説明

調整可能な分光組成を有する電磁放射を発生させるための放射発生装置及び該装置を製造する方法

【課題】スペクトルを変えるか、又は調整できることができる放射発生装置、スペクトル分析装置提供する。
【解決手段】調整可能な分光組成を有する電磁放射を発生させるための放射発生装置において、駆動時に放射素子固有電磁放射4a〜4nをそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子1,1a〜1nであって、そのうちの第1の放射素子を第2の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子1,1a〜1nと、分光素子2と、光開口3とを備え、分光素子2が放射素子固有電磁放射4a〜4nをその波長とそれぞれの放射素子固有電磁放射を発生させる放射素子の位置とに応じて偏向させるように構成され、それにより各放射素子固有電磁放射の特定のスペクトル範囲が光開口3から出ることができ、その結果、多数の放射素子1a〜1nを選択的に駆動させることにより、光開口3を通して出る生成電磁放射220の分光組成を調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整可能な分光組成を有する電磁放射を発生させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的なスペクトル分析において、検査されるべき対象物の組成、状態又は他の特性は、電磁放射と前記対象物の表面との前記対象物の体積での相互作用によって検査される。これに関連して、材料の波長に依存する反射特性、透過特性、吸収特性及び散乱特性が利用される。
【0003】
分光分析的実験を行なうための装置の様々な変形が知られている。
【0004】
第1の変形は、光源、例えばハロゲンランプ又は熱放射体の多色スペクトル全体でサンプルを照射する。サンプルと相互作用し始めた光は、その後、単色光分光器内でそのスペクトル成分へと分割され、放射検出器又は光検出器によって検出される。この目的のため、必要とされるものは、機械的に移動可能な分光素子(格子、プリズム)又は幾つかの放射検出器の配列である。第1の可能性において不都合なことは、システム全体のための諸経費の増大をもたらす可動要素の利用である。一方、幾つかの検出器の配列の使用は、比較的多くの労力を必要とするとともに、特に赤外波長範囲内で比較的高価である。また、高い光出力に起因してサンプルが加熱され、したがって、測定に影響が及ぶ。更なる不都合は、システム全体の小型化の可能性が限られていることである。小型化の可能性は、とりわけ、放射源のサイズによって制限される。
【0005】
第2の変形において、光源の光は、サンプルと相互作用し始める前にそのスペクトル成分へと分割される。このため、機械的に移動できる部品を含む単色光分光器がさらに必要とされる。サンプルとの相互作用の後、光が1個の検出器を使用して検出される。サンプルは、比較的低い放射強度に晒される。その構造は、比較的高価であり、機械的に繊細である。また、この場合も、放射源は、システム統合に基づくシステム全体の小型化を制限する。
【0006】
第3の変形では、非常に小さなスペクトル範囲内でのみ電磁放射が発生される。この方法においては、調整可能な共振器によってその波長を変えることができるレーザが主に使用される。有利なことは、非常に小さい波長幅内での高い強度である。不都合なことは、対応するレーザ作用で特定の波長範囲に限られること、高レベルの実装精度に起因してシステムに必要とされる労力が増大すること、及び、これらによってもたらされる高い価格である。また、格子などの機械的に移動可能な素子が時として使用され、そのため、機械的な環境の影響に対して敏感になる。また、粗い表面を照射する際、高い空間コヒーレンスが干渉効果、いわゆるスペックルをもたらし、その結果、検出に測定誤差が生じる。
【0007】
広範な近赤外スペクトル分析における第4の変形では、例えば電子サイクロトロン(ストレージリング)が必要とされるが、電子サイクロトロンは、そのサイズに起因して、携帯できるように構成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スペクトルを変えることができるか、又は調整できる放射発生装置、スペクトル分析装置、及び放射発生装置を製造する方法を提供するという目的に基づいている。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の放射発生装置、請求項23に記載のスペクトル分析装置、及び請求項24に記載の放射発生装置製造方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの実施形態は、調整可能な分光組成を有する生成(resulting)電磁放射を発生させるための放射発生装置において、駆動時に放射素子固有電磁放射をそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子であって、多数の放射素子のうちの第1の放射素子を多数の放射素子のうちの第2の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子と、分光素子と、光開口とを備え、分光素子は、各放射素子固有電磁放射の限られたスペクトル範囲が光開口を通して出ることができるように、それぞれの放射素子固有電磁放射をその波長とそれぞれの放射素子固有電磁放射を発生させる放射素子の位置とに応じて偏向させるように構成されており、それにより、多数の放射素子を選択的に駆動させることにより光開口を通して出る生成電磁放射の分光組成を調整できる放射発生装置を提供する。
【0011】
本発明の更なる実施形態は、調整可能な分光組成を有する生成電磁放射を発生させるための放射発生装置において、駆動時に放射素子固有電磁放射をそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子であって、多数の放射素子のそれぞれの放射素子を多数の放射素子の他の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子と、それぞれの放射素子固有電磁放射を多数のスペクトル成分に分割するように構成された分光素子と、光開口とを備え、分光素子及び光開口は、それぞれの放射素子固有電磁放射のスペクトル成分のうちの1つが光開口を通過できるように配置されて構成され、それにより、多数の放射素子を選択的に駆動させることにより、光開口を通過する生成電磁放射の分光組成を調整できる放射発生装置を提供する。
【0012】
放射素子は、単色放射素子固有電磁放射及び/又は多色放射素子固有電磁放射を発生させるように構成することができ、多色放射素子固有電磁放射を狭帯域又は広帯域にすることができる。
【0013】
したがって、放射発生装置の実施形態は、いずれの場合にも異なる波長の放射素子固有電磁放射を発生させる幾つかの単色発光ダイオード又はレーザダイオードを備えることができ、それにより、前記放射素子を選択的に駆動させることによって、前記単色スペクトルのうちの1つ以上を含む生成電磁放射が発生される。
【0014】
更なる実施形態は、熱放射素子、ハロゲンランプ原理にしたがった放射素子、白色発光ダイオード、又は多色放射素子固有電磁放射を発生させるように構成された他の放射素子を備えることができる。分光素子は、前記放射素子固有電磁放射のそれぞれの特定の又は限られたスペクトル範囲、例えば放射素子によって発生される当初のスペクトル範囲よりも小さいスペクトル範囲、が光開口を通して出ることができるように構成することができ、それにより、生成電磁放射は、1つ以上の特定の又は限られたスペクトル範囲から規定される分光組成を含む。
【0015】
特定の実施形態において、分光素子及び光開口は、前記放射素子固有電磁放射のそれぞれ又は少なくとも1つのうち、放射素子固有電磁放射の当初のスペクトルと比べて限られたスペクトル範囲だけが光開口を通して出ることができるように構成することができる。すなわち、そのような実施形態は、当初の放射素子固有電磁放射をフィルタ処理するように構成することができ、分光素子及び光開口の実装に応じて、当初の放射素子固有電磁放射を狭帯域、当初のスペクトルに対して狭い帯域のスペクトル、又は単色スペクトルへとフィルタ処理できる。そのような実施形態は、生成電磁放射のスペクトルを発生させるために、多色放射素子の当初の広帯域もしくは狭帯域スペクトル全体、特定のスペクトル成分(例えば狭帯域)、狭帯域又は単色スペクトル成分からの柔軟な選択を可能にし、それらを選択し及び/又は重ね合わせることを可能にする。
【0016】
更なる実施形態は、1つ以上の多色放射素子を備えるとともに、1つ以上の単色放射素子を備えることができる。そのような実施形態において、分光素子は、多色放射素子固有電磁放射のそれぞれのうち、特定の又は限られたスペクトル範囲、例えば放射素子によって発生される当初のスペクトル範囲よりも小さいスペクトル範囲、が光開口を通して出ることができるように更に構成することができ、さらに、単色放射素子固有電磁放射が光開口を通して出ることができるように各単色放射素子の波長又はスペクトル範囲を偏向するべく更に構成することができる。そのような実施形態は、特定のスペクトル成分、例えば狭帯域又は単色のスペクトル成分を広帯域多色放射素子から例えば柔軟な態様でフィルタ除去することができ、また、それらを重ね合わせて、単色放射源の単色放射素子固有電磁放射と共に生成電磁放射スペクトルを発生させることができ、単色放射の強度を例えばフィルタリングにより発生されるスペクトルの強度よりも高くすることができ、又は単色放射を多色放射素子の当初のスペクトルによってカバーされないスペクトル範囲内にすることができる。
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】熱放射素子、いわゆるフィラメントの配列の一実施形態を示している。
【図1B】放射素子としての発光ダイオードの配列の一実施形態を示している。
【図2A】多数の同様の熱放射素子を用いて生成電磁放射を発生させるための放射発生装置の第1の実施形態の概略断面を示し、図2Aは、放射素子の放射素子固有電磁放射の3つのスペクトル成分を一例として描いている。
【図2B】図2Aの第1の実施形態の概略断面を示しており、図2Bは、2つの同様の放射素子の同じスペクトル成分の異なる空間偏向を描いている。
【図2C】図2A,2Bの第1の実施形態の概略断面を示し、図2Cは、2つの同様の放射素子の2つの異なるスペクトル成分の重畳を描いている。
【図3】熱放射素子を備える放射発生装置の第2の実施形態の概略断面を示している。
【図4】熱放射素子を備える放射発生装置の第3の実施形態の概略断面を示している。
