説明

論理モジュール

【課題】 論理モジュールを汎用化し、検証対象論理の回路構成に容易に合わせることができ、検証対象論理をプログラム可能な複数の論理素子にプログラムする工数と作成費用を大幅に低減することができる論理モジュールを提供する。
【解決手段】 本論理モジュールは、FPGA101,102と、外部と接続するためのソケットコネクタ105およびヘッダコネクタ106と、FPGA101,102およびコネクタ105,106に配線で接続された接続切替回路103とを基板に備える。FPGA101とコネクタ105とは配線で接続される。接続切替回路103は、FPGA101とFPGA102との接続およびコネクタ105とコネクタ106との接続を行う第1の接続と、FPGA101とコネクタ106との接続およびFPGA102とコネクタ105との接続を行う第2の接続とを切替可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム可能な複数の論理素子に検証対象の論理をプログラムし、大規模集積回路の論理の検証を行うハードウェアエミュレーション用の論理モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバやネットワーク等の情報処理装置に適用する大規模集積回路(LSI)の大規模化、多ピン化、小形化が進んでいる。このようなLSIを設計する際に、LSIの論理検証精度を向上させるために、従来のソフトウェアエミュレーション技術に加え、プログラム可能な論理素子であるFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いたハードウェアエミュレーションをLSIの論理検証に適用する方式が用いられている。しかしながら、近年のLSIのゲート規模増大に伴い、論理検証には多数のFPGAを必要とするようになってきた。
【0003】
この要求に対応するためには、複数のFPGAを搭載した論理モジュールを複数用意し、複数の論理モジュールに論理分割し、これらを論理モジュールの外部接続用のコネクタを介し論理モジュールを多段接続してハードウェアエミュレーション装置を構築し、論理検証対象のシステムボードに接続する必要があった。
【0004】
検証用論理モジュールの例としては、例えば特開2001−318124号公報に記載の技術が挙げられる。従来の手法では、複数存在する論理モジュールを論理モジュールの外部接続用コネクタを介し論理モジュールを多段に接続し論理モジュールの上段または下段に積み上げしてゲート規模の増大に対処していた。
【特許文献1】特開2001−318124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、検証対象論理の回路構成に合致する専用の論理モジュールを作成する必要があり、工数と費用が非常にかかるものであった。
【0006】
本発明の目的は、論理モジュールを汎用化し、検証対象論理の回路構成に容易に合わせることができ、検証対象論理をプログラム可能な複数の論理素子にプログラムする工数と作成費用を大幅に低減することができる論理モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するための第1および第2のコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに第1および第2のコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記第1コネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記第1コネクタと前記第2のコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記第2のコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記第1コネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能である論理モジュールにより、達成される。
【0008】
ここで、前記接続切替回路は、前記第1の接続に保持されることができ、または前記第2の接続に保持されることができる。
【0009】
また、外部と接続するための第3および第4のコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに第3および第4のコネクタに配線で接続された他の接続切替回路とを前記基板に備え、前記第1論理素子と前記第3コネクタとが配線で接続され、前記他の接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記第3コネクタと前記第4のコネクタとの接続を行う第3の接続と、前記第1論理素子と前記第4のコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記第3コネクタとの接続を行う第4の接続とを切替可能とすることができる。この場合、前記接続切替回路および前記他の接続切替回路の切替は、それぞれ個別に設定可能とすることができる。
【0010】
さらに、前記接続切替回路は、前記第1論理素子からの接続切替制御信号により切替可能とすることができ、また前記他の接続切替回路は、前記第1論理素子からの接続切替制御信号により切替可能とすることができる。また、前記接続切替回路は、人手により切替可能とすることができる。この場合、前記人手による切替は前記第1論理素子からの接続切替制御信号よりも優先される。
【0011】
