赤外線センサ
【課題】赤外線のセンサの低温および高温動作の間の熱の管理を改善する。
【解決手段】赤外線のセンサは、赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、処理および制御回路の回路基板17a,17b,17c,17dを熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ13a,13b、および、レンズを処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプ14を有する受動的な熱分配機構と、を有している。
【解決手段】赤外線のセンサは、赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、処理および制御回路の回路基板17a,17b,17c,17dを熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ13a,13b、および、レンズを処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプ14を有する受動的な熱分配機構と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサを環境温度の範囲にわたって動作できるようにするための、赤外線センサの熱の管理に関するものである。センサは、例えば、地面に設置される、海軍用の、または、空輸用の光電子光学センサであってよい。
【背景技術】
【0002】
光電子工学機器における熱の管理は、通常、高温でできるだけ多く熱を除去すること、および、零下の状態で電子装置/光学装置/機械装置が機能できるようにするために低温で追加の電力を供給して温度を上昇させることに主眼をおいて設計されている。
【0003】
これには、追加の電力が要求されるだけでなく、閉ループフィードバック温度制御用の温度センサ、配線、電子装置およびソフトウェア/ファームウェアのための追加の費用が要求される。ファン、コネクタ、電子装置などは、全て、故障の頻度を増大させる。
【0004】
高温での熱の除去の非効率性によって、ファン用の電力の要求が増大する場合もあり、そのこと自体によっても、追加の電力の要求と冷却負荷が生じさせられる。
【0005】
光電子工学機器における氷結防止は、(特に、手動で機器から氷を取り除くことのできない空輸用の機器の場合の)特別な問題であり、通常、装置またはレンズを機能させるために、その温度を上昇させるように抵抗加熱することを伴う。やはり、これにも、電力を用いることが要求され、これは、空輸の用途の場合、重大な問題である場合がある。
【0006】
空輸の幾つかの用途では、熱の管理は、機体上でのセンサの位置の、機体の周りに360°の視界を得るために外部で隔離されているという特質のために特有の問題である。センサの位置は複合材料に隣接し、熱伝達経路を確保できない場合がある。機体は、暑い気候の時にタールマック上で太陽に焼かれるままとされ、>70℃に達する場合がある。これによって、典型的には、85℃の動作制限のある低温の検知器と電子装置に問題が生じる恐れがある。典型的な赤外線検知器用の電子制御および処理、および低温冷却では、高温時に45W程度を消費する。レンズのハウジングやシャーシは、レンズを動作温度範囲にわたって焦点が合った状態に保つことができるようにチタン合金から作られている場合がある。チタン合金は熱伝導係数が非常に小さく、それによって、レンズが、機器の他の部品で発生した熱から隔離される。そのため、電子装置は、別のシャーシに搭載される場合があり、このシャーシは、例えばアルミニウム合金から作られており、センサユニットから熱を放散させるために後部に搭載されたヒートシンクを含んでいる。
【0007】
さらに、このようなセンサは、−40℃より低い低温で動作する必要があり、それによって、氷がフロントレンズ上に形成されるのを防ぐことが要求される。レンズの広角の特性のために、前方の周囲の面上への氷の付着によっても問題が生じる恐れがあり、したがって、レンズの周囲の領域にも、同様に氷が生じないように保つために、供給される熱を供給する必要がある。氷の付着は、2℃から−20℃の間の温度で最もよく生じ、したがって、少なくともこの状態の時に氷結防止を働かせる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の赤外線センサの欠点を、低温および高温動作の間の熱の管理を改善することによって克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、処理および制御回路を熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ、および、レンズを処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプを有する熱分配機構と、を有する赤外線のセンサである。
