説明

車両用ナビゲーション装置盗難防止システム

【課題】車両用ナビゲーション装置の盗難を防止できるシステムを提供する。
【解決手段】ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、車両用ナビゲーション装置とを備える。また、ETC車載器に前記ETCカードが装着されているか否かを判断する装着状態判断手段と、ETC車載器に前記ETCカードが装着されていないと判断された場合車両用ナビゲーション装置の機能を制限する機能制限手段とを備える。車両用ナビゲーション装置のみ盗難されても利用できなくなるため、盗難防止に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ナビゲーション装置盗難防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の盗難が多発しており、これを防止するために様々な装置やシステムが開発されている。例えば下記特許文献1には、車両の盗難を防止するための、移動車両及び駐車場管理システムが開示されている。これは、ID情報が記憶された無線カードと無線通信可能なカードリーダを備え、該カードリーダが読み取ったID情報が正規な場合に車両を動作させるものである。
【特許文献1】特開平9−304099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、車両用ナビゲーション装置の盗難も近年増加している。従来の盗難防止システムは車両の盗難を防止できるものの、車両用ナビゲーション装置の盗難を防止できなかった。そのため、車両用ナビゲーション装置の盗難を防止できるシステムの開発が望まれていた。
【0004】
また、従来の車両盗難防止システムは無線カードやカードリーダなどの設備が必要なため、高価であった。そのため、安価な車両用ナビゲーション装置盗難防止システムが望まれていた。
【0005】
本発明は上述のような事情を背景になされたもので、特に、車両用ナビゲーション装置の盗難を防止できるシステムを提供することを課題とする。また、このようなシステムを安価に提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明は、
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
電子地図上で車両の現在位置を表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されているか否かを判断する装着状態判断手段と、
該装着状態判断手段により前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されていないと判断された場合に、前記車両用ナビゲーション装置の機能を制限する機能制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システムである。
【0007】
上記発明によると、ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器を備えており、これと車両用ナビゲーション装置が接続されている。また、ETC車載器にETCカードが装着されているか否かを車両用ナビゲーション装置側で判断する装着状態判断手段を備える。ETCカードが装着されていない場合には、車両用ナビゲーション装置の機能が制限される。例えば地図の表示がされなかったり、音声による案内がされなかったりする。これにより、車両用ナビゲーション装置のみ盗まれた場合に、その車両用ナビゲーション装置が利用できなくなり、盗難防止に効果がある。
【0008】
また、ETCカードが装着されていないと車両用ナビゲーション装置の機能が制限されることから、ETCカードの入れ忘れを防止又は警告する副次的な効果もある。
【0009】
また、上記発明はETCカードと車両用ナビゲーション装置の接続を利用したもので、両機を有線通信で繋ぐことができることから、この他に特別な設備(例えば無線通信システム等)を追加する必要がないため、安価にシステムを構築できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
電子地図上で車両の現在位置を表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETCカードの認証情報を記憶し、前記車両用ナビゲーション装置が前記車両から取り外された場合に前記認証情報が消去される認証情報記憶手段と、
該認証情報記憶手段に前記認証情報が記憶されていない場合に、前記車両用ナビゲーション装置の機能を制限する機能制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システムである。
【0011】
上記発明によると、ETCカードの認証情報(例えばETCカードのID情報)を記憶する認証情報記憶手段を備えている。認証情報記憶手段は車両用ナビゲーション装置側に設けられており、例えばバッテリー電圧によって情報を記憶する揮発性メモリである。車両用ナビゲーション装置を取り外すとバッテリーから外れるため、認証情報記憶手段の記憶情報が消去される。そして、認証情報記憶手段に認証情報が記憶されていない場合は、車両用ナビゲーション装置の機能が制限される。例えば、地図の表示がされなかったり、音声による案内がされなかったりする。すなわち、車両用ナビゲーション装置が盗まれると認証情報記憶手段の記憶情報が消去され、車両用ナビゲーション装置を利用できなくなる。そのため、盗難防止に効果がある。
