説明

車載システム及び携行品の携行忘れ確認方法

【課題】個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行える「車載システム及び携行品の携行忘れ確認方法」を提供する。
【解決手段】
制御部116は、車載システム100の起動時に、制御部116は、無線PANインタフェース111を介して、無線PANで通信可能な移動電話機2をサーチし、既登録の移動電話機2のうちの、現在通信可能な移動電話機2を検出する。そして、検出された現在通信可能な既登録の移動電話機2に対して予め登録されているユーザ名と携行品リストとに基づいて、携行忘れ確認用の音声メッセージを、音声生成部121に音声入出力部122を介してスピーカ123に出力させる。ここで、この音声メッセージは、ユーザ名と携行品リストに登録されている各携行品の名称を含むものとする。すなわち、たとえば、「たろう様、こんにちわ。財布、バッグ、PDA、免許証の忘れ物はありませんか」といったものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された車載システムにおいて、自動車の搭乗者の携行品の携行忘れ防止を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載された車載システムにおいて、自動車の搭乗者の忘れ物防止を支援する技術としては、特定のユーザが通常携行する携行品を予め登録しておき、車載システムの起動時に、登録されている携行品の携行忘れについての注意喚起を自動車の搭乗者に対して行う技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
また、移動電話機を接続可能な車載システムにおいて、車載システムの起動時に、移動電話機が車載システムに接続されていない場合に、その旨をユーザに通知する技術も知られている(たとえば、特許文献3)。
【特許文献1】特開2008-3720号公報
【特許文献2】特開平9-2209号公報
【特許文献3】特開平11-27723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車が複数人によって共用されることがある。一台の自動車を家族で共用する場合や、いわゆるカーシェアリングによって、一台または複数台の自動車を複数の利用者で共用する場合である。このような場合、自動車に搭乗するユーザを予め特定することはできず、また、ユーザが通常携行する携行品は個々のユーザ毎に異なる。
【0005】
そして、このために、前記特許文献1、2の技術によれば、自動車が複数人によって共用される場合に、個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行うことができなかった。
そこで、本発明は、自動車が複数人によって共用される場合に、個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行える車載システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載され、近距離無線通信を介して接続した移動電話機を用いた通信を行う車載システムに、当該車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて、携行品のリストを登録した移動電話機管理テーブルと、当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機と前記近距離無線通信を介して通信可能である場合に、当該通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力する携行品確認メッセージ出力手段とを備えたものである。
【0007】
このような車載システムによれば、移動電話機管理テーブルに、車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて、当該移動電話機のユーザが通常携行する携行品のリストを登録することにより、自動車の始動時に車載システムが起動されたときに、車載システムが通信可能な移動電話機のユーザ、すなわち、実際に自動車に搭乗しているユーザに対して、当該ユーザが通常携行する携行品の携行確認を促すメッセージが出力されることになる。よって、自動車が複数人によって共用される場合に、個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行うことができる。なお、このような車載システムは、近距離無線通信に代えて、移動電話機と有線接続する場合にも同様に適用することができる。
【0008】
ここで、このような車載システムは、前記移動電話機管理テーブルに、当該車載システムと接続する候補とする複数の移動電話機の各々に対応づけて、携行品のリストを登録し、前記携行品確認メッセージ出力手段において、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機が複数存在した場合に、存在した各移動電話機の各々毎に、当該移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力するように構成してもよい。
【0009】
このようにすることにより、移動電話機管理テーブルに登録された複数の移動電話機を各々携行した複数のユーザが搭乗した場合でも、各ユーザに対して、当該ユーザが通常携行する携行品の携行確認を促すことができるようになる。
また、以上のような車載システムは、前記移動電話機管理テーブルには、当該車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて当該移動電話機のユーザ名が登録されており、前記携行品確認メッセージ出力手段において、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機について、当該移動電話機に対応づけて前記移動電話機管理テーブルに登録されているユーザ名の提示を含めた形態で、当該移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力するように構成してもよい。
