説明

車両挙動制御装置および車両挙動制御方法

【課題】車両の走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うと共に、アクチュエータの耐久性の低下を抑制する。
【解決手段】車体の上下挙動を取得し、取得した上下挙動が閾値th1よりも大きいときに、上下挙動に応じて目標制動力Pbを制御する。また、取得した上下挙動が閾値th2(th2>th1)よりも大きいときに、目標制動力Pbを0に制限する。また、減速感を抑制するために、目標制動力Pbを上限値Pmax以下に制限すると共に、立ち上げ時には演算周期毎の増加量をΔPu以下に制限する。その後は、上下挙動の低減に伴って、目標制動力Pbを減圧させてゆく。このときは、制動力の消失感を抑制するために、演算周期毎の減少量をΔPd以下に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置および車両挙動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の挙動を制御する技術として、サスペンション装置におけるショックアブソーバの減衰力を制御するものがある。
例えば、特許文献1に記載の技術では、車両の横加速度によってショックアブソーバに生じる摩擦力を算出している。そして、バネ上部材とバネ下部材との相対運動を抑制するために必要な目標要求減衰力から、算出した摩擦力を減じ、ショックアブソーバが発生すべき目標発生減衰力を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−137796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に横加速度に応じて減衰力を調整するだけでは、車両の上下挙動を効果的に減衰させることが難しい。また、サスペンションストロークに伴うタイヤの前後変位を制動によって抑制することで、サスペンションストロークの摩擦力を調整し、車両の上下挙動を減衰させることも考えられる。しかしながら、上下挙動に応じて常に制動力制御を実行すると、アクチュエータの耐久性が低下する可能性がある。
本発明の課題は、車両の走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うと共に、アクチュエータの耐久性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、車体の上下挙動を取得し、取得した上下挙動が予め設定した第一の閾値よりも大きいときに、その上下挙動に応じて制動力を制御する。また、第一の閾値よりも大きな第二の閾値を設定し、取得した上下挙動が第二の閾値よりも大きいときに、制動力の制御を制限する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車体の上下挙動が第一の閾値よりも大きいときに、制動力を制御することにより、サスペンションストロークのフリクションを制御し、車両の走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うことができる。また、車体の上下挙動が第二の閾値よりも大きいときには、制動力の制御を制限することにより、制動力を制御するためのアクチュエータの耐久性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用した車両挙動制御装置1Aを備える自動車1の概略構成図である。
【図2】車両挙動制御装置1Aの機能構成を示す図である。
【図3】ブレーキアクチュエータ60の構成を示すブロック図である。
【図4】コントローラ50の機能構成を示すブロック図である。
【図5】車両挙動制御処理を示すフローチャートである。
【図6】上下挙動推定処理を示すフローチャートである。
【図7】制動による上下挙動の抑制について説明した図である。
【図8】上下挙動と目標制動力のタイムチャートである。
【図9】上下挙動に対する制御効果の大きさを示す図である。
【図10】比較例における上下挙動と目標制動力と制御介入状態とを示すタイムチャートである。
【図11】本実施形態における上下挙動と目標制動力と制御介入状態を示すタイムチャートである。
【図12】上下挙動に対する制御介入のON/OFFを示す図である。
【図13】上下挙動別に見たアクチュエータの作動時間を示す図である。
【図14】第2実施形態を示す車両挙動制御処理のフローチャートである。
【図15】第2実施形態の作用効果を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る車両挙動制御装置および車両挙動制御方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
《第1実施形態》
《構成》
図1は、本発明を適用した車両挙動制御装置1Aを備える自動車1の概略構成図である。また、図2は、車両挙動制御装置1Aの機能構成を示す図である。
