車両用バッテリユニットの排水構造
【課題】車両用バッテリユニットの排水構造に関し、簡素な構成で、車体フロアの下方に対する水分の遮蔽性を確保しつつ、凝結水の排出性を向上させる。
【解決手段】車両フロアの下方に電池パック1と、該電池パック1の内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニット2とを設ける。
また、冷却ユニット2の下部に、該車両の下方に開放された第一排水穴3を形成する。
さらに、該車両の下方からの水圧によって該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段4を設ける。
【解決手段】車両フロアの下方に電池パック1と、該電池パック1の内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニット2とを設ける。
また、冷却ユニット2の下部に、該車両の下方に開放された第一排水穴3を形成する。
さらに、該車両の下方からの水圧によって該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段4を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリユニットの冷却に伴って生じる凝結水を排出する排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に与える環境負荷の大きさに鑑み、内燃機関(エンジン)以外の動力源を搭載したさまざまな種類のエコ自動車が開発されている。電気自動車や燃料電池自動車では、バッテリ(蓄電池,充電池といった二次電池やキャパシタなど)に蓄えられた電気エネルギーで駆動される電動機や電動発電機が動力源として用いられる。また、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーでは内燃機関と電動発電機とが併用され、例えば内燃機関で生成された動力で電動発電機を駆動して充電するものや、減速時の回生エネルギーを利用して充電するもの、内燃機関及び電動発電機による充電だけでなく外部電源からの充電も可能なものなどが提案されている。
【0003】
上述のような車両に搭載されるバッテリには、内部抵抗によるジュール発熱や、充放電時におけるバッテリ内部での化学反応による発熱が生じる。バッテリの発熱量は、消費電力,充放電の頻度が高いほど増大する。一方、バッテリ性能を発揮させるには、バッテリ温度を適切な動作範囲内に保持することが望ましい。
そこで、車室用エアコン装置で冷却された空気をバッテリに供給して、バッテリ温度を制御する技術が提案されている。例えば、エアコン装置から吹き出される冷風を車室内へ導入するダクトと、冷風をバッテリ側へ導入するダクトとを設け、これらのダクトの分岐点に切り換えダンパーを設けたものが知られている。車室内の温度やバッテリ温度に応じて切り換えダンパーを制御することで、車室及びバッテリの双方を冷却することができ、適切な温度管理が実現できるとされている。
【0004】
また、車室用エアコン装置とは別個にバッテリ専用の冷却装置を設ける技術も知られている(例えば、特許文献1)。すなわち、バッテリケースの内部に熱交換器を配置して空気を冷却し、これを送風機でバッテリケース内全体に供給するものである。この技術では、バッテリの冷却効率を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−54379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷却装置の内部や熱交換器の表面には水滴が凝結するため、これらを車外に排出する必要がある。例えば、特許文献1の技術では、冷却装置をバッテリケースの外部側へ傾斜させて取り付けるとともに冷却装置の下方に排水ドレーンを設けて、結露した水滴をバッテリケースの外部へ排出している。つまり、冷却装置の内部空間は排水ドレーンを介して外部に開放されている。
【0007】
そのため、大容量のバッテリユニットを車体フロアの下方に取り付けたレイアウトの場合を考慮すると、車両が冠水路や泥濘地を走行したときに、凝結水を排出するため排水ドレーンから水分や汚泥が浸入するおそれある。一方、バッテリケース及び冷却装置を密閉すれば水分や汚泥による内部汚染が防止されるものの、冷却によって必然的に生じる凝結水を排出することができない。
【0008】
このように、車体フロアの下方に設けられる従来の車両用バッテリユニットでは、水分や汚泥に対する保護性と凝結水の排水性とを両立させることが難しいという課題がある。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成で、車体フロアの下方側に対する水分の遮蔽性を確保しつつ、凝結水の排出性を向上させることである。
【0009】
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、車両フロアの下方に設けられた電池パックと、該車両フロアの下方に設けられ、該電池パックの内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニットと、該冷却ユニットの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第一排水穴と、該車両フロアの下方からの水圧により該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該冷却ユニットが、該電池パックに内蔵されるとともに、該第一排水穴が、該電池パックの下部を貫通して形成されることを特徴としている。
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該第一閉鎖手段が、該第一排水穴よりも下方に設けられ、水中で浮力を受けて上方へ移動するとともに該第一排水穴の下端を閉鎖する浮き部材を有することを特徴としている。
【0012】
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該第一閉鎖手段が、該第一排水穴の近傍で水分を検出するセンサと、該センサで該水分が検出されたときに、該第一排水穴を閉鎖する制御弁と、を有することを特徴としている。
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該電池パックの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第二排水穴と、該車両フロアの下方からの水圧により該第二排水穴からの水浸入を防止する第二閉鎖手段と、をさらに備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
開示の車両用バッテリユニットの排水構造によれば、車両の下方からの水圧により第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段を設けたことにより、第一排水穴から凝結水を排出することができ、かつ外部からの水分の浸入を防止することができる。つまり、車体フロアの下方側に対する水分の遮蔽性を確保しつつ、凝結水の排出性を向上させることができ、冷却ユニットの内部浸水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る排水構造を備えた車両用バッテリユニットの斜視図である。
【図2】図1のバッテリユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2のバッテリユニットの内部構成を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図4】図2のバッテリユニットの閉鎖弁を示す斜視図である。
