調理器
【課題】低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供する。
【解決手段】調理器は、有底状の容器7と、容器7内に備えた回転可能な装着部19と、装着部19に備えた混錬具18と、容器7を加熱する加熱手段8と、容器7の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ61と、温度センサ61の検出温度に応じて加熱手段8の加熱量を調節する制御手段としての制御部62とを備えている。また制御部62は、「米炊飯からのパン焼きコース」を実行する第1パン焼き制御手段71を備え、米粒から炊飯をしたご飯でこね生地を作って、パンに仕上げる。そのため、米粒を砕くためのミルは使用せず、米粒を用意すればパンに仕上げることが可能になる。
【解決手段】調理器は、有底状の容器7と、容器7内に備えた回転可能な装着部19と、装着部19に備えた混錬具18と、容器7を加熱する加熱手段8と、容器7の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ61と、温度センサ61の検出温度に応じて加熱手段8の加熱量を調節する制御手段としての制御部62とを備えている。また制御部62は、「米炊飯からのパン焼きコース」を実行する第1パン焼き制御手段71を備え、米粒から炊飯をしたご飯でこね生地を作って、パンに仕上げる。そのため、米粒を砕くためのミルは使用せず、米粒を用意すればパンに仕上げることが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭でパンなどを製造できる調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
米からパンを製造する調理器として、例えば特許文献1には、米をミルで粉砕してペースト状にし、捏ねてパン生地を作り、焼き上げてパンに仕上げる製パン器が知られている。
【0003】
また、残飯からパンを作る調理器も知られている。これは飯と水を同時に混入し、捏ねてパン生地を作り、焼き上げてパンに仕上げるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−45410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし前者の場合は、ミルによって米を砕く際に騒音の問題があり、後者の場合は、予めご飯を用意して、そのご飯を投入する手間がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。
【0008】
請求項2の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、特定のコースを選択することで、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0009】
請求項3の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、容器に入れた被調理物からパンとご飯の何れかを作り上げることが可能で、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0010】
請求項4の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、内蓋が容器内からの熱の逃げを防ぐので、美味しいご飯を炊くことができると共に、容器内から発生する蒸気が、内蓋の孔から容器の外部に放出するので、この孔によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0011】
請求項5の発明では、内蓋によって容器の収納部と容器との空間を塞ぐことで、加熱手段からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0012】
請求項6の発明では、投入装置から所定のタイミングで容器内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0013】
請求項7の発明では、使用者が「炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋が容器7に装着されていることをアラーム報知で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0014】
請求項8の発明では、使用者が「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム報知で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0015】
請求項9の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、「炊飯コース」を行なう際に、わざわざ装着部に混錬具を取付ける必要もなく、また炊飯とパン焼きの容器を共通することで、使い勝手の向上とコストの低減を図ることができる。
【0016】
請求項10の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、容器の側部を加熱する第1加熱手段と、容器の下部を加熱する第2加熱手段を設けることにより、加熱手段からの熱が行きにくい容器の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1加熱手段や第2加熱手段を適宜使用して、より均一に容器内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0017】
請求項11の発明では、必要に応じて第1加熱手段または第2加熱手段による容器への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0018】
請求項12の発明では、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、容器の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1加熱手段の他に第2加熱手段を併用して制御することができ、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、美味しいご飯を炊くことができると共に、内蓋の孔によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、加熱手段からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0024】
請求項6の発明によれば、投入装置から所定のタイミングで容器内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、アラーム報知により、調理器としての使い勝手を向上させることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、アラーム報知により、調理器としての使い勝手を向上させることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、調理器として使い勝手の向上とコストの低減を図ることができる。
【0028】
請求項10の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、より均一に容器内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0029】
請求項11の発明によれば、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0030】
請求項12の発明によれば、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明における調理器の全体縦断面図である。
【図2】同上、図1の調理器の別な例を示す全体縦断面である。
【図3】同上、図2に示す調理器において、混錬具が有る場合の混錬具装着部周辺の拡大断面図である。
【図4】同上、図2に示す調理器において、混錬具が無い場合の混錬具装着部周辺の拡大断面図である。
【図5】同上、図1および図2に示す調理器において、蓋体部の拡大断面図である。
【図6】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図7】同上、温度センサの検出温度と、表示体を除く各制御対象の通断電状態を示すグラフおよびタイミングチャートである。
【図8】同上、内蓋を装着した調理器の概略断面図である。
【図9】同上、図8とは別な例の内蓋を装着した調理器の概略断面図である。
【図10】同上、図8の調理器において、内蓋が無い場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図11】同上、図8の調理器において、内蓋が有る場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図12】同上、図9の調理器において、第1ヒータの消費電力が360Wである場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図13】同上、図9の調理器において、第1ヒータの消費電力が450Wである場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における調理器の好ましい実施形態を説明する。
【0033】
図1および図2は、本実施形態における自動製パン機能を有する調理器の全体縦断面図である。なお、図1に示す調理器と図2に示す調理器は、後述する加熱手段8以外の構成は全て共通している。
【0034】
これらの各図において、1は箱状の本体で、この本体1の上面前部には操作部2が設けられる。操作部2には、調理開始を指示するスタートキーや、予約時刻における調理開始を指示する予約キーや、現在時刻および予約時刻の調整を可能にする時刻調整キーや、各種動作の取消を指示する取消キーや、複数の調理コースの中から、特定の調理コースを選択するコース選択キーなどを含む操作体3と、現在時刻および/または予約時刻や、選択した調理コースや、動作状態などを表示するLEDや液晶パネルなどの表示体4が、それぞれ設けられている。
【0035】
本体1の内部には、有底筒状の容器収納室6が設けられる。容器収納室6は上面が開口しており、ここから容器7が入れられる。容器7は金属製で、本体1に対して着脱可能に備えられ、容器収容部6と同様に、上面が開口した有底筒状に形成される。容器収納室6の内部には、容器収納室6に収納された容器7を包囲するように、加熱手段8が配置される。加熱手段8は例えばシーズヒータにより構成されるが、図1に示す調理器では、容器7の側部に臨んで設けられる第1ヒータ8Aだけで構成され、図2に示す調理器では、当該第1ヒータ8Aと、第1ヒータ8Aの下方にあって、容器7の下部に臨んで設けられる第2ヒータ8Bとにより構成される。
【0036】
本体1の内部には、基台11が設置される。基台11には、容器収納室6の中心にあたる箇所に、容器支持部13が固定されている。容器支持部13は下方に落ち込んだ凹状をなし、その内部は容器収納室6の内部に露出している。容器支持部13は、容器7の底面に固定された筒状の台座14を受け入れて、容器7を支えるものであり、台座14は容器支持部13に嵌り込む構成となっている。容器支持部13の中心には、回転自在な軸部15が垂直に支持されている。軸部15の下端は容器支持部13の下面から突き出ており、軸部15はプーリ16の中心に固定されている。
【0037】
容器7の底部中心には、前述した軸部15の上端が、シール対策を施した上で垂直に支持されている。この軸部15の上端には、混錬具18を軸部15に装着するために、軸部15の断面を非円形に形成した装着部19が設けられる。図3は、図2に示す調理器で、混錬具18を装着部19に装着した状態を示しており、また図4は、同じく図2に示す調理器で、混錬具18を装着部19から取り外した状態を示しているが、混錬具18は板状の羽根20と、装着部19に取付けまたは取外し可能な嵌合部21とを有しており、この嵌合部21を介して混錬具18が装着部19に着脱可能に設けられる。軸部15の上端に位置する装着部19は、容器7の内底面中心より上方に突き出しており、容器7の上面開口から手を差し入れることで、混錬具18を容易に取付けまたは取外しすることができる。そして図3に示すように、混錬具18を装着部19に取付けた状態で軸部15が回転すると、容器7の内部で軸部15を中心として羽根20が旋回するようになっている。
【0038】
前記基台11には、軸部15の駆動源となるモータ24が取付け固定される。モータ24の下面からは、回転する出力軸25が突出しており、この出力軸25にプーリ26が固定される。プーリ26は、軸部15が固定されるプーリ16にベルト27で連結される。なお、混練具18を回転させる軸部15は、低速・高トルクの回転が求められる。このため、プーリ26はプーリ16を減速回転させるように、プーリ16,26間の直径比が設定されている。
【0039】
前記操作部2から後ろの本体1上面は、蓋31で覆われる。蓋31は、蝶番軸32で本体1の背面側に取り付けられており、その蝶番軸32を支点として、本体1上面の開口部を開閉自在に回動する構成となっている。図5は、上記図1および図2の調理器に共通して、操作部2や蓋31を含む蓋体部を拡大して示している。
【0040】
蓋31は、蓋31の骨格をなす外蓋34と、外蓋34の上面を覆う外蓋カバー35と、外蓋34の下面に取付けられ、容器収納室6の上面開口を覆う蓋下面板36とにより構成される。また蓋体31の略中央部には、容器収納室6に収納した容器7の上面開口に臨んで、上下に貫通する収納孔38が形成される。収納孔38には、調理中に例えばイースト菌などの紛体を容器7内へ自動投入する投入装置41が装着される。
【0041】
投入装置41は、前記紛体を収納するための粉容器42と、粉容器42の上面開口を塞ぐ粉容器蓋43と、粉容器42の下面開口を塞ぐ投入口蓋44とにより構成され、蓋31の収納孔38に対して着脱可能に設けられる。粉容器蓋43の一側は、蝶番軸46で粉容器42の一側上部に取付けられており、その蝶番軸45を支点として、手動で粉容器42の上面開口を開閉自在に回動できる構成となっている。
