説明

車載周辺状況提示装置

【課題】状況を提示できない範囲についての注意喚起を行う「車載周辺状況提示装置」を提供する。
【解決手段】死角算出部3は、他車の陰となるために、レーダ装置12やカメラ11で監視できなくなっている範囲を死角範囲として算出する。周辺状況表示部4は、表示装置8の表示画面上の撮影映像表示領域420にカメラ11で撮影した自車後方の映像を左右を反転し表示する(a)。また、レーダ画像表示領域410では、自車412を基準として自車周辺を表す地図画像411上で、レーダ装置12が検出した他車413の位置を表す(a)。また、地図画像411上で、死角算出部5が算出した死角範囲414を、網掛表示などによって表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される、自動車周辺の状況をユーザに対して提示する車載周辺状況提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される、自動車周辺の状況をユーザに対して提示する技術としては、赤外線カメラによって自車周辺を撮影すると共に、赤外線カメラで撮影した映像をドライバに対して表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11-146389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した赤外線カメラで撮影した映像を表示する技術によれば、ドライバは、夜間に視認し難い歩行者を、表示された映像から容易に把握することができるようになる。
ここで、赤外線カメラから見て歩行者の前に他の物体が存在する場合には、物体の陰となる範囲は赤外線カメラによって撮影できないために、この歩行者を赤外線カメラによって撮影することはできない。したがって、ドライバは、このような赤外線カメラで撮影できない範囲については、表示される映像のみに頼ることなく特段の注意を払うことが好ましい。しかしながら、ドライバにとって、このような赤外線カメラで撮影できない範囲を、夜間において直ちに把握することは、必ずしも容易ではない
そこで、本発明は、自動車に搭載され、自動車周辺の状況をユーザに対して提示する車載周辺状況提示装置において、当該車載周辺状況提示装置が正しく状況を提示することができない範囲についてのユーザの注意を喚起することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載され、前記自動車周辺の状況をユーザに対して提示する車載周辺状況提示装置を、自車周辺の所定の検出範囲内の状況を検出する周辺状況センサと、前記周辺状況センサが検出した前記検出範囲内の状況をユーザに対して提示する状況提示手段と、前記周辺状況センサに対して前記検出範囲内に存在する物体の陰となるために、前記周辺状況センサによって状況を検出することができなくなっている範囲を、検出不可範囲として算出する検出不可範囲算出手段と、前記検出不可範囲算出手段が算出した検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起する注意喚起手段とを含めて構成したものである。
【0005】
このような車載周辺状況提示装置によれば、前記検出範囲内に存在する物体の陰となるために、前記周辺状況センサによって状況を検出することができなくなっている範囲を検出不可範囲として算出し、算出した検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起するので、他の物体の陰となるために当該車載周辺状況提示装置が正しく状況を提示することができない範囲について、ユーザの注意を喚起することができるようになる。
【0006】
ここで、以上のような車載周辺状況提示装置は、前記検出不可範囲算出手段において、前記周辺状況センサが検出した前記検出範囲内の状況に応じて、前記検出範囲内に存在する他車を検出し、前記周辺状況センサに対して前記他車検出手段が検出した他車の陰となる範囲を前記検出不可範囲として算出するようにしてもよい。また、以上のような車載周辺状況提示装置は、前記周辺状況センサを、自車周辺を撮影するカメラと、レーダを用いて自車周辺の物体の位置を計測するレーダ計測手段とを含めて構成し、前記検出不可範囲算出手段において、前記カメラが撮影した画像中の他車の大きさと、当該他車に相当する物体について前記レーダ計測手段が計測した位置までの距離とに基づいて、当該他車のサイズを算出し、当該他車に相当する物体について前記レーダ計測手段が計測した位置と、算出した当該他車のサイズとに基づいて、当該他車の陰となる範囲を、前記検出不可範囲として算出するようにしてもよい。