また、本発明に係る論理モジュールは、プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するためのソケットコネクタおよびヘッダコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに前記ソケットコネクタおよびヘッダコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記ソケットコネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記ソケットコネクタと前記ヘッダコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記ヘッダコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記ソケットコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能である。
【0012】
さらに、本発明に係る論理モジュールは、プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するためのソケットコネクタおよびヘッダコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに前記ソケットコネクタおよびヘッダコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記ヘッダコネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記ソケットコネクタと前記ヘッダコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記ソケットコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記ヘッダコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能である。ここで、前記接続切替回路は、前記第1の接続に保持されることができ、または前記第2の接続に保持されることができる。
【0013】
また、本発明に係る論理モジュールは、プログラム可能な第1の論理素子と、外部と接続するための第1および第2のコネクタと、前記第1の論理素子並びに第1および第2のコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記第1コネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1コネクタと前記第2のコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記第2のコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能である。
【0014】
さらに、本発明に係る論理モジュールは、前記論理モジュールを複数備えることができ、この場合、前記論理モジュールの第1コネクタと他の前記論理モジュールの第2のコネクタとが接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検証対象の論理規模が比較的小さな場合、1つの論理モジュールの中で検証対象論理の回路構成に合わせて、複数のプログラム可能な論理素子間の接続経路を切り替えることができる。また、検証対象の論理規模が大きな場合、2つ以上の論理モジュールを多段接続することで外部接続用コネクタを介して接続された他方の論理モジュール内の複数のプログラム可能な論理素子間との接続経路を切り替えることができるため、検証対象の論理規模に応じて必要な数の論理モジュールを使用することができ、検証対象論理をプログラム可能な複数の論理素子にプログラムする工数と論理モジュールの作成費用を大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
論理モジュール内の配線接続構成例を図1、2、3を用いて説明する。
【0017】
論理モジュールは、複数のプログラム可能な論理素子と、外部と接続するためのコネクタと、前記複数のプログラム可能な論理素子と前記コネクタとを接続するための接続切替回路とを基板に備えたボードである。図1は、前記プログラム可能な論理素子の代表であるFPGAを用い、FPGA101とFPGA102の2つを実装した本発明に係る論理モジュールの一実施例を示す図である。図示のように、外部接続用ソケットコネクタ105は、論理信号用配線(以下、単に「配線」という)110でFPGA101と接続切替回路103に接続され、配線111でFPGA101に接続される。外部接続用ソケットコネクタ107は、配線120でFPGA101と接続切替回路104に接続され、配線121でFPGA101に接続される。外部接続用ヘッダコネクタ106は、配線113で接続切替回路103に接続され、配線114でFPGA101に接続される。外部接続用ヘッダコネクタ108は、配線123で接続切替回路104に接続され、配線124でFPGA101に接続される。また、接続切替回路103は配線112でFPGA101と接続され、配線115でFPGA102と接続される。同様に、接続切替回路104は配線122でFPGA101と接続され、配線125でFPGA102と接続される。すなわち、接続切替回路103は、外部接続用ソケットコネクタ105と接続した配線110と外部接続用ヘッダコネクタ106と接続した配線113の間、および配線112と配線115の間に実装される。同様に、接続切替回路104は、外部接続用ソケットコネクタ107と接続した配線120と外部接続用ヘッダコネクタ108と接続した配線123、および配線122と配線125の間に実装される。各配線は1本または複数本で構成することができる。
