説明

車両用ナビゲーションシステム、車両用ナビゲーション方法、及び車載ナビゲーション装置

【課題】 事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知することができる車両用ナビゲーションシステム等を提供する。
【解決手段】 車両用ナビゲーションシステムは、車両の走行データに基づいて、交差点毎の右左折コストを右左折コスト算出部23によって算出し、算出された交差点毎の右左折コストと交差点毎の交通情報データとに基づいて、注意領域及び注意状況判定部24によって注意領域及び注意状況を判定し、判定された注意領域及び注意状況に関する情報からなる注意領域及び注意状況データと現在の自車両の走行状況とに基づいて、報知情報作成部17によって注意報知情報を作成して運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に対して事故予測情報を提供する車両用ナビゲーションシステム、車両用ナビゲーション方法、及び車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、過去に発生した事故の状況に基づいて運転者に対して事故予測情報を提供する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、特許文献1には、過去に発生した事故発生位置と発生状況のデータとを用いて、自車両が過去の事故位置に接近し、自車両の走行状況が過去の事故発生状況と類似していると判定された場合に、過去の事故発生状況の情報を加えた警告メッセージを出力する車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−14474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1に記載された従来の技術においては、自車両の走行状況が過去の事故発生状況と類似したときにのみ情報提供を行う。したがって、事故が発生していない位置や状況の場合には、運転者が自車両を運転する上で確認しなければならない情報を見落としてしまうことを防止することができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知させることができる車両用ナビゲーションシステム、車両用ナビゲーション方法、及び車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両の走行データに基づいて算出された交差点毎の右左折コストと、交差点毎の交通情報データとに基づいて、注意領域及び注意状況を判定し、当該注意領域及び注意状況に関する情報と現在の自車両の走行状況とに基づいて、注意報知情報を運転者に報知することによって、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の走行データに基づいて算出された右左折コストに基づいて求められた注意領域及び注意状況データを用いて注意報知情報を報知するので、事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態としての車両用ナビゲーションシステムについて具体的に説明する。
【0008】
[第1実施形態]
[車両用ナビゲーションシステムの構成]
本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムは、図1に示すように、自車両内に搭載される車載ナビゲーション装置1と、この車載ナビゲーション装置1に対して情報を配信する情報センタ2とを備える。
【0009】
車載ナビゲーション装置1は、自車両の走行データを収集する走行データ収集部11と、この走行データ収集部11によって収集された走行データを蓄積する走行データ蓄積部12と、この走行データ蓄積部12に蓄積された走行データに基づいて送信データを作成する送信データ作成部13と、情報センタ2との間でデータの授受を行う通信部14と、地図データを格納する地図データ格納部15と、運転者に報知する報知情報を作成する報知情報作成部17と、自車両の走行状況を判定する走行状況判定部18と、報知情報作成部17によって作成された報知情報を運転者に報知する報知部19とを有する。
【0010】
走行データ収集部11は、自車両の車輪回転数等に基づいて走行データを収集する。走行データ収集部11は、収集した走行データを走行データ蓄積部12に蓄積する。
【0011】
走行データ蓄積部12は、例えばハードディスク等からなり、走行データ収集部11から供給された走行データを蓄積する。この走行データ蓄積部12に蓄積された走行データは、走行データ作成部13によって読み出される。
【0012】
送信データ作成部13は、走行データ蓄積部12に蓄積された走行データを、情報センタ2に対して送信可能な送信データに変換する。送信データ作成部13は、作成した送信データを通信部14に供給する。
