説明

論理ゲートと部分整流段とを有する電子回路

論理回路は部分整流された交流(ac)波形により電力供給される。この波形はクリーンな一次dc電源信号を提供しないという意味で部分整流されている。代わりに実質的なac成分を含む波形で論理回路に電力供給することが可能である。部分整流ac波形をアモルファスまたは多結晶有機半導体、無機半導体またはそれら2つの組み合わせによる薄膜トランジスタを組み込んだ論理回路に適用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は論理回路に関し、特に論理回路に電力供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ、ダイオード等などを含む薄膜回路デバイスは、集積回路、平面パネルディスプレイ、スマートカード、および無線識別(RFID)タグなどの多様な現代の電子デバイス内の論理回路を形成するために幅広く用いられている。薄膜回路デバイスは様々な導体、半導体および絶縁層を蒸着し、マスキングし、さらにエッチングして薄膜スタックを形成することにより形成される。
【0003】
典型的には薄膜トランジスタ(TFT)はアモルファスシリコンまたはセレン化カドミウムなどの無機半導体材料を基材にしている。近年では重要な研究および開発努力が有機半導体材料を利用して薄膜トランジスタ回路を形成するために向けられてきた。
【0004】
有機半導体材料は低処理温度などのトランジスタ製造に対する多数の製造上の利点を提供する。具体的には有機半導体材料は、薄肉ガラス、高分子または紙ベースの基板などの可撓性基板上の有機薄膜トランジスタ(OTFT)の製造を可能にする。
【0005】
加えて印刷、エンボス加工またはシャドーマスキングなどの低コスト製造技術を用いて有機半導体材料を形成することができる。OTFTの性能特性は継続的研究および開発により向上したが、デバイス性能および安定性は引き続き課題を提示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に本発明は部分整流交流(ac)波形により電力供給される論理回路を対象とする。この波形はクリーンな一次dc電源波形を提供しないという意味で部分的に整流されている。代わりに論理回路に実質的ac成分を含む波形で電力供給することができる。事実dc成分はそのままでは回路に電力供給するには十分ではない。本発明はアモルファスまたは多結晶有機半導体、無機半導体または両方の組み合わせに基づいた薄膜トランジスタを組み込んだ論理回路に適用し得る。
【0007】
安定性が向上するとOTFT回路を用いてインバータ、発振器、論理ゲート、レジスタおよび他のトランジスタベースの論理回路などの様々な薄膜トランジスタベースの論理回路デバイスを形成することが可能になり得る。このような論理回路デバイスは集積回路、平面パネルディスプレイ、スマートカードおよびRFIDタグなどの様々な用途に有用性がある。用途によっては論理回路に部分整流ac波形で電力供給することで全波ac−dc整流段を不要とし得る。
【0008】
フィルタリングコンデンサを必要とすることなく部分整流段をダイオード、トランジスタ等によって実現し得る。このようにして本発明は部分整流ac電源波形により電力供給される論理回路を収容する構成部品の製造時間、費用、コスト、複雑さおよびサイズを削減し得る。部分整流によりacおよびdc成分の両方とも存在する。ac部分がかなり大きくdc部分は小さい。dc部分はこの場合それ自体で論理回路に電力供給するには不十分である。典型的には論理回路は論理回路を構成するトランジスタの閾値電圧を超える電圧を必要とする。dcにより電力供給される回路においてdc電圧が閾値電圧未満である場合には回路は動作しない。ac電力供給によれば、ac成分が十分に大きい場合には閾値未満のdc成分を有することが可能であるとともになお回路に電力供給可能である。
【0009】
部分整流ac電源波形は論理ゲート回路に直接電力供給する。具体的にはdc電力を論理ゲートに印加する代わりに、ac電源と部分整流段とが部分整流ac電源波形を1つまたは複数の個々の論理ゲートに印加する。
【0010】
部分整流段は不十分な容量性フィルタリングを有する半波または全波整流器を含んで、部分整流ac電源波形として一次dc電源信号を生成し得る。このようにして全波または半波整流段に通常設けられる大きなフィルタリングコンデンサを排除またはサイズを削減することができるため、回路全体のサイズを削減することができる。
【0011】
部分整流ac電源波形により電力供給される論理回路を様々な電子デバイスにおいて用い得る。一例としてこのような論理回路は、ac波形が近接場電磁無線結合により誘導される無線IC(RFID)タグを対象とする用途において特に有用であり得る。ac波形を部分整流してRFIDタグにより収容される電子論理回路のいくつかまたはすべてに電力供給することができる。
【0012】
一実施例において本発明は、論理ゲートを形成するように配置された第1のトランジスタと第2のトランジスタと、ac電源波形を生成する交流(ac)電源と、ac電源波形から部分整流ac電源波形を生成するとともに部分整流ac電源波形を用いて論理ゲートに直接電力供給する部分整流段とを備える電子回路を提供する。論理ゲートは伝播遅延により特徴付けられ得る。ac波形は伝播遅延未満の期間を有し、伝播遅延の五分の一未満であることが好ましい。
【0013】
他の実施例において本発明は、少なくとも第1のトランジスタと第2のトランジスタとにより形成された論理ゲートに、交流(ac)電源から生成された部分整流交流(ac)電源波形で直接電力供給するステップを含む方法を提供する。
【0014】
さらなる実施例において本発明は、少なくとも第1のトランジスタと第2のトランジスタとにより形成された論理ゲートと、ac電源波形を提供する無線周波(RF)エネルギー結合デバイスと、ac電源波形から部分整流ac電源波形を生成するとともに部分整流ac電源波形を用いて論理ゲートに直接電力供給する部分整流段とを含む無線識別(RFID)タグを提供する。