【0018】
接続切替回路103,104の構成例を図8に示す。配線410、配線411と、配線420、配線421との間にそれぞれMOSFET401,402,403,404を実装する。接続切替制御ピン430の信号が”Low”のとき、MOSFET401、404がONし、MOSFET402,403がOFFすることにより、配線410と配線420、および配線411と配線421が接続される。一方、接続切替制御ピン430の信号が”High”のとき、MOSFET401、404がOFFし、MOSFET402,403がONすることにより、配線410と配線421、配線411と配線420が接続される。この接続切替制御ピン430に接続切替制御信号を入力することで、配線の経路を切り替えることができる。
【0019】
接続切替制御信号116は、接続切替制御信号出力回路をFPGA101に実装して、検証対象論理の回路構成に対応して”High”または”Low”を出力する。接続切替制御信号116が”Low”のとき、配線110と配線113が接続され、および配線112と配線115が接続される。
【0020】
接続切替制御信号126は、接続切替制御信号出力回路をFPGA101に実装して、検証対象論理の回路構成に対応して”High”または”Low”を出力する。接続切替制御信号126が”Low”のとき、配線120と配線123が接続され、および配線122と配線125が接続される。
【0021】
このときの配線接続形態を図2に示す。図2に示すように、FPGA101は、外部接続用ソケットコネクタ105と接続した配線110および外部接続用ソケットコネクタ107と接続した配線120に接続され、同時に外部接続用ヘッダコネクタ106と接続した配線113および外部接続用ヘッダコネクタ108と接続した配線123に接続される。FPGA101とFPGA102とは、配線112と配線115、および配線122と配線125で接続される構成となる。以下、接続切替回路による本接続構成をバス・スルー接続と言う。
【0022】
一方、接続切替制御信号116が”High”のとき、外部接続用ソケットコネクタ105と接続した配線110と配線115が接続され、配線112と外部接続用ヘッダコネクタ106と接続した配線113が接続される。同様に、接続切替制御信号126が”High”のとき、外部接続用ソケットコネクタ107と接続した配線120と配線125が接続され、配線122と外部接続用ヘッダコネクタ108と接続した配線123が接続される。
【0023】
このときの配線接続形態を図3に示す。図3に示すように、FPGA101は、外部接続用ソケットコネクタ105と接続した配線110、外部接続用ソケットコネクタ106と接続した配線113と配線112、外部接続用ソケットコネクタ107と接続した配線120、および外部接続用ソケットコネクタ108と接続した配線123と配線122にバス接続される。FPGA102は、外部接続用ソケットコネクタ105と接続した配線110と配線115、および外部接続用ソケットコネクタ107と接続した配線120と配線125にバス接続される。以下、接続切替回路による本接続構成をバス・ストップ接続と言う。なお、本例では接続切替制御信号出力回路をFPGA101に実装したことを示したが、FPGA102に実装することも可能である。
【0024】
図1において、外部接続用ソケットコネクタおよび外部接続用ヘッダコネクタに接続した配線とFPGA101,102の間に実装した接続切替回路の接続構成を上下入れ替えた構成とすることで、前記バス・スルー接続またはバス・ストップ接続を実現することも可能である。この接続構成を図10に示す。
【0025】
図10において、外部接続用ヘッダコネクタ606は、配線613でFPGA601と接続切替回路603に接続され、配線614でFPGA601に接続される。外部接続用ヘッダコネクタ608は、配線623でFPGA601と接続切替回路604に接続され、配線624でFPGA601に接続される。外部接続用ソケットコネクタ605は、配線610で接続切替回路603に接続され、配線611でFPGA601に接続される。外部接続用ソケットコネクタ607は、配線620で接続切替回路604に接続され、配線621でFPGA601に接続される。また、接続切替回路603は配線615でFPGA601と接続され、配線612でFPGA602と接続される。同様に、接続切替回路604は配線625でFPGA601と接続され、配線622でFPGA602と接続される。すなわち、接続切替回路603は、外部接続用ヘッダコネクタ606と接続した配線613と外部接続用ソケットコネクタ605と接続した配線610の間、および配線615と配線612の間に実装される。同様に、接続切替回路604は、外部接続用ヘッダコネクタ608と接続した配線623と外部接続用ソケットコネクタ607と接続した配線620、および配線625と配線622の間に実装される。ここで、接続切替回路603,604および接続切替制御信号616,626によるバス・スルー接続またはバス・ストップ接続の実現方法は前記図2、図3における説明と同様である。
【0026】
