説明

記録媒体検出装置及び画像形成装置

【課題】質の異なる色々なシート状記録媒体の厚さ及び種類を、搬送中に安定的に、かつ正確に算出することが可能なシート状記録媒体厚、種類検出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写材Pの撓みの解消に伴い、転写材Pの先端P1は、反動で搬送路6内に侵入する。この転写材Pの先端P1の搬送路6内への侵入に伴い、半弧状の遮光板15を回転させ、遮光版15に形成されたスリット15aによって形成されるパルスを第1の検知センサ16が検出する。同時に、転写材Pの撓み解消と共に、転写材Pの先端P1が搬送路6内に侵入したときに、第2の検知センサ14が転写材Pの先端P1の通過を検知し、転写材Pの先端P1が第2の検知センサ14に到達するまでの到達時間を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状記録媒体を搬送する搬送手段と、当該搬送手段によりに搬送されたシート状記録媒体の厚さと種類を検出する検出手段を備えた記録媒体検出装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を使用する画像形成装置においては、シート状記録媒体である転写材厚が転写特性や定着特性に大きく関与する。転写特性に関しては、転写材厚が厚いほど、転写電流を増大させる必要があり、また定着特性に関しては、転写材厚が厚いほど熱量を増大させる必要がある。言い換えれば、一定の電流、熱量で転写、定着可能な転写材の種類は限られてしまう。このため、外部スイッチにより転写材厚を指定して、転写電流と定着温度を調整したり、定着スピードを調整したりする事により対応することになる。ところが転写工程と定着工程とは、複写画像の画質に大きく影響を及ぼす工程であり、特に画質については厳しいフルカラー複写機においては、使用せる転写材の種類も多く、外部スイッチによる転写材の指定だけでは、高画質を維持することが出来ない。従って、転写材厚検知機構により転写材厚を自動的に検知し、その検知した転写材厚に応じてプロセス条件等を設定することが必要とされている。
従来の転写材厚検知機構としては、転写材をアクチュエータで挟むなどして機械的に検知するもの、電極で転写材を挟んで電気的に検知するもの、あるいは転写材の光に対する性質を利用して光学的に検知するものがある。例えば、特許文献1に記載されているように、光学的に転写材厚を検知する機構を有しており、転写材の光に対する透過特性と反射特性を測定する事によって転写材厚を非接触で検知するようにすることが知られている。
【特許文献1】特開平6−331322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1記載の方法では、近年、転写材の種類も多様化して多くなり、再生転写材、色付き転写材等々が市場に氾濫している現状を踏まえると透過特性と反射特性による転写材の種類の判定が困難となり、正確に転写材厚を検知することができないといった問題もある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、質の異なる色々なシート状記録媒体の厚さ及び種類を、搬送中に安定的に、かつ正確に算出することが可能な記録媒体検出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シート状記録媒体を搬送する搬送手段と、当該搬送手段によりに搬送されたシート状記録媒体の厚さと種類を検出する検出手段を備えた記録媒体検出装置において、前記検出手段は、前記搬送手段によって搬送されるシート状記録媒体の搬送経路中に設けられたゲート位置で前記記録媒体の先端をせき止めて当該記録媒体の先端に撓みを形成する撓み形成手段と、前記記録媒体に形成された所定量の撓みを検知する撓み検知手段と、当該撓み検知手段によって所定量の撓みを検知したときに、前記撓み形成手段による前記記録媒体の先端のせき止め動作を解除して前記撓みを平坦化し、当該記録媒体の撓みの平坦化に伴って発生する記録媒体の反発力を検出する第1の検知センサと、当該記録媒体の平坦化に伴って記録媒体の先端が前記ゲート位置から所定位置を越えたときの到達時間を検出する第2の検知センサとを有しており、前記第1の検知センサによる前記記録媒体の反発力と第2の検知センサによる前記記録媒体の到達時間から記録媒体の紙厚と種類を算出する算出手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の記録媒体検出装置において、前記第1の検知センサは、前記撓みを平坦化した際に記録媒体の先端と当接して回転される回転体と当該回転体の回転角度を検出する角度センサとを備えていることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の記録媒体検出装置において、当該記録媒体検出装置は、温湿度センサを備え、当該温湿度センサで検出された温湿度変化によって、前記第1の検知センサ及び第2の検知センサの検出出力に基づいて算出された記録媒体の厚み及び種類を補正する温湿度補正手段を備えたことを特徴とする。
【0005】
