複数の構成要素によって実施されるフローチャートを示す。
【図3】図3は、地形のセクションをマッピングする航空機レーダの側面図を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従って形成されたレーダ・マップ表示の例示的なスクリーン・ショットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.航空機位置、飛行方位および高度の情報を受信するステップと、
b.受信した前記航空機位置、飛行方位および高度の情報に基づいて3次元デジタル空間のベクトルを、格納された3次元地形/障害物データへ投影するステップと、
c.投影された前記ベクトルが1つより多くの地形特徴と交差するかを判断するステップと、
d.或る特徴が、前記ベクトルによって交差されるものであり、かつ、前記或る特徴が、前記ベクトルにより交差される別の特徴よりも前記航空機から離れているものである場合、前記或る特徴が陰になっていることを示すステップと、
e.示された前記特徴を一意に表示するステップと、
f.後続のベクトルについて上記a〜dを繰り返すステップと
を備える方法であって、
前記ベクトルによって交差された、前記航空機に最も近い前記特徴が、地形特徴からなり、かつ、前記航空機位置、飛行方位および高度の情報が、全地球測位システム、飛行管理システムおよびエア・データ・コンピュータのうちの1または複数のものから受信される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、レーダ画像と、一意に表示される示された前記特徴とを、同時に表示するステップを更に備える方法。
【請求項3】
1または複数の航空機情報源と、
3次元地形/障害物データを格納するようにコンフィギュレーションされたデータベースと、
表示装置と、
前記1または複数の航空機情報源、前記表示装置および前記データベースとデータ通信するプロセッサと
を備えるシステムであって、
前記プロセッサは、
前記1または複数の航空機情報源から航空機位置、飛行方位および高度の情報を受信するようにコンフィギュレーションされたコンポーネントと、
前記受信した航空機位置、飛行方位および高度の情報に基づいて、3次元デジタル空間のベクトルを、前記データベースに格納された前記3次元地形/障害物データに投影するようにコンフィギュレーションされたコンポーネントと、
投影された前記ベクトルが1つより多い地形特徴と交差するかを判断するようにコンフィギュレーションされたコンポーネントと、
或る特徴が、前記ベクトルによって交差されるものであり、且つ前記或る特徴が、前記ベクトルによってやはり交差される別の特徴よりも前記航空機から離れている場合に、前記或る特徴が陰になっていることを示すようにコンフィギュレーションされたコンポーネントと
を備え、
前記表示装置は、示された前記或る特徴を一意に表示し、
前記プロセッサは、後続のベクトルについて繰り返し動作し、
前記表示装置は、レーダ画像と、一意に表示される示された前記特徴とを、同時に表示し、
前記ベクトルと交差した、前記航空機に最も近い前記特徴は、地形特徴からなり、
前記1または複数の航空機情報源は、全地球測位システム、飛行管理システムおよびエア・データ・コンピュータのうちの少なくとも1つのものを含む、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230592(P2008−230592A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−1162(P2008−1162)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】