また、図1において検証対象論理の回路構成によりFPGA101のみに回路をプログラムするだけで良い場合は、FPGA102を実装しないことも可能である。このようなときは、図3のバス・ストップ接続で使用する。外部接続用ソケットコネクタ105、107と接続した配線110、配線111、配線120、配線121の全ての配線がFPGA101に接続され、外部接続用ヘッダコネクタ106、108と接続した配線112と配線113、配線114、配線122と配線123、配線124の全ての配線がFPGA101に接続される。このように、FPGA101で使用することが可能な配線を外部接続用ソケットコネクタ105,107および外部接続用ヘッダコネクタ106、108に接続することができる。
【0027】
このように接続切替回路103、104を実装し、接続切替制御信号出力回路が出力する接続切替制御信号でFPGA間の信号接続経路を切り替えることができ、検証対象論理の回路構成に対応して論理モジュールの中の信号接続形態を最適化することができる。
接続切替制御信号116および126は、接続切替制御信号出力回路を個々に備えることで接続切替回路103および104を個別に設定することができる。接続切替制御信号116を”Low”として接続切替回路103を前記図2に示すバス・スルー接続とし、接続切替制御信号126を”High”として接続切替回路104を前記図3に示すバス・ストップ接続とすることが可能である。この逆も可能である。
【0028】
なお、接続切替回路の接続切替制御信号はスイッチ等により人手切替をすることも可能である。図9に接続切替制御信号出力回路とスイッチ等による人手切替回路の両方を備えた回路の一実施例を示す。FPGA500に実装した接続切替制御信号出力回路が出力する配線と、トライステートIC502が出力する配線を結線して接続切替制御信号用配線520とし、接続切替回路501に接続する。トライステートIC502は、イネーブル制御スイッチ510により出力を制御され、前記スイッチがONの時、接続切替制御信号設定スイッチ511のONまたはOFFの状態が、接続切替制御信号用配線520に”Low”または”High”として出力される。一方、前記スイッチがOFFの時、トライステートIC502の出力がディセーブル状態となりFPGA500に実装した接続切替制御信号出力回路の出力が接続切替制御信号用配線520の出力になる。
【0029】
このように、プログラム可能なFPGAに実装した接続切替制御信号出力回路による接続経路の切り替えと、スイッチ等による人手操作による接続経路の切り替えの両方を実現することができる。本実施例では、人手操作によるスイッチの設定が、接続切替制御信号出力回路の設定より優先される。なお、図9ではトライステートICを使用した例を示したが、他のIC等にて同様の回路を構成してもよい。
【0030】
本論理モジュールは、外部接続コネクタを介し他の論理モジュールと接続することができる。複数の論理モジュールを接続することにより、より大規模な検証対象論理にも対応することができる。
【0031】
図4,5に本論理モジュールを2段接続した場合の一実施例を示す。図4,5において、2段目接続の論理モジュール200は、FPGA201,202、接続切替回路203,204、外部接続用ソケットコネクタ205,207、外部接続用ヘッダコネクタ206,208、配線210,211,212,213,214,215、220,221,222,223,224,225、および接続切替制御信号216、226を備える。この論理モジュール200における接続関係は上述の論理モジュール100における接続関係と同様である。なお、同様な構成を追加することで論理モジュールの3段目以降の多段接続も可能である。
【0032】
図4は、論理モジュール100,200を外部接続用ヘッダコネクタ106と外部接続用ソケットコネクタ205、および外部接続用ヘッダコネクタ108と外部接続用ソケットコネクタ207を接続し、接続切替制御信号116、126、216、226が”Low”のときの信号接続形態を示す。
【0033】
論理モジュール100の配線110がFPGA101に接続され外部接続用ヘッダコネクタ106、外部接続用ソケットコネクタ205を介して論理モジュール200の配線210に接続されFPGA201接続される。同様に、論理モジュール100の配線120がFPGA101に接続され外部接続コネクタ108、207を介して論理モジュール200の配線220に接続されFPGA201接続される。
これにより、配線110および配線120がFPGA101とFPGA201でバス接続される構成となる。また、FPGA102はFPGA101に配線112と配線115、および配線122と配線125で接続され、FPGA202はFPGA201に配線212と配線215、および配線222と配線225で接続される。
【0034】
一方、図5は、論理モジュール100,200を外部接続用ヘッダコネクタ106と外部接続用ソケットコネクタ205、および外部接続用ヘッダコネクタ108と外部接続用ソケットコネクタ207で接続し、接続切替制御信号116、126、216、226が”High”のときの信号接続形態を示す。
【0035】
論理モジュール100の配線110がFPGA101とFPGA102に接続される。配線112と配線113は外部接続用ヘッダコネクタ106,外部接続用ソケットコネクタ205を介して論理モジュール200の配線210に接続されFPGA201とFPGA202に接続される。同様に、論理モジュール100の配線120がFPGA101とFPGA102に接続される。配線122と配線123は外部接続用ヘッダコネクタ108,外部接続用ソケットコネクタ207を介して論理モジュール200の配線220に接続されFPGA201とFPGA202に接続される。