【図5】第一変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図6】第二変形例としての排水構造を備えた車両バッテリユニットの内部構造を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴及び第二排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図7】第三変形例としての排水構造を備えた車両バッテリユニットであって、冷却ユニットが電池パックの外部に設けられた場合の構成を概念的に示す図であり、(a)は冷却ユニット側に排水穴を設けたもの、(b)は電池パック側に排水穴を設けたもの、(c)は冷却ユニット及び電池パックの両方に排水穴を設けたものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して車両用バッテリユニットの排水構造の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.全体構成]
図1は、一実施形態に係る排水構造が適用されたバッテリユニット10及び車体フレーム7を示している。車体フレーム7はモノコックボデーのサブフレームであり、車両の車長方向(前後方向)に延びる左右一対のサイドメンバ7aと、左右のサイドメンバ7a間を車幅方向に架け渡される複数のクロスメンバ7bとが備えられる。ここでは、一対のサイドメンバ7aが車幅方向に離間して配置され、クロスメンバ7bが車長方向に離間して配置される。
【0016】
クロスメンバ7bは、左右のサイドメンバ7aに対して両端部を溶接固定され、梯子状の構造を形成する。これらの車体フレーム7の下面に対して、バッテリユニット10がボルト,ナット等の締結具で固定される。ここでいう車体フレーム7の下面とは車両のフロアパネル(以下、車両フロアともいう)の下方であり、例えばこの車両が水たまりを走行したときに水面下となる可能性のある部位である。
【0017】
[2.バッテリユニット]
バッテリユニット10は、電池パック1とその内部に配置された冷却ユニット2とを備えている。
電池パック1は、強化樹脂や補強用金属プレート等からなる高剛性の絶縁ケースである。電池パック1の形状は水平方向に広がる扁平形状とされ、車体フレーム7よりも下方への突出量が抑えられている。電池パック1は、車両フロアの下方に設けられる。
【0018】
図2に示すように、電池パック1は上下方向に二分割形成されており、下側の電池トレイ1aと上側の電池カバー1bとから構成される。電池トレイ1a及び電池カバー1bは、それぞれ上方及び下方が開放された容器状にモールド成型された部材であり、それぞれの開放された面を互いに向かい合わせに組み合わされて、電池パック1の内部空間を形成する。
【0019】
電池トレイ1aの側面(ここでは、車両の左右側面)には、複数のブラケット11が水平方向に突設される。これらのブラケット11は、電池パック1を車体フレーム7に締結固定するための部材である。また、電池トレイ1aの他の側面(ここでは、車両前方側の側面)には、冷媒配管穴13が穿孔される。冷媒配管穴13は、後述する冷却ユニット2に接続される冷媒配管2fを通すための開口である。
【0020】
電池カバー1bの上面には、上方へ向かって膨出した形状のダクト1cが形成される。ダクト1cは、後述する冷却ユニット2で冷却された空気を電池パック1内の隅々まで供給するための通路を形成する部材である。また、電池カバー1bの上面における電池パック1の内側には、送風用のファン9が収納される。
電池パック1の内部には複数の電池モジュール8と冷却ユニット2とが設けられる。電池モジュール8は、互いに所定の間隔をあけて電池トレイ1a上に配置される。各電池モジュール8には図示しない配線材が接続され、電池パック1の外部に設けられた電動機に対して電力が供給される。
【0021】
冷却ユニット2は、電池パック1内の側端部に配置され、電池パック1の内部の空気を冷却しつつ循環させる。冷却ユニット2で冷却された空気は、ファン9によって押し出されてダクト1c内を通り、各電池モジュール8間の隙間を通過しながら各電池モジュール8を冷却し、再び冷却ユニット2に吸い込まれて冷却される。
図2中に二点鎖線で囲って示すように、冷却ユニット2は、エバポレータ2a(熱交換器),冷却トレイ2b及び冷却カバー2cを有する。エバポレータ2aには、図示しない膨張弁で気化された冷媒の供給を受ける冷媒配管2fが接続される。エバポレータ2aのコア2eには、内部に冷媒が流通する複数のフィンが所定の間隔で並設されており、コア2e内を流通する冷媒がこれらのフィンの間を通過する空気から熱を奪って空気を冷却する。
【0022】
図3(a)に示すように、冷却トレイ2b及び冷却カバー2cは、内部にエバポレータ2aを収容する大きさの容器状に形成される。また、エバポレータ2aのコア2eと対向する冷却ユニット2の側面には開口部12が設けられる。電池パック1の内部の空気は、開口部12を介して冷却ユニット2の内部に導入され、エバポレータ2aのコア2eを通過する。
【0023】
冷却カバー2cの上部にはファンダクト2dが接続される。ファンダクト2dは、冷却された空気をファン9側へ導入するものであり、ファン9の吸い込み口近傍に接続される。なお、空気の流れを図3(a)中に白抜き矢印で示す。
冷却トレイ2bの底面2gには、筒状の第一排水穴3が形成される。また、電池トレイ1aの底面1fにも、上面視において第一排水穴3と重なる位置に貫通穴1gが穿孔される。貫通穴1gの内径は第一排水穴3の外径よりも大きく形成される。
【0024】
第一排水穴3は、エバポレータ2aのコア2eや冷却ユニット2の内壁に結露した水滴を車外へ排出すべく車両フロアの下方に開放された穴であり、底面2gのうちの最も低い位置に設けられる。ここでは、図3(a)に示すように、底面2gが第一排水穴3を中心とした漏斗形状に形成されている。すなわち底面2gは、第一排水穴3の位置が最も低く、第一排水穴3からの水平方向の距離が大きくなるに連れて高くなるように傾斜している。
【0025】
また、第一排水穴3の孔壁は下方へ向かって延びるように形成され、その下端3aは電池トレイ1aの底面1fよりも下方に達している。つまり、第一排水穴3は電池パック1の底面1fを貫通しており、貫通穴1gを通ってその下方に突出する。したがって、冷却ユニット2内に生じた水滴が底面2gに落下すると、水滴は第一排水穴3に向かって流れ、第一排水穴3の内部を通って電池パック1の外部へと排出される。なお、水滴の流れを図3(a)中に黒矢印で示す。
【0026】
電池トレイ1aの底面1fと冷却トレイ2bの底面2gとの間には、貫通穴1gを囲むように環状のシール1eが設けられる。シール1eは、底面1f,2gの両方に対して密着した弾性部材である。これにより、第一排水穴3の孔壁よりも外側と貫通穴1gとの隙間が封止される。また、冷媒配管2fが電池カバー1bの側面を貫通する冷媒配管穴13には、弾性部材からなるグロメット1dが挿入される。これにより、電池パック1の内部空間の気密性,水密性が確保される。
【0027】
[3.閉鎖弁]
第一排水穴3には閉鎖弁4(第一閉鎖手段)が遊挿される。すなわち、閉鎖弁4は第一排水穴3の内部で上下方向に移動自在に設けられる。図4に示すように、閉鎖弁4は軽量の樹脂又は金属で形成された弁体であり、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cを備えて構成される。
【0028】
軸部材4aは、第一排水穴3の内部を通って上下方向に延びるように設けられた軸状の部材である。軸部材4aの外径は第一排水穴3の内径よりも小さく、軸部材4aと第一排水穴3の孔壁との間にはわずかな隙間が形成される。また、軸部材4aの上下方向の長さは、第一排水穴3の上下方向の寸法(穴の深さであって、底面2gから第一排水穴3の下端3aまでの寸法)よりも長く形成される。この軸部材4aの上端に隙間保持部材4bが固定され、下端に浮き部材4cが固定される。
