説明

車両用進行方向教示システム

【課題】車室内の乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示する。
【解決手段】本発明の車両用進行方向教示システムは、自車両の進行方向を検出するためのナビゲーション装置12と、車両用シートに着座する乗員の異なる複数箇所に対して触覚を付与可能な複数のアクチュエータ14と、着座乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるように、ナビゲーション装置12の出力情報に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させるECU16と、を備える。着座乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるので、着座乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用進行方向教示システムに係り、特に自車両の進行方向を教示する構成を備えた車両用進行方向教示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用進行方向教示システムとしては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、ナビゲーションシステムの報知装置の例が開示されている。この特許文献1に記載の例では、車両用シートのシートクッションに左右一対の振動体が設けられており、この左右一対の振動体の一方が自車両の右左折に合わせて振動されて自車両の進行方向が着座乗員に対して教示されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−221051号公報
【特許文献1】特開2002−172986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、左右一対の振動体の一方を単独で振動させるだけである。このため、着座乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができるようにするためには改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車室内の乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる車両用進行方向教示システムを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用進行方向教示システムは、自車両の進行方向を検出するための進行方向検出手段と、車室内の乗員の異なる複数箇所に対して触覚を付与可能な進行方向教示手段と、前記乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるように、前記進行方向検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の車両用進行方向教示システムでは、進行方向検出手段によって自車両の進行方向が検出されると、この進行方向検出手段の検出結果に基づいて進行方向教示手段が作動されることで、乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動される。
【0007】
このように、請求項1に記載の車両用進行方向教示システムによれば、乗員に対して触覚を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて移動させることができるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【0008】
請求項2に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、自車両の進行方向変化時における方向変化速度を検出するための方向変化速度検出手段を備え、前記進行方向教示手段は、前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さを変更可能に構成され、前記制御手段は、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、前記方向変化速度検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の車両用進行方向教示システムでは、方向変化速度検出手段によって自車両の進行方向変化時における方向変化速度が検出されると、この方向変化速度検出手段の検出結果に基づいて進行方向教示手段が作動されることで、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は乗員に対して付与する触覚の強さが自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更される。
【0010】
このように、請求項2に記載の車両用進行方向教示システムによれば、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は乗員に対して付与する触覚の強さが自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向に加えて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0011】
請求項3に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項2に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記方向変化速度検出手段は、ナビゲーション装置とされている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の車両用進行方向教示システムによれば、ナビゲーション装置から自車両の進行方向変化時における方向変化速度に関する予測情報を得ることができるので、自車両の進行方向が変化する前の段階で車室内の乗員に対して自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0013】
請求項4に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向検出手段は、ナビゲーション装置とされ、前記進行方向教示手段は、前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さを変更可能に構成され、前記制御手段は、前記ナビゲーション装置の出力情報に基づいて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を予測すると共に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、前記ナビゲーション装置の出力情報に基づく予測結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の車両用進行方向教示システムでは、ナビゲーション装置の出力情報に基づいて自車両の進行方向変化時における方向変化速度が予測される。そして、この予測結果に基づいて進行方向教示手段が作動されることで、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は乗員に対して付与する触覚の強さが変更される。
【0015】
このように、請求項4に記載の車両用進行方向教示システムによれば、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は乗員に対して付与する触覚の強さが自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向に加えて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0016】
また、ナビゲーション装置の出力情報に基づくことにより制御手段において自車両の進行方向変化時における方向変化速度を予測することができる。これにより、自車両の進行方向が変化する前の段階で車室内の乗員に対して自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0017】
請求項5に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向教示手段は、車室内に備えられた車両用シートに設けられている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段が着座乗員に直接的に接触される車両用シートに設けられているので、この着座乗員に対して自車両の進行方向をより一層的確に教示することができる。
【0019】
ここで、例えば、複数の乗員の着座を可能とするベンチシートタイプの車両用シートに左右一対の振動体を単に設けた場合、この左右一対の振動体の一方が自車両の進行方向に応じて振動しても、この振動している振動体に対する着座乗員の相対位置が適切でない場合には、着座乗員に対して自車両の進行方向を的確に教示できない虞がある。つまり、例えば、車両右側に配置された振動体が振動しても、この振動体に対して車両右側に着座している乗員にとっては車両左側の振動体が振動することとなり、乗員に対して自車両の進行方向が的確に教示されていない。
