説明

起伏検査装置、起伏検査方法、起伏検査装置の制御プログラム、記録媒体

【課題】 大型基板(カラーフィルタ基板等)に対してもその表面起伏の状態(膜厚差)を簡易かつ高精度に検査しうる起伏検査装置を提供する。
【解決手段】 被検査物に光照射を行う照射手段(ライン照明2)と、該光照射に対する被検査物表面からの光についてその光強度分布を取得する光強度取得手段(エリアセンサ3)と、上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段(ラインセンサ4)と、上記光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段(ライン照明2)を調整する調整手段(画像処理部20・照明駆動制御部21)と、該調整を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定手段(欠陥判定処理部23)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に微細な起伏を有する物体の起伏状態を検査する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶テレビ、液晶モニタ等の液晶表示装置の需要が増大し、また、コストダウンに対する要求も年々高まっている。特に、液晶表示装置においてはカラーフィルタの製造コスト比重が高く、カラーフィルタの製造コストを削減することが求められている。
【0003】
ところで、このカラーフィルタにおいて各絵素間で数十nmの膜厚差が生じると、透過率やセルギャップの違いが発生し、カラーフィルタをパネル化したときに色ムラ等の欠陥が発生する。そこで、カラーフィルタを生成した時点で検査を行い、後工程に不良品を流さないことで歩留まりの向上を図っている。
【0004】
一方、カラーフィルタの各絵素間に数十nmの膜厚差があっても、その絵素間の透過率の差は1%未満程度のものしかならない。すなわち、直接透過光を撮像しても輝度変化はほとんどなく、数十nmの膜厚差を欠陥として検出することは困難な状態にある。そこで、特許文献1には、光源の可干渉光束を2分し、一方の光束を水平に近い角度でカラーフィルタに照射し、他方は参照光束とし、カラーフィルタの反射光束と参照光束を干渉させ、その位相を示す信号から、カラーフィルタの膜厚を測定し、スジムラを検出する手法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−121323(公開日:2000年5月15日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラーフィルタを生成する透明基板(マザーガラス)は1パネルあたりの製造コストを軽減するべく年々大型化(例えば2m角四方)しており、この結果、特許文献1開示の技術ではカラーフィルタの反射光束と参照光束を干渉させるように各撮像系を調整することが困難になっている。
【0006】
また、基板を上下左右に動かしてレビューできる目視検査装置で検査する手法も取り入れられているが、マザーガラスの大型化に伴って目視検査装置も大型化する上、目視では数十nmの膜厚差を検出することが困難であり、また、人による検査精度の違いなどもあって、歩留まり低下につながっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば2m角四方の大型基板(カラーフィルタ基板等)に対しても、その表面起伏(膜厚差)を簡易かつ高精度に検査しうる起伏検査装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の起伏検査装置は、上記課題を解決するために、被検査物の表面に形成された起伏(例えば、各部の膜厚差による表面起伏)の状態を判定する起伏検査装置であって、上記被検査物に光照射を行う照射手段と、該光照射に対する被検査物表面からの光についてその光強度分布を取得する光強度取得手段と、上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段と、上記光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する調整手段と、該調整を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記調整手段は、光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する。したがって、撮像手段は、被検査物表面から来る様々な光のうち、所望のもの(起伏の状態を判定するのに適した光)だけを取得できる。これにより、上記判定手段は、該撮像手段の取得結果に基づいて被検査物表面の起伏状態を容易かつ高精度に判定することができる。さらに、本起伏検査装置は非常に簡易な構成であるため、例えば2m角四方の大型基板(カラーフィルタ基板等)の検査に好適である。
【0010】
なお、被検査物(例えば、カラーフィルタ基板)の欠陥判定することにより、その製造装置へのフィードバックを早急に行うことができ、また後の製造ラインへ良品のみを流せることで、製造歩留まりの向上やコストダウンを図ることができる。
【0011】
また、上記調整手段は、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別するとともに起伏の状態を判定するのに適した光、すなわち、上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段あるいは撮像手段を調整することが好ましい。