【図5】放射素子としての有機発光ダイオードを備える放射発生装置の第4の実施形態の概略断面を示している。
【図6】熱放射素子を備える放射発生装置の第5の実施形態の概略断面を示している。
【図7】熱放射素子を備える放射発生装置の第6の実施形態の概略断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下で添付図面を参照して本発明を更に詳しく説明する前に、より良く理解できるように図面が一定の縮尺で実現されていないことに留意すべきである。また、同一の参照符号は、同一又は類似の機能特性を有する対象物及び機能ユニットのために使用されており、それにより、前記対象物及び機能ユニットの繰り返しの説明が省かれる。更に、これに関して、一方では、類似又は同一の機能特性を有する対象物に言及する部分は、特に明示的に述べていなければ、異なる実施形態の説明同士の間で交換することができる。他方では、1つの実施形態よりも多く生じる対象物に関する参照符号の共用が、前記対象物が異なる実施形態又は関係する実施形態において同一の特徴及び特性を有することを示唆しないことに留意されるべきである。したがって、共用又は類似の参照符号は、特定の形態及び位置決めに関して何らの言及も表わさない。
【0020】
これに関連して、用語「スペクトル」は、電磁放射の波長関連組成を一般的に表わすために使用され、用語「スペクトル範囲」と「波長範囲」は同意語として使用され、下限もしくは最小波長によって、又は上限もしくは最大波長によって規定される波長の範囲を表わしている。2つのスペクトル範囲又は波長範囲は、それらが同じ最小長及び同じ最大波長を有する場合には同じか又は同一である。2つのスペクトル範囲又は波長範囲は、最小波長に関して及び/又は最大波長に関して異なる場合には異なっている。また、2つのスペクトル範囲又は波長範囲は、一方のスペクトル範囲の最大波長が他方のスペクトル範囲の最小波長よりも小さい場合には、重なり合わないと言われる。
【0021】
また、用語「単色スペクトル」は、スペクトルが本質的に、すなわち波長の散乱を無視しつつ、たった1つの波長を備えるときに使用され、また、用語「多色スペクトル」は、散乱を無視しつつスペクトルが複数の波長を備えるときに使用される。スペクトルは、それが1つ以上の単色スペクトルのみを備える場合に離散スペクトルと称され、また、それが第1の遮断波長と第2の波長との間にこの範囲内に含まれる全ての波長を備える場合に連続スペクトルと称される。狭帯域スペクトルは、一般に、広帯域スペクトルよりも小さい帯域幅、すなわち、小さい波長範囲の離散又は連続スペクトルを備えるスペクトルを示す。
【0022】
図面の個々の実施形態が扱われる前に、調整可能な分光組成を有する生成電磁放射を発生させるための放射発生装置の実施形態の一般的な態様について最初に説明する。放射発生装置の実施形態は、以下において素子、放射素子、放射放出体、又は光放射体とも称される、電磁放射を放射する個々の範囲を備える。放射素子の放射発生は、様々な物理的原理に基づくことができる。放射を発生させるための素子は、リソグラフィプロセス、エッチングプロセス、及びコーティングプロセスなどの半導体技術又はマイクロシステム技術で知られる技術によって製造することができる。前記方法によって、電磁放射を放射するための熱により「白熱ランプ」における白熱フィラメントと同様に使用することのできる弱いビームの形態を成す放射素子としての熱放射体を有する放射発生装置を生成することができる。放射素子のこれらの実施形態は、赤外スペクトル範囲において特に有利である。
【0023】
また、有機発光ダイオード(OLED)、無機発光ダイオード(LED)、半導体レーザ又はレーザダイオードは、それらが異なる波長範囲に適合されるように製造することのできる放射素子として横方向に構築することができる。有機発光ダイオードでは、多数の個々の有機発光ダイオードの代わりに1つの単一の電極を生成して横方向に構築することができ、このようにすると、大面積ダイオードを例えばストリップ形状で局部的に励起して放射をすることができる。
【0024】
したがって、実装に応じて、実施形態は、大きなスペクトル範囲をカバーすることができるが、幅広い電磁スペクトル内の比較的小さい範囲をカバーすることもできる。放出された放射のスペクトル分解のための光学的手段と開口部又は開口との組み合わせに起因して、放射発生装置の実施形態は、放射素子の高価な適合又は実装を何ら伴うことなく生成され得るスペクトル的に変調可能な光源を可能にする。特に、レーザを用いたレーザキャビティの機械的適合、又は単色光分光器内での回折格子の回転など、他の従来の手法で知られる放射源の「調整」が回避される。したがって、本放射発生装置の実施形態は、従来技術と比べて放射源の安定性の著しい向上を可能にする。調整の代わりに、放射発生装置の実施形態は、開口内にまとめられるスペクトル成分の波長組成を変更又は調整するために、横方向構造、すなわち、互いに独立に制御できる幾つかの放射素子、を利用することを含む。
【0025】
放射素子の統合及び直接的な利用の製造関連の可能性により、高いエネルギ効率を得ることができる。
【0026】
生成電磁放射のために必要とされる波長範囲は、幾つかのシステムパラメータ、例えば、分光素子とも称される放射をスペクトル的に分割するための手段及び光開口とも称される開口の実装及び特性、を適合させることにより放射素子の放射スペクトル内で変えることができる。したがって、放射源又は調整可能な分光組成を含む生成電磁放射を発生させるための放射発生装置の異なる実施形態は、数少ない適合によってもたらすことができる。
【0027】
本放射発生装置の構造は、スペクトル的に変調可能な光源全体の製造をマイクロ技術、又は成形技術及び射出成形技術を使用しつつ可能にする。個々の放射素子の小さいサイズは比較的高い時間変調周波数を可能にし、これにより、改善された信号対雑音比(SNR)を得ることができるように、ロックイン法(放射源の変調及び検出信号の受信時の復調;TDM−時分割多重化)を使用して、測定原理のための放射発生装置の実施形態を可能にすることができる。また、調整可能な分光組成を含む生成電磁放射を発生させるための放射発生装置の実施形態は、例えば情報工学において波長変調を可能にし、これは、信号対雑音比を改善するために、また、データ転送レートを高めるため(WDM−波長分割多重化)に使用することができる。変調可能光源とも称されて変調可能光源として使用することのできる放射発生装置は、機械的に移動できる部品を備えておらず、頑丈な態様で形成することができ、したがって、特に携帯機器を使用するのに有益である。
【0028】
図1Aは、基板6上に配置される多数の放射素子1の配列の概略図を示している。以下、参照符号1は放射素子に関して全体的に使用され、また、参照符号1a,1b,1c等は、個々の放射素子を示すために使用される(図1A参照)。放射素子1a及び/又は1a〜1nは、例えばフィラメントとして、すなわち、熱放射素子として構成することができる。図1Aに描かれるように、フィラメントは、ストリップ型の態様で互いに平行に基板6上に配置することができる。また、個々の又は全てのフィラメントが同じ寸法(長さ、幅、厚さ)又は異なる寸法を有することができる。又は、フィラメントの一部又は全部がストリップ形状以外の形状を有することができる。
【0029】
放射素子、特にフィラメント1a〜1nは、100nm〜100μm又は500nm〜10μmの範囲の高さ(基板平面に対して垂直な寸法)、1〜200μm又は5〜100μmの幅(基板平面内の寸法)、又は、10μm〜100mm又は100μm〜1mmの長さ(基板平面内の幅寸法に対して垂直)を有することができる。
【0030】
それらの材料として、フィラメントは、例えば、金属、金属合金、導電金属/非金属化合物、半導体材料、導電材料(例えばグラファイト型カーボン)、又は非金属の化合物を備えることができる。また、フィラメント1a〜1nは、例えば導電体の機能、バリア又は拡散バリアの機能、及び、高い放射率を有する材料の機能を組み合わせる異なる材料の積層体から成っていてもよい。
【0031】
図1に示される実施形態によれば、フィラメント1a〜1nは、基板キャリア6又は基板フレーム6上に自立態様で配置することができ、また、基板に対して機械的に接続することができる。基板6は、例えばシリコン・オン・インシュレータ基板(SOI基板)又はシリコン基板とすることができる。
【0032】
放射素子1又は1a〜1nは、互いに独立に制御して、放射素子固有電磁放射を放出するように励起することができる。図1Aは、多数の放射素子1a〜1nの個々の或いは幾つかの放射素子を選択的に駆動させて放射発生装置の生成電磁放射の分光組成を調整するように構成されるコントローラ100を更に示している。選択的な制御のため、放射素子1aが導電パターン100aに電気的に接続され、第2の放射素子1bが第2の導電パターン100bに電気的に接続され、第3の放射素子1cが第3の導電パターン100cに電気的に接続され、第4の放射素子1dが第4の導電パターン100dに電気的に接続され、第nの放射素子1nが第nの導電パターン100nに電気的に接続されている。放射発生装置の外部のコントローラ100を接続することができ且つ生成電磁放射の分光組成をコントローラ100を介して制御できるように、導電パターン100a〜100nは互いに電気的に絶縁され、また、n個の異なる外部接点に互いに独立に電気的に接続することができる。更なる実施形態では、幾つかの放射素子は、それらを一緒に駆動させることができるように、同じ導電パターンに対して、場合により同じ外部接点に対して電気的に接続することができる。例えば、放射素子1a,1bを共用導電パターンに接続し、放射素子1c,1dを他の共用導電パターンに電気的に接続し、又は、例えば素子1a,1d,1nを共用導電パターンに電気的に接続することができる。また、例えば該コントローラ100をシリコン基板に組み込むことにより、又はコントローラ100をSOI基板の機能層に組み込むことにより、コントローラ100は放射発生装置内に組み込むことができる。
【0033】
コントローラ100は、個々の放射素子又は個々の放射素子の組み合わせを連続的に駆動させて例えばスペクトル分析又は波長変調を行なうように、又はそれぞれの放射素子固有電磁放射の強度を時間的に変えて例えば振幅変調を行なうように構成することができる。
【0034】
図1Bは、放射素子1又は1a〜1nの配列の他の実施形態の概略平面図を示している。図1Aと同様に、放射素子は、ストリップ態様で配置されるが、図1Bでは、有機もしくは無機発光ダイオード、又はレーザダイオードとして実施される。個々の放射素子は、個々のダイオード1a〜1nとすることができ、又は、構築された電極によって空間的に限られた態様で励起されて電磁放射を放出する大面積ダイオードによって実現することができる。すなわち、大面積ダイオードを用いる実施形態においては、参照符号1a〜1nは互いに独立に励起することのできる大面積ダイオードの空間的構造を示す。