【0020】
この点、請求項5に記載の車両用進行方向教示システムによれば、例えば、車両用シートが複数の乗員の着座を可能とするベンチシートタイプとされていても、この複数の着座乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるので、この車両用シートのいずれの場所に着座する乗員に対しても自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【0021】
請求項6に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項5に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記車両用シートへの前記乗員の着座の有無を検出するための着座検出手段を備え、前記制御手段は、前記着座検出手段の検出結果に基づいて前記車両用シートに前記乗員が着座していないと判断した場合には前記進行方向教示手段の作動を禁止する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の車両用進行方向教示システムによれば、着座検出手段の検出結果に基づいて車両用シートに乗員が着座していないと判断された場合には進行方向教示手段の作動が禁止されるので、車両用シートに乗員が着座していないにもかかわらず進行方向教示手段が作動されるという無駄を抑制できる。
【0023】
請求項7に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項6に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記着座検出手段は、前記進行方向教示手段に対して前記乗員から作用する荷重を検出する荷重検出手段とされ、前記制御手段は、前記荷重検出手段の検出結果に基づいて前記車両用シートへの前記乗員の着座の有無を判断する、ことを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段に対して乗員から直接的に作用する荷重に基づいて車両用シートへの乗員の着座の有無が判断されるので、車両用シートへの乗員の着座の有無の判断精度を向上することができる。
【0025】
請求項8に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項7に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向教示手段は、前記荷重検出手段を兼ねる、ことを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段が荷重検出手段を兼ねるので、進行方向教示手段に対して乗員から作用する荷重を検出するための特別なセンサを不要にすることができる。
【0027】
請求項9に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記乗員の体格を検出するための体格検出手段を備え、前記進行方向教示手段は、第一の体格を有する乗員に対して触覚を付与するための第一進行方向教示手段と、第二の体格を有する乗員に対して触覚を付与するための第二進行方向教示手段と、を有し、前記制御手段は、前記体格検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が前記第一の体格を有すると判断した場合には前記第一進行方向教示手段を作動させ、前記体格検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が前記第二の体格を有すると判断した場合には前記第二進行方向教示手段を作動させる、ことを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の車両用進行方向教示システムでは、体格検出手段の検出結果に基づいて乗員が第一の体格を有すると判断された場合には第一進行方向教示手段が作動され、体格検出手段の検出結果に基づいて乗員が第二の体格を有すると判断された場合には第二進行方向教示手段が作動される。
【0029】
このように、請求項9に記載の車両用進行方向教示システムによれば、乗員の体格に応じて第一進行方向教示手段及び第二進行方向教示手段が選択的に作動されるので、乗員によって体格が異なる場合でも、乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【0030】
請求項10に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項9に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向教示手段は、前記乗員の異なる複数箇所に対してそれぞれ触覚を付与する進行方向教示部を複数有し、前記複数の進行方向教示部は、前記体格検出手段を兼ねる、ことを特徴とする。
【0031】
請求項10に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段が乗員の異なる複数箇所に対してそれぞれ触覚を付与する進行方向教示部を複数有して構成されており、この複数の進行方向教示部が体格検出手段を兼ねるので、着座乗員の体格を検出するための特別なセンサを不要にすることができる。
【0032】
請求項11に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記乗員の状態を検出するための乗員状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記乗員状態検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が睡眠状態にあると判断した場合には前記進行方向教示手段を停止させる、ことを特徴とする。
【0033】
請求項11に記載の車両用進行方向教示システムによれば、乗員状態検出手段の検出結果に基づいて乗員が睡眠状態にあると判断された場合には進行方向教示手段が停止されるので、乗員が睡眠状態にもかかわらず進行方向教示手段が作動されることを抑制できる。
【0034】
請求項12に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記制御手段は、前記進行方向教示手段を作動させることで前記乗員に対して自車両の進行方向を教示させる前に、前記自車両の進行方向を教示させる場合と異なる態様で前記進行方向教示手段を作動させる、ことを特徴とする。
【0035】
請求項12に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段が作動されることによって乗員に対して自車両の進行方向が教示される前に、この自車両の進行方向が教示される場合と異なる態様で進行方向教示手段が作動されるので、乗員に対して自車両の進行方向の教示が開始されることを事前に教示できる。
【0036】
請求項13に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記制御手段は、前記乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように前記進行方向教示手段を作動させる進行方向教示モードと、前記乗員が所望するタイミングとなったと判断した場合に前記進行方向教示モードと異なる態様で前記進行方向教示手段を作動させる目覚ましモードと、を取り得るように構成されている、ことを特徴とする。
【0037】
請求項13に記載の車両用進行方向教示システムによれば、制御手段が目覚ましモードとなった場合には、乗員が所望するタイミングとなったときに進行方向教示モードと異なる態様で進行方向教示手段が作動されるので、自車両の進行方向の教示が開始されたことと混同させず乗員を目覚めさせることができる。
【0038】
請求項14に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記制御手段は、前記乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように前記進行方向教示手段を作動させる進行方向教示モードと、前記乗員に対してマッサージ刺激が付与されるように前記進行方向教示手段を作動させるマッサージモードと、を取り得るように構成されている、ことを特徴とする。
【0039】
請求項14に記載の車両用進行方向教示システムによれば、制御手段がマッサージとなったときには、乗員に対してマッサージ刺激を付与できるので、これにより、乗員に対しより快適な車室内空間を提供できる。
【0040】
請求項15に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向検出手段は、前記乗員の操舵意思を検出する操舵意思検出手段とされ、前記制御手段は、前記操舵意思検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、ことを特徴とする。
【0041】
請求項15に記載の車両用進行方向教示システムによれば、操舵意思検出手段によって乗員の操舵意思が検出されると、この操舵意思検出手段の検出結果に基づいて進行方向教示手段が作動される。従って、乗員の操舵意思に従って進行方向教示手段を作動させることができる。
【0042】