【0012】
また、上記光強度取得手段は、被検査物表面からの光をエリア状に取得するエリアセンサを備えることが好ましい。該構成によれば、エリアセンサによる1度の撮像で光強度分布を取得することが可能となり、タクトの短縮を図ることが可能になる。
【0013】
また、上記照射手段はライン状に光照射を行うライン照明であり、上記撮像手段は被検査物表面からの光をライン状に取得するラインセンサを備えることが好ましい。該構成によれば、検査精度を担保しつつ装置(光強度取得手段および撮像手段)を小型化でき、加えてタクトの短縮も図ることができる。
【0014】
また、上記ライン照明には、石英ロッドが用いられていることが好ましい。該構成によれば、被検査物表面への照射輝度を均一化でき、検査精度を向上させることができる。
【0015】
また、本起伏検査装置においては、上記被検査物表面からの光が、被検査物表面での反射光であっても(すなわち、照射手段を被検査物の表面側に配置する構成でも)構わない。また、被検査物が光透過性を有していれば、上記被検査物表面からの光が、被検査物表面からの光が、被検査物の裏面から表面へ透過するとともに該表面で反射した光であっても(すなわち、照射手段を被検査物の裏面側に配置する構成でも)構わない。
【0016】
また、上記調整手段は、照射手段あるいは撮像手段を移動(回転含む)させることで両者の相対的位置関係を調整することが好ましい。該構成によれば、照射手段あるいは撮像手段の調整が容易である。
【0017】
また、本発明の起伏検査装置は、上記課題を解決するために、被検査物の表面に形成された起伏の状態を判定する起伏検査装置であって、上記被検査物に光照射を行う照射手段と、上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段と、照射手段を移動させつつ上記撮像手段による撮像を行うことで被検査物表面からの光の光強度分布を取得し、この光強度分布に基づいて上記照射手段および撮像手段の相対的位置関係を設定する設定手段と、該設定を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、上記設定手段は、光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する。したがって、撮像手段は、被検査物表面から来る様々な光のうち、所望のもの(起伏の状態を判定するのに適した光)だけを取得できる。これにより、上記判定手段は、該撮像手段の取得結果に基づいて被検査物表面の起伏状態を容易かつ高精度に判定することができる。さらに、本起伏検査装置は光強度取得手段を特に要しない非常に簡易な構成であるため、装置の小型化および製造コストの低減を図ることができる。よって、大型基板(カラーフィルタ基板等)の検査に一層好適である。
【0019】
ここで、上記設定手段は、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別するとともに上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段および撮像手段の相対的位置関係を設定することが好ましい。
【0020】
また、上記照射手段はライン状に光照射を行うライン照明であり、上記撮像手段は被検査物表面からの光をライン状に取得するラインセンサを備えることが好ましい。
【0021】
また、本起伏検査装置には、照射光の光束を絞る光束調整手段を設けることが好ましい。こうすれば、観測すべき点以外からの光が減少し、光強度分布を精度良く取得することができる。これにより、照射手段および撮像手段の少なくとも一方の配置を精度良く調整(設定)することができ、被検査物表面に形成された起伏の状態を高精度に判定することができる。この場合、上記光束調整手段はスリットを備えていても良い。また、スリットの位置および幅の少なくとも一方を調整できるようにしておけば、照射手段あるいは撮像手段の位置が変わっても被検査物表面に必要な光量を照射することができる。
【0022】
また、本発明の起伏検査方法は、上記課題を解決するために、上記被検査物に光照射を行う照射手段と上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段とを用い、被検査物の表面に形成された起伏の状態を判定する起伏検査方法であって、上記被検査物に光照射を行い、該光照射に対する被検査物表面からの光についてその光強度分布を取得する光強度取得ステップと、上記光強度取得ステップで得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する調整ステップと、該調整を行った後の上記撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0023】
また、上記調整ステップでは、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別し、上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段あるいは撮像手段を調整することが好ましい。
【0024】
また、本発明の起伏検査装置の制御プログラムは、上記起伏検査装置を制御するため、
被検査物表面からの光の光強度分布を算出する工程と、上記光強度分布に基づいて、上記照射手段および撮像手段の少なくとも一方を調整する工程と、該調整を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する工程とを、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0025】