【0010】
熱分配機構は受動的に動作し、したがって、それ自体は熱を発生せず、電力の入力を必要としない。熱分配機構によって、高温の状態の時に、処理および制御回路の回路基板を冷却することができ、零下の状態の時に、レンズおよびレンズの周囲を十分に高い温度に保つことができる。熱分配機構は、概して、従来の能動的な機構よりも信頼性が高い。
【0011】
ユニット内の電子装置によって発生した余分な熱を用いることによって、低温動作中の加熱のための追加の電力の要求が低減される。高温時の冷却機構の効率が高められることによって、センサの性能が改善されて、より過酷な温度での動作、あるいは、外部のファン無しでの動作が可能となる。これらの両方によって、ホストプラットフォームの電源の負担が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の赤外線のセンサの、内部の部品の幾つかを破線で示す斜視図である。
【図2】高温動作と関連して図1の赤外線のセンサの主要な構成部分を示す図である。
【図3】低温動作と関連して図1の赤外線のセンサの主要な構成部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明をより良く理解できるように、例示としてだけ、添付の模式図を参照して本発明の好ましい実施形態を以下に記載する。
【0014】
本発明の実施形態の赤外線のセンサが図1〜3に示されており、このセンサ1は、フランジ4の所で結合された2つのハウジング構成部分2,3を有している。真空容器内に収容され、スターリングサイクルの冷却器8に熱的に接続されている赤外線の検知器7のユニットに、赤外線のレンズ構成6によって、赤外線が導かれる。冷却器8は、圧縮機を駆動する電気モータを有しており、この圧縮機は、周知のように、1つの領域から他の領域へ、この例では、赤外線の検知器7から、センサ1の外部へ熱を放散するためのフィン型のヒートシンク9に接続されている熱接続部、すなわち熱接続板11へ熱を送り込む。電気モータによって駆動されるファン10によって、ヒートシンク9のフィンからの熱の放散が促進されるが、これは、ユニットが作動する必要がある周囲の温度や、ユニットの全体としての熱の放散に応じて必要とされない場合もある。
【0015】
センサの種々の構成部分の電子的な処理および制御部が、センサハウジング内でレンズ構成6の周りに配置されている4つの回路基板17a,17b,17c,17d上に実装されている。赤外線の検知器7の動作が、この処理および制御回路によって制御され、それによって、画像が処理され、赤外線画像を示す電気信号が出力される。好ましくは、温度検知回路(不図示)によって測定されたセンサの温度が、所定の閾値温度より高い時にファン10をオンに切り替えることによって、冷却用のファン10を選択的に動作させる制御回路も、適切なら、設けられる。スターリングサイクルの冷却器8の動作も処理および制御回路によって制御され、スターリングサイクルの冷却器8は、必要とされる時に、検出器7を高温の状態の時に冷却するために、または、レンズ組立体、すなわちレンズ構成6のフロントレンズの領域の十分に高い温度の維持を補助するために熱を発生するために、オンに切り替えられる。
【0016】
図3に示すように、カプトンテープレンズ加熱器12が、レンズ構成6のフロントレンズに隣接して、当該レンズおよびその周囲を低温の状態の時に加熱するために配置されており、この加熱器は、検知された温度に応答して、処理および制御回路によって選択的にオンに切り替えられる。この加熱器は、ヒートパイプによって供給される熱に補足をするのに用いられ、要求される環境性能に応じて、必要とされない場合もある。
【0017】
フロントレンズおよびその周囲の領域は、センサ1の前部の複数の熱接続板5と熱的に接触しており、これらの熱接続板5の1つが、熱の管理のために、ヒートパイプ14によって回路基板17a〜17dに接続されている。
【0018】
また、回路基板17a〜17dは、平行な対のヒートパイプ13a,13bによって、ヒートシンク9に接続されている。
【0019】
検知器からの熱、および、モータと圧縮機によって生成された熱を用いてフロントレンズ構成を必要な時に加熱するために、スターリングサイクルの冷却器8もヒートパイプ15によって熱接続板5の1つに熱的に接続されている。さらなるヒートパイプ16によって、スターリングサイクルの冷却器8がヒートシンク9の熱接続板11に接続されている。
【0020】
この例では、低温の状態でも動作する必要があるヒートパイプ14および15は、銅‐メタノールのパイプであるのが好ましい。他のヒートパイプ13a,13b,16は、銅‐メタノールのヒートパイプよりも効率的な熱伝達を生じ、氷る状態の時に作動しなくなるという利点を有する銅‐水のヒートパイプであるのが好ましい。
【0021】
