車両検査装置
【課題】本発明の第一の目的は、車輪側面のきず等の特徴量を検出するに当たり、その存在する位置を絶対位置との関係で特定するための基準マーク検出手法を備えた車両検査装置を提供することにある。
【解決手段】入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を記憶する。
【効果】特徴量の位置を特定するための絶対位置である基準マークを検出することができるので自動的な車両検査を可能とする。
【解決手段】入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を記憶する。
【効果】特徴量の位置を特定するための絶対位置である基準マークを検出することができるので自動的な車両検査を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の側面について特徴量を画像処理により自動的に検出する車両検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車輪の検査は、従来目視により、きず等の特徴量を検出し、劣化を判断していた。しかし、目視の検査では停止中の車輪の見えている部分しか行えず、また車輪全周を検査するためには、車輪を取り外して検査する必要がある。そのため、走行中に撮影した画像による検査の自動化が望まれていた。
【0003】
一方、特徴量の成長来歴を把握することで、寿命の予測や走行条件との照合などの予防保全の用途に活用するニーズがあるが、来歴管理のためには、異なる検査間で、同一車輪の座標系の照合が必要である。
【0004】
これらのニーズを満たすためには、走行中に撮影した画像から、動的に変わる基準位置を検出する必要がある。
【0005】
車輪の検査の自動化に関する従来技術として、特開平7-174672が知られている。この特許文献では、線路脇にカメラを設置し、車輪の通過を検知するセンサからの信号に基づいて車輪踏面の画像を取得し、画像処理を用いて特徴量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-174672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献に開示の従来技術では、車輪踏面の特徴量を検出しているが、本発明では車輪側面に生じた特徴量を画像処理により自動的に検出することを意図している。
また従来技術では、異なったタイミングで撮影した画像上のきず位置を照合する手段がないため、きずの成長や、変化を追跡することができない。
【0008】
さらに、従来技術では車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示について、検討されていない。
【0009】
以上のことから、本発明の第一の目的は、車輪側面のきず等の特徴量を検出するに当たり、その存在する位置を絶対位置との関係で特定するための基準マーク検出手法を備えた車両検査装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、位置が特定された特徴量について、異なる時間関係での複数の車輪側面画像から同一の特徴量を同定し、その来歴管理を行うことのできる車両検査装置を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の第3の目的は、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を備える車両検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明では、特徴量の位置を検出する車両検査装置を実現するという第一の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を記憶する。
【0013】
また、基準マーク検出は、基準マークについてのテンプレートを保持しており入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出して行う。
【0014】
また、基準マークについてのテンプレートは、車輪の回転に応じて回転させた複数のテンプレートとして保持され、複数のテンプレートごとに入力した画像から、テンプレートマッチングで、相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出する。
【0015】
基準マークマッチングについては、1種類のテンプレートによりマッチング検出して相関値が高い基準マーク候補領域を複数選出し、撮影条件の異なる複数のテンプレートにより選出した基準マーク候補領域をマッチングして、相関値の最も高い位置を基準マーク位置とする。
【0016】
基準マーク検出は、入力した画像から、文字候補を切り出し、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納し、文字列の並び間隔のルールを用いて切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークの位置を推定する。
【0017】
文字候補切り出しは、複数の異なる閾値を用いて切り出した文字列候補それぞれについて、マーク位置を推定し、基準マーク位置とする。
【0018】
基準マーク検出は、基準マークについてのテンプレートを保持しており入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出して基準マークとし、入力した画像から、文字候補を切り出し、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納し、文字列の並び間隔のルールを用い文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークと文字列候補のマーク位置候補から最終的にマーク位置を決定する。
【0019】
また、マーク位置決定は、基準マーク位置候補の相関値が十分高い場合、マーク位置決定で推定した基準マーク位置候補より優先して基準マーク位置とする。
【0020】
さらにマーク位置決定は、基準マークマッチングで検出した基準マーク位置候補、およびマーク位置決定で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、同一の位置を検出、もしくは推定した件数が多い位置を優先して基準マーク位置として決定してもよい。
【0021】
さらに、文字並び間隔ルールの複数の異なるルールについて重み付けをして、重み付に基づき、マーク位置決定のときに複数の基準マーク位置候補から基準マーク位置を決定する際に優先度を決定する。
【0022】
また基準マークマッチングにより検出した基準マーク位置候補、およびマーク位置決定で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、マーク位置決定は、近傍に複数推定位置が存在する場合に、複数推定位置の平均、もしくは、複数ルールの重み付けをしている場合には、加重平均をとって算出した位置をマーク位置として決定する。
【0023】
請求項12に記載の発明では、特徴量の来歴を記録する車両検査装置を実現するという第二の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、鉄道車両を撮影するときに撮影車輪を識別する車輪識別情報の対応を格納し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を車輪識別情報に対応づけて記憶し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から得られた特徴量について、同じ車輪識別情報を有する車輪の情報の中に特徴量位置情報から同一と考えられる特徴量があった場合は、同一特徴量を示す識別情報を付与して追記憶する。
【0024】
また、異なる日付に撮影した同じ車輪の画像を同じ特徴量が画像比較できるよう並べて表示する。
【0025】
また、編成運行情報と、統計情報から、車輪の走行に関する情報と、特徴量に関する情報の関係を対比して表示する。
【0026】
請求項16に記載の発明では、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を備える車両検査装置を実現するという第三の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について基準マークを検出してその座標を決定し、隣接する位置で撮影された画像について対応する位置を求めて連結することにした。
【0027】
また、画像間位置照合は、画像上の車輪の中心と、車輪の弧を検出することで車輪の摩耗量を求め、隣り合う画像同士の対応点を算出する。
【0028】
さらに、検出した車輪中心を基準とし極座標変換した画像から車輪上の特徴量を検出する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、車輪側面の特徴量位置を絶対位置との関係で特定するための基準マークを車輪側面画像から検出する手法を提供できる。
【0030】
本発明によれば、異なる時間関係での複数の車輪側面画像から同一の特徴量を同定し、その来歴管理を行うことができる。
【0031】
さらに本発明によれば、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による車両検査装置の第一の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2(a)】車輪面を検査時期1で撮影した画像の例である。
【図2(b)】車輪面を検査時期2で撮影した画像の例である。
【図3(a)】画像入力手段から入力した画像の例を示す図である。
【図3(b)】特徴量検出手段で抽出した画像の例を示す図である。
【図4】車輪中心検出手段の処理内容を説明するための図である。
【図5】基準マーク検出手段の処理内容を説明するための図である。
【図6】編成・車輪対応格納手段5に格納されるデータの例を示す図である。
【図7】特徴量来歴格納手段に格納する情報の例を示す図である。
【図8】特徴量照合手段の処理の流れを説明するための図である。
【図9】画像入力手段から入力した画像の例である。
【図10】特徴量来歴格納手段にレコードを追加した例を示す図である。
【図11】特徴量照合手段の処理が終了した時の特徴量来歴格納手段の状態を示す図である。
【図12(a)】車輪Aに打刻された文字列の例を示す図である。
【図12(b)】車輪Bに打刻された文字列の例を示す図である。
【図13】本発明による車両検査装置の第二の実施例の構成を示すブロック図である。
【図14(a)】極座標変換前の画像の例を示した図である。
【図14(b)】極座標変換後の画像の例を示した図である。
【図15(a)】入力画像の文字列候補の例を示す図である。
【図15(b)】文字候補切り出し手段で切り出した文字列候補の例を示す図である。
【図16】文字並び間隔ルール格納手段に格納する文字並び間隔ルールの例を示す図である。
【図17】マーク位置推定手段の処理の流れを説明するための図である。
【図18】文字並び間隔ルールと、切り出した文字列の位置の比較方法を示す図である。
【図19】複数テンプレートの作成方法を説明するための図である。
【図20】推定ルールを複数準備する実施例の効果を説明するための、製造情報文字列の例を示す図である。
【図21】複数ルールの基準マーク推定位置が一致する例を示す図である。
【図22】複数ルールのうち1種類のルールが誤推定する例を示す図である。
【図23】本発明による車両検査装置の第三の実施例の構成を示すブロック図である。
【図24】画像撮影手段で撮影した画像の例を示す図である。
【図25】画像間位置照合手段の処理前の分割した画像の例と、照合後、対応点を重ねて連結した画像の例を示す図である。
【図26(a)】極座標変換後の隣接する分割画像を示す図である。
【図26(b)】極座標変換後の隣接する分割画像を示す図である。
【図26(c)】極座標変換後の分割画像を、照合後連結した画像を示す図である。
【図27】本発明による車両検査装置の第四の実施例の構成を示すブロック図である。
【図28】特徴量来歴表示手段で表示する車輪を選択するための入力画面の例を示す図である。
【図29】選択された車輪の来歴の表示例を示す図である。
【図30】本発明による車両検査装置の第五の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0034】
以下、図1〜図30を参照して、本発明の車両検査装置について説明する。
【実施例1】
【0035】
実施例1は、本発明に掛かる車両検査装置の基本的な構成、機能を説明するものであり、図1乃至図11を用いて説明を行う。
【0036】
まず、図1は、本発明の車両検査装置の第一の実施例の概略装置構成を示すブロック図である。図1の車両検査装置は、画像入力手段1と、特徴量検出手段2と、車輪中心検出手段3と、基準マーク検出手段4と、編成・車輪対応格納手段5と、特徴量来歴格納手段6と、特徴量照合手段7とからなる。
【0037】
第一の実施例の構成要素について順に詳細に説明する。尚、以下の説明では、理解を容易にするために日付、長さ、角度等、具体的な数値を用いて説明しているが、これらは全て例として挙げたものであり、数値自体に格別の意味はない。
【0038】
まず、本発明において処理の対象とする車輪側面を撮影した画像の例を図2に示す。 図2は同一車輪について、異なる検査時期で撮影した画像の例を示す。同図(a)は、検査時期1で撮影した画像21、同図(b)は、その後の検査時期2で撮影した画像22である。車輪23と、車輪23’は、異なる時期の同一の車輪である。25、および25’に示すマークは、全ての車輪中の一箇所に必ず存在するマークとする。
【0039】
ここで、画像21で撮影した車輪23上には特徴量26が存在する。この特徴量26の位置は、24を車輪の中心とし、マーク25を基準としてなす角27により、定義することができる。ここで、角度27をx°とする。
【0040】
画像22のその後に撮影した車輪23’上には特徴量28と特徴量29が存在する。ここで、画面上での車輪の位置は、回転により画像22と21では相違するのが通常である。具体的には、画像21の基準マーク25が画面22ではマーク25’へ、画面上の位置が移動している。
【0041】
しかしながら、基準マーク25’と中心24のなす角度2aが画像21のときの既値の角度x°に相当することから、この位置にある画面21上の特徴量26と同一の特徴量は、画面22上の特徴量28であると同定できる。なお特徴量29について、基準マークからの角度2bがy°とすると、この位置に対応する位置に画像21上には特徴量がないので、新たな特徴量として今後継続監視されることになる。
【0042】
以上のように、人間であれば目視により、回転する検査対象物である車輪を、任意のタイミングで撮影しても、車輪上の位置を照合可能である。しかしながら、これを自動的に実施するには、画面上で動的に変わる車輪の中心を検出する車輪中心検出手段3と、全ての車輪に必ず一箇所あるマーク位置を検出して円周上の角度の基準位置とする基準マーク検出手段4を備え、車輪上に発生する特徴量位置を同定し、同一特徴量の大きさや形状の変更を比較することが必要となる。なお、基準として想定するマークは、車輪の製造メーカのマークなど、車輪毎に一箇所必ず存在するユニークなマークとする。
【0043】
以上の前提に基づき、第一の実施例の構成要素について順に説明する。図1の画像入力手段1は、検査対象の画像を撮影し、入力する手段である。図2の21、22に示すような画像を入力する。
【0044】
特徴量検出手段2は、画像入力手段1で撮影した画像から、特徴量を検出する手段である。この実現手段については、例えば、特徴量が車輪面より輝度が低く(黒く)撮影されるとすると、車輪面の平均輝度と特徴量の平均輝度の間に設定した閾値による二値化により、特徴量領域を黒く抽出するなどの方法を用いる。
【0045】
図3は特徴量検出手段2の処理内容を説明するための図である。このうち同図(a)は、画像入力手段1から入力した画像31の例であるが、車輪32上に特徴量32と33がある。これを特徴量検出手段2で抽出し、同図(b)の35で示すように画面上の例えば左下の点39を基準とし、各特徴量について、画面上での始点、終点座標を取得する。例えば特徴量37については始点3a、終点3bの座標、特徴量38については始点3c、終点3dの座標を取得し、画面上で管理できる座標を取得する。ここで、図3で述べた座標とはあくまでもこの画像の上での座標であり、図2で述べた基準マークや車輪中心から求められる絶対位置の座標位置でないことはいうまでもない。
【0046】
尚、図3において取得した画像範囲の中には、本来特徴量検出の必要のない車輪中の3eに示す車軸の領域なども写っている。この処理不要領域については、予め処理の必要ない領域としてマスク処理を実施し、特徴量検出処理の対象としない、などの処理を施して、不要な領域の誤検出を防ぐ。車軸領域の範囲の求め方は、後述する車輪中心検出手段3で求める画像中での車輪の中心と、既知の車軸領域の半径から求めることができる。
【0047】
