説明

試薬コンテナ、そしてスライド反応トレイおよび保持トレイ、ならびに操作の方法

【課題】組織サンプル処理システム、特に、このようなシステムで用いられるサンプル保持トレイを提供すること。
【解決手段】組織サンプル処理システムにおいて用いられるサンプル保持トレイであって:試薬保持凹部を規定する試薬保持部分;試薬表面を含むプラテンを規定するサンプル保持部分;および該試薬保持凹部を該試薬表面と流体連絡に置くような形態である流体流れ部分を備える、サンプル保持トレイ。この試薬保持凹部内には、試薬がさらに備えられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2005年2月11に出願された「試薬コンテナ、そしてスライド反応および保持トレイならびに操作の方法」と題する米国仮特許出願第60/652,170号への優先権を主張し、その各々の内容は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。本出願はまた、2003年8月11日に出願され、そして「流体分配装置」と題する同時係属中の米国特許出願第10/639,021号の一部継続出願であり、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に組織サンプル処理システムに関し、特に、このようなシステムで用いられるサンプル保持トレイに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
組織プロセッサーは、種々のレベルの自動化とともに操作され得、組織学的または病理学の使用のためのヒトまたは動物組織標本を処理する。種々のタイプの化学的試薬が、組織処理の種々のステージで用いられ得、そして種々のシステムが、スライドを含む標本に試薬を送達するために開発されている。公知の試薬送達システムの例は、小量放出ディスペンサー、試薬バットに手動で注ぐこと、または管材を経由してプロセッサーと連結されたバルクコンテナを経由することを含む。
【0004】
公知のシステムの種々の欠点がある。例えば、試薬バットに手動で注ぐか、または排出することは、時間を浪費し、そして注ぐ正確さを必要とし、それによって組織処理システムの全体の効率を低減する。別の欠点は、試薬を手動で注ぎ、かつ排出することは粗雑で、溢れ液の清掃および結果としての機器の停止時間を必要とすることである。さらなる欠点は、正確な試薬を選択することが、オペレーターの注意と正確さを必要とし、そして試薬付与の誤りの増加した可能性が存在し、試験の正確さ、および操作効率の減少を生じることである。
【0005】
自動化システムはまた、種々の欠点を提示する。試薬は、処理の間に選択され、そしてスライドに投与される必要がある。これら試薬は、しばしば、上から重力促進分配によって送達される必要がある。このような送達システムは、特別の試薬ディスペンサーまたはドライバーまたは自動化ピペッティングシステムのような試薬送達のための特別の装置を必要とする。このようなシステムは、試薬類をセットアップおよび分配するために必要な所定量の努力、処理の間の蒸発の可能性または汚染、ならびに多数の試薬の小量を取り扱う際の困難さのような種々の不利益を受ける。
【0006】
組織を染色するための1つの公知のスライド保持トレイおよびシステムが、特許文献1に記載され、これは、本明細書中に参考として援用される。この特許文献1に示されるように、プラテンが提供され、そして種々の取り付け要素が提供されてスライドをスライドトレイに取付ける。5つのスライドのためのスペースが示されている。反応チャンバは、プラテン表面とトレイ上に取付けられたスライドとの間に提供される。試薬は、ドリップ表面および付帯するキャピラリー作用を経由して反応チャンバ中に導入される。さらなる公知のスライド保持トレイおよびシステムが、特許文献2および特許文献3に記載され、これらは、本明細書中に参考として援用されている。これらの特許に示されるように、個々に加熱され、または冷却されるスライド保持装置が提供される。これらスライドは表面に隣接して位置決めされ、そして試薬は、これらスライドとそれらの個々の表面との間に、試薬を含むゲルを加熱によって溶かすことよるように導入され得る。
【特許文献1】米国特許第5,338,358号明細書
【特許文献2】米国特許第5,695,942号明細書
【特許文献3】米国特許第5,965,545号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、組織サンプル処理システム、特に、このようなシステムで用いられるサンプル保持トレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する:
(項目1)サンプル保持トレイであって:
試薬保持凹部を規定する試薬保持部分;
試薬表面を含むプラテンを規定するサンプル保持部分;および
該試薬保持凹部を該試薬表面と流体連絡に置くような形態である流体流れ部分を備える、サンプル保持トレイ。
(項目2)前記試薬保持凹部内に試薬をさらに備える、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目3)前記試薬保持凹部内の第1の試薬が、流動化可能なマトリックス内に含まれる、項目2に記載のサンプル保持トレイ。
(項目4)前記流れ部分が、上から分配される流体を受容するような形態である前記試薬表面と流体連絡しているドリップ表面を含む、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目5)前記ドリップ表面が、前記試薬保持凹部と前記プラテンとの間に位置する、項目4に記載のサンプル保持トレイ。
(項目6)前記サンプル保持トレイ内に、顕微鏡スライドを、該顕微鏡スライドが前記試薬表面上に間隔を置いて配置され、それによって、該スライドとの前記プラテンとの間に反応チャンバを形成するように位置決めするような形態の少なくとも1つのスライド位置決め要素をさらに備える、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目7)前記スライド位置決め要素が、スライドを、該スライドの底表面が前記プラテンの試薬表面に対して角度をなすように保持する形態である、項目6に記載のサンプル保持トレイ。
(項目8)前記反応チャンバ内に位置決めされた組織切片をさらに備える、項目6に記載のサンプル保持トレイ。
(項目9)角度をなす上表面、および該角度をなす表面上に位置決めされた機械読み取り可能な識別子を有する側壁をさらに備え、該機械読み取り可能な識別子が、前記試薬保持凹部内に含まれる試薬に関する情報を提供するような形態である、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目10)前記試薬保持凹部上に位置決めされるシールをさらに備える、項目2に記載のサンプル保持トレイ。
(項目11)前記プラテンの近位端上の入口ポート、および該プラテンの遠位端上の排出ポートのうちの少なくとも1つをさらに備える、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目12)少なくとも1つの排出ポートをさらに備え、該排出ポートがスクリーンを含む、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目13)前記プラテンが、該プラテンの遠位端にあるプラテンの試薬表面から上方に延びる肩部を含む、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目14)前記プラテンの遠位端に隣接して位置決めされたロッカーをさらに備え、該ロッカーが前記肩部に対してより低いレベルにある上表面を含む、項目13に記載のサンプル保持トレイ。
(項目15)オーバーフローおよび混合レザバをさらに備える、項目1に記載のサンプル保持トレイ。
(項目16)前記オーバーフローレザバが前記反応チャンバと流体連絡にあり、それによって前記スライド保持トレイ中に位置決めされたスライドを有する湿潤制御システムを形成する、項目15に記載のサンプル保持トレイ。
(項目17)サンプル処理システムであって:
複数のサンプル保持トレイであって、ここで、各トレイが、試薬保持凹部を規定する試薬保持部分、試薬表面を含むプラテンを規定するサンプル保持部分;および該試薬保持凹部を該試薬表面と流体連絡に置くような形態である流体流れ部分を含む、サンプル保持トレイ;
該サンプル保持トレイと流体連絡するマニホルド
該サンプル保持トレイと熱的に連絡する加熱および/または冷却システム;ならびに
該サンプル保持トレイと流体連絡している外部試薬分配システム、を備える、サンプル処理システム。
(項目18)組織サンプルを処理する方法であって;
サンプル保持トレイ中に含まれる試薬凹部中に試薬を含むサンプル保持トレイを選択する工程;および
該サンプル保持トレイ上に顕微鏡スライドを位置決めする工程であって、該スライドと該サンプル保持トレイのプラテンとの間に反応チャンバを形成する工程を包含し、
ここで、該スライドが、その表面上に位置決めされた組織サンプルを含み、そして該スライドが、該サンプル保持トレイ上に、該組織サンプルが該スライドと該プラテンとの間に位置決めされるように位置決めされる、方法。
(項目19)前記試薬凹部から前記試薬を流動化可能な形態で放出し、それによって、該試薬が該試薬凹部から前記反応チャンバに流れる工程をさらに包含する、項目18に記載の組織サンプルを処理する方法。
(項目20)前記プラテン内の入口ポートから前記反応チャンバ中に流体を導入する工程;および
前記試薬を、前記試薬凹部から該反応チャンバ中に、それを該試薬凹部から流動化可能な形態で放出することによって導入する工程、をさらに包含する、項目18に記載の方法。
(項目21)前記試薬を、前記試薬凹部から前記反応チャンバ中に、それを該試薬凹部から流動化可能な形態で放出することによって導入する工程、をさらに包含する、項目18に記載の組織サンプルを処理する方法。
(項目22)外部試薬を、前記反応チャンバ中に、それを前記サンプル保持トレイのドリップ表面上にドリップすることによって導入する工程、をさらに包含する、項目18に記載の組織サンプルを処理する方法。
