説明

調理器

【課題】 調理人の好みに応じた調理を効率的に行うことができ使い勝手に優れた調理装置を提供する。
【解決手段】 調理物が投入される調理容器20と、前記調理物を攪拌する攪拌手段26と、前記調理物を加熱する加熱手段22と、調理容器20内の温度を検知する温度検知手段30と、攪拌手段26及び加熱手段22を予め定められた調理プログラムに従って制御する制御手段28を備えた調理装置10において、調理容器20内の温度が所定温度以下の場合には、調理容器20内を所定の予熱温度に加熱し所定時間保持する予熱工程を行った後、調理容器20内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに攪拌手段26を間欠駆動する攪拌工程を行い、調理容器20内の温度が所定温度より高い場合には、調理容器20内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに攪拌手段26を間欠駆動する攪拌工程のみを行う調理プログラムを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャムなどのように調理物を攪拌しながら加熱調理する調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理人が付きっきりにならなくてもシチューやジャムなどの調理物が鍋底に焦げ付くのを防止して調理負担を軽減するものとして、調理物を攪拌しながら加熱する調理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような調理装置では、ジャムなどのようにある程度具材を煮崩れさせる調理物の場合、例えば80℃前後に加熱し所定時間保持して具材を柔らかくするとともに具材への味のしみ込みを良くする予熱工程を実行した後、110℃程度に加熱保持しながら攪拌手段を間欠回転させることで具材の外形を崩す攪拌工程を実行することで、短時間で効率的に調理を行うことがある。
【0004】
しかしながら、上記調理装置では、調理終了後に調理人が更に具材を煮崩れさせようとして再度調理装置を運転させようとすると、調理容器内を所定の予熱温度に加熱保持する予熱工程を行ってしまい、予熱工程が終了するまで攪拌手段が間欠回転しないため、効率的に具材を煮崩れさせることができず問題である。
【特許文献1】特開2002−471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、予熱工程と攪拌工程を備える調理装置において、効率的に調理人の好みに応じた調理をすることができ使い勝手のよい調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調理装置は、調理物が投入される調理容器と、前記調理物を攪拌する攪拌手段と、前記調理物を加熱する加熱手段と、前記調理容器内の温度を検知する温度検知手段と、前記攪拌手段及び前記加熱手段を予め定められた調理プログラムに従って制御する制御手段を備えた調理装置において、前記調理容器内の温度が所定温度以下の場合には、前記調理容器内を所定の予熱温度に加熱し所定時間保持する予熱工程を行った後、前記調理容器内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに前記攪拌手段を間欠駆動する攪拌工程を行い、前記調理容器内の温度が所定温度より高い場合には、前記調理容器内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに前記攪拌手段を間欠駆動する攪拌工程のみを行う第1調理プログラムを備えることを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記制御手段は、前記調理容器内に投入された調理物をこねる捏ね工程と、前記調理物を前記調理容器内の所定高さ位置まで膨張させる成形発酵工程と、前記調理物を焼き上げる焼成工程と、を含むパン製造を行う第2調理プログラムを備え、前記第1調理プログラム、あるいは第2調理プログラムを実行するものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調理装置によれば、調理容器内の温度が所定温度より高い場合に予熱工程を省略してすぐに攪拌工程を実行するため、調理人の好みに応じた調理を効率的に行うことができ使い勝手に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の1実施形態に係る調理装置10の斜視図であり、図2は調理装置10の縦断面図、図3は調理装置10の制御ブロック図である。
【0011】
この調理装置10は、図1及び図2に示すように、予め定められた調理プログラムに従って、調理容器20に投入されたジャム、パンなどの調理物を攪拌手段26により攪拌あるいは混練しながら加熱手段22により加熱調理する調理装置であって、本体ケース12、開閉蓋14、操作表示パネル16、焼成槽18、調理容器20、加熱手段22、動力ユニット24、攪拌手段26、及び制御手段28を備える。
【0012】
本体ケース12は、略直方体形状であって上面の後方が開口する箱体をなし、この上面開口部12aに開閉蓋14が開閉可能に取り付けられており、本体ケース12の上面前方に操作表示パネル16が配設されている。