車輪中心検出手段3は、検出した特徴量の車輪上の位置を一意に求めるために、画像上の車輪の中心座標を求める手段である。この手段は、例えば特許文献特開平6-167313に開示があるように、車輪の弧のエッジを画像処理で検出し、円の弧との近似から中心位置を求める、等の手段で求めることができる。図4は、車輪中心検出手段3の処理内容を説明するための図であり、この図に示すように、求めた中心位置43は、特徴量検出手段2で検出された特徴量の位置と同様、画像中の始点44からの相対座標で把握され、メモリ上に保持する。
【0048】
基準マーク検出手段4は、車輪の円周方向の基準位置として、車輪上に存在する特定マークを検出する手段である。基準マーク検出手段4を実現する実施例の一つは、例えばパターンマッチングを用いて、テンプレートと最もテクスチャの類似した位置を求める方法である。
【0049】
図5は、基準マーク検出手段4の処理内容を説明するための図であり、先のパターンマッチングを用いる方法は、仮に、特定マークを図5の51のようなテクスチャのマークとすると、51をテンプレートとして保有し、画像上の情報とのマッチングにより、相関値の大きい位置をマーク位置として検出する手法である。52の画像中で、51と一致度の高い位置は図中53を中心とする位置であるので、車輪中心位置、特徴量位置と同様に、画像中の左下基準点54を基準とした相対座標で基準マークの位置を把握し、メモリに格納する。
【0050】
尚、車輪のような円盤状の対象物の場合、マークは、車輪中心を中心とする円弧に沿って付いている場合が多いと考えられ、画像中でのマークの方向は360°回転する可能性があると考えられる。そのため、パターンマッチングの手段としては、テンプレート51について、360°の範囲で少しずつ回転させた複数テンプレートを作成しておき、全てのテンプレートでマッチングして最大相関値の位置を採用するなどの手段を用いることができる。
【0051】
次に、編成・車輪対応格納手段5について説明する。編成・車輪対応格納手段5は、編成を識別するIDと、編成に組み込まれている車輪のIDの対応を格納する手段である。編成・車輪対応格納手段5に格納されるデータの例を図6に示す。図6の列方向は格納項目を示し、行方向がデータレコードの例とする。
【0052】
図6において、列61は一続きの編成を特定できる編成IDであり、編成を一意に特定できるIDとする。列62は、車輪が付いている側面(左/右)を識別するコードであり、仮に左をL,右をRとする。列63は、配列番号であり、列62で特定された側面の、先頭から数えた配列番号を示す。列64は、車輪IDで、車輪を一意に特定できる番号である。
【0053】
また、車輪が編成から取り外されて交換されることもありうるため、6bに示す「開始日」に編成にその車輪が取り付けられた日付と、6cの「終了日」に車輪がその編成から取り外された日付も格納しておく。このようにすることである位置に取り付けられていた車輪の来歴も参照することができる。最新の編成と車輪の対応は、「終了日」が空欄のレコードを参照することで取得できる。
【0054】
編成・車輪対応格納手段5には、例えば以上のような約束の下に各種データが格納されており、行65から70には個別にデータが格納されている。このうち、例えば行65に示すデータレコードは、編成ID“1”の編成の、左側の一番前の車輪は、車輪IDが“AAA”であることを示す。同様に、行70に示すデータレコードは、編成ID“1”の編成の、右側の先頭から3番目の車輪はID“BBD”であることを示す。以上のように、編成・車輪対応格納手段5では、列車の編成IDと、左右の側面と、配列番号をキーに、車輪のIDを取得することができる。
【0055】
特徴量来歴格納手段6は、車輪上に発生した特徴量の来歴に関する情報を格納する手段である。図7に、特徴量来歴格納手段6に格納する情報の例を示す。図中、一行目の71〜78に示すのが格納項目の例であり7a、7bの行がデータの例である。
【0056】
図7において、列71が、特徴量を検出した日付である。列72は特徴量の存在する車輪IDである。列73は、特徴量を特定するための特徴量IDである。列74は、特徴量の位置を特定するための、基準マークからの特徴量の角度である。列75は、特徴量の位置を特定するための、中心からの位置である。列76は、特徴量の長さである。列77は、画像上での特徴量の始点座標である。列78は、画像上での特徴量の終点座標である。列79は、特徴量の撮影された画像名である。
【0057】
特徴量来歴格納手段6には、例えば以上のような約束の下に各種データが格納されており、例えば、行7aのデータでは、「2008年12月10日」に撮影(列71)された画像で、車輪ID「AAA」上に(列72)基準からの角度が33°(列74)、中心からの位置が256mm(列75)の位置に、長さ30mm(列76)の特徴量があることを示している。列73より、この特徴量は、「AAA-1」というユニークなIDで管理する。また、列77〜列79より、この特徴量は、画像名「img090210AAA」上の始点座標(520,200)、終点座標(523,215)上にある、という情報を示す。
【0058】
以上のように、特徴量来歴格納手段6に格納する情報は、車輪の特徴量が検出された日付と位置・大きさを管理し、また、撮影した画像を管理する格納手段(図示せず)がある場合は、その特徴量が写っている位置を特定することもできる手段である。
【0059】
特徴量照合手段7は、特徴量検出手段2で検出した特徴量を、過去の検査で検出した特徴量と、位置情報を使って同定し、同一と考えられる特徴量があった場合は、同一IDを付与する手段である。
【0060】
特徴量照合手段7の処理の流れを、図8を用いて説明する。この処理においては、編成・車輪対応格納手段5の情報と、特徴量来歴格納手段6の情報とを使用する。
【0061】
このフロー図において、処理81では、編成・車輪対応格納手段5から、車輪IDを取得する。この処理では、車輪画像が入力される際に、予め編成IDを入力しておく。もしくは編成が、この検査場等の画像取得位置に入ってくるときの、ダイヤスケジュールデータを予め持っていて、画像入力を開始したタイミングで、当該時刻に検査場に入ってくる編成のID、および、車輪の配列から、撮影された画像毎に車輪IDを取得する。ここで、車輪IDをxとする。
【0062】
処理82では、特徴量数のカウンタIを0クリアする。処理83では、I番目の特徴量の基準からの角度を算出する。処理84では特徴量のカウンタIを1進める。処理85では、全ての特徴量を処理したか否かの判定を行い、全ての特徴量を処理していれば処理86に、未処理の特徴量があれば処理82に戻り、すべての特徴量の角度算出処理が完了するまで繰返し処理を行う。
【0063】
以上の一連の循環処理の間に、処理83では特徴量の基準マークからの角度を算出し、その結果を特徴量来歴格納手段6に格納している。図9は画像入力手段から得た画像の例であり、処理83の処理内容につき図9を用いて説明する。図9の車輪91の画像の例では処理83によって、特徴量検出手段2により検出した特徴量の位置92,93と、車輪中心検出手段3により検出した車輪の中心94と、基準マーク検出手段4により検出した基準マークの位置95を導出し、角度を演算している。
【0064】
なお、処理83において、画像上の位置関係から角度を求めるに当たり、カメラの向きが車輪面に対し垂直であることを前提とするが、多くの場合はカメラと車輪面は垂直でなく傾きがあると考えられる。その場合は、カメラと車輪の角度情報から、カメラキャリブレーションにより座標変換し、カメラの向きが車輪面に対して垂直な、正対化した画像に変換しておき正対化した画像上で、基準マークと特徴量の角度を求めることが有効である。
【0065】
処理86では、車輪xの前回の検査で検出した特徴量の情報を特徴量来歴格納手段6から抽出する。処理87では、車輪xの前回の検査で検出した特徴量をカウントするカウンタJを0クリアする。処理88では、前回の検査で検出の特徴量jと一致する特徴量Iを、今回検出したものから検索する。処理89では、特徴量jと一致する特徴量Iに、特徴量jの特徴量IDを設定する。処理8aでは、前回の検査で検出した特徴量が全て処理されたか否かを判定し、全ての特徴量の処理が終了していれば処理8bに、未処理の特徴量があれば処理88に戻る。処理8bでは、今回検出した特徴量のうち、処理88〜処理8aで、特徴量IDが付与されなかった、新規の特徴量につき、新規の特徴量IDを付与する。
【0066】
なお、処理88において、特徴量が一致するか否かの判定は、特徴量来歴格納手段6に格納される列74の基準マークからの角度、および、列75の中心からの位置の比較により、一致もしくは値が最も近いものを一致として判定する。
【0067】
以上の図8の一連の処理の流れにつき、具体的なデータを用いて説明する。図9は、画像入力手段1から入力した先述の画像の例であり、この画像は、編成ID「1」の編成の左側で撮影された一番目の画像とする。図中、91は車輪、92と93は検出された特徴量、94は車輪の中心であり、95は検出した基準マークである。
【0068】
処理81で、編成・車輪対応格納手段5から、車輪IDを取得する。図6の編成・車輪対応格納手段5の例から、編成IDが「1」の、左側に設置の、配列が1番目の車輪は、行65のデータであるので、車輪IDは「AAA」を取得する。
【0069】
処理83で、0番目の特徴量の角度を算出する。この際、特徴量を代表する点を決める必要があるが、特徴量の始終点から求められる重心などを用いる。求めた特徴量92の基準マークとのなす角を33°、中心からの位置を254mmとし、また始終点の座標等を特徴量来歴格納手段6に追加する。図7には2008年12月10日付で検出した車輪ID「AAA」の特徴量が記録されているが、2009年2月10日に実施した車両検査の結果を追加したレコードを図10中の行101に示す。情報を取得した時刻から、日付を登録し、また、車輪IDと、入力した画像名を登録する。
【0070】
図9の例では特徴量数が「2」なので、処理85の判定で処理83に戻る。同様に、図9中の特徴量93の基準マークとのなす角、中心からの距離を算出し、始終点の座標等を特徴量来歴格納手段6に追加する。追加したレコードは102である。この時点では、特徴量IDはまだ付与されていない。
【0071】
車輪「AAA」の全ての特徴量の処理が終了したので、処理86に移る。車輪「AAA」の前回検査の特徴量を特徴量来歴格納手段6から抽出する。図10から、車輪「AAA」の前回の検査の特徴量のレコードを抽出すると、行7aの1件となる。
【0072】
処理88で、前回の検査時の車輪「AAA」の特徴量である行7aの特徴量「AAA-1」について、一致する特徴量を検索する。今回の画像から検出された特徴量は、特徴量来歴格納手段6の行101、102に登録されているが、角度が66°で一致するのは行101のレコードであるので、これを行7aのレコードと一致する特徴量であるとして、特徴量IDを「AAA-1 」と付与する。
【0073】
前回の検査時の特徴量のレコードはこの1件であるので、図10の行102に該当する特徴量は、前回は検出されず、今回新規に検出されたものとして、新規の特徴量ID「AAA-2」を付与する。
【0074】
以上の、特徴量照合手段7の処理が終了した時の特徴量来歴格納手段6の状態を図11に示す。図10との相違は特徴量IDが新たに賦与された点である。この結果、基準位置として求めたマークの位置と、中心の位置から、その車輪に不変的な位置を求めることにより、異なる検査時に、画像中での基準位置が異なる際に検出した特徴量との照合をすることができる。
【0075】
以上が車両検査装置の第一の実施例である。この実施例に拠れば、車輪中心検出手段3と、基準マーク検出手段4により、画像中の車輪位置が変化しても、基準となる中心からの位置と、基準マークからの角度により、車輪上の座標系をいつも一意に決められるため、画像撮影時に車輪の向きを意識することなく、特徴量来歴管理をすることができる。
【実施例2】
【0076】
次に、車両検査装置の第二の実施例について説明する。第二の実施例では図12から図22を用いて、特徴量の絶対位置を決定する上で必要となる基準マーク位置を精度よく検出するための各種の工夫について紹介する。
【0077】
車両検査装置の第二の実施例では、パターンマッチングによるマーク検出以外に、基準マークの含まれる文字列の並び間隔のルールを使って、基準マークの位置を推定する点で工夫がされている。本実施例の説明として、鉄道車両の車輪に刻印された製造情報の文字列の並びを検出することにより、基準マークの位置を推定する処理を例にとり説明する。
【0078】
本第2の実施例の前提として、想定する製造情報の文字列の例を、図12のようなものであると仮定する。本実施例の前提は、円周上の位置に基準となるユニークなマークが一箇所あること、また、文字列の桁数が一定であることである。図12(a)は、車輪Aに打刻された文字列121、図12(b)は、車輪Bに打刻された文字列124の例を示す。これらは車輪についての製造情報であるので、車輪により文字の内容は異なるが、一箇所以上、かならずユニークなマークもしくは文字が含まれることを前提とする。図の例では、文字列121および文字列124中で、それぞれ122と125のマークは同一の形状で、どの車輪にも打刻される、例えば製造メーカのマークなどである。これに対し、123、126に示す文字列は、製造日時・製造番号など、車輪により可変であることが多い。
【0079】
本発明の車両検査では、メンテナンス時の検査を想定しているため、検査対象である車輪は汚れなどのノイズが付着し、また、画像取得時の照明環境も適切にコントロールしにくいなどが考えられ、画像上で製造情報の文字列が全て克明に取得するのが困難な状況である。そこで、製造情報の文字列の内容を認識できなくても、製造情報の文字列中のユニークなマークの位置を検出するための方法をこの実施例で説明する。
【0080】
本実施例では、車輪毎に一箇所の、図12の122、125のマークの位置を推定することを例に挙げ説明する。図13は実施例2の構成を示すブロック図である。図1の実施例1の構成の、基準マーク検出手段4の構成として、文字候補切り出し手段8と、文字並び間隔ルール格納手段16と、マーク位置推定手段9と、マーク位置決定手段10と、基準マークマッチング手段17とを追加した構成である。
【0081】
以下第二の実施例の説明では、新規に追加された構成を主体として順に説明する。まず、文字候補切り出し手段8は、画像入力手段1から入力した画像から、文字または特定パタンを切り出す手段である。尚、以降、「文字候補」として説明するが、数種類の特定し得るパタンでもよい。
【0082】
この際、入力した画像をそのまま処理することも可能であるが、画像処理時の座標管理を容易にするため、入力した円形の車輪画像を、極座標変換して展開画像に変換した上で処理することが有効である。。この変換処理は、入力された画像の位置座標(x,y)を、画像中の円系の中心を基準に(r,θ)(rは円の半径、θは円周の角度)に変換し、θをx軸、rをy軸の直行座標系に変換することで実行できる。
【0083】
図14に極座標変換前後の画像の例を示す。図14(a)において、141は極座標変換前の画像であり、図14(b)の146は極座標変換後の画像である。画像141中の車輪142で、車輪中心検出手段3で検出した車輪の中央143から、車輪の外周方向を結ぶ半径方向の長さを144とする。これは変換前の座標系中の、円形の系方向の長さrに相当する。また、145は143を中心とした角度であり、変換前の座標系中の、円形の角度θに相当する。
【0084】
変換後の画像146は、車輪の中心143を中心とした、144であらわす径方向の長さrをx軸とし、角度145をy軸とした座標系に変換したものである。画像処理は通常xy平面座標系で扱うことが多いため、画像処理前に極座標変換してxy座標系にすることで、画像処理結果の座標データが扱いやすくなるメリットがある。実施例2の処理は極座標変換を実施した仮定で行うが、説明中のx座標を角度、y座標を径方向の長さと読み替えることで、変換しない場合も同様に処理できることはいうまでもない。
【0085】
文字候補切り出し手段8の処理の説明に戻る。図15に、文字候補切り出し手段8で切り出した文字列候補の例を示す。図15(a)の151が入力画像、15(b)の152が文字列切り出し手段で切り出した文字列候補とする。文字列切り出し方法としては、例えば文字が車輪の色より輝度が低い(黒い)とすると、車輪の背景色の平均値と、文字の色の平均値の間の値を閾値として適切に決定し、二値化することで、背景領域から文字列領域を抽出する等の処理で実現できる。また、単に二値化のみでは、文字が途切れたり、またノイズとの区別が不明瞭であるため、膨張・収縮処理などを実施して、孤立点などのノイズを除去し、文字領域の輪郭を明確に抽出する。
【0086】
次に文字並び間隔ルール格納手段16につき説明する。図16に、文字並び間隔ルール格納手段16に格納する文字並び間隔ルールの例を示す。本実施例は、製造情報などの文字列が等間隔であることを前提とする。
【0087】
図16の161に示すのが、本実施例での製造情報の文字並びルールの例である。図12で説明したように、図16中の16aが基準マークであり、すべての車輪に必ず1つ存在するマークとする。これに対し、後ろの文字列16bは、車輪毎に異なる数字もしくは記号の並びである。
【0088】
文字並びルールの例として、図16中16cの文字を基準とした左右8文字の文字並びのルール(16d)を示す。16cの文字の中心を基準とし、右隣の文字との間隔162、左隣の文字との間隔163、間隔164‥と、168までの8桁全ての文字との間隔を定義する。間隔は、極座標変換前の度数、もしくは、極座標変換後の画素数などで定義する。また、基準文字16cと、基準マーク16aとの間隔169も定義する。ルールとする桁並び相互の位置関係が定義できれば、基準文字の選定方法など必ずしもこの例によらない。