また、請求項4の発明は、シート状記録媒体の表面に未定着画像を形成する画像形成手段と、当該未定着画像を加熱、加圧して前記シート状記録媒体の表面に画像を定着させる定着手段を備えた画像形成装置において、前記定着手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記加熱温度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、感光体表面に静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着して当該静電潜像をトナー像化し、当該トナー像をシート状記録媒体表面に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記転写手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて印加される印加電流を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、感光体表面に静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着して当該静電潜像をトナー像化し、当該トナー像をシート状記録媒体表面に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、前記感光体は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記感光体の移送速度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項7の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、当該画像形成装置は、前記転写手段でシート状記録媒体表面に転写された未定着トナー像を加熱、加圧してシート状記録媒体表面に定着する定着手段を備え、当該定着手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記加熱温度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記感光体は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記感光体の移送速度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項4乃至8の何れか1項記載の画像形成装置において、当該画像形成装置は、温湿度センサを備え、当該温湿度センサで検出された温湿度変化によって、前記第1の検知センサ及び第2の検知センサの検出出力に基づいて算出された記録媒体の厚み及び種類を補正する温湿度補正手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送手段によって搬送されるシート状記録媒体の搬送経路中に設けられたゲート位置で前記記録媒体の先端をせき止めて当該記録媒体の先端に撓みを形成する撓み形成手段と、前記記録媒体に形成された所定量の撓みを検知する撓み検知手段と、当該撓み検知手段によって所定量の撓みを検知したときに、前記撓み形成手段による前記記録媒体の先端のせき止め動作を解除して前記撓みを平坦化し、当該記録媒体の撓みの平坦化に伴って発生する記録媒体の反発力を検出する第1の検知センサと、当該記録媒体の平坦化に伴って記録媒体の先端が前記ゲート位置から所定位置を越えたときの到達時間を検出する第2の検知センサと、を有しており、前記第1の検知センサによる前記記録媒体の反発力と第2の検知センサによる前記記録媒体の到達時間から記録媒体の紙厚と種類を算出する算出手段を備えた検出手段を使用することによって、質の異なる色々なシート状記録媒体の厚さ及び種類を、搬送中に安定的に、かつ正確に算出することが可能な記録媒体検出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置本体1の中央部に記録用紙等のシート状記録媒体である転写材Pに画像を形成する画像形成部30とその下方に転写材Pを収納する給紙トレイ10を有する給紙装置2を備えている。
画像形成部30は、感光体ドラム31を有し、その外周に感光体ドラム31の表面を一様に帯電する帯電装置32、現像装置33を備えており、光書込み装置34からの画像に基づいた光が感光体ドラム31の表面に照射して、感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成する。このように静電潜像が形成された感光体ドラム31の表面に現像装置33からトナーを供給して、静電潜像をトナー像化して現像する。
【0009】
給紙装置2は、多数の転写材Pの束を収納する給紙トレイ10から、転写材Pを、給紙トレイ10の底板25に取り付けられた図示しない押し上げ部材によって弾性的に押し上げて回転駆動する給紙コロ26と分離パッド27とによって1枚づつ繰り出されるようになっている。
このようにして給紙トレイ10から繰り出された転写材Pは、図1の矢印で示すように、搬送ローラ対19によってレジストローラ対20に供給される。レジストローラ対20では、画像形成部30で上述のようにして形成されたトナー像を転写ローラ21で転写材Pの表面に転写するタイミングをみて転写材Pを転写ローラ21に送給して転写材P上にトナー像を転写する。このようにしてトナー像が転写された転写材Pは、定着部40に搬送され、定着部40で定着ローラ40a及び加圧ローラ40bによって加熱、加圧処理を受けてトナー像が転写材Pの表面に定着される。その後、定着処理された転写材Pは、搬送ローラ対23で搬送されて排紙ローラ22によって排紙トレイ23に排出される。