図1および図2において、自動車1は、上下加速度センサ10と、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLと、ブレーキペダル30と、マスタシリンダ40と、コントローラ50と、ブレーキアクチュエータ60と、ホイールシリンダ70FR,70FL,70RR,70RLと、車輪80FR,80FL,80RR,80RLと、サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLと、車体100とを備えている。
【0009】
これらのうち、上下加速度センサ10、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RL、コントローラ50、ブレーキアクチュエータ60が車両挙動制御装置1Aを構成している。
上下加速度センサ10は、車体100の上下方向の加速度を検出し、検出した加速度を示す信号をコントローラ50に出力する。
車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLは、車輪80FR,80FL,80RR,80RLの回転速度を検出し、検出した回転速度を示す信号をコントローラ50に出力する。
ブレーキペダル30は、運転者が制動操作を行うペダルであり、運転者のペダル踏力をマスタシリンダ40に伝達する。
【0010】
マスタシリンダ40は、運転者のペダル踏力に応じて2系統の液圧を作るタンデム式のものである。そして、マスタシリンダ40は、プライマリ側を左前輪・右後輪のホイールシリンダ70FL・70RRに伝達し、セカンダリ側を右前輪・左後輪のホイールシリンダ70FR・70RLに伝達するダイアゴナルスプリット方式を採用している。
【0011】
コントローラ50は、自動車1全体を制御するもので、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。そして、コントローラ50は、入力される各種信号に基づいて、後述する車両挙動制御処理を実行し、ブレーキアクチュエータ60を制御するための指示信号を出力する。これにより、コントローラ50は、サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLの摩擦力を変化させて車両の上下挙動を制御する。
【0012】
ブレーキアクチュエータ60は、マスタシリンダ40と各ホイールシリンダ70FR,70FL,70RR,70RLとの間に介装した液圧制御装置である。ブレーキアクチュエータ60は、コントローラ50からの指示信号に応じて、ホイールシリンダ70FR,70FL,70RR,70RLの油圧を変化させることにより、各車輪80FR,80FL,80RR,80RLに制動力を付与する。これにより、サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLの摩擦力が変化し、車両の上下挙動を制御することができる。
【0013】
ホイールシリンダ70FR,70FL,70RR,70RLは、ディスクブレーキを構成するブレーキパッドを、車輪80FR,80FL,80RR,80RLと一体に回転するディスクロータに押し付けるための押圧力を発生する。
サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLは、各車輪80FR,80FL,80RR,80RLと車体100との間に設置した懸架装置である。サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLは、車体100と各車輪側の部材とを連結するリンク部材と、各車輪と車体100との相対運動を緩衝させるバネと、各車輪と車体100との相対運動を減衰させるショックアブソーバとを有している。
【0014】
サスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLがバウンド側に変位すると、各車輪の中心は車体100に対して上下方向の変位および前後方向の変位を生じる。
このとき、各車輪中心の車体前後方向における変位を吸収するために、各車輪は回転することとなる。
そのため、各車輪の回転を制動力によって妨げると、これによりサスペンション装置90FR,90FL,90RR,90RLに拗れが生じ、摩擦力が変化する。
本発明においては、この摩擦力の変化を利用して、サスペンション装置の動作を変化させ、車両の上下挙動を制御するものである。
【0015】
次に、ブレーキアクチュエータ60の構成について説明する。
図3は、ブレーキアクチュエータ60の構成を示すブロック図である。
ブレーキアクチュエータ60は、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、運転者のブレーキ操作に係らず各ホイールシリンダ70FR,70FL,70RR,70RLの液圧を増圧・保持・減圧できるように構成されている。
【0016】