【0015】
さらなる実施例において本発明は、論理ゲートを形成するように配置された第1および第2のトランジスタと、RFエネルギーを交流(ac)電源波形に変換する無線周波数(RF)変換器と、ac電源波形から部分整流ac電源波形を生成するとともに部分整流ac電源波形を用いて論理ゲートに直接電力供給する部分整流段と、情報を伝達する変調器とを含むRFIDタグと、RF変換器による変換のためにRFエネルギーをRFIDタグに送信するとともに、変調器により伝達された情報を読み取るRFIDリーダとを備える無線識別(RFID)システムを提供する。
【0016】
本発明は多数の利点を提供することができる。例えば部分整流ac電源波形を用いて論理回路に直接電力供給することで、回路にdc電力を送出するために多くの用途で通常必要とされる全波整流器または半波整流器構成部品のフィルタリングコンデンサを不要とし得る。従って部分整流ac電力の使用は薄膜トランジスタ回路を収容する構成部品の製造時間、費用、コスト、複雑さおよびサイズを削減し得る。
【0017】
RFIDタグの場合、具体的な例としてac電力供給される薄膜回路の使用は、典型的にはダイオードまたはトランジスタブリッジおよび大きなフィルタリングコンデンサを含むac−dc整流器段に関連する構成部品の多くをなくすかまたはサイズを削減することにより、タグのコストおよびサイズを大幅に削減し得る。整流器段の複雑さを低減することにより、部分整流ac波形により電力供給される薄膜論理回路は、RFIDタグの設計および製造において大幅なコスト節減およびサイズ削減をもたらすことが可能である。
【0018】
これらおよび他の実施例の更なる詳細は添付の図面と以下の説明とに記載されている。他の特徴と目的と利点とは説明と図面とからならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は部分整流ac波形により電力供給される回路10を示す回路図である。図1に示すようにac電源12はac電源波形を部分整流段14に送出する。部分整流段14はac電源波形を部分整流してデジタル論理回路16に電力供給する。信号源18は論理信号でデジタル論理回路16を駆動する。デジタル論理回路16は出力20において出力論理信号を生成する。コンデンサ22は出力20とグランドとを結合し得る。
【0020】
部分整流段14によってデジタル論理回路16に印加される波形は、従来デジタル論理回路に電力供給するために用いられるようなクリーンな一次dc電源信号を提供しないという意味で部分整流されている。代わりに本発明によればデジタル論理回路16に実質的なac成分を含む波形で電力供給することができる。
【0021】
部分整流波形を例えば、アモルファスまたは多結晶有機半導体、無機半導体もしくはそれら2つの組み合わせによる薄膜トランジスタを内蔵するデジタル論理回路16に印加し得る。部分整流ac電源波形を利用してデジタル論理回路16に電力供給することで多様な用途に対して満足なデバイス性能を提供することができる。例えばOTFT回路が部分整流ac電源波形により電力供給される場合、OTFT回路はdc電源信号がなくても満足な性能特性を発揮し得る。
【0022】
クリーンなdc電源信号のない満足な性能により、全波整流回路を必要とせずにTFT回路を利用して、インバータ、発振器、論理ゲート、レジスタまたは任意の他のトランジスタベース論理回路などの様々な薄膜トランジスタベース論理回路デバイスの形成が可能になり得る。このような論理回路デバイスは集積回路、平面パネルディスプレイ、スマートカードおよびRFIDタグなどの様々な用途に有用性がある。
【0023】
図2は半波ダイオードベース部分整流段14Aにより生成された部分整流ac波形により電力供給されるインバータ回路16Aを示す回路図である。図2に示すように、ダイオード26はac電源12により生成されたac波形の立ち下がり半周期のみを通す働きをすることにより、部分整流段14Aとして機能する。この例ではインバータ回路16Aは負荷トランジスタ28と駆動トランジスタ30とを含む。各トランジスタ28、30は薄膜電界効果トランジスタ(FET)であってもよく、アモルファスまたは多結晶無機半導体または有機半導体材料もしくはそれら2つの組み合わせによってもよい。コンデンサ22は出力20とグランドとを結合し得る。
【0024】
OTFTを形成するための有用な有機半導体材料にはアセン類およびその置換誘導体がある。アセン類の具体例にはアントラセン、ナフタレン、テトラセン、ペンタセン、および置換ペンタセン類(好適にはペンタセンまたはフッ化ペンタセン類などの置換ペンタセン類)がある。他の例には半導体ポリマ類、ペリレン類、フラーレン類、フタロシアニン類、オリゴチオフェン類、ポリチオフェン類、ポリフェニルビニレン類、ポリアセチレン類、金属フタロシアニン類および置換誘導体がある。有用なビス(2−アセニル)アセチレン半導体材料が、2003年7月15日に出願された同時係属米国特許出願第10/620027号明細書に記載されている。有用なアセン−チオフェン半導体材料が同時係属米国特許出願第10/641730号明細書に記載されている。薄膜トランジスタを形成するのに有用な無機半導体材料にはアモルファスシリコン、ポリシリコン、テルリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、およびセレン化カドミウムがある。
【0025】
代替例としてデジタル論理回路16Aを有機および無機半導体材料の組み合わせにより形成して、例えば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)インバータ回路を形成し得る。例えばある用途においてインバータ回路16Aをn型金属酸化膜半導体(NMOS)無機電界効果トランジスタ(FET)およびp型金属酸化膜半導体(PMOS)有機電界効果トランジスタ(FET)により形成し得る。OTFTを用いる場合、トランジスタ28、30を特に低コスト製造技術を用いた製造に特に適合可能にし得るとともに、用途によっては可撓性基板上に形成し得る。
【0026】