【0010】
このようにすることにより、移動電話機管理テーブルに登録された複数の移動電話機のユーザが自動車に搭乗した場合に、各ユーザ毎に、当該ユーザが通常携行する携行品の携行確認を促して、当該携行品の携行忘れを抑制することができるようになる。また、移動電話機管理テーブルに登録された移動電話機のユーザでありながら、当該移動電話機を携行し忘れて自動車に搭乗したユーザに、当該ユーザに対するメッセージの不出力によって、当該移動電話機の携行忘れを想起させることができる。
【0011】
また、以上のような車載システムは、車載システムに、前記自動車の現在位置を算出する現在位置算出手段と、前記自動車の基地となる地点の位置である基地位置が登録された基地位置記憶手段とを備え、前記携行品確認メッセージ出力手段において、当該車載システムの起動時に、前記現在位置算出手段が算出している自動車の現在位置が、前記基地位置記憶手段に登録された基地位置に相当する位置である場合にのみ前記メッセージを出力するように構成してもよい。また、以上のような車載システムは、前記携行品確認メッセージ出力手段を、当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機と前記近距離無線通信を介して通信可能であるときに、当日中に、当該通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを、まだ、出力していない場合にのみ、当該メッセージを出力するように構成してもよい。
【0012】
これらのようにすることにより、ユーザが、自動車で出発した後に、一旦、自動車から降車したユーザが自動車に再搭乗して車載システムを起動した場合に、出発時と同じメッセージが不必要に繰り返し出力される煩わしさを排除することができる。
ここで、以上のような車載システムにおいて、前記携行品確認メッセージ出力手段は、前記メッセージを音声によって出力するものとしてもよいし、前記メッセージを、前記通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の一覧を含む画面を表示することにより出力するものとしてもよい。
【0013】
また、以上のような車載システムにおいて、前記携行品確認メッセージ出力手段において、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機が存在しなかった場合に、移動電話機の携行の確認を促すメッセージを出力することも好ましい。
【0014】
このようにすることにより、移動電話機自体の携行忘れを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、自動車が複数人によって共用される場合に、個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行える車載システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システム100の構成を示す。
図示するように、車載システム100は、Bluetooth/IEEE802.15.1(「Bluetooth」は、ザ ブルートゥース エスアイジー インコーポレーテッドの登録商標)などの近距離無線通信を用いる無線PAN(Personal Area Network)を介して、無線PANインタフェースを備えた近距離に位置する移動電話機2(一般的には、「携帯電話」と呼ばれる)と無線通信を行う無線PANインタフェース111、表示装置112、操作部113、GPS受信機119や車両センサ120を備えたナビゲーション装置114、ハンズフリー通話装置115、制御部116、メモリ117、移動電話機管理テーブル118、音声生成部121、ハンズフリー通話装置115とスピーカ123やマイクロフォン124との間の音声の入出力や音声生成部121からスピーカ123への音声出力を処理する音声入出力部122を備えている。
【0017】
ここで、車両センサ120は、車速センサや角速度センサなどの車両の各種走行状態を検出するセンサである。
このような車載システム100において、制御部116は、無線PANインタフェース111を介して、移動電話機2に接続し、接続した移動電話機2のデータ通信サービスを用いて移動電話機2が収容される移動体通信網を含んで構成されたWAN3を介したデータ通信を行う。このデータ通信によって、制御部116は、たとえば、WAN3上に配置された情報サーバ4からの交通情報などの各種情報の受信などを行う。ここで、移動電話機2は、データ通信サービスにおいて、WAN3を介した通信相手への接続や、通信相手からWAN3を介したデータ通信で受信する受信データの車載システム100への中継や、車載システム100から入力する送信データの、通信相手へのWAN3を介した中継を行う。
【0018】
次に、ナビゲーション装置114は、地図データを備え、地図データに基づいて、GPS受信機119や車両センサ120の出力から現在位置を算出したり、操作部113で受け付けた目的地までの推奨される経路を地図データを参照して探索したり、地図データが表す地図上に現在位置や目的地や目的地までの経路を表した案内画像を表示装置112に表示する処理などを行う。ここで、ナビゲーション装置114は、制御部116が情報サーバ4から取得した交通情報が表す渋滞の発生状況を考慮して、最短時間で目的地に到達できる経路を、前述した目的地までの推奨される経路として探索する他、これらの交通情報が表す渋滞の発生状況の変化に応じて目的地までの推奨される経路を再探索して再設定する。また、ナビゲーション装置114は、これらの交通情報が表す渋滞の発生状況を案内画像上に表示する処理なども行う。
【0019】
次に、ハンズフリー通話装置115は、無線PANインタフェース111を介して移動電話機2に接続し、接続した移動電話機2のハンズフリー通話サービスを利用して、ユーザが移動電話機2を手持ち操作することなく行う通話であるハンズフリー通話を、移動電話機2への着呼に対するユーザのオフフック操作やユーザの発呼操作応じて実行する。ここで、ハンズフリー通話装置115は、通話音声のユーザとの間の入出力を、音声入出力部122を介した形態で、スピーカ123やマイクロフォン124を用いて行う。