【0089】
また、ルールとして選定する文字並びは、製造情報全文字列中でユニークなものであれば何でも良く、16bに示す製造情報文字列全てであっても、16dに示すように部分的な並びであってもいずれでも構わない。製造文字列中の位置を一意に特定できる文字間隔の並びであるとする。不適切な例としては、例えば16eに示す4桁の並びであると、16dの8桁の並びと部分的に一致してしまうので、このような文字並びは避けるとする。
【0090】
以上のように定義した一種類または複数種類の文字並び間隔ルールを文字並び間隔ルール格納手段16に格納する。
【0091】
次に、マーク位置推定手段9の処理に付き説明する。マーク位置推定手段9は、文字並び間隔ルール格納手段16に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、文字列候補切り出し手段8で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、ルール文字列と、基準マークとの間隔から、基準マークの位置を推定する手段である。文字列候補切り出し手段8により切り出した文字列候補のうち、図16の文字間隔162〜168に間隔が一致する文字並びを検出し、文字並びと基準マークとの間隔169により、基準マークの位置を推定するのがマーク位置推定手段9である。
【0092】
マーク位置推定手段9の処理の流れに付き図17を用いて説明する。
【0093】
処理171では、ルールの種類数をカウントするカウンタIを0クリアする。処理172では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数をカウントするカウンタJを0クリアする。処理173では、文字候補切り出し手段8で切り出した、j番目の文字候補を基準とした文字並びと、ルールIの並びを比較し、x方向の位置の誤差を算出する。処理174では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数のカウンタjを1進める。処理175では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数のカウンタjが、文字列候補文字数を超えたか否かを判定する。超えていれば全ての文字候補を基準としたルールIとの比較が終了したので処理176に進み、超えていなければ処理173に戻り、j番目の文字列につき処理をする。
【0094】
処理176では、ルールIに対して、誤差最小の文字候補の位置を取得する処理を行い、処理173で、j番目の文字候補を基準とした場合のうち、誤差最小となるjの値を求める。処理177では、処理176で求めた誤差最小になる文字候補の位置から、相対位置で基準マークの位置を推定する。処理178では、ルールの種類数をカウントするカウンタiを1進めて次のルールの処理に移る。処理179では、ルールの種類数をカウントするカウンタIが、ルール種類数を超えたか否かを判定する。超えていれば全てのルールについての処理が終了したとし、処理を終了する。超えていなければ処理172に戻り、次のルールについて処理を行う。
【0095】
以上がマーク位置推定手段9の処理の流れであるが、処理の内容を具体例を用い説明する。図18は、文字及び間隔ルールと、切り出した文字列の位置の比較方法を示す図である。図中、181は文字並びルールの例であり、182がルール中の基準文字であり、183が、このルール中で、基準文字182との相対位置で推定される基準マークの位置である。
【0096】
これに対し、文字列候補切り出し手段8で切り出した文字候補を152に示す。図中、説明の便宜のため、文字候補の下部に(0)から(14)の配列番号を表示しているが、これら(0)乃至(14)の各文字候補を基準位置とし、181に示す文字並びルールの並びと順に比較していくのが処理173、処理174の処理の内容である。
【0097】
図18の例では、ルールの基準文字182と、配列(5)の文字候補184の中心x座標を合わせて、他の7桁の文字のx座標を、文字候補のうち最も近いものと比較し、誤差の絶対値を7桁分累積して、ルールIの、j番目の文字候補を基準とした誤差を算出する。この173の処理を、基準位置をjのカウンタで0から14まで進めながら算出していく。
【0098】
181の文字並びルールは、8桁の等間隔の文字並びであるので、ルールの基準文字182を、文字候補(0)から(14)まで順に合わせて誤差評価した場合、図18に示す、配列(5)、184と合わせた場合が最も誤差が小さくなる。そこで、j=5の位置が181のルールに一致する位置とし、この位置を基準として、基準マークの位置を推定する。
【0099】
図18図中、169で示す間隔が、ルール181の基準文字182と基準マーク183との間隔であるので、この位置を切り出した文字候補の並びに重ねると、推定位置は図中185の位置となる。185の位置を、ルール181による基準マークの推定位置とする。
【0100】
同様に、文字並び間隔ルール格納手段16に、複数ルールが存在する場合は、上記の処理をルール数分繰り返して、ルール毎に誤差最小となる推定位置を求める。
【0101】
尚、上記実施例では、推定位置は誤差最小の位置としたが、場合によっては、影の影響、ノイズ、文字のかすれ等の原因で、切り出した文字候補が欠けており、図18の152に示すような文字列として切り出せない場合がある。そのような場合には誤差最小でも異なる文字並びを検出する恐れもあるので、誤差の閾値を設け、誤差が閾値以下で、且つ最小値の位置を、推定の確信度が高いとして採用するなどの実施例をとることもできる。
【0102】
基準マークマッチング手段17は、実施例1の基準マーク検出手段4と同様に、基準マークの位置をパターンマッチングにより相関値の高い位置を求める処理である。実施例1では、入力画像に対してテンプレートマッチングするため、円周方向の位置により向きの異なる基準マークのテンプレートを複数用意しマッチングする例を挙げたが、車輪画像の極座標変換により、図14(b)の146のように円周上の文字列は水平方向に並ぶ文字列画像に変換できる。極座標変換後の車輪画像を対象にパターンマッチングする場合には、基準マークの向きは画像上のどこにあっても一定であるので、マッチングのテンプレートは1種類でも実施可能である。
【0103】
一方で、基準マークが車輪に打刻された刻印である場合には、刻印の位置が変わると照明の当たる角度が変わるため、刻印の影のできる向きも変わる。同じ刻印でも、テンプレートと影の向きが異なるとマッチングの相関値も低下するため、基準マークの位置によらずマッチングで高い相関値を得るためには、画面上の様々な位置にある複数のマーク画像をテンプレートとし、マッチングする実施例をとることもできる。
【0104】
図19に、複数テンプレートの作成方法を示す。図19中、311、313、315は車輪の極座標変換後の画像であり、それぞれ、基準マークは画像中のx方向の異なる位置に存在する。これらの基準マーク領域312、314、316を切り出して、317に示すように複数のテンプレートとして予め作成する。
【0105】
このように作成した複数のテンプレートで、マッチングを行い、相関値最大となった位置をマッチングによる基準マーク候補位置とする。この際、全てのテンプレートで、全検知領域をサーチしても良いが、テンプレートの数が多くなると処理負荷が大きくなるため、例えば、画像中の中心付近から採用したテンプレートにより検知領域全体をサーチし、マッチング相関値の高い候補位置を複数選出して、選出した候補位置につき、複数のテンプレートそれぞれでマッチングして相関値を算出する方法などを採ることもできる。
【0106】
次に、実施例2の構成の、マーク位置決定手段10に付き説明する。マーク位置決定手段は、基準マーク検出手段4と、マーク位置推定手段9により求めた複数のマーク位置候補から、最終的にマーク位置を決定する手段である。
【0107】
本手段では、基準マーク検出手段4の検出位置と、マッチングの相関値、および、マーク位置推定手段9により求めた複数のルールによる推定位置と、推定誤差、等から、最も確からしい基準マークの位置を決定する処理である。
【0108】
複数のマーク位置候補から、マーク位置を決定する判定条件として、例えば以下のような方法がある。
マッチングによる相関値は、マークのテクスチャの類似度を示すため、マッチングによる相関値が高い位置は、基準マークである確信度が高いとし、基準マーク検出手段4による検出位置の相関値が閾値以上の場合には、無条件で検出位置をマーク位置として採用する。複数のマーク候補位置が同一位置であった場合には、その位置をマーク位置として採用する。
複数の推定ルールがある場合は、各推定ルールの間に優先度による重み付けをする。優先度をつける方法としては、文字並びルールのパターンが特徴的であり、誤推定が少ないものは重みを高くする、一方、ノイズなどの影響で、誤検出しやすい文字並びルールは、重みを低くする、等の方法とする。複数ルール間でマークの推定位置が異なる場合は、これらの重みと、誤差を考慮し、最も確からしい基準マーク位置を判定する。
【0109】
以上のように、マッチングによるマーク候補位置と、推定によるマーク候補位置を求め、最終的にマーク位置を判定することで、マークが画像上ではっきり顕在化している場合にはマッチングによる候補位置を採用することができる。また、マークが照明の陰に入っていたり、かすれて薄いなどで、画像上で顕在化しない場合には、マーク以外の文字列の並びから推定することで、マーク位置として確からしい位置を推定し採用することができる。
【0110】
また、文字並び間隔ルール格納手段16中に、推定ルールを複数準備する実施例の効果としては、図20の文字列201中の202に示すように、製造情報の文字列が部分的に薄い、影による隠れがあるなどで見えない場合、203に示すルールでは8桁の桁数の一部が文字候補として切り出せないのでルールによる推定が失敗する。
【0111】
準備しているルールが203のみであると、推定による基準マーク検出も失敗することになるが、204に示すルールも準備しており、これによる推定が成功すると、基準マーク位置を特定できることになる。以上のように、ルールを複数準備することで、製造情報文字列の一部が隠れた場合も、推定による基準マーク位置特定の成功確率を高めることができる。
【0112】
また、文字並び間隔ルール格納手段16中に複数ルールを準備する効果として、複数の推定位置が一致するマーク候補位置を採用する効果が挙げられる。図21に示すように、211に示す製造情報の文字列から、文字候補切り出し手段8で切出した文字候補を212とする。
【0113】
これに対し、文字並びールを仮に図中213、214、215の3種類とする。それぞれ、ルール213は、文字候補216を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は219となる。ルール214は、文字候補217を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は21aとなる。ルール215は、文字候補218を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は21bとなる。この例では、文字候補が正しく切り出せているため、各ルールが適切な位置に一致し、結果として219、21a、21bの複数の推定位置が一致する。
【0114】
これは推定が成功した例であるが、図22は、製造情報以外に傷などノイズが存在し、誤推定が発生する例である。図22中、221は製造情報の文字列であるが、222は製造情報であるのに対し、223は傷であるとする。これを文字列候補切り出し手段8で切り出したものが224であるが、真の文字以外の傷も、文字と色が似ていると22eのように切り出される。
【0115】
224の文字候補に対し、図21と同様にルール225、226、227の3種類で誤差最小の位置を求めると、ルール225、ルール226については、正しい位置に一致し、基準マーク推定位置がそれぞれ22b、22cと、一致した位置を推定している。これに対しルール227は、本来、文字候補22fに一致するのが正解であるが、切り出した文字候補22gが4桁の文字並び22eに似ているため、22aを基準とした文字候補並びのほうが誤差が小さくなる場合が発生する。
【0116】
この場合、基準マークの推定位置が22dとなり、これは他の2ルールの推定位置とは一致しない。しかし、前述の基準マーク位置の判定条件より、複数の推定位置が同一位置であった場合には、その位置をマーク位置として採用するため、この際のマーク位置の判定は22b、22cの位置が優先されるとする。
【0117】
また、以上の説明では、複数推定位置が「同一位置になったとき」としたが、文字切り出し処理などの過程で、文字の幅、中心位置などに誤差が発生する場合があるため、ルールに正しく一致しても、推定位置に誤差が発生する場合がある。
【0118】
このため、同一位置として判定する際に、誤差を考慮した幅を設け、例えば一文字分くらい推定位置に誤差が発生する場合も、同一位置と判定するなどの運用も考えられる。また、その場合には、複数の推定位置のいずれかを採用するのではなく、平均値をとるなどの運用もある。また、ルールごとに優先度の重み付けをしている場合には、重みを考慮した加重平均を取るなどの運用も考えられる。
【0119】
また、文字候補切り出し手段8で、二値化により文字候補を切り出すときに、複数の閾値により二値化して文字候補を切り出し、それぞれの閾値による切り出し結果からマーク位置推定手段9で推定を行い、基準マーク推定位置候補を求めることもできる。
【0120】
この場合、マーク位置推定手段9では、「ルール種類数×閾値数」種類の基準マーク位置候補が求まる可能性があるが、これらの複数候補位置から、マーク位置決定手段10で、一箇所の基準マーク位置を決定する。このように、閾値を変えて文字列候補を切り出すことで、文字列が画像上で薄いような場合にも、低い閾値による二値化で文字列候補として切り出せたり、またノイズが多い場合に、高い閾値でノイズを切り出さないようにするなどの効果がある。一方でノイズも多く切り出す可能性も増えるが、図22に示すように、複数のルールによる推定結果を優先することで、単独のノイズによる誤推定は除去できる。
【0121】
このように、ノイズによる誤推定が懸念されるようなケースでは、できるだけ多くのルールを用いることで、間違った位置の推定結果を、最終的なマーク位置として採用する誤推定を防ぐ効果がある。
【0122】
以上、第二の実施例では、照明条件が悪い、また汚れなどのノイズがある等で、基準マーク自体の形状を基準マーク検出手段で検出できない場合も、製造情報の文字並び間隔ルールにより推定することで、基準マーク位置を推定し、特徴量の照合をすることができる。
【実施例3】
【0123】
次に、車両検査装置の第三の実施例について説明する。第3の実施例は、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を提供するものであり、図23ないし図26を用いて詳細に説明する。この実施例では、走行してくる車輪側面を複数の撮影装置で順次分割して撮影し、車輪の分割画像からそれぞれ特徴量を検出し、また分割された画像から一箇所の基準マーク位置を検出して、車輪側面の全周について特徴量位置を特定する実施例である。
【0124】
図23は、車両検査装置の第3の実施形態を示すブロック図である。第2の実施例と比較して新規の構成は、画像撮影手段11と、画像間位置照合手段12である。
【0125】
主に新規の構成につき説明する。画像撮影手段11は、232に示す線路脇に設置し、走行してくる車輪231の側面を撮影する手段である。画像撮影手段11は、複数のカメラ233〜236から構成される。画像撮影手段11による画像の撮影は、例えば、各カメラ233〜236毎に、線路側に向けて設置した車輪検知手段(図示せず)からの車輪検知信号に基づき実行される。
【0126】
撮影した画像の例を図24に示す。鉄道車両に装備された車輪は、上部が台車部分に隠れて見えないため、円周の一部が撮影されることになる。また、画像中での車輪の位置は、画面中心で線路に接する位置で画像が撮影できるよう、車両検知手段の位置を調整する。
【0127】
画像撮影手段11を構成するカメラ233〜236は、回転してくる車輪の全周がいずれかのカメラで撮影できるよう、車輪の弧の長さを考慮した間隔で設置する。例えば、この実施例のように4台のカメラで分割して撮影する場合は、車輪の4分の1周分の弧の長さの間隔でカメラを設置する、等である。
【0128】
第3の実施例の構成の、画像入力手段1、特徴量検出手段2、車輪中心検出手段3、基準マーク検出手段4、文字候補切り出し手段8、マーク位置推定手段9については、第一の実施例、第二の実施例の記載と同様に行う。第一の実施例と、第二の実施例と異なるところは、車輪を分割して撮影するので、必ずしもマークが画像中に存在するとは限らない点である。このため、基準マーク検出手段4、マーク位置推定手段9では、それぞれの画像中で、最も基準マークらしい位置を検出、および推定する処理となる。
【0129】
また、画像間位置照合手段12では、同一の車輪を分割して撮影した複数画像のうち、隣り合う画像同志の対応する位置を求めて、画像を連結する手段である。本手段の目的は、画像が分割しているため、マーク位置推定手段9や、特徴量照合手段7で、位置関係を算出する二点が別画像に分かれている場合に、適切に位置関係を算出できるようにするためである。