熱の伝達をできるたけ良くするために、ヒートパイプは、カラーまたは板など、すなわち熱接続板5,11にろう付けされている。示していないが、センサ1の前部のフロントレンズを囲んでいるハウジング構成部分2の一部は熱伝導性であり、熱接続板5に熱的に接続されている。この例では、ヒートパイプ14,15の各々は、熱接続板5のそれぞれ1つのみに接続されているが、他の構成も可能である。
【0022】
ここで、0℃と85℃の間のような高温の状態の時のセンサの動作を、特に図2を参照して説明する。それでも、銅‐メタノールのヒートパイプ14,15は、その、125℃までの温度で機能する能力のために、良好に機能し、比較的暖かい領域から比較的冷たい領域に受動的に熱を移動させる。したがって、銅‐メタノールのヒートパイプ14,15によって、スターリングサイクルの冷却器からの、および、回路基板から、センサ1の、レンズを囲んでいる前部領域への熱の放散が促進される。スターリングサイクルの冷却器8は、そのモータによって駆動されて、赤外線の検知器7のユニットを冷却し、熱接続板11によってヒートシンク9を通じて熱を放散する。銅‐水のヒートパイプ13a,13bによって、熱が回路基板17a〜17dからヒートシンク9に伝達される。後部のファン10は、5℃を超える温度でオンに切り替えられて、ユニットの後部の所での熱対流と熱の放散が促進される。
【0023】
この例では、銅‐水のヒートパイプは、検出器7から13ワット、4つの回路基板17a〜17dの各々から7.5ワットを、また、冷却エンジンのモータおよび圧縮機からの熱も処理するのに十分な熱伝達能力を生じるように、典型的には、直径が4mmである。
【0024】
低温での動作が、特に、図3に示されている。ヒートパイプ13a,13b,16を満たしている水は、銅‐メタノールである他のヒートパイプの液体よりも凝固点が高いので、これらのヒートパイプは、それらの温度が0℃より低くなると、受動的に機能しなくなる。低温、例えば、−75℃から0℃では、銅‐水のパイプは凍り、機能しなくなり、ユニットの後部への熱の除去が減り、フロントレンズへの熱の移動が最大にされる。ヒートパイプ14によって、熱が回路基板から熱接続板5の1つに移動させられ、一方、ヒートパイプ15によって、熱が、この目的でオンのままにすることができる冷却器8から他の熱接続板5に移動させられる。
【0025】
この例では、銅‐メタノールのヒートパイプは、冷却エンジン、すなわち冷却器8から13ワット、回路基板17a〜17dの各対から15ワットを伝達するために、直径が6mmである。これらのヒートパイプは、センサ1のスケルトンシャーシに埋め込まれ、熱接続板を通って延び各端部で合わさっている。
【0026】
図1〜3のセンサの全ての構成部分が必須であるわけではなく、特に、電気式のファン10、スターリングサイクルの冷却器8、および、テープレンズ加熱器12は任意構成である。
【0027】
高温動作時に熱放散をより大きくするために、後部のヒートシンク9の代わりに、追加のヒートパイプ(不図示)をセンサの外部に設けてもよい。これは、長い距離にわたって低い損失で熱を伝達するために、ループ型のヒートパイプであるのが理想的である。ループ型のヒートパイプは、どのような向きでも作動できるものである。これによれば、在来のヒートパイプより長い距離にわたって小さな損失で熱を移動させることができる。これは、熱の移動は、温度差によって生じさせられ、したがって、損失が大きいと、温度差が減り、除去できる熱の量が減るので、有用である。熱をより長い距離にわたって移動させるということは、熱を除去するのに、より有利な場所にある外面、または、より大きなヒートシンクへと熱を除去する、より良い機会が得られることを意味している。http://www.thermacore.com/products/loop−heat−pipes−and−loop−devices.aspx
【0028】
もちろん、センサの動作条件および具体的な用途に合うように、ヒートパイプの、他の作動流体を選択してもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサを環境温度の範囲にわたって動作できるようにするための、赤外線センサの熱の管理に関するものである。センサは、例えば、地面に設置される、海軍用の、または、空輸用の光電子光学センサであってよい。
【背景技術】
【0002】
光電子工学機器における熱の管理は、通常、高温でできるだけ多く熱を除去すること、および、零下の状態で電子装置/光学装置/機械装置が機能できるようにするために低温で追加の電力を供給して温度を上昇させることに主眼をおいて設計されている。
【0003】
これには、追加の電力が要求されるだけでなく、閉ループフィードバック温度制御用の温度センサ、配線、電子装置およびソフトウェア/ファームウェアのための追加の費用が要求される。ファン、コネクタ、電子装置などは、全て、故障の頻度を増大させる。
【0004】