【0013】
通信部14は、自車両が収集した走行データをプローブデータとして情報センタ2に蓄積させるために、送信データ作成部13から供給された送信データを情報センタ2に送信する。また、通信部14は、情報センタ2から送信されてきた注意領域及び注意状況データを受信し、地図データ格納部15に格納する。
【0014】
地図データ格納部15は、例えばハードディスク等からなり、自車両のナビゲーションを行う際に用いる地図データを格納する。また、地図データ格納部15は、地図データとともに、注意領域及び注意状況データ16が格納されている。注意領域及び注意状況データ16には、過去に事故等が発生して注意領域とされた場所、その注意状況、運転者に報知すべき情報が含まれる。なお、注意領域の種別については、後述するものとする。この地図データ格納部15に格納された地図データや注意領域及び注意状況データ16は、報知情報作成部17によって読み出される。
【0015】
報知情報作成部17は、地図データ格納部15に格納されている注意領域及び注意状況データ16と、走行状況判定部18によって判定された現在の自車両の走行状況とに基づいて、運転者に報知する報知情報を作成する。なお、注意領域の種別に応じた報知内容については、後述するものとする。報知情報作成部17は、作成した報知情報を報知部19に供給する。
【0016】
走行状況判定部18は、走行データ収集部11によって収集された走行データや地図データ格納部15に格納されているデータに基づいて、現在の自車両の走行状況を判定する。走行状況判定部18は、判定した走行状況を示す情報を報知情報作成部17に供給する。
【0017】
報知部19は、例えばディスプレイやスピーカ等、運転者に情報を報知する装置からなり、報知情報作成部17によって作成された報知情報を運転者に報知する。
【0018】
このような車載ナビゲーション装置1は、通信部14を介して情報センタ2から受信した注意領域及び注意状況データや地図データ格納部15に格納されている注意領域及び注意状況データ16と、走行状況判定部18によって判定された現在の自車両の走行状況とに基づいて、報知情報作成部17によって注意報知情報を作成し、報知部19を介して運転者に報知する。
【0019】
一方、情報センタ2は、車載ナビゲーション装置1との間でデータの授受を行う通信部21と、プローブデータを蓄積するプローブデータ蓄積部22と、右左折に要する時間(右左折コスト)を算出する右左折コスト算出部23と、注意領域や注意状況を判定する注意領域及び注意状況判定部24と、交通情報データを蓄積する交通情報データ蓄積部25とを有する。
【0020】
通信部21は、車載ナビゲーション装置1から送信されてきた送信データを受信し、これをプローブデータとしてプローブデータ蓄積部22に蓄積する。また、通信部21は、注意領域及び注意状況判定部24によって判定された注意領域及び注意状況に関する情報を、注意領域及び注意状況データとして車載ナビゲーション装置1に送信する。
【0021】
プローブデータ蓄積部22は、例えばハードディスク等からなり、通信部21を介して受信したプローブデータを蓄積する。このプローブデータ蓄積部22に蓄積されたプローブデータは、右左折コスト算出部23によって読み出される。
【0022】
右左折コスト算出部23は、プローブデータ蓄積部22に蓄積されているプローブデータに基づいて、交差点毎の右左折に要する時間、すなわち、右左折コストを算出する。例えば、右左折コスト算出部23は、プローブデータが示す時刻や地点の点列情報に基づいて右左折コストを算出する。右左折コスト算出部23は、算出した右左折コスト情報を注意領域及び注意状況判定部24に供給する。
【0023】
注意領域及び注意状況判定部24は、右左折コスト算出部23によって算出された右左折コストや交通情報データ蓄積部25に蓄積されている交通情報データ、さらには、車両毎のブレーキや操舵角の情報等に基づいて、注意領域及び注意状況を判定する。注意領域及び注意状況判定部24は、判定した注意領域及び注意状況を示す情報を、通信部21に供給する。
【0024】
交通情報データ蓄積部25は、例えばハードディスク等からなり、VICS(Vehicle Information and Communication System)センタ等、外部の交通情報センタ3から受信した道路の渋滞度等の交通情報データを蓄積する。この交通情報データ蓄積部25に蓄積された交通情報データは、注意領域及び注意状況判定部24によって読み出される。
【0025】
このような情報センタ2は、車載ナビゲーション装置1から走行データをプローブデータとして収集してプローブデータ蓄積部22に蓄積し、このプローブデータに基づいて、右左折コスト算出部23によって右左折コストを算出する。また、情報センタ2は、右左折コスト算出部23によって算出された右左折コストや、交通情報データ蓄積部25に蓄積されている交通情報データ等に基づいて、注意領域及び注意状況判定部24によって注意領域及び注意状況であるか否かを判定し、注意領域及び注意状況を推定する。