これにより、配線110および配線120はFPGA101とFPGA102に接続され、FPGA201とFPGA202は、配線112と配線113、および配線122と配線123を通してFPGA101と接続される構成となる。
上記図4、図5の例においては、2段接続する論理モジュールはバス・ストップ接続どうし、バス・スルー接続どうしの例を示したが、異なる接続の論理モジュールを多段接続できることはいうまでもない。
【0036】
次に、システムボードと論理モジュールを接続して構築するハードウェアエミュレーション装置において、一般的な検証対象となる論理回路の例を図6、7に示し、本発明の論理モジュールに検証対象論理をプログラム可能な論理素子にプログラムする方法について述べる。
【0037】
図6の論理回路300は、内部の論理回路301と論理回路302の2つから構成される。システムボード303と論理回路301は配線310で接続され、論理回路301と論理回路302は配線311で接続されている。
【0038】
このような論理回路300を論理モジュールにプログラムするときは、FPGA101内に接続切替信号出力回路を設け、前記接続切替信号出力回路の出力を接続切替信号116とし、論路回路301と302および301とシステムボード303の接続形態に対応した接続になるように接続切替信号116を”Low”にする。また、システムボード303と接続する配線310は、配線110、111にアサインし、論理回路301と論理回路302を接続する配線311は、配線112と配線115にアサインする様にFPGA101、102のピン情報を作成する。このように作成した論理回路301のFPGA回路データをFPGA101にプログラムし、論理回路302のFPGA回路データをFPGA102にプログラムすることで論理回路300の回路構成を変更することなく容易に論理モジュール100にプログラムすることができる。
【0039】
システムボード303と接続する配線310または、論理回路301と論理回路302を接続する配線311の本数が多く、配線110,111または、配線112と配線115では不足する場合、接続切替回路103側と同様に、接続切替回路104を使用することも可能である。
【0040】
図7の論理回路350は、内部の論理回路351と論理回路352の2つから構成される。システムボード353と論理回路351、論理回路352とは配線360でバス接続されている。
【0041】
このような論理回路350を論理モジュールにプログラムするときは、前記と同様にFPGA101内に接続切替信号出力回路を設け、前記接続切替信号出力回路の出力を接続切替信号116とし、論路回路351と352およびシステムボード353の接続形態に対応した接続になるように接続切替信号116を”High”にする。また、システムボード353と接続する配線360は、配線110にアサインする様にFPGA101、102のピン情報を作成する。このように作成した論理回路351のFPGA回路データをFPGA101にプログラムし、論理回路352のFPGA回路データをFPGA102にプログラムすることで論理回路350の回路構成を変更することなく容易に論理モジュール100にプログラムすることができる。
【0042】
システムボード353と接続する配線360の本数が多く、配線110では不足する場合、接続切替回路103側と同様に、接続切替回路104を使用することも可能である。
また、本発明の論理モジュールにプログラムすることができる論理規模を超える検証対象論理をプログラムするときは、論理モジュールを必要な分だけ多段接続することで容易に対応することができる。
【0043】
以下は、本発明の論理モジュールの多段接続の特徴を簡潔に説明するため、2段接続構成における一実施例について述べる。
図6の論理回路301,302が、論路規模が大きく論理モジュール100のFPGA101、102のみではプログラムすることができず、論理モジュールを2段接続する構成を必要とした場合について述べる。
【0044】
FPGA101、201内に接続切替信号出力回路を設け、前記接続切替信号出力回路の出力を接続切替信号116、216とし、論路回路301と302および301とシステムボード303の接続形態に対応した接続になるように接続切替信号116、216を”High”にする。また、システムボード303と接続する配線310は、配線110と配線115、配線111にアサインし、論理回路301と論理回路302を接続する配線311は、配線112と配線113、配線114を介し、配線210と配線215、配線211アサインする様にFPGA101、102、201,201のピン情報を作成する。一方。論理回路301は、論理規模が大きいため、FPGA101、102に論理分割する。同様に、論理回路302も、論理規模が大きいため、FPGA201、202に論理分割する。このように作成した論理回路301のFPGA回路データをFPGA101、102にプログラムし、論理回路302のFPGA回路データをFPGA201,202にプログラムすることで論理回路300の回路構成を変更することなく容易に論理モジュール100、200の2つにプログラムすることができる。
【0045】
同様に、図7の論理回路351,352が、論路規模が大きく論理モジュール100のFPGA101、102のみではプログラムすることができず、論理モジュールを2段接続する構成を必要とした場合について述べる。
