説明

車載ナビゲーション装置

【課題】目的地までの経路において充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することのできる車載ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車載ナビゲーション装置であって、バッテリの電気残量にて電気自動車が経路上において走行可能な範囲に位置する複数の充電施設のそれぞれを表す充電施設情報を取得するとともに、その周辺施設情報を取得し(S17)、前記複数の充電施設のそれぞれでの前記バッテリの充電時間を算出して(S18)、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間を表示部に表示させ、当該複数の充電施設から充電施設を指定するためのユーザインタフェース手段を有し、前記指定された充電施設を立ち寄るべき充電施設として設定する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能なバッテリを動力源として備えた電気自動車に搭載される車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電可能なバッテリを動力源として備えた電気自動車に搭載されるナビゲーション装置として、案内経路上に存在する充電施設の情報を提示するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。この車載ナビゲーション装置では、目的地までの経路が設定されると、バッテリの現在の電気残量で目的地までの走行が可能であるか否かが判定され、その電気残量で目的地までの走行が可能でない場合に、経路途中の充電施設についての情報が検索されて表示される。更に具体的には、現在の電気残量で目的地までの走行が可能でない場合には、現在地点からその電気残量で走行が可能な地点までの間で充電場所になり得る場所(地名)が表示され、その充電場所がユーザにより選択されると、その充電場所ある充電施設が立ち寄るべき充電施設として設定される。そして、設定された充電施設での充電時間が算出され、地図上にてその設定された充電施設が表示されるともに、そこでの充電時間が表示される。
【0003】
また、前記充電場所における複数の充電施設を一覧表示させ、その複数の充電施設から立ち寄るべき1つの充電施設をユーザが選択すること、更に、その充電場所における観光施設を表示して、その観光施設を考慮して充電施設を選択できるようにすることについても、特許文献1にて提案されている。
【0004】
このような車載ナビゲーション装置によれば、目的地までの案内経路上に立ち寄るべき充電施設が設定されるので、ユーザは、バッテリの電気残量や充電タイミングを気にすることなく、その設定された案内経路に従って運転することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−112932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車載ナビゲーション装置では、選択された充電場所(地名)における観光施設がその充電場所にある複数の充電施設とともに表示され、その複数の充電施設から立ち寄るべき充電施設を選択することが可能になるものの、各観光施設は、複数の充電施設に個々的に対応させて表示されるものではない。このため、個々の充電施設から充電中に立ち寄れる範囲の観光施設を判断することが難しい。また、複数の観光施設が表示されても、選択される前の該複数の充電施設それぞれでの充電時間が算出及び表示されないので、ユーザは、各充電施設において充電中に時間の無駄なく訪れることのできる観光施設を判断することができない。
【0007】
従って、従来のナビゲーション装置は、目的地までの経路において充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することが必ずしもできるものとはなっていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、目的地までの経路において充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することのできる車載ナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車載ナビゲーション装置は、充電可能なバッテリを動力源として備えた電気自動車に搭載され、目的地までの経路の設定及び該電気自動車が当該経路上で立ち寄るべき充電施設の設定が可能となる車載ナビゲーション装置であって、前記バッテリの電気残量を取得する電気残量取得手段と、前記取得された電気残量にて前記電気自動車が設定される経路上において走行可能な範囲に位置する複数の充電施設のそれぞれを表す充電施設情報を取得する充電施設情報取得手段と、前記複数の充電施設のそれぞれの周辺に位置する施設を表す周辺施設情報を取得する周辺施設情報取得手段と、前記複数の充電施設のそれぞれでの前記バッテリの充電時間を算出する充電時間算出手段と、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間を表示部に表示させる表示制御手段と、前記表示部に表示された前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間が対応づけられる複数の充電施設から充電施設を指定するためのユーザインタフェース手段とを有し、前記指定された充電施設を立ち寄るべき充電施設として設定するように構成される。