高温での熱の除去の非効率性によって、ファン用の電力の要求が増大する場合もあり、そのこと自体によっても、追加の電力の要求と冷却負荷が生じさせられる。
【0005】
光電子工学機器における氷結防止は、(特に、手動で機器から氷を取り除くことのできない空輸用の機器の場合の)特別な問題であり、通常、装置またはレンズを機能させるために、その温度を上昇させるように抵抗加熱することを伴う。やはり、これにも、電力を用いることが要求され、これは、空輸の用途の場合、重大な問題である場合がある。
【0006】
空輸の幾つかの用途では、熱の管理は、機体上でのセンサの位置の、機体の周りに360°の視界を得るために外部で隔離されているという特質のために特有の問題である。センサの位置は複合材料に隣接し、熱伝達経路を確保できない場合がある。機体は、暑い気候の時にタールマック上で太陽に焼かれるままとされ、>70℃に達する場合がある。これによって、典型的には、85℃の動作制限のある低温の検知器と電子装置に問題が生じる恐れがある。典型的な赤外線検知器用の電子制御および処理、および低温冷却では、高温時に45W程度を消費する。レンズのハウジングやシャーシは、レンズを動作温度範囲にわたって焦点が合った状態に保つことができるようにチタン合金から作られている場合がある。チタン合金は熱伝導係数が非常に小さく、それによって、レンズが、機器の他の部品で発生した熱から隔離される。そのため、電子装置は、別のシャーシに搭載される場合があり、このシャーシは、例えばアルミニウム合金から作られており、センサユニットから熱を放散させるために後部に搭載されたヒートシンクを含んでいる。
【0007】
さらに、このようなセンサは、−40℃より低い低温で動作する必要があり、それによって、氷がフロントレンズ上に形成されるのを防ぐことが要求される。レンズの広角の特性のために、前方の周囲の面上への氷の付着によっても問題が生じる恐れがあり、したがって、レンズの周囲の領域にも、同様に氷が生じないように保つために、供給される熱を供給する必要がある。氷の付着は、2℃から−20℃の間の温度で最もよく生じ、したがって、少なくともこの状態の時に氷結防止を働かせる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の赤外線センサの欠点を、低温および高温動作の間の熱の管理を改善することによって克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、処理および制御回路を熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ、および、レンズを処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプを有する熱分配機構と、を有する赤外線のセンサである。
【0010】
熱分配機構は受動的に動作し、したがって、それ自体は熱を発生せず、電力の入力を必要としない。熱分配機構によって、高温の状態の時に、処理および制御回路の回路基板を冷却することができ、零下の状態の時に、レンズおよびレンズの周囲を十分に高い温度に保つことができる。熱分配機構は、概して、従来の能動的な機構よりも信頼性が高い。
【0011】
ユニット内の電子装置によって発生した余分な熱を用いることによって、低温動作中の加熱のための追加の電力の要求が低減される。高温時の冷却機構の効率が高められることによって、センサの性能が改善されて、より過酷な温度での動作、あるいは、外部のファン無しでの動作が可能となる。これらの両方によって、ホストプラットフォームの電源の負担が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の赤外線のセンサの、内部の部品の幾つかを破線で示す斜視図である。
【図2】高温動作と関連して図1の赤外線のセンサの主要な構成部分を示す図である。
【図3】低温動作と関連して図1の赤外線のセンサの主要な構成部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明をより良く理解できるように、例示としてだけ、添付の模式図を参照して本発明の好ましい実施形態を以下に記載する。
【0014】
本発明の実施形態の赤外線のセンサが図1〜3に示されており、このセンサ1は、フランジ4の所で結合された2つのハウジング構成部分2,3を有している。真空容器内に収容され、スターリングサイクルの冷却器8に熱的に接続されている赤外線の検知器7のユニットに、赤外線のレンズ構成6によって、赤外線が導かれる。冷却器8は、圧縮機を駆動する電気モータを有しており、この圧縮機は、周知のように、1つの領域から他の領域へ、この例では、赤外線の検知器7から、センサ1の外部へ熱を放散するためのフィン型のヒートシンク9に接続されている熱接続部、すなわち熱接続板11へ熱を送り込む。電気モータによって駆動されるファン10によって、ヒートシンク9のフィンからの熱の放散が促進されるが、これは、ユニットが作動する必要がある周囲の温度や、ユニットの全体としての熱の放散に応じて必要とされない場合もある。