【0042】
粉容器42は、紛体の収納入口となる上面開口の面積よりも、紛体の出口となる下面開口の面積が狭い漏斗状を有し、粉容器42の下部には、弾性部材としてのリング状のパッキン46が装着される。投入口蓋44の基端側は、蝶番軸48で粉容器42の一側下部に取付けられており、粉容器42の下部に設けられた回動可能な可動部49に投入口蓋44の先端が係止すると、投入口蓋44の上面がパッキン46を押し付けることで、粉容器42の下面開口が投入口蓋44で密封される構成となっている。
【0043】
蓋31を閉じた状態で、投入装置41の可動部49を可動させる構成として、本実施形態では本体1の内部にソレノイド51が配設されると共に、蓋31の内部に開閉レバー55が配設される。ソレノイド51は、投入口蓋44を閉状態から開状態に切り替える駆動源となるもので、出没可能な駆動軸52を備える。また開閉レバー55は、駆動軸52と同軸状に配設した出没可能なレバー本体56と、このレバー本体56を駆動軸52に向けて付勢する弾性体としてのコイルスプリング57とにより構成され、レバー本体56の先端は可動部49に向けて露出している。可動部49は、断面が逆L字状若しくはV字状をなし、垂直片58と、この垂直片57に直交する水平片59とにより構成され、図示しない弾性体によって、垂直片58がレバー本体56の先端に対向し、且つ水平片59が投入口蓋44の先端を支えるような位置に常時付勢される。
【0044】
そして、ソレノイド51に所定の動作電圧を供給すると、駆動軸52が開閉レバー55の方向へ突出してレバー本体56の基端に突き当たり、コイルスプリング57の付勢に抗して、可動部49の垂直片58を押し付ける。すると図5の点線で示したように、可動片49も図示しない弾性体の付勢力に抗して回動するので、水平片59と投入口蓋44との係合が解除され、投入口蓋44が蝶番軸48を中心に自重で回動する。そのため、粉容器42内に収納された紛体が、開放した粉容器42の下面開口を通して、その直下に位置する容器7内に落下投入される。
【0045】
その他、本体1の内部には、容器7の温度を検出して電気的な検出信号に変換する温度検出手段として、温度センサ61が設けられると共に、温度センサ61からの検出温度に応じて加熱手段8の加熱量などを調節する制御手段として、例えばマイコンなどの制御部62が設けられる。本実施形態の温度センサ61は、容器7を取り囲む容器収納室6の外側面に装着され、容器7の温度を間接的に検出する構成となっているが、例えば容器7の外面に弾発的に接触させ、容器の温度を直接的に検出する構成としてもよい。
【0046】
またここでは、容器7内から発生する蒸気などを排出するために、容器収納室6と本体1の外部との間を連通する排出路(図示せず)が設けられる。この排出路には、送風装置としてのファン64(図6を参照)が設けられており、当該ファン64に所定の動作電圧を供給すると、容器7内から発生する蒸気が強制的に本体1の外部へ排出される構成となっている。
【0047】
次に、上記調理器に関する制御系統について、図6を参照しながら説明する。同図において、制御部62は、操作体3,温度センサ61および内蓋検出センサ63が入力ポートに電気的に接続される。内蓋検出センサ63は、後述する内蓋81の有無を検出して、これを電気的な検出信号に変換する内蓋検出装置として設けられる。また、図1および図2に示す調理器に共通して、第1ヒータ8Aを駆動するための第1ヒータ駆動回路65と、モータ24を駆動するためのモータ駆動回路67と、ソレノイド51を駆動するためのソレノイド駆動回路68と、ファン64を駆動するためのファン駆動回路69と、表示体4を駆動するための表示駆動回路70が、制御部62の出力ポートにそれぞれ接続される。さらに図2に示す調理器では、第2ヒータ8Bを駆動するための第2ヒータ駆動回路66も、制御部62の出力ポートに電気的に接続される。第1ヒータ8Aと第2ヒータ8Bは、制御部62によりそれぞれが独立して制御される。
【0048】
制御部62は、操作体3からの操作信号と、温度センサ61からの検出信号とに基づき、記憶部(図示せず)に内蔵する調理工程に係るプログラムを読み出して、第1ヒータ駆動回路65,第2ヒータ駆動回路66,モータ駆動回路67,ソレノイド駆動回路68および表示駆動回路69に制御信号を送出して、制御対象となる第1ヒータ8A,第2ヒータ8B,モータ24,ソレノイド51および表示体4をそれぞれ制御するものである。また制御部62は、前記記憶部に内蔵するプログラムの中で、特に容器7内の被調理物からパンを生成するパン生成手段として、うるち米粒などの米粒からパンを焼き上げる「米炊飯からのパン焼きコース」を実行するための第1パン焼き制御手段71と、別に調理された各種穀物を原料としたご飯から、パンを焼き上げる「ご飯練りからのパン焼きコース」を実行するための第2パン焼き制御手段72と、麦分の一種である小麦粉からパンを焼き上げる「麦粉からのパン焼きコース」を実行するための第3パン焼き制御手段73と、を備え、その他に容器7内でもち米粒などの米粒を原料としてもちを生成する「米炊飯からのもち練りコース」を実行するためのもち生成制御手段74と、容器7内の被調理物からご飯を炊き上げる「炊飯コース」を実行するための炊飯制御手段75と、をそれぞれ備えている。これらの調理コースは、操作体3のコース選択キーを操作することで、その中の一つが選択されるようになっている。
【0049】
次に、上記構成の調理器について、その作用を図7に示す制御データを参照して説明する。同図において、ここではご飯からパンに仕上げる「ご飯パン」の調理で、温度センサ61の検出温度と、表示体4を除く制御対象(第1ヒータ8A,第2ヒータ8B,モータ24,ファン64,ソレノイド51)の通断電状態が示されている。また図7では、小麦粉からパンに仕上げる「小麦パン」と、もち米粒からもちに仕上げる「もち」の各調理についても、表示体4を除く制御対象の通断電状態が示されている。
【0050】
最初に、第1パン焼き制御手段71による「米炊飯からのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として所定量の米粒(うるち米粒)と水を容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。なおここでは、うるち米粒に代わる他の品種の米粒や、水に代わる例えば味成分を有するような液体を、容器7内に投入してもよい。また、蓋31から投入装置41を取り出して粉容器蓋43を開け、粉容器42に強力粉などを入れた後、その上面にイースト菌を投入する。そして、粉容器蓋43を閉じた後、強力粉やイースト菌などを収納した投入装置41を、蓋32に再び装着する。
【0051】
その後、操作体3のコース選択キーにより「米炊飯からのパン焼きコース」を選択し、操作体3の別なスタートキー(炊飯スイッチ)を操作することで、第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程が開始する。
【0052】
第1パン焼き制御手段71は、温度センサ61からの検出信号を取り込んで、容器7の温度を監視しながら、図7に示すような「加熱制御」による「炊飯工程」と、「冷却工程」と、「こね♯1」,「ねかし」および「こね♯2」による混錬工程と、「一次発酵」,「二次発酵」および「成形発酵」による発酵工程と、「焼き上げ」および「仕上げ」による焼成工程を順に実行する。
【0053】
具体的には、最初の炊飯工程では、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させる(図7に示す加熱制御の♯2)。やがて、この一定時間の沸騰継続が行われたら、炊飯工程が終了したと判断して冷却工程に移行し、第2ヒータ8Bの通電を遮断して、容器7への加熱を停止する一方で、ファン64を動作させて、容器7内の被調理物から発生する蒸気を強制的に本体1の外部に排出し、容器7の温度を速やかに低下させる。なお、前記炊飯工程の終了は、スタートキーを操作後、一定時間が経過したときのタイミングとしてもよい。これらの炊飯工程および冷却工程により、第1パン焼き制御手段71は、加熱手段8を制御して容器7内の被調理物に対する炊飯加熱を行ない、米粒が残らないようなお粥状のご飯に仕上げる。
【0054】
第1パン焼き制御手段71は、一定時間の冷却工程が終了するか、冷却工程において容器7の温度が所定の例えば40℃以下になると、次の混錬工程を実行する。混錬工程では、モータ24を動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を所定時間回転駆動させ、容器7内のお粥状のご飯を混錬する第1こね工程(図7に示すこね♯1)と、モータ24の動作を一時的に停止させて、容器7内の混錬物をねかせるねかし工程(図7に示すねかし)と、モータ24を再び動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を所定時間回転駆動させ、容器7内の混錬物をさらに混錬してパン生地に練り上げる第2こね工程(図7に示すこね♯2)を順に行なう。また混錬工程では、第1ヒータ8Aを通断電制御して、主に容器7の側部を断続的に加熱し、容器7内を一定の温度t1に維持する。
【0055】
前述した第1こね工程では、容器7内のご飯が次第に混錬物に変化するが、その途中でソレノイド51に所定の動作電圧を供給して、当該ソレノイド51を動作させ、それまで閉じていた投入口蓋44を開けて、粉容器42内に収納された強力粉やイースト菌などの紛体を、自動的に容器7内に投入する。ソレノイド51の動作タイミングは、炊飯工程が完了してから一定時間が経過した時点か、容器7が一定温度(例えば60℃)以下に低下したのを温度センサ61が検出した時点となる。また図7に示すように、本実施形態では投入口蓋44が確実に開くように、第1パン焼き制御手段71がソレノイド51に対して、所定の動作電圧を繰り返し供給する制御を行なう。
【0056】
このように本実施形態では、第1パン焼き制御手段71からの制御信号を受けて、投入装置41を構成する粉容器42から、所定のタイミングで容器7内に紛体が自動的に投入される構成となっており、混錬工程の途中で蓋31を開けて、容器7内に紛体を投入する手間を省いて、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0057】
第1パン焼き制御手段71は、混錬工程が終了すると、次の発酵工程を実行する。発酵工程では、一次発酵工程として、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を発酵が促進される温度t2に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する「発酵」と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を引き続き温度t2に維持すると共に、モータ24を断続的に動作させて混錬具18を一定時間毎に回転させ、容器7内のパン生地に含まれるガスを抜く「ガス抜き」が行われ、続く二次発酵工程として、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7の温度を発酵が促進される温度t3に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する「発酵」と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を引き続き温度t3に維持すると共に、モータ24を断続的に動作させて混錬具18を一定時間毎に回転させ、容器7内のパン生地に含まれるガスを抜く「ガス抜き」が行われる。さらに、この二次発酵の後に、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を発酵が促進される温度t4に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する生成発酵が行われる。
【0058】
一例として、一次発酵工程では、容器7の温度t2を概略40℃にして30分間行ない、二次発酵工程では、容器7の温度t3を概略33℃にして10分間行なう。これらの発酵温度や時間は、気温(室温)や、同じコースの中で選択できる調理メニューによって異なる。
【0059】
第1パン焼き制御手段71は、混錬工程が終了すると、次に焼成工程を実行する。焼成工程では、第1ヒータ8Aを連続通電して、容器7をパンの焼き上げに必要な温度t5にまで上昇させる第1焼き上げ工程(図7に示す焼き上げの♯1)と、容器7が温度t5に達したのを温度センサ61が検出したら、その温度t5を維持するように第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7内のパン生地を焼き上げる第2焼き上げ工程(図7に示す焼き上げの♯2)と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7の温度を徐々に下げながら、容器7内で焼き上げたパンを仕上げる仕上げ工程が順に行なわれる。
【0060】
一例として、第1焼き上げ工程では、所定の気温(室温)の下で、容器7の温度を155℃にまで上昇させ、温度センサ61により容器7の温度がt5=155℃に達したのを検出すると、第2焼き上げ工程に移行して、その温度t5を維持するように容器7を加熱する。そして、第2焼き上げ工程に移行した後、所定の40分間が経過したら焼き上げ完了と判断して、第2焼き上げ工程または焼成工程を終了する。
【0061】
このように、第1パン焼き制御手段71が行なう「米炊飯からのパン焼きコース」では、容器7に投入した米粒を粉砕してペースト状にするのではなく、炊飯したお粥状のご飯でこね生地を作り、最終的にパンを焼き上げている。そのため、米粒を粉砕するミルを必要とせず、調理器として粉砕時の騒音が発生しない。また、残飯でパンを作る場合は、ご飯を入れる手間があり、パン状態で飯の形が残る問題もあるが、米粒をお粥状に炊飯することで、ご飯を容器7に入れる手間を省き、飯粒の形を残さずにパンを作ることができる。
【0062】
