説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】本発明は、地図情報が必要無いときには、自車位置に関連する必要な情報のみを提供し、地図情報の煩わしさを回避するとともに、必要最小限のナビゲーション情報を適切に提供できる車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザにより操作入力が可能な操作部10と、
自車位置を含む地図情報を画面表示する表示手段60と、
前記操作部への最終操作からの時間をカウントし、所定時間に達したことを検出する時間カウント手段20と、
該時間カウント部により、前記操作部が所定時間操作されないことが検出されたときに、前記自車位置周辺の所定領域70を除く前記地図情報の表示を低減させる制御を行う表示情報低減制御手段31と、を有することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置に関し、特に、自車位置を含む地図情報を画面表示する車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックライトを有する表示部と、音を発生させる音声発生手段と、装置の操作を行う操作部と、操作部が所定時間操作されないことを検出してバックライトを消灯させると共に間欠的に音声発生手段により音を発生させる制御回路を備え、省電力のために表示部を暗くする場合に、電源の切り忘れを防止するようにしたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−159466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、車両走行中に省電力のために表示部を消灯させたときには、自車位置情報を含めて画面全体を暗くしてしまうので、自車走行位置も把握できなくなってしまうという問題があった。
【0004】
一方、省電力を図る観点以外にも、地図情報が必要無いときに、画面が全面点灯していると、画面が眩しく情報過多であり、煩わしいと感じるユーザも多い。
【0005】
そこで、本発明は、地図情報が必要無いときには、自車位置に関連する必要な情報のみを提供し、地図情報の煩わしさを回避するとともに、必要最小限のナビゲーション情報を適切に提供できる車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車両用ナビゲーション装置は、ユーザにより操作入力が可能な操作部と、
自車位置を含む地図情報を画面表示する表示手段と、
前記操作部への最終操作からの時間をカウントし、所定時間に達したことを検出する時間カウント手段と、
該時間カウント部により、前記操作部が所定時間操作されないことが検出されたときに、前記自車位置周辺の所定領域を除く前記地図情報の表示を低減させる制御を行う表示情報低減制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
これにより、自車位置周辺については情報を与えるとともに、地図が不要なときには、地図情報の表示を低減させ、地図情報全体が表示されてしまう煩わしさを回避することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示情報低減制御手段は、前記自車位置周辺の所定領域よりも画面の輝度を低下させる輝度低下制御を行うことを特徴とする。
【0009】
これにより、自車位置周辺以外の画面を暗くすることができ、画面の眩しさや、地図情報の煩わしさを効果的に低減させることができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記輝度低下制御は、前記自車位置から遠ざかるにつれて、前記輝度の低下量を増加させる制御であることを特徴とする。
【0011】
これにより、自車位置から離れるにつれて画面を暗くすることができ、情報の重要度に応じて輝度傾斜をかけることができる。
【0012】
第4の発明は、第1の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示情報低減制御手段は、前記自車位置周辺の所定領域よりも画面のコントラストを低下させる制御を行うことを特徴とする。
【0013】
これにより、自車位置周辺以外は、画像表示をぼんやりとさせることができ、画面の眩しさや鮮明さによる煩わしさを低減させることができる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示情報低減制御手段は、POI情報の情報量を低減させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
これにより、自車位置周辺以外のランドマークとなる施設や、施設名等の地図情報を減少させることができ、情報過多による煩わしさを低減することができる。
【0016】
第6の発明は、第1又は第5の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示情報低減制御手段は、道路の数を減少させる制御を行うことを特徴とする。
【0017】
これにより、自車位置周辺以外については、主要な道路のみを表示させることができ、不要な道路表示を削除して道路情報過多による煩わしさを低減させることができる。
【0018】
第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示情報低減制御手段は、目的地への経路表示については、前記地図情報を低減させない制御を行うことを特徴とする。
【0019】
これにより、目的地への経路表示についても地図情報を表示しておくことができ、ナビゲーション機能を有効に機能させつつ、不要な地図表示情報を減少させて煩わしさを低減させることができる。
【0020】
第8の発明は、第1〜7のいずれかの発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記操作部への操作入力があったときには、前記表示情報低減制御手段による制御を停止させて通常表示を復帰させる表示復帰手段を有することを特徴とする。
【0021】
これにより、ユーザが地図表示に関心を持ったときには、速やかに通常の全画面表示を行い、ユーザに十分な地図情報を提供することができる。
【0022】
第9の発明は、第8の発明に係る車両用ナビゲーション装置において、