【0007】
これらのようにすることにより、他車の陰となるために当該車載周辺状況提示装置が正しく状況を提示することができない範囲について、ユーザの注意を喚起することができる。
また、以上の車載周辺状況提示装置に、さらに、道路と建造物の配置を示す地図を表す地図データ記憶した地図データ記憶手段と、自車の現在位置を算出する自車位置算出手段とを備え、前記検出不可範囲算出手段において、自車位置算出手段が算出した自車の現在位置と、前記地図データ記憶手段に記憶された地図データが表す自車周辺の建造物の位置関係に基づいて、前記周辺状況センサに対して前記建造物の陰となる範囲を前記検出不可範囲として算出するようにしてもよい。
【0008】
このようにすることにより、建造物の陰となるために当該車載周辺状況提示装置が正しく状況を提示することができない範囲について、ユーザの注意を喚起することができる。
また、以上の車載周辺状況提示装置は、より具体定期には、前記注意喚起手段は、自車と前記検出不可範囲との位置関係を表す画像を表示することにより、当該検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起するものとして構成するようにしてもよい。また、この場合には、前記注意喚起手段が表示する画像は、自車周辺の地図上に、自車の現在位置と、前記検出不可範囲を表した画像としてもよい。
【0009】
このようにすることにより、ユーザは直感的に自車との関係において容易に検出不可範囲を把握できるようになる。
また、以上の車載周辺状況提示装置は、前記周辺状況センサを、自車周辺を撮影するカメラを含めて構成し、前記状況提示手段において、前記カメラが撮影した映像を表示すると共に、前記注意喚起手段において、前記状況提示手段が表示する映像上に、前記検出不可範囲に対応する領域を示すことにより、当該検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起するようにしてもよい。
【0010】
このようにすることにより、ユーザはカメラが撮影した映像が示す周辺の状況との関係において、直接的に検出不可範囲を把握できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、自動車に搭載され、自動車周辺の状況をユーザに対して提示する車載周辺状況提示装置において、当該車載周辺状況提示装置が正しく状況を提示することができない範囲についてのユーザの注意を喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに、本実施形態に係る周辺状況提示装置の構成を示す。
本周辺状況提示装置は自動車に搭載される装置であり、図示するように、前方監視ユニット1、後方監視ユニット2、自車の舵角や速度などの状態を検出する車両センサ3、周辺状況表示部4、死角算出部5、地図データを備え地図データに基づいて自車の現在位置の検出等を行うナビゲーション装置6、表示装置8、音声出力装置9、操作部10、表示装置8や音声出力装置9や操作部10を用いた入出力を制御する入出力制御部7とを備えている。
【0013】
また、前方監視ユニット1と後方監視ユニット2は、設定された撮影範囲を撮影するカメラ11と、設定された走査範囲内の物体のレーダ測位を行うレーダ装置12とを備えている。ただし、前方監視ユニット1のカメラ11は赤外線カメラであり、後方監視ユニット2のカメラ11は通常の可視光撮影用のカメラ11である。
【0014】
ここで、本実施形態では、図1bに示すように、前方監視ユニット1は、車両前部に配置し、前方監視ユニット1のカメラ11によって自車前方を撮影範囲として撮影し、前方監視ユニット1のレーダ装置12によって自車前方を走査範囲として物体のレーダ測位を行う。また、後方監視ユニット2は、車両後部に配置し、後方監視ユニット2のカメラ11によって自車後方を撮影範囲として撮影し、後方監視ユニット2のレーダ装置12によって自車後方を走査範囲として物体のレーダ測位を行う。ここで、本実施形態では、前方監視ユニット1のカメラ11の視野角の範囲とレーダ装置12の走査角の範囲を一致させると共に、後方監視ユニット2のカメラ11の視野角の範囲とレーダ装置12の走査角の範囲を一致させている。
【0015】
次に、死角算出部5の動作について説明する。