請求項16に記載の車両用進行方向教示システムは、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システムにおいて、前記進行方向教示手段は、車両左右方向に並んで配置された複数の振動部、車両左右方向に並んで配置された複数の変位部、及び、車両左右方向に移動可能な移動部のいずれかを有して構成されている、ことを特徴とする。
【0043】
請求項16に記載の車両用進行方向教示システムによれば、進行方向教示手段が、車両左右方向に並んで配置された複数の振動体、車両左右方向に並んで配置された複数の変位体、及び、車両左右方向に移動可能な移動子の少なくともいずれかを有して構成されているので、これにより、車室内の乗員の異なる複数箇所に対して触覚を付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0044】
以上詳述したように、本発明によれば、乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0046】
図1には、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10の全体構成がブロック図にて示されている。この図に示される車両用進行方向教示システム10は、例えば、ミニバン等の乗用自動車に好適に装備されるものであり、進行方向検出手段としてのナビゲーション装置12と、進行方向教示手段及び複数の振動部としての複数のアクチュエータ14と、制御手段としてのECU16と、を主要な構成として備えている。
【0047】
ナビゲーション装置12は、例えば、GPSから得られる自車両の走行位置を基に自車両の走行路に関する地図情報を取得して自車両の進行方向変化に関する予測情報及び自車両の進行方向変化終了に関する情報を生成し、これらの情報をECU16に出力する構成とされている。
【0048】
複数のアクチュエータ14のそれぞれは、例えば圧電素子により構成されており、ECU16からの制御信号に応じて振動を発生する構成とされている。ここで、図2には、複数のアクチュエータ14が内蔵された車両用シート18が示されている。なお、この車両用シート18は、例えば、ミニバン等の乗用自動車における三列目シートとされている。
【0049】
この車両用シート18において、複数のアクチュエータ14は、シート表面に近い位置に内蔵されると共に、シートバック20のシート幅方向(車両左右方向)及びシート高さ方向並びにシートクッション22のシート幅方向及びシート前後方向にそれぞれ並んで配置されている。そして、これにより、複数のアクチュエータ14は、車両用シート18に着座する乗員の異なる複数箇所に対して触覚(振動)を付与可能とされている。
【0050】
図1に示されるECU16は、上述のナビゲーション装置12から出力された自車両の進行方向変化に関する予測情報に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させる構成とされている。なお、このECU16の動作詳細については以下の作用及び効果と併せて説明する。
【0051】
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0052】
図3には、本発明の第一実施形態におけるECU16の動作の流れが示されている。ECU16は、例えば電源が投入されると図3のフローチャートで示されるプログラム処理を開始する。ECU16は、図3のフローチャートで示されるプログラム処理を開始すると、先ず、ナビゲーション装置12からの出力情報を入力し、この出力情報に自車両の進行方向変化に関する予測情報が含まれているか否かを判断する(ステップS10)。
【0053】
そして、ECU16は、ナビゲーション装置12からの出力情報に自車両の進行方向変化に関する予測情報が含まれていないと判断した場合(ステップS10:NO)には、自車両の進行方向変化に関する予測情報が含まれていると判断するまでステップS10の処理を繰り返し行う。
【0054】
一方、ECU16は、ナビゲーション装置12からの出力情報に自車両の進行方向変化に関する予測情報が含まれていると判断した場合(ステップS10:YES)には、この複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて連続的に順次作動させる(ステップS15)。
【0055】
つまり、例えば自車両が右折等する場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14のうち振動を発生するアクチュエータを車両左方向から右方向へ順次切り替える。これにより、車両用シート18に着座する乗員においては触覚(振動)が付与される位置が車両左方向から右方向へ順に移動される。
【0056】
一方、例えば自車両が左折等する場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14のうち振動を発生するアクチュエータを車両右方向から左方向へ順次切り替える。これにより、車両用シート18に着座する乗員においては触覚(振動)が付与される位置が車両右方向から左方向へ順に移動される。
【0057】
このように、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10では、複数のアクチュエータ14が自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動されることで、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(振動)を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて順に移動される。
【0058】
そして、ECU16は、ナビゲーション装置12からの出力情報を再び入力し、この出力情報に自車両の進行方向変化終了に関する情報が含まれているか否かを判断する(ステップS20)。
【0059】
ここで、例えば自車両が右左折等の途中である場合、ナビゲーション装置12からは自車両の進行方向変化終了に関する情報が出力されないので、この場合に、ECU16は、自車両の進行方向の変化が終了されていないと判断し(ステップS20:NO)、自車両の進行方向の変化が終了されたと判断するまでステップS15〜ステップS20の処理を繰り返し行う。
【0060】
一方、例えば自車両が右左折等を完了した場合、ナビゲーション装置12からは自車両の進行方向変化終了に関する情報が出力されるので、この場合、ECU16は、自車両の進行方向の変化が終了されたと判断し(ステップS20:YES)、複数のアクチュエータ14の作動を停止させる(ステップS25)。
【0061】
以上詳述したように、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10によれば、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させることで、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0062】
従って、例えば、車両用シート18がミニバン等の乗用自動車における三列目シートのように車両前方の情報取得が運転席シートや助手席シート等に比べて困難である座席シートである場合でも、この車両用シート18に着座する乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。これにより、例えば、この車両用シート18に着座する乗員が車酔いしたり、進行方向と心理状態との差によって不快な思いをしたりすることを抑制できる。
【0063】
また、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10によれば、複数のアクチュエータ14が着座乗員に直接的に接触される車両用シート18に設けられているので、この着座乗員に対して自車両の進行方向をより一層的確に教示することができる。
【0064】
ここで、例えば、複数の乗員の着座を可能とするベンチシートタイプの車両用シート18に左右一対の振動体を単に設けた場合、この左右一対の振動体の一方が自車両の進行方向に応じて振動しても、この振動している振動体に対する着座乗員の相対位置が適切でない場合には、着座乗員に対して自車両の進行方向を的確に教示できない虞がある。つまり、例えば、車両右側に配置された振動体が振動しても、この振動体に対して車両右側に着座している乗員にとっては車両左側の振動体が振動することとなり、乗員に対して自車両の進行方向が的確に教示されていない。
【0065】
この点、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10によれば、例えば、複数の乗員の着座を可能とするベンチシートタイプの車両用シート18であっても、この複数の着座乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて順に移動されるので、この車両用シート18のいずれの場所に着座する乗員に対しても自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【0066】
また、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10によれば、ナビゲーション装置12から自車両の進行方向変化に関する予測情報を得ることができるので、自車両の進行方向が変化する前の段階で車室内の乗員に対して自車両の進行方向を教示することができる。
【0067】