【0026】
[車両用ナビゲーションシステムの動作]
このような車載ナビゲーション装置1と情報センタ2とを備える車両用ナビゲーションシステムにおいて、情報センタ2は、図2に示すような一連の手順にしたがって、左折に要する時間(左折コスト)に基づく注意領域及び注意状況の判定を行う。
【0027】
まず、右左折コスト算出部23は、図2に示すように、ステップS1において、プローブデータ蓄積部22に蓄積されているプローブデータに基づいて、左折コストを算出する。
【0028】
続いて、注意領域及び注意状況判定部24は、ステップS2において、右左折コスト算出部23によって算出された左折コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、ここでの閾値は、交差点毎に、信号の有無、道路種別、及び車線構成等に応じて定められる可変値とする。
【0029】
ここで、注意領域及び注意状況判定部24は、左折コストが閾値未満であった場合には、ステップS6へと処理を移行し、当該交差点を左折する際に注意の必要はないものと推定し、一連の処理を終了する。
【0030】
一方、注意領域及び注意状況判定部24は、左折コストが閾値以上であった場合には、ステップS3において、交通情報データ蓄積部25に蓄積された交通情報データに基づいて、当該交差点の曲がり先の道路(リンク)に渋滞が発生しているか否かを判定する。
【0031】
そして、注意領域及び注意状況判定部24は、曲がり先の道路(リンク)に渋滞が発生しておらず順調に交通が流れている場合には、ステップS4において、当該交差点は歩行者に注意する必要がある注意領域であるものと推定し、一連の処理を終了する。
【0032】
また、注意領域及び注意状況判定部24は、曲がり先の道路(リンク)に渋滞が発生している場合には、ステップS5において、当該交差点は曲がり先に存在する車両に注意する必要がある注意領域であるものと推定し、一連の処理を終了する。
【0033】
情報センタ2は、このような一連の手順にしたがって、左折コストに基づいて、注意領域及び注意状況を判定することができる。
【0034】
また、情報センタ2は、図3に示すような一連の手順にしたがって、右折に要する時間(右折コスト)に基づく注意領域及び注意状況の判定を行う。
【0035】
まず、右左折コスト算出部23は、図3に示すように、ステップS11において、プローブデータ蓄積部22に蓄積されているプローブデータに基づいて、右折コストを算出する。
【0036】
続いて、注意領域及び注意状況判定部24は、ステップS12において、右左折コスト算出部23によって算出された右折コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、ここでの閾値も、左折コストの閾値と同様に、交差点毎に、信号の有無、道路種別、及び車線構成等に応じて定められる可変値とする。
【0037】
ここで、注意領域及び注意状況判定部24は、右折コストが閾値未満であった場合には、ステップS17へと処理を移行し、当該交差点を右折する際に注意の必要はないものと推定し、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、注意領域及び注意状況判定部24は、右折コストが閾値以上であった場合には、ステップS13において、交通情報データ蓄積部25に蓄積された交通情報データに基づいて、当該交差点の曲がり先の道路(リンク)に渋滞が発生しているか否かを判定する。
【0039】
そして、注意領域及び注意状況判定部24は、曲がり先のリンクに渋滞が発生している場合には、ステップS16において、当該交差点は曲がり先に存在する車両に注意する必要がある注意領域であるものと推定し、一連の処理を終了する。
【0040】
また、注意領域及び注意状況判定部24は、曲がり先の道路(リンク)に渋滞が発生しておらず順調に交通が流れている場合には、ステップS14において、交通情報データ蓄積部25に蓄積された交通情報データに基づいて、対向車線の道路(リンク)に渋滞が発生しているか否かを判定する。
【0041】
注意領域及び注意状況判定部24は、対向車線の道路(リンク)に渋滞が発生しておらず順調に交通が流れている場合には、ステップS15において、当該交差点は歩行者に注意する必要がある注意領域であるものと推定し、一連の処理を終了する。
【0042】
また、注意領域及び注意状況判定部24は、対向車線の道路(リンク)に渋滞が発生している場合には、ステップS16において、当該交差点は対向車線に存在する車両に注意する必要がある注意領域であるものと推定し、一連の処理を終了する。
【0043】
情報センタ2は、このような一連の手順にしたがって、右折コストに基づいて、注意領域及び注意状況を判定することができる。