FPGA101、201内に接続切替信号出力回路を設け、前記接続切替信号出力回路の出力を接続切替信号116、216とし、論路回路351と352およびシステムボード353の接続形態に対応した接続になるように接続切替信号116、216を”Low”にする。また、システムボード353と接続する配線360は、配線110と配線113を介し、配線210と配線213にアサインする。FPGA101、102およびFPGA201,202間を接続する配線は、それぞれ配線112と配線115、および配線212と配線215にアサインする様にFPGA101、102、201,201のピン情報を作成する。一方。論理回路351は、論理規模が大きいため、FPGA101、102に論理分割する。同様に、論理回路352も、論理規模が大きいため、FPGA201、202に論理分割する。このように作成した論理回路351のFPGA回路データをFPGA101、102にプログラムし、論理回路352のFPGA回路データをFPGA201,202にプログラムすることで論理回路300の回路構成を変更することなく容易に論理モジュール100、200の2つにプログラムすることができる。
【0046】
上記実施例においてはプログラム可能な論理素子は2個の場合について説明したが、3個以上のプログラム可能な論理素子を用いた論理モジュールに応用できることはいうまでもない。例えば、図1において、FPGA101、および/またはFPGA102にそれぞれ拡張用FPGAを接続してもよい。また、図1におけるFPGA101、およびFPGA102に拡張用FPGAを接続し、接続切替回路104への接続をFPGA101、FPGA102の代わりにこれら拡張用FPGAを接続する構成とすることもできる。さらにまた、FPGA101、および/またはFPGA102にプログラム可能な論理素子以外の論理素子あるいは記憶素子などを接続することにより多様な論理回路に対応できることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、プログラム可能な複数の論理素子に検証対象の論理をプログラムし、大規模集積回路の論理の検証を行うハードウェアエミュレーション用の論理モジュールに関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の論理モジュールの信号接続方式の一実施例である。
【図2】論理モジュールの信号接続経路切り替えの一実施例である。
【図3】論理モジュールの信号接続経路切り替えの一実施例である。
【図4】論理モジュールを2段接続したときの信号接続例を示す図である。
【図5】論理モジュールを2段接続したときの信号接続例を示す図である。
【図6】一般的な論理回路のポイント・トゥ・ポイント接続構成例を示す図である。
【図7】一般的な論理回路のバス接続構成例を示す図である。
【図8】接続切替回路の動作を示す図である。
【図9】接続切替制御信号出力回路とスイッチによる人手切替回路の両方を備えた一実施例である。
【図10】図1において外部接続用ヘッダコネクタと接続する配線とバス接続する一実施例である。
【符号の説明】
【0049】
100・・・1段目接続の論理モジュール
101,102・・・FPGA
103,104・・・接続切替回路
105,107・・・外部接続用ソケットコネクタ
106,108・・・外部接続用ヘッダコネクタ
110,111,112,113,114,115・・・配線
116・・・接続切替制御信号
120,121,122,123,124,125・・・配線
126・・・接続切替制御信号
200・・・2段目接続の論理モジュール
201,202・・・FPGA
203,204・・・接続切替回路
205,207・・・外部接続用ソケットコネクタ
206,208・・・外部接続用ヘッダコネクタ
210,211,212,213,214,215・・・配線
216・・・接続切替制御信号
220,221,222,223,224,225・・・配線
226・・・接続切替制御信号
300,301,302・・・論理回路
303・・・システムボード
310,311・・・配線
350,351,352・・・論理回路
353・・・システムボード
360・・・配線
400・・・接続切替回路
401,402,403,404・・・MOSFET
410,411,420,421・・・配線ピン
430・・・接続切替制御ピン
500・・・FPGA
501・・・接続切替回路
502・・・トライステートIC
510・・・イネーブル制御スイッチ
511・・・接続切替制御信号設定スイッチ
520・・・接続切替制御信号
600・・・論理モジュール
601、602・・・FPGA
603,604・・・接続切替回路
605,607・・・外部接続用ソケットコネクタ
606,608・・・外部接続用ヘッダコネクタ
610,611,612,613,614,615・・・配線
616・・・接続切替制御信号
620,621,622,623,624,625・・・配線
626・・・接続切替制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するための第1および第2のコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに第1および第2のコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記第1コネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記第1コネクタと前記第2のコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記第2のコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記第1コネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能であることを特徴とする論理モジュール。