【0035】
放射素子が配置されるキャリア基板6はシリコン基板又はガラス基板として実施することができる。図1Aの場合と同様に、放射素子は、ライン100a〜100nを介して互いに独立に制御することができ、したがって、放射素子固有電磁放射を放射するように励起することができる。図1Aにおいて放射素子に関して与えられた説明(個々の放射素子の同一又は異なる寸法、同一又は異なる距離、同一又は異なる形状、独立制御など)は、図1Bにおける放射素子に対して、又は、放射発生装置の実施形態のために使用することのできる他の放射素子に対して適宜に適用されるものとする。
【0036】
図2Aは、第1のキャリア基板62と、ダイヤフラム層又は機能層61と、第2のキャリア基板9と、封止基板8とを備えた放射発生装置の第1の実施形態の概略断面を示している。第2のキャリア基板9は、第1の表面206と、前記第1の表面と反対の表面204とを有する。第2のキャリア基板9は、図2Aの方向で上向きに開口する、すなわち、第2の表面204の側に開口を備える片側凹部又は空洞202を更に有する。第1の表面206上には機能層61が配置されている。機能層には、放射素子1、例えば図1Aの放射素子1a〜1n及び光開口3が形成されている。放射素子は、第2のキャリア基板9と対向する機能層の第1の表面から機能層61の第1の表面と反対側の第2の表面まで延びる連続凹部によって横方向で離間され、また、機能層中には連続凹部によって光凹部が形成され、該光凹部も機能層61の第1の表面から機能層61の第2の表面まで延びている(図2A参照)。第2のキャリア基板の第2の表面204から離れて面する機能層61の表面、すなわち、機能層61の第2の表面上には、第1のキャリア基板62が配置される。第1のキャリア基板62は、放射素子1の上側に配置される第1の連続凹部212と、光開口3の上側に配置される第2の連続凹部214とを有する。キャリア基板62の連続凹部212,214は、機能層61と対向するキャリア基板62の第1の表面から該第1の表面と反対側のキャリア層62の第2の表面まで延びている。第1のキャリア基板62の上側、すなわち、機能層61から離れて面する第1のキャリア基板62の表面上、つまり、第1のキャリア基板62の第2の表面上には、封止基板8が配置されている。封止基板8は、例えば、第1のキャリア基板の第1の凹部212、第2の凹部214、機能層61中の放射素子間の隙間、及び機能層61中の光開口3、並びに第2のキャリア基板の凹部202から形成される空洞を密閉するように構成することができる。
【0037】
図2Aの実施形態において、放射素子1a〜1n、第2のキャリア基板9の凹部、光開口3、及び第2の凹部214は、駆動された放射素子1a〜1nの放射素子固有電磁放射がそれらが偏向される分光素子のところまで凹部202内で伝播するとともに凹部202内を光開口3の方向へ伝播して生成電磁放射220の成分として光開口3及び第2の凹部204並びに透明な封止基板を通して放射発生装置から出ることができるように、基板キャリアに配置されている。したがって、第1及び第2のキャリア基板並びに機能層は、例えば不透明となるように構成することができ、又は不透明材料を備えることができる。
【0038】
放射発生装置の別の実施形態では、第2のキャリア基板9と機能層61との間、機能層61と第1のキャリア基板62との間、及び、第1のキャリア基板62と封止基板8との間にそれぞれ更なる層又は基板を配置することができる。また、更なる実施形態が封止基板8を備えないようにすることもできる。分光素子2は、第2のキャリア基板9と同じ材料を更に備えることができ、例えば、製造中に第2のキャリア基板から形成することができ、又は、第2のキャリア基板9の凹部202上又は凹部202中に堆積されて構築された異なる材料から形成することができる。
【0039】
以下、図2A〜2Cを参照して、駆動され又はは励起されるときに広帯域の多色スペクトルを有する電磁放射を放射素子固有電磁放射として発生させる熱放射素子1を放射発生装置が備える実施形態により、放射発生装置の動作形態について説明する。しかしながら、動作形態は、放射素子固有電磁放射を発生させるという物理的原理とは無関係であり、そのため、説明は、他の物理的原理によって放射素子固有電磁放射を発生させるように構成される放射素子、例えば発光ダイオードにも適用されるものである。
【0040】
具体的には、図2Aは、放射素子固有電磁放射4nを分光素子2の方向(矢印参照)に発生させる駆動された放射素子1nを示している。分光素子2は、放射素子固有電磁放射4n、より具体的にはそのスペクトル成分を、入射角度に基づいて、異なるスペクトル成分が異なる領域又は立体角に反射されるような異なる態様で偏向させるように構成される。図2Aは、典型的な第1の成分5n1と、第2のスペクトル成分5n2と、第3のスペクトル成分5n3とを含む偏向又は反射されたスペクトル5nを示している。図2Aに示されるように、分光素子2は、放射素子固有電磁放射4nを、異なる方向又は立体角に偏向される多数の(ここでは、3つの)スペクトル成分、例えば5n1〜5n3に分割する。これに関して、分光素子2及び光開口3は、放射素子固有電磁放射4nのスペクトル成分のうちの1つ、図2Aでは第2のスペクトル成分5n2が光開口3を通過できるように配置されて構成されている。他のスペクトル成分5n1,5n3は、それらが光開口3に衝突しないように又はそれらが光開口を通過できず、もしくは光開口を通して出ることができずに、例えば光開口3に隣接する機能層61と衝突するように偏向される。この場合、光開口3は、機能層中の凹部という意味で実際の開口であり、また、機能層は、不透明となるように構成され、すなわち、例えば光を吸収又は反射し、好ましくは光を吸収する。言い換えると、個々の放射素子、分光素子2、及び光開口3の互いに対する配置、並びに、分光素子2のその入射角及び波長依存特性に関する形態により、各放射素子のうち、特定のスペクトル成分だけ、より一般的には特定のスペクトル又は波長範囲の放射素子固有電磁放射だけを開口3へと偏向(及び合焦)させることができるようになり、したがって、1つ以上の放射素子1a〜1nを選択的に駆動させることにより、放射発生装置から出る生成放射(参照符合220を付す矢印参照)の分光組成を調整できるようになる。すなわち、放射素子固有電磁放射の当初のスペクトルが第2のスペクトル成分へとフィルタ処理されて制限される。
【0041】
図2Bは、図2Aの放射発生装置の同じ実施形態を示している。しかしながら、図2Bでは、第1の放射素子1a及び第nの放射素子nが駆動され、それにより、第1の放射素子が第1の放射素子固有電磁放射4aを発生させ、また、第nの放射素子が更なる放射素子固有電磁放射4nを発生させる。図2A〜2Cでは、両方の放射素子1a,1nが同一であり、また、これらの放射素子は、同じ放射素子固有電磁放射を発生させる。すなわち、両方の放射素子固有電磁放射4a,4nは、同じスペクトルを有し、すなわち、同じ最小波長と同じ最大波長をもつ同じ波長範囲を有する。両方の放射素子固有電磁放射4a,4nは、分光素子2と衝突して、それらのスペクトル成分に分けられる。しかしながら、動作原理を説明するため、図2Bは、図2Aから類推して、いずれの場合にも、両方の放射素子固有電磁放射の第2のスペクトル範囲のみを示している。図2Bでは、更なる放射素子固有電磁放射4nが分光素子2によってスペクトル的に分割されて偏向され、それにより、更なる放射素子固有電磁放射4nの第2のスペクトル成分5n2だけが光開口3を通して出る。図2Bに更に描かれるように、第1の放射素子固有電磁放射4aのスペクトル内の同じ第2のスペクトル成分5a2、すなわち、同じ波長範囲は、更なる放射素子固有電磁放射4nの対応するスペクトル成分5n2とは異なる方向に偏向される。すなわち、図2Bは、個々の放射素子1a〜1nの異なる位置に起因して分光素子2に対する入射角が異なるために分光素子2による同じスペクトル範囲の偏向が異なることを示している。
【0042】
また、図2Cは、第1の放射素子1a及び第nの放射素子4nを駆動させることによって発生される第1及び更なる放射素子固有電磁放射4a,4nを示している。しかしながら、図2Bとは異なり、図2Cは、第1の放射素子固有電磁放射4aの第1のスペクトル成分5a1と、更なる放射素子固有電磁放射4nの第2のスペクトル成分5n2との重なりを示している。すなわち、図2Cでは、分光素子2cは、第2のスペクトル成分5n2とは異なる第1のスペクトル成分5a1を第2のスペクトル成分5n2と同じ方向及び/又は同じ立体角に向けるように構成されている。
【0043】
言い換えると、放射発生装置の実施形態は、駆動時に放射素子固有電磁放射4a〜4nをそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子1,1a〜1nであって、多数の放射素子の各放射素子を多数の放射素子の他の放射素子とは無関係に駆動させることができる多数の放射素子1,1a〜1nを備えることができ、また、分光素子2及び光開口3を備えることができる。この場合、多数の放射素子のうちの第1の放射素子1aは第1の放射素子固有電磁放射4aを発生させるように構成され、また、多数の放射素子のうちの第2の放射素子4nは第2の放射素子固有電磁放射4nを発生させるように構成され、第2の放射素子固有電磁放射4nのスペクトル範囲は第1の放射素子固有電磁放射4aのスペクトル範囲と同一であり、また、分光素子2は、第1の放射素子固有電磁放射4aの第1のスペクトル成分が光開口3から出ることができ且つ第2の放射素子固有電磁放射4nの第1のスペクトル成分が光開口3を通して出ることができないように、放射素子固有電磁放射4a〜4nをそれらの入射角及びそれらの波長に基づいて偏向させるように又は放射素子固有電磁放射4a〜4nを分割するように構成されている。この場合、第1の放射素子固有電磁放射の第1のスペクトル成分と第2の放射素子固有電磁放射の第1のスペクトル成分は同一である。
【0044】
実施形態は、第1の放射素子固有電磁放射4aの第1のスペクトル成分及び第2の放射素子固有電磁放射4nの第2のスペクトル成分が光開口3を通して出ることができるように、放射素子固有電磁放射4a〜4nをそれらの入射角及びそれらの波長に応じて偏向させ又は放射素子固有電磁放射4a〜4nを分割するように構成された分光素子2を更に備えることができる。この場合、第1の放射素子固有電磁放射の第1のスペクトル成分は、第2の放射素子固有電磁放射の第2のスペクトル成分5n2とは異なる。
【0045】