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10の変形例について説明する。
【0068】
例えば、上記実施形態において、複数のアクチュエータ14は、自車両の予測される進行方向に合わせて振動を発生するアクチュエータが順次切り替えるように作動されていたが、次のように作動されても良い。
【0069】
すなわち、複数のアクチュエータ14は、自車両の予測される進行方向に合わせて振動を発生するアクチュエータが一つずつ増加されるように作動されても良い。このようにしても、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(振動)を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0070】
また、上記実施形態において、ECU16は、ナビゲーション装置12からの出力情報に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させる構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0071】
すなわち、図4に示される変形例では、上述のナビゲーション装置12の代わりに進行方向検出手段及び操舵意思検出手段としての操舵意思検出センサ24が用いられている。
【0072】
操舵意思検出センサ24は、例えば、方向指示器操作部(ウィンカーレバー)の操作方向を検出するスイッチ、ステアリングホイールの操作方向を検出するセンサ、運転者の音声指示方向(例えば、「これから右に曲がります」などの音声指示)を検出するマイク等とされ、乗員の操舵意思に応じた信号をECU16に出力する構成とされている。
【0073】
そして、ECU16は、この操作意思検出センサ24からの出力信号に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させる構成とされている。なお、操舵意思検出センサ24としてマイクを用いる場合、ECU16には、音声認識用のソフトウェアを組み込んでおけば良い。このように構成されていると、乗員の操舵意思に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させることができる。
【0074】
また、上記実施形態では、複数のアクチュエータ14によって車両用シート18に着座する乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように構成されていたが、次のように構成されていても良い。
【0075】
すなわち、図5に示される変形例では、進行方向教示手段及び複数の変位部としての複数の収縮バッグ26がシートバック20にシート幅方向(車両左右方向)及びシート高さ方向にそれぞれ並んで配置された状態で内蔵されている。シート幅方向に隣り合う収縮バッグ26は、チューブ28を介して流体を流出入可能に接続されており、シート片側におけるシート幅方向両側の収縮バッグ26は、コンプレッサ30と流体を流出入可能に接続されている。コンプレッサ30は、上述のECU16から出力された制御信号に応じてシート片側におけるシート幅方向両側の収縮バッグ26のうちの一方に流体(液体や気体)を供給する構成とされている。
【0076】
このように構成されていても、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、複数の収縮バッグ26が自車両の予測される進行方向に合わせて順次膨張される(つまり膨張される収縮バッグ26が一つずつ増加される)ので、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(押圧)を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0077】
なお、各収縮バッグ26がコンプレッサ30とそれぞれ流体を流出入可能に接続され、自車両の予測される進行方向に合わせて収縮バッグ26の収縮が順次切り替えるように構成されていても良い。このように構成されていても、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(押圧)を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0078】
また、図6に示される変形例では、進行方向教示手段としての収縮バッグ32が車両用シート18におけるシートバック20に内蔵されている。各収縮バッグ32には、シート片側におけるシート幅方向(車両左右方向)に並んで配置された変位部としての収縮室34が複数設けられている。各収縮室34は、弁36を介して流体を流出入可能に連通されており、シート片側におけるシート幅方向両側の収縮室34は、コンプレッサ30と流体を流出入可能に接続されている。コンプレッサ30は、上述のECU16から出力された制御信号に応じてシート片側におけるシート幅方向両側の収縮室34のうちの一方に流体(液体や気体)を供給する構成とされている。
【0079】
このように構成されていても、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、複数の収縮室34が自車両の予測される進行方向に合わせて順次膨張される(つまり膨張される収縮室34が一つずつ増加される)ので、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(押圧)を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0080】
なお、各収縮室34がコンプレッサ30とそれぞれ流体を流出入可能に接続され、自車両の予測される進行方向に合わせて収縮室34の収縮が順次切り替えるように構成されていても良い。このように構成されていても、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚(押圧)を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0081】
また、図7,図8に示される変形例では、進行方向教示手段としてのスライダ装置38が車両用シート18におけるシートバック20に内蔵されており、各スライダ装置38は、移動部40及び固定部42を備えて構成されている。移動部40は、ピニオン44、ピニオン44を回転させるモータ46、及びこれらを収容するケース47を有し、ケース47により、例えば、シートバック20の乗員支持面を乗員方向に向けて突出させるようにして、乗員に触覚(押圧)を付与可能に構成されている。固定部42は、シートバック20にシート幅方向(車両左右方向)に沿って設けられピニオン44と噛合されたラックとされている。
【0082】
そして、この変形例では、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、ECU16からの制御信号を受けてモータ46が回転され、これにより、ピニオン44が回転されることで、移動部40が固定部42に対して車両左右方向に移動される構成とされている。
【0083】
このように構成されていても、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、移動部40が自車両の予測される進行方向に合わせて順に移動されるので、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0084】
なお、上述のように移動部40によって自車両の進行方向を着座乗員に対して教示する以外は、移動部40がシートバック20の乗員支持面に対し乗員と反対側に退避されることが望ましい。
【0085】
また、図9に示される変形例では、進行方向教示手段としてのベルト駆動装置48が車両用シート18におけるシートバック20に内蔵されており、各ベルト駆動装置48は、一対のプーリ50、一対のプーリ50の一方を回転させるモータ52、一対のプーリ50に掛け渡しされたベルト54、ベルト54に一体的に設けられた移動部56を備えて構成されている。また、各ベルト駆動装置48は、移動部56により、例えば、シートバック20の乗員支持面を乗員方向に向けて突出させるようにして、乗員に触覚(押圧)を付与可能に構成されている。
【0086】
そして、この変形例では、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、ECU16からの制御信号を受けてモータ52が回転され、これにより、ベルト54が回転されることで、移動部56が車両左右方向に移動される構成とされている。
【0087】
このように構成されていても、自車両の進行方向が変更されると予測された場合には、移動部56が自車両の予測される進行方向に合わせて順に移動されるので、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。
【0088】
また、その他にも、自車両の進行方向を着座乗員に教示するための進行方向教示手段として、電磁石を用いた振動子、偏芯錘付きのモータ、ボールネジ装置、リニアモータ装置等が用いられても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、複数のアクチュエータ14が車両用シート18のシートバック20及びシートクッション22にそれぞれ内蔵されていたが、シートバック20及びシートクッション22の一方にのみ内蔵されていても良い。
【0090】