【0013】
操作表示パネル16は、ジャム、パン等の各種メニューの調理プログラムを選択するメニューキー16a,16b,16c,16dや各種設定キー16e,16fや表示部16g等、具体的には、小麦パン製造の調理プログラムを選択する小麦パンメニューキー16a、米粉パンを製造する調理プログラムを選択する米粉パンメニューキー16b、天然酵母パンを製造する調理プログラムを選択する天然酵母パンメニューキー16c、ジャムを製造する調理プログラムを選択するジャムメニューキー16d、タイマ予約や調理時間を設定するための時間設定ボタン16e、選択した調理プログラムの実行等を開始するスタートキー16f、及び各種メニューキー16a,16b,16c,16dによって選択されたメニュー内容やタイマ予約の予約時刻等が表示される表示部16g等が設けられている。
【0014】
焼成槽18は、小麦パン、米粉パン及び天然酵母パンのパン生地を焼き上げる雰囲気を作るものであり、本体ケース12の上面開口部12aに対応する領域に配設されている。この焼成槽18の外周壁には、焼成槽18の内部雰囲気温度を検出する温度センサ30が設けられている。焼成槽18の底部寄りの内周壁に沿ってヒータ等の加熱手段22が配設され、焼成槽18の内部雰囲気温度を調節するようになっている。
【0015】
また、焼成槽18底部の中心領域には、円筒状のカバー部材32が配設され、このカバー部材32には上下方向にスピンドル軸34が回転可能な状態で貫通し、カバー部材32の内部にある上端部に駆動ギア36が固定されている。
【0016】
動力ユニット24は、スピンドル軸34を回転駆動するものであって、操作表示パネル16の下方に配設されたモータ38と、モータ38の出力軸に固定されるプーリ40と、スピンドル軸34の下端部に固定されるプーリ42と、両プーリ40,42に巻き掛けられモータ38の回転動力を伝達する無端ベルト44とを備える。
【0017】
調理容器20は、一斤の食パンを焼成できる直方体形状をなし焼成槽18の内部に取り外し可能に装着されるようになっており、その底面中央部には回転軸46が貫通している。この回転軸46の上端部には調理物を攪拌・混練りを行う攪拌ブレード等の攪拌手段26が着脱自在に取り付けられ、下端部にはスピンドル軸の駆動ギア36と噛合する従動ギア47が取り付けられている。
【0018】
制御手段28は、操作表示パネル16及び温度センサ30等から種々の情報の入力を受けて、各種の調理プログラムを実行するものであって、本体ケース12内の表示パネル16とモータ38との間に配設されている。この制御手段28は、図3に示すように、CPUやメモリなどからなるマイクロコンピュータ48と、I/O回路部50と、モータ38の動作を制御するモータ駆動回路52と、加熱手段22の動作を制御するヒータ駆動回路54とを備えている。
【0019】
マイクロコンピュータ48は、制御手段28に入力された情報に応じてモータ駆動回路52及びヒータ駆動回路54の動作を制御して攪拌手段26の回転速度及び加熱手段22の熱出力を制御するとともに、操作表示パネル16上の表示部16gの表示内容を制御するように作動する。
【0020】
次に、マイクロコンピュータ48の制御による調理装置10の動作について図面を参照して説明する。図4はジャムを製造する調理プログラムのフローチャートである。
【0021】
この調理装置10では、図1に示すように、操作表示パネル16において、各種メニューキー16a,16b,16c,16dを押圧操作することで、材料が異なるパンを製造する3種類の調理プログラム及びジャムを製造する調理プログラムの中から1の調理プログラムを選択できるようになっており、選択された調理プログラムに応じたメニューが表示部16gに表示され、スタートキー16fを押圧操作することとで選択した調理プログラムの実行を開始する。
【0022】
操作表示パネル16上で小麦パンメニューキー16aを押圧操作して小麦パンを製造する調理プログラムを選択しスタートキー16fを押圧操作すると、調理容器20内に投入された小麦粉や水などの小麦パン材料をこねる捏ね工程と、捏ね工程が終了した小麦パン材料(パン生地)を所定温度で所定時間放置してパンの一次発酵を行う一次発酵工程と、攪拌手段26を回転させてパン生地のガス抜きした後に所定温度で所定時間放置してパン生地を均一に膨らませるガス抜き生地休め工程と、攪拌手段26を回転させてパン生地を丸める生地丸め工程と、パン生地を所定温度で所定時間放置して調理容器20内の所定高さ位置まで膨張させる成形発酵工程と、パン生地を焼き上げる焼成工程と、焼成槽18内部の雰囲気温度を所定温度にまでゆっくりと低下させる保湿工程と、が連続して行われる。
【0023】
操作表示パネル16上で米粉パンメニューキー16bを押圧操作して米粉パンを製造する調理プログラムを選択しスタートキー16fを押圧操作すると、調理容器20内に投入された米粉や水などの米粉パン材料をこねる捏ね工程と、捏ね工程が終了した小麦パン材料(パン生地)を所定温度で所定時間放置してパンの一次発酵を行う一次発酵工程と、パン生地を所定温度で所定時間放置して調理容器20内の所定高さ位置まで膨張させる成形発酵工程と、パン生地を焼き上げる焼成工程と、焼成槽18内部の雰囲気温度を所定温度にまでゆっくりと低下させる保湿工程と、が連続して行われる。