プライマリ側は、マスタシリンダ40およびホイールシリンダ70FL(70RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型の第1ゲートバルブ62Aと、第1ゲートバルブ62Aおよびホイールシリンダ70FL(70RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のインレットバルブ63FL(63RR)と、ホイールシリンダ70FL(70RR)およびインレットバルブ63FL(63RR)間に連通したアキュムレータ64と、ホイールシリンダ70FL(70RR)およびアキュムレータ64間の流路を開放可能なノーマルクローズ型のアウトレットバルブ65FL(65RR)と、マスタシリンダ40および第1ゲートバルブ62A間とアキュムレータ64およびアウトレットバルブ65FL(65RR)間とを連通した流路を開放可能なノーマルクローズ型の第2ゲートバルブ66Aと、アキュムレータ64およびアウトレットバルブ65FL(65RR)間に吸入側を連通し、且つ第1ゲートバルブ62Aおよびインレットバルブ63FL(63RR)間に吐出側を連通したポンプ67と、を備えている。また、ポンプ67の吐出側には、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制し、ペダル振動を弱めるダンパー室68が配設されている。
【0017】
また、セカンダリ側も、プライマリ側と同様に、第1ゲートバルブ62Bと、インレットバルブ63FR(63RL)と、アキュムレータ64と、アウトレットバルブ65FR(65RL)と、第2ゲートバルブ66Bと、ポンプ67と、ダンパー室68と、を備えている。
第1ゲートバルブ62A・62Bと、インレットバルブ63FL〜63RRと、アウトレットバルブ65FL〜65RRと、第2ゲートバルブ66A・66Bとは、それぞれ、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁であって、第1ゲートバルブ62A・62Bおよびインレットバルブ63FL〜63RRは、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ65FL〜65RRおよび第2ゲートバルブ66A・66Bは、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成されている。
【0018】
また、アキュムレータ64は、シリンダのピストンに圧縮バネを対向させたバネ形のアキュムレータで構成されている。
また、ポンプ67は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保できる歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプで構成されている。
以上の構成により、プライマリ側を例に説明すると、第1ゲートバルブ62A、インレットバルブ63FL(63RR)、アウトレットバルブ65FL(65RR)、および第2ゲートバルブ66Aが全て非励磁のノーマル位置にあるときに、マスタシリンダ40からの液圧がそのままホイールシリンダ70FL(70RR)に伝達され、通常ブレーキとなる。
【0019】
また、ブレーキペダルが非操作状態であっても、インレットバルブ63FL(63RR)、およびアウトレットバルブ65FL(65RR)を非励磁のノーマル位置にしたまま、第1ゲートバルブ62Aを励磁して閉鎖すると共に、第2ゲートバルブ66Aを励磁して開放し、更にポンプ67を駆動することで、マスタシリンダ40の液を第2ゲートバルブ66Aを介して吸入し、吐出される液圧をインレットバルブ63FL(63RR)を介してホイールシリンダ70FL(70RR)に伝達し、増圧させることができる。
【0020】
また、第1ゲートバルブ62A、アウトレットバルブ65FL(65RR)、および第2ゲートバルブ66Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ63FL(63RR)を励磁して閉鎖すると、ホイールシリンダ70FL(70RR)からマスタシリンダ40およびアキュムレータ64へのそれぞれの流路が遮断され、ホイールシリンダ70FL(70RR)の液圧が保持される。
【0021】
さらに、第1ゲートバルブ62Aおよび第2ゲートバルブ66Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ63FL(63RR)を励磁して閉鎖すると共に、アウトレットバルブ65FL(65RR)を励磁して開放すると、ホイールシリンダ70FL(70RR)の液圧がアキュムレータ64に流入して減圧される。アキュムレータ64に流入した液圧は、ポンプ67によって吸入され、マスタシリンダ40に戻される。
【0022】
セカンダリ側に関しても、通常ブレーキ・増圧・保持・減圧の動作は、上記プライマリ側の動作と同様であるため、その詳細説明は省略する。
したがって、コントローラ50は、第1ゲートバルブ62A・62Bと、インレットバルブ63FL〜63RRと、アウトレットバルブ65FL〜65RRと、第2ゲートバルブ66A・66Bと、ポンプ67とを駆動制御することによって、各ホイールシリンダ70FL〜70RRの液圧を増圧・保持・減圧することができる。
【0023】