また、上記実施形態において、複数のアクチュエータ14は、車両用シート18に設けられていたが、図10に示されるように、車両用シート18用のシートベルト58のうち着座乗員の腹部を支持する部分58A(車両左右方向に延在される部分)に設けられていても良い。
【0091】
このように構成されていても、車両用シート18に着座する乗員に対して触覚を付与する位置を自車両の進行方向に合わせて順に移動させることができる。なお、複数のアクチュエータ14は、車両用シート18及びシートベルト58の以外の他の部分に設けられていても良い。
【0092】
また、上記実施形態において、ナビゲーション装置12は、自車両の進行方向変化に関する予測情報を出力する構成とされていたが、自車両の実際の進行方向をリアルタイムに出力する構成とされていても良い。
【0093】
また、上記実施形態において、ECU16は、着座乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように複数のアクチュエータ14を作動させる進行方向教示モードのみを有する構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0094】
すなわち、図11に示される変形例では、ECU16にタイマ60が接続されており、ECU16は、上述の進行方向教示モードに加えて、目覚ましモードを取り得るように構成されている。
【0095】
そして、ECU16は、目覚ましモードでは、タイマ60からの出力信号に基づいて乗員により予めセットされた時刻となったと判断した場合や、乗員によってタイマスタートとされてから予めセットされた時間が経過したと判断した場合に、例えば複数のアクチュエータ14をランダムに作動させたり次第に強く作動させたりするなどのように、上述の進行方向教示モードと異なる態様で複数のアクチュエータ14を作動させる。
【0096】
このように構成されていると、ECU16が目覚ましモードとなった場合には、乗員が所望するタイミングとなったときに進行方向教示モードと異なる態様で複数のアクチュエータ14が作動されるので、自車両の進行方向の教示が開始されたことと混同させず乗員を目覚めさせることができる。
【0097】
なお、ECU16は、目覚ましモードにおいて、ナビゲーション装置12からの出力情報に基づいて自車両が予めセットされた目的地に到達又は接近したと判断した場合に、例えば複数のアクチュエータ14をランダムに作動させたり次第に強く作動させたりしても良い。
【0098】
このように構成されていると、自車両が予めセットされた目的地に到達又は接近した場合には、進行方向教示モードと異なる態様で複数のアクチュエータ14が作動されるので、自車両の進行方向の教示が開始されたことと混同させず乗員を目覚めさせることができる。
【0099】
また、図12に示される変形例では、ECU16にマッサージ動作を指示するための操作スイッチ62が接続されており、ECU16は、上述の進行方向教示モードに加えて、マッサージモードを取り得るように構成されている。
【0100】
そして、ECU16は、マッサージモードでは、操作スイッチ62からの出力信号に基づいて、例えば複数のアクチュエータ14のうち必要な箇所のアクチュエータを強く作動させるなどように、上述の進行方向教示モードと異なる態様で複数のアクチュエータ14を作動させる。
【0101】
このように構成されていると、ECU16がマッサージモードとなった場合には、乗員に対してマッサージ刺激を付与できるので、これにより、乗員に対しより快適な車室内空間を提供できる。
【0102】
また、上記実施形態において、ECU16は、自車両の進行方向が変更されると予測した直後に複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させる構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0103】
すなわち、ECU16は、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させることで乗員に対して自車両の進行方向を教示させる前に、例えば複数のアクチュエータ14をランダムに作動させたり次第に強く作動させたりするなどのように、上述の自車両の進行方向を教示させる場合と異なる態様で複数のアクチュエータ14を作動させる構成とされていても良い。
【0104】
つまり、例えば、方向指示器操作部(ウィンカーレバー)に接触検知センサが設けられ、乗員が方向指示器操作部に触れた段階で複数のアクチュエータ14がランダムに作動されたり次第に強く作動されたりしても良い。
【0105】
このように構成されていると、複数のアクチュエータ14が作動されることによって乗員に対して自車両の進行方向が教示される前に、この自車両の進行方向が教示される場合と異なる態様で複数のアクチュエータ14が作動されるので、乗員に対して自車両の進行方向の教示が開始されることを事前に教示できる。
【0106】
また、上記実施形態では、自車両の進行方向の変化が終了されたと判断されるまで、複数のアクチュエータ14が自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0107】
すなわち、複数のアクチュエータ14の作動を停止させるための停止スイッチが設けられ、ECU16において自車両の進行方向の変化が終了されたと判断されるまでの間に乗員によって上述の停止スイッチが操作されたときには、複数のアクチュエータ14が停止されるように構成されていても良い。
【0108】
また、図13に示される変形例のように、例えばカメラなどで構成される乗員状態検出手段としての乗員状態検出センサ66が設けられ、ECU16においてこの乗員状態検出センサ66からの出力信号に基づいて乗員が睡眠状態にあると判断された場合には複数のアクチュエータ14が停止されるように構成されていても良い。
【0109】
このように構成されていると、乗員が睡眠状態にある場合には複数のアクチュエータ14が停止されるので、乗員が睡眠状態にもかかわらず複数のアクチュエータ14が作動されることを抑制できる。
【0110】
また、上記実施形態では、自車両の進行方向が変更されると予測された場合に、複数のアクチュエータ14が自車両の進行方向変化時における方向変化速度にかかわらず一定の間隔で順次作動されるように構成されていたが、次のように構成されていても良い。
【0111】
すなわち、ナビゲーション装置12が、本発明における進行方向変化手段及び方向変化速度検出手段として構成されて、自車両の進行方向変化に関する予測情報に加え、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に関する予測情報をECU16に出力する構成とされていても良い。
【0112】
そして、ECU16は、ステップS15の処理において、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させる際に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度が変更されるように、複数のアクチュエータ14を作動させても良い。
【0113】
つまり、例えば自車両が急旋回したり急に右左折したりする場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14の作動の切替間隔が短くなるように複数のアクチュエータ14を作動させる。一方、例えば自車両がゆっくりと旋回したりゆっくりと右左折したりする場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14の作動の切替間隔が長くなるように複数のアクチュエータ14を作動させる。
【0114】
このように構成されていると、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度が自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向に加えて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0115】
また、ナビゲーション装置12から自車両の進行方向変化時における方向変化速度に関する予測情報を得ることができるので、自車両の進行方向が変化する前の段階で車室内の乗員に対して自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0116】
なお、ECU16は、ステップS15の処理において、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させる際に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、複数のアクチュエータ14を作動させても良い。
【0117】
つまり、例えば自車両が急旋回したり急に右左折したりする場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14の振動の強さが強くなるように複数のアクチュエータ14を作動させる。すなわち、例えば、アクチュエータ14の振動振幅を大きくしたり振動周波数を高くしたりする。
【0118】
一方、例えば自車両がゆっくりと旋回したりゆっくりと右左折したりする場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14の振動の強さが弱くなるように複数のアクチュエータ14を作動させる。すなわち、例えば、アクチュエータ14の振動振幅を小さくしたり振動周波数を低くしたりする。