また、容器7の側部を加熱する第1ヒータ8Aと、容器7の下部を加熱する第2ヒータ8Bを設けることで、加熱手段8からの熱が行きにくい容器7の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1ヒータ8Aや第2ヒータ8Bを適宜使用して、より均一に容器7内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0063】
次に、第2パン焼き制御手段72による「ご飯練りからのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として既に炊飯を行なった所定量のご飯と水などの液体を容器7内に投入する。またここでは、イースト菌などの紛体も、最初から容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0064】
その後、操作体3のコース選択キーにより「ご飯練りからのパン焼きコース」を選択し、操作体3のスタートキーを操作することで、第2パン焼き制御手段72によるパンの生成工程が開始する。
【0065】
第2パン焼き制御手段72は、前述した第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程の中で、炊飯工程と冷却工程を省略して、混錬工程から発酵工程を経て焼成工程に至る残りの各工程を順に実行する(図7の「小麦パン」に対応した各部の通断電状態を参照)。但し、これらの各工程での温度や時間の設定は、前述した「米炊飯からのパン焼きコース」と異ならせてもよい。また、容器7内には予めイースト菌などの紛体が投入されているので、第1こね工程の途中でソレノイド51を動作させる必要はない。したがって第2パン焼き制御手段72は、第2ヒータ8Bや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第1ヒータ8Aと、モータ24だけを通断電制御する。
【0066】
次に、第3パン焼き制御手段73による「麦粉からのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として小麦粉(強力粉),バター,塩,砂糖,ドライイースト,脱脂粉乳,水などを容器7内に投入する。またここでは、イースト菌などの紛体も、最初から容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0067】
その後、操作体3のコース選択キーにより「麦粉からのパン焼きコース」を選択し、操作体3のスタートキーを操作することで、第3パン焼き制御手段73によるパンの生成工程が開始する。
【0068】
第3パン焼き制御手段73も、前述した第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程の中で、炊飯工程と冷却工程を省略して、混錬工程から発酵工程を経て焼成工程に至る残りの各工程を順に実行する(図7の「小麦パン」に対応した各部の通断電状態を参照)。但し、これらの各工程での温度や時間の設定は、前述した「米炊飯からのパン焼きコース」や「米炊飯からのパン焼きコース」と異ならせてもよい。また、容器7内には予めイースト菌などの紛体が投入されているので、第1こね工程の途中でソレノイド51を動作させる必要はない。したがって第3パン焼き制御手段73は、第2ヒータ8Bや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第1ヒータ8Aと、モータ24だけを通断電制御する。
【0069】
なお、上述した第1パン焼き制御手段71,第2パン焼き制御手段72および第3パン焼き制御手段73が行なう焼成工程では、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、例えば操作部2の特定のキーを操作することで、容器7の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1ヒータ8Aの他に第2ヒータ8Bを併用して制御してもよい。こうすることで、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【0070】
次に、もち生成制御手段74による「米炊飯からのもち練りコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物としてもち米粒などの米粒と水などの液体を容器7内に投入するが、イースト菌などの紛体は投入しない。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0071】
図7の「もち」に対応した各部の通断電状態を参照すると、もち生成制御手段74は、前述した加熱制御による炊飯工程で、容器7内のもち米粒を炊飯して炊き上げるために、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させ(図7に示す加熱制御の♯2)、もち米飯を炊き上げる。また、モータ24を適宜動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を回転駆動させ、炊飯したもち米飯を、粒のないもち状に仕上げる。図7では、炊飯工程において第2ヒータ8Bを通電させると同時に、モータ24も動作させているが、炊飯工程が終了した後にモータ24を動作させて、炊飯したもち米飯を混錬具18で混錬し、もち状に仕上げてもよい。何れの場合であっても、もち生成制御手段74は、第1ヒータ8Aや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第2ヒータ8Bと、モータ24だけを通断電制御する。但し、前記「米炊飯からのパン焼きコース」では、被調理物を炊飯してお粥状のご飯に仕上げるのに対し、「米炊飯からのもち練りコース」では、より水分の少ないもち米飯に仕上げるので、米粒に対する液体の量や、容器7内の沸騰温度を検出した後の加熱継続時間を変えている。
【0072】
最後に、炊飯制御手段75による「炊飯コース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、被調理物としてうるち米粒などの米粒と水などの液体を容器7内に投入するが、軸部15上端の装着部19には混錬具18を装着せず、また容器7内にイースト菌などの紛体も投入しない。そして蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、図8や図9に示すような内蓋81を、容器7の上面開口に被せた後に、蓋31を閉じる。
【0073】
その後、操作体3のコース選択キーにより「炊飯コース」を選択し、操作体3の別なスタートキーを操作することで、炊飯制御手段75によるパンの生成工程が開始する。
【0074】
ここで内蓋81の構成について、図8および図9を参照しながら説明すると、内蓋81は上述した「炊飯コース」にのみ使用されるもので、容器7の上面開口に着脱可能に設けられる。一つの例として、図8に示す内蓋81は、容器7の側壁上部に嵌合する断面コ字状のキャップ部82と、容器7の上面開口に臨んで、キャップ部82に貫通形成された一乃至複数個の孔83と、を備えて構成される。また、図9に示す別な例の内蓋81は、キャップ82の側部より外方に延びるフランジ84をさらに備えている。このフランジ84は、内蓋81を容器7に装着したときに、容器7の外周囲に延出して、容器7と容器収納室6の内壁との空間を塞ぐような形状を有している。
【0075】
炊飯制御手段75は、スタートキーからの操作信号を受け付けると、先ず内蓋検出センサ63からの検出信号により、内蓋81が容器7の上部を覆って正しく装着されているか否かを判断する。このとき、内蓋81が容器7に正しく装着されていなければ、容器7への炊飯加熱は行わず、報知部としての表示体4に対して、内蓋81の装着を促すアラーム表示を行なわせる。これにより使用者は、「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0076】
一方、内蓋81が容器7に正しく装着されていれば、炊飯制御手段75は、前述した加熱制御による炊飯工程に基づいて、容器7内の被調理物を炊飯して炊き上げる。この炊飯工程では、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させ(図7に示す加熱制御の♯2)、ご飯を炊き上げる。ご飯を炊き上げた後は、炊飯制御手段75により引き続き第2ヒータ8Bの加熱量を適宜調整して、容器7を所定の温度に維持する保温を行なってもよい。このように炊飯制御手段75は、第1ヒータ8Aや、モータ24や、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第2ヒータ8Bだけを通断電制御する。但し、前記「米炊飯からのパン焼きコース」では、被調理物を炊飯してお粥状のご飯に仕上げるのに対し、「炊飯コース」では、より水分の少ないご飯に仕上げるので、米粒に対する液体の量や、容器7内の沸騰温度を検出した後の加熱継続時間を変えている。
【0077】
なお、炊飯制御手段75は前述のように、内蓋81が容器7に装着されていなければ、表示体4によりアラーム表示を行なわせているが、それに代わり、或いはそれに加えて、内蓋81が容器7に装着されていれば、容器7への炊飯加熱は行わず、報知部としての表示体4に対して、内蓋81の取外しを促すアラーム表示を行なわせるように、第1パン焼き制御手段71を構成してもよい。これにより使用者は、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋81が容器7に装着されていることをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。また、粉容器42から容器7内への紛体の投入が、内蓋81により阻止される不具合を未然に防ぐことができる。
【0078】
上述したように、「炊飯コース」を選択実行する際には、装着部19に混錬具18を取付ける必要がなく、調理器として使い勝手の向上が図れる。また、「米炊飯からのパン焼きコース」でパン焼きをする容器7と、「炊飯コース」で炊飯を行なう容器7を別々のものとせず、共通のものとすることで、コストの低減を図ることができる。
【0079】
さらに、焼成工程においてパンを焼き上げる時には第1ヒータ8Aで主に容器8の側部を加熱するようにし、炊飯工程においてご飯を炊き上げる時には、第2ヒータ8Bで主に容器8の底部を加熱するようにして、必要に応じて第1ヒータ8Aまたは第2ヒータ8Bによる容器7への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0080】
図10および図11は、図8に示す調理器において、容器7の上面開口から内蓋81を外した場合と、容器7の上面開口を内蓋81で覆った場合に、第1ヒータ8Aの通断電と各部の温度がどのように変化するのかをグラフで示している。ここでの第1ヒータ8Aの消費電力は、内蓋81の有無に拘わらず360Wである。これらの各図において、「ON−OFF」は第1ヒータ8Aの通断電を示し、「室温」は調理器周辺の室温を示し、「上」は容器7内の上部温度を示し、「中」は容器7内の中央部温度を示し、「下」は容器7内の下部温度を示し、「側面」は容器7の側面部温度を示し、「底」は容器7の底部温度を示している。
【0081】
図10と図11のグラフを比較すると、内蓋81を装着した場合には、特に第1ヒータ8Aから離れた容器7内の中央部や上部で、温度が速やかに上昇しているのが判る。これは、容器7の上部開口からの熱の逃げを、内蓋81が防いでいることに起因する。したがって「炊飯コース」では、図8に示すような内蓋81を使用すれば、容器7内の被調理物全体を速やかに加熱して、美味しいご飯を炊くことができる。また、容器7内が沸騰温度に達すると、容器7内から発生する蒸気が、内蓋81の孔83から容器7の外部に放出するので、この孔83によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0082】
図12および図13は、図9に示す調理器において、第1ヒータ8Aの消費電力が360Wである場合と、第1ヒータ8Aの消費電力が450Wである場合に、第1ヒータ8Aの通断電と各部の温度がどのように変化するのかを示している。またここでは、第1ヒータ8Aが容器7の下部を加熱するように、図2に示す調理器の第2ヒータ8Bの位置に配設される。これらの各図においても、「ON−OFF」は第1ヒータ8Aの通断電を示し、「室温」は調理器周辺の室温を示し、「上」は容器7内の上部温度を示し、「中」は容器7内の中央部温度を示し、「下」は容器7内の下部温度を示し、「側面」は容器7の側面部温度を示し、「底」は容器7の底部温度を示している。
【0083】
図11と図12のグラフを比較すると、図9に示す調理器では、第1ヒータ8Aが容器7の側部よりもむしろ底部を主に加熱しているので、容器7の底部や容器7内の下部で、温度が速やかに上昇しているのが判る。また、内蓋81に設けたフランジ84が、第1ヒータ8Aから容器収納室6と容器7との間を通して熱が逃げるのを抑制しているので、容器7内の上部も相変わらず速やかに温度上昇している。したがって、内蓋81のフランジ84で容器収納室6と容器7との空間を塞ぐことで、加熱手段8で容器7の底部を加熱した場合でも、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0084】
図12と図13のグラフを比較すると、第1ヒータ8Aの消費電力を増加させた方が、容器7のどの部位においても、温度が速やかに上昇しているのが判る。
【0085】
上述した調理器では、操作体3のコース選択キーを利用して、制御部62が行なう「米炊飯からのパン焼きコース」,「ご飯練りからのパン焼きコース」,「麦粉からのパン焼きコース」,「米炊飯からのもち練りコース」,「炊飯コース」の何れかを選択できる。そのため、米粒や、ご飯や、麦粉の何れかを容器7に投入して、色々なパンを簡単に作ることができるし、米粒から搗いたもちを作ることもできる。また、パンやもち以外にも、「炊飯コース」によって米粒からご飯を炊き上げることができ、炊飯器ともちつき機とホームベーカリーとしての機能を1台で兼用した使い勝手と経済性に優れた調理器を提供できる。
【0086】