また、本記録媒体は、上記起伏検査プログラムがコンピュータに読み取り可能に格納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本起伏検査装置によれば、上記調整手段は、光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する。したがって、撮像手段は、被検査物表面から来る様々な光のうち、所望のもの(起伏の状態を判定するのに適した光)だけを取得できる。これにより、上記判定手段は、該撮像手段の取得結果に基づいて被検査物表面の起伏状態を容易かつ高精度に判定することができる。さらに、本起伏検査装置は非常に簡易な構成であるため、大型基板(カラーフィルタ基板等)の検査に好適となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の起伏検査装置は、表面に微細な起伏を有する物体であれば、何でも検査対象にすることができる。この検査対象の例としては、カラーフィルタ基板(特に、インクジェット法を用いて形成された基板)、露光レジストが形成された半導体ウエハ、TFT基板等を挙げることができる。以下では、本発明の起伏検査装置の一実施形態として、カラーフィルタ基板を検査対象にする場合について説明する。
【0028】
図1は本発明の起伏検査装置の要部を示す模式図あり、図2は該起伏検査装置のブロック図である。図1・2に示されるように、起伏検査装置1は、基板駆動ステージ5、ライン照明2、エリアセンサ3、ラインセンサ4、照明駆動ステージ6、制御装置8、記憶部19および表示モニタ9を備える。制御装置8は、画像処理部20、照明駆動制御部21、基板駆動制御部22および欠陥判定処理部23を備える。
【0029】
基板駆動ステージ5は、検査対象たるカラーフィルタ基板10を支持するとともにこれを基板面に沿った方向(図中の矢印方向、以下、基板走査方向という)に移動させる。ライン照明2は、基板駆動ステージ5上のカラーフィルタ基板10に光を照射する。なお、ライン照明2には石英ロッドが用いられていることが好ましい。石英ロッドにおいては光が石英ロッドの中を全反射伝送するため、ライン上の石英ロッド背面に拡散部材を均一に塗布加工することで、光を石英ロッドの外へ照射することができる。そのため、ファイバー式のライン照明に比較して均一性を保つことができる。照明駆動ステージ6はライン照明2を基板走査方向の適正な位置に移動させる。エリアセンサ3は、ライン照明2からの照射光のカラーフィルタ基板10表面での様々な反射光を取得(ライン照明2に照らされたカラーフィルタ基板10をエリア状に撮像)する。ラインセンサ4は、ライン照明2からの照射光のカラーフィルタ基板10表面での所定の反射光を取得(ライン照明2に照らされたカラーフィルタ基板10をライン状に撮像)する。
【0030】
基板駆動制御部22は、記憶部19からのデータに基づいて基板駆動ステージ5を駆動し、カラーフィルタ基板10を所定の位置に搬送する。画像処理部20は、エリアセンサ3から得られたエリアセンサ画像を解析する(後に詳述)。照明駆動制御部21は、画像処理部20によるエリアセンサ画像の解析データと、記憶部19から読み出したデータ(例えば、ライン照明2およびラインセンサ4の初期設定位置)とに基づいてライン照明2の適正位置を算出し、これに基づいて照明駆動ステージ6を作動させる。これにより、ライン照明2は基板走査方向へ所定距離だけ移動させられ、この結果、ライン照明2とラインセンサ4との相対的位置関係が適正なものに設定される。
【0031】
これを受けて、基板駆動制御部22は基板駆動ステージ5を介してカラーフィルタ基板10を一定速度で走査させる。これと同時にラインセンサ4はカラーフィルタ基板10を撮像してゆく。画像処理部20は、ラインセンサ4が撮像したラインセンサ画像を解析する。欠陥判定処理部23は、記憶部19から読み出したデータと、画像処理部20によるラインセンサ画像の解析データとに基づいてカラーフィルタ基板10表面の起伏状態(欠陥の有無)を判定する。表示モニタ9は、欠陥判定処理部23の判定結果(欠陥情報)を表示し、これを装置管理者(オペレータ)に認識せしめる。
【0032】
なお、制御装置8を図示しない工場情報系ネットワークなどに接続し、欠陥情報を一括管理するサーバーに送付することもできる。
【0033】
図3は、エリアセンサ3で撮像されるカラーフィルタ基板10表面の画像(エリアセンサ画像)を模式的に示したものである。ライン照明(ライン状の照明)2を使用した場合、上記エリアセンサ画像は、図3に示すようような、正反射光領域110、散乱光領域111(111a・111b)および低反射光領域112(112a・112b)を有するものになる。すなわち、帯状の領域110(正反射光領域)を中央にして、その両側に帯状の領域111aおよび111b(乱反射光領域)が位置し、該領域111a・111bの外(領域110側の反対)側に、帯状の領域112a・112b(低反射光領域)が位置する。
【0034】
ここで、カラーフィルタ基板10の各絵素間で膜厚差があっても、正反射光領域110ではこの膜厚差による輝度差がほとんど表れず、膜厚差(欠陥)を判定することが非常に困難である。一方、散乱光領域111では正反射光領域110から離れるほど膜厚差による輝度差が顕著に表れ、散乱光領域111a・111bの端部領域SRa・SRbで膜厚差による輝度差が最大となる。すなわち、散乱光領域の端部SRa・SRbを撮像すれば膜厚差(欠陥)を簡易かつ高精度に判定することができる。