【0029】
隙間保持部材4bは水平方向に広がる円盤状の部材であり、その下面には複数の突起4dが形成される。これらの突起4dは、隙間保持部材4bの表面から下方へ突出した半球状に形成された部位であり、冷却トレイ2bの底面2gに接触して、底面2gと隙間保持部材4bの下面との間に所定の間隙を形成する。なお、図4では軸部材4a,隙間保持部材4b及び複数の突起4dが一体に形成されたものが例示されている。
【0030】
浮き部材4cも水平方向に広がる円盤状の部材である。浮き部材4cは、その上面が第一排水穴3の下端3aに接触して第一排水穴3を閉塞する大きさであり、少なくとも第一排水穴3の孔の内径よりも大きい。図4では、浮き部材4cが軸部材4aとは別体に形成されており、ボルト,スクリューねじ等の任意の固定手段で軸部材4aに固定されたものが例示されている。
【0031】
閉鎖弁4の質量は、水中で浮力を受けて上方へ移動する程度の重さである。ここでは、図3(b)に示すように、浸水時に浮き部材4cが水面まで浮上するように、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cのそれぞれの重さが設定されている。なお、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cの内部を中空に形成することが好ましい。
【0032】
[4.作用,効果]
図3(a)に示すように、車両の通常走行時には、閉鎖弁4の自重により複数の突起4dが冷却トレイ2bの底面2gに対して接触し、底面2gと隙間保持部材4bとの隙間が保持される。つまり、冷却ユニット2の内部空間が、電池パック1の外部に対して常に開放された状態となる。これにより、エバポレータ2aの表面や冷却ユニット2の内部で結露した水滴は、底面2gを伝って第一排水穴3の孔内を通り、電池パック1の外部へとスムーズに排出される。一方、車両が冠水路等を走行して水面が電池パック1の直下に接近すると、図3(b)に示すように、浮き部材4cが浮力を受けて上方へ移動し、第一排水穴3の下端3aを閉塞する。つまり、閉鎖弁4は車両フロアの下方からの水圧によって、第一排水穴3からの水浸入を防止するように機能する。
【0033】
このように、第一排水穴3に閉鎖弁4を設けたことにより、冷却ユニット2内で結露した水滴を常時排出することができ、かつ、水面が電池パック1の直下に接近した場合には、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。
また、電池パック1の底面1fを貫通するように第一排水穴3を下方に突出させるという簡素な構成で、第一排水穴3から排出される水滴を確実に排出することができ、かつ、電池パック1よりも下面で第一排水穴3を塞ぐことができる。
【0034】
また、電池トレイ1aの底面1fと冷却トレイ2bの底面2gとの間には、貫通穴1gを囲むようにシール1eが設けられているため、たとえ水面が電池トレイ1aの底面1fよりも高い位置まで上昇したとしても、電池パック1内への水分の浸入を防止することができる。
さらに、浮力を受けて上方へ移動する浮き部材4cを用いるという簡素な構成で、第一排水穴3の開放及び閉鎖を制御することができ、コストを削減することができる。また、浮き部材4cには上下方向の寸法(厚み)が要求されないため、車体フロアの下面における電池パック1の底面からの出寸法を小さくすることができ、車両用バッテリユニットを小型化することができる。
【0035】
なお、浮き部材4cが軸部材4aとは別体に形成されているため、容易に閉鎖弁4を第一排水穴3に取り付けることができる。
【0036】
[5.変形例等]
[5−1.第一変形例]
第一変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を図5(a),(b)に示す。なお、上述の実施形態で説明された各構成に対応するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図5(a)に示すように、この変形例では第一排水穴3とこれを閉鎖するための閉鎖弁4の形状が上述の実施形態と相違する。第一排水穴3の孔壁は上方よりも下方が拡径されて、弁体としてのボール4hを内蔵する弁体室4eが形成されている。ボール4hの質量は、前述の浮き部材4cと同様に、浮力を受けて上方へ移動する程度に小さく、浸水時に弁体室4eの内部で水面まで浮上するものである。
【0038】
弁体室4eの室内の上面4fは三角錐状の空洞をなしており、その頂部が冷却ユニット2の内部空間と連通している。また、弁体室4e内でのボール4hの位置に関わらず弁体室4eが外部と連通するように、弁体室4eの下面に複数の穴4gが形成されている。
このような構成により、例えば冠水路の走行時に水面が弁体室4eの内部にまで達すると、図5(b)に示すように、ボール4hが浮上して弁体室4eの上面4fに接触し、第一排水穴3が閉鎖される。一方、図5(a)に示すように水位が低下すると自重によりボール4hが弁体室4e内の下方へ移動し、第一排水穴3が開放される。
【0039】
したがって、この第一変形例においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができ、冷却ユニット2内で結露した水滴を常時排出することが可能であり、かつ、水面が電池パック1の直下に接近した場合には、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。
【0040】
[5−2.第二変形例]
第二変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を図6(a),(b)に示す。なお、上述の実施形態で説明された各構成に対応するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図6(a)に示すように、この変形例では上述の実施形態の貫通穴1gの代わりに、第二排水穴5が設けられている。この第二排水穴5は、第一排水穴3よりも大径の筒状に形成されており、電池パック1の内部空間を車体フロアの下方に対して開放する。つまりここでは、上述の実施形態のシール1eが省略されている。また、第二排水穴5の孔壁は下方へ向かって延びるように形成され、その下端5aは第一排水穴3の下端3aよりも下方に設定される。したがって、筒状の第二排水穴5aの内部に第一排水穴3aが配置されることになる。
【0042】
このような構成により、車両の通常走行時には、図6(a)に示すように、閉鎖弁4の自重により複数の突起4dが冷却トレイ2bの底面2gに対して接触し、底面2gと隙間保持部材4bとの隙間が保持される。したがって、冷却ユニット2内の凝結水は第一排水穴3の孔内を通って外部へと排出される。また、冷却ユニット2から吹き出される冷風によって冷やされた電池パック1の内壁やダクト1cに結露が生じたとしても、その水滴は電池トレイ1aの底面1fを伝って第二排水穴5の孔内を通り、外部へ排出される。
【0043】
一方、車両が冠水路等を走行して水面が電池パック1の直下に接近すると、図6(b)に示すように、浮き部材4cが浮力を受けて上方へ移動し、浮き部材4cの上面が第二排水穴5の下端5aを閉塞する。第一排水穴3は閉塞された電池パック1の内部に位置するため、同時に第一排水穴3も閉鎖されることになる。したがって、電池パック1及び冷却ユニット2の内部への水分の浸入が防止される。
【0044】
このように、第二変形例では上述の実施形態の効果に加えて、電池パック1内の凝結水をも外部に排出することができ、かつ、外部からの水分の浸入を防止することができる。