さらに、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択した場合に、イースト菌などの紛体を自動投入できる投入装置41を備えているので、こうした紛体を調理の途中に容器7へ投入する手間を省くことができ、調理器としての使い勝手をさらに向上できる。
【0087】
以上のように、本実施形態における調理器は、本体1に着脱可能に備えた有底筒状の容器7と、容器7の上部開口部を覆う蓋31と、容器7の内底面に備えた回転可能な装着部19と、装着部19に着脱可能に備えた混錬具18と、容器7を加熱する加熱手段8と、容器7の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段としての温度センサ61と、温度センサ61の検出温度に応じて加熱手段8の加熱量を調節する制御手段としての制御部62を備えている。
【0088】
そして、特に本実施形態の制御部62は、「米炊飯からのパン焼きコース」を実行するために、加熱手段8を制御することで、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、装着部19を制御して、炊飯後に容器7底部の混錬具18により容器7内で炊き上げたお粥状のご飯を混錬し、容器7内のご飯にイースト菌が投入されたら、装着部19を制御して、混錬具18により容器7内の混錬物をさらに混錬し、加熱手段8を制御して、所定の温度で混錬物を発酵させた後に、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる第1パン焼き制御手段71を備えている。
【0089】
この場合、容器7に投入した米粒を粉砕してペースト状にするのではなく、米粒から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米粒を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米粒を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。したがって、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。
【0090】
また、本実施形態の制御部62は、前記第1パン焼き制御手段71の他に、加熱手段8を制御して、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、装着部19を制御して、炊飯後に容器7底部の混錬具18により容器7内のご飯を混錬してもち状に仕上げる、「米炊飯からのもち練りコース」を行なうもち生成制御手段74と、装着部19を制御して、容器7内に投入されたご飯を混錬具18により混錬し、加熱手段8を制御して、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる、「ご飯練りからのパン焼きコース」を行なう第2パン焼き制御手段72と、装着部19を制御して、容器7内に投入された麦粉を混錬具18により混錬し、加熱手段8を制御して、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる、「麦粉からのパン焼きコース」を行なう第3パン焼き制御手段73と、を選択できるように構成している。
【0091】
この場合はさらに、「米炊飯からのパン焼きコース」,「米炊飯からのもち練りコース」,「ご飯練りからのパン焼きコース」,「麦粉からのパン焼きコース」の中から、特定のコースを選択することで、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0092】
また、本実施形態の制御部62は、前記第1パン焼き制御手段71や第2パン焼き制御手段72の他に、加熱手段8を制御して、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、ご飯として仕上げる「炊飯コース」を行なう炊飯制御手段75と、を選択できるように構成している。
【0093】
この場合はさらに、容器7に入れた被調理物からパンとご飯の何れかを作り上げることが可能で、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0094】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71や炊飯制御手段75を選択できるように構成しており、さらに第1パン焼き制御手段71による「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合には、容器7上部を開口する一方で、炊飯制御手段75による「炊飯コース」を行なう場合には、容器7の上部を覆う内蓋81を備え、炊飯に伴い容器7内から発生する蒸気を、内蓋81に備えた孔83から放出させる構成を有している。
【0095】
この場合はさらに、「炊飯コース」を行なう際に、内蓋81が容器7内からの熱の逃げを防ぐので、美味しいご飯を炊くことができる。また、容器7内から発生する蒸気が、内蓋81の孔83から容器7の外部に放出するので、この孔83によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0096】
また、この場合の内蓋81は、容器7の外周囲に延出して、容器7と当該容器7の収納部である容器収納室6の内壁との空間を塞ぐ構成として、フランジ84を備えている。この場合、内蓋81のフランジ84によって、容器収納室6と容器7との空間を塞ぐことで、加熱手段8からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0097】
また、「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合に、制御部62からの制御信号により駆動され、容器7内にイースト菌を自動投入する投入装置41をさらに備えている。この場合、投入装置41から所定のタイミングで容器7内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0098】
また本実施形態では、内蓋81の有無を検出する内蓋検出装置として、内蓋検出センサ63を備え、「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合に、内蓋81が有ることを検出すると、例えば表示体4でアラーム報知する構成としている。これにより使用者は、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋81が容器7に装着されていることをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0099】
さらに、「炊飯コース」を行なう場合には、内蓋81が無いことを検出すると、例えば表示体4でアラーム報知する構成としてもよい。これにより使用者は、「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0100】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71や炊飯制御手段75を選択できるように構成しており、炊飯コースを行なう場合には、装着部19に混錬具18を装着せずに炊飯ができる構成とし、「米炊飯からのパン焼きコース」と「炊飯コース」で、容器7を兼用させている。
【0101】
このようにすれば、「炊飯コース」を行なう際に、わざわざ装着部19に混錬具18を取付ける必要もなく、また炊飯とパン焼きの容器7を共通することで、使い勝手の向上とコストの低減とを図ることができる。
【0102】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71を備えたもので、加熱手段8は、容器7の側部を加熱する第1加熱手段としての第1ヒータ8Aと、容器7の下部を加熱する第2加熱手段とにより構成される。この場合、容器7の側部を加熱する第1ヒータ8Aと、容器の下部を加熱する第2ヒータ8Bを設けることにより、加熱手段8からの熱が行きにくい容器7の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1ヒータ8Aや第2ヒータ8Bを適宜使用して、より均一に容器7内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0103】
また、容器7内の混錬物をパン状に焼き上げる焼成工程時には、第1ヒータ8Aで主に容器7を加熱し、炊飯加熱後に容器7内のご飯を混錬せずに仕上げる「炊飯コース」の場合には、第2ヒータ8Bで主に容器7を加熱するように、制御部62が加熱手段8を制御する構成としている。
【0104】
この場合、必要に応じて第1ヒータ8Aまたは第2ヒータ8Bによる容器7への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0105】
また、容器7内の混錬物をパン状に焼き上げる際に、第1ヒータ8Aに第2ヒータ8Bを併用して選択的に第2ヒータ8Bを制御するように、制御部62が加熱手段8を制御する構成としてもよい。この場合、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、容器7の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1ヒータ8Aの他に第2ヒータ8Bを併用して制御することができ、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、上記実施形態中の時間や温度などはあくまでも例示であり、本発明の内容を限定するものではない。また、アラーム報知の形態として、例えば表示体4によるアラーム表示に代わり、ブザーやスピーカーなどの音出力装置によるアラーム告知でも構わない。
【符号の説明】
【0107】
6 容器収納室(収納部)
7 容器
8 加熱手段
8A 第1ヒータ(第1加熱手段)
8B 第2ヒータ(第2加熱手段)
18 混錬具
19 装着部
41 投入装置
61 温度センサ(温度検出手段)
62 制御部(制御手段)
63 内蓋検出センサ(内蓋検出装置)
81 内蓋
83 孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭でパンなどを製造できる調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
米からパンを製造する調理器として、例えば特許文献1には、米をミルで粉砕してペースト状にし、捏ねてパン生地を作り、焼き上げてパンに仕上げる製パン器が知られている。
【0003】
また、残飯からパンを作る調理器も知られている。これは飯と水を同時に混入し、捏ねてパン生地を作り、焼き上げてパンに仕上げるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−45410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし前者の場合は、ミルによって米を砕く際に騒音の問題があり、後者の場合は、予めご飯を用意して、そのご飯を投入する手間がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。
【0008】
請求項2の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、特定のコースを選択することで、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0009】
請求項3の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、容器に入れた被調理物からパンとご飯の何れかを作り上げることが可能で、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0010】
請求項4の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、内蓋が容器内からの熱の逃げを防ぐので、美味しいご飯を炊くことができると共に、容器内から発生する蒸気が、内蓋の孔から容器の外部に放出するので、この孔によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0011】
請求項5の発明では、内蓋によって容器の収納部と容器との空間を塞ぐことで、加熱手段からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0012】
請求項6の発明では、投入装置から所定のタイミングで容器内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0013】
請求項7の発明では、使用者が「炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋が容器7に装着されていることをアラーム報知で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0014】
請求項8の発明では、使用者が「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム報知で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0015】
請求項9の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、「炊飯コース」を行なう際に、わざわざ装着部に混錬具を取付ける必要もなく、また炊飯とパン焼きの容器を共通することで、使い勝手の向上とコストの低減を図ることができる。
【0016】
請求項10の発明では、容器に投入した米を粉砕してペースト状にするのではなく、米類から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米類を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。さらに、容器の側部を加熱する第1加熱手段と、容器の下部を加熱する第2加熱手段を設けることにより、加熱手段からの熱が行きにくい容器の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1加熱手段や第2加熱手段を適宜使用して、より均一に容器内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0017】