【0035】
画像処理部20は、エリアセンサ3の撮像画像(エリアセンサ画像、図3参照)を解析し、反射光の強度分布として、正反射光領域110と散乱光領域111とを抽出する。以下にその抽出方法の一例を説明する。
【0036】
図4は、エリアセンサ画像の輝度をヒストグラム化したグラフである。高輝度領域にあるピーク113は正反射光領域110の輝度が集中していることを示す。また、ピーク113より低輝度側にあるピーク114は散乱光領域111の輝度が集中していることを示す。したがって、このヒストグラムより閾値(輝度)Aと閾値(輝度)Bを決定することで、正反射光領域110と散乱光領域111とを区別することができる。閾値Bは、ヒストグラムの山が2つになるため、判別分析法などの方法で決定することができ、閾値Aはノイズレベルがカットできる輝度値になるように設定するとよい。閾値Aと閾値Bにて、3値化し、画像処理にて散乱光領域(111aあるいは111b)の幅Wを算出する。
【0037】
ここで、照明駆動制御部21は、この散乱光領域の幅Wを用いてライン照明2の最適位置、すなわち、ラインセンサ4にて散乱光領域の端(SRaあるいはSRb)を撮像できる位置を決定し、これからライン照明2の移動量(基板走査方向の距離距離)を決定する。
【0038】
散乱光領域(111aあるいは111b)の幅Wとライン照明2の位置関係は、予めカラーフィルタ基板10の膜厚の形状が分かっているもので評価し変換データをデータベース化しておく。散乱光領域(111aあるいは111b)の幅Wからデータベースの変換データより最適なライン照明2の位置を求めることもできる。
【0039】
なお、エリアセンサ4を用いずに輝度計などを用いてカラーフィルタ基板10に照射された反射光の強度分布を計測し、散乱光領域の端部(SRaあるいはSRb)位置を抽出し、ラインセンサ4とライン照明2との適正な位置関係を求めることも可能である。ただ、輝度計などは入射角度を一定に保たなければ誤差が大きくなるため、一定の入射角で反射光が入射するように調整を行いながら輝度計を移動させ、強度分布を取得する必要がある。この点を考慮すると、エリアセンサ4でエリアセンサ画像を瞬時に撮像し、ラインセンサ4とライン照明2の最適な位置関係を求める方がタクトの短縮に有効である。
【0040】
正反射光領域110と散乱光領域111とを区別し、散乱光領域の端部(SRaあるいはSRb)を抽出する際、ライン照明(ライン状の照明)の代わりにスポット照明などを使用することもできる。図5にこのスポット照明を用いたときのエリアセンサ画像(エリアセンサ3による画像)を示す。同図に示されるように、楕円形の正反射光領域110の周辺に同じく楕円形の散乱光領域111があり、カラーフィルタ基板10を走査する方向に関する散乱光領域の幅wを求めることで、ラインセンサ4とライン照明2の適正な位置関係を決定することができる。
【0041】
カラーフィルタ基板10に照射する光は、カラーフィルタ基板10の裏側から照射し、透過光をエリアセンサ3およびラインセンサ4で撮像する構成であっても構わない。図6はこの構成を示す模式図である。ライン照明2をカラーフィルタ基板10の裏側から照射し、カラーフィルタ基板10を透過した光をエリアセンサ3で撮像しても、図3と同様のエリアセンサ画像、すなわち、直接透過光領域の周辺に散乱光領域が位置する画像を得ることができる。そこで、散乱光領域の端部位置を抽出することで、ラインセンサ4とライン照明2との適正な位置関係を決定することができる。
【0042】
なお、ライン照明2とラインセンサ4の相対的位置関係を設定するにあたって、ラインセンサ4の撮像角度を調整することもできる。この構成(起伏検査装置1x)の模式図を図7に示し、ブロック図を図8に示す。ここで、ライン照明2からカラーフィルタ基板10に入射する角度と同じ角度でラインセンサ4からカラーフィルタ基板10の表面を撮像すると正反射光の画像となってしまう。すなわち、カラーフィルタ基板10の各絵素の膜厚差による輝度差が画像に表れないことになる。そこで、エリアセンサ3で得られた散乱光領域の幅Wから入射角度の関係を事前に求めておき、これに基づいてラインセンサ4の入射角度を決定することで、カラーフィルタ基板10の各絵素の膜厚差による輝度差が表れた画像を撮像することができる。具体的には、制御装置8xの画像処理部20xがエリアセンサ画像を解析し、この解析結果に基づいてラインセンサ駆動制御部29が上記入射角度の関係を算出し、これに基づいて該ラインセンサ駆動制御部29がラインセンサ駆動ステージ30を介してラインセンサ4xを適正な向きに回転させる。
【0043】
また、ライン照明2とラインセンサ4の相対的位置関係を設定するにあたっては、ライン照明2を静止させて(そのままにして)おき、ラインセンサ4を基板走査方向に移動させることもできる。
【0044】
図9は、本起伏検査装置1の処理工程の一具体例を示すフローチャートである。
【0045】
本処理工程においては、まず、基板搬送部(図示せず)が、カラーフィルタ基板10を装置内に搬入する(S1)。この基板搬送部は搬入したカラーフィルタ基板10の基板情報を制御装置8に送信する。基板情報とは、ロット情報や生成しているカラーフィルタ基板10のサイズや絵素の大きさなどである。カラーフィルタ基板10は基板を搬送する基板駆動ステージ5に位置決めされているため、制御装置8はカラーフィルタの形成位置を把握している。
【0046】