死角算出部5は、他車要因死角算出処理と、建造物要因死角算出処理とを、前方監視ユニット1と後方監視ユニット2のそれぞれについて行う。ここで、死角算出部5が、前方監視ユニット1と後方監視ユニット2のそれぞれについて行う他車要因死角算出処理の内容は同様であり、死角算出部5が、前方監視ユニット1と後方監視ユニット2のそれぞれについて行う建造物要因死角算出処理の内容は同様である。
【0016】
以下、この他車要因死角算出処理と、建造物要因死角算出処理について説明する。
まず、他車要因死角算出処理について、後方監視ユニット2について行う他車要因死角算出処理を例にとり説明する。
この他車要因死角算出処理では、他車の存在のために状況を提示できなくなっている範囲を他車要因死角範囲として算出する処理を行う。
すなわち、図2aに示すように後方監視ユニット2のレーダ装置12が、自車201の後方に、他車に対応する物体の位置Pxを測位したならば、Wを短辺、Lを長辺とする長方形の他車領域202を、レーダ装置12が当該物体に対して測定した速度ベクトルの向かう方向を長辺の方向として、当該他車領域202の後方監視ユニット2に最も近い位置が、測位した位置Pxとなるように配置する。ただし、測位した位置Pxが後方監視ユニット2の自真後ろにある場合には、他車領域202の自車寄りの短辺の中央位置が、測位した位置Pxとなるようにする。
【0017】
そして、この他車領域よって、後方監視ユニット2に対して隠される範囲を、他車要因死角範囲203として算出する。すなわち、他車要因死角範囲203は、当該他車要因死角範囲203内の任意の位置が、当該位置と後方監視ユニット2とを結ぶ線上に他車領域202が存在することになる範囲として求まる。
【0018】
さて、ここで、このような他車領域の短辺の長さWと長辺の長さLは、位置Pxを測位した他車の車幅をW、当該他車の車長をLとして算定することにより設定する。
この他車の車幅Wと車長Lの算定は、たとえば、図3に示すように行う。
すなわち、死角算出部5は、他車要因死角算出処理において、自車周辺の他車毎に、当該他車ついてレーダ装置12によって計測された位置を追尾する処理を行う。
そして、カメラ11によって撮影された画像の、追尾している他車についてレーダ装置12が測位した位置に対応する領域に対する画像認識処理を施し、図3aに示すように、当該追尾している他車の正面を向いた映像がカメラ11によって撮影されたときに、当該追尾している他車302の前方左右端P1、P2の画像中の位置を求める。そして、求めた画像中の位置に基づいて、自車301のカメラ11の設置位置Oから、当該追尾している他車302の前方左右端P1、P2に向かう方向の角度差θ1を求めると共に、レーダ装置12が、当該追尾している他車302について計測した相対距離Dを用いて、W=2Dtan(θ/2) によって、車幅Wを算出する。
【0019】
次に、このようにして車幅Wが算出されたならば、カメラ11によって撮影された画像の、当該車幅Wが算出された他車についてレーダ装置12が測位した位置に対応する領域に対する画像認識処理を継続して行い、当該追尾している他車の右斜前方方向を向いた映像がカメラ11によって撮影されたときに、図3b1に示すように、認識した他車の前方左端P1、前方右端P2、後方左端P3の画像中の位置を求める。そして、求めた画像中の位置に基づいて、自車301のカメラ11の設置位置Oから、当該追尾している他車302の前方右端P2に向かう方向の角度θ1、他車302の前方左端P1に向かう方向の角度θ2、他車302の後方左端P3に向かう方向θ3を求める。
【0020】
そして、自車301のカメラ11の設置位置Oからθ2方向に、レーダ装置12が当該追尾中の他車302について計測した相対距離D進んだ位置をP1の位置とする。次に、図3b2に示すように、先に当該追尾中の他車について算定した車幅Wを用いて、P1の位置を中心とする半径Wの円と、自車301のカメラ11の設置位置Oからθ1方向に向かう直線との二つの交点のうち、P1よりも自車に対して遠い方の位置をP2とする。そして、P1とP2を結ぶ直線に垂直な直線と、自車301のカメラ11の設置位置Oからθ3方向に向かう直線との交点をP3とし、P1とP3間の距離を車長Lとする。
【0021】
そして、以上のようにして求めた車幅Wと車長Lを、図2aにおいて当該車幅Wと車長Lを求めた追尾中の他車についてレーダ装置12が計測した位置Pxに対して設定する他車領域202の短辺/長辺の長さとして用いる。
なお、このような車長Lは、当該車幅Wが算出された他車の右斜前方方向を向いた映像がカメラ11によって撮影されたときにも、同様にして算定することができる。すなわち、この場合には、当該他車の前方右端をP1、前方左端をP2、後方右端をP3として以上の処理を行えばよい。
【0022】
以上、他車要因死角算出処理について説明した。