次に、コントローラ50が車両挙動制御処理を行うために有している機能構成について説明する。
図4は、コントローラ50の機能構成を示すブロック図である。
コントローラ50は、バンドパスフィルタ部51と、絶対値取得部52と、上下挙動制御閾値記憶部53と、比較部54と、制御介入判定部55と、上下挙動最大値記憶部56と、最大指令値算出部57と、指令値生成部58とを備えている。
【0024】
バンドパスフィルタ部51は、上下加速度センサ10から入力した上下挙動の検出値(上下方向の加速度)から、設定した制御帯域内の値を抽出し、抽出した上下挙動の検出値(以下、単に「上下挙動」と称する。)を絶対値取得部52に出力する。なお、ここでは上下加速度センサ10によって車体100の上下挙動を取得する場合を例に挙げて説明するが、上下挙動として、サスペンションストロークや車輪速等から推定した値を用いることも可能である。
【0025】
絶対値取得部52は、バンドパスフィルタ部51から入力した上下挙動における絶対値を取得する。即ち、絶対値取得部52は、上方向および下方向に変化するベクトル値からなる上下挙動をスカラー値に直し、絶対値として取得する。
上下挙動制御閾値記憶部53は、コントローラ50によって車両挙動制御処理に基づく制御介入を行うか否かについて定めた上下挙動の制御閾値を記憶している。
比較部54は、絶対値取得部52が取得した上下挙動の絶対値と、上下挙動制御閾値記憶部53が記憶している上下挙動の制御閾値とを比較し、比較結果を制御介入判定部55に出力する。
【0026】
制御介入判定部55は、比較部54から入力する比較結果に応じて、車両挙動制御処理に基づく制御介入を行うか否かを判定する。具体的には、制御介入判定部55は、比較部54から入力する比較結果が、取得した上下挙動の絶対値が記憶している上下挙動の制御閾値以上となっている場合に、車両挙動制御処理に基づく制御介入を行うものと判定する。このとき、制御介入判定部55は、比較部54から入力する比較結果が、取得した上下挙動の絶対値が記憶している上下挙動の制御閾値以上となる度に、車両挙動制御処理に基づく制御介入を行い、後述する上下挙動最大値記憶部56に記憶する上下挙動の最大値を更新する。
【0027】
上下挙動最大値記憶部56は、絶対値取得部52によって取得した上下挙動の絶対値が、上下挙動の制御閾値以上となった後の最大値(極値)を記憶する。また、上下挙動最大値記憶部56は、制御介入判定部55が制御介入を行うものと判定した場合、記憶している最大値を更新する。
最大指令値算出部57は、車輪速センサ20FR,20FL,20RR,20RLから入力する車輪の回転速度を示す信号と、上下挙動最大値記憶部56が記憶している上下挙動の最大値と、制御介入判定部55から入力する判定結果とを基に、各車輪について制動力の最大指令値(制動力の上限値を示す指令値)を算出する。
【0028】
次に、コントローラ50で所定時間(例えば10msec)毎に実行する車両挙動制御処理について説明する。
図5は、車両挙動制御処理を示すフローチャートである。
ステップS101では、上下挙動の最大値Zpが閾値th1(第一の閾値)より大きいか否かを判定する。判定結果がZp>th1であるときには、制御介入が必要な上下挙動であると判断してステップS105に移行する。一方、判定結果がZp≦th1であるときには、制御介入が必要な上下挙動ではないと判断してステップS102に移行する。
【0029】
ステップS102では、上下挙動の検出値Zrが閾値th3より大きいか否かを判定する。閾値th3は前述した閾値th1よりも小さい値である。判定結果がZr>th3であるときには、まだ上下挙動が収束していないと判断してステップS104に移行する。一方、判定結果がZr≦th3であるときには、上下挙動が収束していると判断してステップS103に移行する。
【0030】
ステップS103では、ブレーキアクチュエータ60に対する制御量である目標制動力Pbを0に設定してからステップS109に移行する。
ステップS104では、目標制動力Pbが0より大きいか否かを判定する。判定結果がPb=0であるときには、制御介入中ではないと判断して前述したステップS103に移行する。一方、判定結果がPb>0であるときには、制御介入中であると判断してステップS105に移行する。
【0031】
ステップS105では、サブルーチンとして後述する上下挙動推定処理を実行し、上下挙動の推定値Zeを推定してからステップS106に移行する。
ステップS106では、下記に示すように、上下挙動の推定値Zeに応じて、ブレーキアクチュエータ60に対する目標制動力Pbを算出してからステップS107に移行する。Kは係数である。
Pb=K×Ze
ステップS107では、制御マップを参照し、上下挙動の最大値Zpに応じて、ブレーキアクチュエータ60に対する目標制動力Pbの上限値Pmaxを算出してからステップS108に移行する。
【0032】
