説明

車両のための操作方法

車両の操作方法に際して、ドライバーの健康状態が検出され、対応する信号が出力される。本発明に係る方法では、いつでも作動可能な装置が車両に備えられ、当該装置を用いてドライバーや他の乗員の身体コンディションが積極的に影響を与えられ得、及び/又は発生するストレスに反対作用し得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に非接触感知技術を用いてドライバーの健康状態を検出(確認)し、相応する信号を発する、自動車やオートバイ等の車両のための操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は特許文献1から公知である。当該方法では、体温や静脈拍のような健康状態に関する基本情報、並びに脈拍上昇や瞬き頻度(Lidschlagfrequenz)のような一時的/経過情報が得られる。後者の経過情報は車両ユーザの疲労に対する帰納推理を可能にする。この情報は屋外へ、外部の診断者に伝えられ、彼の側で例えば運転状態を変えるようにドライバーに気付かせる。車両自体に備えられた分析電子機器によってドライバーに危機的な健康状態への注意を促すことも、また可能である。
【0003】
これに関連して、同様に特許文献2から公知の方法も重要であり、重大事故の際にエアバッグ等の受動的な安全装置が乗員の身体的フィットネスに応じて制御されるようになっている。
【0004】
先だって公開されていない特許文献3は、事故の際に乗員の健康状態を分析して可能な限り積極的に影響を及ぼすこと、若しくは例えば加熱システムをスイッチオフすることで、さもなければ例えば乗員空間における温度上昇により引き起こされ得る更なる損害/障害を防ぐという問題に取り組んでいる。
【0005】
これら方法すべてに共通して、生じた被害状況をなお一層悪化させない若しくは被害の発生を防止することが目標方向である。それらは明らかに車両乗員の不足した健康状態に合わせられる。
【0006】
【特許文献1】US2002/0121981A1
【特許文献2】EP0878356B
【特許文献3】DE10307556.9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ドライバー及び乗員に積極的に影響を与える冒頭に記載された様式の方法を創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の手段により解決される。
詳細に後に記される装置(Einrichtungen)を用いて、車両乗員の身体的及び精神的状態が積極的に影響を与えられる。その際、これら装置を用いて乗員の健康状態を、及びそれと共に間接的に心の状態も改善すること、あるいはメンタル的な元気さ/健康に直接積極的に影響を及ぼすことが試される。
【0009】
これら装置において、そのようないずれにせよ車両に存する装置が通例肝要である。すべての装置は、その働きにおいて乗員に向けられており且つその健康状態にできる限り積極的に影響を及ぼす点で共通している。しかしながら、冒頭に述べた公知の若しくは古い文献若しくは特許出願と違って、健康状態若しくは運転能力の通例(i.d.R.)明らかな悪化が始まるまできっちり待っていない。むしろ走行中常に乗員の身体的及びメンタル的元気さを改善する。また当該方法はドライバーだけでなく他のすべての乗員にも合わせられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
個々に、これら装置において次のことが肝要である:
a)乗員にとってのできる限り快適な室内環境に関して乗員コンパートメントでの温度適合若しくは安定化のための暖房設備/エアコンを案出すること
b)所謂アロマテラピーに似て内部空間空気中に健全性を高める香り物質を増加させるため及び/又は有毒乃至有害物質を中和するための内部空間空気・改善系
c)例えば長く続き通例は疲れる走行の場合に乗員を身体的に活性化するためのシートマッサージ装置
d)乗員やドライバーを積極的な気分に変えるための耳に快いメロディーを再現する音楽ユニット
e)乗員の快適感覚を高め得るシャーシ調整装置(サスペンション装置)
f)山地走行の場合に生じるような圧力変動に抵抗するための空気圧バランス装置、及び/又は
g)温める赤色灯又は元気づける明るい光によって健全さを高める内部照明装置。
【0011】
乗員の体調や健康状態に関する情報は、交通状況や走行経過の分析から間接的に得ることができる。このために必要な検知技術(センサ技術)は通常、既に存在して設置されている。交通状況、道路状況及び車両の挙動に関する情報は、他の交通関与体又はセンター(中央機関)に伝えられる。本願出願人の場合、「接続ドライブ(Connected Drive)」なる名称で、そのような調査・検査を実行する。
【0012】