ところで、以上のような他車の車幅W/車長Lの算定は、次のように行うようにしてもよい。すなわち、周辺状況提示装置に無線通信装置を備え、無線通信を用いた車車間通信によって周辺の他車から、当該他車の位置と車幅、車長の情報を取得する。そして、取得した車幅/車長を、取得した位置に対応する相対位置がレーダ装置12によって計測されている追尾中の他車の車幅W/車長Lとする。
【0023】
次に、死角算出部5が行う建造物要因死角算出処理について、前方監視ユニット1について行う建造物要因死角算出処理を例にとり説明する。
この建造物要因死角算出処理では、建造物の存在のために状況を提示できなくなっている範囲を建造物要因死角範囲として算出する処理を行う。
さて、この建造物要因死角算出処理において、死角算出部5は、ナビゲーション装置6から自車の現在位置と進行方向の情報と、自車周辺の地図データを取得する。
そして、図2bに示すように、ナビゲーション装置6から取得した情報が示す自車201の現在位置にあって取得した情報が示す進行方向を向いた前方監視ユニット1に対して、ナビゲーション装置6から取得した地図データが示す建造物204によって隠される道路/歩道上の範囲を、建造物要因死角範囲205として算出する。すなわち、建造物要因死角範囲205は、当該建造物要因死角範囲205内の任意の位置が、当該位置と前方監視ユニット1とを結ぶ線上に建造物204が存在することになる道路/歩道上の範囲として求まる。
【0024】
ただし、このような建造物要因死角範囲の算出は、レーダ装置12の測位する物体の相対位置から建造物の存在する範囲を算定し、範囲を算定した建造物によって隠される道路/歩道上の範囲を、建造物要因死角範囲として算出することにより行うようにしてもよい。また、前方監視ユニット1に対して建造物によって隠される全ての範囲を、道路/歩道上の範囲であるか否かの如何を問わず、建造物要因死角範囲として算出するようにしてもよい。
【0025】
以上、建造物要因死角算出処理について説明した。
次に、周辺状況表示部4が行う周辺状況表示処理について説明する。
周辺状況表示部4は、入出力制御部7を介して入力する操作部10に対するユーザ操作に応じて、後方状況表示処理と、前方状況表示処理とを選択的に行う。
そして、後方状況表示処理では、図4aに示すように、レーダ画像表示領域410と撮影映像表示領域420とを有する後方監視画面を、入出力制御部7を介して表示装置8に表示する。
そして、ナビゲーション装置6より自車位置周辺の地図と自車の現在位置及び進行方向とを取得し、自車位置周辺の地図411と、当該地図411上の自車の現在位置に対応する位置に進行方向に向けて配置した自車を表す自車図形412と、当該地図上で後方監視ユニット2のレーダ装置12が検出した他車を表す他車図形413とより構成される後方レーダ監視画像をレーダ画像表示領域410に表示する。ここで、他車図形413は、他車図形413と自車図形412との位置関係が、後方監視ユニット2のレーダ装置12が検出した他車の相対位置より求まる他車と自車の位置関係に一致するように配置する。
【0026】
また、後方監視ユニット2のカメラ11の撮影範囲及び当該撮影範囲と一致するように設置した後方監視ユニット2のレーダ装置12の走査範囲である後方監視範囲を、後方レーダ監視画像より視認できるように、後方レーダ監視画像の、地図411上の後方監視範囲外に対応する領域は、その表示輝度を下げて表示する。また、さらに、死角算出部5が算出した他車要因死角範囲と建造物要因死角範囲を併せた範囲を死角範囲とし、後方レーダ監視画像の、地図411上の死角範囲に対応する領域414は網掛表示などによって、後方監視範囲内の他の領域と区別可能に表示する。
【0027】
また、撮影映像表示領域420には後方監視ユニット2のカメラ11で撮影した自車後方の映像を左右を反転し表示する。
次に、前方状況表示処理では、図4bに示すように、レーダ画像表示領域410と撮影映像表示領域420とを有する前方監視画面を、入出力制御部7を介して表示装置8に表示する。
そして、ナビゲーション装置6より自車位置周辺の地図と自車の現在位置及び進行方向とを取得し、自車位置周辺の地図411と、当該地図411上の自車の現在位置に対応する位置に進行方向を向けて配置した自車を表す自車図形412と、当該地図上で前方監視ユニット1のレーダ装置12が検出した他車を表す他車図形とより構成される前方レーダ監視画像をレーダ画像表示領域410に表示する。
【0028】
