説明

負荷駆動回路

【課題】簡単な構成で負荷オープン状態を検出することができる負荷駆動回路を提供する。
【解決手段】電源端子T1に入力される入力電圧Vinよりも低い基準電圧V1と出力端子T2の電圧Voutとを比較する第1のコンパレータ8と、スイッチング素子2がオフ状態で、且つ負荷オープン状態である場合に、出力端子T2の電圧Voutを基準電圧V1よりも高く、且つ入力電圧Vinよりも低いclamp電圧にクランプするクランプ回路7とを備えることにより、第1のコンパレータの出力によって、負荷オープン状態を検出する。また、入力電圧Vinよりも低く且つclamp電圧よりも高い基準電圧V2と出力端子T2の電圧Voutとを比較する第2のコンパレータ9を備えることにより、第1のコンパレータ及び第2のコンパレータ9の出力によって、負荷オープン状態と出力天絡状態とを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイド等の負荷を駆動する負荷駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子を用いてソレノイド等の負荷を駆動させる負荷駆動回路が様々な分野で用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ソレノイドへの通電がオフの際にソレノイドへの通電を継続させ、モニタ電流値及びモニタ電圧値に基づいて、温度検知回路を有さない素子の温度を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−228796号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、出力端子と負荷とを接続する配線が切断される等の原因で、負荷が出力端子に接続されていない負荷オープン状態を検出することができないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、簡単な構成で負荷オープン状態を検出することができる負荷駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の負荷駆動回路は、電源に接続される第1の端子と、負荷に接続される第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されたスイッチング素子とを備えた負荷駆動回路であって、前記第1の端子に入力される入力電圧よりも低い第1の基準電圧と前記第2の端子の電圧とを比較する第1のコンパレータと、前記スイッチング素子がオフ状態で、且つ前記第2の端子に前記負荷が接続されていない負荷オープン状態である場合に、前記第2の端子の電圧を前記第1の基準電圧よりも高く、且つ前記入力電圧よりも低いクランプ電圧にクランプするクランプ回路とを具備することを特微とする。
さらに、本発明の負荷駆動回路において、前記入力電圧よりも低く且つ前記クランプ電圧よりも高い第2の基準電圧と前記第2の端子の電圧とを比較する第2のコンパレータを具備することを特徴とする。
さらに、本発明の負荷駆動回路において、前記クランプ回路は、前記スイッチング素子の制御端子とグランド電位との間に接続されたスイッチを具備することを特徴とする。
さらに、本発明の負荷駆動回路において、前記スイッチング素子がオフ状態で、前記第2の端子に接続された前記負荷と前記クランプ回路とに定電流を流す定電流回路を具備することを特徴とする。
さらに、本発明の負荷駆動回路において、前記クランプ回路のインピーダンスは、前記負荷のインピーダンスの10倍以上に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の端子に入力される入力電圧よりも低い第1の基準電圧と第2の端子の電圧とを比較する第1のコンパレータと、スイッチング素子がオフ状態で、且つ第2の端子に負荷が接続されていない負荷オープン状態である場合に、第2の端子の電圧を第1の基準電圧よりも高く、且つ入力電圧よりも低いクランプ電圧にクランプするクランプ回路とを備えているため、スイッチング素子がオフ状態での第1のコンパレータの出力によって、負荷オープン状態を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る負荷駆動回路の第1の実施の形態の回路構成を示す回路構成図である。
【図2】図1に示すクランプ回路の回路構成例を示す回路構成図である。
【図3】図1に示す負荷駆動回路の動作を説明するための説明図である。
【図4】本発明に係る負荷駆動回路の第2の実施の形態の回路構成を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の負荷駆動回路1は、図1を参照すると、電源端子T1と、スイッチング素子2と、制御回路3と、昇圧回路4と、出力端子T2と、定電流回路6と、クランプ回路7と、第1のコンパレータ8と、第2のコンパレータ9とを備え、電源端子T1に接続された電源30から入力される電力を用いて、出力端子T2に接続された負荷40を駆動する。
【0010】
スイッチング素子2は、電源端子T1から出力端子T2に到る電力供給経路をオン/オフする手段であり、オン/オフ動作により負荷40に流れる電流を制御する。本実施の形態において、スイッチング素子2は、ハイサイドスイッチとしてMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられ、スイッチング素子2のドレインが電源端子T1に、スイッチング素子2のソースが出力端子T2に接続されている。なお、スイッチング素子2としてバイポーラトランジスタを用いることもできる。なお、また、スイッチング素子2のゲート・ソース間には、抵抗10とゲート保護用定電圧ダイオード11とが並列接続される。