【0130】
本手段は、車輪の径が一定であれば、いつも一定の位置を対応点とする処理となる。例えば、複数カメラの設置間隔を、径の長さがLの車輪が90°回転するに相当する弧の間隔で設置した場合には、隣接した画像の中心点同志の間隔は、ちょうど90°分になると考えられるので、画像の中心点の間の角度が90°になるように対応点を求めればよい。仮に車輪の磨耗などで車輪径が短くなっている場合には、摩耗後の車輪径をαとおくと、画像の中心点の間の角度θは、下記の計算式(1)で求められる。
【0131】
θ = 90°×(L/α) ‥ (1)
摩耗等により車輪径が変化する場合には、エッジ検出等で画像中の車輪の弧を求め、車輪の中心と弧の距離を画像上で求めることで、径の長さαを求め、画像の中心点同志の間隔を数1より求める。
【0132】
以上の方法で、画像間の対応点を求める。図25に、画像間位置照合手段12の処理前の分割撮影した車輪画像の例と、照合後、対応点を重ねて連結した車輪画像の例を示す。図中251、253、255、257はそれぞれ図23のカメラ233〜236で分割撮影された車輪画像であり、252、254、256、258はそれぞれ画像中251、252、253、254の画面の中心点である。25dが、画像間の位置を照合し、連結した車輪画像の例であるが、隣接する画像の中心点252と254の間の間隔259、および、254と256の間隔25a、および、256と258の間隔25b、258と252の間隔25cが、それぞれ数1式(1)で算出した角度θになるようにする。
【0133】
同様に、極座標変換後の分割画像も、上記の考え方で照合することができる。図26は、極座標変換後の分割画像を、照合後、連結する処理を示す図である。同図(a)(b)は、極座標変換後の隣接した分割画像261、262を表しており、同図(c)に、照合後の連結した画像265を表す。この図から明らかなように、変換前の場合と同様、画面の中心263と、264の間隔266が、角度θになるよう画像間の位置を照合する。この図(c)の例では、267が画像間の重複部分となる。例えば、画像上の268のx座標の位置が、画像261上では‘1000’、画像262上では‘0‘であるとすると、画像261上でx座標’xx’である位置は、画像262上ではx座標’xx-1000’として求められることになる。
【0134】
マーク位置推定手段9で、仮に、推定したマーク位置が同一画像中に入っていない場合は、隣接画像中の位置を換算して、隣接画像中での推定位置を求めるとする。
【0135】
以上が画像間位置照合手段12の処理の説明である。
【0136】
第三の実施例でのマーク位置決定手段10が第二の実施例と異なる点は、複数の分割画像のそれぞれにおいて基準マーク検出手段4で検出されたマーク位置候補と、マーク位置推定手段9で推定した複数のマーク位置候補とから、一箇所のマーク位置を決定する点である。マーク位置候補の数は多くなる可能性はあるが、判定方法は第二の実施例と同様の方法で、一箇所を決定する。
【0137】
特徴量照合手段7も、同様に、画像間位置を照合したあとの画像で、マーク位置と特徴量の位置関係で特徴量の位置を照合する。
【0138】
以上が、車両検査装置の第三の実施例である。鉄道車両の車輪は、車体に取り付けられた状態であると、多くの場合は台車の影に一部は隠れてしまうため、全面を1画像で撮影することは難しい。そのため、車輪を車体から取り外さず、且つ走行中に車輪を分割して撮影し、特徴量検出できる本実施例は検査コストを大幅に低減する効果がある。
【実施例4】
【0139】
次に、車両検査装置の第四の実施例を説明する。第四の実施例は、来歴管理のために工夫された構成であり、図27乃至図29を用いて説明する。図27は、車両検査装置の第四の実施例を示すブロック図であり、第三の実施例に特徴量来歴表示手段13を加えた構成である。
【0140】
新規の構成である特徴量来歴表示手段13について説明する。特徴量来歴表示手段13では、特徴量来歴格納手段6に格納した特徴量の来歴を表示する。図11に示す特徴量来歴格納手段6のデータから、車輪ID、特徴量IDを選択することで、一意に特徴量を特定できるので、車輪ID、特徴量IDをユーザに選択させることで、同一の特徴量の異なったタイミングで撮影した画像を画像データベースから選択し、表示する。
【0141】
図28に示すのは、特徴量来歴表示手段13で表示する車輪を選択するための入力画面の例である。281に示すリストに、編成IDのリストを表示し、ユーザがリスト中から任意の編成IDを選択し、283の「選択」ボタンを押下すると、ユーザが選択した編成IDをキーに、編成・車輪対応格納手段5から、編成に取り付けられている車輪IDを、配列毎に取得する。
【0142】
さらに、取得した車輪IDで、特徴量来歴格納手段6から、該当する車輪の最新の特徴量数を検索する。以上のように取得した車輪毎の配列と特徴量数リストを、284にリスト表示する。ユーザはこのリストから特徴量来歴を表示したい車輪を選択し、「表示」ボタン286を押下する。選択された車輪の来歴の表示例を図29に示す。
【0143】
図29中のウインドウ291および292に、選択された「車輪1」の、異なる日付で撮影した画像を表示する。この際、画像中の車輪の向きは、基準マーク294、295の位置を合わせて表示することで、異なるタイミングで撮影した画像同志の位置を合わせて比較しやすくできる。また、例えば293に示すようなリストで、ユーザに特徴量選択させることで、表示したい特徴量を前面に296、297のように表示させるなどの実施形態も取れる。また、298、299のように、特徴量の大きさを表示し、29aと29bのように選択した特徴量の拡大画像を表示するなどの実施例も取れる。
【0144】
以上、特徴量来歴表示手段13の実施例を示したが、本発明により、照合できた同一車輪の特徴量を比較表示するのが目的であり、上記の実施形態に限るものでない。
【0145】
また、来歴を表示する車輪の選択方法であるが、特徴量の大きさでフィルターをかけ、一定大きさ以上の特徴量のある車輪をリスト表示させるなどの実施形態をとることもできる。
【0146】
以上のように、第四の実施例により、特徴量の成長度合いなどを画像上で比較して見る事ができる。従来の、停止した車両の検査では、台車により隠れる部分があり車輪を取り外すことなしに車輪の全周の検査は実施できなかったが、車輪の全周を撮影し、また基準位置を合わせて来歴比較できる効果がある。
【実施例5】
【0147】
次に、車両検査装置の第五の実施例を説明する。第五の実施例もまた、来歴管理を有効に行うための工夫であり、列車編成の運行管理情報と関連付けて特徴量の管理を行う。図30は、車両検査装置の第五の実施例を示すブロック図であり、第三の実施例に編成運行情報格納手段14と、統計情報算出表示手段15を加えた構成である。
【0148】
新規の構成につき説明する。編成運行情報格納手段14は、編成毎の、日付毎の走行距離や、走行区間などの情報を格納した格納手段である。
【0149】
また、統計情報算出表示手段は、編成運行情報格納手段14と、編成・車輪対応格納手段5と、特徴量来歴格納手段6から、任意の複数車輪の、走行条件と、特徴量発生状況のデータを取得し、グラフ上に散布図を描き、また、相関値を求めるなど統計情報を算出し、表示する手段である。
【0150】
走行情報は、編成運行情報格納手段14に編成毎に格納されているが、編成・車輪対応格納手段5で、車輪が編成に取り付けられた期間「開始日」、「終了日」が格納されているので、該当する期間の編成運行情報を車輪に引き継ぐことで取得できる。
【0151】
グラフ表示の例としては、「走行距離」と「特徴量の大きさ」を二軸にとりプロットする、また、ある走行区間を運行した車輪のデータのみを抽出し、「走行距離」と「特徴量の大きさ」をプロットして区間による特徴量発生の傾向を見ることもできる。また、編成中での車輪の位置に注目し、配列の位置毎に走行距離と特徴量の大きさの関係を分析することもできる。
【0152】
このように、第5の実施例により、車輪個別でなく、走行距離、走行区間などによる特徴量の成長等の傾向を見、相関を求めることができ、その結果に基づいて、編成の運行計画や、予防保全計画に役立てることができる。
【0153】
以上が本発明による車両検査装置の第5の実施例である。
尚、本発明では基準マークを自動的に検出して、異なる日付で検出された特徴量の照合をすることがポイントであるが、仮にノイズ等の影響でマークが全く検出できなかった場合には、ユーザにより位置を画像上から座標を選択することで選択入力させ、その位置を基準マーク位置として特徴量位置を照合する実施形態も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明によれば、車輪側面の車両検査が可能となる。
【符号の説明】
【0155】
1:画像入力手段
2:特徴量検出手段
3:車輪中心検出手段
4:基準マーク検出手段
5:編成・車輪対応格納手段
6:特徴量来歴格納手段
7:特徴量照合手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の側面について特徴量を画像処理により自動的に検出する車両検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車輪の検査は、従来目視により、きず等の特徴量を検出し、劣化を判断していた。しかし、目視の検査では停止中の車輪の見えている部分しか行えず、また車輪全周を検査するためには、車輪を取り外して検査する必要がある。そのため、走行中に撮影した画像による検査の自動化が望まれていた。
【0003】
一方、特徴量の成長来歴を把握することで、寿命の予測や走行条件との照合などの予防保全の用途に活用するニーズがあるが、来歴管理のためには、異なる検査間で、同一車輪の座標系の照合が必要である。
【0004】
これらのニーズを満たすためには、走行中に撮影した画像から、動的に変わる基準位置を検出する必要がある。
【0005】
車輪の検査の自動化に関する従来技術として、特開平7-174672が知られている。この特許文献では、線路脇にカメラを設置し、車輪の通過を検知するセンサからの信号に基づいて車輪踏面の画像を取得し、画像処理を用いて特徴量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-174672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献に開示の従来技術では、車輪踏面の特徴量を検出しているが、本発明では車輪側面に生じた特徴量を画像処理により自動的に検出することを意図している。
また従来技術では、異なったタイミングで撮影した画像上のきず位置を照合する手段がないため、きずの成長や、変化を追跡することができない。
【0008】
さらに、従来技術では車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示について、検討されていない。
【0009】
以上のことから、本発明の第一の目的は、車輪側面のきず等の特徴量を検出するに当たり、その存在する位置を絶対位置との関係で特定するための基準マーク検出手法を備えた車両検査装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、位置が特定された特徴量について、異なる時間関係での複数の車輪側面画像から同一の特徴量を同定し、その来歴管理を行うことのできる車両検査装置を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の第3の目的は、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を備える車両検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明では、特徴量の位置を検出する車両検査装置を実現するという第一の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を記憶する。
【0013】
また、基準マーク検出は、基準マークについてのテンプレートを保持しており入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出して行う。
【0014】
また、基準マークについてのテンプレートは、車輪の回転に応じて回転させた複数のテンプレートとして保持され、複数のテンプレートごとに入力した画像から、テンプレートマッチングで、相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出する。
【0015】
基準マークマッチングについては、1種類のテンプレートによりマッチング検出して相関値が高い基準マーク候補領域を複数選出し、撮影条件の異なる複数のテンプレートにより選出した基準マーク候補領域をマッチングして、相関値の最も高い位置を基準マーク位置とする。
【0016】
基準マーク検出は、入力した画像から、文字候補を切り出し、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納し、文字列の並び間隔のルールを用いて切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークの位置を推定する。
【0017】
文字候補切り出しは、複数の異なる閾値を用いて切り出した文字列候補それぞれについて、マーク位置を推定し、基準マーク位置とする。
【0018】
基準マーク検出は、基準マークについてのテンプレートを保持しており入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出して基準マークとし、入力した画像から、文字候補を切り出し、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納し、文字列の並び間隔のルールを用い文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークと文字列候補のマーク位置候補から最終的にマーク位置を決定する。
【0019】
また、マーク位置決定は、基準マーク位置候補の相関値が十分高い場合、マーク位置決定で推定した基準マーク位置候補より優先して基準マーク位置とする。
【0020】
さらにマーク位置決定は、基準マークマッチングで検出した基準マーク位置候補、およびマーク位置決定で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、同一の位置を検出、もしくは推定した件数が多い位置を優先して基準マーク位置として決定してもよい。
【0021】
さらに、文字並び間隔ルールの複数の異なるルールについて重み付けをして、重み付に基づき、マーク位置決定のときに複数の基準マーク位置候補から基準マーク位置を決定する際に優先度を決定する。
【0022】
また基準マークマッチングにより検出した基準マーク位置候補、およびマーク位置決定で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、マーク位置決定は、近傍に複数推定位置が存在する場合に、複数推定位置の平均、もしくは、複数ルールの重み付けをしている場合には、加重平均をとって算出した位置をマーク位置として決定する。
【0023】
請求項12に記載の発明では、特徴量の来歴を記録する車両検査装置を実現するという第二の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定し、鉄道車両を撮影するときに撮影車輪を識別する車輪識別情報の対応を格納し、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を車輪識別情報に対応づけて記憶し、入力した鉄道車両車輪側面の画像から得られた特徴量について、同じ車輪識別情報を有する車輪の情報の中に特徴量位置情報から同一と考えられる特徴量があった場合は、同一特徴量を示す識別情報を付与して追記憶する。
【0024】
また、異なる日付に撮影した同じ車輪の画像を同じ特徴量が画像比較できるよう並べて表示する。
【0025】
また、編成運行情報と、統計情報から、車輪の走行に関する情報と、特徴量に関する情報の関係を対比して表示する。
【0026】
請求項16に記載の発明では、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を備える車両検査装置を実現するという第三の目的達成のために、
入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪上の特徴量を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪中心の座標を検出し、入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について基準マークを検出してその座標を決定し、隣接する位置で撮影された画像について対応する位置を求めて連結することにした。
【0027】
また、画像間位置照合は、画像上の車輪の中心と、車輪の弧を検出することで車輪の摩耗量を求め、隣り合う画像同士の対応点を算出する。
【0028】
さらに、検出した車輪中心を基準とし極座標変換した画像から車輪上の特徴量を検出する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、車輪側面の特徴量位置を絶対位置との関係で特定するための基準マークを車輪側面画像から検出する手法を提供できる。