【0119】
このように構成されていても、乗員に対して付与する触覚の強さが自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向に加えて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0120】
なお、本変形例においては、ナビゲーション装置12以外の方向変化速度検出手段を用いて自車両の進行方向変化時における方向変化速度が検出されるように構成されていても良い。
【0121】
また、図5に示される収縮バッグ26、図6に示される収縮バッグ32を用いる場合について、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は乗員に対して付与する触覚の強さ(膨張量、膨張速度)が変更されるようにしても良い。
【0122】
また、上記変形例では、ナビゲーション装置12から自車両の進行方向変化時における方向変化速度に関する予測情報がECU16に出力される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0123】
すなわち、進行方向検出手段としてのナビゲーション装置12から自車両の進行方向変化に関する予測情報がECU16に出力され、ECU16において、このナビゲーション装置12から出力された自車両の進行方向変化に関する予測情報に基づいて自車両の進行方向変化時における方向変化速度が予測されても良い。
【0124】
そして、ECU16は、ステップS15の処理において、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させる際に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度の予測結果に基づいて複数のアクチュエータ14を作動させ、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度を変更させても良い。
【0125】
このように構成されていても、乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度が自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて変更されるので、車室内の乗員に対して自車両の進行方向に加えて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0126】
また、ナビゲーション装置12の出力情報に基づくことによりECU16において自車両の進行方向変化時における方向変化速度を予測することができる。これにより、自車両の進行方向が変化する前の段階で車室内の乗員に対して自車両の進行方向変化時における方向変化速度を教示することができる。
【0127】
なお、この場合に、ECU16は、ステップS15の処理において、複数のアクチュエータ14を自車両の予測される進行方向に合わせて順次作動させる際に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、複数のアクチュエータ14を作動させても良い。
【0128】
以上、本発明の第一実施形態における変形例について説明したが、本発明は、上記変形例に記載の範囲に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0129】
また、上記変形例は、適宜選択的に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【0130】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0131】
図14には、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110の全体構成がブロック図にて示されており、図15には、車両用進行方向教示システム110が搭載された車両における車両用シート18が示されている。本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110は、上述の本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システム10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0132】
すなわち、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110において、車両用シート18のシートクッション22には、例えば圧電素子等の荷重検出手段としての機能を有する着座検出手段としての着座検出センサ112A,112B,112Cが内蔵されている。
【0133】
着座検出センサ112A,112B,112Cのそれぞれは、長尺状に構成されて、シートクッション22のシート前後方向に対して斜めになるように配置されている。また、着座検出センサ112A,112B,112Cは、シートクッション22に内蔵された複数のアクチュエータ14に隣接して配置されており、複数のアクチュエータ14に対して乗員から作用する荷重を検出する構成とされている。
【0134】
そして、一方の着座検出センサ112A,112Bは、車両用シート18の右側に着座する乗員から荷重を受けた場合にこの荷重に応じた信号をECU16に出力する構成とされており、他方の着座検出センサ112B,112Cは、車両用シート18の左側に着座する乗員から荷重を受けた場合にこの荷重に応じた信号をECU16に出力する構成とされている。
【0135】
さらに、複数のアクチュエータ14のそれぞれは、乗員の体格を検出するための体格検出手段としての機能を兼ね備えており、車両用シート18に着座する乗員から荷重を受けた場合にこの荷重に応じた信号をECU16に出力する構成とされている。
【0136】
なお、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110において、複数のアクチュエータ14のうちシートバック20のシート高さ方向上側から第一列目に配置されたアクチュエータ、及び、シートクッション22のシート前後方向前側から第一列目に配置されたアクチュエータは、本発明における第一進行方向教示手段に相当する。
【0137】
また、複数のアクチュエータ14のうちシートバック20のシート高さ方向上側から第三列目に配置されたアクチュエータ、及び、シートクッション22のシート前後方向前側から第二列目に配置されたアクチュエータは、本発明における第二進行方向教示手段に相当する。
【0138】
さらに、複数のアクチュエータ14のそれぞれは、本発明における進行方向教示部に相当する。
【0139】
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0140】
図16には、本発明の第二実施形態におけるECU16の動作の流れが示されている。この図に示されるように、本発明の第二実施形態において、ECU16は、本発明の第一実施形態におけるステップS10とステップS15の処理の間にステップS11、ステップS12の処理を行う。
【0141】
すなわち、ECU16は、自車両の進行方向が変更されると判断した場合(ステップS10:YES)には、着座検出センサ112A,112B,112Cからの検出信号に基づいて車両用シート18の右側及び左側の少なくとも一方に乗員が着座しているか否かを判断する(ステップS11)。
【0142】
ここで、ECU16は、車両用シート18の右側及び左側の少なくとも一方に乗員が着座していないと判断した場合(ステップS11:NO)には、車両用シート18に乗員が着座していると判断するまでステップS10〜ステップS11の処理を繰り返し行い、複数のアクチュエータ14の作動を禁止する。
【0143】
一方、ECU16は、車両用シート18に乗員が着座していると判断した場合(ステップS11:YES)には、車両用シート18に着座している乗員の体格を判別する(ステップS12)。
【0144】
ここで、図17には、ステップS12の処理のより詳細な動作の流れが示されている。すなわち、ECU16は、ステップS12の処理において、先ず、それぞれ例えば圧電素子により構成された複数のアクチュエータ14を体格検出手段として用い、この複数のアクチュエータ14の全てから出力された圧電信号を入力する(ステップS12A)。
【0145】
そして、ECU16は、複数のアクチュエータ14から得られた全ての圧電信号について電圧値が予め定められた基準電圧値を超えているか否かをそれぞれ判断し、複数のアクチュエータ14のうち圧電信号の電圧値が予め定められた基準電圧値を超えているアクチュエータを抽出する(ステップS12B)。
【0146】
続いて、ECU16は、ステップS12Bにおいて抽出したアクチュエータ14の位置を検出し、この検出した位置と、予め記憶した位置及び体格との関係から、車両用シート18に着座している乗員の体格を判別する(ステップS12C)。
【0147】
そして、ECU16は、複数のアクチュエータ14のうち上述のステップS12Cにおいて判別した乗員の体格に応じた位置のアクチュエータを自車両の予測される進行方向に合わせて連続的に順次作動させる(ステップS15)。
【0148】