【0012】
なお、この場合は、ETCカードの装着の有無を問わず、認証情報が記憶されているかどうかで車両用ナビゲーション装置の機能を制限することができるため、ETCカードを使用しないで走行することを運転者が選択した場合でも、車両用ナビゲーション装置を通常どおり機能させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、
前記機能制限手段は、前記電子地図の表示機能または音声による案内機能のうち、少なくとも一方の機能を制限する車両用ナビゲーション装置盗難防止システムである。
【0014】
上記発明によると、車両用ナビゲーション装置のみを取り外した場合に、地図表示や音声案内などの主要なナビ機能を利用できなくなる。そのため、盗難防止に役立つ。
【0015】
請求項4記載の発明は、
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
車両の現在位置を地図情報とともに表示装置に表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されているか否かを判断する装着状態判断手段と、
所定のスイッチがONにされた場合に、前記車両用ナビゲーション装置の動作を開始し、かつ前記表示装置による表示出力または音声出力装置による音声出力のうち少なくとも一方の出力がされないように制御する機能制限手段と、
前記装着状態判断手段により前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されたと判断された場合に、前記表示装置による表示出力または音声出力装置による音声出力を開始する出力開始手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システムである。
【0016】
上記発明によると、所定のスイッチ、例えばACCスイッチがONにされた場合に車両用ナビゲーション装置の動作が開始され、表示出力や音声出力がされなくなる。すなわち、バックグラウンドで車両の現在位置を算出したり、表示データを作成したりしており、表示装置や音声出力装置の出力はOFFにされる。ここでETC車載器にETCカードが装着されると、表示装置や音声出力装置の出力がONになり、表示や音声案内がされる。
【0017】
このようにすると、バックグラウンドで現在位置の算出や表示データの作成を行っているため、ETCカードの装着により即時に表示出力または音声案内出力をすることができる。また、車両用ナビゲーション装置のみが盗まれても、ナビ機能が提供されない。そのため、盗難防止に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る車両用ナビゲーション装置盗難防止システム1の構成例である。このように、車両用ナビゲーション装置盗難防止システム1は車両用ナビゲーション装置2とETC車載器3とを備えたシステムに適用され、車両用ナビゲーション装置2は表示装置4、音声出力装置5、バックアップメモリ6(本発明の認証情報記憶手段)、位置検出器7、地図データ入力器13、操作スイッチ群14、外部メモリ15、記憶装置16、リモコンセンサ17、これらに接続された制御回路8を備えている。
【0019】
位置検出器7は、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ9と、角速度を検出することよって方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ10と、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ11と、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機12とを備えている。これらのセンサ等9,10,11,12は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用されるようになっている。なお、精度によっては、前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0020】
地図データ入力器13は、ある単位(メッシュ)毎の地図のイメージである地図メッシュデータ、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データ等を含む各種データを記憶媒体21から入力するための装置である。記憶媒体19としては、そのデータ量からCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、HDD(Hard Disk Drive)等を用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の記憶媒体を用いてもよい。
【0021】
操作スイッチ群14は、例えば表示装置4と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置4の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群14およびリモコン端末18によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0022】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、I/O(Input/Output)84、およびこれらを接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82に記憶されたプログラムおよびデータにより制御を行う。RAM83はワークメモリ83aを備えており、このワークメモリ83aを作業領域とする形でプログラムが実行される。