(項目23)流体を、前記反応チャンバ中に、前記プラテンの入口ポートから導入する工程をさらに包含する、項目18に記載の組織サンプルを処理する方法。
(項目24)前記流体を、前記プラテン中の排出ポートを経由して前記反応チャンバから排出する工程をさらに包含する、項目18に記載の組織サンプルを処理する方法。
【0009】
サンプルまたはスライド保持トレイは、試薬レザバまたは凹部、および反応チャンバを備える。スライドまたは他のサンプル容器は、所望されるように、組織標本面を下にして、かつトレイ上のプラテンとスライドとの間にして、サンプル保持トレイ上で位置決めされ得る。レザバからの試薬は、例えば、加熱することによって流動可能になり、レザバから反応チャンバ内に流れる。必要に応じて、試薬または他の流体が、サンプル保持トレイのドリップ表面上にドリップすることによって上から、または、プラテン内の入口ポートを介して下から、提供され得る。
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、公知の自動化スライド染色システムの欠点を大きな程度軽減し、これは、組織処理システムで利用され得るサンプル保持トレイおよび反応チャンバを提供することによる。好ましくは、このサンプル保持トレイは、反応チャンバを提供し、そして必要に応じて1つ以上の試薬レザバ中に試薬または複数の試薬を保持する。1つの実施形態では、上記保持トレイは、プラテン、ドリップ表面、および試薬コンテナとして作用する凹部を含む。この試薬コンテナは、基質を処理することで用いられ得る第1の試薬のような、試薬または試薬の組み合わせを収容し得る。このトレイ内に収容される試薬は、本明細書では「凹部試薬」として称される。
【0011】
このプラテンおよびこのトレイのその他の構造的特徴は、好ましくは、このトレイ上に位置決めされたスライドを、反応チャンバがプラテンのすべてまたは一部分と、上記スライドの表面との間に形成されるように配向する。この反応チャンバは、スライドがその位置にある間に、試薬がこの反応チャンバ中に送達され得るような形態であり得る。基質は、切片化されているヒト組織または動物組織のような、処理されることが所望される任意の品目であり得る。上記保持トレイは、好ましくは、単回使用の後に廃棄可能であるが、複数使用が同一システムで同様に可能である。いくつかの実施形態によれば、上記保持トレイには、このトレイ内に含まれる試薬(単数または複数)、または複数のトレイタイプがシステム中で用いられ得る場合にはトレイのタイプに関する情報を提供する識別子が備えられ得る。
【0012】
1つの実施形態では、上記試薬凹部中の試薬は、ゲルまたは溶融可能な固体のような流動化可能なマトリックス中に提供される。上記保持トレイを用いるシステムは、好ましくは、上記試薬凹部から上記反応チャンバ中に所望のように試薬が流れるために十分に試薬を液化するように、その試薬を加熱するように、所望によりこの試薬凹部に加熱または冷却を提供するように位置決めされた加熱および/または冷却要素を含むような、温度制御システムを含む。この加熱および/または冷却要素(単数または複数)は、必要に応じて、底面の実質的に下に配置される。さらに、上記加熱および/または冷却要素は、反応動力学を制御するため、および機器によって生成される熱レベルと反作用するためのような、上記試薬チャンバ中の試薬マトリックスを、この試薬マトリックスが、固体、ゲルまたはその他の非流動化可能形態に保持するように冷却するために用いられ得る。
【0013】
上記基質を処理するためのその他の試薬は、上から分配される試薬を受容する形態にあるドリップ表面上に分配され得、そして次にこれら試薬(単数または複数)を、プラテンとスライドとの間に形成された反応チャンバ中へのように、所望のように流れさせる。外部供給源から付与される外部試薬は、第2の試薬、第1の試薬または付与されることが所望される任意のその他の流体であり得る。外部供給源から供給される試薬は、本明細書では、「外部試薬」と称される。
【0014】
除去可能な障壁またはシールを用いて、上記試薬含有凹部をカバーし得る。この障壁またはシールは、好ましくは、相対的に蒸気および流体不透過性であり、そして上部表面および1つ以上の側面のような、凹部の任意のその他の開放部分を覆う。代替の実施形態では、上記凹部の側面は、所望のようにブロックする係合から滑り出、そして所望であれば滑って戻ることができる滑動可能な障壁でブロックされる。
【0015】
1つの実施形態では、上記試薬含有凹部は再充填可能である。例えば、この凹部は、必要に応じて、凹部試薬を含むマトリックスの所定量をこの凹部に供給するための1つ以上のアパーチャを有する底面を含む。第1の試薬をこの凹部に上からのように、凹部試薬を再充填するような、所望のようにこの凹部を充填し得る任意のその他の充填機構もまた用いられ得る。試薬は、キャプレット、1つ以上のペレット、ドリップすること、注ぐこと、またはチューブから圧搾することのような任意の形態で再充填することで上記凹部中に位置決めされ得る。
【0016】
流体および試薬はまた、その他の手段によって上記システム中に導入され得る。1つの実施形態では、流体および/試薬は、下から導入され、そして/または排出される。1つの例は、プラテン中に1つ以上の流体侵入ポートを、そして必要に応じてプラテン中に1つ以上の流体排出ポートを提供することによる。好ましくは、この侵入および排出ポートは、プラテンの1つの端部から他方の端部まで流体流れグラジエントを生成するようにプラテンのほぼ対向する端部にある。トレイ中に位置決めされたスライドで、反応チャンバが、一方の端部から他方の端部への流体流れグラジエントとともにスライドとプラテンとの間に形成される。1つの実施形態では、この流体侵入ポートと排出ポートの各々は、比較的小さい複数の穴を有し、それらはスクリーンとして作用する。必要に応じて、スクリーンは、上記ポート上に位置決めされる。
【0017】
トレイプラテンとスライドとの間のスペースのサイズは、所望の流体流れ性質を生成するような形態であり得る。1つの実施形態では、反応チャンバの幅(すなわち、プラテンとスライドとの間の距離)は、一方の端部から他方までキャピラリー作用により誘導される流体流れを促進するように十分薄い。好ましくは、この流体流れは、試薬凹部端部から対向する端部に向かう。このようにして、試薬は、この凹部から反応チャンバの対向する端部に向かうキャピラリー作用を経由して流れる。さらに、第2の試薬または上からドリップ表面に導入されるその他の試薬はまた、一方の端部から他方に流れるように誘導され得る。同様に、流体侵入ポートを経由して下から導入される流体は、キャピラリーアクションを経由して流れるように誘導され得る。そのようにして、排出ポートから生成される圧力グラジエントからの支援は必要とされないが、必要に応じて同様に用いられ得る。別の実施形態では、上記反応チャンバの幅は、キャピラリー作用を防ぐように選択され得る。このような実施形態では、方向付けられた流体流れは、入力ポートと排出ポートとの間の密度差を経由、または圧力差を経由などで達成され得る。
【0018】
本発明の別の局面では、上記プラテンは、トレイの底面の上に持ち上げられる。プラテンの側壁間に形成されるスペース、トレイの壁、およびトレイの底は、プラテンおよび反応チャンバからの流体オーバーフローを保持し得る。さらに、そのスペースは、試薬をプラテン上に引く前にそれを混合するために用いられ得る。このような流体は、排出ポート(単数または複数)を経由して排出され得る。
【0019】
本発明の別の局面は、複数保持トレイを利用し得る基質処理システムを含む。このシステムは、所望のように、外部試薬を上からトレイドリップ表面上に分配するピペッティングシステムまたは分配アセンブリのような、流体取り扱いシステムをさらに含む。同様に、必要に応じて、流体マニホルドが、下から上記侵入ポートまでの複数の異なる流体を方向付けるため、および所望により廃棄流体(単数または複数)を上記排出ポートから1つ以上の廃棄流体コンテナまで方向付けるために提供される。
【0020】
本発明のさらなる局面は、それに付着された基質を有するスライドを保持するためのトレイを用いる方法を含み、ここで、1つ以上の試薬が、試薬凹部から上記反応チャンバ中に、この凹部を加熱することにより必要に応じて誘導される、この凹部から上記反応チャンバへの流れを経由して提供される。必要に応じて、さらなる試薬が、上から、上記流体を上記反応チャンバ中に同様に流れることを可能するように配向されるドリップ表面上に分配され得る。さらに、流体は、下から、侵入ポート(単数または複数)を経由して提供され得、そして排出ポート(単数または複数)を経由して排出され得る。これらオプションの任意の順序付けが選択され得、そして任意の数の試薬が選択され得る(単一または複数のバルク試薬、外部試薬または凹部試薬にかかわらず)ことが理解されるべきである
本発明のさらなる局面は、それに付着された基質を有するスライドを保持するためのトレイを製造する方法を含み、ここで、このトレイは、この基質を処理することで用いられ得る凹部試薬を収容する。この方法は、凹部を含むようにトレイを製作する工程、試薬を含む所望の量のマトリックスを上記凹部に分配する工程、この凹部をシールする工程およびこのトレイに機械で読み取り可能な識別子を付与する工程を含む。
【0021】
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴および利点は、同様の参照番号が全体で同様のパーツに言及する添付の図面とともに、本発明の以下の詳細な説明を考慮することから認識される。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、組織サンプル処理システム、特に、このようなシステムで用いられるサンプル保持トレイが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(詳細な説明)