制御マップによれば、上下挙動の最大値Zpが0から予め設定した閾値th2(第二の閾値)までの範囲にあるときには、上限値Pmaxが予め設定したP1を維持する。また、上下挙動の最大値Zpが閾値th2よりも大きいときには、上限値Pmaxが0に向けて小さくなる。閾値th2は前述した閾値th1よりも大きい値である。ここで、P1は如何なる車両状態にあっても、それを超えると違和感を与えると見なせる制動力の大きさであり、実車実験から求める。
【0033】
ステップS108では、下記に示すように、ブレーキアクチュエータ60に対する目標制動力Pbに制限処理を行ってからステップS109に移行する。ここで、Pb(n)は前述したステップS106で算出した目標制動力の今回値である。また、(Pb(n-1)+ΔPu)は目標制動力の前回値に予め設定した増加量ΔPuを加算した値である。また、Pmaxは前述したステップS107で算出した上限値である。
Pb=min[Pb(n),(Pb(n-1)+ΔPu),Pmax]
したがって、これらPb(n)、(Pb(n-1)+ΔPu)、及びPmaxのセレクトローを実行することで、目標制動力Pbの増加率をΔPu以下に制限すると共に、目標制動力Pbを上限値Pmax以下に制限する。
【0034】
ステップS109では、下記に示すように、ブレーキアクチュエータ60に対する目標制動力Pbに制限処理を行ってからステップS110に移行する。ここで、Pb(n)は前述したステップS108で制限処理を行った目標制動力である。また、(Pb(n-1)−ΔPd)は目標制動力の前回値から予め設定した減少量ΔPdを減算した値である。
Pb=max[Pb(n),(Pb(n-1)−ΔPd)]
したがって、これらPb(n)、及び(Pb(n-1)−ΔPd)のセレクトハイを実行することで、目標制動力Pbの減少率をΔPd以下に制限する。
ステップS110では、下記に示すように、車速に応じた係数kvに応じて目標制動力Pbを補正してから所定のメインプログラムに復帰する。
Pb=Pb×kv
【0035】
次に、上下挙動推定処理について説明する。
図6は、上下挙動推定処理を示すフローチャートである。
本処理は、上下挙動の検出値Zrと推定値Zeとの間に乖離があるか否かを検出し、乖離があるときに、上下挙動の推定に用いるパラメータである固有振動数ωn、及びダンピングζを更新するものである。すなわち、ショックアブソーバの経時劣化に伴う固有振動数ωnの変化や、積載重量の増加に伴うダンピングζの変化に対応するものである。
【0036】
ステップS201では、上下挙動の推定値Zeを算出してからステップS202に移行する。
車両挙動の推定方法としては、例えば上下挙動の最大加速度値から車体質量・バネ定数・減衰係数を基に定義した下記の運動方程式を解くことにより、随時算出する方法を用いることができる。また、他の方法として、計算負荷低減のため、上下挙動の最大加速度値の検出時に、その時点から十分に減衰するまでの時間T0だけを求め、線形的に繋ぐ方法を用いることができる。但し、下記運動方程式は、1輪2自由度モデルに基づくものである。
【0037】
【数1】

【0038】
X2:バネ上変位
X1:バネ下変位
X0:路面変位
K:バネ定数
k:タイヤバネ定数
C:減衰係数
c:タイヤ減衰係数
M:バネ上質量
m:バネ下質量
ステップS202では、上下挙動の検出値Zrが上下挙動の推定値Zeよりも大きいか否かを判定する。判定結果がZr>Zeであるときには、パラメータの更新が必要であると判断してステップS204に移行する。一方、判定結果がZr≦Zeであるときには、パラメータの更新は不要であると判断してステップS203に移行する。
【0039】
ステップS203では、タイマTをインクリメントしてからステップS211に移行する。
ステップS204では、1/2周期であるか否かを判定する。ここで、1/2周期であるときにはステップS205に移行する。一方、1/2周期でないときにはステップS206に移行する。
ステップS205では、ダンピングζを補正してからステップS206に移行する。
ステップS206では、極値であるか否かを判定する。ここで、極値でないときには前述したステップS203に移行する。一方、極値であるときにはステップS207に移行する。
【0040】
ステップS207では、極値をZpとして記憶してからステップS208に移行する。
ステップS208では、1/2周期以上が経過し、且つ予め設定した時間以内であるか否かを判定する。ここで、1/2周期以上が経過し、且つ予め設定した時間以内であるときにはステップS209に移行する。一方、1/2周期以上が経過していない、又は予め設定した時間を超えているときにはステップS210に移行する。
ステップS209では、固有振動数ωnを補正してからステップS210に移行する。
【0041】
ステップS210では、タイマTをリセットしてからステップS211に移行する。
ステップS211では、下記に示すように、減衰係数Zdを算出してからステップS212に移行する。
Zd=exp(−ζωnT)
ステップS212では、下記に示すように、上下挙動の推定値Zeを算出してから所定のメインプログラムに復帰する。
Ze=Zp×Zd
【0042】
《作用》
図7は、制動による上下挙動の抑制について説明した図である。
ここでは、加振台によって車輪に振動を入力をした場合について説明する。