【0011】
制御回路3は、昇圧回路4と接続され、図示しない信号入力端子から入力される制御信号に応じて、スイッチング素子2のオン/オフ動作を制御する制御信号を出力する手段である。制御回路3から出力される制御信号は、入力電圧Vinを昇圧する昇圧回路4によって入力電圧Vinよりも高い電圧に昇圧されてスイッチング素子2のゲートに印加され、スイッチング素子2のオン/オフ動作が制御される。
【0012】
定電流回路6は、スイッチング素子2と並列に、電源端子T1と出力端子T2との間に接続され、負荷40が駆動されない程度(例えば、数十μA〜100μA)の定電流I1を流す回路である。
【0013】
クランプ回路7は、負荷40のインピーダンスの10倍以上、好ましくは100倍以上のインピーダンスを有し、負荷40と並列に接続されている。クランプ回路7は、スイッチング素子2がオフ状態で、且つ出力端子T2と負荷40とを接続する配線が切断される等の原因で、負荷40が出力端子T2に接続されていない状態(以下、負荷オープン状態と称す)である場合に、出力端子T2の電圧Voutをclamp電圧(クランプ電圧)にクランプする。すなわち、スイッチング素子2がオフで、且つ負荷オープン状態では、定電流回路6が流す定電流I1がクランプ回路7のみに流れる。従って、clamp電圧は、定電流回路6が流す定電流I1とクランプ回路7のインピーダンスとによって決定され、グランド電位よりも高く、且つ入力電圧よりも低い値となる。なお、スイッチング素子2がオフで、且つ負荷オープン状態でない場合には、定電流回路6が流す定電流I1のほとんどが負荷40を流れ、出力端子T2の電圧Voutは、ほぼグランド電位となる。
【0014】
図2に、抵抗71とスイッチ素子72とを備えたクランプ回路7の例を示す。抵抗71とスイッチ素子72とが負荷40と並列に接続され、スイッチ素子72は、スイッチング素子2がオン状態では、オフ制御され、スイッチング素子2がオフ状態では、オン制御される。これにより、スイッチング素子2がオン状態では、クランプ回路7にリーク電流が流れることなく、スイッチング素子2がオフ状態のみに、定電流回路6が流す定電流I1が流れることになる。なお、クランプ回路7に流れるリーク電流を許容することができる場合には、クランプ回路7を抵抗71のみで構成することもできる。
【0015】
第1のコンパレータ8は、負荷オープン状態を検出するための負荷オープン検出用コンパレータであり、非反転入力端子が定電流回路6とクランプ回路7との接続点、すなわち出力端子T2に接続され、反転入力端子が基準電圧V1に接続されている。基準電圧V1は、スイッチング素子2がオフ状態、且つ負荷オープン状態で、クランプ回路7によってクランプされるclamp電圧よりも低く、且つグランド電位よりも高く設定されている。これにより、第1のコンパレータ8は、出力端子T2の電圧Voutが基準電圧V2を上回るとハイレベル信号を出力し、当該信号によって負荷オープン状態が検出される。
【0016】
第2のコンパレータ9は、何らかの理由により出力端子T2が電源30に誤接続された状態(以下、出力天絡状態と称す)を検出するための出力天絡検出用コンパレータであり、非反転入力端子が定電流回路6とクランプ回路7との接続点、すなわち出力端子T2に接続され、反転入力端子が基準電圧V2に接続されている。基準電圧V2は、スイッチング素子2がオフ状態、且つ負荷オープン状態で、クランプ回路7によってクランプされるclamp電圧よりも高く、且つ入力電圧Vinよりも低く設定されている。これにより、第2のコンパレータ9は、出力端子T2の電圧Voutが基準電圧V1を上回るとハイレベル信号を出力し、当該信号によって出力天絡状態が検出される。
【0017】
次に、負荷駆動回路1の動作について図3を参照して詳細に説明する。
正常時、すなわち負荷オープン状態及び出力天絡状態でない場合には、スイッチング素子2がオン状態になると、負荷40に電流が流れ、出力端子T2の電圧Voutは、図3(a)に示すように入力電圧Vinとなる。正常時、スイッチング素子2がオフ状態になると、定電流回路6が流す定電流I1のほとんどが負荷40を流れる。従って、スイッチング素子2がオフ状態の出力端子T2の電圧Voutは、ほぼグランド電位となり、基準電圧V1及び基準電圧V2のいずれをも下回る。これにより、第1のコンパレータ8及び第2のコンパレータ9の出力はいずれもローレベル信号となり、負荷オープン状態及び出力天絡状態が検出されることがない。
【0018】
負荷オープン状態である場合にも、スイッチング素子2がオン状態になると、出力端子T2の電圧Voutは、図3(b)に示すように入力電圧Vinとなる。負荷オープン状態である場合に、スイッチング素子2がオフ状態になると、定電流回路6が流す定電流I1がクランプ回路7を流れ、出力端子T2の電圧Voutは、クランプ回路7によってclamp電圧にクランプされる。従って、スイッチング素子2がオフ状態の出力端子T2の電圧Voutは、基準電圧V1を下回り、且つ基準電圧V2を上回る。これにより、第1のコンパレータ8の出力はハイレベル信号となると共に、第2のコンパレータ9の出力はローレベル信号となり、負荷オープン状態が検出される。
【0019】
出力天絡状態である場合には、スイッチング素子2のオン/オフにかかわらず、出力端子T2の電圧Voutは、図3(c)に示すように入力電圧Vinとなる。従って、スイッチング素子2がオフ状態の出力端子T2の電圧Voutは、基準電圧V1及び基準電圧V2のいずれをも上回る。これにより、第1のコンパレータ8及び第2のコンパレータ9の出力はいずれもハイレベル信号となり、出力天絡状態が検出される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の負荷駆動回路1aは、図4を参照すると、クランプ回路7がスイッチング素子2のゲートとグランド電位との間に接続されている点で、第1の実施の形態と異なっている。この構成を採用することにより、スイッチング素子2のゲートの電荷を引き抜くための回路をクランプ回路7として用いることができる。