以下の段落では、本発明が、図面を参照して例示により詳細に説明される。本明細書を通じ、示される好ましい実施形態および例は、本発明に対する制限としてよりはむしろ、例示として考慮されるべきである。本明細書で用いられるとき、用語「本発明」は、本明細書に記載される本発明の実施形態の任意の1つ、および任意の等価物をいう。さらに、本書類全体で「本発明」の種々の特徴(単数または複数)への参照は、すべての請求項に記載の実施形態または方法がこの参照された特徴(単数または複数)を含まなければならないことを意味していない。
【0024】
本発明の原理に従うサンプルまたはスライド保持トレイ10は、図面に示され、そして以下の段落に説明されている。本明細書中で用いられるとき、用語「サンプル保持トレイ」および「スライド保持トレイ」は、サンプルおよび/またはスライドを保持し得る保持トレイ10のために交換可能に用いられる。示される実施形態では、サンプル保持トレイ10は、顕微鏡スライド保持トレイ10である形態であるが、サンプル保持トレイはそのように制限されず、そして任意のサンプルまたはサンプルコンテナを保持するような形態であり得る。本発明の局面によれば、スライド保持トレイ10は、試薬コンテナ、試薬チャンバ、ならびに組織サンプルのような基質を処理することで用いられ得るスライド位置決め、および保持システムとして機能する。
【0025】
1つの実施形態では、このスライド保持トレイ10は、単回使用の後、廃棄可能であるが、それはまた、複数回用いられ得、そしてこの試薬コンテナは再充填され得る。必要に応じて、このスライド保持トレイ10は、ヒトまたは機械読み取り可能である識別子を含み得る。識別子の例は、視覚的に読み取り可能、磁気的に読み取り可能、触覚的に読み取り可能などであり得る。好ましくは、この識別子は、上記保持トレイの試薬コンテナ中に含まれる試薬(すなわち、「凹部試薬」)、例えば、第1の試薬を識別する。廃棄可能なトレイの使用は、これら試薬が交差汚染されないことを確実にすることを支援する。
【0026】
スライド保持トレイ10は、一般にコンテナ表面20を含み、この中に試薬凹部30(「試薬コンテナ」とも呼ばれる)がこのコンテナ表面20から延びる。好ましい実施形態では、凹部試薬がこの凹部30を用いて堆積される。第1の試薬、第2の試薬、バルク試薬またはそれらの組み合わせのような、任意のタイプの試薬が、この凹部30内に堆積される。単一の試薬コンテナ30が示されているが、このスライドトレイは、所望により、任意の数の試薬コンテナ30を含み得ることが理解されるべきである。
【0027】
好ましくは、この凹部30(単数または複数)に含まれる試薬は、(華氏50度と華氏90度の間のような)代表的な周囲の室温で固体またはゲル形態にあるマトリックス中にあるが、高められた温度で流動化可能である。1つの例では、第1の試薬または試薬の混合物は、華氏180度の温度で液化可能なゲルベース内に含まれる。華氏75度と華氏211度の間のような、他の相変化温度が所望により選択され得る。あるいは、試薬溶液は、凹部30内のゲルキャップまたはその他のコンテナ内に含まれる液体溶液内に含まれ得る。好ましくは、この試薬封じ込めはまた、高められた温度で熱放出可能である。このスライド保持トレイのその他の要素は、以下でより詳細に論議され、例えば、流れおよびドリップ表面40、プラテン50、入口ポート60、排出ポート70、リブ80およびスライド配向タブ90、100の例を含む。米国特許第5,338,358号に示されるような、複数のプラテン50および複数の反応チャンバ120が提供され得ることが認識されるべきである。
【0028】
スライド保持トレイ10は、スライドを支持し、使用の間に採用される試薬および温度を保持かつそれらと適合するに十分な構造的強度およびプロセス中性性質を有する任意の材料から形成される。例は、プラスチックまたはセルロース性(すなわち、セルロースをベースにするか、または含む)材料のようなポリマー性材料、金属、ガラスなどを含む。1つの例示の材料は、DELRIN(Wilmington、DEのE.I.DuPont de Nemours and Co.の登録商標)のようなポリオキシメチレン熱可塑性プラスチックである。このトレイ10は、射出成形、機械加工または所望の特徴のトレイを生成するために適切な任意のその他の製造プロセスのような当該技術分野で公知の任意にプロセスにより形成され得る。さらに、このトレイは、例えば、凹部領域が1つの材料から作製され、そしてプラテン領域が別の材料から作製されるような、複数材料から構成され得ることが認識されるべきである。
【0029】
この試薬凹部30(単数または複数)は、所望により、任意の形状、深さまたは配向であり得、その中に含まれる試薬(単数または複数)は、処理の間に所望により上記反応チャンバ120中に向けられる。例示の実施形態では、上記凹部は、コンテナ表面20の下の一般により低いレベルで形成される。凹部30は、単一の湾曲した表面として示されている側方表面610、および底面620を含む。論議の容易さのために、内側底面は、参照番号620で示され、そしてトレイ10の底/外側にある対向する対応する表面は、参照番号630で示される。図示されるように、ある実施形態では、凹部の側壁610は、この凹部30を部分的に取り囲むのみであり、そしてこの側壁610の端部間に規定されるギャップ640がある。試薬マトリックスが流動されるとき、試薬は、このギャップを通り、そして流体流れランプ650に沿って流れ得る。さらに、底面620はほぼ平坦であるが、それはまた、任意の所望の方向に流体流れを促進するように傾斜され得る。階段状表面または湾曲した表面のような、任意のその他のプロフィールもまた所望により選択され得る。
【0030】
外側底面630は、好ましくは、処理システム内の対応する加熱要素に適合し、そして、加熱要素から底面630への熱の移行を最も良く促進するような、形状であり、大きさである。ゲルのような温度により流動化可能な形態で、凹部の中に貯蔵されている試薬を流動化するために、熱が凹部30の内側に効率的に移行され得るように、加熱要素と底面630との間の効率的な熱の移行が望ましい。従って、外側底面630は、好ましくは、このような熱移行係合を促進するような形状であり、そして、図示されるように、比較的平坦であっても、あるいは、曲線状であっても、角度が付いていても、他の形状であってもよい。
【0031】
用語「流動化可能な」または「流動化する」とは、本明細書中で使用される場合、例えば、反応チャンバが、湿度制御され得る場合に、1つの状態から別の状態へ(例えば、非流動性形態から流動性形態へ、液体形態または粘性形態または気体形態へ)の任意の転移を包含し得ることが理解されるべきである。1つの実施形態において、ゲル物質は、実質的に液体形態へと転移するように加熱される場合に、流動性になる。「液化する」または「液化可能な」とは、本明細書中で使用される場合、用語「流動化する」または「流動化可能な」と同様に、比較的非流動性の状態から流動性の状態への転移を包含する、任意の状態転移特性を包含することに注意すべきである。
【0032】
図4を参照すると、凹部30を覆い、好ましくはシールする(任意の間隙640を覆い、シールすること、そして必要に応じてまた、好ましくはまた、傾斜路650を覆うことを含む)、任意のシール660(好ましくは、除去可能)が提供される。シール660は、必要に応じて、操作者が、シールを装着させ、そして保持トレイ10から除去し得るように、手動の係合およびシールのグリッピングを容易にするために、プルタブ665を備える。別の実施形態において、図13に示すように、プラテン50、ならびに必要に応じて、入口ポート60および/または排出ポート70の全てまたは一部を覆う、拡張されたシール660が提供される。
【0033】
シール660は、好ましくは、組織処理の前に、スライド保持トレイから手動で取り外し可能である。例えば、使用者は、タブ665を把持し、トレイ10からシール660を剥がす(peal)ことによって、シールを除去し得る。タブ665は、凹部30に隣接するシール660の端部に位置するように図示されるが、タブ665は、操作者により把持され得るように、シール660の任意の位置に位置し得ることが理解されるはずである。1つの実施形態において、シール660の一部667は、シールの大半が除去された後に、スライド保持トレイ10に固定されたままであり得る。代替の実施形態において、スライド可能な障壁が、間隙640および/または凹部30の頂部を覆うように提供され、このスライド可能な障壁は、所望されるように、ブロッキング係合からスライドされて外され得、次いで、閉鎖が所望される場合には、スライドされて戻され得る。
【0034】
シール660は、凹部30を覆い、その中に含まれる物質を保持するように機能する、任意の物質から構成され得る。好ましくは、シールは、凹部30内に含まれる物質の蒸発を抑止するために、実質的に蒸気不浸透性である。1つの例において、シール660は、外側のホイル層、および1つ以上のポリマー性もしくはセルロース性材料の他の層を含む多層複合材料(例えば、コート紙)であり、これは、次いで、接着剤でコーティングされる。接着剤は、シール660を適所に保持するための、接触接着剤(contact adhesive)であっても、任意の他の形状の保持具(例えば、他の接着剤、熱シール、またはクリンピングのような機械的なシール)であってもよい。あるいは、化学的なシールは、凹部30内の物質と間隙640および/またはその化学物質が、流体の流れまたは蒸発を抑止する環境との間に、化学物質を分配することによって、適用され得る。
【0035】
任意の数、または任意の型の試薬が、凹部30内に堆積され得る。例えば、潜在的に無限の種々の手順に適切な試薬が、1つ以上の凹部内に含まれるマトリックス中に提供され得、これらの手順としては、免疫組織化学手順、染色手順、インサイチュハイブリダイゼーション手順、他の組織化学手順などが挙げられる。
【0036】