【0010】
このような構成により、現在地点から経路上のバッテリの電気残量にて電気自動車の走行が可能な範囲に位置する複数の充電施設のそれぞれに対応づけて充電施設情報、周辺施設情報及び充電時間が表示部に表示され、その表示された充電施設情報、周辺施設情報及び充電時間が対応づけられる複数の充電施設から指定された充電施設が立ち寄るべき充電施設として設定される。
【0011】
本発明に係る車載ナビゲーション装置において、ある充電施設が立ち寄るべき充電施設として設定された後に、該充電施設の位置を現在地点とするとともに、所定電池残量を前記取得された電池残量として、前記充電施設情報取得手段と、前記周辺施設情報取得手段と、前記充電時間算出手段と、前記表示制御手段とが有効になるように制御する制御手段を有し、前記ユーザインタフェースを用いて指定された新たな充電施設を次に立ち寄るべき充電施設として設定するように構成することができる。
【0012】
このような構成により、設定された目的地までの経路において、複数の充電施設を設定することができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、前記複数の充電施設に対する所定の基準に基づいた優先順位を明示しつつ、当該複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間を表示部に表示させるように構成することができる。
【0014】
このような構成により、ユーザは、表示部に表示された前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間が対応づけられる複数の充電施設から立ち寄るべき充電施設を指定する際に、その複数の充電施設に対する所定の基準に基づいた優先順位を考慮することができるようになる。
【0015】
所定の基準に基づいた優先順位は、ユーザが立ち寄るべき充電施設を指定する際に考慮することが好ましいものであることが好ましく、例えば、目的地までの到着時刻がより早いという基準に基づいた優先順位、目的地に到着するまでの充電回数がより少ないという基準に基づいた優先順位、充電時間が短いという基準に基づいた優先順位など、任意に決めることができる。
【0016】
また、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記複数の充電施設のそれぞれでの前記バッテリの充電に必要な料金を算出する手段を有し、前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記料金を表示させるように構成することができる。
【0017】
このような構成により、ユーザが立ち寄るべき充電施設を指定する際に、各充電施設でのバッテリの充電に必要な料金を考慮することができるようになる。
【0018】
更に、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記複数の充電施設のそれぞれにて前記バッテリが充電された場合に、前記電気自動車が目的地に到着するまでに更に必要となる充電回数を予測充電回数として算出する手段を有し、前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記予測充電回数を表示させるように構成することができる。
【0019】
このような構成により、ユーザは、ある充電施設を指定したときにそれ以後目的地に到着するまでに必要な充電予測回数を考慮して、立ち寄るべき充電施設を指定することができるようになる。
【0020】
また、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応するマークを、前記表示部に表示される地図上の対応する充電施設の位置に表示させるように構成することができる。
【0021】
このような構成により、ユーザは、複数の充電施設の地図上の位置を認識しつつ当該複数の充電施設から立ち寄るべき充電施設を指定することができるようになる。
【0022】
前記マークは、地図上での位置が明示できるものであれば特に限定されず、各充電施設について同じものであっても、充電施設毎に異なるものであってもよい。異なるマークは、形状が異なるものであっても、色が異なるものであっても、その双方が異なるものであってもよい。また、前述した優先順位や目的地までの距離(現在地点からの距離)等の所定の規則に従って変えられるものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、ユーザが複数の充電施設から立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定する際に、その複数の充電施設のそれぞれに対応づけて充電施設情報、周辺施設情報及び充電時間が表示されるようになるので、ユーザは、個々の充電施設から充電中に立ち寄れる範囲の周辺施設(周辺施設情報)を判断し、選択される前の複数の充電施設それぞれでの充電時間を知ったうえで、立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定することができるようになる。その結果、目的地までの経路において充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】充電施設データの構造を示す図である。