前記表示制御部は、前記自車位置が目的地への経路中の右左折地点に接近したときには、前記表示情報低減制御を中止することを特徴とする。
【0023】
これにより、ナビゲーション装置に目的地が設定されており、車両が目的地への経路中の右左折地点である交差点等に接近したときには、ユーザに右左折地点に接近したことを知らせることができ、ナビゲーション機能が必要なときには、これを確実に果たさせることができる。また、画面の表示情報が低減している状態から、通常の全体表示状態に切り替わるので、ユーザはその変化を認識することが容易となり、右左折地点が接近していることを確実に認識することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ユーザが、地図情報が不要なときには、地図情報を減少させて煩わしさを低減させるとともに、最低限必要な自車位置に関連する情報は確実に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明を適用した実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の全体構成図である。図1において、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100は、操作部10と、時間カウント手段20と、表示制御手段30と、表示手段60とを有する。また、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100は、必要に応じて、自車位置検出手段40と、地図情報記憶手段50とを備えていてもよい。
【0027】
操作部10は、ユーザが車両用ナビゲーション装置100を操作するときに、操作入力が可能なように操作ボタン等の入力手段を有する部分である。操作部10は、目的地の設定、表示変更、再探索、地点登録、広域表示と詳細表示の切り換え等の操作がユーザにより可能なように、必要な選択項目に対応する入力手段が備えられる。操作ボタンは、表示画面上にタッチパネルとして設けられてもよいし、画面以外の部分に押しボタンのように設けられていてもよい。また、遠隔操作が可能なように、リモートコントローラ等に操作部10が備えられていてもよい。
【0028】
操作部10は、ユーザにより操作があったことを、電気信号として認識する機能を有する。これにより、ユーザの操作に応じた処理を実行することができる。
【0029】
時間カウント手段20は、操作部10の最終操作からの時間をカウントし、これが所定時間に達したときに、操作部10が所定時間操作されなかったことを検出する手段である。上述のように、操作部10に対するユーザの操作入力は、電気信号として認識できるので、時間カウント手段20は、電気信号の最終入力があった時点を起点として、最終操作時点からの経過時間を計測する。時間カウント手段20は、一般的なタイマ、カウンタ等が適用されて時間計測を行ってよい。
【0030】
時間カウント手段20は、予め所定時間を記憶しておき、ユーザにより操作部10が所定時間操作されないことを検出したら、検出信号を表示制御手段30に出力する。カウント閾値となる所定時間は、ユーザの好みにより設定されてよいが、例えば、30秒程度がデフォルト値として設定されていてもよい。
【0031】
表示制御手段30は、表示手段60の表示制御を行う手段である。表示制御手段30は、表示手段60の表示画像を調整、制御するのに必要な種々の制御機能を有するが、本実施例に係る車両用ナビゲーション装置100の表示制御手段30は、表示情報低減制御手段31を備え、必要に応じて、表示復帰手段36を備える。なお、表示制御手段30は、種々の制御を実行するために演算処理を行うため、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の周辺機器を備えたマイクロコンピュータとして構成されてもよいし、所定の演算処理用の電子回路を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてもよい。表示制御手段30は、制御演算処理が可能であれば、種々の手段が適用されてよい。
【0032】
表示情報低減制御手段31は、時間カウント手段20において、操作部10がユーザに所定時間操作されなかったことが検出されたときに、表示手段60に表示されている地図情報について、自車位置周辺の所定領域を除く情報を低減して画像表示する制御を行う手段である。
【0033】
ユーザが操作部10を所定期間操作しなかったときには、ユーザは、車両用ナビゲーション装置100の表示手段60に表示されている地図情報に関心が無い状態であると考えられる。つまり、ユーザは、自車位置が不明であったり、所望の目的地への経路を探していたりする場合には、車両用ナビゲーション装置100を操作して適切な地図情報を得ようとする。一方、ユーザは、既知の道路を走行していたり、目的地を特に定めずに単にドライブを楽しんでいたりする場合には、地図情報は必要無いので、車両用ナビゲーション装置100の操作を行わない場合が多い。よって、本実施例に係る車両用ナビゲーション装置100においては、操作部10への操作入力が所定期間行われなかったときには、ユーザは車両用ナビゲーション装置100の詳細な地図情報を必要としてないと判断する。そして、この場合には、表示情報低減制御手段31が、自車位置周辺を除く所定領域について、地図表示を低減させる制御を行うこととしている。これにより、ユーザは、自車位置に関する情報のみを取得し、他の地図情報については情報量を低減して不要な情報の提供による煩わしさを低減させることができる。
【0034】
なお、自車位置を含む中央部の所定領域は、ユーザの好みにより設定されてよいが、例えば、表示手段60の画面全体の10〜20%程度の面積の領域であってもよい。所定領域は、例えば、表示手段60の画面の中央点(対角線の交点)から、所定半径の円形領域に設定されてもよいし、その設定は大きさや画素座標等の所定の設定方法で表現されてよい。
【0035】
表示情報低減制御手段31は、表示情報の低減の方法に応じて、輝度低減制御手段32、コントラスト低減制御手段33、POI情報低減制御手段34及び道路数減少制御手段35のいずれか1つ以上の手段を備える。
【0036】