凹部30内に、単独でか、または組み合わせのいずれかで入れられ得る一次試薬の例(また、プローブ、マーカーまたはコントロールと呼ばれる)としては、任意の型の抗体、プローブ、核酸(RNA、DNAまたはオリゴヌクレオチド)、リガンド、リガンドレセプター、酵素、もしくは酵素基質、または所望の用途に適切な任意の他の分子が挙げられるがこれらに限定されない。これらの試薬は、天然の形状であっても、精製されていても、濃縮されていても、希釈されていても、他の条件であってもよい。ある実施形態において、蛍光色素、酵素、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、金属(例えば、銀粒子または金粒子)、色素、染料、放射活性タグ化分子、または任意の他の物質(例えば、シグナル伝達分子またはレポーター分子)のようなシグナル分子の添加が可能であり得る。
【0037】
必要に応じて、1つ以上の二次試薬が、凹部30内に含まれ得る。好ましい実施形態において、二次試薬は、全て、以下でより詳細に議論されるように、容器分配システムまたはピペッティングシステムのいずれかによって、トレイ10のドリップ表面および流れ表面へと上から分配される。凹部内に、単独でか、もしくは他の二次試薬と組合せて、または、1つ以上の一次試薬もしくはバルク試薬と組合せてのいずれかで配置され得る、二次試薬の例としては、任意の型の抗体、プローブ、核酸(RNA、DNAまたはオリゴヌクレオチド)、リガンド、リガンドレセプター、酵素もしくは酵素基質、または所望の用途に適切な任意の他の分子が挙げられるがこれらに限定されない。これらの試薬は、天然の形状であっても、精製されていても、濃縮されていても、希釈されていても、他の条件であってもよい。さらに、蛍光色素、酵素、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、金属(例えば、銀粒子または金粒子)、色素、染料、放射活性タグ化分子、または、任意の他の物質(例えば、シグナル伝達分子またはレポーター分子)のようなシグナル分子がまた、含められ得る。
【0038】
必要に応じて、好ましくはないが、1つ以上のバルク型の試薬が、凹部30内に含められ得る。好ましい実施形態において、バルク試薬が、容器内に貯蔵され、流体を、スライドトレイ10のエントリーポート(以下により詳細に議論される)へと方向付けるマニホルドシステムによって、スライド保持トレイ10の反応チャンバ120へと分配される。凹部内に、単独でか、もしくは他のバルク試薬と組合せて、または1つ以上の一次試薬もしくは二次試薬と組合せて配置され得るバルク試薬の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
Tris緩衝化生理食塩水(TBS)Tween
TBS
蒸留水
脱蝋溶液。
【0039】
1つの実施形態において、凹部30は、底面620/630を通過する1つ以上の開口部670を備える。開口670は、必要に応じて、試薬を含有する、所望の量のマトリックス680で、凹部30を充填または再充填するために使用され得る。凹部を試薬マトリックスで充填した後、開口670は、テープを適用するか、または他の被覆のような任意の所望の様式で、閉鎖され得る。任意の他の充填方法または装置が、所望されるように、凹部を充填するために使用され得る。1つの例は、試薬マトリックスを、上から、凹部30内へと装填(または再装填)することである。このような技術は、凹部30の底面の開口670を不必要にする利点を有する。この試薬は、カプレット、1つ以上のペレット、凹部30内にドリップされ、温度を低下させることによって凝固させた液体(またはゲル)、または、チューブから注がれるか、もしくは搾り出される、ゲルもしくは液体のような、任意の形状で、凹部内に配置され得る。
【0040】
試薬マトリックス680は、必要に応じて、凝固したマトリックス材料から形成された巨視的な固体支持体を提供し、そして、その中に1つ以上の試薬をカプセル化することによって形成され得る。この巨視的な固体支持体は、所望されるように、そこから試薬を放出するように崩壊され得る。このマトリックス材料は、任意の物理的もしくは化学的な処理(例えば、構造体を穿刺すること、電気をかけること、圧力もしくは減圧をかけること、または、熱、電磁(EM)照射もしくは溶媒に曝露すること)によって崩壊または分解され得る材料から製造され得る。これらの処理によって、試薬が放出され得る。例えば、ゲルマトリックスの崩壊は、熱を用いてゲルを液化することによってか、または溶媒を用いてゲルを溶解することによって達成され得る。
【0041】
一例として、マトリックス物質は、スクロースもしくはデンプンを含有する抗体であり得、そして、分解は、水溶液もしくは水性緩衝液にこのマトリックスを暴露することによって達成され得、従って、分解が所望される場合に、このマトリックスは、加熱される必要がない。しかし、熱の適用は、マトリックスの分解に必要とされる時間を減らし得、従って、所望され得る。特定の試薬についてマトリックス物質を選択する場合、これらの試薬およびマトリックス物質は、不可逆的に結合しないことが望ましい。さらに、固形もしくは半固形のマトリックスを使用する場合、支持物質は、好ましくは、反応手順に使用される溶媒と混和性である。
【0042】
本発明によれば、試薬を反応チャンバ120に供給することは、多数の方法で達成され得る。ある例において、1つ以上の凹部の試薬が、ゲルマトリックス680内の試薬凹部30内に提供される。試薬は、例えば、ゲル680を融解するか、または他の方法で、液化もしくは溶解して、液化試薬を、間隙640内に、反応チャンバ120に向けて流すことによって、反応チャンバへと送達され得る。
【0043】
例示される実施形態において、流体流路は、流体流れ傾斜路650、および試薬凹部30と試薬チャンバ120との間に位置するドリップ表面40を備える。好ましくは、ドリップ表面40および傾斜路650の一方または両方は、反応チャンバ120へと向かう重力誘導性の流体流れを促進するために、反応チャンバ120に向かって下りに傾いている。
【0044】
他の試薬がまた、試薬凹部30または他のデバイスのいずれかを介して送達され得る。同様に、これらの試薬は、他のデバイスにより送達され得る。1つの例において、外部試薬は、上から、ドリップ表面40上へと溶液を一滴ずつ適用することによって、送達される。以下にさらに詳細に説明するように、試薬を一滴ずつ適用することは、例えば、自動制御ピペッティングシステムまたは試薬分配容器から、自動流体分配装置を使用して、達成され得る。あるいは、試薬を一滴ずつ適用することは、手動で実施され得る。さらなる代替として、試薬(または、洗浄溶液もしくは緩衝溶液のような他の溶液)は、ポート60を介して提供され得る。このような実施形態において、通路および弁を備える流体送達マニホルドは、ポート60へと流体を提供し得る。
【0045】
凹部30から導入された流体は、毛管現象(すなわち、毛管作用)(例えば、流体が、スライド110がプラテン50に近接して位置する部分に入る場合)、入口ポート60および排出ポート70の一方または両方を介して適用される圧力差、排出ポート70を介して適用されるような減圧パルス、ならびに重力のうちの1つまたは組み合わせによって、反応チャンバ120内への流れを生じる。重力は、流体流れ単独を導入するために使用され得、例えば、マトリックス680を融解することによって生じた力は、試薬凹部から間隙640を通って、反応チャンバ120への流れを導入する場合に使用され得る。マトリックス680の頂部にある流体分子は、重力によるモーメントを有し得る。底面620がプラテン50に対して上昇している実施形態において、直線であっても、曲線状であっても、階段状になっていてもよい傾斜路650が、凹部30の底面620と、ドリップ表面40および/または(ドリップ表面40を欠く実施形態においては)プラテン50との間に提供される。それによって、流体が、試薬凹部30から反応チャンバ120に向けて、傾斜路650を流れ落ちる。別の実施形態において、凹部30の底面620は、プラテン表面50と整列される。ドリップ表面40を介して導入された流体はまた、毛管現象および/または重力によって、反応チャンバ120内へと流れを生じ得る。さらに、入口ポート60を介して導入された流体20は、毛管現象によって、反応チャンバ120を通って流れ得る。さらに、入口ポート60と反応チャンバとの間の圧力差はまた、反応チャンバ120を通る流体流れを誘導し得る。さらなる圧力差は、排出ポート70に負圧(または減圧)を提供して、排出ポート70の方向に流れを誘導することによって生じ得る。さらに、反応チャンバの流体流れ特性をさらに高めるために、例えば、所望の大きさで反応チャンバ120を維持することによって、リブ80のような特徴が、プラテンの上面に追加され得る。
【0046】
反応チャンバ120内に導入された流体が、所望の時間、チャンバ内にあった後、残りの流体は、負の圧力差または減圧がポート70を介して導入されるのと同じ様式で、排出ポート70を介して排出され得る。必要に応じて、洗浄流体が、例えば、入口ポート60を通ってポンプで汲み上げられ、要望に応じて反応チャンバ120をフラッシュすることによって、反応チャンバ120内に導入される。排出ポート70は、必要に応じて、細片を遮蔽するか、または濾過するためのフィルタ(または、複数の小さな開口)を備える。
【0047】
プラテン50は、このプラテンがトレイ10の底面より上に上昇した、ほぼ平面状の表面を備える。流体入口ポート60が、プラテン50の片側の端部に配置され、そして、排出ポート70が、好ましくは、プラテン50の反対側の端部に配置される。これらのポートをプラテン50上で空間的に分離することによって、圧力勾配が反応チャンバ120に導入され得、この勾配が、入口ポート60と排出ポート70との間の流体流れを促進する。図1に例示されるように、入口ポート60は、ドリップ表面40に近接するプラテン50の端部に置かれ、そして、排出ポート70は、反対側の端部に置かれる。入口ポート60をドリップ表面40に近接して位置決めすることによって、反応チャンバ120内に導入された全ての流体が、同じ端部から(すなわち、ドリップ表面40または試薬凹部340、または入口ポート60から)導入され得、それによって、所望される場合、単一の方向の流体流れを促進する。さらに、流体流れは、さらに、スライド110がプラテン50に近接して位置決めされて反応チャンバ120を形成する場合に、スライド110にわずかに角度を付けることによって、この方向にさらに促進されて、このプラテンに対するスライドの角度によって方向付けられる、毛管現象が誘導する流れを促進し得る。