【0020】
すなわち、ハンズフリー通話装置115は、移動電話機2の音声通信時、移動電話機2のハンズフリー通話サービスから無線PANインタフェース111を介して入力する受信音声信号の表す音声を音声入出力部122を介してスピーカ123から出力し、マイクロフォン124から音声入出力部122を介して入力する音声を表す音声信号を送信音声信号として無線PANインタフェース111を介して移動電話機2のハンズフリー通話サービスに出力する。移動電話機2のハンズフリー通話サービスは、WAN3を介した通信相手との間の呼の制御や、通信相手からWAN3を介した音声通信で受信する受信音声信号の車載システム100への中継や、車載システム100から入力する送信音声信号の、通信相手へのWAN3を介した音声通信による中継を行う。
【0021】
ここで、図2aに移動電話機管理テーブル118の構成を示す。
図示するように移動電話機管理テーブル118は、車載システム100に接続する移動電話機2としてユーザが登録した移動電話機毎のエントリを有し、各エントリには移動電話機2の管理番号、移動電話機2の無線PANアドレス(Bluetoothアドレス等)、移動電話機認証用の認証キー(Bluetoothにおけるパスキー/PIN コードなど)、移動電話機2のユーザの名前を表すユーザ名、移動電話機2のユーザが通常携行する携行品の一覧である携行品リスト、音声確認を行うか否かを表す音声確認要否、画面確認を行うか否かを表す画面確認要否、確認を行う時期を表す確認時期が登録される。ここで、確認時期としては、「いつも」、「自宅出発時のみ」、「毎日の初回出発時のみ」の三つの値を登録できるようにしている。
【0022】
ここで、各エントリの、ユーザ名や携行品リストや音声確認要否や画面確認要否や確認時期の各項目の設定は、移動電話機管理テーブル118に登録されている移動電話機毎の設定画面を図2bに示すように表示装置112に表示すると共に、設定画面上での各項目のユーザ設定値を移動電話機管理テーブル118に登録することにより行う。
【0023】
なお、図2bにおいて、201は、登録するユーザ名入力用のテキスト入力ボックスである。
また、202は携行品候補リストであり、携行品候補リスト202中の物品名を選択して登録ボタン203を操作することにより選択された物品名の物品が、ユーザが常時携行する携行品として携行品リストに追加登録されると共に、携行品リスト表示エリア204に当該物品名が追加表示される。携行品リストからの携行品の除外は、携行品リスト表示エリア204中の物品名を選択して解除ボタン205を操作することにより行うことができる。また、図2cに示すように携行品候補リスト中の「その他」を選択することにより表示される入力ボックス2021を用いて任意の物品を入力すると共に、入力ボックス2021と共に表示される「携行品リストへ追加」ボタン2022を操作して、入力ボックス2021に入力した物品の、携行品リストの追加と、携行品リスト表示エリア204への追加表示と、携行品候補リストへの追加を行うこともできる。
【0024】
図2bに戻り、206は音声確認を行うか否かを設定するエリアであり、207は画面確認を行うか否かを設定するエリアであり、208は確認時期を設定するエリアであり、各々、エリア中の所望の設定値のラジオボタンのチェックにより、当該項目の設定を行うことができる。
【0025】
なお、このような設定画面を用いたユーザによって行われた各項目の設定は、設定画面に設けた完了ボタン210が操作された時点で移動電話機管理テーブル118に反映する。また、設定画面の表示も、完了ボタン210が操作された時点で消去する。一方、設定画面に設けたキャンセルボタン209が操作された場合には、各項目の設定の移動電話機管理テーブル118への反映は行われず、設定画面の表示の消去のみを行う。
【0026】
さて、このような構成において、制御部116は、車載システム100の起動時に、移動電話機2の接続と、ユーザの携行品の携行忘れ防止のために、以下に示す移動電話機接続処理を行う。
図3に、この移動電話機接続処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、無線PANインタフェース111から問い合わせをブロードキャスト形式で発行し、問い合わせに対する移動電話機2の応答を検出することによって、通信可能な移動電話機2をサーチする(ステップ302)。
次に、ステップ304では、ステップ302で応答が検出された移動電話機2のうち、その無線PANアドレスが移動電話機管理テーブル118に登録されている移動電話機2の全てを搭乗者移動電話機として、移動電話機管理テーブル118に登録されている順序で記憶する。ここでは、具体的には、ステップ302で応答が検出された移動電話機2の全ての無線PANアドレスを、移動電話機管理テーブル118に登録されている順序で記憶する。
【0027】
そして、搭乗者移動電話機として記憶された移動電話機2が存在するかどうかを調べ(ステップ306、308)、存在しなかった場合には、音声確認処理と(ステップ314)、画面確認処理と(ステップ316)を起動し処理を終了する。
一方、搭乗者移動電話機として記憶された移動電話機2が存在する場合には(ステップ308)、各搭乗者移動電話機との接続手順を実行する(ステップ310、312、318)。ここで、この接続手順中では、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録された移動電話機管理テーブル118のエントリに登録されている認証キーを用いた認証も行い、認証が成功した場合にのみ、搭乗者移動電話機との接続が成功する。
【0028】
そして、各搭乗者移動電話機との接続を行った後、音声確認処理と(ステップ314)、画面確認処理と(ステップ316)を起動し処理を終了する。また、いずれの搭乗者移動電話機との接続にも失敗した場合にも、音声確認処理と(ステップ314)、画面確認処理と(ステップ316)を起動し処理を終了する。
【0029】
次に、このような移動電話機接続処理にステップ314で起動される音声確認処理と、ステップ316で起動される画面確認処理について説明する。
まず、音声確認処理について説明する。