【0010】
本実施形態の画像形成装置においては、搬送ローラ対19とレジストローラ対20との間には、後述する転写材Pの厚みと種類を検出する厚、種類検出装置(記録媒体検出装置)3が備えられており、厚、種類検出装置3によって、転写材Pの厚み、種類が検出される。このようにして、厚、種類検出装置3によって、レジストローラ対20に搬送された転写材Pの厚み及び種類が検出された結果が制御装置4に送給される。制御装置4では、厚、種類検出装置3からの検出結果に応じて、感光体ドラム31上に形成されたトナー像を転写材P上に転写するための転写ローラ21への印加電流や印加電圧等の転写材Pの厚み及び種類に応じて予め設定されている転写条件を転写ローラ21に送給して転写条件を制御している。また、同様に、制御装置4は、厚、種類検出装置3からの検出結果に応じて、転写材Pの厚み及び種類に応じて予め設定されている定着時の加熱温度や加圧力等の定着条件を転写材P上の未定着トナー像を定着する定着装置40に送給して制御している。さらに、制御装置4は、厚、種類検出装置3からの検出結果に応じて、転写材Pの厚み及び種類に応じて予め設定されている感光体ドラム13の回転速度等を制御するようになっている。
【0011】
このように、厚、種類検出装置3からの検出結果に応じて、転写ローラ21への転写条件、定着装置40の定着条件及び感光体ドラム13の回転速度等が転写材Pの厚み及び種類に応じて適切に制御されるようになっているために、転写材Pの厚さと種類に適合した転写電流等の転写条件、定着温度等の定着条件及び搬送速度を自動で切り替えることで、画像上での濃度不足またはチリまたは光沢度または定着性不良などの異常画像や異常搬送の発生を防止することができ、更にはユーザーの手動による転写材Pの選択の煩わしさの軽減や、オペレーションミスを防止することができる。
さらに、本実施形態の画像形成装置においては、温湿度センサ5が備えられており、この温湿度センサ5によって装置本体1の温湿度をモニタして、予め温湿度条件下で求めた補正係数で、後述する厚、種類検出装置3からの検出結果を補正して経時変化に伴う転写材Pの厚み、種類の検出を安定、正確に行うようにしている。
【0012】
次に、本発明による一実施形態に係る転写材Pの厚、種類検出装置3について図面に基づいて説明する。
図2は、本発明による一実施形態に係る転写材Pの厚、種類検出装置3の概略構成を示す図である。本実施形態に係る転写材Pの厚、種類検出装置3は、転写材Pを矢印Bで示すように、レジストローラ対20に向かって搬送する搬送ローラ対19と、転写材Pの搬送経路を構成する下ガイド板6aと上ガイド板6bを有している。下ガイド板6aには、転写材Pの先端P1と当接して、転写材Pの搬送を阻止するゲート手段7が下ガイド板6aの表面から突没自在になるように、支軸8aで回動自在に取り付けられたレバー8の先端8bに取り付けられている。レバー8は、引張ばね9によって引張されると共に、その後端8cで、支軸11aで回動自在に取り付けられ一端11bにソレノイド12のプランジャー12aと連結された回動レバー11の他端11cが当接し、ソレノイド12がOFFの状態では、ゲート手段7が下ガイド板6a上に突出して転写材Pの搬送が阻止されるようになっている。
また、上ガイド板6bの前方には、折り曲げ部6cが形成されており、折り曲げ部6c上に転写材Pの撓みを検知する撓み検知センサ13が取り付けられている。撓み検知センサ13に取り付けられた撓み検知フィラー13aが下ガイド板6aに向かって突出しており、図3に示すように、搬送ローラ対19によって搬送された転写材Pの先端P1がゲート手段7によってせき止められて先端P1の後方が撓み、撓んだ突出端P2が所定高さHまで持ち上げられたときに撓み検知フィラー13aが持ち上げられて、撓み検知センサ13がON状態となる。
【0013】
一方、ゲート手段7の突出位置(ゲート位置)から所定距離Lだけ離隔した下ガイド板6aの位置に、転写材Pの先端P1を検出する第2の検知センサ14が取り付けられている。ゲート手段7が回動して転写材Pの先端P1のせき止めが解除されたときに、転写材Pの反発力で転写材Pの撓み部P2が平坦化して転写材Pの先端P1がB方向に前進する。この転写材Pの先端P1の通過を第2の検知センサ14が検出して、ゲート位置から第2の検知センサ14の到達時間を計測するようにしている。
また、上ガイド板6bには、搬送路6内に突出して搬送路6内を移送される転写材Pの先端P1と当接して支軸15aを中心として回転する半弧状の遮光板15が取り付けられている。遮光板15には、所定角度で形成されたスリット15bが穿設されており、このスリット15bを光学的に検知する第1の検知センサ16が設けられている。遮光板12は、その外周に転写材Pの先端P1と当接して矢印C方向に回動する。この遮光板15の回動によって第1の検知センサ16がスリット15bを検知してパルス信号を出力するようになっている。半弧状の遮光番板15は、振り子動作を行い、前述の転写材Pの撓みが解消される場合の反発力に比例して回動する。従って、反発力が大きい場合には、大きく回動して多くのパルス信号を出力し、反発力が小さい場合には、小さく回動して少ないパルス数のパルス信号しか出力されない。この反発力の大小は、転写材Pの腰の強さ、即ち、クラーク剛度に比例する。このクラーク剛度は、一般的に、転写材Pの厚みと種類に影響される。