【0044】
車両用ナビゲーションシステムにおいては、このようにして情報センタ2によって判定された注意領域及び注意状況に関する情報が、車載ナビゲーション装置1に送信され、注意領域及び注意状況データ16として地図データ格納部15に格納される。そして、車載ナビゲーション装置1は、注意領域及び注意状況データ16と、走行状況判定部18によって判定された現在の自車両の走行状況とに基づいて、報知情報作成部17によって運転者に報知する報知情報を作成する。
【0045】
具体的には、報知情報作成部17は、左折時には、図4に示すような規則にしたがって注意報知情報を作成する。
【0046】
すなわち、報知情報作成部17は、左折コストが小さい場合には、自車両が円滑に左折することができるため、注意報知情報を作成しない。
【0047】
また、報知情報作成部17は、左折コストが大きく且つ曲がり先のリンクに渋滞が発生しておらず順調に交通が流れている場合には、歩行者が多いことが推定されるため、歩行者への注意を喚起する注意報知情報を作成する。そして、報知部19は、例えば図5に示すように自車両100が交差点110にさしかかる時に、歩行者への注意喚起を促す文字情報103を、ディスプレイ画面101の自車102付近に表示したり、スピーカによる音声104の出力等によって報知する。なお、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、注意報知情報を報知する。
【0048】
さらに、報知情報作成部17は、左折コストが大きく且つ曲がり先のリンクに渋滞が発生している場合には、曲がり先に車両が多いことが推定されるため、左折後の車両への注意を喚起する注意報知情報を作成する。そして、報知部19は、左折後の車両への注意喚起を促す情報を、ディスプレイによる画面表示やスピーカによる音声出力等によって報知する。この場合においても、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、注意報知情報を報知する。
【0049】
一方、報知情報作成部17は、右折時には、図6に示すような規則にしたがって注意報知情報を作成する。
【0050】
すなわち、報知情報作成部17は、右折コストが小さい場合には、自車両が円滑に右折することができるため、注意報知情報を作成しない。
【0051】
また、右折コストが大きく且つ対向車線及び曲がり先のリンクの双方ともに渋滞が発生しておらず順調に交通が流れている場合には、歩行者が多いことが推定される。このため、報知情報作成部17は、歩行者への注意を喚起する注意報知情報を作成する。そして、報知部19は、歩行者への注意喚起を促す情報を、ディスプレイによる画面表示やスピーカによる音声出力等によって報知する。なお、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、係る注意報知情報を報知する。
【0052】
さらに、右折コストが大きく、且つ、対向車線のリンクには渋滞が発生しておらず順調に交通が流れているが曲がり先のリンクには渋滞が発生している場合には、曲がり先に車両が多いことが推定される。このため、報知情報作成部17は、右折後の車両への注意を喚起する注意報知情報を作成する。報知部19は、右折後の車両への注意喚起を促す情報を、ディスプレイによる画面表示やスピーカによる音声出力等によって報知する。この場合においても、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、注意報知情報を報知する。
【0053】
さらにまた、右折コストが大きく、且つ、曲がり先のリンクには渋滞が発生しておらず順調に交通が流れているが対向車線のリンクには渋滞が発生している場合には、対向車線に車両が多いことや歩行者が多いことが推定される。このため、報知情報作成部17は、対向車両及び歩行者への注意を喚起する注意報知情報を作成する。報知部19は、対向車両及び歩行者への注意喚起を促す情報を、ディスプレイによる画面表示やスピーカによる音声出力等によって報知する。この場合においても、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、注意報知情報を報知する。
【0054】
また、右折コストが大きく且つ対向車線及び曲がり先のリンクの双方ともに渋滞が発生している場合には、対向車線及び曲がり先に車両が多いことが推定される。このため、報知情報作成部17は、対向車両及び右折後の車両への注意を喚起する注意報知情報を作成する。そして、報知部19は、対向車両及び右折後の車両への注意喚起を促す情報を、ディスプレイによる画面表示やスピーカによる音声出力等によって報知する。この場合においても、報知部19は、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所において、注意報知情報を報知する。
【0055】