また、前方監視ユニット1のカメラ11の撮影範囲及び当該撮影範囲と一致するように設置した前方監視ユニット1のレーダ装置12の走査範囲である前方監視範囲を、前方レーダ監視画像より視認できるように、前方レーダ監視画像の、地図411上の前方監視範囲外に対応する領域は、その表示輝度を下げて表示する。また、さらに、死角算出部5が算出した他車要因死角範囲と建造物要因死角範囲を合わせた範囲を死角範囲とし、前方レーダ監視画像の、地図411上の死角範囲に対応する領域414は網掛表示などによって、前方監視範囲内の他の領域と区別可能に表示する。
【0029】
また、撮影映像表示領域420には前方監視ユニット1の赤外線のカメラ11で撮影した自車前方の映像を表示する。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の前方状況表示処理や前方表示処理では、図5aに前方表示処理で表示する前方監視画面を例にとり示すように、撮影映像表示領域420に表示されるカメラ11で撮影した画像中の、前方監視ユニット1に対して死角範囲を隠している他車や建造物が存在しなかったならば、当該死角範囲内ある物体の映像が映り込むことになる部分及び当該部分周辺の領域421を求めると共に、撮影映像表示領域420に表示される画像の当該領域421を網掛表示することなどにより、カメラ11で撮影した画像中の当該領域421が死角範囲に対応する部分であることが視認できるように表示するようにしてもよい。
【0030】
また、以上の前方表示処理では、ナビゲーション装置6において、ユーザから設定された目的地までの間に設定した誘導経路による経路案内を行っている場合には、図5bに示すように、レーダ画像表示領域410に表示する地図上411上に、誘導経路を表す図形415と目的地を表す図形416を表示するようにしてもよい。また、この場合には、撮影映像表示領域420に表示されるカメラ11で撮影した画像中の、前方監視ユニット1に対して目的地を隠している他車や建造物が存在しなかったならば、当該目的地の映像が映り込むことになる位置に、目的地の存在を表す図形422を表示するようにしてもよい。
【0031】
また、以上の実施形態は、死角算出部5において、さらに以下のような警告処理を行うようにしてもよい。すなわち、この計測処理において、死角算出部5は、車両センサ3の検出するユーザの車線変更操作(たとえば、方向指示器の操作)などに基づいて、自車の車線変更の発生を予測し、予測した車線変更によって進行しようとする車線上後方に、死角範囲が存在する場合には、入出力制御部7を介して音声出力装置9から、車線変更の安全を確認できない旨の注意を促す音声メッセージを出力したり、自車近傍に他車要因死角範囲が広がっている場合に、他車との車間距離を広げるよう注意を促す音声メッセージを、入出力制御部7を介して音声出力装置9から出力する処理などを行う。
【0032】
以上のように本実施形態では、他車や建造物などの他の物体の陰となるために、レーダ装置12やカメラ11で状況を検出することができなくなっている範囲を死角範囲として算出し、当該死角範囲をユーザに示したり、当該死角範囲との関係に注意するよう促す音声メッセージを出力することにより、当該死角範囲についてのユーザの注意を喚起する。したがって、本実施形態によれば、周辺状況表示装置が、状況を提示できない範囲についてのユーザの注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る周辺状況表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る周辺状況表示装置の死角範囲の算出動作を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る周辺状況表示装置の死角範囲の算出動作を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る周辺状況表示装置の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る周辺状況表示装置の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1…前方監視ユニット、2…後方監視ユニット、3…車両センサ、4…周辺状況表示部、5…死角算出部、6…ナビゲーション装置、7…入出力制御部、8…表示装置、9…音声出力装置、10…操作部、11…カメラ、12…レーダ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載され、前記自動車周辺の状況をユーザに対して提示する車載周辺状況提示装置であって、
自車周辺の所定の検出範囲内の状況を検出する周辺状況センサと、