【0014】
図4は、転写材Pの厚みとクラーク剛度との関係を示し、図中、直線1はタイプBの材質のものに、直線2は、タイプAの材質のもの、直線3はタイプCの材質のもの、直線4はOHP用プラスチックシート、直線5はタイプDの材質のもの、折れ線6はタイプEの材質にものについて示している。この図から、材質の違いによって同一厚みでもクラーク剛度は異なるが、いずれの材質においても厚みにクラーク剛度は比例していることが明らかである。
本実施形態においては、この関係を利用し、クラーク剛度、即ち、撓みを解消した際の反発力を測定することによって、転写材の厚みを算出するようにしたものである。
【0015】
図5は、第1の検知センサ16で検出されるパルス信号のパルス数と転写材Pの厚み(一定面積の転写材重量(g/m))(紙厚)との関係を示す。直線7は、OHP用プラスチックシート、直線8は紙厚が160μm以上の厚紙、直線9は紙厚が90μm以上160μm以下の普通紙、直線10は紙厚が90μm以下の薄紙について示す。この図から、材質が特定されれば、第1の検知センサ16で検出されるパルス信号のパルス数を測定することによって転写材Pの厚みを知ることができる。
第1の検知センサ16では、転写材Pの材質が特定されないと、転写材Pの厚みを特定することができない。そのため、本実施形態では、さらに、転写材Pの前記撓みが解消されて平坦まで復帰する速度を測定することによって材質(種類)を特定するようにしている。
【0016】
図6は、転写材Pの先端P1がゲート位置から第2の検知センサ14で検知されるまでの到達時間(一定距離を先端P1が移動する時間)と、転写材Pの種類と厚みの関係を示すグラフである。図中、直線11は、前記図5の直線10で示す薄紙、直線12は図5の直線9で示す普通紙、直線13は図5の直線8で示す厚紙、直線14は図5の直線7で示すOHPシートである。この図から、図5でD1の厚みが測定されていたとき、第2の検知センサ14で到達時間Tを測定することによって、転写材Pの種類を特定することが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、第1の検知センサ16の出力に基づいて転写材Pの厚みを算出し、第2の検知センサ14の出力に基づいて転写材Pの種類を特定することが可能となる。このような使用される転写材Pの厚みと種類の情報を、前述の図1で示す画像形成装置の制御装置4に送給し、このような転写材Pの厚みと種類の情報に基づいて、転写ロール21への転写条件や定着手段40での定着条件や感光体ドラム31の回転速度等が制御されることになる。
この場合、本実施形態においては、第1の検知センサ16の出力に基づいて転写材Pの厚みを算出し、第2の検知センサの出力に基づいて転写材Pの種類を特定したが、逆に第1の検知センサ16で転写材Pの種類を特定し、第2の検知センサ14によって転写材Pの厚みを算出するようにしても良い。
また、本実施形態においては、第1の検知センサは、半弧状の遮光板15のスリット15aを検知して遮光版15の回転角に応じたパルス数を発生する角度センサを使用したが、円盤状の回転体を使用し、この円盤の回転角度を検出する角度センサであっても良い。
【0017】
次に、本実施形態における上記転写材厚、種類検出装置を用いて転写材Pの厚み、種類を検出する方法について図7及び図8に基づいて説明する。
先ず、厚、種類検出装置3による検知タイミングについて、図7について説明する。図7(A)は搬送ローラ対19を駆動する駆動モータのタイミングチャート、(B)は撓み検知センサ13の動作タイミングチャート、(C)はソレノイド12の動作タイミングチャート、(D)は第1の検知センサ16の出力タイミングチャート、(E)は第2の検知センサ14の出力タイミングチャートである。図8は、転写材Pの厚み、種類を検出する方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、転写材Pは、スタートと共に搬送ローラ対19を駆動する駆動モータが作動して搬送ローラ対19によって転写材Pがレジストローラ対20に向かって搬送される(ステップS1)。搬送ローラ対19によって搬送された転写材Pは、ゲート手段7に先端P1が当接して移動を停止される。先端P1の移動の停止に伴い、先端部に撓みが発生し、撓みの突出端が撓み検知フィラー13aを押し上げ撓み検知センサ13を作動させてONとする(ステップS2)。撓み検知センサ13のON動作に伴い搬送ローラ対19の駆動モータの駆動が停止、同時にソレノイド12を作動させてゲート手段7を回動させ、転写材Pの撓みを解消する(ステップS3)。
【0018】