【図3A】図1に示すナビゲーション装置における処理ユニットが実行する処理の手順(その1)を示すフローチャートである。
【図3B】図1に示すナビゲーション装置における処理ユニットが実行する処理の手順(その2)を示すフローチャートである。
【図3C】図1に示すナビゲーション装置における処理ユニットが実行する処理の手順(その3)を示すフローチャートである。
【図4】充電施設指定画面(その1)を示す図である。
【図5】充電施設指定画面(その2)を示す図である。
【図6】指定された充電施設を含むルートの設定画面を示す図である。
【図7】充電施設指定画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0026】
本発明の実施の形態に係る車載ナビゲーション装置は、充電可能なバッテリを動力源とする電気自動車に搭載され、図1に示すように構成される。
【0027】
図1において、車載ナビゲーション装置10は、コンピューターユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、車両ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17、センサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ等)及び地図情報を含む各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等からなる操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。更に、処理ユニット10は、当該電気自動車の各種処理(電動機の駆動制御処理、制動制御処理、監視処理等)を実行する車両ECU19に接続され、車両ECU19から各種データを取得できるようになっている。
【0028】
処理ユニット11は、GPSユニット17にて得られる現在位置から操作部12によって指定される目的地に至るルート(経路)を所定のルート設定アルゴリズムに従って設定し、GPSユニット17及びセンサ類18からの各種情報及び地図情報に基づいて前記設定されたルートに従って車両を案内するように車両ナビゲーションに係る処理を実行する。このナビゲーションに係る処理により、例えば、表示部13にナビゲーションに係る地図とともに車両位置マーク及び案内ルート等が表示され、ルート案内に係る種々のメッセージを表す音声信号が出力回路15を介してスピーカ16に供給されて、そのメッセージの音声がスピーカ16から出力される。
【0029】
記憶部14に格納される各種情報には、前述した地図情報のほか、各地に設置された充電施設に関する情報を表す充電施設データ、及び充電施設以外の施設に関する情報を表す施設データが含まれている。充電施設データは、例えば、図2に示すように、その充電施設の名称を表す名称データ、その充電施設の位置を表す位置データ(例えば、緯度・経度データ)及びその充電施設についての詳細内容、例えば、充電能力(例えば、急速充電または通常充電)、充電料金単価、充電機器数等を表す詳細データにて構成されている。また、充電施設データには、図2に示すように、その充電施設データにて表される充電施設の周辺(所定範囲内)にある施設(周辺施設)に関する情報を表す施設データが関連付けられている。なお、施設データは、その施設の名称(例えば、***公園、コンビニエンスストア、書店、カフェ等)及びその位置(例えば、経度・緯度)を表す情報を含んでいる。
【0030】
処理ユニット11は、図3A、図3B及び図3Cに示す手順に従ってルート(経路)設定に係る処理を実行する。
【0031】
図3Aにおいて、処理ユニット11は、GPSユニット17からの信号に基づいて当該電気自動車の現在位置を取得し(S11)、ユーザが操作部12から入力した目的地の位置を取得する(S12)。そして、処理ユニット11は、前記現在位置と目的位置とから所定のルート設定アルゴリズムに従って車両案内ルート(経路)を設定するためのルート設定処理を実行する(S13)。
【0032】
前記ルート設定処理により設定されるべき案内ルートが決められると、処理ユニット11は、当該電気自動車の燃費情報(記憶部14に予め格納されている)及び前記案内ルート上の現在位置から目的地までの道なり距離を用いて、現在位置から前記案内ルートを通って目的地までの走行に必要な電気量を算出する(S14)。また、処理ユニット11は、バッテリの電気残量を監視している車両ECU19を介してバッテリの現時点での電気残量を取得する(S15)。処理ユニット11は、前記目的地までの走行に必要な電気量と現時点でのバッテリの電気残量とを比較して、目的地までの走行にバッテリの充電が必要であるか否かを判定する(S16)。