【0020】
図4に点線矢印で示す経路は、負荷オープン状態で、且つスイッチング素子2がオフ状態である場合に、定電流回路6による定電流I1が流れる経路である。従って、第2の実施の形態においても、負荷オープン状態で、且つスイッチング素子2がオフ状態である場合に、出力端子T2の電圧Voutがclamp電圧にクランプされることになり、第1のコンパレータ8によって負荷オープン状態を検出することができる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電源端子T1に入力される入力電圧Vinよりも低い基準電圧V1と出力端子T2の電圧Voutとを比較する第1のコンパレータ8と、スイッチング素子2がオフ状態で、且つ負荷オープン状態である場合に、出力端子T2の電圧Voutを基準電圧V1よりも高く、且つ入力電圧Vinよりも低いclamp電圧にクランプするクランプ回路7とを備えることにより、スイッチング素子2がオフ状態での第1のコンパレータの出力によって、負荷オープン状態を検出することができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、本実施の形態によれば、入力電圧Vinよりも低く且つclamp電圧よりも高い基準電圧V2と出力端子T2の電圧Voutとを比較する第2のコンパレータ9を備えることにより、スイッチング素子がオフ状態での第1のコンパレータ及び第2のコンパレータ9の出力によって、負荷オープン状態と出力天絡状態とを選択的に検出することができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本実施の形態によれば、クランプ回路7にスイッチング素子2のゲートとグランド電位との間に接続されたスイッチ素子72を備えることにより、スイッチング素子2のゲートの電荷を引き抜くための回路をクランプ回路7として用いることができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、本実施の形態によれば、スイッチング素子2がオフ状態で、出力端子T2に接続された負荷40とクランプ回路7とに定電流を流す定電流回路6をも受け、クランプ回路7のインピーダンスを、負荷40のインピーダンスの10倍以上に構成することにより、正常時におけるスイッチング素子2がオフ状態の出力端子T2の電圧Voutと、スイッチング素子2がオフ状態で、且つ負荷オープン状態である場合のclamp電圧とを明確に区別することができ、負荷オープン状態を精度良く検出することができるという効果を奏する。
【0025】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0026】
1 負荷駆動回路(第1の実施の形態)
1a 負荷駆動回路(第2の実施の形態)
2 スイッチング素子
3 制御回路
4 昇圧回路
6 定電流回路
7 クランプ回路
8 第1のコンパレータ
9 第2のコンパレータ
30 電源
40 負荷
71 抵抗
72 スイッチ素子
T1 電源端子(第1の端子)
T2 出力端子(第2の端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される第1の端子と、負荷に接続される第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されたスイッチング素子とを備えた負荷駆動回路であって、
前記第1の端子に入力される入力電圧よりも低い第1の基準電圧と前記第2の端子の電圧とを比較する第1のコンパレータと、
前記スイッチング素子がオフ状態で、且つ前記第2の端子に前記負荷が接続されていない負荷オープン状態である場合に、前記第2の端子の電圧を前記第1の基準電圧よりも高く、且つ前記入力電圧よりも低いクランプ電圧にクランプするクランプ回路とを具備することを特微とする負荷駆動回路。
【請求項2】
前記入力電圧よりも低く且つ前記クランプ電圧よりも高い第2の基準電圧と前記第2の端子の電圧とを比較する第2のコンパレータを具備することを特徴とする請求項1記載の負荷駆動回路。
【請求項3】
前記クランプ回路は、前記スイッチング素子の制御端子とグランド電位との間に接続されたスイッチを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の負荷駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチング素子がオフ状態で、前記第2の端子に接続された前記負荷と前記クランプ回路とに定電流を流す定電流回路を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の負荷駆動回路。
【請求項5】
前記クランプ回路のインピーダンスは、前記負荷のインピーダンスの10倍以上に設定されていることを特徴とする請求項4記載の負荷駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16959(P2013−16959A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147111(P2011−147111)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】