車のサスペンションには操安性及び乗心地向上のため、サスペンションがストロークするとホイール中心の軌跡は前後に移動するように設定されている。そのため、サスペンションがストロークすると前後変位を吸収するためタイヤが回転する。そのため、制動力によりタイヤの回転を規制するとサスペンションはストロークできなくなる。但し、実際の車のサスペンションにおいては、サスペンションアーム等の各連結箇所にゴム製のブッシュ類が使われており、それらのゴムが撓むことで、前後変位を吸収する。
【0043】
これにより、サスペンションストロークが許容されるが、ゴムの撓みに伴ってサスペンションストロークの摩擦力が増加し、サスペンションのバネ定数が増加することになる。したがって、路面からの振動が入力され、バウンスが生じたときに、その上下挙動に合わせて制動力を発生させることにより、上下挙動を抑制し、速やかに収束させることができる。
【0044】
図8は、上下挙動と目標制動力のタイムチャートである。図中の(a)は上下挙動の波形であり、(b)は目標制動力Pbの波形であり、(a)において、実線は検出値Zrであり、二点鎖線は推定値である。
先ず路面からの振動によって上下挙動の最大値Zpが閾値th1より大きいときに(S101の判定が“Yes”)、コントローラ50が上下挙動の最大値を記憶すると共に、上下挙動の推定を行う(S105)。そして、上下挙動の推定値Zeに応じて目標制動力Pbを算出し(S106)、上下挙動の最大値Zpに応じて目標制動力Pbの上限値Pmaxを算出する(S107)。
【0045】
そして、減速感(失速感)を抑制するために、つまり減速度の急変を抑制するために、目標制動力Pbを上限値Pmax以下に制限すると共に、立ち上げ時には演算周期毎の増加量をΔPu以下に制限する(S108)。その後は、上下挙動の低減に伴って、目標制動力Pbを減圧させてゆく。このときは、制動力の消失感を抑制するために、つまり減速度の急変を抑制するために、目標制動力Pbの解除時には演算周期毎の減少量をΔPd以下に制限する(S109)。なお、何れの場合も目標制動力Pbは、車速に適した値となるように、車速に応じた係数kvによって補正しておく(S110)。
【0046】
ところで、制御の効果からすれば、大きな上下挙動に対しては、大きな制動力で対応することが望ましいが、上記のように、制動力が大きくなると減速感(失速感)を与えてしまうので、目標制動力Pbを上限値Pmaxで制限している。すなわち、制御の効果は、ある程度のところで頭打ちになる。このような状態で、常にブレーキアクチュエータ60を作動させ続けていると、ポンプや各バルブの作動頻度の過多により、ブレーキアクチュエータ60の耐久性が低下する可能性がある。
また、上下挙動が大きくなるほど、制御介入の効果が弱まることも考えられる。
【0047】
図9は、上下挙動に対する制御効果の大きさを示す図である。
このように、制御介入による効果はPmaxによって一定となるので、上下挙動が大きくなるほど、相対的に制御介入による効果が薄まると考えられる。
図10は、比較例における上下挙動と目標制動力と制御介入状態を示すタイムチャートである。図中の(a)は上下挙動の波形であり、検出値Zr、最大値Zp、推定値Zeを示す。(b)は目標制動力Pbの波形であり、制限処理前と制限処理後を示す。ここでの制限処理とは、上限値Pmaxによる制限処理と、増加時及び減少時のレートリミッタ処理とを指す。(c)は制御介入のON/OFFに応じた上下挙動の波形である。
【0048】
この比較例では、上下挙動が閾値th1を超えると常に目標制動力Pbを発生させることになる。したがって、図中の(c)に示すように、常に制御介入による効果があるものの、制御介入がONの場合とOFFの場合とで、大きな差がないような上下挙動であっても、目標制動力Pbを発生させ続けてしまう。このときは、制御介入による顕著な効果を体感しにくく、むしろブレーキアクチュエータ60の作動を続けることによる、耐久性の低下が懸念される。
【0049】
そこで、上下挙動の最大値Zpが閾値th1よりも大きな閾値th2を超えたら、目標制動力Pbの上限値Pmaxを0に制限する(S107)。
図11は、本実施形態における上下挙動と目標制動力と制御介入状態を示すタイムチャートである。図中の(a)は上下挙動の波形であり、検出値Zr、最大値Zp、推定値Zeを示す。(b)は目標制動力Pbの波形であり、制限処理前と制限処理後を示す。(c)は制御介入のON/OFFに応じた上下挙動の波形である。
【0050】
この本実施形態では、上下挙動が閾値th1を超えても、更に閾値th2を超えると、目標制動力Pbを0に制限する。したがって、図中の(c)に示すように、制御介入がONの場合とOFFの場合とで、大きな差が生じる上下挙動のときだけ、目標制動力Pbを発生させる。このときは、ブレーキアクチュエータ60の耐久性よりも、むしろ制御介入によって奏する効果を重視すべきである。
【0051】