請求項11の発明では、必要に応じて第1加熱手段または第2加熱手段による容器への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0018】
請求項12の発明では、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、容器の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1加熱手段の他に第2加熱手段を併用して制御することができ、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、美味しいご飯を炊くことができると共に、内蓋の孔によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、加熱手段からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0024】
請求項6の発明によれば、投入装置から所定のタイミングで容器内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、アラーム報知により、調理器としての使い勝手を向上させることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、アラーム報知により、調理器としての使い勝手を向上させることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、調理器として使い勝手の向上とコストの低減を図ることができる。
【0028】
請求項10の発明によれば、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。また、より均一に容器内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0029】
請求項11の発明によれば、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0030】
請求項12の発明によれば、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明における調理器の全体縦断面図である。
【図2】同上、図1の調理器の別な例を示す全体縦断面である。
【図3】同上、図2に示す調理器において、混錬具が有る場合の混錬具装着部周辺の拡大断面図である。
【図4】同上、図2に示す調理器において、混錬具が無い場合の混錬具装着部周辺の拡大断面図である。
【図5】同上、図1および図2に示す調理器において、蓋体部の拡大断面図である。
【図6】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図7】同上、温度センサの検出温度と、表示体を除く各制御対象の通断電状態を示すグラフおよびタイミングチャートである。
【図8】同上、内蓋を装着した調理器の概略断面図である。
【図9】同上、図8とは別な例の内蓋を装着した調理器の概略断面図である。
【図10】同上、図8の調理器において、内蓋が無い場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図11】同上、図8の調理器において、内蓋が有る場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図12】同上、図9の調理器において、第1ヒータの消費電力が360Wである場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【図13】同上、図9の調理器において、第1ヒータの消費電力が450Wである場合の各部の温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における調理器の好ましい実施形態を説明する。
【0033】
図1および図2は、本実施形態における自動製パン機能を有する調理器の全体縦断面図である。なお、図1に示す調理器と図2に示す調理器は、後述する加熱手段8以外の構成は全て共通している。
【0034】
これらの各図において、1は箱状の本体で、この本体1の上面前部には操作部2が設けられる。操作部2には、調理開始を指示するスタートキーや、予約時刻における調理開始を指示する予約キーや、現在時刻および予約時刻の調整を可能にする時刻調整キーや、各種動作の取消を指示する取消キーや、複数の調理コースの中から、特定の調理コースを選択するコース選択キーなどを含む操作体3と、現在時刻および/または予約時刻や、選択した調理コースや、動作状態などを表示するLEDや液晶パネルなどの表示体4が、それぞれ設けられている。
【0035】
本体1の内部には、有底筒状の容器収納室6が設けられる。容器収納室6は上面が開口しており、ここから容器7が入れられる。容器7は金属製で、本体1に対して着脱可能に備えられ、容器収容部6と同様に、上面が開口した有底筒状に形成される。容器収納室6の内部には、容器収納室6に収納された容器7を包囲するように、加熱手段8が配置される。加熱手段8は例えばシーズヒータにより構成されるが、図1に示す調理器では、容器7の側部に臨んで設けられる第1ヒータ8Aだけで構成され、図2に示す調理器では、当該第1ヒータ8Aと、第1ヒータ8Aの下方にあって、容器7の下部に臨んで設けられる第2ヒータ8Bとにより構成される。
【0036】
本体1の内部には、基台11が設置される。基台11には、容器収納室6の中心にあたる箇所に、容器支持部13が固定されている。容器支持部13は下方に落ち込んだ凹状をなし、その内部は容器収納室6の内部に露出している。容器支持部13は、容器7の底面に固定された筒状の台座14を受け入れて、容器7を支えるものであり、台座14は容器支持部13に嵌り込む構成となっている。容器支持部13の中心には、回転自在な軸部15が垂直に支持されている。軸部15の下端は容器支持部13の下面から突き出ており、軸部15はプーリ16の中心に固定されている。
【0037】
容器7の底部中心には、前述した軸部15の上端が、シール対策を施した上で垂直に支持されている。この軸部15の上端には、混錬具18を軸部15に装着するために、軸部15の断面を非円形に形成した装着部19が設けられる。図3は、図2に示す調理器で、混錬具18を装着部19に装着した状態を示しており、また図4は、同じく図2に示す調理器で、混錬具18を装着部19から取り外した状態を示しているが、混錬具18は板状の羽根20と、装着部19に取付けまたは取外し可能な嵌合部21とを有しており、この嵌合部21を介して混錬具18が装着部19に着脱可能に設けられる。軸部15の上端に位置する装着部19は、容器7の内底面中心より上方に突き出しており、容器7の上面開口から手を差し入れることで、混錬具18を容易に取付けまたは取外しすることができる。そして図3に示すように、混錬具18を装着部19に取付けた状態で軸部15が回転すると、容器7の内部で軸部15を中心として羽根20が旋回するようになっている。
【0038】
前記基台11には、軸部15の駆動源となるモータ24が取付け固定される。モータ24の下面からは、回転する出力軸25が突出しており、この出力軸25にプーリ26が固定される。プーリ26は、軸部15が固定されるプーリ16にベルト27で連結される。なお、混練具18を回転させる軸部15は、低速・高トルクの回転が求められる。このため、プーリ26はプーリ16を減速回転させるように、プーリ16,26間の直径比が設定されている。
【0039】
前記操作部2から後ろの本体1上面は、蓋31で覆われる。蓋31は、蝶番軸32で本体1の背面側に取り付けられており、その蝶番軸32を支点として、本体1上面の開口部を開閉自在に回動する構成となっている。図5は、上記図1および図2の調理器に共通して、操作部2や蓋31を含む蓋体部を拡大して示している。
【0040】
蓋31は、蓋31の骨格をなす外蓋34と、外蓋34の上面を覆う外蓋カバー35と、外蓋34の下面に取付けられ、容器収納室6の上面開口を覆う蓋下面板36とにより構成される。また蓋体31の略中央部には、容器収納室6に収納した容器7の上面開口に臨んで、上下に貫通する収納孔38が形成される。収納孔38には、調理中に例えばイースト菌などの紛体を容器7内へ自動投入する投入装置41が装着される。
【0041】
投入装置41は、前記紛体を収納するための粉容器42と、粉容器42の上面開口を塞ぐ粉容器蓋43と、粉容器42の下面開口を塞ぐ投入口蓋44とにより構成され、蓋31の収納孔38に対して着脱可能に設けられる。粉容器蓋43の一側は、蝶番軸46で粉容器42の一側上部に取付けられており、その蝶番軸45を支点として、手動で粉容器42の上面開口を開閉自在に回動できる構成となっている。
【0042】
粉容器42は、紛体の収納入口となる上面開口の面積よりも、紛体の出口となる下面開口の面積が狭い漏斗状を有し、粉容器42の下部には、弾性部材としてのリング状のパッキン46が装着される。投入口蓋44の基端側は、蝶番軸48で粉容器42の一側下部に取付けられており、粉容器42の下部に設けられた回動可能な可動部49に投入口蓋44の先端が係止すると、投入口蓋44の上面がパッキン46を押し付けることで、粉容器42の下面開口が投入口蓋44で密封される構成となっている。
【0043】
蓋31を閉じた状態で、投入装置41の可動部49を可動させる構成として、本実施形態では本体1の内部にソレノイド51が配設されると共に、蓋31の内部に開閉レバー55が配設される。ソレノイド51は、投入口蓋44を閉状態から開状態に切り替える駆動源となるもので、出没可能な駆動軸52を備える。また開閉レバー55は、駆動軸52と同軸状に配設した出没可能なレバー本体56と、このレバー本体56を駆動軸52に向けて付勢する弾性体としてのコイルスプリング57とにより構成され、レバー本体56の先端は可動部49に向けて露出している。可動部49は、断面が逆L字状若しくはV字状をなし、垂直片58と、この垂直片57に直交する水平片59とにより構成され、図示しない弾性体によって、垂直片58がレバー本体56の先端に対向し、且つ水平片59が投入口蓋44の先端を支えるような位置に常時付勢される。
【0044】
そして、ソレノイド51に所定の動作電圧を供給すると、駆動軸52が開閉レバー55の方向へ突出してレバー本体56の基端に突き当たり、コイルスプリング57の付勢に抗して、可動部49の垂直片58を押し付ける。すると図5の点線で示したように、可動片49も図示しない弾性体の付勢力に抗して回動するので、水平片59と投入口蓋44との係合が解除され、投入口蓋44が蝶番軸48を中心に自重で回動する。そのため、粉容器42内に収納された紛体が、開放した粉容器42の下面開口を通して、その直下に位置する容器7内に落下投入される。
【0045】
その他、本体1の内部には、容器7の温度を検出して電気的な検出信号に変換する温度検出手段として、温度センサ61が設けられると共に、温度センサ61からの検出温度に応じて加熱手段8の加熱量などを調節する制御手段として、例えばマイコンなどの制御部62が設けられる。本実施形態の温度センサ61は、容器7を取り囲む容器収納室6の外側面に装着され、容器7の温度を間接的に検出する構成となっているが、例えば容器7の外面に弾発的に接触させ、容器の温度を直接的に検出する構成としてもよい。
【0046】
またここでは、容器7内から発生する蒸気などを排出するために、容器収納室6と本体1の外部との間を連通する排出路(図示せず)が設けられる。この排出路には、送風装置としてのファン64(図6を参照)が設けられており、当該ファン64に所定の動作電圧を供給すると、容器7内から発生する蒸気が強制的に本体1の外部へ排出される構成となっている。
【0047】
次に、上記調理器に関する制御系統について、図6を参照しながら説明する。同図において、制御部62は、操作体3,温度センサ61および内蓋検出センサ63が入力ポートに電気的に接続される。内蓋検出センサ63は、後述する内蓋81の有無を検出して、これを電気的な検出信号に変換する内蓋検出装置として設けられる。また、図1および図2に示す調理器に共通して、第1ヒータ8Aを駆動するための第1ヒータ駆動回路65と、モータ24を駆動するためのモータ駆動回路67と、ソレノイド51を駆動するためのソレノイド駆動回路68と、ファン64を駆動するためのファン駆動回路69と、表示体4を駆動するための表示駆動回路70が、制御部62の出力ポートにそれぞれ接続される。さらに図2に示す調理器では、第2ヒータ8Bを駆動するための第2ヒータ駆動回路66も、制御部62の出力ポートに電気的に接続される。第1ヒータ8Aと第2ヒータ8Bは、制御部62によりそれぞれが独立して制御される。
【0048】
制御部62は、操作体3からの操作信号と、温度センサ61からの検出信号とに基づき、記憶部(図示せず)に内蔵する調理工程に係るプログラムを読み出して、第1ヒータ駆動回路65,第2ヒータ駆動回路66,モータ駆動回路67,ソレノイド駆動回路68および表示駆動回路69に制御信号を送出して、制御対象となる第1ヒータ8A,第2ヒータ8B,モータ24,ソレノイド51および表示体4をそれぞれ制御するものである。また制御部62は、前記記憶部に内蔵するプログラムの中で、特に容器7内の被調理物からパンを生成するパン生成手段として、うるち米粒などの米粒からパンを焼き上げる「米炊飯からのパン焼きコース」を実行するための第1パン焼き制御手段71と、別に調理された各種穀物を原料としたご飯から、パンを焼き上げる「ご飯練りからのパン焼きコース」を実行するための第2パン焼き制御手段72と、麦分の一種である小麦粉からパンを焼き上げる「麦粉からのパン焼きコース」を実行するための第3パン焼き制御手段73と、を備え、その他に容器7内でもち米粒などの米粒を原料としてもちを生成する「米炊飯からのもち練りコース」を実行するためのもち生成制御手段74と、容器7内の被調理物からご飯を炊き上げる「炊飯コース」を実行するための炊飯制御手段75と、をそれぞれ備えている。これらの調理コースは、操作体3のコース選択キーを操作することで、その中の一つが選択されるようになっている。