【請求項2】
前記接続切替回路が、前記第1の接続に保持されることを特徴とする請求項1に記載の論理モジュール。
【請求項3】
前記接続切替回路が、前記第2の接続に保持されることを特徴とする請求項1に記載の論理モジュール。
【請求項4】
外部と接続するための第3および第4のコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに第3および第4のコネクタに配線で接続された他の接続切替回路とを前記基板に備え、前記第1論理素子と前記第3コネクタとが配線で接続され、前記他の接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記第3コネクタと前記第4のコネクタとの接続を行う第3の接続と、前記第1論理素子と前記第4のコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記第3コネクタとの接続を行う第4の接続とを切替可能であることを特徴とする請求項1に記載の論理モジュール。
【請求項5】
前記接続切替回路および前記他の接続切替回路の切替が、それぞれ個別に設定可能であることを特徴とする請求項4に記載の論理モジュール。
【請求項6】
前記接続切替回路が、前記第1論理素子からの接続切替制御信号により切替可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の論理モジュール。
【請求項7】
前記他の接続切替回路が、前記第1論理素子からの接続切替制御信号により切替可能であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の論理モジュール。
【請求項8】
前記接続切替回路が、人手により切替可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の論理モジュール。
【請求項9】
前記人手による切替が前記第1論理素子からの接続切替制御信号よりも優先されることを特徴とする請求項8に記載の論理モジュール。
【請求項10】
プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するためのソケットコネクタおよびヘッダコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに前記ソケットコネクタおよびヘッダコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記ソケットコネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記ソケットコネクタと前記ヘッダコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記ヘッダコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記ソケットコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能であることを特徴とする論理モジュール。
【請求項11】
プログラム可能な第1および第2の論理素子と、外部と接続するためのソケットコネクタおよびヘッダコネクタと、前記第1および第2の論理素子並びに前記ソケットコネクタおよびヘッダコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記ヘッダコネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1論理素子と前記第2の論理素子との接続および前記ソケットコネクタと前記ヘッダコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記ソケットコネクタとの接続および前記第2の論理素子と前記ヘッダコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能であることを特徴とする論理モジュール。
【請求項12】
前記接続切替回路が、前記第1の接続に保持されることを特徴とする請求項11に記載の論理モジュール。
【請求項13】
前記接続切替回路が、前記第2の接続に保持されることを特徴とする請求項11に記載の論理モジュール。
【請求項14】
プログラム可能な第1の論理素子と、外部と接続するための第1および第2のコネクタと、前記第1の論理素子並びに第1および第2のコネクタに配線で接続された接続切替回路とを基板に備え、前記第1論理素子と前記第1コネクタとが配線で接続され、前記接続切替回路が、前記第1コネクタと前記第2のコネクタとの接続を行う第1の接続と、前記第1論理素子と前記第2のコネクタとの接続を行う第2の接続とを切替可能であることを特徴とする論理モジュール。
【請求項15】
前記論理モジュールを複数備え、前記論理モジュールの第1コネクタと他の前記論理モジュールの第2のコネクタとが接続されることを特徴とする請求項1〜9,14のいずれかに記載の論理モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−201843(P2007−201843A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18398(P2006−18398)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】