また、冷却ユニット2を内蔵する電池パック1において、第一排水穴3の位置と第二排水穴5の位置とを重ねるという簡素な構成で、一つの閉鎖弁4によって第一排水穴3及び第二排水穴5の開閉状態を同時に制御することができる。つまり、電池パック1及び冷却ユニット2内への浸水を防ぐための手段が一つで済むため、コストを削減することができる。
【0045】
なお、第一排水穴3の下端3aが第二排水穴5の下端5aよりも下方に位置するように設定するのは、例えば浮き部材4cの上面が水平な平面の場合である。つまり、浮き部材4cの上面の形状に応じて第一排水穴3の下端3aと第二排水穴5の下端5aとの高さや端面形状を任意に設定することが可能である。少なくとも、浮き部材4cの上面を第一排水穴3の下端3aの全体に接触させることで、実質的に第一排水穴3と第二排水穴5とを同時に閉塞することができる。
【0046】
[5−3.第三変形例]
上述の実施形態の冷却ユニット2を電池パック1の外部に配置した場合の排水構造について、図7(a)〜(c)を用いて説明する。車体フロアの下方に電池パック1及び冷却ユニット2を個別に設けた場合、車外に排出すべき水分には、おもに以下の二種類が考えられる。
(i) 冷却ユニット2内で結露した水分
(ii) 電池パック1内で結露した水分
【0047】
電池パック1及び冷却ユニット2の内部の空気がほとんど閉鎖された空間の内部で循環している点に鑑み、冷却ユニット2からの冷風によって冷やされたダクト1cや電池パック1内での結露量がごく微量であると予想される場合には、上記の(i)のみに対応する排水構造を用いることが考えられる。一方、ごく微量であっても電池パック1内の水分の排出性を重視する場合には、上記の(ii)のみ、あるいは上記の(i)及び(ii)に対応する排水構造を用いることが考えられる。これらの排水構造は、電池パック1及び冷却ユニット2の設置高さや要求される排水性能,予想される凝結水分量,電池パック1及び冷却ユニット2の製造コスト等に応じて適宜選択可能である。
【0048】
図7(a)に示す例は、上記の(i)に対応する排水構造である。ここでは、冷却トレイ2bの底面2gに形成された第一排水穴3に閉鎖弁4が介装されている。したがって、水面が冷却トレイ2bの直下に接近すると第一排水穴3が閉鎖され、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。一方、電池トレイ1aの底面1fには下方へ開放された開口部が形成されない。したがって、水面が電池パック1の直下に接近したとしても、電池パック1内に水分が浸入することはない。
【0049】
図7(b)に示す例は、上記の(ii)に対応する排水構造である。ここでは、電池トレイ1aの底面1fに形成された第二排水穴5に第二閉鎖弁6(第二閉鎖手段)が介装されている。第二閉鎖弁6は、閉鎖弁4と同様の構成を備えた弁体であり、浮力を受けて上方へ移動し、第二排水穴5を閉塞する。したがって、水面が電池パック1の直下に接近すると第二排水穴5が閉鎖され、外部から電池パック1内への水分の浸入を防止することができる。一方、冷却トレイ2bの底面2gには下方へ開放された開口部が形成されない。したがって、水面が冷却ユニット2の直下に接近したとしても、冷却ユニット2内に水分が浸入することはない。
【0050】
図7(c)に示す例は、上記の(i)及び(ii)の双方に対応する排水構造である。この場合、電池パック1及び冷却ユニット2の内部で結露したあらゆる水分を排出することができ、かつ、外部からの水分の浸入を防止することができる。
【0051】
[6.その他]
上述した実施形態の一例及び変形例に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態及び変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0052】
上述の実施形態及び変形例では、浮力を利用した閉鎖弁4が用いたものが例示されているが、このような構成に代えて、または加えて、電子制御によって排出穴を閉鎖する構成としてもよい。例えば、図3(a)に記載の構成において、貫通穴1gの近傍や第一排水穴3の下端3aの近傍で水分を検出する水分センサを設けるとともに、この水分センサで水分が検出されたときに第一排水穴3を閉鎖する電子制御弁を設けることが考えられる。このような構成により、車両の走行状態に応じたフレキシブルな制御が可能となる。例えば、車両の浸水時に限らず、走行路面からの水分のはね返りが多い場合に、第一排水穴3を閉鎖することができ、冷却ユニット2の内部浸水をより確実に防止することができる。
【0053】
なお、閉鎖弁4の具体的な構造は実施形態及び変形例のものに限定されない。少なくとも、車両フロア下方からの水圧によって第一排水穴3からの水浸入を防止するものであればよく、例えば弾性や可撓性を有する部材を用いたバルブ構造といった、閉鎖弁4自体が上下に移動しない構造のものを含む。
また、上述の実施形態及び変形例では、第一排水穴3や第二排水穴5が冷却ユニット2や電池パック1の底面に形成されたものを例示したが、これらの排水穴は必ずしも底面に設ける必要はない。少なくとも、冷却ユニット2や電池パック1の下部に設けられていればよく、内部の水分が外部へ排出される位置であればよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、モノコックボデーのサブフレームに電池パック1を取り付ける構造を示したが、モノコックボデー以外の車体構造を有する車両への適用も可能であり、例えば、ラダーフレーム構造体に対して電池パック1を固定する構造としてもよい。少なくとも、車両フロアの下方に電池パック1と冷却ユニット2とが設けられる車両全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 電池パック
1a 電池トレイ
1b 電池カバー
1c ダクト
1d グロメット
1e シール
1f 底面
1g 貫通穴
2 冷却ユニット
2a エバポレータ(熱交換器)
2b 冷却トレイ
2c 冷却カバー
2d ファンダクト
2e コア
2f 冷媒配管
2g 底面
3 第一排水穴
3a 下端
4 閉鎖弁(第一閉鎖手段)
4a 軸部材
4b 隙間保持部材
4c 浮き部材
4d 突起
4e 弁体室
4f 上面
4g 穴
4h ボール
5 第二排水穴
5a 下端
6 第二閉鎖弁(第二閉鎖手段)
7 車体フレーム
7a サイドメンバ
7b クロスメンバ
8 電池モジュール
9 ファン
10 バッテリユニット
11 ブラケット
12 開口部
13 冷媒配管穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリユニットの冷却に伴って生じる凝結水を排出する排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に与える環境負荷の大きさに鑑み、内燃機関(エンジン)以外の動力源を搭載したさまざまな種類のエコ自動車が開発されている。電気自動車や燃料電池自動車では、バッテリ(蓄電池,充電池といった二次電池やキャパシタなど)に蓄えられた電気エネルギーで駆動される電動機や電動発電機が動力源として用いられる。また、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーでは内燃機関と電動発電機とが併用され、例えば内燃機関で生成された動力で電動発電機を駆動して充電するものや、減速時の回生エネルギーを利用して充電するもの、内燃機関及び電動発電機による充電だけでなく外部電源からの充電も可能なものなどが提案されている。
【0003】
上述のような車両に搭載されるバッテリには、内部抵抗によるジュール発熱や、充放電時におけるバッテリ内部での化学反応による発熱が生じる。バッテリの発熱量は、消費電力,充放電の頻度が高いほど増大する。一方、バッテリ性能を発揮させるには、バッテリ温度を適切な動作範囲内に保持することが望ましい。