更なる実施形態では、複数の射素子を、異なるスペクトルの放射素子固有放射を発生させるように構成することができ、放射素子固有放射が分割されるスペクトル成分が異なるようにすることができる。また、幾つかの実施形態において、スペクトル成分、例えば第1のスペクトル成分5a1と第2のスペクトル成分5n2は、前記放射素子が同一であるか異なっているかどうかにかかわらず重なり合うことができ、一方、他の実施形態では、両スペクトル成分は互いに隣り合うか、又は重なり合わない。
【0046】
図2Aの更なる実施形態において、放射素子1は、加熱できる構造体、いわゆるフィラメントから成る。フィラメント1又は1a〜1nは、共用基板、例えばキャリア基板6もしくは61、又は基板、例えばキャリア基板61によって支持される共用ダイヤフラム62もしくは機能層62の、上又は中に配置することができ、又は、自立態様で配置して共用基板6により機械的に固定することができる(図1A参照)。共用基板は、いわゆるシリコン・オン・インシュレータ基板(SOI)61,62とすることができる。そのようなSOI基板は、キャリア基板62とも称される一般に数百μmの厚さを有するシリコンキャリア層62に薄い酸化物層(図2A〜2Cには示されていない)により接続される単結晶シリコンの機能層61から成る。フィラメント1は、フォトリソグラフィ、エッチング、又はコーティングなどの半導体・マイクロシステム技術で知られる方法を使用して、SOI基板61,62から形成することができる。自立フィラメント1は、例えば、キャリア層(キャリア基板)62を部分的に除去してSOI基板の機能層61を横方向に構築することによって形成することができる。フィラメント1は、ストリップ型で規則的に又は可変距離で隣接して配置することができる。また、フィラメント1は、図1A及び図1Bに描かれたストリップ以外の幾何学的形態を有することもできる。
【0047】
裏側では、SOI基板61は封止基板8とも称される更なる基板、例えばガラス基板によって封止することができ、前側では、SOI基板61,62は更なる基板9に直接に接続することができる。基板9は第2のキャリア基板9とも称され、その上又は中に分光素子2を有する。第2のキャリア基板9はガラス又は金属材料から製造することができ、また、図2A〜2Cの実施形態では、第2のキャリア基板は2つの機能をもつ。第1に、システムの密封封止を第2のキャリア基板によって達成することができる。第2に、第2のキャリア基板9が分光素子2のためのキャリアを形成し、図2A〜2Cの実施形態では、分光素子2が凹面回折格子として構成される。そのような凹面回折格子は、放射素子固有電磁放射の波長依存分割、及び、フィラメントもしくは分割後のスペクトル成分の再合焦、又は、図2A及び図2Cの実施形態では機能層61に形成されてスリット又は隙間によって実現される光開口3の近傍への又は光開口3の平面内への偏向の両方を可能にする。以下では、凹面回折格子2を単に回折格子2とも称する。
【0048】
回折格子、また、凹面回折格子は、例えば超精密切削加工法又は対応する成形・エンボス加工法を使用して製造することができる。基板9及び回折格子2はいずれも、製造ステップ、例えば成形ステップを共有することができ、又は、個別に製造することができる。例えば、回折格子2は、既に製造されて高分子層を備える第2のキャリア基板2上にホログラフィック法により形成することができる。また、回折格子2は、特定の波長範囲内に最適化された構造体から成るものとすることができ、そのような回折格子はブレーズド回折格子とも称される。
【0049】
機能層61には、フィラメント1によって発生される電磁放射5を導出するための開口3が配置され、該放射5は、分光素子2と組み合わせて、生成電磁放射の分光組成に関して各放射素子により寄与され得るスペクトル範囲をスペクトル的に制限する。
【0050】
光開口3は、例えば、機能層61にエッチングにより形成される長方形スリットとして選択することができる。スリット3により放射5の分光フィルタリングが達成され、該放射5は、個々の素子、フィラメント、又は一般的には放射素子から生じて、回折格子2によりスペクトル的に分割される。封止基板8は、スリットを通過する放射220がシステム全体から、すなわち、放射発生装置から出ることができるように、少なくとも第2の凹部214の上側で透明となるように構成することができる。
【0051】
基板61,62,8,9の接続は、半導体・マイクロシステム技術の通常の結合プロセス、例えば接着又はボンディングによって行なうことができる。例えば、封止基板8は陽極接合又は接着によって第1のキャリア基板62に接続することができる。また、半田付けプロセス、特にレーザ半田付けは、基板61,62,8,9の接続をもたらすのに適している。基板8,61,62,9の接続は、ウエハ接合配置で且つ分割構成要素を伴って行なうことができる。
【0052】
前述した技術によって達成することのできる個々の基板8,61,62,9の相互の密封接続は、フィラメント1を真空中又は適切な充填ガス中で動作させることができる可能性を与える。充填ガスは、例えば市販のハロゲンランプなどにおける保護ガス又は活性ガスとすることができる。充填ガスはガス化学的となるように構成されるのが有利な場合がある。ガス化学では、圧力を増大させることによりフィラメントの蒸発を最小限に抑えて、蒸発されるフィラメント材料の周囲表面上への落下を変化させるとともに、対応する反応によってフィラメント材料の再循環をサポート又は可能にする。この場合、ガス混合物を使用することができる。そのガス混合物は、例えば、ヨウ素などのハロゲン族の元素、酸素、又はアルゴン、キセノンもしくはクリプトンなどの希ガス族の元素から成るものとすることができる。
【0053】
また、フィラメント1は、熱膨張を補償するように適切に設けられるホルダによって、例えば柔軟な要素又はスプリング構造体によって、キャリア基板61に接続することができる。
【0054】
前述したように、図2Bは図2Aと同じ実施形態を示している。図2Bには、機能的な原理を説明するために、2つのフィラメント1a,1nから生じる放射4a,4nが描かれている。前記放射は、回折格子2によってそれらのスペクトル成分へとそれぞれ分割され、図2Aは、第2のスペクトル成分5a2,5n2だけをそれぞれ描いている。回折格子2は凹面格子として構成され、そのため、放射は、スペクトル的に分割されることに加えて、出口スリット3に合焦される。2つのフィラメントの放射が格子に対して衝突する際の角度ずれに起因して、異なるフィラメント1a,1nの同じスペクトル成分5a2,5n2がそれぞれスリット面内の異なる位置に合焦される。したがって、各フィラメント1a〜1nからの異なるスペクトル成分がスリット3を通過する。異なるフィラメント1a〜1nを標的態様で制御することにより、導出される放射220の分光組成を変えることができる。
【0055】
図3は放射発生装置の第2の実施形態を示しており、この実施形態では、放射素子1がフィラメント1として構成され、該フィラメントがSOI基板61,62中又は該基板上に配置されている。図3に描かれる実施形態において、SOI基板、より具体的には機能層62は、その前側が、封止基板8とも称され且つ例えばガラス基板とすることのできる更なる基板8で封止されている。使用される分光素子2は、この場合も先と同様に、反対側で、対応する第2のキャリア基板9に組み込まれた凹面回折格子2である。第2のキャリア基板9は、SOI基板61,62の前側封止のために直接に使用することができる。第2のキャリア基板9は、電磁放射を透過する材料から、例えばガラス又はプラスチックから製造されていると同時に、生成電磁放射220を導出する開口3のためのキャリア基板としての機能も果たす。図3に示されるように、光開口3は、基板9上に配置されて放射に対して非透過性で横方向に構築された材料、例えば金属又は積層体30から成るスリットとして構成することができる。
【0056】
すなわち、図3は、一般に、第1のキャリア基板62と、ダイヤフラム層又は機能層61と、第2のキャリア基板9と、封止基板8と、不透明層30とを備えた放射発生装置の第2の実施形態の概略断面を示している。第2のキャリア基板9は、第1の表面206と、前記第1の表面とは反対側の表面204とを有する。第2のキャリア基板の第1の表面206上には、放射素子1の下側に配置される第1の連続凹部312を有する第1のキャリア基板62が配置されている。キャリア基板62の連続凹部312は、第2のキャリア基板9と対向するキャリア基板62の第1の表面から該第1の表面とは反対側のキャリア基板62の第2の表面まで延びている。機能層61は、第1のキャリア基板62の上側、すなわち、第1のキャリア基板62の第2の表面上に配置されている。図2A〜2Cと同様に、放射素子1は、第1のキャリア基板62と対向する機能層の第1の表面から第1の表面と反対側の機能層61の第2の表面まで延びる連続凹部によって横方向に離間されている。封止基板8は、機能層61の上側、すなわち、機能層61の第2の表面上に配置されている。封止基板8は、機能層61と対向する表面上に、放射素子1の上側に配置される凹部812を有する。例えば、封止基板8は、凹部812、凹部312、及び、機能層61中の放射素子間の隙間から形成される空洞を密閉するように構成することができる。第2のキャリア基板9の第2の表面204上には、不透明層30が横方向に、すなわち第1のキャリア基板62に隣接して配置され、該不透明層は、第2のキャリア基板と対向する層30の第1の表面から該第1の表面とは反対側の層30の第2の表面まで延びる連続凹部の形態を成す光開口3を備えている。
【0057】
図3では、第2のキャリア基板9が透明であり、また、放射素子1、凹部312、第2のキャリア基板9、分光素子2及び光開口3は、駆動された放射素子1a〜1nの放射素子固有電磁放射がそれが偏向される分光素子まで第2のキャリア基板9内で伝播するとともに第2のキャリア基板9内を光開口の方向に伝播して生成電磁放射220の成分として光開口3を通して放射発生装置から出ることができるように配置されて構成されている。
【0058】
図4は放射発生装置の一実施形態を示しており、この実施形態では、図3と同様に、フィラメント1がSOI基板61,62中又は該基板上に配置される。図3の場合と同様、図4のSOI基板61,62は、前側が、封止基板8、例えばガラス基板で封止される。図3の実施形態に加えて、SOI基板61,62は、第2のキャリア基板9によって封止されず、更なる封止基板8bによって封止され、該封止基板8bは、裏側がSOI基板上に配置されるとともに、第1のキャリア基板61に対して密封接続される。図4の実施形態は、製造中にウエハレベルで2つの封止基板8,8bによりSOI構造体の密閉封止を可能にする。
【0059】
すなわち、図4は、図3の第2の実施形態に類似し、さらに第1のキャリア基板61と第2のキャリア基板9との間に配置される封止基板8bを更に備える放射発生装置の第3の実施形態の概略断面を大体において示している。したがって、図4の実施形態は、製造中にウエハレベルで2つの封止基板8,8bにより放射素子1の密閉封止を大体において可能にする。