【0049】
次に、上記構成の調理器について、その作用を図7に示す制御データを参照して説明する。同図において、ここではご飯からパンに仕上げる「ご飯パン」の調理で、温度センサ61の検出温度と、表示体4を除く制御対象(第1ヒータ8A,第2ヒータ8B,モータ24,ファン64,ソレノイド51)の通断電状態が示されている。また図7では、小麦粉からパンに仕上げる「小麦パン」と、もち米粒からもちに仕上げる「もち」の各調理についても、表示体4を除く制御対象の通断電状態が示されている。
【0050】
最初に、第1パン焼き制御手段71による「米炊飯からのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として所定量の米粒(うるち米粒)と水を容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。なおここでは、うるち米粒に代わる他の品種の米粒や、水に代わる例えば味成分を有するような液体を、容器7内に投入してもよい。また、蓋31から投入装置41を取り出して粉容器蓋43を開け、粉容器42に強力粉などを入れた後、その上面にイースト菌を投入する。そして、粉容器蓋43を閉じた後、強力粉やイースト菌などを収納した投入装置41を、蓋32に再び装着する。
【0051】
その後、操作体3のコース選択キーにより「米炊飯からのパン焼きコース」を選択し、操作体3の別なスタートキー(炊飯スイッチ)を操作することで、第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程が開始する。
【0052】
第1パン焼き制御手段71は、温度センサ61からの検出信号を取り込んで、容器7の温度を監視しながら、図7に示すような「加熱制御」による「炊飯工程」と、「冷却工程」と、「こね♯1」,「ねかし」および「こね♯2」による混錬工程と、「一次発酵」,「二次発酵」および「成形発酵」による発酵工程と、「焼き上げ」および「仕上げ」による焼成工程を順に実行する。
【0053】
具体的には、最初の炊飯工程では、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させる(図7に示す加熱制御の♯2)。やがて、この一定時間の沸騰継続が行われたら、炊飯工程が終了したと判断して冷却工程に移行し、第2ヒータ8Bの通電を遮断して、容器7への加熱を停止する一方で、ファン64を動作させて、容器7内の被調理物から発生する蒸気を強制的に本体1の外部に排出し、容器7の温度を速やかに低下させる。なお、前記炊飯工程の終了は、スタートキーを操作後、一定時間が経過したときのタイミングとしてもよい。これらの炊飯工程および冷却工程により、第1パン焼き制御手段71は、加熱手段8を制御して容器7内の被調理物に対する炊飯加熱を行ない、米粒が残らないようなお粥状のご飯に仕上げる。
【0054】
第1パン焼き制御手段71は、一定時間の冷却工程が終了するか、冷却工程において容器7の温度が所定の例えば40℃以下になると、次の混錬工程を実行する。混錬工程では、モータ24を動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を所定時間回転駆動させ、容器7内のお粥状のご飯を混錬する第1こね工程(図7に示すこね♯1)と、モータ24の動作を一時的に停止させて、容器7内の混錬物をねかせるねかし工程(図7に示すねかし)と、モータ24を再び動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を所定時間回転駆動させ、容器7内の混錬物をさらに混錬してパン生地に練り上げる第2こね工程(図7に示すこね♯2)を順に行なう。また混錬工程では、第1ヒータ8Aを通断電制御して、主に容器7の側部を断続的に加熱し、容器7内を一定の温度t1に維持する。
【0055】
前述した第1こね工程では、容器7内のご飯が次第に混錬物に変化するが、その途中でソレノイド51に所定の動作電圧を供給して、当該ソレノイド51を動作させ、それまで閉じていた投入口蓋44を開けて、粉容器42内に収納された強力粉やイースト菌などの紛体を、自動的に容器7内に投入する。ソレノイド51の動作タイミングは、炊飯工程が完了してから一定時間が経過した時点か、容器7が一定温度(例えば60℃)以下に低下したのを温度センサ61が検出した時点となる。また図7に示すように、本実施形態では投入口蓋44が確実に開くように、第1パン焼き制御手段71がソレノイド51に対して、所定の動作電圧を繰り返し供給する制御を行なう。
【0056】
このように本実施形態では、第1パン焼き制御手段71からの制御信号を受けて、投入装置41を構成する粉容器42から、所定のタイミングで容器7内に紛体が自動的に投入される構成となっており、混錬工程の途中で蓋31を開けて、容器7内に紛体を投入する手間を省いて、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0057】
第1パン焼き制御手段71は、混錬工程が終了すると、次の発酵工程を実行する。発酵工程では、一次発酵工程として、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を発酵が促進される温度t2に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する「発酵」と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を引き続き温度t2に維持すると共に、モータ24を断続的に動作させて混錬具18を一定時間毎に回転させ、容器7内のパン生地に含まれるガスを抜く「ガス抜き」が行われ、続く二次発酵工程として、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7の温度を発酵が促進される温度t3に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する「発酵」と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を引き続き温度t3に維持すると共に、モータ24を断続的に動作させて混錬具18を一定時間毎に回転させ、容器7内のパン生地に含まれるガスを抜く「ガス抜き」が行われる。さらに、この二次発酵の後に、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7を発酵が促進される温度t4に維持し、モータ24を動作させずにそのままの状態で所定時間放置する生成発酵が行われる。
【0058】
一例として、一次発酵工程では、容器7の温度t2を概略40℃にして30分間行ない、二次発酵工程では、容器7の温度t3を概略33℃にして10分間行なう。これらの発酵温度や時間は、気温(室温)や、同じコースの中で選択できる調理メニューによって異なる。
【0059】
第1パン焼き制御手段71は、混錬工程が終了すると、次に焼成工程を実行する。焼成工程では、第1ヒータ8Aを連続通電して、容器7をパンの焼き上げに必要な温度t5にまで上昇させる第1焼き上げ工程(図7に示す焼き上げの♯1)と、容器7が温度t5に達したのを温度センサ61が検出したら、その温度t5を維持するように第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7内のパン生地を焼き上げる第2焼き上げ工程(図7に示す焼き上げの♯2)と、第1ヒータ8Aを通断電制御して、容器7の温度を徐々に下げながら、容器7内で焼き上げたパンを仕上げる仕上げ工程が順に行なわれる。
【0060】
一例として、第1焼き上げ工程では、所定の気温(室温)の下で、容器7の温度を155℃にまで上昇させ、温度センサ61により容器7の温度がt5=155℃に達したのを検出すると、第2焼き上げ工程に移行して、その温度t5を維持するように容器7を加熱する。そして、第2焼き上げ工程に移行した後、所定の40分間が経過したら焼き上げ完了と判断して、第2焼き上げ工程または焼成工程を終了する。
【0061】
このように、第1パン焼き制御手段71が行なう「米炊飯からのパン焼きコース」では、容器7に投入した米粒を粉砕してペースト状にするのではなく、炊飯したお粥状のご飯でこね生地を作り、最終的にパンを焼き上げている。そのため、米粒を粉砕するミルを必要とせず、調理器として粉砕時の騒音が発生しない。また、残飯でパンを作る場合は、ご飯を入れる手間があり、パン状態で飯の形が残る問題もあるが、米粒をお粥状に炊飯することで、ご飯を容器7に入れる手間を省き、飯粒の形を残さずにパンを作ることができる。
【0062】
また、容器7の側部を加熱する第1ヒータ8Aと、容器7の下部を加熱する第2ヒータ8Bを設けることで、加熱手段8からの熱が行きにくい容器7の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1ヒータ8Aや第2ヒータ8Bを適宜使用して、より均一に容器7内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0063】
次に、第2パン焼き制御手段72による「ご飯練りからのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として既に炊飯を行なった所定量のご飯と水などの液体を容器7内に投入する。またここでは、イースト菌などの紛体も、最初から容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0064】
その後、操作体3のコース選択キーにより「ご飯練りからのパン焼きコース」を選択し、操作体3のスタートキーを操作することで、第2パン焼き制御手段72によるパンの生成工程が開始する。
【0065】
第2パン焼き制御手段72は、前述した第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程の中で、炊飯工程と冷却工程を省略して、混錬工程から発酵工程を経て焼成工程に至る残りの各工程を順に実行する(図7の「小麦パン」に対応した各部の通断電状態を参照)。但し、これらの各工程での温度や時間の設定は、前述した「米炊飯からのパン焼きコース」と異ならせてもよい。また、容器7内には予めイースト菌などの紛体が投入されているので、第1こね工程の途中でソレノイド51を動作させる必要はない。したがって第2パン焼き制御手段72は、第2ヒータ8Bや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第1ヒータ8Aと、モータ24だけを通断電制御する。
【0066】
次に、第3パン焼き制御手段73による「麦粉からのパン焼きコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物として小麦粉(強力粉),バター,塩,砂糖,ドライイースト,脱脂粉乳,水などを容器7内に投入する。またここでは、イースト菌などの紛体も、最初から容器7内に投入する。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0067】
その後、操作体3のコース選択キーにより「麦粉からのパン焼きコース」を選択し、操作体3のスタートキーを操作することで、第3パン焼き制御手段73によるパンの生成工程が開始する。
【0068】
第3パン焼き制御手段73も、前述した第1パン焼き制御手段71によるパンの生成工程の中で、炊飯工程と冷却工程を省略して、混錬工程から発酵工程を経て焼成工程に至る残りの各工程を順に実行する(図7の「小麦パン」に対応した各部の通断電状態を参照)。但し、これらの各工程での温度や時間の設定は、前述した「米炊飯からのパン焼きコース」や「米炊飯からのパン焼きコース」と異ならせてもよい。また、容器7内には予めイースト菌などの紛体が投入されているので、第1こね工程の途中でソレノイド51を動作させる必要はない。したがって第3パン焼き制御手段73は、第2ヒータ8Bや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第1ヒータ8Aと、モータ24だけを通断電制御する。
【0069】
なお、上述した第1パン焼き制御手段71,第2パン焼き制御手段72および第3パン焼き制御手段73が行なう焼成工程では、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、例えば操作部2の特定のキーを操作することで、容器7の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1ヒータ8Aの他に第2ヒータ8Bを併用して制御してもよい。こうすることで、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【0070】
次に、もち生成制御手段74による「米炊飯からのもち練りコース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、予め軸部15上端の装着部19に混錬具18を取付け、被調理物としてもち米粒などの米粒と水などの液体を容器7内に投入するが、イースト菌などの紛体は投入しない。そして、蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、蓋31を閉じる。
【0071】
図7の「もち」に対応した各部の通断電状態を参照すると、もち生成制御手段74は、前述した加熱制御による炊飯工程で、容器7内のもち米粒を炊飯して炊き上げるために、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させ(図7に示す加熱制御の♯2)、もち米飯を炊き上げる。また、モータ24を適宜動作させて、装着部19に取付けた混錬具18を回転駆動させ、炊飯したもち米飯を、粒のないもち状に仕上げる。図7では、炊飯工程において第2ヒータ8Bを通電させると同時に、モータ24も動作させているが、炊飯工程が終了した後にモータ24を動作させて、炊飯したもち米飯を混錬具18で混錬し、もち状に仕上げてもよい。何れの場合であっても、もち生成制御手段74は、第1ヒータ8Aや、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第2ヒータ8Bと、モータ24だけを通断電制御する。但し、前記「米炊飯からのパン焼きコース」では、被調理物を炊飯してお粥状のご飯に仕上げるのに対し、「米炊飯からのもち練りコース」では、より水分の少ないもち米飯に仕上げるので、米粒に対する液体の量や、容器7内の沸騰温度を検出した後の加熱継続時間を変えている。