そこで、車室用エアコン装置で冷却された空気をバッテリに供給して、バッテリ温度を制御する技術が提案されている。例えば、エアコン装置から吹き出される冷風を車室内へ導入するダクトと、冷風をバッテリ側へ導入するダクトとを設け、これらのダクトの分岐点に切り換えダンパーを設けたものが知られている。車室内の温度やバッテリ温度に応じて切り換えダンパーを制御することで、車室及びバッテリの双方を冷却することができ、適切な温度管理が実現できるとされている。
【0004】
また、車室用エアコン装置とは別個にバッテリ専用の冷却装置を設ける技術も知られている(例えば、特許文献1)。すなわち、バッテリケースの内部に熱交換器を配置して空気を冷却し、これを送風機でバッテリケース内全体に供給するものである。この技術では、バッテリの冷却効率を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−54379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷却装置の内部や熱交換器の表面には水滴が凝結するため、これらを車外に排出する必要がある。例えば、特許文献1の技術では、冷却装置をバッテリケースの外部側へ傾斜させて取り付けるとともに冷却装置の下方に排水ドレーンを設けて、結露した水滴をバッテリケースの外部へ排出している。つまり、冷却装置の内部空間は排水ドレーンを介して外部に開放されている。
【0007】
そのため、大容量のバッテリユニットを車体フロアの下方に取り付けたレイアウトの場合を考慮すると、車両が冠水路や泥濘地を走行したときに、凝結水を排出するため排水ドレーンから水分や汚泥が浸入するおそれある。一方、バッテリケース及び冷却装置を密閉すれば水分や汚泥による内部汚染が防止されるものの、冷却によって必然的に生じる凝結水を排出することができない。
【0008】
このように、車体フロアの下方に設けられる従来の車両用バッテリユニットでは、水分や汚泥に対する保護性と凝結水の排水性とを両立させることが難しいという課題がある。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成で、車体フロアの下方側に対する水分の遮蔽性を確保しつつ、凝結水の排出性を向上させることである。
【0009】
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、車両フロアの下方に設けられた電池パックと、該車両フロアの下方に設けられ、該電池パックの内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニットと、該冷却ユニットの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第一排水穴と、該車両フロアの下方からの水圧により該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該冷却ユニットが、該電池パックに内蔵されるとともに、該第一排水穴が、該電池パックの下部を貫通して形成されることを特徴としている。
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該第一閉鎖手段が、該第一排水穴よりも下方に設けられ、水中で浮力を受けて上方へ移動するとともに該第一排水穴の下端を閉鎖する浮き部材を有することを特徴としている。
【0012】
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該第一閉鎖手段が、該第一排水穴の近傍で水分を検出するセンサと、該センサで該水分が検出されたときに、該第一排水穴を閉鎖する制御弁と、を有することを特徴としている。
また、開示の車両用バッテリユニットの排水構造は、該電池パックの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第二排水穴と、該車両フロアの下方からの水圧により該第二排水穴からの水浸入を防止する第二閉鎖手段と、をさらに備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
開示の車両用バッテリユニットの排水構造によれば、車両の下方からの水圧により第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段を設けたことにより、第一排水穴から凝結水を排出することができ、かつ外部からの水分の浸入を防止することができる。つまり、車体フロアの下方側に対する水分の遮蔽性を確保しつつ、凝結水の排出性を向上させることができ、冷却ユニットの内部浸水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る排水構造を備えた車両用バッテリユニットの斜視図である。
【図2】図1のバッテリユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2のバッテリユニットの内部構成を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図4】図2のバッテリユニットの閉鎖弁を示す斜視図である。
【図5】第一変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図6】第二変形例としての排水構造を備えた車両バッテリユニットの内部構造を模式的に示す縦断面図であり、(a)は第一排水穴及び第二排水穴の開放状態を示し、(b)は閉鎖状態を示す。
【図7】第三変形例としての排水構造を備えた車両バッテリユニットであって、冷却ユニットが電池パックの外部に設けられた場合の構成を概念的に示す図であり、(a)は冷却ユニット側に排水穴を設けたもの、(b)は電池パック側に排水穴を設けたもの、(c)は冷却ユニット及び電池パックの両方に排水穴を設けたものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して車両用バッテリユニットの排水構造の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.全体構成]
図1は、一実施形態に係る排水構造が適用されたバッテリユニット10及び車体フレーム7を示している。車体フレーム7はモノコックボデーのサブフレームであり、車両の車長方向(前後方向)に延びる左右一対のサイドメンバ7aと、左右のサイドメンバ7a間を車幅方向に架け渡される複数のクロスメンバ7bとが備えられる。ここでは、一対のサイドメンバ7aが車幅方向に離間して配置され、クロスメンバ7bが車長方向に離間して配置される。
【0016】
クロスメンバ7bは、左右のサイドメンバ7aに対して両端部を溶接固定され、梯子状の構造を形成する。これらの車体フレーム7の下面に対して、バッテリユニット10がボルト,ナット等の締結具で固定される。ここでいう車体フレーム7の下面とは車両のフロアパネル(以下、車両フロアともいう)の下方であり、例えばこの車両が水たまりを走行したときに水面下となる可能性のある部位である。
【0017】
[2.バッテリユニット]
バッテリユニット10は、電池パック1とその内部に配置された冷却ユニット2とを備えている。
電池パック1は、強化樹脂や補強用金属プレート等からなる高剛性の絶縁ケースである。電池パック1の形状は水平方向に広がる扁平形状とされ、車体フレーム7よりも下方への突出量が抑えられている。電池パック1は、車両フロアの下方に設けられる。
【0018】
図2に示すように、電池パック1は上下方向に二分割形成されており、下側の電池トレイ1aと上側の電池カバー1bとから構成される。電池トレイ1a及び電池カバー1bは、それぞれ上方及び下方が開放された容器状にモールド成型された部材であり、それぞれの開放された面を互いに向かい合わせに組み合わされて、電池パック1の内部空間を形成する。