輝度低減制御手段32は、表示手段60の画像の輝度を、自車位置の表示を含む中央の所定領域の輝度は比較的高く維持するが、それ以外の周辺部の画像の輝度を低くする制御を行う手段である。これにより、画面の中央部を明るくし、周辺部を暗く表示することができる。本実施例に係る車両用ナビゲーション装置100において、自車の現在位置は、通常画面の中央位置に表示されるので、輝度低減制御手段32は、中央部の所定領域の画素領域の輝度設定を高くし、それを除いた周辺部の輝度設定を中央部よりも低くする制御を行う。輝度設定は、例えば、輝度ゲイン等により調整するようにしてもよく、種々のパラメータを用いて制御してよい。なお、具体的な制御例の内容は、後述する。
【0037】
コントラスト低減制御手段33は、表示手段60に表示された画像のコントラストを、自車位置の表示を含む中央の所定領域のコントラストは比較的高く維持し、それ以外の外側の周辺領域の画像のコントラストを低くする制御を行う手段である。これにより、画面の中央部を明瞭に表示し、外側の周辺部をぼんやりと表示することができ、地図情報の明瞭な画像表示によるユーザの煩わしさや目の負担を軽減することができる。なお、コントラスト低減制御は、コントラストの設定値を調整することにより行われてよい。具体的な制御例の内容は、後述する。
【0038】
POI情報低減手段34は、POI(Point of Interest)情報を、自車位置を含む中央の所定領域についてはそのまま表示し、中央部を除いた周辺部においては、POI情報を低減させる制御を行う手段である。POI情報は、ユーザが車両走行中に関心を持つような施設等の情報であり、目印となるような建物や広場等の情報が該当する。このような施設は、通常、車両用ナビゲーション装置100においては、目立つマークの表示とされ、かつ文字により施設名も表示されている場合が多い。従って、ユーザにとって地図情報が不要と判断されるときには、これらのPOI情報量を低減することにより、地図情報の過多による煩わしさを低減することができる。
【0039】
POI情報低減制御手段34によるPOI情報低減制御は、自車位置検出手段40と、地図情報記憶手段50との情報に基づいて、自車が地図上のどの位置を走行しているかを検出し、自車位置を含む中央部を除く領域について、表示されている施設情報の量を減少させることにより行われる。例えば、地図情報データに表示されている施設について、マスクをかけてこれを画像上から消去するような制御を行うようにしてもよい。なお、制御例の詳細については、後述する。
【0040】
道路数減少制御手段35は、地図上の道路について、自車位置を含む中央部の所定領域を除く領域について、道路数を減少させて情報量を低減させる手段である。道路には、高速道路、幹線道路、細い道路等の階層が存在するので、道路数減少制御手段35は、例えば、階層の低い細い道路を地図表示から消去する等の制御を行うようにしてもよい。道路数減少制御手段35の具体的な制御例については、後述する。
【0041】
表示情報低減制御手段31は、輝度低減制御手段32、コントラスト低減制御手段33、POI情報低減制御手段34又は道路数減少制御手段35のうち、少なくとも1つの制御手段を備えていれば良いが、4つの制御手段のうち、輝度低減制御手段32及びコントラスト低減制御手段33は、表示手段60の表示設定を制御するだけで、表示情報低減制御を実行することができる。一方、POI情報低減制御手段34及び道路数減少制御手段35は、地図上における自車位置と周辺の施設や道路を把握する必要があるので、表示情報低減制御を実行するために、自車位置情報と地図情報が必要となる。
【0042】
なお、表示情報低減制御手段31は、今まで説明した4つの制御手段による表示情報低減制御の手法以外にも、ユーザの地図情報の煩わしさを低減する制御手法であれば、適宜それらを適用するようにしてよい。
【0043】
表示復帰手段36は、表示情報低減制御手段31により、自車位置周辺を除く所定領域の地図情報の表示を低減する制御が実行されているときに、表示情報低減制御手段31による表示情報低減制御を停止させ、表示を全画面の通常表示に復帰させる手段である。表示復帰手段36は、例えば、ユーザによる操作部10への操作入力があり、これを検出したときに、表示手段60への表示を通常表示に復帰させる。ユーザの操作部10への操作入力があったときには、ユーザが地図情報に関心を持っている状態と考えられるので、表示復帰手段36は、ユーザに速やかに地図情報を提供するようにする。表示復帰手段36による通常表示への復帰は、例えば、表示復帰手段36が表示情報低減制御手段31に停止指令信号を出力するようにしてもよい。表示情報低減制御手段31による表示情報低減制御を停止すれば、車両用ナビゲーション装置100は、通常の状態に戻るので、容易に復帰動作を行うことができる。
【0044】
自車位置検出手段40は、自車の現在位置を検出する手段である。上述のように、輝度低減制御手段32又はコントラスト低減制御手段33による表示情報低減制御は、自車位置を正確に把握しなくても、表示手段60の輝度設定又はコントラスト設定のみで制御が可能であるが、POI情報低減手段34又は道路数減少制御手段35による表示情報低減制御では、地図上の自車位置が必要となるので、自車位置検出手段40は、これを検出する。
【0045】
自車位置検出手段40は、GPS(Global Positioning System)受信機41、ジャイロセンサ42、車速センサ43等の、自車位置を検出するために必要な手段を備えてよい。
【0046】
GPS受信機41は、GPS衛星からの電波を受信することにより、自車の地球上の絶対位置を検出する手段である。ジャイロセンサ42は、自車の角速度を検出する手段であり、他に、横方向、前後方向、上下方向の加速度センサ等を備えていてもよい。車速センサ43は、自車の走行速度を検出する手段である。
【0047】
自車位置検出手段40は、これらの検出手段を用いて、GPS受信機41により自車の絶対位置を検出し、ジャイロセンサ42及び車速センサ43を用いて車両の挙動を検出し、地図情報記憶手段50に記憶された地図データとのマップマッチングを行い、地図上の自車位置を検出する。
【0048】
地図情報記憶手段50は、地図情報データを記憶する手段である。地図情報は、POI情報、道路情報等が記憶されるとともに、情報の重要度に応じて、階層が設定されていてもよい。
【0049】
表示制御手段30は、自車位置検出手段40により検出された自車位置と、地図情報記憶手段50に記憶された地図情報を用いてマップマッチングを行い、地図上の自車位置を特定し、自車位置と地図情報の合成画像を表示手段60に表示する制御を行う。
【0050】