【0033】
現時点でのバッテリの電気残量が前記目的地までの走行に必要な電気量より少なく、目的地までの走行にバッテリの充電が必要であると判定すると(S16でYES)、処理ユニット11は、前記取得されたバッテリの電気残量にて当該電気自動車が前記ルート上において走行可能な範囲、例えば、前記バッテリの電気残量にて走行する当該電気自動車の最大到達地点より手前の所定範囲、に位置する充電施設を検索する(S17)。この充電施設検索の処理では、記憶部14に格納された全ての充電施設データから、例えば、前記バッテリの電気残量にて走行する当該電気自動車の最大到達点により近い位置にある所定数(例えば、3つ)の充電施設のそれぞれを表す充電施設データが取得される。また、各充電施設データに関連付けられた施設データ(図2参照)も取得される。
【0034】
処理ユニット11は、前記ルート上の前記所定範囲に位置する充電施設を表す充電施設データ及びそれに関連する施設データを取得すると、各充電施設について提示すべきデータを生成する(S18)。具体的には、各充電施設への到達時点におけるバッテリの予測電気残量が算出され、その予測電気残量、バッテリのフル充電電気量及び充電料金単価に基づいて充電料金が、前記予測電気残量及び充電能力に基づいて充電時間が、フル充電電気量、当該充電施設から目的地までの距離、車両の燃費等に基づいて目的地までの充電予測回数が、現在位置と充電施設の位置との間のルート上の道なり距離及び予測平均走行速度に基づいて当該充電施設への予測到達時刻が、それぞれ算出される。そして、それら充電料金、充電時間、充電予測回数、及び予測到着時刻とともに、充電施設データから得られる充電能力(急速充電、通常充電)、及び施設データから得られる周辺施設の情報(施設名)が当該充電施設に対応づけられた1組の提示データとして生成される。
【0035】
処理ユニット11は、充電施設の検索処理(S17)で得られた所定数、この場合、3つ(以下、同様)の充電施設のそれぞれについての提示データが生成されると、その3つの充電施設に対して、予め定めた基準に基づいた優先順位に従って、「推奨」、「候補1」、及び「候補2」の順位付けを行う(S19)。例えば、前述したように前記バッテリの電気残量にて走行する当該電気自動車の最大到達地点により近い順(以後の予測充電回数が少ない順)に、前記3つの充電施設に対して「推奨」、「候補1」、及び「候補2」の順位付けがなされる。
【0036】
処理ユニット11は、選択した3つの充電施設のそれぞれについての提示データに基づいて、表示部13に、前記3つの充電施設のそれぞれに対応づけて「充電施設名」(充電施設データ)、「充電料金」、「充電時間」、「充電予測回数」、「予測到着時刻」、「充電能力」(充電施設データ)及び周辺施設名(施設データ)を、前記優先順位に従った3つの順位「推奨」、「候補1」及び「候補2」を明示して、例えば、図4に示すように表示させる(S20)。図4において、「推奨」に順位付けされた充電施設に対応づけて、「充電施設名」:Cステーション、「到達予測時刻」:120分、「充電時間」:約25分、「充電料金」:900円、「立ち寄り可能周辺施設」:***公園、「充電能力:急速充電」及び「充電予測回数」:残1回が、「候補1」に順位付けされた充電施設に対応づけて、「充電施設名称」:B充電所、「到達予測時刻」:90分、「充電時間」約15分、「充電料金」:700円、「立ち寄り「可能周辺施設」:コンビニエンスストア、「充電能力」:急速充電及び「充電予測回数」:残1回が、「候補2」に順位付けされた充電施設に対応づけて、「充電施設名」:A充電所、「到達予測時刻」:70分、「充電時間」:約120分、「充電料金」:500円、「立ち寄り可能周辺施設」:コンビニエンスストア、「充電能力」:通常充電及び「充電予測回数:残2回が、一覧表示(SG)される。また、表示部13の表示画面には、地図MPとともに現在位置Sから目的地までのルートRが表示され、更に、ルートR上に、検索された3つの充電施設「A充電所」、「B充電所」及び「Cステーション」に対応し、それぞれ異なる色(図4では表れていない)のマークA、マークB及びマークCが表示される。
【0037】
図4に示す画面は、充電施設指定画面であって、「推奨」、「候補1」及び「候補2」に順位付けされた3つの充電施設「Cステーション」、「B充電所」及び「A充電所」に対応する地図上のマークC、マークB及びマークAのいずれかを操作部12を用いてし選択することにより、立ち寄り充電施設として設定されるべき充電施設を指定することができる。ユーザ(運転者)は、各充電施設に対応づけられて一覧表示される「到着予測時刻」、「充電時間」、「充電料金」、「周辺施設」、「充電能力」及び「充電予測回数」を判断材料として、充電施設を指定することができる。
【0038】