【0015】
センサの種々の構成部分の電子的な処理および制御部が、センサハウジング内でレンズ構成6の周りに配置されている4つの回路基板17a,17b,17c,17d上に実装されている。赤外線の検知器7の動作が、この処理および制御回路によって制御され、それによって、画像が処理され、赤外線画像を示す電気信号が出力される。好ましくは、温度検知回路(不図示)によって測定されたセンサの温度が、所定の閾値温度より高い時にファン10をオンに切り替えることによって、冷却用のファン10を選択的に動作させる制御回路も、適切なら、設けられる。スターリングサイクルの冷却器8の動作も処理および制御回路によって制御され、スターリングサイクルの冷却器8は、必要とされる時に、検出器7を高温の状態の時に冷却するために、または、レンズ組立体、すなわちレンズ構成6のフロントレンズの領域の十分に高い温度の維持を補助するために熱を発生するために、オンに切り替えられる。
【0016】
図3に示すように、カプトンテープレンズ加熱器12が、レンズ構成6のフロントレンズに隣接して、当該レンズおよびその周囲を低温の状態の時に加熱するために配置されており、この加熱器は、検知された温度に応答して、処理および制御回路によって選択的にオンに切り替えられる。この加熱器は、ヒートパイプによって供給される熱に補足をするのに用いられ、要求される環境性能に応じて、必要とされない場合もある。
【0017】
フロントレンズおよびその周囲の領域は、センサ1の前部の複数の熱接続板5と熱的に接触しており、これらの熱接続板5の1つが、熱の管理のために、ヒートパイプ14によって回路基板17a〜17dに接続されている。
【0018】
また、回路基板17a〜17dは、平行な対のヒートパイプ13a,13bによって、ヒートシンク9に接続されている。
【0019】
検知器からの熱、および、モータと圧縮機によって生成された熱を用いてフロントレンズ構成を必要な時に加熱するために、スターリングサイクルの冷却器8もヒートパイプ15によって熱接続板5の1つに熱的に接続されている。さらなるヒートパイプ16によって、スターリングサイクルの冷却器8がヒートシンク9の熱接続板11に接続されている。
【0020】
この例では、低温の状態でも動作する必要があるヒートパイプ14および15は、銅‐メタノールのパイプであるのが好ましい。他のヒートパイプ13a,13b,16は、銅‐メタノールのヒートパイプよりも効率的な熱伝達を生じ、氷る状態の時に作動しなくなるという利点を有する銅‐水のヒートパイプであるのが好ましい。
【0021】
熱の伝達をできるたけ良くするために、ヒートパイプは、カラーまたは板など、すなわち熱接続板5,11にろう付けされている。示していないが、センサ1の前部のフロントレンズを囲んでいるハウジング構成部分2の一部は熱伝導性であり、熱接続板5に熱的に接続されている。この例では、ヒートパイプ14,15の各々は、熱接続板5のそれぞれ1つのみに接続されているが、他の構成も可能である。
【0022】
ここで、0℃と85℃の間のような高温の状態の時のセンサの動作を、特に図2を参照して説明する。それでも、銅‐メタノールのヒートパイプ14,15は、その、125℃までの温度で機能する能力のために、良好に機能し、比較的暖かい領域から比較的冷たい領域に受動的に熱を移動させる。したがって、銅‐メタノールのヒートパイプ14,15によって、スターリングサイクルの冷却器からの、および、回路基板から、センサ1の、レンズを囲んでいる前部領域への熱の放散が促進される。スターリングサイクルの冷却器8は、そのモータによって駆動されて、赤外線の検知器7のユニットを冷却し、熱接続板11によってヒートシンク9を通じて熱を放散する。銅‐水のヒートパイプ13a,13bによって、熱が回路基板17a〜17dからヒートシンク9に伝達される。後部のファン10は、5℃を超える温度でオンに切り替えられて、ユニットの後部の所での熱対流と熱の放散が促進される。
【0023】
この例では、銅‐水のヒートパイプは、検出器7から13ワット、4つの回路基板17a〜17dの各々から7.5ワットを、また、冷却エンジンのモータおよび圧縮機からの熱も処理するのに十分な熱伝達能力を生じるように、典型的には、直径が4mmである。
【0024】
低温での動作が、特に、図3に示されている。ヒートパイプ13a,13b,16を満たしている水は、銅‐メタノールである他のヒートパイプの液体よりも凝固点が高いので、これらのヒートパイプは、それらの温度が0℃より低くなると、受動的に機能しなくなる。低温、例えば、−75℃から0℃では、銅‐水のパイプは凍り、機能しなくなり、ユニットの後部への熱の除去が減り、フロントレンズへの熱の移動が最大にされる。ヒートパイプ14によって、熱が回路基板から熱接続板5の1つに移動させられ、一方、ヒートパイプ15によって、熱が、この目的でオンのままにすることができる冷却器8から他の熱接続板5に移動させられる。