【0048】
他の流体方向付け要素が、プラテン50上に提供され得る。例えば、ショルダー160が、図1に示されるように、排出ポート70の近くのプラテン50の端部に提供され得る。さらに、複数のガイドリップ162が、プラテン50の近位端に提供され得る。ショルダー160は、プラテン50の遠位側部に沿ってリップを提供する。図示されるように、ショルダー160は、実質的に排出ポート70の周りに、プラテン50の近位端に向かって延びる。ある実施形態において、ショルダー160の上面が、プラテン50の上面に関して、スライド配向タブ90、100の頂部の高さと、または、プラテン50の流体入口端部(近位端)の他のスライド配向特徴の高さと、実質的に同じ高さで形成される。結果として、このような実施形態において、トレイ10内に保持されるスライドは、全体的にショルダー160とスライド配向タブ90、100とを接触させる。別の実施形態において、ショルダー160の上面は、スライドがプラテン50に関して角度を成すように、異なる高さにある。なおさらなる実施形態において、スライドは、反応チャンバ120が、近位端(ドリップ表面の近く)においてより広く、そして、遠位端においてより細くなるように、位置決めされ得る。ショルダー160およびタブ90、100を備えるスライド配向要素の高さは、反応チャンバ120内の所望の容積を提供するように選択され得る。特に、ショルダー160およびタブ90、100の高さが、これらの特徴のプラテン50に対して比較的低い高さよりも、プラテン50に対して高ければ、反応チャンバ120内の容積がより大きくなる。好ましくは、反応チャンバ120の容積は、所望されるように、チャンバ120内の毛管作用を提供もしくは防止するように、そして/または、所望される場合、圧力差によって生じる流体流れを可能にするように選択される。所望の容積の試薬が、反応チャンバ120を通って流れることが可能である限りは、任意の大きさの反応チャンバ120が選択され得る。
【0049】
凹部30の容積は、反応チャンバ120について選択された容積に対応するように選択され得ることがまた、理解されるべきである。例えば、より大きな反応チャンバを必要とする比較的厚い組織切片116が使用される場合、より大きな凹部の容積が選択され得る。本明細書中で使用される場合、用語「切片」および「サンプル」は、交換可能に使用され、用語「切片」の使用は、切片に切断された組織への適用に制限することを意図しないことが理解されるべきである。複数の型のスライド保持トレイ10が、単一の処理システム200(以下により詳細に議論する)において使用され得ることがまた、理解されるべきである。例えば、種々の異なる大きさの凹部30および反応チャンバを有するトレイ10が、要望に応じて提供され得る。例えば、4〜5ミクロンの組織切片が選択され得、操作者は、これらの組織切片に適したスライド保持トレイ、およびより厚いもしくはより薄い切片の厚みを有するサンプルに適した異なるトレイを選択し得る。
【0050】
あるいは、反応チャンバ120の容積は、プラテン50の形状を変更することによって調節され得る。例えば、比較的広いプラテン50が、図15に図示される。比較的狭いプラテン50が、図16に図示される。さらに、狭い近位部分および遠位部分、ならびに、広い中央部分を有するプラテン50が、図17に図示される。これらの形状は、排他的なものではなく、選択され得る多数の形状の中から、例としてのみ提供されることが理解されるべきである。ある例において、26mmの幅を有するスライドが使用され、そして、対向する内部側壁140の間が28mmの幅を有するスライドトレイ、および24mmの幅を有するプラテンが選択される。スライドの幅に近い幅を有するスライドトレイを選択することが、流体の蒸発を抑止するために望ましくあり得ることが理解されるべきである。好ましい実施形態において、スライドトレイは、代表的な顕微鏡スライドを収容するために、24mmと28mmとの間の幅を有する。
【0051】
好ましくは、ショルダー160は、排出ポートの吸引動作の間に、その領域での真空の漏れを抑止するように機能するシールをスライドと形成するために、スライド110の底面114とシールを形成するように機能する。組織の処理または他の流体流れの間に、ショルダー160が、排出ポート70を通して流体戻り導管内への直接的な流体流れを補助する。トレイの下面では、取り付け導管65、75が、それぞれ、入口ポートおよび排出ポートを、スライド保持トレイを利用するサンプル処理システムに取り付ける。さらに、または代替的に、流体連絡性を可能にするために、導管65、75は、サンプル処理システム内にトレイ10を設置する補助として機能し得る。好ましい実施形態において、流体連絡性は、導管65、75を介して、それぞれのポート60、70に提供される。ある実施形態において、サンプル処理システム内に含まれるマニホルドシステムは、本明細書中でさらに議論されるように、導管65、75を介してトレイに接続された、チュービングおよび弁を提供する。ある実施形態において、導管65、75は、対応する部品との適切な係合を容易にするために、異なる寸法を有するように構成され得る。特に、導管65および75の大きさおよび/または形状は、トレイ10が、所望の配向でのみサンプル処理システムへと設置され得るように、異なり得る。このような差は、不適切な取り付けに対する安全装置として使用され得る。
【0052】
オーバーフローおよび試薬混合チャンバ155が、プラテン50の側壁130と、トレイ10の内壁140と、トレイ10の底面150との間に形成され得る。オーバーフローチャンバおよび混合チャンバ155は、プラテン50および反応チャンバ120から溢れる、任意の過剰の流体を保持するように構成され得る。作動時には、反応チャンバ120内に保持され得るより多くの流体がトレイ10に導入される場合、過剰なものは、オーバーフローチャンバおよび混合チャンバ155内へと溢れ得る。オーバーフローチャンバおよび混合チャンバは、二次反応チャンバまたは二次レザバとして機能し得、ここでは、反応チャンバ120から蒸発が生じる(または、いくらかの流体が、排出ポート70を介して排出される)ので、オーバーフローチャンバ155内の流体は、例えば、濃縮または排出ポート70により提供される吸引によって、反応チャンバ120へと再度方向付けられ得る。このように、蒸発または排出によってシステムから出る流体は、オーバーフローチャンバ155内に保持される流体により取って代わられ得る。結果として、オーバーフローおよび混合チャンバ155は、それにより、湿度レギュレータとして機能し得る。さらに、異なる試薬が、意図的に過剰にプラテン50へと送達され得、オーバーフローおよび混合チャンバ155内での混合を可能にし、次いで、出口ポート70に真空を適用することによって、反応チャンバ120内へと引き戻され得る。オーバーフローおよび混合チャンバ155が、所望されるように、オーバーフローチャンバおよび混合チャンバの片方または両方として機能するように構成され得ることが理解されるべきである。オーバーフローおよび混合チャンバ155はまた、オーバーフローおよび混合チャンバ155から直接過剰の流体を排出するためのオーバーフロー排水管185を備え得る。
【0053】
保持トレイは、図3および12に示すように、ショルダー160の頂部のスライド110、およびタブ90、100、ならびに/または、トレイ10内で所望されるように、スライドを位置決めするように機能する任意の他の適切なスライド配向要素を受容するように構成される。好ましくは、スライド配向要素は、スライド110とプラテンとの間に空間を作成して、反応チャンバ120を形成する。スライド110は、一般に、上面112および底面114を備える。作動時に、組織切片116が、底面114上に位置決めされる。
スライド110が、スライド保持トレイ10上に位置決めされると、底部表面114は、プラテン50に隣接して位置決めされ、その結果、組織切片116は、反応チャンバ120内(すなわち、スライド110の底部表面114と、プラテン50の頂部表面との間)に位置する。組織サンプル116は、このスライドと組織サンプルとが、反応チャンバ120の空間内で、スライド保持トレイ10上に位置決めされ得るような、任意の様式で、このスライドに付着され得る。1つの例において、この組織サンプルは、接着剤なしで、スライド110上に位置決めされ得る。代替の実施形態において、接着剤または流体が、切片116とスライド表面114との間に導入されて、表面接着力を増強し得る。
【0054】
必要に応じて、スライドロッカー170が提供され得る。図示される実施形態において、スライドロッカー170は、プラテン50の遠位端に隣接して位置決めされる。スライドロッカー170は、スライドの位置決め、またはトレイ10からのスライドの取り外しを補助するために、使用され得る。例えば、スライド保持トレイ10上に位置決めされたスライドは、操作者によって、このロッカーに隣接するスライド110の端部を押すことによって、取り外され得る。このスライドが押されると、プラテン50、またはプラテン50の遠位端に位置する任意の肩部160が、支点として働き、この支点上で、このスライドが旋回し、凹部30に隣接するスライド110の端部を、スライド保持トレイ10から離して持ち上げ、この持ち上げられた端部を操作者が把持することを可能にする。ロッカー170は、このスライドの上昇運動が、所望されるように制限されるような大きさにされ得る。このロッカーは、好ましくは、比較的細長い頂部表面を備え、この頂部表面とこのスライドが係合し、その結果、スライド110をトレイ10から取り外す間、このスライドの横方向の傾きが制限される。
【0055】