ac電源12はac電源波形をダイオード26に直接印加し、ダイオード26はac波形の一連の交互半周期の形状で部分整流波形をインバータ回路16Aに印加する。ある実施例では、フィルタリングコンデンサをダイオード26のカソードとグランドとの間に設け得る。しかしフィルタリングコンデンサは完全整流された、実質的にdc波形を生成するには容量が不十分である場合がある。逆にダイオード26はインバータ16Aに直接印加される部分整流ac波形のみを生成する。
【0027】
このようにインバータ16Aはdc電源波形の代わりに部分整流ac電源波形のみを受け取る。換言すればインバータ16Aは部分整流ac電源波形に応じて動作する。従って反転回路は、インバータが動作電力としてdc電源信号ではなく部分整流ac電源波形のみを受け取るのであれば、ac電源12とダイオード26とインバータ16Aとの間に存在し得る。図2の例において、部分整流ac電源波形は負荷トランジスタ28の共通ゲートとドレインの接続ならびに駆動トランジスタ30のソースに結合されたグランド接続の間に直接印加される。
【0028】
図3は半波トランジスタベース部分整流段14Bにより生成された部分整流ac波形により電力供給されるインバータ回路16Aを示す回路図である。図3に示すように、部分整流段14Bはトランジスタ34を含む。トランジスタ34のゲートとドレインとはac電源12の正端子に共通結合されている。トランジスタ34のソースは部分整流段14B用の出力ノードを形成するように結合されている。部分整流段14Bの出力ノードはインバータ回路16Aの負荷トランジスタ28のゲートおよびドレインの両方に結合されている。それ故図3の回路は図2の回路に実質的に相当するが、トランジスタベースの部分整流段14Bを含む。トランジスタ34は薄膜電界効果トランジスタ(FET)であり、アモルファスまたは多結晶無機または有機半導体材料、もしくはそれらの組み合わせをベースにし得る。
【0029】
また薄膜トランジスタベース論理回路、例えば図2および図3のインバータ16Aに電力供給する部分整流電源波形を使用することで、様々な用途に対する満足な性能をサポートする一方で回路の長期安定性を向上することができる。例えばインバータ16Aが部分整流ac波形により電力供給される場合、インバータはdc電力供給されたインバータに比べて満足な性能特性を示し得る。また部分整流ac波形によるインバータ16Aの動作はac−dc全波整流段を不要にする。
【0030】
図3に示すように、負荷トランジスタ28のゲートおよびドレインは、部分整流段14Bにより生成された部分整流ac波形を受け取るように結合されている。具体的には負荷トランジスタ28のゲートおよびドレインは両方ともトランジスタ34のソースに結合されている。駆動トランジスタ30のドレインは負荷トランジスタ28のソースに結合されているとともに、駆動トランジスタのソースはグランドに結合されている。信号源18は論理信号を生成して駆動トランジスタ30のゲートを駆動する。
【0031】
これに応じてインバータ16Aは反転出力20を生成し、これが負荷コンデンサ22の両端の出力となり得る。負荷コンデンサ22は反転出力20に存在するac電圧の一部をフィルタリングするように機能し得るとともに、よりクリーンな出力論理信号を提供する。フィルタリング量は負荷コンデンサ22の容量とac電力の周波数とに依存する。負荷コンデンサ22は、インバータ16Aが1つまたは複数のさらなる論理ゲートを駆動するように結合された場合、出力20に結合された論理ゲート内でのゲート/ソース・オーバーラップにより生成される入力容量により形成され得る。
【0032】
ゲート/ソース・オーバーラップを後段の論理ゲート内の駆動トランジスタの製造中に制御することにより負荷コンデンサ22の所望レベルの容量を生成し得る。代りに、特に出力20が他の論理ゲートを駆動しない場合には負荷コンデンサ22を独立して形成し得る。
【0033】
いくつかの実施例において負荷トランジスタ28は、駆動トランジスタ30のゲート幅対ゲート長比以上のゲート幅対ゲート長比を有し得る。この場合、回路の直流(dc)電力供給は、ゲイン低下のためNMOSまたはPMOS設計に対して論理ゲートの動作の低下を生じることもある。この設計によるNMOSおよびPMOSのリング発振器は例えば不安定であることもある。駆動トランジスタ30のゲート幅対ゲート長比以上の負荷トランジスタ28のゲート幅対ゲート長比を有するさらなる利点は総回路面積が減少することである。
【0034】
反転出力20は負荷コンデンサ22によりフィルタリングされ得るが、とくにインバータ16Aに印加される入力電源波形は通常フィルタリングされない。具体的には部分整流段14Bによって生成された部分整流ac波形は、インバータ16Aに対する一次dc信号を生成するのに十分な程度にまではフィルタリングされない。逆に部分整流段14Bにより生成された部分整流波形は実質的なac成分を含む。
【0035】
いくつかの実施例において比較的小さいフィルタリングコンデンサをトランジスタ34のソースとグランドとの間に結合し得るが、ac電源12により生成されたac電源波形の非整流部分のため、その容量は部分整流波形のばらつきを完全にフィルタリングするには通常不十分である。特に部分整流波形のac電源12により生成された負の非整流半周期と一致する部分は、なお部分整流波形の大きなばらつきをもたらすことになる。このように、回路または電子デバイスの全体サイズを削減することができるように、全波または半波整流段で通常提供される大きなフィルタリングコンデンサをなくすかまたは大きさを低減することができる。
【0036】
図4A、4Bおよび4Cはac電源波形および典型的な部分整流ac電源波形を概念的に示すグラフである。図4Aはac電源12により生成されるac電源波形21を示す。図4Aに示すようにac電源波形は実質的に正弦波であるとともに正の半周期23、25および負の半周期27を含む。本発明によれば部分整流段14はac電源波形21を部分的に整流して、例えば図4B又は4Cに示すような部分整流ac波形を生成する。
【0037】