ついで、基板駆動ステージ5が、カラーフィルタの形成位置にライン照明2からの光照射が可能であるとともにこれをエリアセンサ3で撮像できる場所にカラーフィルタ基板10を移動させる(S2)。S1の工程で制御装置8(基板駆動制御部22)はカラーフィルタの形成位置を認識しており、基板駆動制御部22は、これに基づいて基板駆動ステージ5を動作させ、所定の基板位置(カラーフィルタ基板10上のカラーフィルタ形成位置をエリアセンサ3が撮像できる位置)にカラーフィルタ基板10を移動させる。なお、この所定位置は予め記憶部19に記憶されており、基板駆動制御部22は、この情報を読み出して基板駆動制御部22を作動させ、カラーフィルタ基板10を所定位置に移動させる。
【0047】
ついで、エリアセンサ3がカラーフィルタ基板10を撮像し、制御装置8(画像処理部20および照明駆動制御部21)がライン照明2の移動量を算出する(S3)。ここでは、画像処理部20が、エリアセンサ3で撮像された画像(エリアセンサ画像)を解析し、この解析結果に基づいて照明駆動制御部21が、ラインセンサ4でエリアセンサ画像の散乱光領域の端部111を撮像できるように、ライン照明2の移動量(基板走査方向の移動量)を算出する。なお、エリアセンサ3の画像位置とラインセンサ4の撮像位置との相対位置関係は事前に制御装置8で算出されるか、記憶部19から読み出される。
【0048】
ついで、ラインセンサ4での撮像を行うために、照明駆動ステージ6がライン照明2を適正な位置に移動させる(S4)。すなわち、照明駆動制御部21がS3で算出したライン照明2の移動量に基づいて照明駆動ステージ6を動作させる。
【0049】
ついで、ラインセンサ4による撮像準備として、基板駆動ステージ5がカラーフィルタ基板10を撮像開始位置に移動させる(S5)。
【0050】
ついで、基板駆動ステージ5上にあるカラーフィルタ基板10を撮像開始位置より走査させながらラインセンサ4によりカラーフィルタ基板10を撮像する(S6)。ラインセンサ4の撮像中、基板駆動制御部22は基板駆動ステージ5を一定の速度で動作させ、これによりカラーフィルタ基板10が一定の速度で移動する。なお、ラインセンサ4が基板の長さ分の撮像を終了した時点で、基板駆動制御部22は基板駆動ステージ5を停止させる。
【0051】
ついで、画像処理部20がラインセンサ4で撮像されたラインセンサ画像を解析し、この解析結果に基づいて欠陥判定処理部23がカラーフィルタ基板10の欠陥を判定する(S7)。図10はラインセンサ画像を示す模式図である。数十nmの膜厚差がある絵素があるカラーフィルタでは、欠陥の絵素で反射した光は、その膜厚差によって、周囲の絵素で反射した光と比較してその輝度が異なって撮像される。すなわち、膜厚が周りの絵素より厚い場合は高輝度に、膜厚が周りの絵素より薄い場合は低輝度になる。
【0052】
ここで、カラーフィルタの膜厚差検出原理について、図13〜図15を参照しながら以下に説明する。図13(a)(b)は、あるカラーフィルタの膜厚が他のカラーフィルタの膜厚よりも薄いときのカラーフィルタ表面の反射光量を示す図である。図14(a)(b)は、あるカラーフィルタの膜厚が他のカラーフィルタの膜厚よりも厚いときのカラーフィルタ表面の反射光量を示す図である。図15は、輝度差と膜厚差との関係を示すグラフである。図14(b)は、何らかの原因で膜厚が小さくなった欠陥カラーフィルタ(CF)を示す。膜厚差が小さくなると、カラーフィルタのBM(ブラックマトリクス)界面における傾斜角度が周辺カラーフィルタと比較して小さくなる。よって、図13(a)のように、膜厚の小さいカラーフィルタの反射光量は周辺カラーフィルタと比較して小さくなる。なお、図13(b)において、CFは傾斜角度の違いを判り易くするために、誇張して描画しているが、具体的には、BM端面の最大の傾斜角度が1〜4度程度であり、傾きに直すと、10〜50μm/mm程度の傾きとなっている。一方、膜厚が大きくなった欠陥CFの場合も、上述した膜厚が小さくなった欠陥CFの場合と同様に説明できる。膜厚が大きくなると、傾斜角度が周辺CFと比較して大きくなる。よって、図14(a)に示すように、膜厚の大きいCFからの反射光量は周辺CFと比較して大きくなる。このような原理によって、膜厚差(基準膜厚に対して膜厚が大きいか、あるいは小さいかを示す値)は、撮像画像の輝度差(基準膜厚の反射光量と欠陥膜厚の反射光量との差の絶対値)という形で検出されることになる。そこで、膜厚差を把握しているサンプルを事前に撮像し、「膜厚差と撮像画像の輝度差の関係」を事前に評価しておくことで、撮像画像から欠陥CFの膜厚差を推定することができる。例えば、図15に示すようなグラフ、すなわち膜厚差と輝度差との関係を事前に評価したグラフを用いることが考えられる。これを利用すれば、欠陥CFから求めた輝度差から容易に膜厚差を推定することができる。
【0053】
また、製造装置が原因で欠陥(膜厚差)が発生する場合、連続した絵素に欠陥が発生することが多い。これにより、図10に示すラインセンサ画像116には、スジムラ117などの欠陥が観測される。この各絵素の膜厚差が数十nmであれば、液晶パネルを構成したときにもスジムラ(不具合)のある不良品となってしまう。なお、このスジムラ117をより精度良く抽出する(欠陥を判定する)ためには、ライン照明2に石英ロッドを使用した照明を使用することが好ましい。これにより照度ムラの影響が軽減され、欠陥判定の精度が高まる。なお、ライン照明2にファイバー照明を使用することも可能である。
【0054】
最後に、カラーフィルタ基板10を起伏検査装置1から搬出する(S8)。すなわち、基板駆動制御部22の制御に従って基板駆動ステージ5がカラーフィルタ基板10を基板搬入出位置まで移動させ、基板搬送部がカラーフィルタ基板10を外部に搬送する。