つまり、例えば体格の大きい大人などの乗員が車両用シート18に着座している場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14のうちシートバック20のシート高さ方向上側から第一列目及び第二列目に配置されたアクチュエータ、及び、シートクッション22のシート前後方向前側から第一列目に配置されたアクチュエータを連続的に順次作動させる。
【0149】
一方、例えば体格の小さい子供などの乗員が車両用シート18に着座している場合、ECU16は、複数のアクチュエータ14のうちシートバック20のシート高さ方向上側から第二列目及び第三列目に配置されたアクチュエータ、及び、シートクッション22のシート前後方向前側から第二列目に配置されたアクチュエータを連続的に順次作動させる。
【0150】
なお、このとき、ECU16は、着座検出センサ112A,112B,112Cからの検出信号に基づいて車両用シート18の右側に乗員が着座していると判断した場合には、複数のアクチュエータ14のうち車両用シート18の中央部に対し右側に配置されたアクチュエータを作動させる。一方、ECU16は、車両用シート18の左側に乗員が着座していると判断した場合には、複数のアクチュエータ14のうち車両用シート18の中央部に対し左側に配置されたアクチュエータを作動させる。
【0151】
また、ECU16は、複数のアクチュエータ14から出力された圧電信号に基づいて車両用シート18の右側に着座している乗員と左側に着座している乗員との体格が異なると判断した場合には、複数のアクチュエータ14のうちそれぞれの乗員の体格に応じた位置のアクチュエータを作動させる。
【0152】
以上詳述したように、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110によれば、乗員の体格に応じて複数のアクチュエータ14が選択的に作動されるので、乗員によって体格が異なる場合でも、乗員に対して自車両の進行方向をより的確に教示することができる。
【0153】
また、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110によれば、複数のアクチュエータ14が乗員の体格を検出するための体格検出手段を兼ねるので、着座乗員の体格を検出するための特別なセンサを不要にすることができる。
【0154】
また、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110によれば、着座検出センサ112A,112B,112Cの検出信号に基づいて車両用シート18に乗員が着座していないと判断された場合には複数のアクチュエータ14の作動が禁止されるので、車両用シート18に乗員が着座していないにもかかわらず複数のアクチュエータ14が作動されるという無駄を抑制できる。
【0155】
また、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110によれば、複数のアクチュエータ14に対して乗員から直接的に作用する荷重に基づいて車両用シート18への乗員の着座の有無が判断されるので、車両用シート18への乗員の着座の有無の判断精度を向上することができる。
【0156】
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システム110の変形例について説明する。
【0157】
上記実施形態では、車両シートへの乗員の着座の有無を検出するために着座検出センサ112A,112B,112Cを用い、ECU16は、この着座検出センサ112A,112B,112Cから着座荷重に応じて出力された信号に基づいて車両シートへの乗員の着座の有無を判断するように構成されていたが、次のように構成されていても良い。
【0158】
すなわち、図18に示される変形例では、それぞれ例えば圧電素子により構成された複数のアクチュエータ14が荷重検出手段として用いられ、ECU16は、この複数のアクチュエータ14から出力された圧電信号に基づいて車両シートへの乗員の着座の有無を判断するように構成されている。
【0159】
このように構成されていても、複数のアクチュエータ14に対して乗員から直接的に作用する荷重に基づいて車両用シート18への乗員の着座の有無が判断されるので、車両用シート18への乗員の着座の有無の判断精度を向上することができる。
【0160】
また、複数のアクチュエータ14が荷重検出手段を兼ねるので、複数のアクチュエータ14に対して乗員から作用する荷重を検出するための特別なセンサを不要にすることができる。
【0161】
また、上記実施形態において、着座検出センサ112A,112B,112Cは、例えば圧電素子等により構成とされていたが、車両用シート18への乗員の着座の有無を検出可能な例えばカメラやシートベルト装着検出センサ等のその他の着座検出手段によって構成されていても良い。
【0162】
また、上記実施形態では、複数のアクチュエータ14を用いて車両用シート18に着座する乗員の体格が検出されるように構成されていたが、例えばカメラ等のその他の体格検出手段を用いて車両用シート18に着座する乗員の体格が検出されるように構成されていても良い。
【0163】
また、上記実施形態及び変形例では、例えば圧電素子により構成された複数のアクチュエータ14から得られる圧電信号に基づいて、車両用シート18に着座する乗員の体格が判断されるように構成されていたが、次のように構成されていても良い。
【0164】
すなわち、複数のアクチュエータ14がモータ等の駆動部を有して構成され、この駆動部に作用する負荷に基づいて、車両用シート18へ着座する乗員の有無及び車両用シート18に着座する乗員の体格が判断されるように構成されていても良い。
【0165】
ここで、図19には、この変形例の内容を示す具体的な処理の流れが示されている。すなわち、この変形例において、ECU16は、ステップS12の処理において、先ず、それぞれ例えばモータ等の駆動部を有して構成された複数のアクチュエータ14を作動させる(ステップS12A)。
【0166】
そして、ECU16は、複数のアクチュエータ14の駆動部の負荷電流値が予め定められた基準電流値を超えているか否かをそれぞれ判断し、複数のアクチュエータ14のうち負荷電流値が予め定められた基準電流値を超えているアクチュエータを抽出する(ステップS12B)。
【0167】
続いて、ECU16は、ステップS12Bにおいて抽出したアクチュエータ14の位置を検出し、この検出した位置と予め記憶した位置と体格との関係から、車両用シート18に着座している乗員の体格を判別する(ステップS12C)。
【0168】
このようにしても、複数のアクチュエータ14に対して乗員から作用する荷重に基づいて車両用シート18に着座している乗員の体格を判別することができる。
【0169】
また、同様に、複数のアクチュエータ14の駆動部の負荷電流値が予め定められた基準電流値を超えているか否かを判断することで、車両用シート18へ着座する乗員の有無が判断されるように構成されていても良い。
【0170】
なお、この場合の乗員が着座しているか否かを判断及び乗員の体格の判断は、例えば、自車両の走行直後、ドアの開閉後等に適宜行えば良い。
【0171】
また、モータ等の駆動部を有して構成された複数のアクチュエータ14について駆動部の負荷電流値を検出することと同様に、上述の本発明の第一実施形態に係る収縮バッグ26,32を膨張する際のコンプレッサ30のエア圧を検出して車両用シート18へ着座する乗員の有無が判断されるように構成されていても良い。
【0172】
また、上記実施形態では、複数のアクチュエータ14のうち圧電信号の電圧値が予め定められた基準電圧値を超えているアクチュエータを抽出し、この抽出されたアクチュエータの位置と、予め記憶した位置及び体格との関係から、車両用シート18に着座している乗員の体格が判別されるように構成されていたが、次のように構成されていても良い。
【0173】
すなわち、複数のアクチュエータ14のうち圧電信号の電圧値が予め定められた基準電圧値を超えているアクチュエータを抽出し、この抽出されたアクチュエータの位置及びその圧電信号の電圧値と、予め記憶した位置、圧電信号の電圧値及び体格との関係から、車両用シート18に着座している乗員の体格が判別されるように構成されていても良い。
【0174】
このように構成されていると、着座乗員の体格の大きさだけでなく、着座乗員の体重も考慮することができるので、例えば、着座乗員がチャイルドシートを使用している子供である場合でも適応することが可能となる。
【0175】
なお、着座乗員がチャイルドシートを使用している子供である場合には、複数のアクチュエータ14のうちシートバック20のシート高さ方向上側から第二列目及び第三列目に配置されたアクチュエータ、及び、シートクッション22のシート前後方向前側から第二列目に配置されたアクチュエータを順次作動させることが望ましい。
【0176】
以上、本発明の第二実施形態における変形例について説明したが、本発明は、上記変形例に記載の範囲に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0177】