表示手段60は、自車位置、目的地への経路等の情報を含めた地図情報を画像として出力する手段であり、画面を有するディスプレイ等が適用されてよい。表示手段60は、例えば、車両内前方の運転者から視認容易な位置に配置され、ユーザに地図情報を提供してよい。表示手段60は、地図情報を画像表示できる手段であれば、種々の態様のディスプレイを適用することができる。
【0051】
次に、図2を用いて、本実施例に係る車両用ナビゲーション装置100の表示情報低減制御の表示例について説明する。図2は、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の表示手段60の表示例を示した図である。図2においては、表示情報低減制御手段31に、輝度低減制御手段32が適用された表示例が示されている。
【0052】
図2において、自車位置周辺の所定領域70が表示手段60の画面上に表示され、自車位置周辺の所定領域70を除く領域は、暗くなった表示状態が示されている。自車位置周辺の所定領域70内については、走行中の道路が濃い太線で示され、それ以外の道路も薄い線で示されている。また、POI情報として、「トヨタ自動車本社」、「飯田町変電所」等が示されている。
【0053】
このように、本実施例に係る車両用ナビゲーション装置100の一態様においては、自車位置周辺の所定領域70については、輝度を比較的高くして走行位置が分かるようにし、それ以外の領域は、画面を薄暗くして画面消し効果を出した画像を生成し、表示手段60に表示する。これにより、パーソナルコンピュータのスクリーンセーバーのように、所定時間操作されなかったときには、地図表示を消すことができるとともに、自車の走行位置とその周辺については正確に情報を提供することができる。
【0054】
図2においては、自車位置周辺の所定領域70が割合的に広く示されているが、実際の画面においては、画面全体の10〜20%であってもよい。これらの自車位置周辺の所定領域70の大きさや割合も、ユーザの好みにより設定可能としてもよい。
【0055】
次に、図3を用いて、表示情報低減制御手段31に輝度低減制御手段32が適用された場合の、制御の態様について説明する。図3は、輝度低減制御手段32による表示情報低減制御の例を示した図である。
【0056】
図3(a)は、図2と同様の表示例に、A−A’ラインを加えた図である。以下、A−A’ラインにおける輝度低減制御を例に挙げて説明する。
【0057】
図3(b)は、図3(a)に対応するA−A’ライン上における画素の輝度状態の一例を示した図である。図3(b)に示すように、自車位置周辺の所定領域70については、輝度が高輝度H1であり、その以外の領域では、輝度が低輝度L1に保たれていることが分かる。このように、輝度低減制御手段32は、自車位置周辺の所定領域70の輝度を高輝度H1に保つとともに、それを除く領域では、輝度を高輝度H1よりも低輝度L1に低下させる輝度低下制御を行い、表示情報低減制御を実行する。
【0058】
図3(c)は、図3(b)とは異なる態様の輝度低減制御手段32による輝度低下制御を示した図である。図3(c)において、輝度低減制御手段32は、自車位置周辺の所定領域70を高輝度H2に保つとともに、それ以外の領域を、自車位置周辺の所定領域70から遠ざかるにつれて、輝度の低下量を増大させ、輝度が低くなるように設定している。このように、輝度低減制御手段32は、山の等高線のように、輝度が中央部の自車位置周辺の所定領域70から離れてゆくにつれて、画面が暗くなるような輝度低下制御を行うようにしてもよい。自車位置以外の画面が真っ暗であるよりも、外側に行くに従って徐々に暗くなる画像の方を好むユーザの場合には、図3(c)のような輝度低下制御を行うことが好ましい。
【0059】
図4は、表示情報低減制御手段31に、コントラスト低減制御手段33を適用した場合の表示情報低減制御例を示した図である。図4において、図3(a)と同様なA−A’ラインについてのコントラスト値が示されている。自車位置周辺の所定領域70については、高コントラスト値H3に保たれ、自車位置周辺の所定領域70を除く領域においては、低コントラスト値L3に保たれている。コントラスト低減制御手段33は、例えば、自車位置周辺の所定領域70のコントラスト値を高コントラスト値H3に保ち、それ以外の領域を高コントラスト値H3よりも低い低コントラスト値L3に設定することにより、地図情報を低減してもよい。これにより、自車位置周辺の所定領域70については、コントラストのはっきりした明瞭な画像が表示され、自車位置周辺の所定領域70以外の領域については、ぼんやりとした画像表示を行うことができ、地図情報を低減することができる。画面を暗くすることまでは要せず、画像をぼんやりとさせるだけで地図情報の煩わしさを回避するには十分であるユーザに対しては、このような表示情報低減制御を実行するようにしてもよい。
【0060】
図5は、表示情報低減制御手段31に、POI情報低減制御手段34を適用した場合の表示情報低減制御例を示した図である。図5(a)は、表示手段60に表示された画像90の一例を示した図である。図5(a)において、中央部には、自車位置周辺の所定領域70が示されているとともに、地図情報として、大施設71〜75と、小施設81〜87が示されている。この場合において、例えば、POI情報低減制御手段34は、大施設71〜75のPOI情報を残し、小施設81〜87を消去して、POI情報量を低減するような制御を実行してもよい。
【0061】
図5(b)は、POI情報低減制御手段34で行うPOI情報低減制御の具体例について説明するための図である。図5(b)において、図5(a)における大施設73と小施設84が含まれている領域画像97の拡大画像の層構成が示されている。図5(b)において、画像97は、第1層目画像91、第2層目画像92、第3層目画像93及び第4層目マスク画像94の合成画像により構成されている。
【0062】
図5(b)において示されるように、第1層目画像91には、施設のマーキングを表示した施設画像が用意される。第1層目画像91には、小施設84と大施設73の施設画像が表示されている。また、第2層目画像92には、道路を表示した道路画像が用意される。更に、第3層目画像93には、文字を表示した文字画像が表示される。第3層目画像93には、小施設84に対応する「コンビニ」の文字と、大施設73に対応する「公園」の文字が表示されている。そして、第4層目マスク画像94には、消去すべきPOI情報を覆い隠すマスク画像が用意される。第4層目マスク画像は、小施設84のマーキング及び「コンビニ」の文字を覆い隠すマスク95が設けられている。このマスク95により覆われた画像は、最終合成画像として表示されないことになる。図5(b)において、最終画像97が示されているが、「公園」の文字と大施設73のマーキングは表示されているが、「コンビニ」の文字と小施設84のマーキングは消去された画像となっている。このように、POI情報低減制御手段33は、画像から消去したいPOI情報については、マスク95を利用することにより、地図情報から削除する制御を行うようにしてもよい。これにより、自車位置周辺の所定領域70以外の領域について、POI情報を低減する制御を行うことができる。