このように、上下挙動の最大値Zpが閾値th1よりも大きな閾値th2を超えたら、目標制動力Pbの上限値Pmaxを0に制限することで、上下挙動が閾値th2より大きくなると、目標制動力Pbが0になる。つまり、ブレーキアクチュエータ60が非作動状態になる。これにより、制御の効果を実感しにくい領域では、制御を止めるので、ブレーキアクチュエータ60の作動頻度を抑制し、耐久性の低下を抑制することができる。
なお、上記では目標制動力Pbの上限値Pmaxを0にすることで、実質、ブレーキアクチュエータ60を非作動状態にしている。したがって、これは制御介入を中止することと同じである。
【0052】
図12は、上下挙動に対する制御介入のON/OFFを示す図である。
すなわち、上下挙動が閾値th1を超えると制御介入がONになり、制御介入がONの状態では、ヒステリシスをもって上下挙動が閾値th3よりも小さくなるときに制御介入がOFFになる。そして、上下挙動が閾値th2を超えた領域では、制御介入をOFFにする。閾値th1は、市場での上下挙動頻度からアクチュエータの作動耐久性が達成できるポイントである。閾値th3は、アクチュエータの最小制御可能なポイントである。
【0053】
図13は、上下挙動別に見たアクチュエータの作動時間を示す図である。
ここでは、閾値th1を約0.2Gに設定し、閾値th2を0.4Gに設定した。その結果、閾値th2を超える領域で制御介入をOFFにすると、作動時間が約5300時間であった。これに対して、閾値th2を超える領域で制御介入をONにすると、作動時間が約6700時間であった。したがって、作動時間を約20%低減することができるので、耐久性の向上を期待できる。
【0054】
なお、本実施形態では、制御介入を制限する際に、目標制動力Pbを0にすることで、制御介入を中止しているが、これに限定されるものではない。例えば単に目標制動力Pbを低下させることで、制限するようにしてもよい。
以上より、上下加速度センサ10が「上下挙動取得手段」に対応し、ステップS101〜S110の処理、並びにブレーキアクチュエータ60が「挙動制御手段」に対応し、ステップS7の処理で参照するマップが「制限手段」に対応する。
【0055】
《効果》
(1)本実施形態の車両挙動制御装置によれば、車体の上下挙動を取得し、取得した上下挙動が閾値th1よりも大きいときに、上下挙動に応じて目標制動力Pbを制御する。また、取得した上下挙動が閾値th2(th2>th1)よりも大きいときに、目標制動力Pbを制限する。
このように、上下挙動が第一の閾値よりも大きいときに、目標制動力Pbに応じて車両の制動力を制御することにより、サスペンションストロークのフリクションを制御し、車両の走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うことができる。また、上下挙動が第二の閾値よりも大きいときには、目標制動力Pbを制限することにより、ブレーキアクチュエータ60の耐久性が低下することを抑制できる。
【0056】
(2)本実施形態の車両挙動制御装置によれば、目標制動力Pbを上限値Pmax以下に制御する。
このように、目標制動力Pbを上限値Pmax以下に制御することで、運転者に減速感を与えることを抑制できる。
(3)本実施形態の車両挙動制御装置によれば、目標制動力Pbを0にすることで、目標制動力Pbを制限する。
このように、目標制動力Pbを0にすることで、ブレーキアクチュエータ60を非作動状態にすることができ、耐久性が低下することを抑制できる。
【0057】
(4)本実施形態の車両挙動制御方法によれば、車体の上下挙動を取得し、取得した上下挙動が閾値th1を超えたら、上下挙動に応じて目標制動力Pbを設定する。また、取得した上下挙動が予め設定した閾値th1よりも大きな閾値th2を超えたら、目標制動力Pbを制限することを特徴とする車両挙動制御方法。
このように、上下挙動が第一の閾値よりも大きいときに、目標制動力Pbに応じて車両の制動力を制御することにより、サスペンションストロークのフリクションを制御し、車両の走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うことができる。また、上下挙動が第二の閾値よりも大きいときには、目標制動力Pbを制限することにより、ブレーキアクチュエータ60の耐久性が低下することを抑制できる。
【0058】
《第2実施形態》
《構成》
第2実施形態は、上下挙動の増加率が予め設定した増加率閾値th′よりも大きいときに、目標制動力Pbを0にするものである。
図14は、第2実施形態を示す車両挙動制御処理のフローチャートである。
ここでは、新たにステップS301、S302の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様であるため、同一部分については詳細な説明を省略する。
【0059】
ステップS301は、ステップS107に続いて処理され、上下挙動の増加率dZが予め設定した増加率閾値th′よりも小さいか否かを判定する。増加率dZは、単位時間当たりの変化量であって、例えば上下挙動の微分値に基づいて算出する。判定結果がdZ<th′であるときには、上下挙動は閾値th2を超える可能性はないと判断して前述したステップS108に移行する。一方、判定結果がdZ≧th′であるときには、上下挙動が閾値th′を超える可能性があると判断してステップS302に移行する。