【0030】
本発明によれば、異なる時間関係での複数の車輪側面画像から同一の特徴量を同定し、その来歴管理を行うことができる。
【0031】
さらに本発明によれば、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による車両検査装置の第一の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2(a)】車輪面を検査時期1で撮影した画像の例である。
【図2(b)】車輪面を検査時期2で撮影した画像の例である。
【図3(a)】画像入力手段から入力した画像の例を示す図である。
【図3(b)】特徴量検出手段で抽出した画像の例を示す図である。
【図4】車輪中心検出手段の処理内容を説明するための図である。
【図5】基準マーク検出手段の処理内容を説明するための図である。
【図6】編成・車輪対応格納手段5に格納されるデータの例を示す図である。
【図7】特徴量来歴格納手段に格納する情報の例を示す図である。
【図8】特徴量照合手段の処理の流れを説明するための図である。
【図9】画像入力手段から入力した画像の例である。
【図10】特徴量来歴格納手段にレコードを追加した例を示す図である。
【図11】特徴量照合手段の処理が終了した時の特徴量来歴格納手段の状態を示す図である。
【図12(a)】車輪Aに打刻された文字列の例を示す図である。
【図12(b)】車輪Bに打刻された文字列の例を示す図である。
【図13】本発明による車両検査装置の第二の実施例の構成を示すブロック図である。
【図14(a)】極座標変換前の画像の例を示した図である。
【図14(b)】極座標変換後の画像の例を示した図である。
【図15(a)】入力画像の文字列候補の例を示す図である。
【図15(b)】文字候補切り出し手段で切り出した文字列候補の例を示す図である。
【図16】文字並び間隔ルール格納手段に格納する文字並び間隔ルールの例を示す図である。
【図17】マーク位置推定手段の処理の流れを説明するための図である。
【図18】文字並び間隔ルールと、切り出した文字列の位置の比較方法を示す図である。
【図19】複数テンプレートの作成方法を説明するための図である。
【図20】推定ルールを複数準備する実施例の効果を説明するための、製造情報文字列の例を示す図である。
【図21】複数ルールの基準マーク推定位置が一致する例を示す図である。
【図22】複数ルールのうち1種類のルールが誤推定する例を示す図である。
【図23】本発明による車両検査装置の第三の実施例の構成を示すブロック図である。
【図24】画像撮影手段で撮影した画像の例を示す図である。
【図25】画像間位置照合手段の処理前の分割した画像の例と、照合後、対応点を重ねて連結した画像の例を示す図である。
【図26(a)】極座標変換後の隣接する分割画像を示す図である。
【図26(b)】極座標変換後の隣接する分割画像を示す図である。
【図26(c)】極座標変換後の分割画像を、照合後連結した画像を示す図である。
【図27】本発明による車両検査装置の第四の実施例の構成を示すブロック図である。
【図28】特徴量来歴表示手段で表示する車輪を選択するための入力画面の例を示す図である。
【図29】選択された車輪の来歴の表示例を示す図である。
【図30】本発明による車両検査装置の第五の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0034】
以下、図1〜図30を参照して、本発明の車両検査装置について説明する。
【実施例1】
【0035】
実施例1は、本発明に掛かる車両検査装置の基本的な構成、機能を説明するものであり、図1乃至図11を用いて説明を行う。
【0036】
まず、図1は、本発明の車両検査装置の第一の実施例の概略装置構成を示すブロック図である。図1の車両検査装置は、画像入力手段1と、特徴量検出手段2と、車輪中心検出手段3と、基準マーク検出手段4と、編成・車輪対応格納手段5と、特徴量来歴格納手段6と、特徴量照合手段7とからなる。
【0037】
第一の実施例の構成要素について順に詳細に説明する。尚、以下の説明では、理解を容易にするために日付、長さ、角度等、具体的な数値を用いて説明しているが、これらは全て例として挙げたものであり、数値自体に格別の意味はない。
【0038】
まず、本発明において処理の対象とする車輪側面を撮影した画像の例を図2に示す。 図2は同一車輪について、異なる検査時期で撮影した画像の例を示す。同図(a)は、検査時期1で撮影した画像21、同図(b)は、その後の検査時期2で撮影した画像22である。車輪23と、車輪23’は、異なる時期の同一の車輪である。25、および25’に示すマークは、全ての車輪中の一箇所に必ず存在するマークとする。
【0039】
ここで、画像21で撮影した車輪23上には特徴量26が存在する。この特徴量26の位置は、24を車輪の中心とし、マーク25を基準としてなす角27により、定義することができる。ここで、角度27をx°とする。
【0040】
画像22のその後に撮影した車輪23’上には特徴量28と特徴量29が存在する。ここで、画面上での車輪の位置は、回転により画像22と21では相違するのが通常である。具体的には、画像21の基準マーク25が画面22ではマーク25’へ、画面上の位置が移動している。
【0041】
しかしながら、基準マーク25’と中心24のなす角度2aが画像21のときの既値の角度x°に相当することから、この位置にある画面21上の特徴量26と同一の特徴量は、画面22上の特徴量28であると同定できる。なお特徴量29について、基準マークからの角度2bがy°とすると、この位置に対応する位置に画像21上には特徴量がないので、新たな特徴量として今後継続監視されることになる。
【0042】
以上のように、人間であれば目視により、回転する検査対象物である車輪を、任意のタイミングで撮影しても、車輪上の位置を照合可能である。しかしながら、これを自動的に実施するには、画面上で動的に変わる車輪の中心を検出する車輪中心検出手段3と、全ての車輪に必ず一箇所あるマーク位置を検出して円周上の角度の基準位置とする基準マーク検出手段4を備え、車輪上に発生する特徴量位置を同定し、同一特徴量の大きさや形状の変更を比較することが必要となる。なお、基準として想定するマークは、車輪の製造メーカのマークなど、車輪毎に一箇所必ず存在するユニークなマークとする。
【0043】
以上の前提に基づき、第一の実施例の構成要素について順に説明する。図1の画像入力手段1は、検査対象の画像を撮影し、入力する手段である。図2の21、22に示すような画像を入力する。
【0044】
特徴量検出手段2は、画像入力手段1で撮影した画像から、特徴量を検出する手段である。この実現手段については、例えば、特徴量が車輪面より輝度が低く(黒く)撮影されるとすると、車輪面の平均輝度と特徴量の平均輝度の間に設定した閾値による二値化により、特徴量領域を黒く抽出するなどの方法を用いる。
【0045】
図3は特徴量検出手段2の処理内容を説明するための図である。このうち同図(a)は、画像入力手段1から入力した画像31の例であるが、車輪32上に特徴量32と33がある。これを特徴量検出手段2で抽出し、同図(b)の35で示すように画面上の例えば左下の点39を基準とし、各特徴量について、画面上での始点、終点座標を取得する。例えば特徴量37については始点3a、終点3bの座標、特徴量38については始点3c、終点3dの座標を取得し、画面上で管理できる座標を取得する。ここで、図3で述べた座標とはあくまでもこの画像の上での座標であり、図2で述べた基準マークや車輪中心から求められる絶対位置の座標位置でないことはいうまでもない。
【0046】
尚、図3において取得した画像範囲の中には、本来特徴量検出の必要のない車輪中の3eに示す車軸の領域なども写っている。この処理不要領域については、予め処理の必要ない領域としてマスク処理を実施し、特徴量検出処理の対象としない、などの処理を施して、不要な領域の誤検出を防ぐ。車軸領域の範囲の求め方は、後述する車輪中心検出手段3で求める画像中での車輪の中心と、既知の車軸領域の半径から求めることができる。
【0047】
車輪中心検出手段3は、検出した特徴量の車輪上の位置を一意に求めるために、画像上の車輪の中心座標を求める手段である。この手段は、例えば特許文献特開平6-167313に開示があるように、車輪の弧のエッジを画像処理で検出し、円の弧との近似から中心位置を求める、等の手段で求めることができる。図4は、車輪中心検出手段3の処理内容を説明するための図であり、この図に示すように、求めた中心位置43は、特徴量検出手段2で検出された特徴量の位置と同様、画像中の始点44からの相対座標で把握され、メモリ上に保持する。
【0048】
基準マーク検出手段4は、車輪の円周方向の基準位置として、車輪上に存在する特定マークを検出する手段である。基準マーク検出手段4を実現する実施例の一つは、例えばパターンマッチングを用いて、テンプレートと最もテクスチャの類似した位置を求める方法である。
【0049】
図5は、基準マーク検出手段4の処理内容を説明するための図であり、先のパターンマッチングを用いる方法は、仮に、特定マークを図5の51のようなテクスチャのマークとすると、51をテンプレートとして保有し、画像上の情報とのマッチングにより、相関値の大きい位置をマーク位置として検出する手法である。52の画像中で、51と一致度の高い位置は図中53を中心とする位置であるので、車輪中心位置、特徴量位置と同様に、画像中の左下基準点54を基準とした相対座標で基準マークの位置を把握し、メモリに格納する。
【0050】
尚、車輪のような円盤状の対象物の場合、マークは、車輪中心を中心とする円弧に沿って付いている場合が多いと考えられ、画像中でのマークの方向は360°回転する可能性があると考えられる。そのため、パターンマッチングの手段としては、テンプレート51について、360°の範囲で少しずつ回転させた複数テンプレートを作成しておき、全てのテンプレートでマッチングして最大相関値の位置を採用するなどの手段を用いることができる。
【0051】
次に、編成・車輪対応格納手段5について説明する。編成・車輪対応格納手段5は、編成を識別するIDと、編成に組み込まれている車輪のIDの対応を格納する手段である。編成・車輪対応格納手段5に格納されるデータの例を図6に示す。図6の列方向は格納項目を示し、行方向がデータレコードの例とする。
【0052】
図6において、列61は一続きの編成を特定できる編成IDであり、編成を一意に特定できるIDとする。列62は、車輪が付いている側面(左/右)を識別するコードであり、仮に左をL,右をRとする。列63は、配列番号であり、列62で特定された側面の、先頭から数えた配列番号を示す。列64は、車輪IDで、車輪を一意に特定できる番号である。
【0053】
また、車輪が編成から取り外されて交換されることもありうるため、6bに示す「開始日」に編成にその車輪が取り付けられた日付と、6cの「終了日」に車輪がその編成から取り外された日付も格納しておく。このようにすることである位置に取り付けられていた車輪の来歴も参照することができる。最新の編成と車輪の対応は、「終了日」が空欄のレコードを参照することで取得できる。
【0054】
編成・車輪対応格納手段5には、例えば以上のような約束の下に各種データが格納されており、行65から70には個別にデータが格納されている。このうち、例えば行65に示すデータレコードは、編成ID“1”の編成の、左側の一番前の車輪は、車輪IDが“AAA”であることを示す。同様に、行70に示すデータレコードは、編成ID“1”の編成の、右側の先頭から3番目の車輪はID“BBD”であることを示す。以上のように、編成・車輪対応格納手段5では、列車の編成IDと、左右の側面と、配列番号をキーに、車輪のIDを取得することができる。
【0055】
特徴量来歴格納手段6は、車輪上に発生した特徴量の来歴に関する情報を格納する手段である。図7に、特徴量来歴格納手段6に格納する情報の例を示す。図中、一行目の71〜78に示すのが格納項目の例であり7a、7bの行がデータの例である。
【0056】
図7において、列71が、特徴量を検出した日付である。列72は特徴量の存在する車輪IDである。列73は、特徴量を特定するための特徴量IDである。列74は、特徴量の位置を特定するための、基準マークからの特徴量の角度である。列75は、特徴量の位置を特定するための、中心からの位置である。列76は、特徴量の長さである。列77は、画像上での特徴量の始点座標である。列78は、画像上での特徴量の終点座標である。列79は、特徴量の撮影された画像名である。
【0057】
特徴量来歴格納手段6には、例えば以上のような約束の下に各種データが格納されており、例えば、行7aのデータでは、「2008年12月10日」に撮影(列71)された画像で、車輪ID「AAA」上に(列72)基準からの角度が33°(列74)、中心からの位置が256mm(列75)の位置に、長さ30mm(列76)の特徴量があることを示している。列73より、この特徴量は、「AAA-1」というユニークなIDで管理する。また、列77〜列79より、この特徴量は、画像名「img090210AAA」上の始点座標(520,200)、終点座標(523,215)上にある、という情報を示す。
【0058】
以上のように、特徴量来歴格納手段6に格納する情報は、車輪の特徴量が検出された日付と位置・大きさを管理し、また、撮影した画像を管理する格納手段(図示せず)がある場合は、その特徴量が写っている位置を特定することもできる手段である。
【0059】
特徴量照合手段7は、特徴量検出手段2で検出した特徴量を、過去の検査で検出した特徴量と、位置情報を使って同定し、同一と考えられる特徴量があった場合は、同一IDを付与する手段である。
【0060】
特徴量照合手段7の処理の流れを、図8を用いて説明する。この処理においては、編成・車輪対応格納手段5の情報と、特徴量来歴格納手段6の情報とを使用する。
【0061】
このフロー図において、処理81では、編成・車輪対応格納手段5から、車輪IDを取得する。この処理では、車輪画像が入力される際に、予め編成IDを入力しておく。もしくは編成が、この検査場等の画像取得位置に入ってくるときの、ダイヤスケジュールデータを予め持っていて、画像入力を開始したタイミングで、当該時刻に検査場に入ってくる編成のID、および、車輪の配列から、撮影された画像毎に車輪IDを取得する。ここで、車輪IDをxとする。
【0062】
処理82では、特徴量数のカウンタIを0クリアする。処理83では、I番目の特徴量の基準からの角度を算出する。処理84では特徴量のカウンタIを1進める。処理85では、全ての特徴量を処理したか否かの判定を行い、全ての特徴量を処理していれば処理86に、未処理の特徴量があれば処理82に戻り、すべての特徴量の角度算出処理が完了するまで繰返し処理を行う。
【0063】
以上の一連の循環処理の間に、処理83では特徴量の基準マークからの角度を算出し、その結果を特徴量来歴格納手段6に格納している。図9は画像入力手段から得た画像の例であり、処理83の処理内容につき図9を用いて説明する。図9の車輪91の画像の例では処理83によって、特徴量検出手段2により検出した特徴量の位置92,93と、車輪中心検出手段3により検出した車輪の中心94と、基準マーク検出手段4により検出した基準マークの位置95を導出し、角度を演算している。
【0064】
なお、処理83において、画像上の位置関係から角度を求めるに当たり、カメラの向きが車輪面に対し垂直であることを前提とするが、多くの場合はカメラと車輪面は垂直でなく傾きがあると考えられる。その場合は、カメラと車輪の角度情報から、カメラキャリブレーションにより座標変換し、カメラの向きが車輪面に対して垂直な、正対化した画像に変換しておき正対化した画像上で、基準マークと特徴量の角度を求めることが有効である。
【0065】
処理86では、車輪xの前回の検査で検出した特徴量の情報を特徴量来歴格納手段6から抽出する。処理87では、車輪xの前回の検査で検出した特徴量をカウントするカウンタJを0クリアする。処理88では、前回の検査で検出の特徴量jと一致する特徴量Iを、今回検出したものから検索する。処理89では、特徴量jと一致する特徴量Iに、特徴量jの特徴量IDを設定する。処理8aでは、前回の検査で検出した特徴量が全て処理されたか否かを判定し、全ての特徴量の処理が終了していれば処理8bに、未処理の特徴量があれば処理88に戻る。処理8bでは、今回検出した特徴量のうち、処理88〜処理8aで、特徴量IDが付与されなかった、新規の特徴量につき、新規の特徴量IDを付与する。
【0066】
なお、処理88において、特徴量が一致するか否かの判定は、特徴量来歴格納手段6に格納される列74の基準マークからの角度、および、列75の中心からの位置の比較により、一致もしくは値が最も近いものを一致として判定する。
【0067】
以上の図8の一連の処理の流れにつき、具体的なデータを用いて説明する。図9は、画像入力手段1から入力した先述の画像の例であり、この画像は、編成ID「1」の編成の左側で撮影された一番目の画像とする。図中、91は車輪、92と93は検出された特徴量、94は車輪の中心であり、95は検出した基準マークである。
【0068】
処理81で、編成・車輪対応格納手段5から、車輪IDを取得する。図6の編成・車輪対応格納手段5の例から、編成IDが「1」の、左側に設置の、配列が1番目の車輪は、行65のデータであるので、車輪IDは「AAA」を取得する。