図4aに音声確認処理の手順を示す。
図示するように、音声確認処理では、まず、記憶されている搭乗者移動電話機が存在するかどうかを調べ(ステップ402、404)、存在しない場合には、「こんにちわ。携帯電話をお忘れではないですか」といったような移動電話機2の携帯忘れ確認用の音声メッセージを、音声生成部121に音声入出力部122を介してスピーカ123に出力させ(ステップ416)、音声確認処理を終了する。ただし、この音声メッセージの「こんにちわ」の部分は現在時刻に応じて、「おはようございます」、「こんばんわ」などと適宜切り替えるようにする。
【0030】
一方、記憶されている搭乗者移動電話機が存在する場合には、記憶されている搭乗者移動電話機の各々について、順次(ステップ402、412、414)、以下の処理を行う。
すなわち、まず、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリに、音声確認要否として音声確認をすることが登録されているかどうかを調べ(ステップ406)、登録されていなければ、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ412)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ414)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ412)、音声確認処理を終了する。
【0031】
一方、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリに、音声確認要否として音声確認をすることが登録されている場合には(ステップ406)、当該エントリに登録された確認時期に、現在該当しているかどうかを調べる(ステップ408)。すなわち、確認時期として「いつも」が登録されている場合には、無条件に、確認時期に現在該当しているものとする。また、確認時期として「自宅出発時のみ」が登録されている場合には、ナビゲーション装置114において、現在位置として、ナビゲーションに予め設定されている自宅地点に対応する地点が算出されているかどうかを調べ、算出されている場合に、確認時期に現在該当しているものとする。ただし、ナビゲーション装置114に登録される自宅地点とは、自動車を駐車保管する場所、すなわち、自動車の基地となる場所を指し、個人所有の自動車であれば自宅駐車場などが、会社所有の自動車であれば会社駐車場が、カーシェアリングされる自動車であれば自動車の借り出し/返却地点などが該当する。
【0032】
また、確認時期として、「毎日の初回出発時のみ」が登録されている場合には、本日、この搭乗者移動電話機に対して、既に後述するステップ410の音声メッセージの出力を行ったか否かを調べ、出力を行っていない場合に、確認時期に現在該当しているものとする。
【0033】
そして、確認時期に現在該当していない場合には(ステップ408)、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ412)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ414)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ412)、音声確認処理を終了する。
【0034】
一方、確認時期に現在該当している場合には(ステップ408)、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリの携行品リストに登録されている各携行品の携行忘れ確認用の音声メッセージを、音声生成部121に音声入出力部122を介してスピーカ123に出力させる(ステップ410)。
【0035】
ここで、この音声メッセージは、当該エントリに登録されているユーザ名、挨拶、携行品リストに登録されている各携行品の名称を含むものとする。すなわち、たとえば、当該エントリに登録されているユーザ名が「たろう」であり、当該エントリの携行品リストに登録されている携行品が「財布」と「バッグ」と「PDA」と「免許証」であれば、出力する音声メッセージは、「たろう様、こんにちわ。財布、バッグ、PDA、免許証の忘れ物はありませんか」といったものとする。ただし、この音声メッセージの「こんにちわ」の部分は現在時刻に応じて、「おはようございます」、「こんばんわ」などと適宜切り替えるようにする。
【0036】
ここで、このステップ410では、現在日時を、当該搭乗者移動電話機に対して音声メッセージを出力した日時として記憶する処理も行う。ここで、記憶した日時は、前述したステップ408において、確認時期として、「毎日の初回出発時のみ」が登録されている場合の、確認時期に現在該当しているか否かの判定に用いられる。
【0037】
そして、このようにして音声メッセージを出力したならば(ステップ410)、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ412)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ414)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ412)、音声確認処理を終了する。
【0038】
ただし、以上の音声確認処理は、記憶されている搭乗者移動電話機が存在する場合であって、移動電話機管理テーブル118に登録されている移動電話機2のうちに、搭乗者移動電話機として記憶されていない移動電話機2が存在するときには、各搭乗者移動電話機についての上述したステップ406-410の処理を行った後の音声確認処理の終了前に、移動電話機管理テーブルエントリのうちの、搭乗者移動電話機として記憶されていない移動電話機2のエントリに登録された各ユーザ名のユーザに対する移動電話機2の携帯忘れ確認用の音声メッセージを出力するようにしてもよい。この場合は、移動電話機管理テーブルエントリのうちの、搭乗者移動電話機として記憶されている移動電話機2のエントリに登録されたユーザ名が「たろう」と「はなこ」であれば、「たろう様と、はなこ様以外の方は、登録された携帯電話をお忘れではないですね」といった音声メッセージとする。