【0055】
以上のように、本起伏検査装置1によれば、一連のカラーフィルタ基板10の検査を自動的に行い、カラーフィルタ基板10の良品・不良品(欠陥の有無)を高精度かつ容易に判定することができる。これにより、不良品が発生(特に多発)したときはカラーフィルタ形成装置の異常を即座にオペレータに通知することが可能となる。また、工場の情報系へ基板の欠陥検査情報を送信することで、後半工程へ良品のみを流し液晶パネルに製造された時点での歩留まりを向上することができる。また、カラーフィルタ基板生成時に不良品が多発すれは、カラーフィルタ製造装置に即時にフィードバックをかけることもできる。
【0056】
ライン照明2とラインセンサ4の相対位置関係が基板のロット単位や機種単位で同じ結果が得られる場合には、事前に対象のロットのカラーフィルタ基板を起伏検査装置1に投入し、ライン照明2とラインセンサ4の相対的位置関係をロット単位や機種単位で管理・変更することにより、以後のカラーフィルタ基板についてはS2およびS3の工程を省くことができ、装置のタクトアップを図ることが可能となる。
【0057】
なお、本起伏検査装置は、エリアセンサを用いずに構成することもできる。この構成(起伏検査装置1y)の模式図を図11に、ブロック図を図12に示す。すなわち、図9のS1の後、S2・3の代わりに、ライン照明2を移動させながらラインセンサ4でカラーフィルタ基板10を撮像する。具体的には、照明駆動制御部21yの制御に従って照明駆動ステージ6がライン照明2を移動させつつ、ラインセンサ4にてカラーフィルタ基板10を順次撮像し、1枚の画像を得る。
【0058】
これにより、図3に示すエリアセンサ画像と同等の画像を得ることができる。ついで、制御装置8(画像処理部20yおよび照明駆動制御部21y)がライン照明2の適正位置を算出する。具体的には、画像処理部20yが、上記ラインセンサ4により撮像された画像を解析し、この解析結果に基づいて照明駆動制御部21yが、ラインセンサ4で散乱光領域の端部111(図3参照)を撮像できるようなライン照明2の位置(基板走査方向の位置)を算出する。以後は図9のS4〜と同様である。
【0059】
当該構成によれば、エリアセンサを準備することがなく、ラインセンサのみで装置(システム)を構築することができ、特に大型基板を全面検査する場合に、装置のサイズおよびコストダウンあるいはその調整もしやすくなり大変有効である。
【0060】
なお、ライン照明2からの光束が大きな幅をもつと、取得するべき点以外の反射光も撮像されるため、カラーフィルタ基板端面の傾斜角の違いを判断する際に誤差が生じやすい。そこで、図16(a)に示すように、図1・6・7・11等において、ライン照明2からの光束を絞る光束調節部70(光束調整手段)を設けても良い。光束調節部70はスリット71を有しており、ライン照明2のカラーフィルタ基板側に設けられる。こうすれば、図16(a)に示すように光束の幅が狭まり(図16(a)参照、図中2点破線はスリットがない場合の光束を示す)、撮像するべき点以外からの反射光を制限することができる。これにより、傾斜角の違い(起伏状態)を判断する際の誤差が減少し、欠陥検出精度を向上させることができる。この場合、光束調整部70を、そのスリット71の幅および位置が可変となるように構成しておいても良い。こうすれば、ライン照明2が移動しても、これに応じてスリット71の幅および位置を変更させることで撮像すべき点に必要な光量の照射することができる(図16(b)参照)。なお、光束調整部70の制御は、図17に示すように、照明駆動制御部(21・21x)が行う。
【0061】
また、ライン照明2からの光に指向性をもたせることもできる。例えば、図18に示すように、図1・6・7・11等において、ライン照明2と観察点(カラーフィルタ基板10)との間に凸型のシリンドリカルレンズ77を配置することで照明光の指向性を上げる。これにより、撮像するべき点以外からの反射光を制限することができ、欠陥検出精度を向上させることができる。なお、観察点(カラーフィルタ基板10)に照射される光は必ずしも平行光でなくてもよく、観察点に向かってやや収束するような光であっても構わない。
【0062】
また、図19に示すように、図1・6・7・11等において、ライン照明2のカラーフィルタ基板側に、指向フィルタ80(指向性調節手段)を設けることで照明光の指向性を上げても良い。フィルタ指向80は、枠体にライン照明の延伸方向(ライン方向)に直角な格子(縦格子)81を設けた構成を有する。このように縦格子(ライン方向に直角の仕切り)81を設けることで照射光のライン方向の指向性が向上し、撮像するべき点以外からの反射光を制限することができる。これにより、欠陥検出精度を高めることができる。さらに、図20に示すように、縦格子81をもつ指向フィルタ80に、横格子(ライン方向の仕切り)91をもつ指向フィルタ90を重ねることも可能である。こうすれば、ライン方向およびこれに直角な方向の双方の指向性が向上し、欠陥検出精度をさらに高めることができる。また、図21のように縦格子(仕切り)81に可動性(例えば、ライン方向の可動性)をもたせ、指向フィルタ80の透過光の角度を調整できるようにしても良い。もちろん、指向フィルタ80の設置角度自体を変更して透過光の角度を調整しても良い。
【0063】
また、照射光の光束を調節する、あるいは照射光に指向性をもたせるために、ライン照明2と観察点(カラーフィルタ基板10)との間に透過型の液晶パネルを配置することも可能である。例えば液晶パネルにスリットを表示すれば、これが光束調節部(図16(a)・(b)参照)と同様に機能する。液晶パネルであるため、スリット(表示)の配置の変更やスリット幅の変更が自在である。