【0069】
処理83で、0番目の特徴量の角度を算出する。この際、特徴量を代表する点を決める必要があるが、特徴量の始終点から求められる重心などを用いる。求めた特徴量92の基準マークとのなす角を33°、中心からの位置を254mmとし、また始終点の座標等を特徴量来歴格納手段6に追加する。図7には2008年12月10日付で検出した車輪ID「AAA」の特徴量が記録されているが、2009年2月10日に実施した車両検査の結果を追加したレコードを図10中の行101に示す。情報を取得した時刻から、日付を登録し、また、車輪IDと、入力した画像名を登録する。
【0070】
図9の例では特徴量数が「2」なので、処理85の判定で処理83に戻る。同様に、図9中の特徴量93の基準マークとのなす角、中心からの距離を算出し、始終点の座標等を特徴量来歴格納手段6に追加する。追加したレコードは102である。この時点では、特徴量IDはまだ付与されていない。
【0071】
車輪「AAA」の全ての特徴量の処理が終了したので、処理86に移る。車輪「AAA」の前回検査の特徴量を特徴量来歴格納手段6から抽出する。図10から、車輪「AAA」の前回の検査の特徴量のレコードを抽出すると、行7aの1件となる。
【0072】
処理88で、前回の検査時の車輪「AAA」の特徴量である行7aの特徴量「AAA-1」について、一致する特徴量を検索する。今回の画像から検出された特徴量は、特徴量来歴格納手段6の行101、102に登録されているが、角度が66°で一致するのは行101のレコードであるので、これを行7aのレコードと一致する特徴量であるとして、特徴量IDを「AAA-1 」と付与する。
【0073】
前回の検査時の特徴量のレコードはこの1件であるので、図10の行102に該当する特徴量は、前回は検出されず、今回新規に検出されたものとして、新規の特徴量ID「AAA-2」を付与する。
【0074】
以上の、特徴量照合手段7の処理が終了した時の特徴量来歴格納手段6の状態を図11に示す。図10との相違は特徴量IDが新たに賦与された点である。この結果、基準位置として求めたマークの位置と、中心の位置から、その車輪に不変的な位置を求めることにより、異なる検査時に、画像中での基準位置が異なる際に検出した特徴量との照合をすることができる。
【0075】
以上が車両検査装置の第一の実施例である。この実施例に拠れば、車輪中心検出手段3と、基準マーク検出手段4により、画像中の車輪位置が変化しても、基準となる中心からの位置と、基準マークからの角度により、車輪上の座標系をいつも一意に決められるため、画像撮影時に車輪の向きを意識することなく、特徴量来歴管理をすることができる。
【実施例2】
【0076】
次に、車両検査装置の第二の実施例について説明する。第二の実施例では図12から図22を用いて、特徴量の絶対位置を決定する上で必要となる基準マーク位置を精度よく検出するための各種の工夫について紹介する。
【0077】
車両検査装置の第二の実施例では、パターンマッチングによるマーク検出以外に、基準マークの含まれる文字列の並び間隔のルールを使って、基準マークの位置を推定する点で工夫がされている。本実施例の説明として、鉄道車両の車輪に刻印された製造情報の文字列の並びを検出することにより、基準マークの位置を推定する処理を例にとり説明する。
【0078】
本第2の実施例の前提として、想定する製造情報の文字列の例を、図12のようなものであると仮定する。本実施例の前提は、円周上の位置に基準となるユニークなマークが一箇所あること、また、文字列の桁数が一定であることである。図12(a)は、車輪Aに打刻された文字列121、図12(b)は、車輪Bに打刻された文字列124の例を示す。これらは車輪についての製造情報であるので、車輪により文字の内容は異なるが、一箇所以上、かならずユニークなマークもしくは文字が含まれることを前提とする。図の例では、文字列121および文字列124中で、それぞれ122と125のマークは同一の形状で、どの車輪にも打刻される、例えば製造メーカのマークなどである。これに対し、123、126に示す文字列は、製造日時・製造番号など、車輪により可変であることが多い。
【0079】
本発明の車両検査では、メンテナンス時の検査を想定しているため、検査対象である車輪は汚れなどのノイズが付着し、また、画像取得時の照明環境も適切にコントロールしにくいなどが考えられ、画像上で製造情報の文字列が全て克明に取得するのが困難な状況である。そこで、製造情報の文字列の内容を認識できなくても、製造情報の文字列中のユニークなマークの位置を検出するための方法をこの実施例で説明する。
【0080】
本実施例では、車輪毎に一箇所の、図12の122、125のマークの位置を推定することを例に挙げ説明する。図13は実施例2の構成を示すブロック図である。図1の実施例1の構成の、基準マーク検出手段4の構成として、文字候補切り出し手段8と、文字並び間隔ルール格納手段16と、マーク位置推定手段9と、マーク位置決定手段10と、基準マークマッチング手段17とを追加した構成である。
【0081】
以下第二の実施例の説明では、新規に追加された構成を主体として順に説明する。まず、文字候補切り出し手段8は、画像入力手段1から入力した画像から、文字または特定パタンを切り出す手段である。尚、以降、「文字候補」として説明するが、数種類の特定し得るパタンでもよい。
【0082】
この際、入力した画像をそのまま処理することも可能であるが、画像処理時の座標管理を容易にするため、入力した円形の車輪画像を、極座標変換して展開画像に変換した上で処理することが有効である。。この変換処理は、入力された画像の位置座標(x,y)を、画像中の円系の中心を基準に(r,θ)(rは円の半径、θは円周の角度)に変換し、θをx軸、rをy軸の直行座標系に変換することで実行できる。
【0083】
図14に極座標変換前後の画像の例を示す。図14(a)において、141は極座標変換前の画像であり、図14(b)の146は極座標変換後の画像である。画像141中の車輪142で、車輪中心検出手段3で検出した車輪の中央143から、車輪の外周方向を結ぶ半径方向の長さを144とする。これは変換前の座標系中の、円形の系方向の長さrに相当する。また、145は143を中心とした角度であり、変換前の座標系中の、円形の角度θに相当する。
【0084】
変換後の画像146は、車輪の中心143を中心とした、144であらわす径方向の長さrをx軸とし、角度145をy軸とした座標系に変換したものである。画像処理は通常xy平面座標系で扱うことが多いため、画像処理前に極座標変換してxy座標系にすることで、画像処理結果の座標データが扱いやすくなるメリットがある。実施例2の処理は極座標変換を実施した仮定で行うが、説明中のx座標を角度、y座標を径方向の長さと読み替えることで、変換しない場合も同様に処理できることはいうまでもない。
【0085】
文字候補切り出し手段8の処理の説明に戻る。図15に、文字候補切り出し手段8で切り出した文字列候補の例を示す。図15(a)の151が入力画像、15(b)の152が文字列切り出し手段で切り出した文字列候補とする。文字列切り出し方法としては、例えば文字が車輪の色より輝度が低い(黒い)とすると、車輪の背景色の平均値と、文字の色の平均値の間の値を閾値として適切に決定し、二値化することで、背景領域から文字列領域を抽出する等の処理で実現できる。また、単に二値化のみでは、文字が途切れたり、またノイズとの区別が不明瞭であるため、膨張・収縮処理などを実施して、孤立点などのノイズを除去し、文字領域の輪郭を明確に抽出する。
【0086】
次に文字並び間隔ルール格納手段16につき説明する。図16に、文字並び間隔ルール格納手段16に格納する文字並び間隔ルールの例を示す。本実施例は、製造情報などの文字列が等間隔であることを前提とする。
【0087】
図16の161に示すのが、本実施例での製造情報の文字並びルールの例である。図12で説明したように、図16中の16aが基準マークであり、すべての車輪に必ず1つ存在するマークとする。これに対し、後ろの文字列16bは、車輪毎に異なる数字もしくは記号の並びである。
【0088】
文字並びルールの例として、図16中16cの文字を基準とした左右8文字の文字並びのルール(16d)を示す。16cの文字の中心を基準とし、右隣の文字との間隔162、左隣の文字との間隔163、間隔164‥と、168までの8桁全ての文字との間隔を定義する。間隔は、極座標変換前の度数、もしくは、極座標変換後の画素数などで定義する。また、基準文字16cと、基準マーク16aとの間隔169も定義する。ルールとする桁並び相互の位置関係が定義できれば、基準文字の選定方法など必ずしもこの例によらない。
【0089】
また、ルールとして選定する文字並びは、製造情報全文字列中でユニークなものであれば何でも良く、16bに示す製造情報文字列全てであっても、16dに示すように部分的な並びであってもいずれでも構わない。製造文字列中の位置を一意に特定できる文字間隔の並びであるとする。不適切な例としては、例えば16eに示す4桁の並びであると、16dの8桁の並びと部分的に一致してしまうので、このような文字並びは避けるとする。
【0090】
以上のように定義した一種類または複数種類の文字並び間隔ルールを文字並び間隔ルール格納手段16に格納する。
【0091】
次に、マーク位置推定手段9の処理に付き説明する。マーク位置推定手段9は、文字並び間隔ルール格納手段16に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、文字列候補切り出し手段8で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、ルール文字列と、基準マークとの間隔から、基準マークの位置を推定する手段である。文字列候補切り出し手段8により切り出した文字列候補のうち、図16の文字間隔162〜168に間隔が一致する文字並びを検出し、文字並びと基準マークとの間隔169により、基準マークの位置を推定するのがマーク位置推定手段9である。
【0092】
マーク位置推定手段9の処理の流れに付き図17を用いて説明する。
【0093】
処理171では、ルールの種類数をカウントするカウンタIを0クリアする。処理172では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数をカウントするカウンタJを0クリアする。処理173では、文字候補切り出し手段8で切り出した、j番目の文字候補を基準とした文字並びと、ルールIの並びを比較し、x方向の位置の誤差を算出する。処理174では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数のカウンタjを1進める。処理175では、文字候補切り出し手段8で切り出した文字数のカウンタjが、文字列候補文字数を超えたか否かを判定する。超えていれば全ての文字候補を基準としたルールIとの比較が終了したので処理176に進み、超えていなければ処理173に戻り、j番目の文字列につき処理をする。
【0094】
処理176では、ルールIに対して、誤差最小の文字候補の位置を取得する処理を行い、処理173で、j番目の文字候補を基準とした場合のうち、誤差最小となるjの値を求める。処理177では、処理176で求めた誤差最小になる文字候補の位置から、相対位置で基準マークの位置を推定する。処理178では、ルールの種類数をカウントするカウンタiを1進めて次のルールの処理に移る。処理179では、ルールの種類数をカウントするカウンタIが、ルール種類数を超えたか否かを判定する。超えていれば全てのルールについての処理が終了したとし、処理を終了する。超えていなければ処理172に戻り、次のルールについて処理を行う。
【0095】
以上がマーク位置推定手段9の処理の流れであるが、処理の内容を具体例を用い説明する。図18は、文字及び間隔ルールと、切り出した文字列の位置の比較方法を示す図である。図中、181は文字並びルールの例であり、182がルール中の基準文字であり、183が、このルール中で、基準文字182との相対位置で推定される基準マークの位置である。
【0096】
これに対し、文字列候補切り出し手段8で切り出した文字候補を152に示す。図中、説明の便宜のため、文字候補の下部に(0)から(14)の配列番号を表示しているが、これら(0)乃至(14)の各文字候補を基準位置とし、181に示す文字並びルールの並びと順に比較していくのが処理173、処理174の処理の内容である。
【0097】
図18の例では、ルールの基準文字182と、配列(5)の文字候補184の中心x座標を合わせて、他の7桁の文字のx座標を、文字候補のうち最も近いものと比較し、誤差の絶対値を7桁分累積して、ルールIの、j番目の文字候補を基準とした誤差を算出する。この173の処理を、基準位置をjのカウンタで0から14まで進めながら算出していく。
【0098】
181の文字並びルールは、8桁の等間隔の文字並びであるので、ルールの基準文字182を、文字候補(0)から(14)まで順に合わせて誤差評価した場合、図18に示す、配列(5)、184と合わせた場合が最も誤差が小さくなる。そこで、j=5の位置が181のルールに一致する位置とし、この位置を基準として、基準マークの位置を推定する。
【0099】
図18図中、169で示す間隔が、ルール181の基準文字182と基準マーク183との間隔であるので、この位置を切り出した文字候補の並びに重ねると、推定位置は図中185の位置となる。185の位置を、ルール181による基準マークの推定位置とする。
【0100】
同様に、文字並び間隔ルール格納手段16に、複数ルールが存在する場合は、上記の処理をルール数分繰り返して、ルール毎に誤差最小となる推定位置を求める。
【0101】
尚、上記実施例では、推定位置は誤差最小の位置としたが、場合によっては、影の影響、ノイズ、文字のかすれ等の原因で、切り出した文字候補が欠けており、図18の152に示すような文字列として切り出せない場合がある。そのような場合には誤差最小でも異なる文字並びを検出する恐れもあるので、誤差の閾値を設け、誤差が閾値以下で、且つ最小値の位置を、推定の確信度が高いとして採用するなどの実施例をとることもできる。
【0102】
基準マークマッチング手段17は、実施例1の基準マーク検出手段4と同様に、基準マークの位置をパターンマッチングにより相関値の高い位置を求める処理である。実施例1では、入力画像に対してテンプレートマッチングするため、円周方向の位置により向きの異なる基準マークのテンプレートを複数用意しマッチングする例を挙げたが、車輪画像の極座標変換により、図14(b)の146のように円周上の文字列は水平方向に並ぶ文字列画像に変換できる。極座標変換後の車輪画像を対象にパターンマッチングする場合には、基準マークの向きは画像上のどこにあっても一定であるので、マッチングのテンプレートは1種類でも実施可能である。
【0103】
一方で、基準マークが車輪に打刻された刻印である場合には、刻印の位置が変わると照明の当たる角度が変わるため、刻印の影のできる向きも変わる。同じ刻印でも、テンプレートと影の向きが異なるとマッチングの相関値も低下するため、基準マークの位置によらずマッチングで高い相関値を得るためには、画面上の様々な位置にある複数のマーク画像をテンプレートとし、マッチングする実施例をとることもできる。
【0104】
図19に、複数テンプレートの作成方法を示す。図19中、311、313、315は車輪の極座標変換後の画像であり、それぞれ、基準マークは画像中のx方向の異なる位置に存在する。これらの基準マーク領域312、314、316を切り出して、317に示すように複数のテンプレートとして予め作成する。
【0105】
このように作成した複数のテンプレートで、マッチングを行い、相関値最大となった位置をマッチングによる基準マーク候補位置とする。この際、全てのテンプレートで、全検知領域をサーチしても良いが、テンプレートの数が多くなると処理負荷が大きくなるため、例えば、画像中の中心付近から採用したテンプレートにより検知領域全体をサーチし、マッチング相関値の高い候補位置を複数選出して、選出した候補位置につき、複数のテンプレートそれぞれでマッチングして相関値を算出する方法などを採ることもできる。
【0106】
次に、実施例2の構成の、マーク位置決定手段10に付き説明する。マーク位置決定手段は、基準マーク検出手段4と、マーク位置推定手段9により求めた複数のマーク位置候補から、最終的にマーク位置を決定する手段である。
【0107】
本手段では、基準マーク検出手段4の検出位置と、マッチングの相関値、および、マーク位置推定手段9により求めた複数のルールによる推定位置と、推定誤差、等から、最も確からしい基準マークの位置を決定する処理である。
【0108】
複数のマーク位置候補から、マーク位置を決定する判定条件として、例えば以下のような方法がある。
マッチングによる相関値は、マークのテクスチャの類似度を示すため、マッチングによる相関値が高い位置は、基準マークである確信度が高いとし、基準マーク検出手段4による検出位置の相関値が閾値以上の場合には、無条件で検出位置をマーク位置として採用する。複数のマーク候補位置が同一位置であった場合には、その位置をマーク位置として採用する。
複数の推定ルールがある場合は、各推定ルールの間に優先度による重み付けをする。優先度をつける方法としては、文字並びルールのパターンが特徴的であり、誤推定が少ないものは重みを高くする、一方、ノイズなどの影響で、誤検出しやすい文字並びルールは、重みを低くする、等の方法とする。複数ルール間でマークの推定位置が異なる場合は、これらの重みと、誤差を考慮し、最も確からしい基準マーク位置を判定する。