【0060】
図5は、放射素子1が有機発光ダイオード(OLED)として設けられた放射発生装置の一実施形態を示している。OLED1のための第1のキャリア基板63は、例えば半導体技術で知られるシリコン基板とすることができる。有機発光ダイオード1a〜1nは、ストリップ形状となるように構成することができ、また、規則的に又は互いからの距離を変えることができるように配置することができる。別の実施形態においては、放射発生装置は、構築された電極1a〜1nによって空間的に限られた態様で励起されて電磁放射を放出することのできる大面積ダイオードを備える。
【0061】
第1のキャリア基板は、前側(OLEDの側)を、封止基板8、例えばガラス基板8により封止することができる。使用される分光素子2は、この場合も先と同様、図3及び図4に既に描かれるように、反対側で、すなわち、第2のキャリア基板9の第1の表面206上で第2のキャリア基板9に組み込まれた凹面回折格子2である。すなわち、図5は図3及び図4に類似する実施形態を示しているが、図3及び図4における一体のフィラメント1と前側に配置された封止基板8とを備えたSOI構造体61,62の代わりに、放射素子が有機発光ダイオード1a〜1nの形態で配置された従来の基板63、例えばシリコン基板を備えている。図4の実施形態と同様に、図5の実施形態は、ウエハレベルで封止基板8基板63及び有機発光ダイオード1a〜1nを備えたウエハ上に配置されるという点において、製造中にウエハレベルで密閉することができる。
【0062】
すなわち、図5は、第1のキャリア基板63と、放射素子1と、第2のキャリア基板9と、封止基板8と、不透明層30とを備えた放射発生装置の第4の実施形態の概略断面を大体において示している。第2のキャリア基板9は、第1の表面206と、前記第1の表面とは反対側の表面204とを有する。第2のキャリア基板の第1の表面206上には、放射素子1の下側に配置される凹部814を備えた封止基板8が配置されている。第1のキャリア基板63は、封止基板8の上側、すなわち、封止基板8の第2の表面上に配置されている。放射素子は、第1のキャリア基板63の底側に、すなわち、封止基板8と対向する第1のキャリア基板63の第1の表面上に配置されている。封止基板8の凹部814は、放射素子の下側に配置されており、放射素子の方向に開口を有する。封止基板8は、例えば凹部814で形成される空洞を密閉するように構成することができる。第2のキャリア基板9の第2の表面204上には、不透明層30が横方向に、すなわち封止基板8に隣接して配置され、また、不透明層30は、第2のキャリア基板と対向する第1の表面から該第1の表面とは反対側の第2の表面まで延びる連続凹部の形態の光開口3を有する。
【0063】
図5では、第2のキャリア基板9が透明であり、また、放射素子1、凹部814、第2のキャリア基板9、分光素子2、及び光開口3は、駆動される放射素子1a〜1nの放射素子固有電磁放射がそれらが偏向される分光素子のところまで第2のキャリア基板9内を伝播するとともに、第2のキャリア基板9内を光開口の方向に伝播して生成電磁放射220の成分として光開口3を通して放射発生装置から出ることができるように配置されて構成されている。
【0064】
更なる実施形態は、有機発光ダイオードの代わりに、無機発光ダイオード、レーザダイオード、又はそれらの3種もしくはさらに他の種類のダイオードの組合せを備える。
【0065】
図6は、放射素子1がSOI基板61,62中又はSOI基板61,62上にフィラメントとして配置された放射発生装置の一実施形態を示している。図6のSOI基板61,62は、前側が第1の封止基板8により封止されるとともに、その反対側が第2の封止基板8bによって封止されており、第2の封止基板8bは透明材料、例えばガラスからなり、一方、第1の封止基板8は不透明材料とすることもできる。第2の封止基板8bは、同時に、放射を導出するための光開口3のためのキャリア基板としての役目を果たす。図6に描かれているように、例えば、前記光開口3は、横方向に構築されて第2の封止基板8b上に配置されるとともに放射を透過しない材料から形成されるスリットとして設けることができ、その材料を例えば金属又は積層体30とすることができる。図6の実施形態は、分光素子2として、先と同様に、第2のキャリア基板9中又は該基板上に配置されてスペーサ基板10により第2の封止基板8bに接続された凹面回折格子2を使用する。両方の基板9,10がガラス又はプラスチックから形成することができる。
【0066】
すなわち、図6は、第1のキャリア基板62と、機能層61と、第2のキャリア基板9と、スペーサ基板10と、第1及び更なる封止基板8,8bと、不透明層30と、分光素子2と、光開口3とを備えた放射発生装置の第5の実施形態の概略断面を大体において示している。第2のキャリア基板9は、第1の表面206と、前記第1の表面とは反対側の表面204とを有する。スペーサ基板10は第2のキャリア基板の第1の表面206上に配置されている。スペーサ基板10は、第2のキャリア基板9の凹部202の領域の上側に、第2のキャリア基板9と対向する第1の表面から第2のキャリア基板の第1の表面とは反対側に配置された第2の表面まで延びる連続凹部1002を備えている。スペーサ基板10の第2の表面上には、更なる封止基板8bが配置されている。その封止基板8b上、すなわち、スペーサ基板10から離れた方を向く更なる封止基板8の表面上には、第1のキャリア基板62が配置されている。第1のキャリア基板62は、更なる封止基板8bと対向する第1の表面から該第1の表面とは反対側に配置された第2の表面まで延びる凹部216を備えている。第1のキャリア基板の第2の表面は機能層61を有し、機能層61はそれに配置された放射素子1を備えている。この場合、放射素子1は、図2A〜2C及び図3と同様に、第1のキャリア基板62と対向する機能層61の第1の表面から機能層61の第1の表面とは反対側に配置される第2の表面まで延びる連続凹部によって形成されている。機能層61の第2の表面上には第1の封止基板8が配置され、封止基板は片側凹部を備え、該片側凹部は機能層61と対向する側に開口を有し且つ放射素子1の上側に配置されている。第2の封止基板8b上には、横方向の態様で、すなわち、第1のキャリア基板62に隣接して、不透明層30が配置されている。第1の封止基板8及び更なる封止基板8bは、例えば、第1の封止基板内の空洞812、機能層61内の連続凹部、及び第1のキャリア基板62内の凹部216によって形成された空洞を密閉するように構成することができる。図2A〜2Cと同様に、光路は空洞内にほぼ位置する。すなわち、放射素子1、凹部216、第2の封止基板8b、スペーサ基板10内の連続凹部1002、及び第2のキャリア基板9内の片側凹部202、並びに不透明層30内の光開口3は、連続凹部216の駆動された放射素子1a〜1nの放射素子固有電磁放射がそれらが偏向される分光素子2のところまで透明な第2の封止基板8b、連続凹部1002及び片側凹部202を通って伝播するとともに、片側凹部202及び連続凹部1002内を経て透明な第2の封止基板8bにより光開口3の方向に伝播して生成電磁放射220の成分として光開口3を通って放射発生装置から出ることができるように構成されて配置されている。
【0067】
図7は、放射素子1がSOI基板61,62中又はSOI基板61,62上にフィラメントの形態で配置される放射発生装置の一実施形態を示している。SOI基板61,62は、前側が封止基板8、例えばガラス基板で封止されるとともに、反対側が更なる基板21により封止されている。SOI構造体に隣接する基板21には、フィラメントから発散する放射(図7では放射素子1nについてのみ描かれている。)を平行にしてそれらの放射をプリズム2の形態を成す分光素子2へ向けて方向付けるレンズ23が組み込まれている。プリズム2は更なる基板22に組み込まれている。基板22は基板21と共に配置され、基板21のSOI基板から離れた方を向く表面で基板21に接続されている。更なるレンズ25が基板24に組み込まれており、レンズ25は、プリズム2によってスペクトル的に分割される放射(スペクトル成分5n1,5n2,5n3参照)をスリット3として構成される光開口に合焦させて、電磁放射を導出させる。前記基板24は、また、放射を透過しない材料、例えば金属又は積層体30のためのキャリアとしての機能を果たし、横方向構造化によりスリット3が積層体30を貫通して形成されている。図7の実施形態では、分光素子を形成するプリズム2は、例えば分光素子2としての透過型回折格子に置き換えることができる。
【0068】
すなわち、図7は、第1のキャリア基板62と、機能層61と、第1の封止基板8と、第1の光学基板21と、第2の光学基板22と、第3の光学基板24と、光開口3を備えた不透明層30とを備えた放射発生装置の第6の実施形態としての断面を示している。図6を用いて既に説明したように、第1のキャリア基板62は、下側の第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有し、第1のキャリア基板上には機能層61が配置されているとともに、機能層には放射素子1が組み込まれている。図6で説明したように、機能層61は、片側凹部812をもつ第1の封止基板8をその上に有し、また、図6にも描かれるように、第1のキャリア基板62が連続凹部216を有する。第1の光学基板21は、第1のキャリア基板62の下側、すなわち、第1のキャリア基板62の第1の表面上に配置されるとともに、第1のキャリア基板62から離れた方を向く第1の表面と、該第1の表面とは反対側に配置された第2の表面とを有する。第1の光学基板21は、第1の光学基板21の第2の表面の側にレンズ23を有する。第1の光学基板21の下面、すなわち、第1の表面上に第2の光学基板22が配置されている。第2の光学基板22は、下側、すなわち、第1の光学基板21から離れた方を向く側に第1の表面を有するとともに、第2の光学基板22の第1の表面とは反対側に配置された第2の表面を更に備えている。第2の光学素子22は分光素子2を備えている。第2の光学基板22の下側、すなわち、第2の光学基板22の第1の表面上には、第3の光学基板24が配置されている。第3の光学基板24は、第2の光学基板から離れた方を向く第1の表面と、第2の光学基板22と対向する第2の表面とを有している。第3の光学基板24は前述した第2のレンズ25を備えている。不透明層30は第3の光学基板24の第1の表面上に配置されている。
【0069】
図7の更なる実施形態において、放射素子1は異なる距離を有してもよい。
【0070】
図3,4,5の分光素子2は回折光学素子とすることもできる。
【0071】