【0072】
最後に、炊飯制御手段75による「炊飯コース」の動作について説明する。当該コースを実行するに際し、被調理物としてうるち米粒などの米粒と水などの液体を容器7内に投入するが、軸部15上端の装着部19には混錬具18を装着せず、また容器7内にイースト菌などの紛体も投入しない。そして蓋31を開けた状態で、この容器7を容器収納室6の上部開口から収納し、図8や図9に示すような内蓋81を、容器7の上面開口に被せた後に、蓋31を閉じる。
【0073】
その後、操作体3のコース選択キーにより「炊飯コース」を選択し、操作体3の別なスタートキーを操作することで、炊飯制御手段75によるパンの生成工程が開始する。
【0074】
ここで内蓋81の構成について、図8および図9を参照しながら説明すると、内蓋81は上述した「炊飯コース」にのみ使用されるもので、容器7の上面開口に着脱可能に設けられる。一つの例として、図8に示す内蓋81は、容器7の側壁上部に嵌合する断面コ字状のキャップ部82と、容器7の上面開口に臨んで、キャップ部82に貫通形成された一乃至複数個の孔83と、を備えて構成される。また、図9に示す別な例の内蓋81は、キャップ82の側部より外方に延びるフランジ84をさらに備えている。このフランジ84は、内蓋81を容器7に装着したときに、容器7の外周囲に延出して、容器7と容器収納室6の内壁との空間を塞ぐような形状を有している。
【0075】
炊飯制御手段75は、スタートキーからの操作信号を受け付けると、先ず内蓋検出センサ63からの検出信号により、内蓋81が容器7の上部を覆って正しく装着されているか否かを判断する。このとき、内蓋81が容器7に正しく装着されていなければ、容器7への炊飯加熱は行わず、報知部としての表示体4に対して、内蓋81の装着を促すアラーム表示を行なわせる。これにより使用者は、「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0076】
一方、内蓋81が容器7に正しく装着されていれば、炊飯制御手段75は、前述した加熱制御による炊飯工程に基づいて、容器7内の被調理物を炊飯して炊き上げる。この炊飯工程では、容器7内が沸騰温度である100℃に達したのを温度センサ61が検出するまで、第2ヒータ8Bを連続的に通電して、当該第2ヒータ8Bから高い加熱量で容器7の主に下部を強加熱し(図7に示す加熱制御の♯1)、容器7内が沸騰温度に達すると、第2ヒータ8Bの加熱量を調整して、その後一定時間が経過するまで、容器7内の沸騰を継続させ(図7に示す加熱制御の♯2)、ご飯を炊き上げる。ご飯を炊き上げた後は、炊飯制御手段75により引き続き第2ヒータ8Bの加熱量を適宜調整して、容器7を所定の温度に維持する保温を行なってもよい。このように炊飯制御手段75は、第1ヒータ8Aや、モータ24や、ファン64や、ソレノイド51をオフ状態のままとし、第2ヒータ8Bだけを通断電制御する。但し、前記「米炊飯からのパン焼きコース」では、被調理物を炊飯してお粥状のご飯に仕上げるのに対し、「炊飯コース」では、より水分の少ないご飯に仕上げるので、米粒に対する液体の量や、容器7内の沸騰温度を検出した後の加熱継続時間を変えている。
【0077】
なお、炊飯制御手段75は前述のように、内蓋81が容器7に装着されていなければ、表示体4によりアラーム表示を行なわせているが、それに代わり、或いはそれに加えて、内蓋81が容器7に装着されていれば、容器7への炊飯加熱は行わず、報知部としての表示体4に対して、内蓋81の取外しを促すアラーム表示を行なわせるように、第1パン焼き制御手段71を構成してもよい。これにより使用者は、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋81が容器7に装着されていることをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。また、粉容器42から容器7内への紛体の投入が、内蓋81により阻止される不具合を未然に防ぐことができる。
【0078】
上述したように、「炊飯コース」を選択実行する際には、装着部19に混錬具18を取付ける必要がなく、調理器として使い勝手の向上が図れる。また、「米炊飯からのパン焼きコース」でパン焼きをする容器7と、「炊飯コース」で炊飯を行なう容器7を別々のものとせず、共通のものとすることで、コストの低減を図ることができる。
【0079】
さらに、焼成工程においてパンを焼き上げる時には第1ヒータ8Aで主に容器8の側部を加熱するようにし、炊飯工程においてご飯を炊き上げる時には、第2ヒータ8Bで主に容器8の底部を加熱するようにして、必要に応じて第1ヒータ8Aまたは第2ヒータ8Bによる容器7への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0080】
図10および図11は、図8に示す調理器において、容器7の上面開口から内蓋81を外した場合と、容器7の上面開口を内蓋81で覆った場合に、第1ヒータ8Aの通断電と各部の温度がどのように変化するのかをグラフで示している。ここでの第1ヒータ8Aの消費電力は、内蓋81の有無に拘わらず360Wである。これらの各図において、「ON−OFF」は第1ヒータ8Aの通断電を示し、「室温」は調理器周辺の室温を示し、「上」は容器7内の上部温度を示し、「中」は容器7内の中央部温度を示し、「下」は容器7内の下部温度を示し、「側面」は容器7の側面部温度を示し、「底」は容器7の底部温度を示している。
【0081】
図10と図11のグラフを比較すると、内蓋81を装着した場合には、特に第1ヒータ8Aから離れた容器7内の中央部や上部で、温度が速やかに上昇しているのが判る。これは、容器7の上部開口からの熱の逃げを、内蓋81が防いでいることに起因する。したがって「炊飯コース」では、図8に示すような内蓋81を使用すれば、容器7内の被調理物全体を速やかに加熱して、美味しいご飯を炊くことができる。また、容器7内が沸騰温度に達すると、容器7内から発生する蒸気が、内蓋81の孔83から容器7の外部に放出するので、この孔83によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0082】
図12および図13は、図9に示す調理器において、第1ヒータ8Aの消費電力が360Wである場合と、第1ヒータ8Aの消費電力が450Wである場合に、第1ヒータ8Aの通断電と各部の温度がどのように変化するのかを示している。またここでは、第1ヒータ8Aが容器7の下部を加熱するように、図2に示す調理器の第2ヒータ8Bの位置に配設される。これらの各図においても、「ON−OFF」は第1ヒータ8Aの通断電を示し、「室温」は調理器周辺の室温を示し、「上」は容器7内の上部温度を示し、「中」は容器7内の中央部温度を示し、「下」は容器7内の下部温度を示し、「側面」は容器7の側面部温度を示し、「底」は容器7の底部温度を示している。
【0083】
図11と図12のグラフを比較すると、図9に示す調理器では、第1ヒータ8Aが容器7の側部よりもむしろ底部を主に加熱しているので、容器7の底部や容器7内の下部で、温度が速やかに上昇しているのが判る。また、内蓋81に設けたフランジ84が、第1ヒータ8Aから容器収納室6と容器7との間を通して熱が逃げるのを抑制しているので、容器7内の上部も相変わらず速やかに温度上昇している。したがって、内蓋81のフランジ84で容器収納室6と容器7との空間を塞ぐことで、加熱手段8で容器7の底部を加熱した場合でも、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0084】
図12と図13のグラフを比較すると、第1ヒータ8Aの消費電力を増加させた方が、容器7のどの部位においても、温度が速やかに上昇しているのが判る。
【0085】
上述した調理器では、操作体3のコース選択キーを利用して、制御部62が行なう「米炊飯からのパン焼きコース」,「ご飯練りからのパン焼きコース」,「麦粉からのパン焼きコース」,「米炊飯からのもち練りコース」,「炊飯コース」の何れかを選択できる。そのため、米粒や、ご飯や、麦粉の何れかを容器7に投入して、色々なパンを簡単に作ることができるし、米粒から搗いたもちを作ることもできる。また、パンやもち以外にも、「炊飯コース」によって米粒からご飯を炊き上げることができ、炊飯器ともちつき機とホームベーカリーとしての機能を1台で兼用した使い勝手と経済性に優れた調理器を提供できる。
【0086】
さらに、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択した場合に、イースト菌などの紛体を自動投入できる投入装置41を備えているので、こうした紛体を調理の途中に容器7へ投入する手間を省くことができ、調理器としての使い勝手をさらに向上できる。
【0087】
以上のように、本実施形態における調理器は、本体1に着脱可能に備えた有底筒状の容器7と、容器7の上部開口部を覆う蓋31と、容器7の内底面に備えた回転可能な装着部19と、装着部19に着脱可能に備えた混錬具18と、容器7を加熱する加熱手段8と、容器7の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段としての温度センサ61と、温度センサ61の検出温度に応じて加熱手段8の加熱量を調節する制御手段としての制御部62を備えている。
【0088】
そして、特に本実施形態の制御部62は、「米炊飯からのパン焼きコース」を実行するために、加熱手段8を制御することで、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、装着部19を制御して、炊飯後に容器7底部の混錬具18により容器7内で炊き上げたお粥状のご飯を混錬し、容器7内のご飯にイースト菌が投入されたら、装着部19を制御して、混錬具18により容器7内の混錬物をさらに混錬し、加熱手段8を制御して、所定の温度で混錬物を発酵させた後に、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる第1パン焼き制御手段71を備えている。
【0089】
この場合、容器7に投入した米粒を粉砕してペースト状にするのではなく、米粒から炊飯をしたご飯でこね生地を作るので、米粒を砕くためのミルを使用することなく、低騒音化を達成できる。また、予め調理したご飯は必要とせず、米粒を用意すればパンに仕上げることが可能であり、ご飯を入れる手間を省略できる。したがって、低騒音化を達成でき、ご飯を入れる手間を省いてパンに仕上げることが可能な調理器を提供できる。
【0090】
また、本実施形態の制御部62は、前記第1パン焼き制御手段71の他に、加熱手段8を制御して、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、装着部19を制御して、炊飯後に容器7底部の混錬具18により容器7内のご飯を混錬してもち状に仕上げる、「米炊飯からのもち練りコース」を行なうもち生成制御手段74と、装着部19を制御して、容器7内に投入されたご飯を混錬具18により混錬し、加熱手段8を制御して、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる、「ご飯練りからのパン焼きコース」を行なう第2パン焼き制御手段72と、装着部19を制御して、容器7内に投入された麦粉を混錬具18により混錬し、加熱手段8を制御して、容器7を加熱することでパン状に焼き上げる、「麦粉からのパン焼きコース」を行なう第3パン焼き制御手段73と、を選択できるように構成している。
【0091】
この場合はさらに、「米炊飯からのパン焼きコース」,「米炊飯からのもち練りコース」,「ご飯練りからのパン焼きコース」,「麦粉からのパン焼きコース」の中から、特定のコースを選択することで、色々なパンやもちを簡単に作ることができる。
【0092】
また、本実施形態の制御部62は、前記第1パン焼き制御手段71や第2パン焼き制御手段72の他に、加熱手段8を制御して、容器7内に投入された米粒と液体に対して炊飯加熱を行ない、ご飯として仕上げる「炊飯コース」を行なう炊飯制御手段75と、を選択できるように構成している。
【0093】
この場合はさらに、容器7に入れた被調理物からパンとご飯の何れかを作り上げることが可能で、ホームベーカリーと炊飯器の機能を1台で実現できるため、使い勝手の良い経済性に優れた調理器を提供できる。
【0094】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71や炊飯制御手段75を選択できるように構成しており、さらに第1パン焼き制御手段71による「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合には、容器7上部を開口する一方で、炊飯制御手段75による「炊飯コース」を行なう場合には、容器7の上部を覆う内蓋81を備え、炊飯に伴い容器7内から発生する蒸気を、内蓋81に備えた孔83から放出させる構成を有している。
【0095】
この場合はさらに、「炊飯コース」を行なう際に、内蓋81が容器7内からの熱の逃げを防ぐので、美味しいご飯を炊くことができる。また、容器7内から発生する蒸気が、内蓋81の孔83から容器7の外部に放出するので、この孔83によって蒸気の放出量を適切に調節できる。
【0096】
また、この場合の内蓋81は、容器7の外周囲に延出して、容器7と当該容器7の収納部である容器収納室6の内壁との空間を塞ぐ構成として、フランジ84を備えている。この場合、内蓋81のフランジ84によって、容器収納室6と容器7との空間を塞ぐことで、加熱手段8からの熱の逃げ抑制して、効率よく炊飯を行なうことが可能になる。
【0097】
