説明

車載地図表示装置

【課題】地図の視認性を低下させずに交通規制情報を地図上に表示する車両用の地図表示装置を提供する。
【解決手段】自車位置20の周囲について地図を表示する。この地図上の様々な位置に設定された交通規制情報のうち、自車両の進行道路R3と接続する道路上に設定された交通規制情報や、自車両の進行道路R3と接続しない道路上で、自車両の進行道路R3と接続する道路を挟んで両側に設定されている交通規制情報などを抽出し、抽出した交通規制情報を自車両の進行道路R3に隣接させて表示する。これにより、交通規制情報マーク23、26、31、33、38、39、42および43が地図上に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、進入禁止や通行止め、一方通行など、地図上に設定された様々な交通規制情報を表示するナビゲーション装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−147295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置は、地図の表示範囲内に存在する交通規制情報のうち、設定された期間や時間帯、あるいは自車位置からの距離など、所定の表示条件を満たすものを表示する。したがって、このような表示条件を満たす交通規制情報が密集して存在する場合、地図の視認性が低下してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する情報入手手段と、自車両の進行道路を予測する予測手段と、情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、進行道路上に設定されていない交通規制情報を、を、進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示する表示制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車載地図表示装置において、情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を抽出する抽出手段をさらに備え、表示制御手段は、抽出手段により抽出された交通規制情報を、進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示するものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の車載地図表示装置において、抽出手段は、進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報のうち、進行道路から所定のしきい距離以内に設定された交通規制情報を抽出するものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の車載地図表示装置において、交通規制情報が表す交通規制の種類に応じて、しきい距離を変化させる変化手段をさらに備えるものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の車載地図表示装置において、交通規制情報は、一時停止の情報を少なくとも含み、変化手段は、一時停止の情報を抽出する場合と、それ以外の交通規制情報を抽出する場合とで、しきい距離を変化させるものである。
請求項6の発明は、請求項2〜5いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、抽出手段により、一つの道路に対して、同一種類の交通規制情報が複数の位置において抽出された場合、表示制御手段は、抽出された同一種類の交通規制情報のうち、進行道路から最も近い位置に設定された交通規制情報のみを、進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示するものである。
請求項7の発明は、請求項2〜6いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、抽出手段は、情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路につながる道路上に設定された交通規制情報をさらに抽出するものである。
請求項8の発明は、請求項7に記載の車載地図表示装置において、抽出手段は、進行道路と接続する道路につながる道路上に設定された交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路を挟んで両側に設定されている交通規制情報をさらに抽出するものである。
請求項9の発明は、請求項1〜8いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、表示対象とする交通規制情報の種類を設定する表示対象設定手段をさらに備え、表示制御手段は、情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、表示対象設定手段により表示対象に設定された交通規制情報のみを、進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示するものである。
請求項10の発明による車載地図表示装置は、地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する情報入手手段と、自車両の進行道路を予測する予測手段と、情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された交通規制情報を地図上に表示する表示制御手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を地図上に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置について説明する。本実施形態のナビゲーション装置は、車両に搭載されて使用されるものである。このナビゲーション装置は、自車両の周囲の地図を表示する際に、その地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を地図データから読み出して表示する。このとき、自車両の進行道路に隣接させて交通規制情報を表示することにより、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を表示するものである。
【0008】