図4Bの例では部分整流段14は、基本的に一次dc信号を生成するのに十分な容量性フィルタリングなしで半波整流により部分整流ac電源波形29Aを生成する。代わりに、部分整流ac電源波形29Aは正の半周期31と正の半周期33とを含むが、いかなる負の半周期もなくすとともに基準電圧レベルまで降下する。従って図4Bの例によれば部分整流段14は実質的に容量性フィルタリングを含まない。この結果部分整流波形29Aは基本的に、半周期31、33においてac電源波形21の正の半周期23、25の波形特性を保持する。線130は平均dc電圧を表わし、回路に電力供給するには不十分である。
【0038】
図4Cの例において部分整流段14は、正の半周期35、37を有する部分整流ac電源波形29Bを生成する。加えて部分整流段14は各半周期35、37に続く指数関数的テールオフ(tail off)39、41を生成する限定量の容量性フィルタリングを含み得る。半周期35および37のピークは回路に電力供給する十分な電圧を表わす。容量性フィルタリングはいくつかの実施例において部分整流段14の出力とグランドとの間に配置されたコンデンサにより提供され得る。図4Cに示すように容量は一次dc電源信号を生成するには不十分である。逆に部分整流波形29Bはac電源12により生成された元のac電源波形21(図4A)の実質的なac成分を保存し得る。線131は平均dc電圧を表わし、回路に電力供給するには不十分である。
【0039】
用途によっては論理回路16に部分整流ac波形で電力供給することで、回路に電力供給するのに十分なdc成分を生成する全波または半波ac−dc整流段を不要にする。代わりに電源は比較的単純な部分整流段14を含み得る。図2および3に示すように部分整流段14は大きなフィルタリングコンデンサを必要とすることなくダイオード、トランジスタ等によって実現され得る。このように本発明は部分整流ac電源波形により電力供給される論理回路を収容する構成部品の製造時間、費用、コスト、複雑さおよびサイズを削減し得る。
【0040】
部分整流ac電源波形により電力供給される論理回路を多様な電子デバイスで用い得る。一例としてこのような論理回路は、無線結合によりac波形が誘導される無線識別(RFID)タグを対象とする用途で特に有用であり得る。ac波形を部分整流してRFIDタグにより収容される電子論理回路のいくつかまたはすべてに電力供給することができる。半波整流器と共に用いられることが多いかなり大きいコンデンサを含む全波または半波整流器により通常必要とされる回路を不要にすることにより、RFIDタグのサイズを大幅に削減し得る。同様の小型化を他のタイプの電子デバイスで達成し得る。
【0041】
図5は半波ダイオードベース部分整流段14Aにより生成された部分整流ac波形によって電力供給される薄膜トランジスタベースNANDゲート回路38を示す回路図である。図5に示すようにNANDゲート40は負荷トランジスタ28と駆動トランジスタ30A、30Bとを含む。負荷トランジスタ28のゲートとドレインとは、ダイオード26を含む部分整流段14Aの出力に結合されている。
【0042】
第1の駆動トランジスタ30Aのドレインは負荷トランジスタ28のソースに結合されている。第2の駆動トランジスタ30Bのドレインは第1の駆動トランジスタ30Aのソースに結合されている。第2の駆動トランジスタ30Bのソースはグランドに結合されている。第1および第2の信号源18A、18Bはそれぞれ駆動トランジスタ30A、30Bのゲートを駆動する。これに応じてトランジスタ28、30A、30Bは論理NAND出力20を生成するNANDゲート40を形成している。
【0043】
図5のNAND回路40はダイオード26により生成された部分整流ac電源波形に応じて動作する。具体的には部分整流ac電源波形はNANDゲート40に直接結合されている。いくつかの実施例において負荷コンデンサを出力20の両端に結合し得る。負荷コンデンサを独立して形成、またはNANDゲート40の出力20により駆動される論理ゲートの入力容量により実現し得る。また結果的に得られる容量が一次dc電源信号を生成するには不十分であれば、フィルタリングコンデンサをダイオード26のカソードとグランドとの間に配置し得る。
【0044】
図6は半波トランジスタベース部分整流段14Bにより生成された部分整流ac波形によって電力供給されるNANDゲート回路42を示す回路図である。NANDゲート回路42はNANDゲート40を含み、図5のNAND回路38に実質的に相当するが、トランジスタ34を有するトランジスタベース部分整流段14Bを組み込んでいる。
【0045】
トランジスタベース部分整流段14Bは図3の部分整流段14Bと同等であり得る。図5の例において負荷コンデンサを図6の回路42の出力20の両端に結合し得る。加えて、結果的に得られる容量が一次dc電源信号を生成するには不十分であれば、フィルタリングコンデンサを部分整流段14Bの出力とグランドとの間に配置し得る。
【0046】
図7は部分整流ac波形によって電力供給される、NORゲート46を有する薄膜トランジスタベースNORゲート回路44を示す回路図である。図7は部分整流段14により生成された部分整流ac波形で動作する薄膜トランジスタベース論理回路の他の例を表わす。図7に示すようにトランジスタ28、50A、および50BはNORゲート46を形成している。第1および第2の駆動トランジスタ50A、50Bのドレインは負荷トランジスタ28のソースと出力20とに結合されている。
【0047】
第1および第2の駆動トランジスタ50A、50Bのソースはグランドに結合されている。第1および第2の信号源48A、48Bはそれぞれ駆動トランジスタ50A、50Bのゲートを駆動する。これに応じてNORゲート46は論理NOR出力20を生成する。NOR回路46は部分整流段14により送出された部分整流ac電源波形に応じて動作する。いくつかの実施例において負荷コンデンサを論理NOR出力20の両端に結合し得る。また、負荷コンデンサを独立して形成、またはNOR回路44の出力20により駆動される論理ゲートの入力容量により実現し得る。