スライド保持トレイ10は、必要に応じて、図1に示される、機械読み取り可能な識別子175を備え得、この識別子は、凹部30内に収容される凹部試薬を識別し得る。さらに、他の任意の情報が、識別子175に含まれ得る(例えば、組織を処理する組織型、患者および/または医師に関する情報)。任意の形態の機械読み取り可能な識別子が使用され得、この識別子としては、物理的識別子、磁気識別子、無線周波数識別(RFID)識別子、バーコードなどが挙げられる。1つの実施形態において、識別子175は、スライド保持トレイの頂部表面または側部表面に位置決めされ、そして光学的に読み取られる。別の実施形態において、この識別子は、トレイ10の下側に位置決めされる。
【0056】
スライド110は、必要に応じて、処理の任意の段階の間に処理システムに自動的に入力され得るか、または手動入力を介する、機械読み取り可能な識別子(例えば、バーコード)を備える。1つの実施形態において、スライド識別子は、このスライドの頂部表面に位置決めされ、そして操作者が組織サンプル116をこのスライドに適用する間に、読み取られ得る。このような実施形態において、スライド110がスライド保持トレイ10に上下逆さに位置決めされる場合、スライド識別子は、下方に面し得、そして読み取り不可能であり得る。機械読み取り可能な識別子は、任意の従来の様式で(例えば、接着剤を使用することによって)、トレイおよび/またはスライドに付着され得る。あるいは、これらの機械読み取り可能な識別子は、トレイおよび/またはスライドに直接印刷され得るか、あるいは熱刻印を介して適用され得る。
【0057】
スライド110が、スライドトレイ10上に位置決めされる(例えば、肩部160および/またはタブ90、100によって配向される)と、ギャップが、スライド110の下表面114とプラテン50との間に形成され、このギャップは、本明細書中で議論される、反応チャンバ120である。組織切片116は、ギャップ120内に配置される。洗浄液体(例えば、蒸留水または他のリンス液)が、入口導管65および入口ポート60を通して、例えば、流体送達マニホルドまたは他の任意の流体送達システムを介して、ポンプ輸送される。これらの洗浄液体が、反応チャンバ120に入ると、これらの液体は、先に議論されたように拡散され(例えば、毛管現象による)、そして引き続く組織処理工程のために、この領域をフラッシュする。廃棄物および過剰の流体は、廃棄ポート70および導管75を通して排出され、そして最終的に、廃棄物レザバ内に堆積され得る。
【0058】
スライドトレイ10は、設置タブ180によって、より大きいサンプル処理システム内に提供される設置表面に設置され得る。示されるように、設置タブ180は、角度のついた係合フック182を備え、これらのフックは、この設置表面上に提供される、対応する受容開口部分内に受容され、そしてトレイ10を適所に固定するために働くように、構成される。把持表面184は、タブ180およびトレイ10の、操作者による把持を促進するために、提供され得る。設置タブ180は、変形可能であり得、その結果、このタブを押す操作者は、このタブを、スライド保持トレイ10の主要部分の方へと移動させ得る。この様式で、操作者は、角度のついたフック182を、受容開口部分からロック解除し得る。好ましくは、設置タブ180は、弾性であり、その結果、操作者がこれらのタブを変形させた後に、これらのタブは、未変形位置に自然に戻る。
【0059】
設置タブ180の上縁部186は、隣接するトレイ壁の頂部表面188のレベルより上方に上昇され得、その結果、把持可能な表面積が拡大され得る。さらに、このことは、把持表面184と旋回点との間の距離を増加させるように働き得、これによって、設置端部180のばね強度を低下させ、そして操作者が、スライド保持トレイ10を受容開口部分から脱係合させることを容易にする。あるいは、設置タブ180の上縁部186は、隣接するトレイ壁の頂部表面188と同一面であり得るか、またはこの頂部表面より下であり得る。
【0060】
このトレイの下面は、任意の様式で彫刻され得る。この下面は、対応する加熱要素340、342および/または344(以下で議論される)に適合するような形状にされ、これによって、加熱係合および冷却係合を促進する。あるいは、加熱要素340、342および/または344は、トレイの下面(例えば、プラテンの下面および/または試薬凹部の下面)と一致するように、選択され得る。同様に、積み重ねタブ190が提供され得る。これらの積み重ねタブは、貯蔵または輸送のための、スライドトレイ10の位置あわせを促進する。図示される実施形態において、積み重ねタブ190の各々は、凹部192を規定し、この凹部は、トレイ10が下方に位置決めされる場合に、このトレイの対応する上縁部194に適合する。
【0061】
スライド保持トレイ10の頂部外周は、図示されるように、角度の付いた表面196、または面取りを備え得る。角度の付いた表面196は、構造的剛性を追加し得、そして積み重ねられたトレイの位置合わせを、単独でかまたは積み重ねタブ190と組み合わせてのいずれかで促進し得る。1つの実施形態において、識別子175は、角度の付いた表面196の1つ以上に位置決めされる。
【0062】
図18および図19を参照すると、組織サンプル処理システム200が、ここで記載される。このシステムと共に、1つ以上のスライド保持トレイ10が使用され得る。システム200は、流体分配装置210を備え、この流体分配装置は、複数のステーション220を有し、これらのステーションにおいて、流体分配カートリッジ230が設置され得る。複数の流体分配カートリッジ230を備える流体分配装置は、米国特許出願番号10/639,021に記載されており、この米国特許出願の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。あるいは、配管またはピペッティングを使用する流体分配システムが、例えば、米国特許第5,338,358号に記載されるように、同様に使用され得る。ステーション220は、複数の流体分配カートリッジ230を選択的に設置するための、設置開口部分240を備える。分配装置は、複数の流体分配カートリッジ230を、アクチュエータアセンブリ250に隣接して選択的に位置決めするために、回転し得、このアクチュエータアセンブリは、試薬ディスペンサー260からの所望の量の流体(例えば、二次試薬または脱蝋流体)の排出をトリガするために使用される。
【0063】
スライド保持トレイ10は、重力を利用して、流体分配装置210のほぼ下方に位置決めされ、カートリッジ230からの流体を、所望のスライド保持トレイ10のドリップ表面40上に送達する。好ましくは、流体分配装置210およびスライド保持トレイ10は、互いに対して可動であり、その結果、複数のカートリッジ230が、任意の所望のトレイ10上に流体を分配するために、位置決めされ得る。流体分配装置210とスライド保持トレイ10との可動性の任意の組み合わせが、選択され得る。例えば、両方が可動であり得るか、または一方のみが可動であり得、そして他方が静止し得る。保持トレイ10は、全て、同じ型の物品(例えば、スライド)を支持し得るか、またはこれらのトレイは、代替の型の物品(例えば、スライドおよび容器)を支持するように構成され得る。
【0064】
組織処理システム20の作動の例において、流体分配装置210は、回転され、その結果、個々のカートリッジ230が、アクチュエータアセンブリ250に隣接して選択的に位置決めされる。あるいは、アクチュエータアセンブリは、各カートリッジ230に隣接して位置決めされ得、その結果、流体分配装置210の回転は、必要とされない。アクチュエータアセンブリ250は、カートリッジ230が制御された量の流体を排出するようにトリガする、任意の作動デバイスであり得る。好ましくは、流体分配装置は、スライド保持トレイ10に対して並進と回転との両方をされ得、その結果、個々のカートリッジ230が、任意のトレイ10の上方で、選択的に位置決めされ得る。一旦、カートリッジ230がスライド保持トレイ10の上方で位置決めされると、アクチュエータアセンブリ250は、カートリッジ230を、制御された量の流体をトレイ10上に排出するようにトリガする。
【0065】
アクチュエータアセンブリ250は、必要に応じて、3つのアクチュエータ270、280、290を備え、これらのアクチュエータは、流体を、受容部材の3つの列300、310、320にそれぞれ分配するために使用され得る。作動において、アクチュエータ270は、流体を、列300に配置されたスライド保持トレイ10に分配するように適合され、アクチュエータ280は、流体を、列310に配置されたスライド保持トレイ10に分配するように適合され、そしてアクチュエータ290は、流体を、列320に配置されたスライド保持トレイ10に分配するように適合される。もちろん、当業者によって理解されるように、任意の数のアクチュエータおよび/またはスライド保持トレイが、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0066】
図19を参照すると、好ましい実施形態において、流体分配装置210は、支持部材330に回転可能に取り付けられ、その結果、カートリッジ230は、アクチュエータアセンブリ250に対して回転し得る。アクチュエータアセンブリ250は、必要に応じて、流体分配装置210の下方で、支持部材330にしっかりと取り付けられる。好ましくは、支持部材330は、カートリッジ230がトレイ10に対して回転と並進との両方を行い得るように、構成される。この様式で、任意のカートリッジ230が、任意のスライド保持トレイ10の上方で、選択的に位置決めされ得る。
【0067】