このように、車載ナビゲーション装置1は、現在の自車両の走行状況に応じた適切な注意報知情報を運転者に報知することができる。
【0056】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の第1実施形態として示した車両用ナビゲーションシステムによれば、車両の走行データに基づいて、交差点毎の右左折コストを右左折コスト算出部23によって算出し、算出された交差点毎の右左折コストと交差点毎の交通情報データとに基づいて、注意領域及び注意状況判定部24によって注意領域及び注意状況を判定し、判定された注意領域及び注意状況に関する情報からなる注意領域及び注意状況データと現在の自車両の走行状況とに基づいて、報知情報作成部17によって注意報知情報を作成して運転者に報知する。
【0057】
これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、車両の実際の走行データに基づいて算出された右左折コストに基づいて求められた注意領域及び注意状況データを用いて注意報知情報を報知するので、事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知することができる。そのため、この車両用ナビゲーションシステムによれば、運転者に注意領域や注意状況を的確に把握させて事故の発生を低減させることができる。
【0058】
具体的には、この車両用ナビゲーションシステムによれば、車両内に搭載される車載ナビゲーション装置1に対して情報を配信する情報センタ2が、右左折コスト算出部23及び注意領域及び注意状況判定部24を有し、車載ナビゲーション装置1が、情報センタ2から送信されてきた注意領域及び注意状況データを受信し、受信した注意領域及び注意状況データに基づいて、報知部19を介して運転者に注意報知情報を報知する。
【0059】
これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、情報センタ2によって求められた注意領域及び注意状況データを用いて、車載ナビゲーション装置1が注意報知情報を報知するので、事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知することができる。
【0060】
また、車載ナビゲーション装置1は、自車両の走行データを収集する走行データ収集部11を有し、情報センタ2は、走行データ収集部11によって収集されて車載ナビゲーション装置1から送信されてきた走行データを受信し、これをプローブデータとして蓄積するプローブデータ蓄積部22を有する。そして、情報センタ2は、プローブデータ蓄積部22に蓄積されているプローブデータに基づいて、右左折コスト算出部23によって交差点毎の右左折コストを算出することにより、車両の実際の走行データに基づいて適切に注意領域及び注意状況を判定することができる。
【0061】
さらに、注意領域及び注意状況判定部24は、車両毎のブレーキ及び操舵角の情報を加味して注意領域及び注意状況を判定するのが望ましい。これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、急ブレーキ等により、右左折コストが大きくなくとも注意の必要が大きい場合等であっても、注意領域及び注意状況を高精度で判定することができる。
【0062】
さらにまた、この車両用ナビゲーションシステムによれば、車両内に搭載される車載ナビゲーション装置1が、右左折コスト算出部23によって算出された交差点毎の右左折コストと交差点毎の交通情報データとに基づいて判定された注意領域及び注意状況に関する情報からなる注意領域及び注意状況データを外部又は地図データから取得し、当該注意領域及び注意状況データと現在の自車両の走行状況とに基づいて報知情報作成部17によって注意報知情報を作成し、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所にて運転者に注意報知情報を報知する。
【0063】
これにより、この車両用ナビゲーションシステムによれば、注意領域及び注意状況を適切なタイミングで報知して運転者の注意を喚起することができ、交差点における事故を低減させることができる。
【0064】
[第2実施形態]
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。
【0065】
この第2実施形態は、第1実施形態のように、情報センタを利用したプローブデータシステムを利用するのではなく、車載ナビゲーション装置単体で処理を行うものである。したがって、この第2実施形態においては、第1実施形態にて説明した部位と同一部位については、それぞれ、同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0066】
[車載ナビゲーション装置の構成及び動作]