発明の範囲内において、乗員の身体的及びメンタル的な負担に関する帰納的推理を得るために、存在する情報が利用される。例えば大きな交通量で低くない速度での危機的な道路状況において車両を動かすとか、高い車両速度で後方から来る車両によってぴったりと車間距離を詰められるといったデータからもたらされる場合、特にストレス状態の推理が理解できる。
【0013】
補足して、あるいは代わりに、マイクロホンを用いて車両の外部での騒音程度及び/又は乗員やドライバー自身の音的な動きを拾って分析することも可能である。外で聞き取れるクラクションの音や声高に伝わる会話から、車両乗員の特に精神的な負担が推論される。
【0014】
乗員の健康状態に関する情報は(特に非接触で)夫々の乗員自身からも得られ得る。それから、乗員が感じる快適さのその都度の程度が直接導き出される。このために、走行中で特に走行の当初に関して乗員の健康状態を決定するのが有利である。乗員が変わらず注意深く、疲労や高い体温のような普段の健康上の目立った点の如何なる兆しも示さないならば、良好な健康や個人的快感の推定が理解できる。
【0015】
それに反して乗員が自身の動き(ドライバーの場合、例えば彼の操舵行動)において慌しいしぐさを一段と増して示すならば、あるいは疲労のしぐさ(ドライバーの場合、緩慢な反応や多めの瞬き)を示すならば、健全さも弱まっていることに基づいている。そして、健全さを再び上げるために列挙した装置を部分的に又は一緒に用いることが合理的である。
【0016】
大気の影響、例えば近づいてくる雷雨も適切な車両センサ、例えば気圧計を用いて、あるいは気象サービスや他の車両のデータ伝送によって検知可能であり、車両乗員の健康状態に関するその影響が、イージーリスニング系音楽用オーディオ装置のような車両に適した装置の相応する反応によって、考慮される。
【0017】
各乗員にとって夫々の主観的な健全さに特有の健康・行動プロフィールを予め持っていることが特に有利であり得る。このプロフィールは例えば過去における多数の走行を手がかりに得られ得る。そのための前提が、乗員の明確な同定(認識)とその行動特性曲線の割り当てである。この同定は公知のように画像処理技術を用いて光学的に行われるか、適切なバイオセンサで決定される指紋、ボイス特性及び網膜構造のような生物測定学的な情報を用いて行われる。
【0018】
この関連において、各ユーザーのための健康・行動プロフィールが適切なコンフィギュレーションツールを介して手動でもパラメータ化されることが、有利であり得る。それで例えば冒頭に挙げた装置は、これらをユーザーの個々の生理機能に合わせ得るために、各々個々に遮断可能、またはその作用範囲において制限可能であるべきである。
【0019】
他の車両ユーザーが需要や要求に関して適合する限り、上記装置は個々に応じてコンフィギュレーション可能で、個々のコンフィギュレーションはいつでも変更可能でなければならない。このようにして車両ユーザーは走行の際に負担を和らげ、交通安全を高めるための基本的な寄与が果たされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの健康状態を検出し、相応する信号を発する、車両のための操作方法において、車両におけるいつでも作動可能な装置を用いて走行中のドライバーや他の乗員の身体的状態が積極的に影響を与えられ及び/又は生じるストレスに反対作用することを特徴とする方法。
【請求項2】
ドライバーや他の乗員の健康状態が非接触に検出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドライバーや他の乗員の実際の身体的な状態がバイオセンサを用いて決定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ドライバーや他の乗員の実際の身体的な状態が走行経過及び/又は現実の交通状況及び/又は先行する交通状況から導き出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ドライバーや他の乗員の実際の身体的な状況がその音的な動きから導き出されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
装置作動の規模及び/又は様式が夫々の車両ユーザーによって個々に調整されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−529793(P2007−529793A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552471(P2006−552471)
【出願日】平成16年12月4日(2004.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013822
【国際公開番号】WO2005/082232
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】