スライド保持トレイ10は、好ましくは、ばね付勢された加熱/冷却パッド340上に設置され、これによって、スライドの選択的かつ/または独立した加熱および/または冷却を提供する。さらに、加熱/冷却パッド340、342、344は、独立して、プラトーまたはプラテンの領域および凹部領域を加熱し得る。1つの実施形態において、各トレイは、対応する加熱および/または冷却要素340を有し、このトレイを、特定の所望の温度に維持する。代替の実施形態において、各トレイに対して、2つ以上の加熱および/または冷却要素が存在する。1つの実施形態において、加熱および/または冷却要素342は、試薬凹部30の外側の底部表面630に隣接して提供され、そして別の加熱および/または冷却要素344は、プラテン50の外側の底部表面に隣接して提供される。このような実施形態において、これらの凹部およびプラテンは、異なる温度に維持され得る。作動の際に、凹部要素342は、特定の所望の温度まで凹部30を上昇させ得、この温度において、凹部30内の試薬含有マトリックス680は、流動温度より高温まで上昇され、そしてこの材料は、プラテン50の方へと所望されるように流れ始める。一旦、試薬が流れると、第二の試薬が凹部内の第二のマトリックス680(これは、異なる(例えば、より高い)流動温度を有する)内に収容されている場合、または、第二の試薬が別の凹部30内に収容されている場合、加熱要素342は、この温度を、第二のマトリックスを液化させるために望ましいレベルまで上昇させるように、作動され得る。複数の加熱要素342が提供されて、同時にかまたは連続的に、あるいは他の様式で、異なる加熱/冷却特性を提供し、そして所望されるように、試薬の反応熱力学を調節し得ることが、理解されるべきである。加熱要素342はまた、凹部30を冷却するように、例えば、作動の間に器具によって発生する熱と反作用するように、作動され得る。1つの例において、この器具は、要素342を介する冷却の非存在下で、凹部30内の試薬を液化するために十分な熱を発生させる。また、作動の際に、プラテンは、所望されるように、単一の要素あるいは1つ以上の特殊化されたプラテン加熱および/または冷却要素344を使用してのいずれかで、加熱され得る。この様式で、反応チャンバ120の温度は、所望されるように制御され得る。例えば、反応は、維持される温度に依存して、加速または減速され得る。一般的に言えば、反応の熱力学が、この様式で調節される。他の加熱/冷却要素が提供されて、同様に、所望されるように、トレイ10の局部的な加熱を提供し得る。
【0068】
好ましくは、加熱および/または冷却要素340、342、344を所望されるように制御する、温度制御システムが提供される。1つの代替例において、フィードバック制御が提供され、これによって、温度センサは、所望の位置における温度を検出し、そして制御装置にフィードバック情報を提供し、この制御装置は、次に、この情報を使用して、加熱および/または冷却要素の作動を制御する。例えば、これらのセンサは、プラテン30、凹部50、凹部またはプラテンの外側底部表面、ギャップ640、流体流れ傾斜路650などのいずれかまたはその近くの温度を検出するように、位置決めされ得る。いくつかの実施形態によれば、試薬を含有するマトリックス680は、最初、凹部30内で冷却され、次いで、加熱されて、マトリックス680を液化させ、そして流れを形成する。
【0069】
組織処理システム200は、必要に応じて、供給容器350、排液容器360、および流体送達マニホルド370を備える。供給容器350は、スライドとプラトーとの間のギャップをリンスまたはフラッシュするための液体(例えば、水)を保持するために使用され得る。流体送達マニホルド370は、好ましくは、流体入口ポート60および導管65を通して供給される流体の流れを方向付けるための、弁およびスイッチを備える。さらに、この流体送達マニホルドは、過剰の流体および廃棄材料の流れを、流体排出ポート70および導管75から排液容器360内へと方向付けるための弁およびスイッチを備える。
【0070】
本発明の原理によるスライド保持トレイ10を製造する方法が、ここで、図20に関して記載される。ボックス380に図式的に図示されるように、最初の工程は、スライド保持トレイ10を製造する工程を包含する。好ましい実施形態によれば、スライドトレイ10は、ポリマー材料から製造され、この材料は、射出成型されて、所望の構造形状を形成する。しかし、当業者に理解されるように、任意の製造プロセスが使用され得るか、または所望の構造特徴を提供し得る材料が、本発明の範囲から逸脱することなく、選択され得る。
【0071】
ボックス390を参照すると、次の工程は、所望の量のゲルを、ゲル保持領域(例えば、凹部30)内に分配する工程を包含する。例えば、所定の量のゲル680が、凹部30の底部表面620の開口部分670を通して挿入され得るか、あるいは、ゲル680は、上から挿入され得る。凹部30を満たした後に、任意の開口部分670が、テープまたは他のカバリングを適用することによって、シールされ得る。ボックス400として図式的に図示されるように、次の工程は、凹部30をシールする工程を包含する。このゲルを適所に保持し得、そして蒸発および/または流体流れ損失を減少させ得る、任意の形態のシールが選択され得る。例えば、機械的シール(例えば、シール660)が、上で議論されたように、適用され得る。ボックス410を参照すると、次の工程は、識別子175を、スライド保持トレイ10に必要に応じて適用する工程を包含する。
【0072】
本発明の原理に従うスライド保持トレイ10を使用する方法の一例が、ここで、図21に関して記載される。ボックス420として図式的に図示されるように、最初の工程は、スライド保持トレイ10を、その内部に収容されるゲルまたは試薬の型に基づいて、選択する工程を包含する。もちろん、個々のトレイ10内に収容されるゲル(すなわち、試薬)の型は、組織サンプル116に対して実施される試験の型に依存する。換言すれば、スライド保持トレイ10を選択する最初の工程は、組織サンプル116に対して実施される試験の型を決定する工程を包含し得る。
【0073】
ボックス430として図式的に図示されるように、次の工程は、試薬、トレイなどに関するデータを、必要に応じて入力する工程を包含する。例えば、必要に応じて、トレイ上の識別子が読み取られる(例えば、バーコードが掃引される)。トレイを識別する他の様式(例えば、機械識別可能なトレイ特徴(例えば、突出パターンまたは大きさ、形状など)もまた、使用され得る。トレイ識別子は、必要に応じて、このトレイ内に収容される試薬を識別する。あるいは、識別情報は、処理システムに付随するメモリに、例えば、手動の入力を介して、キーボードを介して、または口頭入力を介して(例えば、音声認識ソフトウェアを介して)、入力され得る。任意の実施形態において、スライド情報が、例えば、キーボード入力、音声認識入力、機械識別子または形状を介して、同様に入力され得る。先に議論されたように、このスライドは、トレイ10上に、面を下にして位置決めされ得、従って、識別子は、好ましくは、このスライドがこのトレイ上に位置決めされている場合、または処理器具内にある場合に、読み取られない。代替の実施形態において、このスライド識別子は、このスライドがトレイ上に位置決めされた後に、読み取られ得る。
【0074】
ボックス450として図式的に図示されるように、次の工程は、シールが使用され得る実施形態において、シール190を、トレイ10から引き、これによって、凹部30を露出させる工程を包含する。ボックス460を参照すると、次の工程は、スライド110をトレイ10上に位置決めする工程を包含する。好ましくは、スライド110は、組織サンプル126がスライド110とプラテン50(すなわち、プラトー50)との間に配置されるように、位置決めされる。ボックス470として図式的に図示されるように、次の工程は、必要に応じて、スライド保持トレイ10を、ばね付勢された加熱/冷却パッド340、342、344上に位置決めする工程を包含する。
【0075】
ボックス480として図式的に図示されるように、次の工程は、試薬マトリックス680(すなわち、ゲル)を液化する工程を包含する。この工程は、加熱して融解物を形成する工程を包含し得る。あるいは、マトリックス680は、溶媒中に可溶であり得、この溶媒は、このマトリックスを溶解するために、凹部30に添加される。従って、マトリックス680を液化させる工程は、代替的に、溶媒を使用してゲル680を溶解する工程を包含し得る。このトレイは、試薬マトリックス680を液化する前に、このマトリックスの融解温度より低い温度まで加熱され得ることが、理解されるべきである。1つの実施形態において、トレイ10は、試薬マトリックス680を液化させる前に、約100℃まで加熱され得る。
【0076】
ボックス490を参照すると、次の工程は、液化された試薬含有マトリックスを、ドリップ表面40の上で、プラテン50とスライド110との間のギャップ120内へと流す工程を包含する。この工程は、重力の補助によって、達成され得る。ボックス500を参照すると、次の工程は、必要に応じて、ギャップ120を洗浄流体でフラッシュして、組織サンプルを、引き続く組織処理工程のために準備する工程を包含する。この洗浄流体は、工程520に示されるように、主要でない試薬を分配する次の工程を実施する前に、廃棄物レザバ内に排液され得ることが理解されるべきである。ボックス510として図式的に図示されるように、次の工程は、必要に応じて、試薬を、流体分配装置210からドリップ表面40上へと分配する工程を包含する。ボックス520を参照すると、次の工程は、廃棄物および過剰の流体を、流体戻り導管(すなわち、排液ポート70および導管75)を通して、廃棄物レザバ内へと排液する工程を包含する。廃棄流体は、流体戻り導管を通して、反応チャンバを充填する各工程の後に、廃棄物レザバ内へと排液され得ることが理解されるべきである。図21をさらに参照すると、ボックス430、450、460、470によって図示される工程は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の順序で実施され得る。さらに、トレイ情報を入力する工程430は、必要に応じて、トレイ10上でスライド110を位置決めする工程(ボックス460)の後に実施され得る。さらに、シール190をトレイ10から引く工程(ボックス450)は、このトレイ内に収容されるゲルの型に基づいて、トレイ10を選択する最初の工程の後の任意の時点で、実施され得る。さらに、工程480、490、500、510および520は、任意の順序で実施され得る。具体的には、主要でない試薬は、ゲルを液化させる前に分配され得、そしてギャップをフラッシュする工程および/または廃棄物を廃棄物レザバ内に廃棄する工程は、材料をギャップに導入する任意の工程の後に実施され得ることが、理解されるべきである。
【0077】