【0063】
なお、図5においては、小施設81〜87をPOI情報低減の対象とする例について説明したが、例えば、予めPOI情報内で階層を設けておき、階層の低い施設を消去するようにしてもよいし、文字情報については、住所の「〜丁目」という情報については、消去してしまう、というような制御を行ってもよい。これらのPOI情報低減制御は、ユーザの地図情報の負担を低減する制御でれば、種々の態様を適用することができ、また、ユーザの設定により種々のモード設定を可能としてもよい。
【0064】
図6は、表示情報低減制御手段31に道路数減少制御手段35を適用した場合の表示情報低減制御について説明するための図である。図6(a)は、表示手段60に表示された画像90aの一例を示した図である。図6(a)において、画像の中央部に自車位置周辺の所定領域70が示されているとともに、道路76が示されている。また、画像90aは、複数の領域に分割され、領域n、n+1、n+2・・が示されている。このような画像90aにおいて、自車位置周辺の所定領域70以外の領域の道路76の数を減少させる道路数減少制御の例について考える。
【0065】
図6(b)は、各領域について、道路76の階層の一例を示した図である。図6(b)において、高速道路、幹線道路、一般道路、細い道路、背景の各階層が示されている。例えば、図5において説明したように、道路76についても、階層を設けた合成画像表示形式を適用することにより、容易に道路76の数を減少させることができる。図6(b)において、細い道路を削除する制御を行う場合には、自車位置周辺の所定領域70以外について、細い道路の階層の画像を表示させない制御を実行すればよい。非表示の方法は、図5に示したマスク95を利用する方法であってもよいし、指定された階層の画像を、指定された領域について表示しないような制御を行ってもよい。図6(b)で説明する方法によれば、道路76の階層が一括して最初から定められていれば、地図上の位置の詳細な特定を要せず、自車位置周辺の所定領域70以外は一括して表示を行わない制御を行うことが可能であるので、より容易に表示情報低減制御を実行することができる。
【0066】
なお、図6(b)においては、自車位置周辺の所定領域70以外の細い道路を消去する例を挙げて説明したが、例えば、更に一般道路も消去するような制御を行ってもよいし、ユーザにより設定が可能としてもよい。このように、道路数減少制御手段35により、自車位置周辺の所定領域70以外の道路数を減少させる制御を行うことにより、ユーザの地図表示情報過多の煩わしさを低減させることができる。
【0067】
また、図5において説明した、POI情報低減制御手段34によるPOI情報低減制御と、図6において説明した道路数減少制御手段35による道路数減少制御は、両方同時に実行するようにしてもよい。つまり、自車位置周辺の所定領域70を除く領域については、POI情報を低減させるとともに、道路数を減少させるようにしてもよい。これにより、地図情報を煩わしいと考えるユーザにとって、より煩わしさを低減した画面表示とすることができる。
【0068】
次に、図7を用いて、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の動作フローについて説明する。図7は、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の動作フロー図である。
【0069】
ステップ200では、操作部10及び時間カウント手段20により、所定の一定時間、ユーザの操作が無いか否かが判定される。ユーザの操作の有無は、操作部10からの電気信号により検出されてよく、無操作状態が所定時間継続しているか否かは、時間カウント手段20により検出されてよい。
【0070】
時間カウント手段20により、ユーザが所定期間操作していないことが検出されたらステップ210に進む。一方、ユーザが所定期間操作していないことが検出されない、つまり所定期間内にユーザの操作があったときには、ステップ230に進み、通常表示を行って処理フローを終了する。以後、図7の処理フローが繰り返されることになる。
【0071】
ステップ210では、表示情報低減制御手段31により、自車位置周辺の所定領域70以外の地図情報を低減する表示情報低減制御が実行される。表示情報低減制御手段31による表示情報低減制御は、図3乃至図6において説明したように、種々の制御手法により実行されてよい。これらの制御手法は、ユーザにより適宜選択可能に構成してもよいし、図3乃至図6において説明した制御手法以外の制御手法によってもよい。
【0072】
ステップ220では、操作部10において、ユーザによる操作入力があったか否かが判定される。表示情報低減制御の実行中であっても、ユーザが地図情報に関心を持った場合には、地図情報を提供することが好ましいので、操作部10への操作があったか否かの検出及び判定は、表示低減制御実行中も行われる。
【0073】
ステップ220において、操作部10へのユーザの操作入力が無い場合には、処理フローを終了する。一方、操作部10へのユーザの操作入力があったときには、ステップ230に進む。
【0074】
ステップ230では、表示復帰手段36により、表示情報低減制御手段31の表示情報低減制御が停止され、表示手段60の表示画面は、通常の全画面詳細表示に復帰して処理フローを終了する。これにより、ユーザは、車両用ナビゲーション装置100のナビゲーション機能を十分に活用することができる。
【0075】
処理フローが終了した後は、図7の処理フローが繰り返されることになる。
【0076】
このように、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100によれば、操作部10への操作入力が無く、ユーザが車両用ナビゲーション装置100の地図情報が不要と考えられるときには、自車位置周辺の所定領域70についてのみ地図情報を提供し、最低限の地図情報を与えて、ユーザの地図情報の煩わしさを低減するとともに、通常の走行に不自由を感じさせない情報を提供することができる。また、操作部10への操作入力があり、地図情報が必要と考えられるときには、速やかに十分な情報を提供し、通常の車両用ナビゲーション装置100のナビゲーション機能を十分に果たさせることができる。