前記周辺状況センサが検出した前記検出範囲内の状況をユーザに対して提示する状況提示手段と、
前記周辺状況センサに対して前記検出範囲内に存在する物体の陰となるために、前記周辺状況センサによって状況を検出することができなくなっている範囲を検出不可範囲として算出する検出不可範囲算出手段と、
前記検出不可範囲算出手段が算出した検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起する注意喚起手段とを有することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載周辺状況提示装置であって、
前記検出不可範囲算出手段は、前記周辺状況センサが検出した前記検出範囲内の状況に応じて、前記検出範囲内に存在する他車を検出し、前記周辺状況センサに対して前記他車検出手段が検出した他車の陰となる範囲を、前記検出不可範囲として算出することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項3】
請求項1記載の車載周辺状況提示装置であって、
前記周辺状況センサは、自車周辺を撮影するカメラと、レーダを用いて自車周辺の物体の位置を計測するレーダ計測手段とを含み、
前記検出不可範囲算出手段は、前記カメラが撮影した画像中の他車の大きさと、当該他車に相当する物体について前記レーダ計測手段が計測した位置までの距離とに基づいて、当該他車のサイズを算出し、当該他車に相当する物体について前記レーダ計測手段が計測した位置と、算出した当該他車のサイズとに基づいて、当該他車の陰となる範囲を前記検出不可範囲として算出することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項4】
請求項1記載の車載周辺状況提示装置であって、
道路と建造物の配置を示す地図を表す地図データ記憶した地図データ記憶手段と、
自車の現在位置を算出する自車位置算出手段と、
前記検出不可範囲算出手段は、自車位置算出手段が算出した自車の現在位置と、前記地図データ記憶手段に記憶された地図データが表す自車周辺の建造物との位置関係に基づいて、前記周辺状況センサに対して前記建造物の陰となる範囲を、前記検出不可範囲として算出することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車載周辺状況提示装置であって、
前記注意喚起手段は、自車と前記検出不可範囲との位置関係を表す画像を表示することにより、当該検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項6】
請求項1、2、3または4記載の車載周辺状況提示装置であって、
前記注意喚起手段が表示する画像は、自車周辺の地図上に、自車の現在位置と、前記検出不可範囲を表した画像であることを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項7】
請求項1、2または4記載の車載周辺状況提示装置であって、
前記周辺状況センサは、自車周辺を撮影するカメラを含み、
前記状況提示手段は、前記カメラが撮影した映像を表示し、
前記注意喚起手段は、前記状況提示手段が表示する映像上で、前記検出不可範囲に対応する領域を示すことにより、当該検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起することを特徴とする車載周辺状況提示装置。
【請求項8】
自動車に搭載された車載装置において、前記自動車周辺の状況をユーザに対して提示する方法であって、
自車周辺の所定の検出範囲内の状況を検出する周辺状況センサを用いて、前記検出範囲内の状況を検出するステップと、
検出した前記検出範囲内の状況をユーザに対して提示するステップと、
前記周辺状況センサに対して前記検出範囲内に存在する物体の陰となるために、前記周辺状況センサによって状況を検出することができなくなっている範囲を、検出不可範囲として算出するステップと、
前記検出不可範囲についてのユーザの注意を喚起するステップとを有することを特徴とする車載装置における周辺状況提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−233770(P2007−233770A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55582(P2006−55582)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】