転写材Pの撓みの解消に伴い、転写材Pの先端P1は、反動で搬送路6内に侵入する。この転写材Pの先端P1の搬送路6内への侵入に伴い、半弧状の遮光板15を回転させ、遮光版15に形成されたスリット15aによって形成されるパルスを第1の検知センサ16が検出する。この場合、転写材Pの厚みによって、撓み解消に伴う反発力の大小に応じた数のパルス数、例えば、反発力の小さな薄紙の場合は3パルス、反発力の大きな薄紙より厚い厚紙の場合には、5パルス検出される(ステップS4)(図7(D)参照)。同時に、転写材Pの撓み解消と共に、転写材Pの先端P1が搬送路6内に侵入したときに、第2の検知センサ14が転写材Pの先端P1の通過を検知し、図7(E)で示すON信号を生成する。この場合に、図示しないカウンタによって、ソレノイド12のON動作開始時から第2の検知センサ14のON動作までのクロックをカウントし、転写材Pの先端P1が第2の検知センサ14に到達するまでの到達時間を計測する(ステップS5)。
【0019】
このようにして、第1の検知センサ16及び第2の検知センサ14によって検出されたパルス数と到達時間のデータは、CPU(演算ユニット)17に送給され、CPU17で、予め、パルス数と転写材Pの厚みとの関係テーブル及び、到達時間と厚みと転写材Pの種類の関係テーブルから転写材Pの厚み、種類を算出する(ステップS6)。このようにして算出された転写材Pの厚み、種類の情報を制御装置4に送給して、転写条件、定着条件及び搬送条件を設定する(ステップS7)。このような条件で複写動作を開始し、複写完了と共に終了する(ステップS8)。
なお、図7おいて示すように、第2の検知センサ14は、反発力の大きい例えば、厚紙等は、M1の位置でON動作が開始され、薄紙の場合には、M2の位置でON動作が開始する。第2の検知センサ14のON動作とともに、所定時間遅延後の搬送ローラ対19を駆動する駆動モータが駆動して転写材Pをレジストローラ対20に向けて搬送する。
【0020】
また、CPU17では、図5、図6の特性図により説明したような、転写材Pの厚さとパルス数の変化と転写材Pの種類と速度の変化との相関関係に基づいて、予めCPU17内に設定されているが、算出値を実際の転写材Pの厚さに対応させるために、厚さが分かっている転写材Pの基準シートの厚さを検知させることにより、予め校正しておくことが好ましい。
さらに、転写材の撓みの解消に伴う反発力等は、厚、種類検出装置が使用される温湿度に影響されるため、本実施形態においては、装置3内の温湿度を検出する温湿度センサ5を備え、この温湿度センサ5で検出された温湿度に基づいて、転写材Pの厚み、及び種類をCPU17で算出する際に補正する温湿度補正手段も備えている。
【0021】
以上のように、本実施形態に係る転写材の厚、種類検出装置では、パルス数の変化で転写材Pの厚さを、転写材Pの種類を速度の変化で、搬送中に安定的に、かつ正確に求めることが可能である。しかも、このような転写材Pの厚さ及び種類を簡単な構成で作製することができる。画像形成装置における厚、種類検出装置の設置場所については、レジストローラ対20より上流であれば特別な制約は無く自由度も兼ね備える。また転写材Pのスキュ補正も同時に出来る機構を備えることができる。
また、転写材Pの厚さと種類を検出し、画像形成装置の転写電流を最適条件にするための制御装置を備えているので、転写材Pの厚さと種類に適合した転写電流を自動で切り替えることで、画像上での濃度不足またはチリなどの異常画像の発生を防止することができる。
また、転写材Pの厚さと種類を検出し、画像形成装置の定着温度を最適条件にするための制御装置を備えているので、転写材Pの厚さと種類に適合した定着温度を自動で切り替えることで、画像上での光沢度または定着性不良などの異常画像の発生を防止することができる。
また、転写材Pの厚さと種類を検出し、画像形成装置の搬送速度を最適条件にするための制御装置を備えているので、転写材Pの厚さと種類に適合した搬送速度を自動で切り替えることで、画像上での異常画像または異常搬送などの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明による一実施形態の転写材の厚、種類検出装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す転写材の厚、種類検出装置の転写材の撓み状態を示す模式図である。
【図4】転写材の厚みとクラーク剛度との関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明による一実施形態の転写材の厚、種類検出装置の第1の検知センサで検出される検知信号に基づいて算出されるパルス数と転写材の厚みとの関係を示すグラフ図である。
【図6】本発明による一実施形態の転写材の厚、種類検出装置の第2の検知センサで検出される検知信号に基づいて算出される到達時間と転写材の厚みとの関係を示すグラフ図である。
【図7】本発明による一実施形態の転写材の厚、種類検出装置の検知タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】本発明による一実施形態の転写材の厚、種類検出装置による厚み、種類検出のフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