【0064】
なお、制御装置8(8x・8y)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。すなわち、制御装置8(8x・8y)は、各機能(制御装置内の各部の機能)を実現する制御プログラム(起伏検査装置の制御プログラム)の命令を実行するCPU(central processing unit)を備え、記憶部19は、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである起伏検査プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記起伏検査装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0065】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,等を用いることができる。
【0066】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードを格納することになる。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の起伏検査装置は物体表面の微細な起伏状態を容易に検査することができる。したがって、カラーフィルタ基板(特に、インクジェット法を用いて形成された基板)、露光レジストが形成された半導体ウエハ、TFT基板等の表面検査に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本起伏検査装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す起伏検査装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ライン照明を用い、カラーフィルタ基板をエリアセンサで撮像した画像(エリアセンサ画像)を示す模式図である。
【図4】エリアセンサ画像の輝度分布を示すヒストグラムである。
【図5】スポット照明を用い、カラーフィルタ基板をエリアセンサで撮像した画像(エリアセンサ画像)を示す模式図である。
【図6】本起伏検査装置の他の構成(ライン照明をカラーフィルタ基板の裏面側に配置する構成)を示す模式図である。
【図7】本起伏検査装置のさらに他の構成(ラインセンサの位置調整を行う構成)を示す模式図である。
【図8】図7に示す起伏検査装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示す起伏検査装置の処理工程例を示すフローチャートである。
【図10】カラーフィルタ基板をラインセンサで撮像した画像(ラインセンサ画像)を示す模式図である。
【図11】本起伏検査装置のさらに他の構成(エリアセンサを用いない構成)を示す模式図である。
【図12】図11に示す起伏検査装置の構成を示すブロック図である。
【図13】(a)は欠陥判定処理の原理を説明するためのカラーフィルタと反射光量との関係を示すグラフであり、(b)は(a)のときのカラーフィルタの状態を示す図である。
【図14】(a)は欠陥判定処理の原理を説明するためのカラーフィルタと反射光量との関係を示すグラフであり、(b)は(a)のときのカラーフィルタの状態を示す図である。
【図15】欠陥判定処理の原理を説明するための輝度差と膜厚差との関係を示すグラフである。
【図16】(a)(b)は、光束調整部を備える本起伏検査装置の構成を示す模式図である。
【図17】光束調整部の制御関係を示すブロック図である。
【図18】シリンドリカルレンズを備える本起伏検査装置の構成を示す模式図である。
【図19】指向フィルタを備える本起伏検査装置の一部構成を示す斜視図である。
【図20】2つの指向フィルタを備える本起伏検査装置の一部構成を示す斜視図である。
【図21】格子(仕切り)が可変である指向フィルタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1・1x・1y起伏検査装置
2 ライン照明
3 エリアセンサ
4 ラインセンサ
5 基板駆動ステージ
6 照明駆動ステージ
8・8x・8y 制御装置
9 表示モニタ
10 カラーフィルタ基板
19 記憶部
20 20x 画像処理部
21 21x 照明駆動制御部
22 基板駆動制御部
23 欠陥判定処理部
70 光束調節部
71 スリット
77 シリンドリカルレンズ
80 指向フィルタ(縦格子)
90 指向フィルタ(横格子)
110 正反射領域
111 乱反射領域
112 低反射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の表面に形成された起伏の状態を判定する起伏検査装置であって、
上記被検査物に光照射を行う照射手段と、
該光照射に対する被検査物表面からの光についてその光強度分布を取得する光強度取得手段と、
上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段と、
上記光強度取得手段から得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段および撮像手段の少なくとも一方を調整する調整手段と、
該調整を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする起伏検査装置。
【請求項2】