【0019】
電池トレイ1aの側面(ここでは、車両の左右側面)には、複数のブラケット11が水平方向に突設される。これらのブラケット11は、電池パック1を車体フレーム7に締結固定するための部材である。また、電池トレイ1aの他の側面(ここでは、車両前方側の側面)には、冷媒配管穴13が穿孔される。冷媒配管穴13は、後述する冷却ユニット2に接続される冷媒配管2fを通すための開口である。
【0020】
電池カバー1bの上面には、上方へ向かって膨出した形状のダクト1cが形成される。ダクト1cは、後述する冷却ユニット2で冷却された空気を電池パック1内の隅々まで供給するための通路を形成する部材である。また、電池カバー1bの上面における電池パック1の内側には、送風用のファン9が収納される。
電池パック1の内部には複数の電池モジュール8と冷却ユニット2とが設けられる。電池モジュール8は、互いに所定の間隔をあけて電池トレイ1a上に配置される。各電池モジュール8には図示しない配線材が接続され、電池パック1の外部に設けられた電動機に対して電力が供給される。
【0021】
冷却ユニット2は、電池パック1内の側端部に配置され、電池パック1の内部の空気を冷却しつつ循環させる。冷却ユニット2で冷却された空気は、ファン9によって押し出されてダクト1c内を通り、各電池モジュール8間の隙間を通過しながら各電池モジュール8を冷却し、再び冷却ユニット2に吸い込まれて冷却される。
図2中に二点鎖線で囲って示すように、冷却ユニット2は、エバポレータ2a(熱交換器),冷却トレイ2b及び冷却カバー2cを有する。エバポレータ2aには、図示しない膨張弁で気化された冷媒の供給を受ける冷媒配管2fが接続される。エバポレータ2aのコア2eには、内部に冷媒が流通する複数のフィンが所定の間隔で並設されており、コア2e内を流通する冷媒がこれらのフィンの間を通過する空気から熱を奪って空気を冷却する。
【0022】
図3(a)に示すように、冷却トレイ2b及び冷却カバー2cは、内部にエバポレータ2aを収容する大きさの容器状に形成される。また、エバポレータ2aのコア2eと対向する冷却ユニット2の側面には開口部12が設けられる。電池パック1の内部の空気は、開口部12を介して冷却ユニット2の内部に導入され、エバポレータ2aのコア2eを通過する。
【0023】
冷却カバー2cの上部にはファンダクト2dが接続される。ファンダクト2dは、冷却された空気をファン9側へ導入するものであり、ファン9の吸い込み口近傍に接続される。なお、空気の流れを図3(a)中に白抜き矢印で示す。
冷却トレイ2bの底面2gには、筒状の第一排水穴3が形成される。また、電池トレイ1aの底面1fにも、上面視において第一排水穴3と重なる位置に貫通穴1gが穿孔される。貫通穴1gの内径は第一排水穴3の外径よりも大きく形成される。
【0024】
第一排水穴3は、エバポレータ2aのコア2eや冷却ユニット2の内壁に結露した水滴を車外へ排出すべく車両フロアの下方に開放された穴であり、底面2gのうちの最も低い位置に設けられる。ここでは、図3(a)に示すように、底面2gが第一排水穴3を中心とした漏斗形状に形成されている。すなわち底面2gは、第一排水穴3の位置が最も低く、第一排水穴3からの水平方向の距離が大きくなるに連れて高くなるように傾斜している。
【0025】
また、第一排水穴3の孔壁は下方へ向かって延びるように形成され、その下端3aは電池トレイ1aの底面1fよりも下方に達している。つまり、第一排水穴3は電池パック1の底面1fを貫通しており、貫通穴1gを通ってその下方に突出する。したがって、冷却ユニット2内に生じた水滴が底面2gに落下すると、水滴は第一排水穴3に向かって流れ、第一排水穴3の内部を通って電池パック1の外部へと排出される。なお、水滴の流れを図3(a)中に黒矢印で示す。
【0026】
電池トレイ1aの底面1fと冷却トレイ2bの底面2gとの間には、貫通穴1gを囲むように環状のシール1eが設けられる。シール1eは、底面1f,2gの両方に対して密着した弾性部材である。これにより、第一排水穴3の孔壁よりも外側と貫通穴1gとの隙間が封止される。また、冷媒配管2fが電池カバー1bの側面を貫通する冷媒配管穴13には、弾性部材からなるグロメット1dが挿入される。これにより、電池パック1の内部空間の気密性,水密性が確保される。
【0027】
[3.閉鎖弁]
第一排水穴3には閉鎖弁4(第一閉鎖手段)が遊挿される。すなわち、閉鎖弁4は第一排水穴3の内部で上下方向に移動自在に設けられる。図4に示すように、閉鎖弁4は軽量の樹脂又は金属で形成された弁体であり、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cを備えて構成される。
【0028】
軸部材4aは、第一排水穴3の内部を通って上下方向に延びるように設けられた軸状の部材である。軸部材4aの外径は第一排水穴3の内径よりも小さく、軸部材4aと第一排水穴3の孔壁との間にはわずかな隙間が形成される。また、軸部材4aの上下方向の長さは、第一排水穴3の上下方向の寸法(穴の深さであって、底面2gから第一排水穴3の下端3aまでの寸法)よりも長く形成される。この軸部材4aの上端に隙間保持部材4bが固定され、下端に浮き部材4cが固定される。
【0029】
隙間保持部材4bは水平方向に広がる円盤状の部材であり、その下面には複数の突起4dが形成される。これらの突起4dは、隙間保持部材4bの表面から下方へ突出した半球状に形成された部位であり、冷却トレイ2bの底面2gに接触して、底面2gと隙間保持部材4bの下面との間に所定の間隙を形成する。なお、図4では軸部材4a,隙間保持部材4b及び複数の突起4dが一体に形成されたものが例示されている。
【0030】
浮き部材4cも水平方向に広がる円盤状の部材である。浮き部材4cは、その上面が第一排水穴3の下端3aに接触して第一排水穴3を閉塞する大きさであり、少なくとも第一排水穴3の孔の内径よりも大きい。図4では、浮き部材4cが軸部材4aとは別体に形成されており、ボルト,スクリューねじ等の任意の固定手段で軸部材4aに固定されたものが例示されている。
【0031】
閉鎖弁4の質量は、水中で浮力を受けて上方へ移動する程度の重さである。ここでは、図3(b)に示すように、浸水時に浮き部材4cが水面まで浮上するように、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cのそれぞれの重さが設定されている。なお、軸部材4a,隙間保持部材4b及び浮き部材4cの内部を中空に形成することが好ましい。
【0032】
[4.作用,効果]
図3(a)に示すように、車両の通常走行時には、閉鎖弁4の自重により複数の突起4dが冷却トレイ2bの底面2gに対して接触し、底面2gと隙間保持部材4bとの隙間が保持される。つまり、冷却ユニット2の内部空間が、電池パック1の外部に対して常に開放された状態となる。これにより、エバポレータ2aの表面や冷却ユニット2の内部で結露した水滴は、底面2gを伝って第一排水穴3の孔内を通り、電池パック1の外部へとスムーズに排出される。一方、車両が冠水路等を走行して水面が電池パック1の直下に接近すると、図3(b)に示すように、浮き部材4cが浮力を受けて上方へ移動し、第一排水穴3の下端3aを閉塞する。つまり、閉鎖弁4は車両フロアの下方からの水圧によって、第一排水穴3からの水浸入を防止するように機能する。
【0033】
このように、第一排水穴3に閉鎖弁4を設けたことにより、冷却ユニット2内で結露した水滴を常時排出することができ、かつ、水面が電池パック1の直下に接近した場合には、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。
また、電池パック1の底面1fを貫通するように第一排水穴3を下方に突出させるという簡素な構成で、第一排水穴3から排出される水滴を確実に排出することができ、かつ、電池パック1よりも下面で第一排水穴3を塞ぐことができる。