従って、物質を処理するための、スライド保持トレイが提供されると考えられる。当業者は、本発明が、説明の目的で本明細書中に提供されて限定ではない、種々の実施形態および好ましい実施形態以外によって実施され得ること、ならびに本発明は、上記特許請求の範囲のみによって限定されることを理解する。本明細書中に議論された特定の実施形態に対する均等物が、同様に、本発明を実施し得ることが、注目される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明に従うスライド保持トレイの上部斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従うスライド保持トレイの底部斜視図である。
【図3】図3は、本発明に従うスライド保持トレイおよびその上に位置決めされたスライドの上部斜視図の分解組立図である。
【図4】図4は、本発明に従う、シールされた試薬凹部を備えたスライド保持トレイの上部斜視図である。
【図5】図5は、本発明に従う、スライド保持トレイの平面図である。
【図6】図6は、本発明に従う、直線A−Aに沿ってとった図5のスライド保持トレイの側面断面図である。
【図7】図7は、本発明に従う、直線B−Bに沿ってとった図5のスライド保持トレイの側面断面図である。
【図8】図8は、本発明に従う、詳細Cによって示される図7のスライド保持トレイの一部分の詳細図である。
【図9】図9は、本発明に従う、詳細Dによって示される図5のスライド保持トレイの一部分の詳細図である。
【図10】図10は、本発明に従う、詳細Eによって示される図5のスライド保持トレイの一部分の詳細図である。
【図11】図11は、本発明に従う、詳細Fによって示される図6のスライド保持トレイの一部分の詳細図である。
【図12】図12は、本発明に従うスライド保持トレイの断面図である。
【図13】図13は、本発明に従うスライド保持トレイの斜視図である。
【図14】図14は、本発明に従うスライド保持トレイの斜視図である。
【図15】図15は、プラテンの形状およびサイズの例を示す本発明に従うスライド保持トレイの平面図である。
【図16】図16は、プラテンの形状およびサイズの例を示す本発明に従うスライド保持トレイの平面図である。
【図17】図17は、プラテンの形状およびサイズの例を示す本発明に従うスライド保持トレイの平面図である。
【図18】図18は、本発明に従う1つ以上のスライド保持トレイとの使用のために適切な組織処理システムの平面図である。
【図19】図19は、図18の組織処理システムの側面図である。
【図20】図20は、本発明に従うスライド-保持トレイを製造する方法を描写するフローチャートである。
【図21】図21は、本発明に従うスライド-保持トレイの使用方法を描写するフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10 スライド保持トレイ
50 プラテン
100 スライド
120 反応チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル保持トレイであって:
試薬保持凹部を規定する試薬保持部分;
試薬表面を含むプラテンを規定するサンプル保持部分;および
該試薬保持凹部を該試薬表面と流体連絡に置くような形態である流体流れ部分を備える、サンプル保持トレイ。
【請求項2】
前記試薬保持凹部内に試薬をさらに備える、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項3】
前記試薬保持凹部内の第1の試薬が、流動化可能なマトリックス内に含まれる、請求項2に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項4】
前記流れ部分が、上から分配される流体を受容するような形態である前記試薬表面と流体連絡しているドリップ表面を含む、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項5】
前記ドリップ表面が、前記試薬保持凹部と前記プラテンとの間に位置する、請求項4に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項6】
前記サンプル保持トレイ内に、顕微鏡スライドを、該顕微鏡スライドが前記試薬表面上に間隔を置いて配置され、それによって、該スライドとの前記プラテンとの間に反応チャンバを形成するように位置決めするような形態の少なくとも1つのスライド位置決め要素をさらに備える、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項7】
前記スライド位置決め要素が、スライドを、該スライドの底表面が前記プラテンの試薬表面に対して角度をなすように保持する形態である、請求項6に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項8】
前記反応チャンバ内に位置決めされた組織切片をさらに備える、請求項6に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項9】
角度をなす上表面、および該角度をなす表面上に位置決めされた機械読み取り可能な識別子を有する側壁をさらに備え、該機械読み取り可能な識別子が、前記試薬保持凹部内に含まれる試薬に関する情報を提供するような形態である、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項10】
前記試薬保持凹部上に位置決めされるシールをさらに備える、請求項2に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項11】
前記プラテンの近位端上の入口ポート、および該プラテンの遠位端上の排出ポートのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項12】
少なくとも1つの排出ポートをさらに備え、該排出ポートがスクリーンを含む、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項13】
前記プラテンが、該プラテンの遠位端にあるプラテンの試薬表面から上方に延びる肩部を含む、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項14】
前記プラテンの遠位端に隣接して位置決めされたロッカーをさらに備え、該ロッカーが前記肩部に対してより低いレベルにある上表面を含む、請求項13に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項15】
オーバーフローおよび混合レザバをさらに備える、請求項1に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項16】
前記オーバーフローレザバが前記反応チャンバと流体連絡にあり、それによって前記スライド保持トレイ中に位置決めされたスライドを有する湿潤制御システムを形成する、請求項15に記載のサンプル保持トレイ。
【請求項17】
サンプル処理システムであって:
複数のサンプル保持トレイであって、ここで、各トレイが、試薬保持凹部を規定する試薬保持部分、試薬表面を含むプラテンを規定するサンプル保持部分;および該試薬保持凹部を該試薬表面と流体連絡に置くような形態である流体流れ部分を含む、サンプル保持トレイ;
該サンプル保持トレイと流体連絡するマニホルド
該サンプル保持トレイと熱的に連絡する加熱および/または冷却システム;ならびに
該サンプル保持トレイと流体連絡している外部試薬分配システム、を備える、サンプル処理システム。
【請求項18】
組織サンプルを処理する方法であって;
サンプル保持トレイ中に含まれる試薬凹部中に試薬を含むサンプル保持トレイを選択する工程;および
該サンプル保持トレイ上に顕微鏡スライドを位置決めする工程であって、該スライドと該サンプル保持トレイのプラテンとの間に反応チャンバを形成する工程を包含し、
ここで、該スライドが、その表面上に位置決めされた組織サンプルを含み、そして該スライドが、該サンプル保持トレイ上に、該組織サンプルが該スライドと該プラテンとの間に位置決めされるように位置決めされる、方法。
【請求項19】
前記試薬凹部から前記試薬を流動化可能な形態で放出し、それによって、該試薬が該試薬凹部から前記反応チャンバに流れる工程をさらに包含する、請求項18に記載の組織サンプルを処理する方法。
【請求項20】
前記プラテン内の入口ポートから前記反応チャンバ中に流体を導入する工程;および
前記試薬を、前記試薬凹部から該反応チャンバ中に、それを該試薬凹部から流動化可能な形態で放出することによって導入する工程、をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記試薬を、前記試薬凹部から前記反応チャンバ中に、それを該試薬凹部から流動化可能な形態で放出することによって導入する工程、をさらに包含する、請求項18に記載の組織サンプルを処理する方法。
【請求項22】
外部試薬を、前記反応チャンバ中に、それを前記サンプル保持トレイのドリップ表面上にドリップすることによって導入する工程、をさらに包含する、請求項18に記載の組織サンプルを処理する方法。
【請求項23】
流体を、前記反応チャンバ中に、前記プラテンの入口ポートから導入する工程をさらに包含する、請求項18に記載の組織サンプルを処理する方法。
【請求項24】
前記流体を、前記プラテン中の排出ポートを経由して前記反応チャンバから排出する工程をさらに包含する、請求項18に記載の組織サンプルを処理する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−220654(P2006−220654A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30350(P2006−30350)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(504462571)サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】