上記調整手段は、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別するとともに上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段あるいは撮像手段を調整することを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項3】
上記光強度取得手段は、被検査物表面からの光をエリア状に取得するエリアセンサを備えることを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項4】
上記照射手段はライン状に光照射を行うライン照明であり、上記撮像手段は被検査物表面からの光をライン状に取得するラインセンサを備えることを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項5】
上記照射手段に石英ロッドが用いられていることを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項6】
上記被検査物表面からの光が、被検査物表面での反射光であることを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項7】
上記被検査物は光透過性を有し、被検査物表面からの光が、被検査物の裏面から表面へ透過するとともに該表面で反射した光であることを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項8】
上記調整手段は、照射手段あるいは撮像手段を移動させることで両者の相対的位置関係を調整することを特徴とする請求項1記載の起伏検査装置。
【請求項9】
被検査物の表面に形成された起伏の状態を判定する起伏検査装置であって、
上記被検査物に光照射を行う照射手段と、
上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段と、
照射手段を移動させつつ上記撮像手段による撮像を行うことで被検査物表面からの光の光強度分布を取得し、この光強度分布に基づいて上記照射手段および撮像手段の相対的位置関係を設定する設定手段と、
該設定を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする起伏検査装置。
【請求項10】
上記設定手段は、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別するとともに上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段および撮像手段の相対的位置関係を設定することを特徴とする請求項9記載の起伏検査装置。
【請求項11】
上記照射手段はライン状に光照射を行うライン照明であり、上記撮像手段は被検査物表面からの光をライン状に取得するラインセンサを備えることを特徴とする請求項9記載の起伏検査装置。
【請求項12】
上記被検査物に光照射を行う照射手段と上記被検査物表面からの光のうち所定の光だけを取得する撮像手段とを用い、被検査物の表面に形成された起伏の状態を判定する起伏検査方法であって、
上記被検査物に光照射を行い、該光照射に対する被検査物表面からの光についてその光強度分布を取得する光強度取得ステップと、
上記光強度取得ステップで得られる光強度分布に基づいて、上記照射手段あるいは撮像手段を調整する調整ステップと、
該調整を行った後の上記撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する判定ステップと、含むことを特徴とする起伏検査方法。
【請求項13】
上記調整ステップでは、上記光強度分布に基づいて正反射領域、乱反射領域および低反射領域を識別し、上記撮像手段が上記乱反射領域および低反射領域の境界近傍領域の光を取得できるように、上記照射手段あるいは撮像手段を調整することを特徴とする請求項12記載の起伏検査方法。
【請求項14】
上記照射手段の照射光の光束を絞る光束調整手段を備えることを特徴とする請求項1または9記載の起伏検査装置。
【請求項15】
上記光束調整手段はスリットを有することを特徴とする請求項14記載の起伏検査装置。
【請求項16】
上記スリットの位置および幅の少なくとも一方が可変であることを特徴とする請求項15記載の起伏検査装置。
【請求項17】
請求項1記載の起伏検査装置を制御する、起伏検査装置の制御プログラムであって、
被検査物表面からの光の光強度分布を算出する工程と、
上記光強度分布に基づいて、上記照射手段および撮像手段の少なくとも一方を調整する工程と、
該調整を行った後の撮像手段の撮像結果に基づいて、被検査物表面に形成された起伏の状態を判定する工程とを、コンピュータに実行させることを特徴とする起伏検査装置の制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の起伏検査装置の制御プログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータの読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−24873(P2007−24873A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162891(P2006−162891)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】