【0023】
図2に示すようにROM82には、装着状態判断プログラム82a、機能制限プログラム82b、出力開始プログラム82c、ナビゲーションプログラム82d等の各種プログラムが記憶されている。
【0024】
装着状態判断プログラム82aは、ETC車載器3にETCカード20が装着されているか否かを判断するプログラムである。機能制限プログラム82bは、ETC車載器3にETCカード20が装着されていないと判断された場合に、車両用ナビゲーション装置の機能を制限するプログラムである。例えば、表示装置4による表示や、音声出力装置5による音声案内がされないように制御する。また、出力開始プログラム82cは、車両用ナビゲーション装置2が稼動しており且つ表示出力または音声出力がされていない時に、ETC車載器3にETCカード20が装着された場合に、表示出力または音声出力を開始するプログラムである。ナビゲーションプログラム82dは、車両の現在位置の算出や表示データの作成など、車両用ナビゲーション装置2の基本動作を行うためのプログラムである。
【0025】
これら装着状態判断プログラム82a、機能制限プログラム82b、出力開始プログラム82cをCPU31が実行することにより、本発明の装着状態判断手段、機能制限手段、出力開始手段が実現される。なお上記プログラムは、記憶装置16に記憶してもよい。
【0026】
図1に戻る。記憶装置16は例えばHDDであり、地図データベース16aが記憶されている。記憶装置16は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(すなわち、車両用ナビゲーション装置2がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0027】
地図データベース16aには、地図データが格納されている。地図データは、表示用となる所定の地図イメージ情報と、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報とから構成されている。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成されている。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、左右折車線数、接続先道路リンク等から構成される。
【0028】
表示装置4は、制御回路8からの画像出力要求により画像を出力する装置であり、カラー液晶表示器等により構成されている。表示装置4の画面には、位置検出器7から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器13から入力された地図イメージデータと、地図イメージデータ上に表示する誘導経路(ルート)等の付加データとが重ね合わせて表示されるとともに、経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行うためのメニューアイコンが表示される。
【0029】
音声出力装置5は、アンプやスピーカから構成され、車両用ナビゲーション装置2からの音声案内を出力する。
【0030】
ETC車載器3は、車両が有料道路を走行する時に、料金所と無線通信を行って料金を自動的に支払うものである。図3にETC車載器3のブロック図を示す。ETC車載装置3は車載アンテナ25、送受信手段24、制御回路23、ユーザがコマンド入力をするための操作手段22、料金決済用のETCカード20、そのETCカード20を接続するためのインターフェイス(I/F)部21、音声出力装置27、表示装置28を備える。
【0031】
有料道路の料金所を車両が通過すると、ETC車載器3は車載アンテナ25によって、通過する料金所名および料金収受情報を料金所側のアンテナから受信する。制御回路23では、料金所名と料金収受情報を判別して表示装置28に表示したり、または音声出力装置27から音声出力したりする。運転者は表示装置28の画面を見るか又は音声出力装置27からの音声を聞き取ることで、目的とする料金所を通過したことや料金収受処理が行われたことを確認する。また、制御回路28は料金収受情報を識別するとETCカード20から料金決済に必要な情報を読み出して、車載アンテナ25から料金所のアンテナへ無線送信する。料金所ではこの情報を認識した後に、カード会社に対して通過料金の請求を行う。
【0032】
ETCカード20は、I/F部21に着脱自在に装着される。また、車両用ナビゲーション装置2は配線26によってETC車載器3と接続されている。車両用ナビゲーション装置2はETC車載器3と通信することで、ETCカード20が装着されたか否かを検知できるようになっている。
【0033】
また、ETC車載器3は、ETCカード20が使用される時に認証作業を行う。すなわち、ETCカード20が装着されたとき、そのETCカード20に記憶されている認証情報(ID情報など)を読み出して、使用可能なカードであることを認証する。読み出された認証情報は車両用ナビゲーション装置2に送信され、バックアップメモリ6(図1参照)に記憶される。
【0034】