【0034】
また、電池トレイ1aの底面1fと冷却トレイ2bの底面2gとの間には、貫通穴1gを囲むようにシール1eが設けられているため、たとえ水面が電池トレイ1aの底面1fよりも高い位置まで上昇したとしても、電池パック1内への水分の浸入を防止することができる。
さらに、浮力を受けて上方へ移動する浮き部材4cを用いるという簡素な構成で、第一排水穴3の開放及び閉鎖を制御することができ、コストを削減することができる。また、浮き部材4cには上下方向の寸法(厚み)が要求されないため、車体フロアの下面における電池パック1の底面からの出寸法を小さくすることができ、車両用バッテリユニットを小型化することができる。
【0035】
なお、浮き部材4cが軸部材4aとは別体に形成されているため、容易に閉鎖弁4を第一排水穴3に取り付けることができる。
【0036】
[5.変形例等]
[5−1.第一変形例]
第一変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を図5(a),(b)に示す。なお、上述の実施形態で説明された各構成に対応するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図5(a)に示すように、この変形例では第一排水穴3とこれを閉鎖するための閉鎖弁4の形状が上述の実施形態と相違する。第一排水穴3の孔壁は上方よりも下方が拡径されて、弁体としてのボール4hを内蔵する弁体室4eが形成されている。ボール4hの質量は、前述の浮き部材4cと同様に、浮力を受けて上方へ移動する程度に小さく、浸水時に弁体室4eの内部で水面まで浮上するものである。
【0038】
弁体室4eの室内の上面4fは三角錐状の空洞をなしており、その頂部が冷却ユニット2の内部空間と連通している。また、弁体室4e内でのボール4hの位置に関わらず弁体室4eが外部と連通するように、弁体室4eの下面に複数の穴4gが形成されている。
このような構成により、例えば冠水路の走行時に水面が弁体室4eの内部にまで達すると、図5(b)に示すように、ボール4hが浮上して弁体室4eの上面4fに接触し、第一排水穴3が閉鎖される。一方、図5(a)に示すように水位が低下すると自重によりボール4hが弁体室4e内の下方へ移動し、第一排水穴3が開放される。
【0039】
したがって、この第一変形例においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができ、冷却ユニット2内で結露した水滴を常時排出することが可能であり、かつ、水面が電池パック1の直下に接近した場合には、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。
【0040】
[5−2.第二変形例]
第二変形例としての排水構造を備えた車両用バッテリユニットの内部構造を図6(a),(b)に示す。なお、上述の実施形態で説明された各構成に対応するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
図6(a)に示すように、この変形例では上述の実施形態の貫通穴1gの代わりに、第二排水穴5が設けられている。この第二排水穴5は、第一排水穴3よりも大径の筒状に形成されており、電池パック1の内部空間を車体フロアの下方に対して開放する。つまりここでは、上述の実施形態のシール1eが省略されている。また、第二排水穴5の孔壁は下方へ向かって延びるように形成され、その下端5aは第一排水穴3の下端3aよりも下方に設定される。したがって、筒状の第二排水穴5aの内部に第一排水穴3aが配置されることになる。
【0042】
このような構成により、車両の通常走行時には、図6(a)に示すように、閉鎖弁4の自重により複数の突起4dが冷却トレイ2bの底面2gに対して接触し、底面2gと隙間保持部材4bとの隙間が保持される。したがって、冷却ユニット2内の凝結水は第一排水穴3の孔内を通って外部へと排出される。また、冷却ユニット2から吹き出される冷風によって冷やされた電池パック1の内壁やダクト1cに結露が生じたとしても、その水滴は電池トレイ1aの底面1fを伝って第二排水穴5の孔内を通り、外部へ排出される。
【0043】
一方、車両が冠水路等を走行して水面が電池パック1の直下に接近すると、図6(b)に示すように、浮き部材4cが浮力を受けて上方へ移動し、浮き部材4cの上面が第二排水穴5の下端5aを閉塞する。第一排水穴3は閉塞された電池パック1の内部に位置するため、同時に第一排水穴3も閉鎖されることになる。したがって、電池パック1及び冷却ユニット2の内部への水分の浸入が防止される。
【0044】
このように、第二変形例では上述の実施形態の効果に加えて、電池パック1内の凝結水をも外部に排出することができ、かつ、外部からの水分の浸入を防止することができる。
また、冷却ユニット2を内蔵する電池パック1において、第一排水穴3の位置と第二排水穴5の位置とを重ねるという簡素な構成で、一つの閉鎖弁4によって第一排水穴3及び第二排水穴5の開閉状態を同時に制御することができる。つまり、電池パック1及び冷却ユニット2内への浸水を防ぐための手段が一つで済むため、コストを削減することができる。
【0045】
なお、第一排水穴3の下端3aが第二排水穴5の下端5aよりも下方に位置するように設定するのは、例えば浮き部材4cの上面が水平な平面の場合である。つまり、浮き部材4cの上面の形状に応じて第一排水穴3の下端3aと第二排水穴5の下端5aとの高さや端面形状を任意に設定することが可能である。少なくとも、浮き部材4cの上面を第一排水穴3の下端3aの全体に接触させることで、実質的に第一排水穴3と第二排水穴5とを同時に閉塞することができる。
【0046】
[5−3.第三変形例]
上述の実施形態の冷却ユニット2を電池パック1の外部に配置した場合の排水構造について、図7(a)〜(c)を用いて説明する。車体フロアの下方に電池パック1及び冷却ユニット2を個別に設けた場合、車外に排出すべき水分には、おもに以下の二種類が考えられる。
(i) 冷却ユニット2内で結露した水分
(ii) 電池パック1内で結露した水分
【0047】
電池パック1及び冷却ユニット2の内部の空気がほとんど閉鎖された空間の内部で循環している点に鑑み、冷却ユニット2からの冷風によって冷やされたダクト1cや電池パック1内での結露量がごく微量であると予想される場合には、上記の(i)のみに対応する排水構造を用いることが考えられる。一方、ごく微量であっても電池パック1内の水分の排出性を重視する場合には、上記の(ii)のみ、あるいは上記の(i)及び(ii)に対応する排水構造を用いることが考えられる。これらの排水構造は、電池パック1及び冷却ユニット2の設置高さや要求される排水性能,予想される凝結水分量,電池パック1及び冷却ユニット2の製造コスト等に応じて適宜選択可能である。
【0048】
図7(a)に示す例は、上記の(i)に対応する排水構造である。ここでは、冷却トレイ2bの底面2gに形成された第一排水穴3に閉鎖弁4が介装されている。したがって、水面が冷却トレイ2bの直下に接近すると第一排水穴3が閉鎖され、外部から冷却ユニット2内への水分の浸入を防止することができる。一方、電池トレイ1aの底面1fには下方へ開放された開口部が形成されない。したがって、水面が電池パック1の直下に接近したとしても、電池パック1内に水分が浸入することはない。
【0049】
図7(b)に示す例は、上記の(ii)に対応する排水構造である。ここでは、電池トレイ1aの底面1fに形成された第二排水穴5に第二閉鎖弁6(第二閉鎖手段)が介装されている。第二閉鎖弁6は、閉鎖弁4と同様の構成を備えた弁体であり、浮力を受けて上方へ移動し、第二排水穴5を閉塞する。したがって、水面が電池パック1の直下に接近すると第二排水穴5が閉鎖され、外部から電池パック1内への水分の浸入を防止することができる。一方、冷却トレイ2bの底面2gには下方へ開放された開口部が形成されない。したがって、水面が冷却ユニット2の直下に接近したとしても、冷却ユニット2内に水分が浸入することはない。