先の説明は、主に、熱放射素子を備えた実施形態についてのものであったが、更なる実施形態は、熱放射素子の代わりに、異なる物理的原理に基づくような放射素子を備えることができ、逆もまた同様である。また、図1〜7の実施形態において、異なる物理的原理の放射素子を混合したものを放射素子1a〜1nとして使用することができ、例えば、放射発生装置は、熱放射素子を1つと、ルミネセンスに基づく1つ又は複数の放射素子とを備えることができる。
【0072】
また、図2〜7の実施形態は、生成電磁放射のための更なるスペクトル成分を可能にするために、例えば、1つ以上の更なる放射素子、すなわち、第2の多数の放射素子と、更なる又は第2の分光構造体を、光開口の中心を通る垂直な軸又は平面の右側(図面に対して)に更に備えることができる。図3にだけ、前記軸又は平面390が一例として描かれている。図1〜7に関して議論されたことは、この展開にも適用されるものとする。この展開は、生成電磁放射の強度を増大させるように、例えば、図2〜7に示されたものと同じ配置をもつことができるが、鏡面反転される。又は、この展開は、他のスペクトル成分を発生させることができるように任意の他の配置を備えることができる。
【0073】
前記説明は、時として、層、ダイヤフラム及び基板を区別してきたが、図1〜7において説明された基板又はダイヤフラムは層と称することもでき、その逆もまた同様である。また、それらの実施形態に代わる手段として、場合により対応する凹部を備えた更なる適当な基板又は層を基板と層との間に配置することができる。
【0074】
放射発生装置のいくらかの実施形態は、変調可能な又は変更可能なスペクトル放射を備えた放射源(又は光源)が必要とされる任意の分野で使用することができる。前述したように、1つの用途は例えば光学スペクトル分析においてであり、その場合、電磁放射と物体、液体、又はガスの表面又は体積との相互作用により、組成、状態又は他の特性について報告書が作成される。波長に依存する反射特性、透過特性、吸収特性及び散乱特性は、その識別のために使用することのできる材料に依存する。幾つかの基本的に異なる変形例が使用される。本発明の解決策を適用する1つの変形例は以下の通りである。代表的な光源を使用して、スペクトル的に分析されるべき測定対象が透過照明される。放射スペクトルを連続的に変えることにより、測定原理にしたがって決定されるべきスペクトルを単一の検出器によって捕捉することができる。このスペクトルから、特定の物質の材料組成又は濃度を推論することができる。固体、液体又は気体の物質をこのようにして分析することができる。この用途では、多数から2つの測定値のスペクトルが識別のために捕捉される。測定の有効性及び信頼性はそれに応じて変化する。放射発生装置の実施形態によれば、異なる波長範囲に対して適合できるとともに、スペクトルを変化させるスペクトル間隔の幅及び数に対して適合できる。
【0075】
特徴的な分子振動もしくはそれらの倍音(overtone)、又は組み合わせ振動(combination vibration)を励起する電磁スペクトルの範囲は、有機材料から形成される物体の多数の検査に特に適する。これらの範囲は中赤外光(MIR:2500nm〜25μmの波長)又は近赤外光(NIR:780nm〜2500nmの波長)と称される。他の物質及び化合物もこの範囲内に特徴的な吸収帯を有する場合がある。しかしながら、可視光(380nmから780nm)、紫外スペクトル(380nm未満の波長)、及び25μmを超える遠赤外光(FIR)も検査において考慮に入れることができる。
【0076】
すなわち、放射発生装置のいくらかの実施形態は、例えば、スペクトル分析又は分光学の分野、すなわち、選択された波長の光が物質と相互作用するとともに、相互作用の特性が波長に依存すると考えられる強度の変化によって解釈される分野で使用することができる。ここでは、様々な手法、例えば、反射、透過、吸収、透過屈曲、蛍光、プロセスの励起、誘導放射の測定、又はいわゆるラマン信号の評価が適用される。測定は、とりわけ、固体物質の表面又は体積に関して行なうことができ、液体、ガス又はプラズマでは、対象物が通常の圧力、減圧雰囲気又は高圧で存在して分析することができる。また、対象物は、基本状態(basic state)又は励起状態で存在することができる。
【0077】
そのような測定にとって好ましい変形例は、調整可能なスペクトルのための光源を使用し波長に関して狭帯域の対象物の照射と、簡単な感光検出器による検出とを含む。
【0078】
更なる用途は、放射検出器又は光検出器のスペクトル感度の測定を含む。個々の検出器及び検出器アレイの両方を測定することができる。本発明の解決策は光源を設け、該光源を用いて、異なる既知の波長組成の放射(光)を検出器に照射する。このようにすれば、スペクトル感度を決定することができる。
【0079】
放射発生装置のいくらかの実施形態は、対象物の色を測定するために更に使用することができる。これに関して、変調可能な光源は、この光が可視波長範囲内で放射されるように構成されるとともに、分析されるべき表面が照射されて、反射されて戻された光が個々の検出器により検出される。通常、対応する光源は、個々の検出器の広帯域感度と組み合わせて放射波長範囲が眼のスペクトル感度(赤、緑、青)に適合されるように構成される。いわゆる「メタム(methame)」色を検出するため、スペクトルの測定は、高いスペクトル分解能及び多数の測定を用いて行なうことができる。
【0080】
放射発生装置のいくらかの実施形態は、可動要素を有さず、したがって、携帯機器で使用できる場合がある。システム統合により、本発明の実施は、小型で低コストのスペクトル的に調整可能な放射源を可能にする。本発明は、異なる放射原理を伴う放射源の一体化を可能にする。この場合、熱放射素子と、非熱放射素子、例えば冷光放射素子、有機又は無機の発光ダイオード(LED、OKED)の両方を一体化することができる。
【0081】
放射発生装置又は放射源によって放射される放射の分光組成は、放射原理の選択によって、実装(幾何学的形態)によって、放射放出素子の数及びそれらの制御によって、分光素子の実装によって、及び、光開口の位置及び形態によって影響されうる。
【0082】
放射発生装置のいくらかの実施形態は、個々の又は多数の、放射放出領域又は素子を備える。マイクロ技術とリソグラフィ技術を使用することにより、様々な物理的放射原理に基づいたこれらのフィラメントを製造することができる。例えば、高融点金属又は金属合金の自立梁をシリコン又はSOI基板(シリコン/二酸化ケイ素/シリコン)上に構築することができる。それらは個別に制御できる。光学系と分光素子との組み合わせにより、放射が波長に依存して開口面内で分割される。スペクトルの一部だけが例えば開口スロットのような開口を通して光源から出ることができる。素子の位置に応じて、分割されたスペクトルが開口面内でずれている。そのため、各素子について、スペクトルの異なる部分が開口を通過することができる。異なる素子の空間的にずれたスペクトルの重なりにより、開口の背後にスペクトルが再び形成され、そのスペクトルの組成は素子の制御に依存する。
【0083】
個々のフィラメントを制御することにより、放射発生装置のスペクトルを変化又は変調することができる。個々の放射放出領域のサイズにより、高レベルの時間変調を達成することができ、また、時間変調は高レベルの時間波長変調のために使用することもできる。必要とされる波長範囲に応じて、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)又は同様の放射体を構築することもできる。また、幾つかのフィラメント、又は一般的には幾つかの放射素子を同時に制御することにより、異なる波長幅からなる光の混合体を発生させることができる。
【0084】
スペクトルをスペクトル的に制限するために、また、格子の使用において比較的高次の回折を抑制するために、吸収フィルタ又は干渉フィルタを光路中に更に組み込んでもよい。光源を制御するために、又は、電流源又は電流供給源として、電子回路100又はマイクロ電子回路を変調可能な光源のシステム全体の一部とすることができる。全体の性能又は分光組成を監視して閉ループ制御(closes-loop control)のために使用することのできる放射検出器を組み込むこともできる。
【0085】
以下の用途、すなわち、ガス分析(CO2測定、CO測定、火災検知器用のセンサ、燃料ガス組成のチェック、及び排ガス処理の監視)、液体の分析(オンライン水分析、アルコールの分析、及び燃料品質の分析)、固体の分析(食料品の含水量、食料品の主成分のオンラインチェック、プラスチックの分類、及び薬剤製品の組成の監視)、遠隔通信(波長変調信号送信)、及び測定技術(光検出器及び検出器アレイのオンライン色チェック及び較正)は、用途の例として言及されるものとする。したがって、用途は、例えば、環境測定技術、農業、食料品の製造、薬剤学、皮膚科、医薬、バイオテクノロジー、化学、石油化学、リサイクリング、自動車製造、航空及び空調技術において見出すことができる。
【0086】
本発明のいくらかの実施形態は、狭いが自由に選択できる波長範囲内の光を放射でき、特に近赤外光〜中赤外光のスペクトル範囲で調整可能であるとともに、一度に多量に製造でき、小型で軽量となるように実現でき、また、エネルギをほとんど必要とせず、モバイル用途にとって十分頑丈な放射発生装置を提供する。
【0087】
高度な統合は、多数の部品の低コストな製造を可能にする。また、放射発生装置の実施形態は可動部品を有しておらず、そのため、放射発生装置は、特に頑丈であるとともに、電気的制御が容易である。また、放射発生装置は、小型軽量でエネルギ効率が良くなるように構成することができる。
【0088】
いくらかの実施形態は、m−of−n集合体からの対応する選択により、波長幅、高速応答、目的にあわせた(tailor-made)スペクトルへの任意の利用を可能にする。
【0089】
放射発生装置のいくらかの実施形態は、電磁放射の熱的生成のための幾つかの手段、いわゆるフィラメントを備え、該フィラメントは、それらが回折構造体、例えば反射回折格子を直接的に又は間接的に照明するように空間的に配置される。回折構造体により、放射は、立体角依存態様で様々な波長へと分割される。少なくとも1つの対応する手段、例えば出口スリットにより、波長範囲の特定の部分だけが導出される。波長範囲の位置は、フィラメントの選択によって制御することができる。
【0090】