処理ユニット11は、図4に示す充電施設指定画面を表示部13に表示させると(S20)、引き続き図3Bに示す処理を実行する。図3Bにおいて、処理ユニット11は、図4に示す充電施設指定画面において、充電施設の指定操作がなされたか否かを監視する(S21)。ユーザによって充電施設指定画面においていずれか1つの充電施設、例えば、コンビニエンスストアに立ち寄りたいユーザによって、より短い充電時間にて充電が完了する「候補1」の「B充電所」を指定する操作がなされると(S21でYES)、処理ユニット11は、その指定された充電施設「B充電所」の充電施設データを立ち寄り充電施設を特定するデータとして内部メモリにセットする(S22)。
【0039】
次いで、処理ユニット11は、前記セットされた充電施設データに含まれる予測充電回数に基づいて、立ち寄り充電施設として指定された充電施設「B充電所」にて充電された以後、目的地に到着するまでにバッテリを充電する必要があるか否かを判定する(S23)。まだ、充電する必要がある場合(S23でNO)、処理ユニット11は、バッテリの電気残量をフル充電電気量(FULL)に更新する(S24)とともに、前記立ち寄り充電施設として設定された充電施設「B充電所」の充電施設データを参照して、現在位置をその充電施設「B充電所」の位置に更新する(S25)。そして、処理ユニット11は、前述した図3AのステップS14に戻ってそれ以後の処理(S15〜S16)を実行し、前記立ち寄り充電施設として指定された充電施設「B充電所」からバッテリがフル充電された当該電気自動車が目的位置に到着するまでに当該バッテリの充電が再度必要であるか否かを判定する。
【0040】
バッテリの充電が再度必要な場合(S16でYES)、処理ユニット11は、前述したのと同様の処理(S17〜S20)を実行する。即ち、前記ルート上をバッテリのフル充電電気量にて充電施設「B充電所」から走行する当該電気自動車の最大到達地点より手前の所定範囲に位置する3つ(所定数)の充電施設が検索され、それら3つの充電施設のそれぞれに対応づけて「充電施設名」(充電施設データ)、「充電料金」、「充電時間」、「充電予測回数」、「予測到着時刻」、「充電能力」(充電施設データ)及び周辺施設名(施設データ)が、「推奨」、「候補1」及び「候補2」が明示された状態で、例えば、図5に示すように表示部13の画面(充電施設指定画面)に表示される。この充電施設指定画面には、地図MPとともに現在位置Sから目的地までのルートRが表示され、更に、ルートR上の前記指定された充電施設「B充電所」に対応する位置にマークBが、新たに検索された3つの充電施設「Cステーション」、「Dステーション」及び「Eステーション」に対応した位置にマークC、マークD及びマークEがそれぞれ表示される。既に指定された充電施設「B充電所」を表すマークBは、今回検索された3つの充電施設を表すマークC、マークD及びマークEと区別され得る形態(色、形状を含む)となり、また、3つのマークC、D、Eも異なる色となっている。
【0041】
このように充電施設指定画面(図5参照)を表示部13に表示させた処理ユニット11は、前述したのと同様に、図3Bに示す処理に移り、その充電施設指定画面において、充電施設の指定操作がなされたか否かを監視する(S21)。ユーザによって充電施設指定画面において3つの充電施設(図5におけるマークC、マークD、マークE参照)から1つの充電施設、例えば、時間的に余裕はあるが、更に充電することは望まないユーザによって、周辺施設として公園のある「候補1」の「Dステーション」を指定する操作がなされると(S21でYES)、処理ユニット11は、その指定された充電施設「Dステーション」の充電施設データを2番目の立ち寄り充電施設を特定するデータとして内部メモリにセットする(S22)。
【0042】
次いで、処理ユニット11は、前記セットされた充電施設データに含まれる予測充電回数に基づいて、2番目の立ち寄り充電施設として指定された充電施設「Dステーション」にて充電された以後、目的地に到着するまでにバッテリを充電する必要があるか否かを判定する(S23)。この場合、充電施設「Dステーション」で充電された以後、目的地に到着するまでにバッテリを充電する必要はないので(S23でYES)、処理ユニット11は、引き続き図3Cに示す処理を実行する。図3Cにおいて、処理ユニット11は、内部メモリにセットされた充電施設データの有無を判定する(S26)。そして、前述したように内部メモリにセットされた充電施設データがある場合(S26でYES)、処理ユニット11は、そのセットされた充電施設データに基づいて、図6に示すように、地図MP上の現在位置Sから目的地GまでのルートRとともに、立ち寄り充電施設として指定された充電施設「B充電所」及び充電施設「Dステーション」についての情報(充電時間、充電料金、周辺施設)を表示部13に表示させる。前記ルートR上には、立ち寄り充電施設として指定された充電施設「B充電所」及び充電施設「Dステーション」の各位置にマークB及びマークDが表示される。図6に示す画面は、ルート設定画面であって、現在位置Sから指定された充電施設「B充電所」及び充電施設「Dステーション」を経由して目的地Gに至るルートRの設定の可否を操作入力するための「YES」(可)ボタン及び「NO」(否)ボタンが表示されている。
【0043】