【実施例2】
【0077】
図8は、本発明を適用した実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの全体構成を示した図である。図8において、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aは、操作部10aと、時間カウント手段20と、表示制御手段30aと、自車位置検出手段40と、地図情報記憶手段50と、表示手段60とを備える点は、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100と同様である。実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aは、操作部10aに目的地設定手段11が備えられている点と、表示制御手段30aに経路表示制御手段37が新たに備えられているとともに、表示情報低減制御手段31a及び表示復帰手段36aに新たな機能が追加されている点で、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100と異なっている。なお、他の構成要素については、実施例1と同様であるので、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
目的地設定手段11は、車両の走行目的地を設定する手段である。目的地設定手段11は、公知の通常の車両用のナビゲーション装置に設けられている目的地設定手段11と同様の手段が適用されてよく、画面に目的地を入力してゆく設定手段でもよいし、リモートコントローラ等により遠隔操作が可能な設定手段であってもよい。
【0079】
目的地設定手段11により、目的地が設定された場合には、その情報は表示制御手段30に送られる。なお、目的地の設定のための入力が最終入力であった場合には、時間カウント手段20による最終入力からの時間カウントがスタートすることになる。
【0080】
表示制御手段30a内の経路表示制御手段37は、操作入力された目的地に到達するまでの経路を探索し、これを表示手段60に表示させる手段である。経路表示制御手段37は、自車位置検出手段40により地図上の自車位置を検出するともに、地図情報記憶手段50に記憶された地図情報を用いて、目的地までの適切なルートを探索する。ルートの探索は、通常に行われている公知の手法が利用されてよい。経路表示制御手段50は、ルートの探索が終了したら、探索したルートを表示手段60に表示する制御を行う。表示手段60への表示は、目的地までの経路が強調されてユーザに容易に視認可能なように表示を行う。
【0081】
表示情報低減制御手段31aは、表示画面の中央部の自車位置周辺の所定領域70に加えて、目的地への経路についても通常の詳細画像表示を行うとともに、それらを除く領域については、表示情報を低減する表示情報低減制御を実行する。つまり、実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100においては、画面中央の自車位置周辺の所定領域70のみを通常表示としていたが、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aにおいては、目的地への経路も通常表示とする。これにより、ユーザは、詳細な地図情報が不要なときには、自車位置と目的地への経路を把握して最低限必要な情報を確実に入手できるとともに、それ以外の地図情報については情報を低減して煩わしさを回避することができる。つまり、最小限のナビゲーション機能を果たしつつ、ユーザの地図情報過多による煩わしさを回避でき、相反する要求に応える制御を実行することができる。
【0082】
表示復帰手段36aは、実施例1において説明した機能に加えて、車両が目的地への経路中の右左折点等のターニングポイントに接近したときに、表示情報低減制御手段31aの表示情報低減制御を中止させ、表示手段60の表示を通常表示に復帰させる機能を有する。これにより、ユーザが目的地に到達するために注意を払う必要がある地点においては、ユーザに詳細な地図情報を提供して、確実に目的地に到達させることができる。また、この場合、表示情報低減制御の実行中に通常表示に表示手段60の画面が切り替わると、ユーザは画面が切り替わったことが容易に認識できるので、表示画面により注意を払うことができる。つまり、常に詳細な地図情報が表示されていると、ユーザの方でもその情報に慣れてしまって、右左折点のポイントを見逃してしまうおそれが大きくなるが、地図情報が低減された状態から、急に通常の表示画面に切り替われば、それだけユーザに重要な地点が接近したことを効果的に認識させることができ、ナビゲーション効果を一層高めることができる。
【0083】
他の構成要素は、実施例1と同様であり、操作部10aが所定時間操作されないという条件が整ったときに、表示情報低減制御に移行する動作を行う。
【0084】
次に、図9を用いて、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの表示情報低減制御手段31aによる表示情報低減制御の一例について説明する。図9は、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aによる表示情報低減制御が実行されている表示手段60の表示画面の一例を示した図である。
【0085】
図9において、表示手段60の画面には、画面の中央部に自車位置周辺の所定領域70が通常表示で示されているとともに、目的地への経路77も通常表示で示されている。また、中央部の自車位置周辺の所定領域70及び目的地への経路77を除いた領域は、輝度が低下し、暗い表示状態となっている。このように、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aは、目的地の設定がなされ、目的地への経路77が表示されている場合には、自車位置周辺の所定領域70だけでなく、目的地への経路77も通常表示を行い、詳細な地図情報を与えるようにする。これにより、ナビゲーション機能を果たしつつ、ユーザの地図の煩わしさを低減させることができる。
【0086】