放射発生装置の更なる実施形態は、十分に高いドーピングレベルにより導電性を有する単結晶シリコンをそれらの材料として有するフィラメントを備える。又は、フィラメントは、金属薄層中又は導電セラミック中に構成することができる。フィラメントは、例えば、いわゆるSOI基板からエッチングにより製造することができる。基板形態の選択に応じて、フィラメントは数百nm〜数μmの厚さを有する。出口スリット又は光開口は同じチップ内に実現することができ、また、その位置は、マイクロシステム技術テクノロジーの高い精度により正確に規定できる。このチップは、真空パッケージング技術により、例えばブレーズド構造をもったホログラフィック格子を含む加圧プラスチック体又は基板上に実装することができる。他の空間的方向では、システムは密閉され、それにより、フィラメントが完全に真空内にある。又は、市販のハロゲンランプと同様に、保護ガス又は活性ガスを使用してもよい。放射発生装置のいくつかの実施形態は、約5μmの幅と約250μmの長さとを有するチップ毎に例えば128個又は256個のフィラメントを備える。熱膨張(1200℃の動作での250μmのSiフィラメントにおける6μmの長さの変化)を補償するために、それらの実施形態は、片側が特異的に形成され且つ柔軟な素子を備えたホルダを更に備えてもよい。
【0091】
本発明の更なる他の実施形態は、放射素子の高温を発生させることにより制御することのできる電磁放射を放出する幾つかの放射素子と、放射素子ごとに特定の波長範囲を特定の立体角要素へ偏向させる波長選択素子と、電磁放射が放射発生装置から出る立体角範囲を制限する素子と、を備えた放射発生装置を提供する。この実施形態は、波長幅の位置が1つ以上の放射素子の選択によって影響されるようにすることができ、また、特定の波長幅内でのみ測定可能な強度を有するスペクトルを光源から出すことができる。
【0092】
他の実施形態において、機能層61及び/又は不透明層30は、スリット又は連続凹部の代わりに、光開口3を形成するように透明領域を機能層61内又は不透明層30内に有してもよい。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態は、多数の放射素子、分光素子、及び光開口が互いに機械的に固定されるように、すなわち、それらが放射発生装置内で移動不可能に配置されるように、すなわち、前述した素子のいずれも例えば移動できず又は回転できないように構成してもよい。
【0094】
更なる実施形態は、電磁放射を発生させるための放射発生装置であって、電磁放射を発生するための幾つかの素子1又は1a〜1nを備え、該素子を互いに独立に制御することができる放射発生装置を提供する。この場合、この放射発生装置は、素子から発散する放射をスペクトル的に分割するための少なくとも1つの分光素子2と、電磁放射を導出するための光学デバイス3とを備え、その開口3は、それぞれの個々の素子1a〜1nによって放射されて分光素子により分割される放射のスペクトル帯域幅を制限するように構成されて配置されており、また、放射発生素子を目的に合わせて制御することにより、光開口を通過する放射220の分光組成が影響されるようにすることができる。
【0095】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子がストリップ形状となるように構成されて規則的に配置され、又は互いの距離を変えることができるように配置された放射発生装置を提供する。
【0096】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子がいずれの場合にも異なる幾何学的形態を有する放射発生装置を提供する。
【0097】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子が加熱可能な構造体、いわゆるフィラメント、無機もしくは有機の発光ダイオード(LED、OLED)、又はレーザダイオードから形成されている放射発生装置を提供する。
【0098】
実施形態の更なる進展は、例えば、フィラメントが、金属、金属合金、導電金属/非金属化合物、半導体材料(シリコンなど)、導電非金属(グラファイト状カーボンなど)、又は非金属化合物からなる放射発生装置を提供する。
【0099】
実施形態の更なる進展は、例えば、フィラメントが異なる材料の(横方向)積層体からなる放射発生装置を提供する。
【0100】
実施形態の更なる進展は、例えば、分光素子が回折格子、プリズム又はこれらの組み合わせである放射発生装置を提供する。
【0101】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を導出するための光開口が、長方形又は楕円形の断面を有する開口として構成され、又は複数の開口を有する構造体から構成されている放射発生装置を提供する。
【0102】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を導出するための光開口が、放射を透過する材料から成るとともに、放射を透過しない材料又は積層体で部分的にコーティングされている放射発生装置を提供する。
【0103】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を導出するための光開口が、共用基板もしくは共用ダイヤフラム上に、共用基板もしくは共用ダイヤフラム中に配置され、又は自立態様で配置されて共用基板により機械的に固定されている放射発生装置を提供する。
【0104】
実施形態の更なる進展は、例えば、分光素子又は放射を導出するための開口が基板中又は基板上に配置されている放射発生装置を提供する。
【0105】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子と、分光素子もしくは放射を導出するための開口又はその両方とが、共用基板もしくは共用ダイヤフラム上に又は共用基板もしくは共用ダイヤフラム中に配置されている放射発生装置を提供する。
【0106】
実施形態の更なる進展は、例えば、分光素子及び放射を導出するための開口が共用基板上又は共用基板中に配置されている放射発生装置を提供する。
【0107】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子を上又は中に配置している基板が、分光素子を上又中に配置している基板又は放射を導出するための開口を上又は中に配置している基板に対して、間接的に又は直接的に接続されている放射発生装置を提供する。
【0108】
実施形態の更なる進展は、例えば、それらの基板が互いに積層態様で接続されている放射発生装置を提供する。
【0109】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生させるための素子が上又は中に配置されている基板と、分光素子が上又は中に配置されている基板又は放射を導出するための開口が上又は中に配置されている基板との間にスペーサ基板がある放射発生装置を提供する。
【0110】
実施形態の更なる進展は、例えば、それらの基板のうちの1つが更なる光学機能素子を備えている放射発生装置を提供する。
【0111】
実施形態の更なる進展は、例えば、それらの基板が互いに間接的に又は直接的に接続されている放射発生装置を提供する。
【0112】
実施形態の更なる進展は、例えば、電磁放射を発生するための素子の基板がシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン基板、ガラス基板又はセラミック基板である放射発生装置を提供する。
【0113】
実施形態の更なる進展は、例えば、分光素子又は光開口が上又は中に位置されている基板がガラス、セラミック、プラスチック、金属又は半導体材料からなる材料グループのうちの1つを備えている放射発生装置を提供する。
【0114】
実施形態の更なる進展は、例えば、少なくとも1つの検出器が電磁放射の出力を測定するために存在する放射発生装置を提供する。
【0115】
実施形態の更なる進展は、例えば、少なくとも1つの測定手段が分光組成を検出するために存在する放射発生装置を提供する。
【0116】
実施形態の更なる進展は、例えば、放射源によって放射される放射が紫外スペクトル範囲、可視スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲又はこれらの組み合わせである放射発生装置を提供する。
【0117】
実施形態の更なる進展は、例えば、1つ以上の放射放出素子を順次制御することにより、放射源により出力される放射の分光組成を時間的に変えることができる放射発生装置を提供する。
【0118】
実施形態の更なる進展は、例えば、幾つかの放射放出素子を同時に作動させることにより、電磁放射の混合体が目的に合わせて発生される放射発生装置を提供する。
【0119】
更なる他の進展は、反射回折格子又はホログラフィック格子を分光素子として備えてもよく、シリコン単結晶、ドープ半導体基板、SOI基板、高融点金属、又はTaC、HfCもしくはTaHfCなどの熱応力補償を含む高融点導電化合物をフィラメント材料として備えてもよく、モニタダイオードを放射素子として備えてもよく、電気励起、パルス励起又は非電気励起を含んでもよく、成形プロセスで製造されて加圧又は深絞りされた格子を備えてもよく、チップ内格子及びミラーを備えてもよい。
【0120】
また、本発明のいくつかの実施形態は、前述した放射発生装置と、生成電磁放射又は生成電磁放射によって発生される電磁放射を受けるように構成された放射検出器と、受けた電磁放射に基づいてスペクトル分析を行なうように構成された評価ユニットとを有するスペクトル分析装置も提供する。
【0121】
スペクトル分析装置のいくつかの実施形態は、放射発生装置に対して空間的に不変な態様で配置されているか、又は放射検出器の位置もしくは放射検出器に対する放射発生装置の空間的配置を変えることなくスペクトル分析を行なうように構成されているたった1つの単一放射検出器を備えることができる。
【0122】
また、本発明の実施形態は、以下のステップを含む、放射発生装置を製造する方法も提供する。
【0123】
駆動時に放射素子固有電磁放射をそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子であって、そのうちの第1の放射素子を他の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子を設け又は生成する。光開口を設け又は生成する。分光素子を設け又は生成する。分光素子が放射素子固有電磁放射をそれらの入射角及びそれらの波長に応じて偏向させ、それにより各放射素子固有電磁放射の限られたスペクトル範囲が光開口を通して出ることができるように分光素子が多数の放射素子及び光開口に対して配置されて構成され、その結果、多数の放射素子を選択的に駆動させることにより光開口を通して出る生成電磁放射の分光組成を調整できるように、分光素子を多数の放射素子及び光開口に関連付ける。
【0124】