処理ユニット11は、図6に示すルート設定画面を表示部13に表示させると(S27)、ルート設定画面におけるルート設定可否の「YES」ボタン及び「NO」ボタンのいずれかが操作されるか否かを監視する(S28、S29)。ユーザによってルート設定画面において「YES」ボタンの操作がなされると(S28でYES)、処理ユニット11は、最終的に、充電施設「B充電所」及び充電施設「Dステーション」を立ち寄り充電施設として設定するとともに、それらの充電施設を経由するルートRを当該電気自動車を案内すべきルートとして設定する。そして、処理ユニット10は、ルート案内の処理を開始する(S30)。
【0044】
なお、目的地に到達するために必要な電気量がバッテリの電気残量より少なく、充電しなくても当該電気自動車が目的地まで走行することができる場合(図3AのS15でNO)、処理ユニット11は、図3Cの処理に移る。この場合、指定された充電施設を表す充電施設データがセットされていないので(図3CのS26でNO)、処理ユニット11は、当初決められたルート(図3AのS13)に従ったルート案内の処理を開始する(S30)。また、図6に示すルート設定画面において、表示されたルートRを設定しないことを表す「NO」ボタンの操作がなされると(S29でYES)、処理ユニット11は、直前に算出して保存しているバッテリの電気残量及び現在位置(S24、S25参照)をクリアし、図3Aの最初のステップS11に戻って、立ち寄り充電施設を経由するルートを設定するための処理を再実行する。
【0045】
上述したような車載ナビゲーション装置によれば、ユーザが現在地点からバッテリの電気残量にてルート上を走行する電気自動車の最大到達地点より手前の所定範囲に位置する3つ(所定数)の充電施設から立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定する際に、それら3つの充電施設に対応づけて「充電施設名」(充電施設データ)、「充電料金」、「充電時間」、「充電予測回数」、「予測到着時刻」、「充電能力」(充電施設データ)及び周辺施設名(施設データ)が、表示部13に表示されるようになるので(図4、図5参照)、ユーザは、それら多くの情報を知ったうえで、前記3つの充電施設から立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定することができるようになる。特に、各充電施設について「充電時間」及び「周辺施設」に関する情報が提示されるので、ユーザは、個々の充電施設からその充電中に立ち寄れる範囲の周辺施設(周辺施設情報)を判断し、前記3つの充電施設それぞれでの充電時間を知ったうえで、立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定することができるようになる。その結果、目的地までのルートにおいて充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することができるようになる。
【0046】
また、指定の対象となる前記3つの充電施設に対して、前記バッテリの電気残量にて走行する当該電気自動車の最大到達地点により近い順(以後の予測充電回数が少ない順)に、「推奨」、「候補1」、「候補2」の順位付けがされるので、ユーザは、立ち寄り充電施設として設定されるべき充電施設を指定する際の判断を、当該車載ナビゲーション装置10(処理ユニット11)による判断(「推奨」)に委ねることもできる。
【0047】
なお、前記順位付けの基準は、充電時間がより短い等、立ち寄り充電施設を指定する際に考慮することが好ましいものであれば、任意に決めることができる。
【0048】
更に、3つ(所定数)の充電施設から立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定するために利用される充電施設指定画面(図4、図5参照)は、指定の対象となる各充電施設を表すマークがルート上に表示されるので、各充電施設のルート上の位置を認識しつつ立ち寄り充電施設として設定すべき充電施設を指定することができるようになる。なお、各充電施設を表すマークをルート上に表示することなく、例えば、図7に示すように、各充電施設に対応づけられる「充電施設名」、「充電料金」、「充電時間」、「充電予測回数」、「到着予測時刻」、「充電能力」及び「周辺施設名」の一覧表SGだけであってもよい。この場合、例えば、操作部12を用いて「充電施設名」の選択操作(クリック操作)をすると、その充電施設名の充電施設が立ち寄り施設として設定すべき充電施設として指定されるようになる。
【0049】
また、図4及び図5に示す充電施設指定画面において、充電施設の周辺に位置する施設について情報(周辺施設名等)は、一覧表SG内に文字として表されていたが、地図MP内の対応する充電施設のマークの近傍に、文字やマーク(コンビニエンスストアのマーク、公園のマーク、カフェのマーク等)にて表すようにしてもよい。また、図6に示す指定された充電施設を含むルートの設定画面においても、立ち寄り充電施設として設定された充電施設の周辺施設についての情報(周辺施設名)は、その設定された充電施設の近傍にマークにて表すこともできる。