【0024】
操作表示パネル16上で天然酵母パンメニューキー16cを押圧操作して天然酵母パンを製造する調理プログラムを選択しスタートキー16fを押圧操作すると、調理容器20内に投入された小麦粉や水などの天然酵母パン材料をこねる捏ね工程と、捏ね工程が終了した小麦パン材料(パン生地)を所定温度で所定時間放置してパンの一次発酵を行う一次発酵工程と、攪拌手段26を回転させてパン生地のガス抜きした後に所定温度で所定時間放置してパン生地を均一に膨らませるガス抜き生地休め工程と、攪拌手段26を回転させてパン生地を丸める生地丸め工程と、パン生地を所定温度で所定時間放置して調理容器20内の所定高さ位置まで膨張させる成形発酵工程と、パン生地を焼き上げる焼成工程と、焼成槽18内部の雰囲気温度を所定温度にまでゆっくりと低下させる保湿工程と、が連続して行われる。
【0025】
次に、図4に示すように、操作表示パネル16上でジャムメニューキー16dを押圧操作してジャムを製造する調理プログラムを選択し(ステップS1)、次いで、時間設定ボタン16eを押圧操作してジャム製造を行う調理時間を設定する(ステップS2)。次いで、スタートキー16fを押圧操作することでジャムを製造する調理プログラムを実行し、ステップS4に進む(ステップS3)。次いで、ステップS4において、温度センサ30が検出する調理容器20内の温度が所定値(例えば、60℃)以下である場合にはステップS5に進み、60℃より高い場合にはステップS6に進む。
【0026】
ステップS5では、加熱手段22により焼成槽18内部の雰囲気温度を15分間85℃に保持する予熱工程を行い、ステップS6に進む。
【0027】
ステップS6では、加熱手段22により焼成槽18内部の雰囲気温度を110℃に保持しつつモータ38を間欠回転駆動する攪拌工程を行う。この攪拌工程は、ステップS2において設定した調理時間から経過時間を差し引いた時間、すなわち、ジャムを製造する調理プログラム開始時の調理容器20内の温度が所定値60℃以下の場合では調理時間から予熱工程を行った時間(本実施形態では15分間)を差し引いた時間、所定値60℃より高温の場合では調理時間だけ実行した後、調理プログラムを終了する。
【0028】
以上のように、本実施形態の調理装置10では、ジャムを製造する調理プログラムの終了直後に再度ジャムを製造する調理プログラムを実行しようとする場合など調理容器20内の温度が所定温度より高温の場合には、予熱工程は不要であると判断して、予熱工程を行うことなく攪拌手段が間欠回転する攪拌工程を実行するため、効率的に具材を煮崩れさせることができ調理人の好みに応じたジャムを効率良く製造することができ使い勝手に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の1実施形態に係る調理装置の斜視図である。
【図2】図1の調理装置の概略断面図である。
【図3】図1の調理装置の制御ブロック図である。
【図4】ジャムを製造する調理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
10…調理装置
14…開閉蓋
16…操作表示パネル
18…焼成槽
20…調理容器
22…加熱手段
24…動力ユニット
26…攪拌手段
28…制御手段
30…温度センサ
38…モータ
46…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物が投入される調理容器と、前記調理物を攪拌する攪拌手段と、前記調理物を加熱する加熱手段と、前記調理容器内の温度を検知する温度検知手段と、前記攪拌手段及び前記加熱手段を予め定められた調理プログラムに従って制御する制御手段を備えた調理装置において、前記調理容器内の温度が所定温度以下の場合には、前記調理容器内を所定の予熱温度に加熱し所定時間保持する予熱工程を行った後、前記調理容器内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに前記攪拌手段を間欠駆動する攪拌工程を行い、前記調理容器内の温度が所定温度より高い場合には、前記調理容器内を所定の攪拌温度に加熱保持するとともに前記攪拌手段を間欠駆動する攪拌工程のみを行う第1調理プログラムを備えることを特徴とする調理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調理装置において、前記制御手段は、前記調理容器内に投入された調理物をこねる捏ね工程と、前記調理物を前記調理容器内の所定高さ位置まで膨張させる成形発酵工程と、前記調理物を焼き上げる焼成工程と、を含むパン製造を行う第2調理プログラムを備え、前記第1調理プログラム、あるいは第2調理プログラムを実行することを特徴とする調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−178462(P2008−178462A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12670(P2007−12670)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】