図7に示すように、本発明の第2実施形態として示す車載ナビゲーション装置1は、上述した走行データ収集部11、走行データ蓄積部12、地図データ格納部15、報知情報作成部17、走行状況判定部18、及び報知部19の他に、外部の交通情報センタ3との間でデータの授受を行う通信部31と、右左折コストを算出する右左折コスト算出部32と、注意領域や注意状況を判定する注意領域及び注意状況判定部33と、交通情報データを蓄積する交通情報データ蓄積部34とを有する。
【0067】
通信部31は、外部の交通情報センタ3から交通情報データを受信する。通信部31は、受信した交通情報データを交通情報データ蓄積部34に蓄積する。
【0068】
右左折コスト算出部32は、走行データ蓄積部12に蓄積されている走行データに基づいて、交差点毎の右左折に要する時間、すなわち、右左折コストを算出する。右左折コスト算出部32は、算出した右左折コスト情報を注意領域及び注意状況判定部33に供給する。
【0069】
注意領域及び注意状況判定部33は、右左折コスト算出部32によって算出された右左折コストや交通情報データ蓄積部34に蓄積されている交通情報データ、さらには、自車両のブレーキや操舵角の情報等に基づいて、注意領域及び注意状況を判定する。注意領域及び注意状況判定部33は、判定した注意領域及び注意状況を示す情報を、注意領域及び注意状況データ16として地図データ格納部15に格納する。
【0070】
交通情報データ蓄積部34は、例えばハードディスク等からなり、通信部31を介して外部の交通情報センタ3から受信した交通情報データを蓄積する。この交通情報データ蓄積部34に蓄積された交通情報データは、注意領域及び注意状況判定部33によって読み出される。
【0071】
このような車載ナビゲーション装置1は、走行データを収集して走行データ蓄積部12に蓄積し、この走行データに基づいて、右左折コスト算出部32によって右左折コストを算出する。また、車載ナビゲーション装置1は、右左折コスト算出部32によって算出された右左折コストや、交通情報データ蓄積部34に蓄積されている交通情報データ等に基づいて、注意領域及び注意状況判定部33によって注意領域及び注意状況であるか否かを判定し、注意領域及び注意状況を推定する。なお、車載ナビゲーション装置1は、先に図2及び図3に示したような一連の手順にしたがって、注意領域及び注意状況を判定すればよい。
【0072】
そして、車載ナビゲーション装置1は、判定した注意領域及び注意状況に関する情報を注意領域及び注意状況データ16として地図データ格納部15に格納し、この注意領域及び注意状況データ16と、走行状況判定部18によって判定された現在の自車両の走行状況とに基づいて、先に図4及び図6に示したような規則にしたがって報知情報作成部17によって注意報知情報を作成し、報知部19を介して、現在の自車両の走行状況に応じた適切な注意報知情報を運転者に報知することができる。
【0073】
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の第2実施形態として示した車載ナビゲーション装置1は、自車両の走行データを収集する走行データ収集部11と、この走行データ収集部11によって収集された走行データを蓄積する走行データ蓄積部12と、この走行データ蓄積部12に蓄積されている走行データに基づいて、交差点毎の右左折コストを算出する右左折コスト算出部32とを備える。
【0074】
これにより、この車載ナビゲーション装置1によれば、外部の情報センタ等との間で通信を行うことなく、自車両の実際の走行データに基づいて算出された右左折コストに基づいて求められた注意領域及び注意状況データを用いて注意報知情報を報知することができ、事故が発生していない位置や状況の場合であっても適切な情報を運転者に報知することができる。そのため、この車載ナビゲーション装置1によれば、運転者に注意領域や注意状況を的確に把握させて事故の発生を低減させることができる。
【0075】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムの構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける情報センタが、左折コストに基づく注意領域及び注意状況の判定を行う際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける情報センタが、右折コストに基づく注意領域及び注意状況の判定を行う際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける車載ナビゲーション装置が、左折時に作成する注意報知情報の内容を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける車載ナビゲーション装置による注意報知情報の報知形態の具体例である。