【0109】
以上のように、マッチングによるマーク候補位置と、推定によるマーク候補位置を求め、最終的にマーク位置を判定することで、マークが画像上ではっきり顕在化している場合にはマッチングによる候補位置を採用することができる。また、マークが照明の陰に入っていたり、かすれて薄いなどで、画像上で顕在化しない場合には、マーク以外の文字列の並びから推定することで、マーク位置として確からしい位置を推定し採用することができる。
【0110】
また、文字並び間隔ルール格納手段16中に、推定ルールを複数準備する実施例の効果としては、図20の文字列201中の202に示すように、製造情報の文字列が部分的に薄い、影による隠れがあるなどで見えない場合、203に示すルールでは8桁の桁数の一部が文字候補として切り出せないのでルールによる推定が失敗する。
【0111】
準備しているルールが203のみであると、推定による基準マーク検出も失敗することになるが、204に示すルールも準備しており、これによる推定が成功すると、基準マーク位置を特定できることになる。以上のように、ルールを複数準備することで、製造情報文字列の一部が隠れた場合も、推定による基準マーク位置特定の成功確率を高めることができる。
【0112】
また、文字並び間隔ルール格納手段16中に複数ルールを準備する効果として、複数の推定位置が一致するマーク候補位置を採用する効果が挙げられる。図21に示すように、211に示す製造情報の文字列から、文字候補切り出し手段8で切出した文字候補を212とする。
【0113】
これに対し、文字並びールを仮に図中213、214、215の3種類とする。それぞれ、ルール213は、文字候補216を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は219となる。ルール214は、文字候補217を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は21aとなる。ルール215は、文字候補218を基準とした位置で誤差最小になり、基準マーク推定位置は21bとなる。この例では、文字候補が正しく切り出せているため、各ルールが適切な位置に一致し、結果として219、21a、21bの複数の推定位置が一致する。
【0114】
これは推定が成功した例であるが、図22は、製造情報以外に傷などノイズが存在し、誤推定が発生する例である。図22中、221は製造情報の文字列であるが、222は製造情報であるのに対し、223は傷であるとする。これを文字列候補切り出し手段8で切り出したものが224であるが、真の文字以外の傷も、文字と色が似ていると22eのように切り出される。
【0115】
224の文字候補に対し、図21と同様にルール225、226、227の3種類で誤差最小の位置を求めると、ルール225、ルール226については、正しい位置に一致し、基準マーク推定位置がそれぞれ22b、22cと、一致した位置を推定している。これに対しルール227は、本来、文字候補22fに一致するのが正解であるが、切り出した文字候補22gが4桁の文字並び22eに似ているため、22aを基準とした文字候補並びのほうが誤差が小さくなる場合が発生する。
【0116】
この場合、基準マークの推定位置が22dとなり、これは他の2ルールの推定位置とは一致しない。しかし、前述の基準マーク位置の判定条件より、複数の推定位置が同一位置であった場合には、その位置をマーク位置として採用するため、この際のマーク位置の判定は22b、22cの位置が優先されるとする。
【0117】
また、以上の説明では、複数推定位置が「同一位置になったとき」としたが、文字切り出し処理などの過程で、文字の幅、中心位置などに誤差が発生する場合があるため、ルールに正しく一致しても、推定位置に誤差が発生する場合がある。
【0118】
このため、同一位置として判定する際に、誤差を考慮した幅を設け、例えば一文字分くらい推定位置に誤差が発生する場合も、同一位置と判定するなどの運用も考えられる。また、その場合には、複数の推定位置のいずれかを採用するのではなく、平均値をとるなどの運用もある。また、ルールごとに優先度の重み付けをしている場合には、重みを考慮した加重平均を取るなどの運用も考えられる。
【0119】
また、文字候補切り出し手段8で、二値化により文字候補を切り出すときに、複数の閾値により二値化して文字候補を切り出し、それぞれの閾値による切り出し結果からマーク位置推定手段9で推定を行い、基準マーク推定位置候補を求めることもできる。
【0120】
この場合、マーク位置推定手段9では、「ルール種類数×閾値数」種類の基準マーク位置候補が求まる可能性があるが、これらの複数候補位置から、マーク位置決定手段10で、一箇所の基準マーク位置を決定する。このように、閾値を変えて文字列候補を切り出すことで、文字列が画像上で薄いような場合にも、低い閾値による二値化で文字列候補として切り出せたり、またノイズが多い場合に、高い閾値でノイズを切り出さないようにするなどの効果がある。一方でノイズも多く切り出す可能性も増えるが、図22に示すように、複数のルールによる推定結果を優先することで、単独のノイズによる誤推定は除去できる。
【0121】
このように、ノイズによる誤推定が懸念されるようなケースでは、できるだけ多くのルールを用いることで、間違った位置の推定結果を、最終的なマーク位置として採用する誤推定を防ぐ効果がある。
【0122】
以上、第二の実施例では、照明条件が悪い、また汚れなどのノイズがある等で、基準マーク自体の形状を基準マーク検出手段で検出できない場合も、製造情報の文字並び間隔ルールにより推定することで、基準マーク位置を推定し、特徴量の照合をすることができる。
【実施例3】
【0123】
次に、車両検査装置の第三の実施例について説明する。第3の実施例は、車輪側面を画像処理するに適した処理、あるいは表示の手法を提供するものであり、図23ないし図26を用いて詳細に説明する。この実施例では、走行してくる車輪側面を複数の撮影装置で順次分割して撮影し、車輪の分割画像からそれぞれ特徴量を検出し、また分割された画像から一箇所の基準マーク位置を検出して、車輪側面の全周について特徴量位置を特定する実施例である。
【0124】
図23は、車両検査装置の第3の実施形態を示すブロック図である。第2の実施例と比較して新規の構成は、画像撮影手段11と、画像間位置照合手段12である。
【0125】
主に新規の構成につき説明する。画像撮影手段11は、232に示す線路脇に設置し、走行してくる車輪231の側面を撮影する手段である。画像撮影手段11は、複数のカメラ233〜236から構成される。画像撮影手段11による画像の撮影は、例えば、各カメラ233〜236毎に、線路側に向けて設置した車輪検知手段(図示せず)からの車輪検知信号に基づき実行される。
【0126】
撮影した画像の例を図24に示す。鉄道車両に装備された車輪は、上部が台車部分に隠れて見えないため、円周の一部が撮影されることになる。また、画像中での車輪の位置は、画面中心で線路に接する位置で画像が撮影できるよう、車両検知手段の位置を調整する。
【0127】
画像撮影手段11を構成するカメラ233〜236は、回転してくる車輪の全周がいずれかのカメラで撮影できるよう、車輪の弧の長さを考慮した間隔で設置する。例えば、この実施例のように4台のカメラで分割して撮影する場合は、車輪の4分の1周分の弧の長さの間隔でカメラを設置する、等である。
【0128】
第3の実施例の構成の、画像入力手段1、特徴量検出手段2、車輪中心検出手段3、基準マーク検出手段4、文字候補切り出し手段8、マーク位置推定手段9については、第一の実施例、第二の実施例の記載と同様に行う。第一の実施例と、第二の実施例と異なるところは、車輪を分割して撮影するので、必ずしもマークが画像中に存在するとは限らない点である。このため、基準マーク検出手段4、マーク位置推定手段9では、それぞれの画像中で、最も基準マークらしい位置を検出、および推定する処理となる。
【0129】
また、画像間位置照合手段12では、同一の車輪を分割して撮影した複数画像のうち、隣り合う画像同志の対応する位置を求めて、画像を連結する手段である。本手段の目的は、画像が分割しているため、マーク位置推定手段9や、特徴量照合手段7で、位置関係を算出する二点が別画像に分かれている場合に、適切に位置関係を算出できるようにするためである。
【0130】
本手段は、車輪の径が一定であれば、いつも一定の位置を対応点とする処理となる。例えば、複数カメラの設置間隔を、径の長さがLの車輪が90°回転するに相当する弧の間隔で設置した場合には、隣接した画像の中心点同志の間隔は、ちょうど90°分になると考えられるので、画像の中心点の間の角度が90°になるように対応点を求めればよい。仮に車輪の磨耗などで車輪径が短くなっている場合には、摩耗後の車輪径をαとおくと、画像の中心点の間の角度θは、下記の計算式(1)で求められる。
【0131】
θ = 90°×(L/α) ‥ (1)
摩耗等により車輪径が変化する場合には、エッジ検出等で画像中の車輪の弧を求め、車輪の中心と弧の距離を画像上で求めることで、径の長さαを求め、画像の中心点同志の間隔を数1より求める。
【0132】
以上の方法で、画像間の対応点を求める。図25に、画像間位置照合手段12の処理前の分割撮影した車輪画像の例と、照合後、対応点を重ねて連結した車輪画像の例を示す。図中251、253、255、257はそれぞれ図23のカメラ233〜236で分割撮影された車輪画像であり、252、254、256、258はそれぞれ画像中251、252、253、254の画面の中心点である。25dが、画像間の位置を照合し、連結した車輪画像の例であるが、隣接する画像の中心点252と254の間の間隔259、および、254と256の間隔25a、および、256と258の間隔25b、258と252の間隔25cが、それぞれ数1式(1)で算出した角度θになるようにする。
【0133】
同様に、極座標変換後の分割画像も、上記の考え方で照合することができる。図26は、極座標変換後の分割画像を、照合後、連結する処理を示す図である。同図(a)(b)は、極座標変換後の隣接した分割画像261、262を表しており、同図(c)に、照合後の連結した画像265を表す。この図から明らかなように、変換前の場合と同様、画面の中心263と、264の間隔266が、角度θになるよう画像間の位置を照合する。この図(c)の例では、267が画像間の重複部分となる。例えば、画像上の268のx座標の位置が、画像261上では‘1000’、画像262上では‘0‘であるとすると、画像261上でx座標’xx’である位置は、画像262上ではx座標’xx-1000’として求められることになる。
【0134】
マーク位置推定手段9で、仮に、推定したマーク位置が同一画像中に入っていない場合は、隣接画像中の位置を換算して、隣接画像中での推定位置を求めるとする。
【0135】
以上が画像間位置照合手段12の処理の説明である。
【0136】
第三の実施例でのマーク位置決定手段10が第二の実施例と異なる点は、複数の分割画像のそれぞれにおいて基準マーク検出手段4で検出されたマーク位置候補と、マーク位置推定手段9で推定した複数のマーク位置候補とから、一箇所のマーク位置を決定する点である。マーク位置候補の数は多くなる可能性はあるが、判定方法は第二の実施例と同様の方法で、一箇所を決定する。
【0137】
特徴量照合手段7も、同様に、画像間位置を照合したあとの画像で、マーク位置と特徴量の位置関係で特徴量の位置を照合する。
【0138】
以上が、車両検査装置の第三の実施例である。鉄道車両の車輪は、車体に取り付けられた状態であると、多くの場合は台車の影に一部は隠れてしまうため、全面を1画像で撮影することは難しい。そのため、車輪を車体から取り外さず、且つ走行中に車輪を分割して撮影し、特徴量検出できる本実施例は検査コストを大幅に低減する効果がある。
【実施例4】
【0139】
次に、車両検査装置の第四の実施例を説明する。第四の実施例は、来歴管理のために工夫された構成であり、図27乃至図29を用いて説明する。図27は、車両検査装置の第四の実施例を示すブロック図であり、第三の実施例に特徴量来歴表示手段13を加えた構成である。
【0140】
新規の構成である特徴量来歴表示手段13について説明する。特徴量来歴表示手段13では、特徴量来歴格納手段6に格納した特徴量の来歴を表示する。図11に示す特徴量来歴格納手段6のデータから、車輪ID、特徴量IDを選択することで、一意に特徴量を特定できるので、車輪ID、特徴量IDをユーザに選択させることで、同一の特徴量の異なったタイミングで撮影した画像を画像データベースから選択し、表示する。
【0141】
図28に示すのは、特徴量来歴表示手段13で表示する車輪を選択するための入力画面の例である。281に示すリストに、編成IDのリストを表示し、ユーザがリスト中から任意の編成IDを選択し、283の「選択」ボタンを押下すると、ユーザが選択した編成IDをキーに、編成・車輪対応格納手段5から、編成に取り付けられている車輪IDを、配列毎に取得する。
【0142】
さらに、取得した車輪IDで、特徴量来歴格納手段6から、該当する車輪の最新の特徴量数を検索する。以上のように取得した車輪毎の配列と特徴量数リストを、284にリスト表示する。ユーザはこのリストから特徴量来歴を表示したい車輪を選択し、「表示」ボタン286を押下する。選択された車輪の来歴の表示例を図29に示す。
【0143】
図29中のウインドウ291および292に、選択された「車輪1」の、異なる日付で撮影した画像を表示する。この際、画像中の車輪の向きは、基準マーク294、295の位置を合わせて表示することで、異なるタイミングで撮影した画像同志の位置を合わせて比較しやすくできる。また、例えば293に示すようなリストで、ユーザに特徴量選択させることで、表示したい特徴量を前面に296、297のように表示させるなどの実施形態も取れる。また、298、299のように、特徴量の大きさを表示し、29aと29bのように選択した特徴量の拡大画像を表示するなどの実施例も取れる。
【0144】
以上、特徴量来歴表示手段13の実施例を示したが、本発明により、照合できた同一車輪の特徴量を比較表示するのが目的であり、上記の実施形態に限るものでない。
【0145】
また、来歴を表示する車輪の選択方法であるが、特徴量の大きさでフィルターをかけ、一定大きさ以上の特徴量のある車輪をリスト表示させるなどの実施形態をとることもできる。
【0146】
以上のように、第四の実施例により、特徴量の成長度合いなどを画像上で比較して見る事ができる。従来の、停止した車両の検査では、台車により隠れる部分があり車輪を取り外すことなしに車輪の全周の検査は実施できなかったが、車輪の全周を撮影し、また基準位置を合わせて来歴比較できる効果がある。
【実施例5】
【0147】
次に、車両検査装置の第五の実施例を説明する。第五の実施例もまた、来歴管理を有効に行うための工夫であり、列車編成の運行管理情報と関連付けて特徴量の管理を行う。図30は、車両検査装置の第五の実施例を示すブロック図であり、第三の実施例に編成運行情報格納手段14と、統計情報算出表示手段15を加えた構成である。
【0148】
新規の構成につき説明する。編成運行情報格納手段14は、編成毎の、日付毎の走行距離や、走行区間などの情報を格納した格納手段である。
【0149】
また、統計情報算出表示手段は、編成運行情報格納手段14と、編成・車輪対応格納手段5と、特徴量来歴格納手段6から、任意の複数車輪の、走行条件と、特徴量発生状況のデータを取得し、グラフ上に散布図を描き、また、相関値を求めるなど統計情報を算出し、表示する手段である。
【0150】
走行情報は、編成運行情報格納手段14に編成毎に格納されているが、編成・車輪対応格納手段5で、車輪が編成に取り付けられた期間「開始日」、「終了日」が格納されているので、該当する期間の編成運行情報を車輪に引き継ぐことで取得できる。
【0151】
グラフ表示の例としては、「走行距離」と「特徴量の大きさ」を二軸にとりプロットする、また、ある走行区間を運行した車輪のデータのみを抽出し、「走行距離」と「特徴量の大きさ」をプロットして区間による特徴量発生の傾向を見ることもできる。また、編成中での車輪の位置に注目し、配列の位置毎に走行距離と特徴量の大きさの関係を分析することもできる。
【0152】
このように、第5の実施例により、車輪個別でなく、走行距離、走行区間などによる特徴量の成長等の傾向を見、相関を求めることができ、その結果に基づいて、編成の運行計画や、予防保全計画に役立てることができる。
【0153】
以上が本発明による車両検査装置の第5の実施例である。
尚、本発明では基準マークを自動的に検出して、異なる日付で検出された特徴量の照合をすることがポイントであるが、仮にノイズ等の影響でマークが全く検出できなかった場合には、ユーザにより位置を画像上から座標を選択することで選択入力させ、その位置を基準マーク位置として特徴量位置を照合する実施形態も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明によれば、車輪側面の車両検査が可能となる。
【符号の説明】
【0155】
1:画像入力手段
2:特徴量検出手段
3:車輪中心検出手段
4:基準マーク検出手段
5:編成・車輪対応格納手段
6:特徴量来歴格納手段