【0048】
図8および9はそれぞれac電力供給される薄膜トランジスタベースリング発振回路51、53を示す回路図である。リング発振回路51および53は、例えば可撓性基板上に形成し得るOTFTによるインバータ段などの、部分整流ac電源波形により電力供給される論理ゲートを用いて実施できる他の回路の例である。図8および9に示すように、リング発振回路51および53は直列に配置された奇数のインバータ段を含む。図8および9の例ではリング発振回路51および53はそれぞれ負荷トランジスタ54A〜54Gと駆動トランジスタ56A〜56Gとを有する7個のインバータ段52A〜52Gを含む。
【0049】
リング発振回路51および53の各トランジスタ54および56は、部分整流ac波形により電力供給される薄膜電界効果トランジスタである。例えばac電源12はac電力を部分整流段14Bに送出する。図8および9の例では、ダイオードベース部分整流段または他の構成を用い得るが、部分整流段14Bはトランジスタベース部分整流段である。部分整流段14Bのトランジスタ34のソースは第1のインバータ段52Aの負荷トランジスタ54Aの共通ゲート−ドレインノードを駆動するように結合されている。図8の例ではフィルタリングコンデンサ55を場合によってはリング発振回路51内に部分整流段14Bの出力とグランドとの間に設け得る。図9ではフィルタリングコンデンサ55はリング発振回路53に設けられていない。
【0050】
図8および9の例では各インバータ段52A〜Gは、場合によってはそれぞれの負荷コンデンサ58A〜58Gの両端に結合される出力を有する。例えばインバータ段52Aの出力を負荷コンデンサ58Bの両端に結合し得るとともに、インバータ段52Gの出力を負荷コンデンサ58Aの両端に結合し得る。他の実施例において負荷コンデンサ58を省略し得る。各コンデンサ58はそれぞれのインバータ段の出力により駆動される後段のインバータ段52の駆動トランジスタ56内でゲート/ソース・オーバーラップにより生成される入力容量によって形成し得る。
【0051】
最終インバータ段52Gの出力60は、第1のインバータ段52Aの駆動トランジスタ56Aのゲートに結合されることによりフィードバックを提供する。図8および9のリング発振回路51、53は、部分整流段14Bにより送出された部分整流ac電源波形に応じて動作する。動作中、リング発振回路51はクロック信号を提供する。例えばリング発振回路51、53の各インバータ段52の出力を利用して所望位相を有するクロック信号を提供することができる。
【0052】
一般にリング発振回路51、53により生成される出力波形は、インバータ段52の数と個々のインバータ段により生じる伝播遅延とに依存する周波数を有することになる。伝播遅延はリング発振回路51、53に印加される部分整流ac波形の電圧と半導体材料の移動度とに反比例し、インバータ段52に存在する任意の適用可能寄生または外部容量に正比例する。
【0053】
リング発振回路51、53などの薄膜トランジスタ回路の動作は、高いac電源周波数で可能であり得る。実質的に回路51、53と同じリング発振回路を機能させると、例えば数百kHz〜6MHz以上程度のac電源周波数で動作し得る。半導体移動度が増加するにつれて、本明細書に説明するような部分整流ac電源波形により電力供給されるリング発振回路の使用が10MHzを超えるac電源周波数で当然期待できる。
【0054】
図10はRFIDタグ/リーダシステム66の部分整流ac電源波形により電力供給される薄膜トランジスタベース回路の適用を示すブロック図である。ac電力供給される薄膜トランジスタベース回路の使用は、以下に説明するように多数の理由のため、RFIDタグで特に望ましい場合がある。図10に示すようにRFIDタグシステム66はリーダユニット68とRFIDタグ70とを含み得る。
【0055】
リーダユニット68は無線周波数(RF)源74とリーダ72とを含み得る。RF源74はRFエネルギーをRFIDタグ70に送信して電源を提供する。このようにRFIDタグ70はバッテリなどの独立電源を収容する必要はない。代わりにRFIDタグ70は、リーダユニット68とRFIDタグとの間のワイヤレスエアインターフェースを介して電力供給される。この目的のためリーダユニット68は、事実上アンテナとして機能してRFエネルギーを送信および受信するインダクタ76を含む。
【0056】
図10にさらに示すようにRFIDタグ70はac電源73を含み得る。以下に説明するようにac電源73は、リーダユニット68により送信されたRFエネルギーをac電力に変換してRFIDタグ70により収容される薄膜トランジスタ回路に送出するように機能し得る。RFIDタグ70は受信器として機能するインダクタ78を介してリーダユニット68からのエネルギーを受信する。
【0057】
インダクタ78は、無線周波(RF)エネルギー結合デバイスとして機能して、リーダユニット68により送信されたRFエネルギーから吸収したRFエネルギーに基づいてac電源73用のac電源波形を提供する。必要に応じてコンデンサ(図示せず)をインダクタ78と並列に設けてもよい。
【0058】
部分整流段80はインダクタ78からac波形を受け取り、部分整流ac波形を生成してRFIDタグ70内のデジタル論理回路に電力供給する。RFIDタグ70は変調インバータ82と、出力バッファ回路84と、制御論理回路86と、クロック回路88と、データ回路90とをさらに含み、これらのうちの1つまたは複数を薄膜トランジスタ回路の配列により形成し得る。
【0059】
クロック回路88は制御論理回路86を駆動して、識別コードを伝送する複数のデータ線を備え得るデータ回路90からデータを出力する。出力バッファ回路84は制御論理回路86からの出力をバッファリングする。変調インバータ82は次にインダクタ76、78を介してリーダユニット68による解釈のためにバッファリングされた出力を変調する。例えば変調インバータ82はインダクタ78の両端に印加される信号を変調することにより情報を伝達する。
【0060】