バックアップメモリ6はバッテリー電圧によって認証情報を記憶する揮発性メモリで、ACCスイッチがOFF(すなわち、車両用ナビゲーション装置2がOFF)になっても認証情報は保持される。しかし、車両用ナビゲーション装置2を車両から取り外すとバッテリーから切断されるため、認証情報は消失してしまう。本発明では、認証情報が記憶されている時にのみ車両用ナビゲーション装置2を正常に動作させることにより、盗難防止に役立てている。
【0035】
次に、ROM82に記憶されている装着状態判断プログラム82a、機能制限プログラム82b、出力開始プログラム82cの動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。まずステップS1では、ACCスイッチがONされたか否かを検出する。ACCスイッチがOFFの場合はS2,S3の処理を行う。ここでは車両用ナビゲーション装置2の動作をOFFし、また、表示装置4および音声出力装置5の出力をOFFする。
【0036】
S1でACCスイッチがONの場合はS4に移り、車両用ナビゲーション装置2の動作をONにする。ここでは、車両の現在位置情報を算出する動作と、表示装置4に表示するデータの作成が行われるが、表示装置4の表示出力や音声出力装置5の出力は行わない。
【0037】
S4の後、S5の処理を行う。ここではETC車載器3と通信し、ETC車載器3からの受信データから、ETCカード20が挿入されたか否かを判断する。ETCカード20が挿入されている(Yes)と判断された場合はS6に移り、表示装置4および音声出力装置5の出力を行う。また、S5においてETCカード20が挿入されていない(No)場合は、表示装置4および音声出力装置5の出力を行わない。
【0038】
以上説明したフローチャートにより、ETCカード20が装着されていなければ表示や音声案内がされなくなり、ユーザにナビゲーション機能を提供することができなくなる。すなわち、車両用ナビゲーション装置2のみが盗難された場合は利用不可能になるため、盗難防止効果が生じる。
【0039】
また、ETCカード20の挿入忘れ防止効果もある。有料道路を利用する場合には、運転を開始する時点でETCカード20を挿入しておくことが望ましい。これを忘れると、料金所の直前でETCカード20を挿入しなくてはいけない。しかし上記実施例によると、ETCカード20が挿入されていないと車両用ナビゲーション装置2を使用できないため、運転開始時に気づくことができる。
【0040】
一方、上記実施例のS4では、車両現在位置の算出や表示データの作成などのナビ動作をバックグラウンドで行っているため、S5でETCカード20を挿入した時に即時に表示出力や音声案内出力をすることができる。仮に、ETCカード20が挿入された後に車両現在位置の算出や表示データの作成などを行うと、表示出力または音声案内出力をする迄に時間がかかってしまう。
【0041】
次に図5を使って、別のフローチャートの説明をする。まずステップS8で、ACCスイッチがONされたか否かを検出する。ACCスイッチがOFFの場合はS9,S10の処理を行う。ここでは車両用ナビゲーション装置2の動作をOFFし、また、表示装置4および音声出力装置5の出力をOFFする。
【0042】
ACCスイッチがONの場合はS11に移り、ETCカード20が認証済みか否かを判断する。上述したように、ETC車載器3がETCカード20を認証した時に車両用ナビゲーション装置2に認証情報が送られ、バックアップメモリ6に記憶される。S11では、このバックアップメモリ6を読み出すことにより、ETCカード20が認証済みか否かを判断する。バックアップメモリ6に認証情報が記憶されている場合はYesとなり、S12に移ってナビ機能を提供する。より詳しくは、S12で車両現在位置の算出や表示データの作成を行い、S13で表示出力および音声案内出力をONにする。
【0043】
また、盗難時には車両用ナビゲーション装置2がバッテリーから断線されるため、バックアップメモリ6に記憶されている認証情報が消失する。そのためS11でNoと判断され、S8に戻る。
【0044】
図5の実施例によると、車両用ナビゲーション装置2が盗難されるとバックアップメモリ6に記憶されている認証情報が消失し、ナビ機能を提供できなくなる。そのため盗難防止効果がある。
【0045】
また、上記実施例では、ETCカード20の装着の有無を問わず、バックアップメモリ6に認証情報が記憶されているか否かで車両用ナビゲーション装置2の機能を制限できるため、正規のユーザがETCカード20を忘れた場合でも車載用ナビゲーション装置2を利用でき、盗難に遭った場合のみ利用できなくなる。
【0046】
次に、図6を用いて別の実施例を説明する。このフローチャートでは、S8〜S13は図5と同じ処理を行うので、同一符号をつけて説明を省略する。ステップS11でETCカード20が認証されていない(バックアップメモリ6に認証情報が記憶されていない)と判断された場合、S14以降が処理される。ここでは、ETCカード20の認証を要求する画面および音声を出力する(S14)。次にETCカード20の認証がされたかどうかのステップS15となるが、車両用ナビゲーション装置2が盗難されたものであれば、バックアップメモリ6に認証情報は格納されておらず、カード認証はなし得ないため、S15がNoとなり、ナビ機能の表示出力や音声出力が行われない。
【0047】
なお、S15でETCカード20の認証が行われ、Yesの判断となれば、車両用ナビゲーション装置2の表示出力および音声案内出力がされる(S16)。例えばバッテリーが上がったため、バックアップメモリ6の認証情報が消去され、S11がNoとなっても、S15でETCカード20の認証がされ、かつバックアップメモリ6にてETCカード20の認証情報が記憶されていると判断されれば、S15がYesとなり、車両用ナビゲーション装置2の表示出力および音声案内出力が共にONとなる。