3 転写材の厚、種類検出装置、4 制御装置、5 温湿度センサ、6 搬送路、6a 下ガイド板、6b 上ガイド板、12 ソレノイド、13 撓み検知センサ、14 第2の検知センサ、15 遮光板、16 第1の検知センサ、17 CPU、19 搬送ローラ対、20 レジストローラ対、21 転写ローラ、30 画像形成部、31 感光体ドラム、32 帯電装置、33 現像装置、34 光書込み装置、40 定着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状記録媒体を搬送する搬送手段と、当該搬送手段により搬送されたシート状記録媒体の厚さと種類を検出する検出手段と、を備えた記録媒体検出装置において、
前記検出手段は、前記搬送手段によって搬送されるシート状記録媒体の搬送経路中に設けられたゲート位置で前記記録媒体の先端をせき止めて当該記録媒体の先端に撓みを形成する撓み形成手段と、前記記録媒体に形成された所定量の撓みを検知する撓み検知手段と、当該撓み検知手段によって所定量の撓みを検知したときに、前記撓み形成手段による前記記録媒体の先端のせき止め動作を解除して前記撓みを平坦化し、当該記録媒体の撓みの平坦化に伴って発生する記録媒体の反発力を検出する第1の検知センサと、当該記録媒体の平坦化に伴って記録媒体の先端が前記ゲート位置から所定位置を越えたときの到達時間を検出する第2の検知センサと、を有しており、前記第1の検知センサによる前記記録媒体の反発力と第2の検知センサによる前記記録媒体の到達時間から記録媒体の紙厚と種類を算出する算出手段を備えたことを特徴とする記録媒体検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録媒体検出装置において、
前記第1の検知センサは、前記撓みを平坦化した際に記録媒体の先端と当接して回転される回転体と当該回転体の回転角度を検出する角度センサとを備えていることを特徴とする記録媒体検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の記録媒体検出装置において、
当該記録媒体検出装置は、温湿度センサを備え、当該温湿度センサで検出された温湿度変化によって、前記第1の検知センサ及び第2の検知センサの検出出力に基づいて算出された記録媒体の厚み及び種類を補正する温湿度補正手段を備えたことを特徴とする記録媒体検出装置。
【請求項4】
シート状記録媒体の表面に未定着画像を形成する画像形成手段と、当該未定着画像を加熱、加圧して前記シート状記録媒体の表面に画像を定着させる定着手段を備えた画像形成装置において、
前記定着手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記加熱温度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
感光体表面に静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着して当該静電潜像をトナー像化し、当該トナー像をシート状記録媒体表面に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記転写手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて印加される印加電流を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
感光体表面に静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着して当該静電潜像をトナー像化し、当該トナー像をシート状記録媒体表面に転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記感光体は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記感光体の移送速度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
当該画像形成装置は、前記転写手段でシート状記録媒体表面に転写された未定着トナー像を加熱、加圧してシート状記録媒体表面に定着する定着手段を備え、当該定着手段は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記加熱温度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記感光体は、前記シート状記録媒体の厚み及び種類に応じて前記感光体の移送速度を制御する制御手段を備え、前記シート状記録媒体の厚み及び種類は、請求項1乃至3の何れか1項記載の記録媒体検出装置によって算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れか1項記載の画像形成装置において、
当該画像形成装置は、温湿度センサを備え、当該温湿度センサで検出された温湿度変化によって、前記第1の検知センサ及び第2の検知センサの検出出力に基づいて算出された記録媒体の厚み及び種類を補正する温湿度補正手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−46218(P2009−46218A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212040(P2007−212040)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】