なお、図9においては、表示情報低減制御手段30a自車位置周辺の所定領域70及び目的地への経路77を除いた領域についての表示情報低減制御は、輝度低減制御手段32aが表示情報低減制御手段31aに適用された例を挙げて説明したが、他のコントラスト低減制御手段33a、POI情報低減手段34a又は道路数減少制御手段35aが適用されてもよい。この場合にも、表示情報低減制御の内容自体は、実施例1における説明と同様であり、自車位置周辺の所定領域70だけでなく目的地への経路77を示す領域も除いて、表示情報低減制御を行うようにすればよい。
【0087】
次に、図10を用いて、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの表示復帰手段37aの追加機能について説明する。図10は、表示復帰手段37aにより通常画面に復帰した表示手段60の画面表示の一例を示した図である。
【0088】
図10において、自車位置が、右折点Aに接近したときには、ユーザの操作部10aへの操作入力が無くても、表示手段60の画面を通常表示として全体詳細表示の地図情報の表示が行われている。このように、自車位置が右左折点に接近したときには、表示情報低減制御手段31aによる表示情報低減制御を中止させ、通常通りの詳細な地図情報をユーザに提供し、確実に右左折を行わせるようにする。これにより、ユーザは確実に目的地へと到達できる。
【0089】
なお、自車位置が右左折点に接近したことの認識は、例えば、目的地への経路77の案内直線において、直線が折れている地点Aを認識し、これに自車位置が接近したときに、表示復帰手段36aが表示情報低減制御手段31aに停止指令の信号を送るようにして行ってもよい。
【0090】
また、右左折点Aに接近して通常表示に復帰した後は、本実施例に係るナビゲーション装置100aは、通常の制御状態に戻り、所定期間の操作が無ければ、表示情報低減制御を実行するように動作してよい。
【0091】
次に、図11を用いて、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの動作フローについて説明する。図11は、実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの動作フロー図である。なお、図11の動作フローは、実施例1で説明した目的地設定が行われない場合も含んで動作フローを示してある。
【0092】
ステップ180では、操作部10aの目的地設定手段11に、目的地の設定入力がなされたか否かが判定される。目的地の設定があったときには、ステップ190に進み、目的地の設定がなかったときには、ステップ200に進む。
【0093】
ステップ190では、表示制御手段30aの経路表示制御手段37により、目的地への適切なルート探索制御が実行され、表示手段60の画面に目的地への経路77を表示する制御が実行される。
【0094】
ステップ200では、操作部10a及び時間カウント手段20により、操作部10aへのユーザの操作入力が所定期間無いか否かが判定される。本ステップは、実施例1の図7の動作フロー図と同様のステップであるので、同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0095】
ステップ200において、所定期間にユーザの操作部10aへの操作入力があったと判定されたときには、ステップ230に進んで通常表示を行い、動作フローを終了する。一方、ステップ200において、所定期間にユーザの操作部10aへの操作入力が無いと判定されたときには、ステップ205に進む。
【0096】
ステップ205では、表示手段60の表示画面に、目的地への経路77の表示があるか否かが判定される。これは、例えば、ステップ190において、経路表示制御手段37が、経路表示制御を実行したか否かを記憶しておいてフラグを立てておき、それに基づいて判定するようにしてもよい。
【0097】
ステップ205において、目的地への経路77の表示が無いと判定されたときには、ステップ210に進み、目的地への経路77が有ると判定されたときには、ステップ215に進む。
【0098】
ステップ210では、表示情報低減制御手段31aにより、画面中央部の自車位置周辺の所定領域70を除く領域について、地図情報の表示を低減する表示情報低減制御が実行される。本ステップは、実施例1の図7において説明したのと同様の処理内容であるので、同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。なお、ステップ210の終了後は、ステップ220に進む。
【0099】
ステップ215では、自車位置周辺の所定領域70及び目的地への経路77を除く領域について、表示情報低減制御手段31aにより、表示情報低減制御が実行される。これにより、ユーザは、自車位置情報のみならず、目的地への経路77も取得することができる。
【0100】
ステップ216では、自車が右左折地点に接近していないか否かが判定される。表示情報低減制御を実行中であっても、右左折地点に接近している場合には、ユーザに詳細な地図情報を与え、目的地への到達が確実となるように注意を促した方が好ましいので、このような制御を実行する。
【0101】
ステップ216において、自車が右左折地点に接近していると判定されたときには、ステップ220に進み、表示復帰手段36aにより表示情報低減制御手段31aを停止させ、通常表示を行う。これにより、ユーザは重要地点を通り過ぎるおそれが減少する。
【0102】
ステップ220では、操作部10により、操作部10への操作入力があったか否かが判定される。ユーザが地図情報に関心を持ったときには、詳細な地図情報を速やかに提供する必要があるからである。
【0103】
ステップ220において、操作入力が無いと判定されたときには、動作フローを終了する。ステップ210又はステップ215で実行された表示情報低減制御は、引き続き実行されることになる。
【0104】
一方、ステップ220において、操作入力があると判定されたときには、ステップ230に進む。
【0105】
ステップ230では、表示復帰手段36aにより、表示情報低減制御手段31aに表示情報低減制御を停止する指令信号が出力され、表示情報低減制御が停止して通常表示が復帰し、動作フローが終了する。これにより、地図情報に関心のあるユーザは、詳細な地図情報を取得することができる。
【0106】