ステップS302では、目標制動力Pbを0に設定してから前述したステップS108に移行する。
【0060】
《作用》
上下挙動の増加率dZが高いほど、上下挙動が大きくなると考えられる。そこで、本実施形態では、上下挙動の増加率dZが予め設定した増加率閾値th′よりも大きいときに(S301の判定が“No”)、上下挙動が閾値th2を超えていなくても、上下挙動が閾値th2を超えると予測できるので、その時点から目標制動力Pbを0にする。したがって、より早いタイミングでブレーキアクチュエータ60を非作動状態にすることができるので、さらに耐久性の低下を抑制することができる。
【0061】
図15は、第2実施形態の作用効果を示すタイムチャートである。図中の(a)は上下挙動の増加率が閾値thを超えているときの上下挙動であり、(b)は上下挙動の増加率が増加率閾値th′より低いときの上下挙動である。
ここで、(a)に示すように、増加率(勾配)が大きいときには、制御介入をOFFにすることで、より早いタイミングでブレーキアクチュエータ60を非作動状態にすることができる。一方、(b)に示すように、増加率(勾配)が小さいときには、制御介入をONにすることで、上下挙動を効果的に抑制し、収束させることができる。
以上より、ステップS301、S302の処理が「制限手段」に含まれる。
【0062】
《効果》
(1)本実施形態の車両挙動制御装置によれば、上下挙動が閾値th2よりも大きいときに、目標制動力Pbを制限すると共に、上下挙動の増加率dZが増加率閾値th′よりも大きいときにも、目標制動力Pbを制限する。
このように、上下挙動の増加率dZが閾値thよりも大きいときにも、目標制動力Pbを制限することにより、よりタイミングでブレーキアクチュエータ60を非作動状態にすることができるので、さらに耐久性の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 自動車
1A 車両挙動制御装置
10 上下加速度センサ
20FR〜20RR 車輪速センサ
30 ブレーキペダル
40 マスタシリンダ
50 コントローラ
51 バンドパスフィルタ部
52 絶対値取得部
53 上下挙動制御閾値記憶部
54 比較部
55 制御介入判定部
56 上下挙動最大値記憶部
56 最大指令値算出部
56 上下挙動最大値記憶部
57 最大指令値算出部
58 指令値生成部
60 ブレーキアクチュエータ
62A・62B 第1ゲートバルブ
63FL〜63RR インレットバルブ
64 アキュムレータ
65FL〜65RR アウトレットバルブ
66A・66B 第2ゲートバルブ
67 ポンプ
68 ダンパー室
70FL〜70RR ホイールシリンダ
80FL〜80RR 車輪
90FL〜90RR サスペンション装置
100 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の上下挙動を取得する上下挙動取得手段と、
前記上下挙動取得手段で取得した上下挙動が予め設定した第一の閾値よりも大きいときに、前記上下挙動に応じて制動力を制御する挙動制御手段と、
前記第一の閾値よりも大きな第二の閾値を設定し、前記上下挙動取得手段で取得した上下挙動が前記第二の閾値よりも大きいときに、前記挙動制御手段による制動力の制御を制限する制限手段と、を備えることを特徴とする車両挙動制御装置。
【請求項2】
前記挙動制御手段は、制動力を予め設定した上限値以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両挙動制御装置。
【請求項3】
前記制限手段は、前記上下挙動取得手段で取得した上下挙動が前記第二の閾値よりも大きいときに、前記挙動制御手段による制動力の制御を制限すると共に、前記上下挙動取得手段で取得した上下挙動の増加率が予め設定した閾値よりも大きいときに、前記挙動制御手段による制動力の制御を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両挙動制御装置。
【請求項4】
前記制限手段は、前記挙動制御手段による制動力の制御を中止することにより、前記挙動制御手段による制動力の制御を制限することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両挙動制御装置。
【請求項5】
車体の上下挙動を取得し、取得した上下挙動が予め設定した第一の閾値を超えたら、前記上下挙動に応じて制動力を制御し、取得した上下挙動が予め設定した第一の閾値よりも大きな第二の閾値を超えたら、制動力の制御を制限することを特徴とする車両挙動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−43552(P2013−43552A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182741(P2011−182741)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】