【0039】
以上、音声確認処理について説明した。
次に画面確認処理について説明する。
図4bに、この画面確認処理の手順を示す。
図示するように、この画面確認処理では、まず、記憶されている搭乗者移動電話機が存在するかどうかを調べ(ステップ452、454)、存在しない場合には、そのまま画面確認処理を終了する。
一方、記憶されている搭乗者移動電話機が存在する場合には、記憶されている搭乗者移動電話機の各々について、順次(ステップ452、464、466)、以下の処理を行う。
すなわち、まず、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリに、画面確認要否として画面確認をすることが登録されているかどうかを調べ(ステップ456)、登録されていなければ、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ464)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ466)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ464)、画面確認処理を終了する。
【0040】
一方、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリに、画面確認要否として画面確認をすることが登録されている場合には、当該エントリに登録された確認時期に、現在該当しているかどうかを、前記音声確認処理のステップ408と同様にして調べる(ステップ458)。
【0041】
そして、確認時期に現在該当していない場合には(ステップ458)、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ462)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ464)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ462)、画面確認処理を終了する。
【0042】
一方、確認時期に現在該当している場合には(ステップ458)、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリの携行品リストに登録されている各携行品の携行忘れ確認用の確認画面を表示装置112に表示する(ステップ460)。
【0043】
ここで、この確認画面は、図5に示すように、搭乗者移動電話機の無線PANアドレスが登録されている移動電話機管理テーブル118のエントリに登録されているユーザ名を含めた携行確認を促す文章500と、携行品リストに登録されている携行品の一覧501と、各携行品毎に設けた携行確認用のチェックボックス502と、確認完了操作受け付け用の完了ボタン503を設けたものとする。
【0044】
そして、このようにして確認画面で、完了ボタン503を用いた、ユーザの確認完了操作が行われたならば(ステップ462)、確認画面を消去し、この搭乗者移動電話機についての処理を終了し、次の搭乗者移動電話機が存在すれば(ステップ462)、当該次の搭乗者移動電話機についての処理に進み(ステップ464)、次の搭乗者移動電話機が存在しなければ(ステップ462)、画面確認処理を終了する。
【0045】
以上、画面確認処理について説明した。
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、移動電話機管理テーブル118に、車載システム100と接続する候補とする各移動電話機2に対応づけて、当該移動電話機2のユーザが通常携行する携行品のリストを登録することにより、自動車の始動時に車載システム100が起動されたときに、車載システム100が通信可能な各移動電話機2のユーザ、すなわち、実際に自動車に搭乗している各ユーザに対して、当該ユーザが通常携行する携行品の携行確認を促すメッセージが出力されることになる。よって、自動車が複数人によって共用される場合でも、自動車に搭乗した個々のユーザ毎に適した携行品の携行忘れの注意喚起を行うことができる。
なお、以上の実施形態に係る、車載システムは、近距離無線通信に代えて、移動電話機と有線接続する場合にも同様に適用することができる。この場合、車載システムに接続される移動電話機は一台のみとなるため、同時に複数のユーザに対する携行忘れの注意喚起は行うことはできなくなるが、移動電話機を車載システムに接続したユーザ、すなわち、その時点の搭乗者のうちのメインユーザと推定されるユーザに対して、そのユーザ固有の携行品の携行忘れの注意喚起は、これを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る移動電話機管理テーブルと移動電話機管理テーブルの設定に用いる設定画面を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動電話機接続処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る音声確認処理と画面確認処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る確認画面を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
2…移動電話機、3…WAN、4…情報サーバ、100…車載システム、111…無線PANインタフェース、112…表示装置、113…操作部、114…ナビゲーション装置、115…ハンズフリー通話装置、116…制御部、117…メモリ、118…移動電話機管理テーブル、119…GPS受信機、120…車両センサ、121…音声生成部、122…音声入出力部、123…スピーカ、124…マイクロフォン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載され、近距離無線通信を介して接続した移動電話機を用いた通信を行う車載システムであって、
当該車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて、携行品のリストを登録した移動電話機管理テーブルと、