【0050】
前述した車載ナビゲーション装置10では、各地の充電施設についての情報を表す充電施設データ及び充電施設に対する周辺施設についての情報を表す施設データは、記憶部14に格納されているものであったが、前記充電施設データ及び施設データは、外部のサーバに格納されているものであって、車載ナビゲーション装置10が前記外部のサーバから通信手段を介して取得するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上、説明したように、本発明に係る車載ナビゲーション装置は、目的地までの経路において充電中の待ち時間をより有効に利用することのできる充電施設を設定することができるという効果を有し、充電可能なバッテリを動力源として備えた電気自動車に搭載される車載ナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0052】
10 ナビゲーション装置
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 GPSユニット
18 センサ類(ジャイロセンサ・加速度センサ)
19 車両ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリを動力源として備えた電気自動車に搭載され、目的地までの経路の設定及び該電気自動車が当該経路上で立ち寄るべき充電施設の設定が可能となる車載ナビゲーション装置であって、
前記バッテリの電気残量を取得する電気残量取得手段と、
前記取得された電気残量にて前記電気自動車が設定される経路上において走行可能な範囲に位置する複数の充電施設のそれぞれを表す充電施設情報を取得する充電施設情報取得手段と、
前記複数の充電施設のそれぞれの周辺に位置する施設を表す周辺施設情報を取得する周辺施設情報取得手段と、
前記複数の充電施設のそれぞれでの前記バッテリの充電時間を算出する充電時間算出手段と、
前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間を表示部に表示させる表示制御手段と、
前記表示部に表示された前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間が対応づけられる複数の充電施設から充電施設を指定するためのユーザインタフェース手段とを有し、
前記指定された充電施設を立ち寄るべき充電施設として設定する車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
ある充電施設が立ち寄るべき充電施設として設定された後に、該充電施設の位置を現在地点とするとともに、所定電池残量を前記取得された電池残量として、
前記充電施設情報取得手段と、前記周辺施設情報取得手段と、前記充電時間算出手段と、前記表示制御手段とが有効になるように制御する制御手段を有し、
前記ユーザインタフェースを用いて指定された新たな充電施設を次に立ち寄るべき充電施設として設定する車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数の充電施設に対する所定の基準に基づいた優先順位を明示しつつ、当該複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記充電施設情報、前記周辺施設情報及び前記充電時間を表示部に表示させる請求項1または2記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記複数の充電施設のそれぞれでの前記バッテリの充電に必要な料金を算出する手段を有し、
前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記料金を表示させる請求項1乃至3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記複数の充電施設のそれぞれにて前記バッテリが充電された場合に、前記電気自動車が目的地に到着するまでに更に必要となる充電回数を予測充電回数として算出する手段を有し、
前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応づけて前記予測充電回数を表示させる請求項1乃至4のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記複数の充電施設のそれぞれに対応するマークを、前記表示部に表示される地図上の対応する充電施設の位置に表示させる請求項1乃至5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記マークは、充電施設毎に異なる請求項4記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−174711(P2011−174711A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36825(P2010−36825)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】