【0050】
図7(c)に示す例は、上記の(i)及び(ii)の双方に対応する排水構造である。この場合、電池パック1及び冷却ユニット2の内部で結露したあらゆる水分を排出することができ、かつ、外部からの水分の浸入を防止することができる。
【0051】
[6.その他]
上述した実施形態の一例及び変形例に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態及び変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0052】
上述の実施形態及び変形例では、浮力を利用した閉鎖弁4が用いたものが例示されているが、このような構成に代えて、または加えて、電子制御によって排出穴を閉鎖する構成としてもよい。例えば、図3(a)に記載の構成において、貫通穴1gの近傍や第一排水穴3の下端3aの近傍で水分を検出する水分センサを設けるとともに、この水分センサで水分が検出されたときに第一排水穴3を閉鎖する電子制御弁を設けることが考えられる。このような構成により、車両の走行状態に応じたフレキシブルな制御が可能となる。例えば、車両の浸水時に限らず、走行路面からの水分のはね返りが多い場合に、第一排水穴3を閉鎖することができ、冷却ユニット2の内部浸水をより確実に防止することができる。
【0053】
なお、閉鎖弁4の具体的な構造は実施形態及び変形例のものに限定されない。少なくとも、車両フロア下方からの水圧によって第一排水穴3からの水浸入を防止するものであればよく、例えば弾性や可撓性を有する部材を用いたバルブ構造といった、閉鎖弁4自体が上下に移動しない構造のものを含む。
また、上述の実施形態及び変形例では、第一排水穴3や第二排水穴5が冷却ユニット2や電池パック1の底面に形成されたものを例示したが、これらの排水穴は必ずしも底面に設ける必要はない。少なくとも、冷却ユニット2や電池パック1の下部に設けられていればよく、内部の水分が外部へ排出される位置であればよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、モノコックボデーのサブフレームに電池パック1を取り付ける構造を示したが、モノコックボデー以外の車体構造を有する車両への適用も可能であり、例えば、ラダーフレーム構造体に対して電池パック1を固定する構造としてもよい。少なくとも、車両フロアの下方に電池パック1と冷却ユニット2とが設けられる車両全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 電池パック
1a 電池トレイ
1b 電池カバー
1c ダクト
1d グロメット
1e シール
1f 底面
1g 貫通穴
2 冷却ユニット
2a エバポレータ(熱交換器)
2b 冷却トレイ
2c 冷却カバー
2d ファンダクト
2e コア
2f 冷媒配管
2g 底面
3 第一排水穴
3a 下端
4 閉鎖弁(第一閉鎖手段)
4a 軸部材
4b 隙間保持部材
4c 浮き部材
4d 突起
4e 弁体室
4f 上面
4g 穴
4h ボール
5 第二排水穴
5a 下端
6 第二閉鎖弁(第二閉鎖手段)
7 車体フレーム
7a サイドメンバ
7b クロスメンバ
8 電池モジュール
9 ファン
10 バッテリユニット
11 ブラケット
12 開口部
13 冷媒配管穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フロアの下方に設けられた電池パックと、
該車両フロアの下方に設けられ、該電池パックの内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニットと、
該冷却ユニットの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第一排水穴と、
該車両フロアの下方からの水圧により該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段と、を備えたことを特徴とする、車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項2】
該冷却ユニットが、該電池パックに内蔵されるとともに、
該第一排水穴が、該電池パックの下部を貫通して形成される
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項3】
該第一閉鎖手段が、
該第一排水穴よりも下方に設けられ、水中で浮力を受けて上方へ移動するとともに該第一排水穴の下端を閉鎖する浮き部材を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項4】
該第一閉鎖手段が、
該第一排水穴の近傍で水分を検出するセンサと、
該センサで該水分が検出されたときに、該第一排水穴を閉鎖する制御弁と、を有する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項5】
該電池パックの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第二排水穴と、
該車両フロアの下方からの水圧により該第二排水穴からの水浸入を防止する第二閉鎖手段と、をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項1】
車両フロアの下方に設けられた電池パックと、
該車両フロアの下方に設けられ、該電池パックの内部の空気を冷却する熱交換器を有する冷却ユニットと、
該冷却ユニットの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第一排水穴と、
該車両フロアの下方からの水圧により該第一排水穴からの水浸入を防止する第一閉鎖手段と、を備えたことを特徴とする、車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項2】
該冷却ユニットが、該電池パックに内蔵されるとともに、
該第一排水穴が、該電池パックの下部を貫通して形成される
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項3】
該第一閉鎖手段が、
該第一排水穴よりも下方に設けられ、水中で浮力を受けて上方へ移動するとともに該第一排水穴の下端を閉鎖する浮き部材を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項4】
該第一閉鎖手段が、
該第一排水穴の近傍で水分を検出するセンサと、
該センサで該水分が検出されたときに、該第一排水穴を閉鎖する制御弁と、を有する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【請求項5】
該電池パックの下部に形成され、該車両フロアの下方に開放された第二排水穴と、
該車両フロアの下方からの水圧により該第二排水穴からの水浸入を防止する第二閉鎖手段と、をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用バッテリユニットの排水構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−173447(P2011−173447A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37145(P2010−37145)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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