当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機と前記近距離無線通信を介して通信可能である場合に、当該通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力する携行品確認メッセージ出力手段とを有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載システムであって、
前記移動電話機管理テーブルには、当該車載システムと接続する候補とする複数の移動電話機の各々に対応づけて、携行品のリストが登録されており、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機が複数存在した場合に、存在した各移動電話機の各々毎に、当該移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力することを特徴とする車載システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載システムであって、
前記移動電話機管理テーブルには、当該車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて当該移動電話機のユーザ名が登録されており、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機について、当該移動電話機に対応づけて前記移動電話機管理テーブルに登録されているユーザ名の提示を含めた形態で、当該移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力することを特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載システムであって、
前記自動車の現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記自動車の基地となる地点の位置である基地位置が登録された基地位置記憶手段とを有し、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、当該車載システムの起動時に、前記現在位置算出手段が算出している自動車の現在位置が、前記基地位置記憶手段に登録された基地位置に相当する位置である場合にのみ前記メッセージを出力することを特徴とする車載システム。
【請求項5】
請求項1、2または3記載の車載システムであって、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機と前記近距離無線通信を介して通信可能であるときに、当日中に、当該通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを、まだ、出力していない場合にのみ、当該メッセージを出力することを特徴とする車載システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の車載システムであって、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、前記メッセージを音声によって出力することを特徴とする車載システム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5記載の車載システムであって、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、前記メッセージを、前記通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の一覧を含む画面を表示することにより出力することを特徴とする車載システム。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の車載システムであって、
前記携行品確認メッセージ出力手段は、当該車載システムの起動時に、前記近距離無線通信を介して通信可能な前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機が存在しなかった場合に、移動電話機の携行の確認を促すメッセージを出力することを特徴とする車載システム。
【請求項9】
自動車に搭載され、接続された移動電話機を用いた通信を行う車載システムであって、
当該車載システムと接続する候補となる移動電話機に対応づけて、携行品のリストを登録した移動電話機管理テーブルと、
当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機と接続した場合に、当該接続した移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力する携行品確認メッセージ出力手段とを有することを特徴とする車載システム。
【請求項10】
自動車に搭載され、近距離無線通信を介して接続した移動電話機を用いた通信を行う車載システムにおいて、ユーザの携行品の携行確認を促すメッセージを出力する携行品の携行忘れ確認方法であって、
前記車載システムが、当該車載システムと接続する候補とする移動電話機に対応づけて、携行品のリストを登録した移動電話機管理テーブルに基づいて、当該車載システムの起動時に、前記移動電話機管理テーブルに登録されている移動電話機のうちの前記近距離無線通信を介して通信可能な通信端末を探索するステップと、
前記車載システムが、探索した前記通信可能である移動電話機に対応付けて前記移動電話機管理テーブルに登録されている携行品のリストに含まれる各携行品の携行の確認を促すメッセージを出力するステップとを有することを特徴とする携行品の携行忘れ確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−55291(P2010−55291A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218367(P2008−218367)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】