【0025】
この例では、銅‐メタノールのヒートパイプは、冷却エンジン、すなわち冷却器8から13ワット、回路基板17a〜17dの各対から15ワットを伝達するために、直径が6mmである。これらのヒートパイプは、センサ1のスケルトンシャーシに埋め込まれ、熱接続板を通って延び各端部で合わさっている。
【0026】
図1〜3のセンサの全ての構成部分が必須であるわけではなく、特に、電気式のファン10、スターリングサイクルの冷却器8、および、テープレンズ加熱器12は任意構成である。
【0027】
高温動作時に熱放散をより大きくするために、後部のヒートシンク9の代わりに、追加のヒートパイプ(不図示)をセンサの外部に設けてもよい。これは、長い距離にわたって低い損失で熱を伝達するために、ループ型のヒートパイプであるのが理想的である。ループ型のヒートパイプは、どのような向きでも作動できるものである。これによれば、在来のヒートパイプより長い距離にわたって小さな損失で熱を移動させることができる。これは、熱の移動は、温度差によって生じさせられ、したがって、損失が大きいと、温度差が減り、除去できる熱の量が減るので、有用である。熱をより長い距離にわたって移動させるということは、熱を除去するのに、より有利な場所にある外面、または、より大きなヒートシンクへと熱を除去する、より良い機会が得られることを意味している。http://www.thermacore.com/products/loop−heat−pipes−and−loop−devices.aspx
【0028】
もちろん、センサの動作条件および具体的な用途に合うように、ヒートパイプの、他の作動流体を選択してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、前記検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、前記処理および制御回路の回路基板を前記熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ、および、前記レンズを前記処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプを有する受動的な熱分配機構と、を有する赤外線のセンサ。
【請求項2】
前記検知器から前記熱抽出装置に熱を送り込むように構成されているスターリングサイクル冷却器を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記スターリングサイクル冷却器は、凍結防止のために前記スターリングサイクル冷却器からの廃熱によって前記レンズを加熱するために、前記熱分配機構の第3のヒートパイプによって前記赤外線のレンズに熱的に接続されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記赤外線のレンズに隣接して、該レンズを選択的に加熱するために電気式の加熱器を有する、請求項1から3のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項5】
前記処理および制御回路は、赤外線のセンサの温度を監視し、該温度が所定の閾値より低い時に、受動的に供給される熱に補足をするために、前記電気式の加熱器をオンに切り替えるように構成されている、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1のヒートパイプは、凝固点が前記第2のヒートパイプの液体の凝固点よりも高い液体で満たされている、請求項1から5のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1のヒートパイプは水で満たされている、請求項1から6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
前記第2のヒートパイプはメタノールで満たされている、請求項1から7のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項9】
前記熱抽出装置はヒートシンクを有している、請求項1から8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
前記熱抽出装置は、さらなる冷却のために電気式のファンを有している、請求項1から9のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項11】
前記処理および制御回路は、赤外線のセンサの温度を監視し、該温度が所定の閾値より高い時にのみ前記電気式のファンをオンに切り替えるように構成されている、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記熱抽出装置は、ループ型のヒートパイプを有している、請求項1から11のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項1】