【0048】
次に、別のフローチャートを図7に示す。S11a以外は図5と同じなので、同一符号を付けて説明を省略する。この実施例では、ETCカード20の認証情報は外部メモリ15(図1参照)に記憶される。外部メモリ15はEPROM等の不揮発性メモリであり、車両用ナビゲーション装置2を取り外しても認証情報は消去されない。
【0049】
図7のステップS11aでは、挿入されたETCカード20の認証情報を読み取り、外部メモリ15に記憶されている認証情報と一致するか否かを判断する。これらの認証情報が一致すればナビ機能が提供される。車両用ナビゲーション装置2が盗難されたものであれば、ETCカード20の認証情報と外部メモリ15の認証情報は一致しないため、S11aでNoと判断され、ナビ機能は提供されない。
【0050】
すなわち上記実施例では、車両用ナビゲーション装置2が盗難されたものであれば、たとえETCカード20を挿入してナビ機能を利用しようとしても、そのETCカード20の認証情報が正規のユーザの認証情報と一致することは有り得ず、車両用ナビゲーション装置2は正常に動作しない。
【0051】
以上説明したように本発明は、車両用ナビゲーション装置2が盗難されても利用できなくなるため、高い盗難防止効果がある。また、本発明は車両用ナビゲーション装置2とETC車載器3の接続形態を利用したもので、他に特別な設備を必要としないため、車両用ナビゲーション装置盗難防止システム1を安価に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】車両用ナビゲーション装置盗難防止システムのブロック図。
【図2】ROMに記憶されているプログラムの例。
【図3】ETC車載器のブロック図。
【図4】車両用ナビゲーション装置盗難防止システムのフローチャートの一例。
【図5】フローチャートの第2の例。
【図6】フローチャートの第3の例。
【図7】フローチャートの第4の例。
【符号の説明】
【0053】
1 車両用ナビゲーション装置盗難防止システム
2 車両用ナビゲーション装置
3 ETC車載器
4 表示装置
5 音声出力装置
6 バックアップメモリ(認証情報記憶手段)
7 位置検出器
8 制御回路
20 ETCカード
82a 装着状態判断プログラム
82b 機能制限プログラム
82c 出力開始プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
電子地図上で車両の現在位置を表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されているか否かを判断する装着状態判断手段と、
該装着状態判断手段により前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されていないと判断された場合に、前記車両用ナビゲーション装置の機能を制限する機能制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システム。
【請求項2】
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
電子地図上で車両の現在位置を表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETCカードの認証情報を記憶し、前記車両用ナビゲーション装置が前記車両から取り外された場合に前記認証情報が消去される認証情報記憶手段と、
該認証情報記憶手段に前記認証情報が記憶されていない場合に、前記車両用ナビゲーション装置の機能を制限する機能制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システム。
【請求項3】
前記機能制限手段は、前記電子地図の表示機能または音声による案内機能のうち、少なくとも一方の機能を制限する請求項1または2記載の車両用ナビゲーション装置盗難防止システム。
【請求項4】
ETCカードが着脱自在に装着されるETC車載器と、
車両の現在位置を地図情報とともに表示装置に表示して車両を案内する車両用ナビゲーション装置と、
前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されているか否かを判断する装着状態判断手段と、
所定のスイッチがONにされた場合に、前記車両用ナビゲーション装置の動作を開始し、かつ前記表示装置による表示出力または音声出力装置による音声出力のうち少なくとも一方の出力がされないように制御する機能制限手段と、
前記装着状態判断手段により前記ETC車載器に前記ETCカードが装着されたと判断された場合に、前記表示装置による表示出力または音声出力装置による音声出力を開始する出力開始手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置盗難防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−248366(P2007−248366A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74667(P2006−74667)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】