7:特徴量照合手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車輪側面を撮影した画像を処理して、特徴量の位置を検出する車両検査装置において、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、前記の車輪中心の座標と前記基準マークの座標を基準として決定された前記特徴量の位置を記憶する特徴量格納手段とを備えることを特徴とする車両検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、基準マークについてのテンプレートを保持しており前記入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両検査装置において、
前記基準マークについてのテンプレートは、車輪の回転に応じて回転させた複数のテンプレートとして保持され、複数のテンプレートごとに前記入力した画像から、テンプレートマッチングで、相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、1種類のテンプレートによりマッチング検出して相関値が高い基準マーク候補領域を複数選出し、撮影条件の異なる複数のテンプレートにより選出した基準マーク候補領域をマッチングして、相関値の最も高い位置を基準マーク位置とすることを特徴とする車両検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、前記入力した画像から、文字候補を切り出す文字候補切り出し手段と、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納する文字並び間隔ルール格納手段と、該文字並び間隔ルール格納手段に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、前記文字列候補切り出し手段で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークの位置を推定するマーク位置推定手段を備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段の文字候補切り出し手段は、複数の異なる閾値を用いて切り出した文字列候補それぞれについて、前記マーク位置推定手段でマーク位置を推定し、基準マーク位置とすることを特徴とした車両検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、基準マークについてのテンプレートを保持しており前記入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出する基準マークマッチング手段と、前記入力した画像から、文字候補を切り出す文字候補切り出し手段と、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納する文字並び間隔ルール格納手段と、該文字並び間隔ルール格納手段に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、前記文字列候補切り出し手段で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出するマーク位置推定手段と、前記基準マークマッチング手段と前記マーク位置推定手段で求めたマーク位置候補から最終的にマーク位置を決定するマーク位置決定手段を備えることを特徴とする車両検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記マーク位置決定手段は、前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補の相関値が十分高い場合、前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補より優先して基準マーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項9】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記マーク位置決定手段は、前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補、および前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、同一の位置を検出、もしくは推定した件数が多い位置を優先して基準マーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項10】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記文字並び間隔ルール格納手段に格納する複数の異なるルールについて重み付けをして、重み付に基づき、前記マーク位置決定手段で複数の基準マーク位置候補から基準マーク位置を決定する際に優先度を決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項11】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補、および前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、前記マーク位置決定手段は、近傍に複数推定位置が存在する場合に、複数推定位置の平均、もしくは、複数ルールの重み付けをしている場合には、加重平均をとって算出した位置をマーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項12】
鉄道車両の車輪側面を撮影した画像を処理して、特徴量の来歴を記録する車両検査装置において、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、鉄道車両を撮影するときに撮影車輪を識別する車輪識別情報の対応を格納する編成・車輪対応格納手段と、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を前記車輪識別情報に対応づけて記憶する特徴量来歴格納手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から得られた特徴量について、同じ車輪識別情報を有する車輪の情報を前記の特徴量来歴格納手段から求め、特徴量位置情報から同一と考えられる特徴量があった場合は、同一特徴量を示す識別情報を付与して特徴量来歴格納手段に追記する特徴量照合手段とを備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両検査装置において、
異なる日付に撮影した同じ車輪の画像を同じ特徴量が画像比較できるよう並べて表示する特徴量来歴表示手段を供えたことを特徴とする車両検査装置。
【請求項14】
請求項12に記載の車両検査装置において、
編成運行情報格納手段と、統計情報算出表示手段を備え、車輪の走行に関する情報と、特徴量に関する情報の関係を対比して表示することを特徴とする車両検査装置。
【請求項15】
請求項12に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段、および前記マーク位置決定手段で、基準マークが検出できない場合に、画像上の基準マークの位置を入力する基準マーク位置入力手段を備え、入力された基準マーク位置に基づき、特徴量位置を照合し特徴量来歴格納手段に格納することを特徴とする車両検査装置。
【請求項16】
鉄道車両の車輪側面を近接する複数個所で撮影した複数画像から車輪1周分の連続画像を入手し、特徴量を検出する車両検査装置において、
前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、隣接する位置で撮影された画像について対応する位置を求めて連結する画像間位置照合手段を備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項17】
請求16に記載の車両検査装置において、
前記画像間位置照合手段は、画像上の車輪の中心と、車輪の弧を検出することで車輪の摩耗量を求め、隣り合う画像同士の対応点を算出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項18】
請求16に記載の車両検査装置において、
検出した車輪中心を基準とし極座標変換した画像から車輪上の特徴量を検出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項1】
鉄道車両の車輪側面を撮影した画像を処理して、特徴量の位置を検出する車両検査装置において、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、前記の車輪中心の座標と前記基準マークの座標を基準として決定された前記特徴量の位置を記憶する特徴量格納手段とを備えることを特徴とする車両検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、基準マークについてのテンプレートを保持しており前記入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両検査装置において、
前記基準マークについてのテンプレートは、車輪の回転に応じて回転させた複数のテンプレートとして保持され、複数のテンプレートごとに前記入力した画像から、テンプレートマッチングで、相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、1種類のテンプレートによりマッチング検出して相関値が高い基準マーク候補領域を複数選出し、撮影条件の異なる複数のテンプレートにより選出した基準マーク候補領域をマッチングして、相関値の最も高い位置を基準マーク位置とすることを特徴とする車両検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、前記入力した画像から、文字候補を切り出す文字候補切り出し手段と、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納する文字並び間隔ルール格納手段と、該文字並び間隔ルール格納手段に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、前記文字列候補切り出し手段で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出し、基準マークの位置を推定するマーク位置推定手段を備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段の文字候補切り出し手段は、複数の異なる閾値を用いて切り出した文字列候補それぞれについて、前記マーク位置推定手段でマーク位置を推定し、基準マーク位置とすることを特徴とした車両検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段は、基準マークについてのテンプレートを保持しており前記入力した画像からテンプレートマッチングで相関値が高い領域を検出し、基準マークを検出する基準マークマッチング手段と、前記入力した画像から、文字候補を切り出す文字候補切り出し手段と、車輪上に存在する複数の文字列の文字間の間隔をルールとして格納する文字並び間隔ルール格納手段と、該文字並び間隔ルール格納手段に格納した文字列の並び間隔のルールを用い、前記文字列候補切り出し手段で切り出した文字列候補のうちから、ルールと一致する文字列候補を検出するマーク位置推定手段と、前記基準マークマッチング手段と前記マーク位置推定手段で求めたマーク位置候補から最終的にマーク位置を決定するマーク位置決定手段を備えることを特徴とする車両検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記マーク位置決定手段は、前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補の相関値が十分高い場合、前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補より優先して基準マーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項9】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記マーク位置決定手段は、前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補、および前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、同一の位置を検出、もしくは推定した件数が多い位置を優先して基準マーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項10】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記文字並び間隔ルール格納手段に格納する複数の異なるルールについて重み付けをして、重み付に基づき、前記マーク位置決定手段で複数の基準マーク位置候補から基準マーク位置を決定する際に優先度を決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項11】
請求項7に記載の車両検査装置において、
前記基準マークマッチング手段で検出した基準マーク位置候補、および前記マーク位置決定手段で推定した基準マーク位置候補が複数存在する場合、前記マーク位置決定手段は、近傍に複数推定位置が存在する場合に、複数推定位置の平均、もしくは、複数ルールの重み付けをしている場合には、加重平均をとって算出した位置をマーク位置として決定することを特徴とする車両検査装置。
【請求項12】
鉄道車両の車輪側面を撮影した画像を処理して、特徴量の来歴を記録する車両検査装置において、
入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、鉄道車両を撮影するときに撮影車輪を識別する車輪識別情報の対応を格納する編成・車輪対応格納手段と、車輪中心の座標と基準マークの座標を基準として決定された特徴量の位置を前記車輪識別情報に対応づけて記憶する特徴量来歴格納手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の画像から得られた特徴量について、同じ車輪識別情報を有する車輪の情報を前記の特徴量来歴格納手段から求め、特徴量位置情報から同一と考えられる特徴量があった場合は、同一特徴量を示す識別情報を付与して特徴量来歴格納手段に追記する特徴量照合手段とを備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両検査装置において、
異なる日付に撮影した同じ車輪の画像を同じ特徴量が画像比較できるよう並べて表示する特徴量来歴表示手段を供えたことを特徴とする車両検査装置。
【請求項14】
請求項12に記載の車両検査装置において、
編成運行情報格納手段と、統計情報算出表示手段を備え、車輪の走行に関する情報と、特徴量に関する情報の関係を対比して表示することを特徴とする車両検査装置。
【請求項15】
請求項12に記載の車両検査装置において、
前記基準マーク検出手段、および前記マーク位置決定手段で、基準マークが検出できない場合に、画像上の基準マークの位置を入力する基準マーク位置入力手段を備え、入力された基準マーク位置に基づき、特徴量位置を照合し特徴量来歴格納手段に格納することを特徴とする車両検査装置。
【請求項16】
鉄道車両の車輪側面を近接する複数個所で撮影した複数画像から車輪1周分の連続画像を入手し、特徴量を検出する車両検査装置において、
前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪上の特徴量を検出する特徴量検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について車輪中心の座標を検出する車輪中心検出手段と、前記入力した鉄道車両車輪側面の複数画像について基準マークを検出してその座標を決定する基準マーク検出手段と、隣接する位置で撮影された画像について対応する位置を求めて連結する画像間位置照合手段を備えることを特徴とした車両検査装置。
【請求項17】
請求16に記載の車両検査装置において、
前記画像間位置照合手段は、画像上の車輪の中心と、車輪の弧を検出することで車輪の摩耗量を求め、隣り合う画像同士の対応点を算出することを特徴とする車両検査装置。
【請求項18】
請求16に記載の車両検査装置において、
検出した車輪中心を基準とし極座標変換した画像から車輪上の特徴量を検出することを特徴とする車両検査装置。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図26(c)】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図26(c)】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−53058(P2011−53058A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201638(P2009−201638)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]