赤外線のレンズと、赤外線の検知器と、前記検知器に接続され、出力赤外線画像信号を与える処理および制御回路と、センサから余分な熱を放散させる熱抽出装置と、前記処理および制御回路の回路基板を前記熱抽出装置に熱的につなぐ少なくとも1つの第1のヒートパイプ、および、前記レンズを前記処理および制御回路に熱的につなぐ少なくとも1つの第2のヒートパイプを有する受動的な熱分配機構と、を有する赤外線のセンサ。
【請求項2】
前記検知器から前記熱抽出装置に熱を送り込むように構成されているスターリングサイクル冷却器を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記スターリングサイクル冷却器は、凍結防止のために前記スターリングサイクル冷却器からの廃熱によって前記レンズを加熱するために、前記熱分配機構の第3のヒートパイプによって前記赤外線のレンズに熱的に接続されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記赤外線のレンズに隣接して、該レンズを選択的に加熱するために電気式の加熱器を有する、請求項1から3のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項5】
前記処理および制御回路は、赤外線のセンサの温度を監視し、該温度が所定の閾値より低い時に、受動的に供給される熱に補足をするために、前記電気式の加熱器をオンに切り替えるように構成されている、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1のヒートパイプは、凝固点が前記第2のヒートパイプの液体の凝固点よりも高い液体で満たされている、請求項1から5のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1のヒートパイプは水で満たされている、請求項1から6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
前記第2のヒートパイプはメタノールで満たされている、請求項1から7のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項9】
前記熱抽出装置はヒートシンクを有している、請求項1から8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
前記熱抽出装置は、さらなる冷却のために電気式のファンを有している、請求項1から9のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項11】
前記処理および制御回路は、赤外線のセンサの温度を監視し、該温度が所定の閾値より高い時にのみ前記電気式のファンをオンに切り替えるように構成されている、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記熱抽出装置は、ループ型のヒートパイプを有している、請求項1から11のいずれか1つに記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−159509(P2012−159509A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20096(P2012−20096)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(505215969)テールズ ホールディングス ユーケー ピーエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】THALES UK PLC
【住所又は居所原語表記】2 Dashwood Lang Road, The Bourne Business Park, Addlestone, Near Weybridge, Surrey KT15 2NX, United Kingdom
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(505215969)テールズ ホールディングス ユーケー ピーエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】THALES UK PLC
【住所又は居所原語表記】2 Dashwood Lang Road, The Bourne Business Park, Addlestone, Near Weybridge, Surrey KT15 2NX, United Kingdom
【Fターム(参考)】
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