製造技術に応じて、前述したステップが異なる順序で及び/又は少なくとも一部が同時に行なわれてもよい。放射発生装置を製造する製造方法のいくつかの実施形態は、放射素子、分光素子及び/又は光開口を生成するステップ、放射素子、分光素子及び/又は光開口が上又は中に配置することのできる基板及び層(例えば図2Aでは、8,61,62,9)を接続するステップ、並びに密封封止が、ウエハボンド配置で個別化された構成要素をもって行なわれるように構成されてもよい。様々な製造技術及びステップの更なる詳細に関しては、前述した説明を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な分光組成を有する生成電磁放射を発生させるための放射発生装置において、
駆動時に放射素子固有電磁放射(4a〜4n)をそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子(1,1a〜1n)であって、該多数の放射素子のうちの第1の放射素子を該多数の放射素子のうちの第2の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子(1,1a〜1n)と、
分光素子(2)と、
光開口(3)と、を備え、
前記分光素子(2)は、各放射素子固有電磁放射の特定のスペクトル範囲が前記光開口(3)から出ることができるように、それぞれの放射素子固有電磁放射(4a〜4n)をその波長とそれぞれの放射素子固有電磁放射を発生させる放射素子の位置とに応じて偏向させるように構成されており、それにより、多数の前記放射素子(1a〜1n)を選択的に駆動させることにより前記光開口(3)を通して出る生成電磁放射(220)の分光組成を調整できる放射発生装置。
【請求項2】
前記多数の放射素子(1a〜1n)のうちの個々の又は幾つかの放射素子を選択的に駆動させて、生成電磁放射(220)の分光組成を調整するように構成されたコントローラ(100)を備えている請求項1に記載の放射発生装置。
【請求項3】
前記分光素子(2)はそれぞれの放射素子固有電磁放射(4a〜4n)を多数のスペクトル成分(5n1〜5n3)のそれぞれに分割するように構成され、前記分光素子(2)及び前記光開口(3)は、各放射素子固有電磁放射(4a〜4n)のスペクトル成分のうちの1つ(5n2)が前記光開口(3)を通過できるように配置されて構成され、それにより、前記多数の放射素子(1a〜1n)を選択的に駆動させることにより、前記光開口を通過する生成電磁放射(220)の分光組成を調整できる請求項1又は請求項2に記載の放射発生装置。
【請求項4】
前記多数の放射素子のうちの第1の放射素子(1a)は第1の放射素子固有電磁放射(4a)を発生させ、前記多数の放射素子のうちの第2の放射素子(4n)はスペクトル範囲が第1の放射素子固有電磁放射(4a)と同一である第2の放射素子固有電磁放射(4n)を発生させるように構成されており、
前記分光素子(2)は、第1の放射素子固有電磁放射(4a)の第1のスペクトル成分が光開口(3)を通して出ることができ、かつ第1の放射素子固有電磁放射の第1のスペクトル成分と同一である第2の放射素子固有電磁放射(4n)の第1のスペクトル成分が光開口(3)を通して出ることができないように構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項5】
前記分光素子(2)は、第1の放射素子固有電磁放射(4a)の第1のスペクトル成分と、第1の放射素子固有電磁放射の第1のスペクトル成分とは異なる第2の放射素子固有電磁放射(4n)の第2のスペクトル成分(5n2)が前記光開口(3)を通して出ることができるように構成されている請求項4に記載の放射発生装置。
【請求項6】
前記多数の放射素子は、金属、金属合金、導電金属/非金属化合物、半導体材料、導電非金属(例えばグラファイト型カーボン)、又は非金属の化合物をその材料として備える少なくとも1つの熱放射素子を備えている請求項1から5のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項7】
前記多数の放射素子が少なくとも1つの熱放射素子を備え、該熱放射素子(1)は異なる材料から形成された層からなる積層体を備えている請求項1から6のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項8】
少なくとも1つの放射素子は、基板平面に対して垂直な100nm〜100μmの範囲の延在部を有するか、基板平面に対して平行な方向で1μm〜200μmの延在部を有するか、又は基板平面と平行な他の方向に対して垂直な方向で10μm〜10mmの延在部を有する請求項6又は7に記載の放射発生装置。
【請求項9】
前記多数の放射素子は、放射素子として、1つ以上の有機もしくは無機の発光ダイオード(OLED、LED)又はレーザダイオードを備えている請求項1から8のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項10】
前記分光素子(2)は、回折格子、凹面回折格子、プリズム又はこれらの組み合わせである請求項1から9のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項11】
レンズもしくはミラーなどの1つ以上の更なる光学素子(23,25)、散乱光もしくは迷光を減少させるための素子、又は比較的高次もしくは比較的低次の回折の放射をフィルタリングなどするための更なる分光フィルタリングのための素子を更に備えている請求項1から10のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項12】
前記光開口(3)は、長方形もしくは楕円形の断面を有する開口として構成され、又は複数の開口を有する構造体から構成されている請求項1から11のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項13】
前記多数の放射素子、前記分光素子(2)及び前記光開口(3)が放射発生装置内に移動不可能に配置されている請求項1から12のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項14】
前記光開口(3)は、生成電磁放射を透過する材料からなるとともに、生成電磁放射を透過しない材料又は積層体で部分的にコーティングされている請求項1から13のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項15】
前記放射素子(1)は、共用基板(61,62)もしくは共用ダイヤフラム上に又は共用基板もしくは共用ダイヤフラム中に配置され、又は自立態様で配置されて、共用基板(6)により機械的に固定されている請求項1から14のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項16】
前記分光素子(2)又は前記光開口(3)もしくは開口は、基板(9;8b;22,24)中又は該基板上に配置されている請求項1から15のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項17】
前記分光素子(2)、及び前記光開口(3)又は開口は、共用基板(9)上又は該基板中に配置されている請求項1から16のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項18】
前記放射素子(1)、前記分光素子(2)もしくは前記光開口(3)が、又は前記分光素子(2)と前記光開口(3)もしくは開口が、共用基板(61,62;9)もしくは共用ダイヤフラム上に又は共用基板(61,62;9)もしくは共用ダイヤフラム中に配置されている請求項1から17のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項19】
前記放射素子が基板上又は基板中に配置され、前記分光素子(2)が基板上又は基板中に配置され、前記光開口(3)が基板上又は基板中に配置され、前記放射素子を上又は中にもつ前記基板(61,62)は、前記分光素子(2)を上もしくは中にもつ前記基板(9)又は前記光開口(3)を上もしくは中にもつ前記基板(9)に対して間接的に又は直接的に接続されている請求項1から18のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項20】
それらの基板は積層態様で互いに接続される請求項19に記載の放射発生装置。
【請求項21】
前記放射素子(1a〜1n)がシリコン・オン・インシュレータ基板(61,62)中に又は該基板上に配置されている請求項1から20のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項22】
前記放射素子は、ストリップ形状に構成されているとともに、規則的に又は互いの距離を変えることができるように配置されている請求項1から21のいずれか1項に記載の放射発生装置。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の放射発生装置と、生成電磁放射又は生成電磁放射によって発生される電磁放射を受けるように構成された放射検出器と、受けた電磁放射に基づいてスペクトル分析を行なうように構成された評価ユニットとを備えているスペクトル分析装置。
【請求項24】
放射発生装置を製造する方法であって、
駆動時に放射素子固有電磁放射をそれぞれ発生させるように構成された多数の放射素子であって、該多数の放射素子のうちの第1の放射素子を該多数の放射素子のうちの他の放射素子とは独立に駆動させることができる多数の放射素子を設け又は生成するステップと、
光開口を設け又は生成するステップと、
分光素子を設け又は生成するステップと、
前記分光素子が放射素子固有電磁放射をそれらの入射角及びそれらの波長に応じて偏向させ、それにより各放射素子固有電磁放射の限られたスペクトル範囲が前記光開口を通して出ることができるように前記分光素子が前記多数の放射素子及び前記光開口に対して配置されて構成され、その結果、前記多数の放射素子を選択的に駆動させることにより前記光開口を通して出る生成電磁放射の分光組成を調整できるように、前記分光素子を前記多数の放射素子及び前記光開口に関連付けるステップと、を備えた製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−123057(P2011−123057A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−256633(P2010−256633)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(500341779)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン (75)
【Fターム(参考)】