また、「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合に、制御部62からの制御信号により駆動され、容器7内にイースト菌を自動投入する投入装置41をさらに備えている。この場合、投入装置41から所定のタイミングで容器7内にイースト菌が自動的に投入されるので、使い勝手の良い調理器を提供できる。
【0098】
また本実施形態では、内蓋81の有無を検出する内蓋検出装置として、内蓋検出センサ63を備え、「米炊飯からのパン焼きコース」を行なう場合に、内蓋81が有ることを検出すると、例えば表示体4でアラーム報知する構成としている。これにより使用者は、「米炊飯からのパン焼きコース」を選択実行する際に、内蓋81が容器7に装着されていることをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0099】
さらに、「炊飯コース」を行なう場合には、内蓋81が無いことを検出すると、例えば表示体4でアラーム報知する構成としてもよい。これにより使用者は、「炊飯コース」を選択実行する際に、内蓋81が装着されていないことをアラーム表示で理解でき、調理器としての使い勝手が向上する。
【0100】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71や炊飯制御手段75を選択できるように構成しており、炊飯コースを行なう場合には、装着部19に混錬具18を装着せずに炊飯ができる構成とし、「米炊飯からのパン焼きコース」と「炊飯コース」で、容器7を兼用させている。
【0101】
このようにすれば、「炊飯コース」を行なう際に、わざわざ装着部19に混錬具18を取付ける必要もなく、また炊飯とパン焼きの容器7を共通することで、使い勝手の向上とコストの低減とを図ることができる。
【0102】
また、本実施形態の制御部62は、少なくとも第1パン焼き制御手段71を備えたもので、加熱手段8は、容器7の側部を加熱する第1加熱手段としての第1ヒータ8Aと、容器7の下部を加熱する第2加熱手段とにより構成される。この場合、容器7の側部を加熱する第1ヒータ8Aと、容器の下部を加熱する第2ヒータ8Bを設けることにより、加熱手段8からの熱が行きにくい容器7の底部へも加熱を行なうことができ、これらの第1ヒータ8Aや第2ヒータ8Bを適宜使用して、より均一に容器7内でパンを焼き上げることが可能になる。
【0103】
また、容器7内の混錬物をパン状に焼き上げる焼成工程時には、第1ヒータ8Aで主に容器7を加熱し、炊飯加熱後に容器7内のご飯を混錬せずに仕上げる「炊飯コース」の場合には、第2ヒータ8Bで主に容器7を加熱するように、制御部62が加熱手段8を制御する構成としている。
【0104】
この場合、必要に応じて第1ヒータ8Aまたは第2ヒータ8Bによる容器7への加熱を切替えることで、最適なパンの焼き上げまたはご飯の炊き上げを行なうことができる。
【0105】
また、容器7内の混錬物をパン状に焼き上げる際に、第1ヒータ8Aに第2ヒータ8Bを併用して選択的に第2ヒータ8Bを制御するように、制御部62が加熱手段8を制御する構成としてもよい。この場合、パンの底部の焼成色を強くしたい場合に、容器7の側部のみならず底部への加熱も選択的に行えるように、第1ヒータ8Aの他に第2ヒータ8Bを併用して制御することができ、使用者の好みに応じて、簡単にパンの底部の焼成色を強くすることができる。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、上記実施形態中の時間や温度などはあくまでも例示であり、本発明の内容を限定するものではない。また、アラーム報知の形態として、例えば表示体4によるアラーム表示に代わり、ブザーやスピーカーなどの音出力装置によるアラーム告知でも構わない。
【符号の説明】
【0107】
6 容器収納室(収納部)
7 容器
8 加熱手段
8A 第1ヒータ(第1加熱手段)
8B 第2ヒータ(第2加熱手段)
18 混錬具
19 装着部
41 投入装置
61 温度センサ(温度検出手段)
62 制御部(制御手段)
63 内蓋検出センサ(内蓋検出装置)
81 内蓋
83 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底状の容器と、前記容器内に備えた回転可能な装着部と、前記装着部に備えた混錬具と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出温度に応じて前記加熱手段の加熱量を調節する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬し、前記容器内のご飯にイースト菌が投入されたら、前記装着部を制御して、前記混錬具により前記容器内の混錬物をさらに混錬し、前記加熱手段を制御して、所定の温度で前記混錬物を発酵させた後に、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げるものであることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬し、前記容器内のご飯にイースト菌が投入されたら、前記装着部を制御して、前記混錬具により前記容器内の混錬物をさらに混錬し、前記加熱手段を制御して、所定の温度で前記混錬物を発酵させた後に、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、炊飯からのパン焼きコースと、
前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬してもち状に仕上げる、炊飯からのもち練りコースと、
前記装着部を制御して、前記容器内に投入されたご飯を前記混錬具により混錬し、前記加熱手段を制御して、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、ご飯練りからのパン焼きコースと、
前記装着部を制御して、前記容器内に投入された麦類を前記混錬具により混錬し、前記加熱手段を制御して、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、麦類からのパン焼きコースと、を選択可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、ご飯として仕上げる炊飯コースと、を選択可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の調理器。
【請求項4】
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合には、前記容器上部を開口する一方で、前記炊飯コースを行なう場合には、前記容器上部を覆う内蓋を備え、前記容器内から発生する蒸気を前記内蓋に備えた孔から放出させる構成としたことを特徴とする請求項3記載の調理器。
【請求項5】
前記内蓋は、前記容器の外周囲に延出して、前記容器と当該容器の収納部との空間を塞ぐ構成としたことを特徴とする請求項4記載の調理器。
【請求項6】
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合に駆動され、前記容器内に前記イースト菌を自動投入する投入装置をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項7】
前記内蓋の有無を検出する内蓋検出装置を備え、
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合に、前記内蓋が有ることを検出すると、アラーム報知する構成としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項8】
前記内蓋の有無を検出する内蓋検出装置を備え、
前記炊飯コースを行なう場合に、前記内蓋が無いことを検出すると、アラーム報知する構成としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項9】
前記炊飯コースを行なう場合には、前記装着部に前記混錬具を装着せずに炊飯ができる構成とし、
前記炊飯からのパン焼きコースと前記炊飯コースで、前記容器を兼用させたことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項10】
前記加熱手段は、前記容器の側部を加熱する第1加熱手段と、前記容器の下部を加熱する第2加熱手段とからなることを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項11】
前記混錬物をパン状に焼き上げる時には、前記第1加熱手段で主に前記容器を加熱し、前記炊飯加熱後に、前記容器内のご飯を混錬せずに仕上げる場合には、前記第2加熱手段で主に前記容器を加熱する構成としたことを特徴とする請求項10記載の調理器。
【請求項12】
前記混錬物をパン状に焼き上げる際に、前記第1加熱手段に前記第2加熱手段を併用して選択的に前記第2加熱手段を制御する構成としたことを特徴とする請求項10記載の調理器。
【請求項1】
有底状の容器と、前記容器内に備えた回転可能な装着部と、前記装着部に備えた混錬具と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出温度に応じて前記加熱手段の加熱量を調節する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬し、前記容器内のご飯にイースト菌が投入されたら、前記装着部を制御して、前記混錬具により前記容器内の混錬物をさらに混錬し、前記加熱手段を制御して、所定の温度で前記混錬物を発酵させた後に、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げるものであることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬し、前記容器内のご飯にイースト菌が投入されたら、前記装着部を制御して、前記混錬具により前記容器内の混錬物をさらに混錬し、前記加熱手段を制御して、所定の温度で前記混錬物を発酵させた後に、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、炊飯からのパン焼きコースと、
前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、前記装着部を制御して、炊飯後に前記混錬具により前記容器内のご飯を混錬してもち状に仕上げる、炊飯からのもち練りコースと、
前記装着部を制御して、前記容器内に投入されたご飯を前記混錬具により混錬し、前記加熱手段を制御して、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、ご飯練りからのパン焼きコースと、
前記装着部を制御して、前記容器内に投入された麦類を前記混錬具により混錬し、前記加熱手段を制御して、前記容器を加熱することでパン状に焼き上げる、麦類からのパン焼きコースと、を選択可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して、前記容器内に投入された米類と液体に対して炊飯加熱を行ない、ご飯として仕上げる炊飯コースと、を選択可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の調理器。
【請求項4】
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合には、前記容器上部を開口する一方で、前記炊飯コースを行なう場合には、前記容器上部を覆う内蓋を備え、前記容器内から発生する蒸気を前記内蓋に備えた孔から放出させる構成としたことを特徴とする請求項3記載の調理器。
【請求項5】
前記内蓋は、前記容器の外周囲に延出して、前記容器と当該容器の収納部との空間を塞ぐ構成としたことを特徴とする請求項4記載の調理器。
【請求項6】
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合に駆動され、前記容器内に前記イースト菌を自動投入する投入装置をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項7】
前記内蓋の有無を検出する内蓋検出装置を備え、
前記炊飯からのパン焼きコースを行なう場合に、前記内蓋が有ることを検出すると、アラーム報知する構成としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項8】
前記内蓋の有無を検出する内蓋検出装置を備え、
前記炊飯コースを行なう場合に、前記内蓋が無いことを検出すると、アラーム報知する構成としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項9】
前記炊飯コースを行なう場合には、前記装着部に前記混錬具を装着せずに炊飯ができる構成とし、
前記炊飯からのパン焼きコースと前記炊飯コースで、前記容器を兼用させたことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つに記載の調理器。
【請求項10】
前記加熱手段は、前記容器の側部を加熱する第1加熱手段と、前記容器の下部を加熱する第2加熱手段とからなることを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項11】
前記混錬物をパン状に焼き上げる時には、前記第1加熱手段で主に前記容器を加熱し、前記炊飯加熱後に、前記容器内のご飯を混錬せずに仕上げる場合には、前記第2加熱手段で主に前記容器を加熱する構成としたことを特徴とする請求項10記載の調理器。
【請求項12】
前記混錬物をパン状に焼き上げる際に、前記第1加熱手段に前記第2加熱手段を併用して選択的に前記第2加熱手段を制御する構成としたことを特徴とする請求項10記載の調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−106850(P2013−106850A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255323(P2011−255323)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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