【図6】本発明の第1実施形態として示す車両用ナビゲーションシステムにおける車載ナビゲーション装置が、右折時に作成する注意報知情報の内容を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態として示す車載ナビゲーション装置の構成について示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
1 車載ナビゲーション装置
2 情報センタ
3 交通情報センタ
11 走行データ収集部
12 走行データ蓄積部
13 送信データ作成部
14,21,31 通信部
15 地図データ格納部
16 注意領域及び注意状況データ
17 報知情報作成部
18 走行状況判定部
19 報知部
22 プローブデータ蓄積部
23,32 右左折コスト算出部
24,33 注意領域及び注意状況判定部
25,34 交通情報データ蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行データに基づいて、交差点毎の右左折コストを算出する右左折コスト算出手段と、
前記右左折コスト算出手段によって算出された交差点毎の右左折コストと交差点毎の交通情報データとに基づいて、注意領域及び注意状況を判定する注意領域及び注意状況判定手段と、
前記注意領域及び注意状況判定手段によって判定された注意領域及び注意状況に関する情報からなる注意領域及び注意状況データと現在の自車両の走行状況とに基づいて、注意報知情報を作成して運転者に報知する報知手段とを備えること
を特徴とする車両用ナビゲーションシステム。
【請求項2】
車両内に搭載される車載ナビゲーション装置と、
前記車載ナビゲーション装置に対して情報を配信する情報センタとを備え、
前記情報センタは、前記右左折コスト算出手段及び注意領域及び注意状況判定手段を有し、
前記車載ナビゲーション装置は、前記情報センタから送信されてきた前記注意領域及び注意状況データを受信し、受信した前記注意領域及び注意状況データに基づいて、前記報知手段を介して運転者に前記注意報知情報を報知すること
を特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記車載ナビゲーション装置は、自車両の走行データを収集する走行データ収集手段を有し、
前記情報センタは、前記走行データ収集手段によって収集されて前記車載ナビゲーション装置から送信されてきた前記走行データを受信し、これをプローブデータとして蓄積するプローブデータ蓄積手段を有し、前記プローブデータ蓄積手段に蓄積されているプローブデータに基づいて、前記右左折コスト算出手段によって交差点毎の右左折コストを算出すること
を特徴とする請求項2に記載の車両用ナビゲーションシステム。
【請求項4】
車両内に搭載される車載ナビゲーション装置を備え、
前記車載ナビゲーション装置は、
前記右左折コスト算出手段と、
自車両の走行データを収集する走行データ収集手段と、
前記走行データ収集手段によって収集された走行データを蓄積する走行データ蓄積手段とを有し、
前記走行データ蓄積手段に蓄積されている前記走行データに基づいて、前記右左折コスト算出手段によって交差点毎の右左折コストを算出すること
を特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記注意領域及び注意状況判定手段は、車両毎のブレーキ及び操舵角の情報を加味して注意領域及び注意状況を判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーションシステム。
【請求項6】
車両の走行データに基づいて算出された交差点毎の右左折コストと、交差点毎の交通情報データとに基づいて、注意領域及び注意状況を判定し、
当該注意領域及び注意状況に関する情報と現在の自車両の走行状況とに基づいて、注意報知情報を運転者に報知すること
を特徴とする車両用ナビゲーション方法。
【請求項7】
車両の走行データに基づいて、交差点毎の右左折コストを算出する右左折コスト算出手段と、
前記右左折コスト算出手段によって算出された交差点毎の右左折コストと交差点毎の交通情報データとに基づいて判定された注意領域及び注意状況に関する情報からなる注意領域及び注意状況データを外部又は地図データから取得し、当該注意領域及び注意状況データと現在の自車両の走行状況とに基づいて注意報知情報を作成し、対象とする交差点に自車両が差し掛かる前であって停止する余裕がある箇所にて運転者に前記注意報知情報を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−236494(P2009−236494A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79111(P2008−79111)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】