図11は図10のRFIDタグ/リーダシステム66をさらに示す回路図である。図11に示すようにRF源74は、インダクタ76を介してac出力信号を送信するac発生器92を含み得る。用途によってはac発生器92は、およそ125kHzの周波数でおよそ0〜5アンペアの出力を有する正弦波電流源という形を取り得る。
【0061】
インダクタ76および78は、RF源とRFIDタグ70との間のRFエネルギーの電磁結合用変圧器を形成する。抵抗94を選択して電流を制限する。コンデンサ96をac電源73内にインダクタ78と並列に配置することにより、以下の式による電源の周波数を調整する並列共振タンクを形成し得る。
【数1】

ここでLはインダクタ78のインダクタンスであり、Cはコンデンサ96の容量である。
【0062】
50μHのインダクタンスおよび32nFの容量で、インダクタ78とコンデンサ96とがおよそ125kHzの共振周波数を発生する。したがってこの例ではac電源73の出力はおよそ125kHzの周波数を有する正弦波形である。インダクタ78により生成されたこの波形は部分整流段80によって部分整流されて、ac電源73の出力として部分整流ac電源波形を生成する。そして部分整流ac電源波形を電力端子および共通端子によって図11に示すようにクロック回路88と、制御論理回路86と、データ線90と、出力バッファ84と、変調インバータ82とに印加する。
【0063】
図11はnビット識別コードを収容するRFIDタグ70を示している。図示を容易にするためにRFIDタグ70は、データ線90によって指定される7ビットの識別コードを収容している。多くの用途においてRFIDタグ70はより大きな識別コード、例えば31ビット、63ビットまたは127ビットコードを収容し得る。いくつかの実施例では選択されたデータ線90は開始ビット識別と、データストリーム同期とエラーチェックとに用いられる情報を伝送し得る。図11の例ではクロック回路88は、帰還ループに配列された一連の7個のインバータ段により形成されたリング発振器である。
【0064】
図11のリング発振器は図8および9のリング発振器51または53と同様であり得る。2個の連続インバータの出力は、制御論理回路86内に設けられたそれぞれのNORゲートに印加される。このように7個のNORゲートを用いて、リング発振器により生成された各クロック周期内に一連の7個のパルスを発生する。なお制御論理回路86内のNORゲートの数は変更し得る。またこの配列を原理的により大きなビット数、例えばn=31、63または127に拡張することもできる。
【0065】
データ線90と直列に示されているスイッチは、一端でそれぞれのNORゲート出力に接続されている。スイッチが閉じている場合には、それぞれのデータ線はNORゲート出力をグランドに結合する。スイッチが開いている場合には、NORゲート出力は制御論理回路86内の7入力ORゲートへの入力のうちの1つとして結合される。
【0066】
図11の例では第2および第4のデータ線(左から右に)のスイッチが閉じられる。その結果データ線90は7ビット識別コード「1010111」を格納する。スイッチは例えばNORゲート出力からグランドに延びる金属線から作製することができる。グランドへの電気接続を製造中に意図的に切断または接続して事実上オープンスイッチを作製することにより、一意の識別コードをRFIDタグ70のデータ線90に符号化することができる。例えばレーザエッチング、機械的スクライビング、または電気溶断などの様々な製造技術によって電気接続を切断し得る。
【0067】
制御論理回路86内の7入力ORゲートの出力を、出力バッファ84の縦続接続されたバッファ増幅器に印加して、論理回路の出力インピーダンスを変調インバータ82の入力インピーダンスに一致させることを助ける。出力バッファ84内のバッファ増幅器の出力は変調インバータ82の入力に印加される。具体的にはタグ出力信号が変調インバータ82に関連する駆動トランジスタのゲートに印加される。その後変調インバータ82はインダクタ78とコンデンサ96とにより形成されるタンクのQを変調して、搬送波信号の振幅変調を提供する。このようにして、リーダ72は識別コードを読み取ることができるように受け取ったバッファ出力をリーダユニット68に伝える。具体的にはリーダ72はインダクタ76を介してL_タップで受信した信号を処理する。
【0068】
図12は図10のRFIDタグ/リーダシステム68に関連するリーダ72をさらに示す回路図である。リーダ72はL_タップを介して、クロック回路88の周波数に応じて1kHz程度であり得るタグ出力信号により変調された、例えば125kHzの搬送波信号を含む信号を受信する。低接合静電容量信号ダイオード102を用いて信号を復調する。ローパスフィルタ部98は搬送波周波数を除去し、インダクタ104と、コンデンサ106と、抵抗108と、インダクタ110と、コンデンサ112と抵抗114とを含み得る。増幅段100は、抵抗118および帰還抵抗120が反転入力に結合された非反転構成の増幅器116を含む。
【0069】
図13は部分整流ac電源波形により電力供給されて液晶(LC)表示素子124を駆動する、薄膜トランジスタベースインバータ回路122を示す回路図である。図13の例ではインバータ回路122は図2および3のインバータ回路16Aと実質的に同じである。しかしインバータ16の出力は液晶表示素子124を駆動する。具体的には液晶表示素子124の一方の電極は負荷トランジスタ28のソースと駆動トランジスタ30のドレインとに結合されている。液晶表示素子124の他方の電極はグランドに結合されている。図13に示すようにインバータ回路16は部分整流段14により電力供給され、そのため負荷トランジスタ28の共通ゲート/ドレイン接続において、部分整流ac電源波形を受け取る。LCD全体を駆動するにはインバータ16と同様のインバータをLCDの素子毎に設け得る。
【0070】
図14は発光ダイオード(LED)128を駆動するac電力供給される薄膜トランジスタベースインバータ回路126を示す回路図である。インバータ回路16は図2および3のインバータ回路16Aと実質的に同じであるがLED128を駆動する。LED128のカソードは負荷トランジスタ28のソースと駆動トランジスタ30のドレインとに結合されているとともに、LEDのアノードはグランドに結合されている。