図11に示した処理フローでは、表示情報低減制御の実行状態から、通常表示への復帰が、ステップ220の操作部10への操作入力に加えて、ステップ216の自車が右左折地点に接近した場合も加わる点で、実施例1の図7の処理フローと異なる。また、目的地の設定の有無により、表示情報低減制御が、ステップ210とステップ215に場合分けされる点も、実施例1の図7の動作フローと異なる。なお、目的地が設定されない場合には、実質的には、実施例1の図7の動作フローを同様の動作フローとなっている。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0108】
特に、実施例1と実施例2は、目的地への設定の有無で分けて記述したが、目的地への設定があったとしても、自車位置周辺の所定領域70のみを通常表示とし、目的地への経路77も表示情報低減制御を適用する対象とすることも可能であるし、この場合においても、通常表示への復帰は、自車の右左折点への接近を条件に加えることもできる。このように、実施例1と実施例2は、ユーザの好みや設定に応じて、種々組み合わせて実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の全体構成図である。
【図2】実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の表示例を示した図である。
【図3】輝度低減制御手段32による表示情報低減制御の例を示した図である。図3(a)は、図2の表示例に、A−A’ラインを加えた図である。図3(b)は、A−A’ライン上における画素の輝度状態の一例を示した図である。図3(c)は、図3(b)とは異なる態様の輝度低下制御を示した図である。
【図4】コントラスト低減制御手段33による表示情報低減制御例を示した図である。
【図5】POI情報低減制御手段33による表示情報低減制御例を示した図である。図5(a)は、表示手段60に表示された画像90の一例を示した図である。図5(b)は、POI情報低減制御の具体例の説明図である。
【図6】道路数減少制御手段35による表示情報低減制御の説明図である。図6(a)は、表示手段60に表示された画像90aの一例を示した図である。図6(b)は、道路76の階層の一例を示した図である。
【図7】実施例1に係る車両用ナビゲーション装置100の動作フロー図である。
【図8】実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの全体構成図である。
【図9】実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aによる表示手段60の表示画面の一例を示した図である。
【図10】通常画面に復帰した表示手段60の画面表示の一例を示した図である。
【図11】実施例2に係る車両用ナビゲーション装置100aの動作フロー図である。
【符号の説明】
【0110】
10、10a 操作部
11 目的地設定手段
20 時間カウント手段
30、30a 表示制御手段
31、31a 表示情報低減制御手段
32、32a 輝度低減制御手段
33、33a コントラスト低減制御手段
34、34a POI情報低減制御手段
35、35a 道路数減少制御手段
36、36a 表示復帰手段
37 経路表示制御手段
40 自車位置検出手段
41 GPS受信機
42 ジャイロセンサ
43 車速センサ
50 地図情報記憶手段
60 表示手段
70 自車位置周辺の所定領域
71、72、73、74、75 大施設
76 道路
77 目的地への経路
81、82、83、84、85、86、87 小施設
90、90a 画像
91 第1層目画像
92 第2層目画像
93 第3層目画像
94 第4層目マスク画像
95 マスク
97 領域画像
100、100a 車両用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作入力が可能な操作部と、
自車位置を含む地図情報を画面表示する表示手段と、
前記操作部への最終操作からの時間をカウントし、所定時間に達したことを検出する時間カウント手段と、
該時間カウント部により、前記操作部が所定時間操作されないことが検出されたときに、前記自車位置周辺の所定領域を除く前記地図情報の表示を低減させる制御を行う表示情報低減制御手段と、を有することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示情報低減制御手段は、前記自車位置周辺の所定領域よりも画面の輝度を低下させる輝度低下制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記輝度低下制御は、前記自車位置から遠ざかるにつれて、前記輝度の低下量を増加させる制御であることを特徴とする請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示情報低減制御手段は、前記自車位置周辺の所定領域よりも画面のコントラストを低下させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示情報低減制御手段は、POI情報の情報量を低減させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示情報低減制御手段は、道路の数を減少させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は5に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示情報低減制御手段は、目的地への経路表示については、前記地図情報を低減させない制御を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記操作部への操作入力があったときには、前記表示情報低減制御手段による制御を停止させて通常表示を復帰させる表示復帰手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示復帰手段は、前記自車位置が目的地への経路中の右左折地点に接近したときに、前記表示情報低減制御による制御を中止させて通常表示を復帰させることを特徴とする請求項8に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−250933(P2009−250933A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102796(P2008−102796)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】