また、上記変形例は、適宜選択的に組み合わせて実施可能であることは勿論である。さらに、本発明の第二実施形態及びその変形例に対して、上述の本発明の第一実施形態における変形例を適宜選択して組み合わせても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態における車両用シートの斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態におけるECUの動作の流れを示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システムの変形例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第一実施形態における車両用シートの変形例を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態における車両用シートの変形例を示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態における車両用シートの変形例を示す図である。
【図8】図7に示されるスライダ装置の側面断面図である。
【図9】本発明の第一実施形態における車両用シートの変形例を示す図である。
【図10】本発明の第一実施形態における複数のアクチュエータの設置位置の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システムの変形例を示すブロック図である。
【図12】本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システムの変形例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第一実施形態に係る車両用進行方向教示システムの変形例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第二実施形態における車両用シートの斜視図である。
【図16】本発明の第二実施形態におけるECUの動作の流れを示す図である。
【図17】本発明の第二実施形態におけるECUのより詳細な動作の流れを示す図である。
【図18】本発明の第二実施形態に係る車両用進行方向教示システムの変形例を示すブロック図である。
【図19】本発明の第二実施形態におけるECUの動作の流れの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0179】
10,110 車両用進行方向教示システム
12 ナビゲーション装置
14 アクチュエータ
16 ECU
18 車両用シート
24 操舵意思検出センサ
26 収縮バッグ
32 収縮バッグ
34 収縮室
38 スライダ装置
40 移動部
42 固定部
48 ベルト駆動装置
56 移動部
58 シートベルト
60 タイマ
62 操作スイッチ
66 乗員状態検出センサ
112A,112B,112C 着座検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方向を検出するための進行方向検出手段と、
車室内の乗員の異なる複数箇所に対して触覚を付与可能な進行方向教示手段と、
前記乗員に対して触覚を付与する位置が自車両の進行方向に合わせて移動されるように、前記進行方向検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用進行方向教示システム。
【請求項2】
自車両の進行方向変化時における方向変化速度を検出するための方向変化速度検出手段を備え、
前記進行方向教示手段は、前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さを変更可能に構成され、
前記制御手段は、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、前記方向変化速度検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項3】
前記方向変化速度検出手段は、ナビゲーション装置とされている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項4】
前記進行方向検出手段は、ナビゲーション装置とされ、
前記進行方向教示手段は、前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さを変更可能に構成され、
前記制御手段は、前記ナビゲーション装置の出力情報に基づいて自車両の進行方向変化時における方向変化速度を予測すると共に、自車両の進行方向変化時における方向変化速度に応じて前記乗員に対して触覚を付与する位置の移動速度又は前記乗員に対して付与する触覚の強さが変更されるように、前記ナビゲーション装置の出力情報に基づく予測結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項5】
前記進行方向教示手段は、車室内に備えられた車両用シートに設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項6】
前記車両用シートへの前記乗員の着座の有無を検出するための着座検出手段を備え、
前記制御手段は、前記着座検出手段の検出結果に基づいて前記車両用シートに前記乗員が着座していないと判断した場合には前記進行方向教示手段の作動を禁止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項7】
前記着座検出手段は、前記進行方向教示手段に対して前記乗員から作用する荷重を検出する荷重検出手段とされ、
前記制御手段は、前記荷重検出手段の検出結果に基づいて前記車両用シートへの前記乗員の着座の有無を判断する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項8】
前記進行方向教示手段は、前記荷重検出手段を兼ねる、
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項9】
前記乗員の体格を検出するための体格検出手段を備え、
前記進行方向教示手段は、
第一の体格を有する乗員に対して触覚を付与するための第一進行方向教示手段と、
第二の体格を有する乗員に対して触覚を付与するための第二進行方向教示手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記体格検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が前記第一の体格を有すると判断した場合には前記第一進行方向教示手段を作動させ、前記体格検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が前記第二の体格を有すると判断した場合には前記第二進行方向教示手段を作動させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項10】
前記進行方向教示手段は、前記乗員の異なる複数箇所に対してそれぞれ触覚を付与する進行方向教示部を複数有し、
前記複数の進行方向教示部は、前記体格検出手段を兼ねる、
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項11】
前記乗員の状態を検出するための乗員状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記乗員状態検出手段の検出結果に基づいて前記乗員が睡眠状態にあると判断した場合には前記進行方向教示手段を停止させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記進行方向教示手段を作動させることで前記乗員に対して自車両の進行方向を教示させる前に、前記自車両の進行方向を教示させる場合と異なる態様で前記進行方向教示手段を作動させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように前記進行方向教示手段を作動させる進行方向教示モードと、
前記乗員が所望するタイミングとなったと判断した場合に前記進行方向教示モードと異なる態様で前記進行方向教示手段を作動させる目覚ましモードと、
を取り得るように構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記乗員に対して自車両の進行方向が教示されるように前記進行方向教示手段を作動させる進行方向教示モードと、
前記乗員に対してマッサージ刺激が付与されるように前記進行方向教示手段を作動させるマッサージモードと、
を取り得るように構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項15】
前記進行方向検出手段は、前記乗員の操舵意思を検出する操舵意思検出手段とされ、
前記制御手段は、前記操舵意思検出手段の検出結果に基づいて前記進行方向教示手段を作動させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。
【請求項16】
前記進行方向教示手段は、車両左右方向に並んで配置された複数の振動部、車両左右方向に並んで配置された複数の変位部、及び、車両左右方向に移動可能な移動部のいずれかを有して構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の車両用進行方向教示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−115553(P2009−115553A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287564(P2007−287564)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】