【0071】
本発明は多数の利点を提供することができる。例えば部分整流ac波形により電力供給される論理回路および特にOTFTベース論理回路は、dc電力供給される薄膜トランジスタ回路と比べて満足な性能を示し得る。リング発振器の場合、例えば部分整流ac波形により電力供給される薄膜トランジスタ回路は、dc電力供給される薄膜トランジスタ回路と比べて満足な発振振幅を維持し得る。
【0072】
利点として論理回路に直接電力供給するための部分整流ac電源波形の使用は、全波整流器構成部品またはフィルタリングコンデンサを有する半波整流器構成部品を不要とし得るが、使用しない場合はこれらの要素は回路へdc電力を送出する多くの用途で必要とされる。従って従来の整流器構成部品を不要とすることによって、部分整流ac電力の利用が薄膜トランジスタ回路を収容する構成部品の製造時間、費用、コスト、複雑さおよびサイズを削減し得る。
【0073】
具体例としてRFIDタグの場合ac電力供給される薄膜回路の使用は、典型的には、ダイオードまたはトランジスタブリッジおよび大きなフィルタリングコンデンサなどのac−dc整流器段に関連する構成部品の殆どをなくすことにより、タグのコストとサイズとを大幅に削減し得る。整流器段の複雑さを低減することにより部分整流ac波形により電力供給される薄膜論理回路は、RFIDタグの設計および製造において大幅なコストおよびサイズ削減をもたらすことができる。
【0074】
本明細書に説明するように部分整流ac波形により電力供給される論理回路を形成するのに有用な薄膜トランジスタは、様々な形態を取り得るとともに様々な製造方法を用いて製造し得る。例えば薄膜トランジスタは有機半導体材料、無機半導体材料、またはその両方の組み合わせを含み得る。用途によっては有機および無機半導体材料を用いてCMOS薄膜トランジスタ回路を形成することができる。
【0075】
本明細書に説明するように部分整流ac波形により電力供給される論理回路を形成する際に有用な薄膜トランジスタには、米国特許第6433359号明細書、同第6768132号明細書および同第6616609号明細書、2003年11月6日に公開された米国特許出願公開第2003/0207505号明細書、2003年6月5日に公開された同第2003/0102471A1号明細書、いずれも2003年8月14日に公開された同第2003/0151118A1号明細書、同第2003/0150384A1号明細書および同第2003/0152691A1号明細書に記載された技術により製造される薄膜トランジスタがあるがこれに限定されるものではない。
【0076】
本発明の精神と範囲とから逸脱することなく様々な変更が可能である。例えば部分整流段の特定例を説明したが、他の部分整流段を設けて同様な部分整流結果を達成し得る。さらに様々な論理回路は部分整流波形を利用して論理回路に電力供給する恩恵を被る。従って本明細書に説明した例を本発明の範囲の限定として考えるべきではない。これらのおよび他の実施例は以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】部分整流ac波形により電力供給されるデジタル論理回路の回路図を示す図である。
【図2】半波ダイオードベース部分整流段により生成された部分整流ac波形により電力供給されるインバータ回路の回路図を示す図である。
【図3】半波トランジスタベース部分整流段により生成された部分整流ac波形により電力供給されるインバータ回路の回路図を示す図である。
【図4A】ac電源波形および典型的な部分整流ac電源波形を概念的に示すグラフを示す図である。
【図4B】ac電源波形および典型的な部分整流ac電源波形を概念的に示すグラフを示す図である。
【図4C】ac電源波形および典型的な部分整流ac電源波形を概念的に示すグラフを示す図である。
【図5】半波ダイオードベース部分整流段により生成された部分整流ac波形によって電力供給されるNANDゲート回路の回路図を示す図である。
【図6】半波トランジスタベース部分整流段により生成された部分整流ac波形によって電力供給されるNANDゲート回路の回路図を示す図である。
【図7】部分整流ac波形によって電力供給されるNORゲート回路の回路図を示す図である。
【図8】フィルタリングコンデンサを有する半波トランジスタベース整流器段により生成された部分整流ac波形によって電力供給される、薄膜トランジスタベースリング発振回路の回路図を示す図である。
【図9】フィルタリングコンデンサのない半波トランジスタベース整流器段により生成された部分整流ac波形によって電力供給される、薄膜トランジスタベースリング発振回路の回路図を示す図である。
【図10】RFIDタグ/リーダシステムのac電力供給される薄膜トランジスタ回路の適用を説明するブロック図を示す図である。
【図11】図10のRFIDタグ/リーダシステムをさらに説明する回路図を示す図である。
【図12】図10のRFIDタグ/リーダシステムに関連するリーダをさらに説明する回路図を示す図である。
【図13】部分整流ac波形により電力供給されて液晶表示素子を駆動するインバータ回路の回路図を示す図である。
【図14】部分整流ac波形により電力供給されて発光ダイオード(LED)を駆動するインバータ回路の回路図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路であって、
論理ゲートを形成するように構成された第1のトランジスタと第2のトランジスタと、
ac電源波形を生成する交流(ac)電源と、
前記ac電源波形から部分整流ac電源波形を生成するとともに該部分整流ac電源波形を用いて前記論理ゲートに直接電力供給する部分整流段と、
を備え、前記部分整流ac電源波形がac成分と直流(dc)成分とを含み、前記dc成分が回路に電力供給するには不十分である電子回路。
【請求項2】
前記部分整流段が出力フィルタリングコンデンサを含む、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記部分整流段が出力フィルタリングコンデンサを含まない、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記部分整流段が、前記部分整流ac電源波形として一次直流(dc)電源信号を生成するには不十分な容量性フィルタリングを有する半波整流器を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記部分整流段がトランジスタベース整流器を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記部分整流段がダイオードベース整流器を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項7】
前記論理ゲートがインバータ、NORゲート、およびNANDゲートのうちの1つを含む、請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記論理ゲートがアナログ増幅器を形成する、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
表示素子をさらに備え、前記論理ゲートが該表示素子を駆動するように結合されている、請求項1に記載の回路。
【請求項10】
前記回路が一連のインバータ段を含み、該インバータ段がリング発振器の少なくとも一部を形成するように結合されている、請求項1に記載の回路。
【請求項11】
複数のデータ線と、
前記リング発振器により生成されたクロック信号に応じて前記データラインからデータを選択的に出力する複数の論理ゲートと、をさらに備える、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記トランジスタのうちの少なくとも1つが有機薄膜トランジスタである、請求項1に記載の回路。
【請求項13】
前記トランジスタのうちの少なくとも1つの半導体材料がペンタセン、酸化亜鉛、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンのうちの1つである、請求項1に記載の回路。
【請求項14】
前記第1のトランジスタがn型トランジスタであるとともに、前記第2のトランジスタがp型トランジスタである、請求項1に記載の回路。
【請求項15】
前記論理ゲートが無線識別(RFID)タグを形成する、請求項1に記載の回路。
【請求項16】
前記トランジスタのうちの少なくとも1つが無機薄膜トランジスタである、請求項1に記載の回路。
【請求項17】
少なくとも第1のトランジスタと第2のトランジスタとにより形成された論理ゲートに、ac電源から生成された部分整流交流(ac)電源波形を用いて直接電力供給するステップを有し、該部分整流ac電源波形がac成分と直流(dc)成分とを含み、該dc成分が前記論理ゲートに電力供給するには不十分である方法。
【請求項18】
前記論理ゲートに電力供給する適用前に、コンデンサで前記部分整流ac電源波形をフィルタリングするステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ac電源により生成されたac電源波形を部分整流段で部分整流して前記部分整流ac電源波形を生成するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記部分整流段が、前記部分整流ac電源波形として一次直流(dc)電源信号を生成するには不十分な容量性フィルタリングを有する半波形整流器を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記部分整流段がトランジスタベース整流器を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記部分整流段がダイオードベース整流器を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記トランジスタのうちの少なくとも1つが有機薄膜トランジスタである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記トランジスタのうちの少なくとも1つが無機薄膜トランジスタである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
無線識別(RFID)タグであって、
論理ゲートを形成するように構成された第1および第2のトランジスタと、
RFエネルギーを交流(ac)電源波形に変換する無線周波数(RF)変換器と、
前記ac電源波形から部分整流ac電源波形を生成するとともに該部分整流ac電源波形を用いて前記論理ゲートに直接電力供給する部分整流段であって、該部分整流ac電源波形がac成分と直流(dc)成分とを含み、該dc成分が前記論理ゲートに電力供給するには不十分である、部分整流段と、
情報を伝達する変調器と、
を備える無線識別(RFID)タグ。
【請求項26】
無線識別(RFID)システムであって、
a)請求項25に記載のRFIDタグと、
b)前記RF変換器による変換のためにRFエネルギーを前記RFIDタグに送信するとともに、前記変調器により伝達された情報を読み取るRFIDリーダと、
を備える無線識別(RFID)システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−515135(P2007−515135A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545630(P2006−545630)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036344
【国際公開番号】WO2005/062241
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】