本実施形態のナビゲーション装置の構成を、図1のブロック図に示す。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10が行う処理により、自車両周囲の地図が表示され、その地図上に様々な交通規制情報が表示される。このときの具体的な処理内容については、後で図4のフローチャートにより詳しく説明する。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0011】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。この道路データには、地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を表すデータも含まれている。たとえば、制限速度、一時停止、スクールゾーン、駐車禁止、一方通行などの交通規制情報が、道路データによって表される。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。このリンク上で指定された所定の位置に対して、各種の交通規制情報が設定されている。
【0013】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0014】
VICS情報受信部15は、VICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。なお、前述のような交通規制情報をVICS情報に含めて送信してもよい。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用されると共に、その内容が表示モニタ16において表示される。
【0015】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0016】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0017】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0018】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、出発地から目的地までのルート探索を行う。このルート探索により求められた経路が、目的地までの推奨経路として設定される。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図画面において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0019】
次に、ナビゲーション装置1において表示される地図について説明する。図2は、交通規制情報をそのまま地図上に表示した通常の地図画面の例を示している。この地図画面では、自車位置20の周囲に存在する道路R1〜R10の上に、符号21〜43に示す交通規制情報マークにより様々な交通規制情報が表示されている。これらの交通規制情報マークのうち、符号21から36に示すものは、いずれも道路の制限速度を表している。たとえば、交通規制情報マーク21は、道路R1における制限速度が時速30kmであることを表している。
【0020】
また、符号37から41に示す交通規制情報マークは、一時停止の位置を表している。たとえば、交通規制情報マーク37は、道路R1における一時停止の位置を表している。符号42および43に示す交通規制情報マークは、スクールゾーンを表している。すなわち、交通規制情報マーク42および43は、道路R2におけるスクールゾーンの開始位置と終了位置をそれぞれ表している。これらに挟まれたハッチング部分がスクールゾーンの範囲を表している。
【0021】
なお、以上説明したような交通規制情報マーク21〜43によって表される交通規制情報は、地図データにおいて、いずれも地図上の所定の位置にそれぞれ設定されている。この交通規制情報の設定位置に対して、交通規制の種類に応じた交通規制情報マーク21〜43が地図上に表示される。
【0022】
図2のような通常の地図画面では、地図上に表示される交通規制情報マークの数が多すぎるため、地図の視認性が低下してしまう。そこで本実施形態のナビゲーション装置1は、自車両の進行道路を予測し、その進行道路に隣接させて、自車両にとって必要な交通規制情報のみを地図上に表示する。これにより、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を表示する。
【0023】
図3は、自車両にとって必要な交通規制情報のみを地図上に表示した地図画面の例を示している。この地図画面には、自車位置20の周囲について図2と同じ範囲の地図が表示されており、その地図上には、図2の交通規制情報マーク21〜43のうち、符号23、26、31、33、38、39、42および43に示す交通規制情報マークのみが表示されている。これらの交通規制情報マークは、地図データにおける本来の設定位置ではなく、自車両の進行道路R3に隣接する位置に表示されている。すなわち、自車両の進行道路R3に沿うように本来の設定位置から移動されることで、自車両の進行道路R3に隣接する位置に表示されている。本実施形態のナビゲーション装置1では、このような地図画面が表示される。なお、図3のように交通規制情報を自車両の進行道路に隣接させて地図上に表示する代わりに、自車両の進行道路に重ねて表示することとしてもよい。また、図3では自車両の進行道路上に設定された交通規制情報が表示されていないが、これを表示することとしてもよい。
【0024】
図3の地図画面に表示されている交通規制情報マークのうち、符号23、26、31、33、38および39に示す交通規制情報マークは、自車両の進行道路R3と接続するいずれかの道路上に設定された交通規制情報を表している。たとえば、交通規制情報マーク23および31は、進行道路R3と接続する道路R9の制限速度を表している。このように、ナビゲーション装置1は、自車両の進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を、その進行道路に隣接させて地図上に表示する。
【0025】
なお、自車両の進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報であっても、自車位置よりも後方で接続する道路上の交通規制情報は表示する必要がない。したがって、図2の交通規制情報マーク22は、進行道路R3と接続する道路R10上に設定されているが、図3の地図画面では表示されていない。また、特定の種類の交通規制情報、たとえば制限速度などの交通規制情報については、自車両の進行道路上に設定されたものと重複する場合には、表示する必要がない。したがって、図2の交通規制情報マーク34は、進行道路R3と接続する道路R8上に設定されているが、図3の地図画面では表示されていない。
【0026】
さらに、自車両の進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報であっても、その進行道路から所定のしきい距離以上離れている交通規制情報については表示する必要がない。このしきい距離は、当該交通規制情報が表している交通規制の種類に応じて変化させることが好ましい。たとえば、一時停止を表す交通規制情報については、地図データにおいて1リンク分に相当する距離をしきい距離とし、それ以外の交通規制情報については、3リンク分に相当する距離をしきい距離とする。これにより、図2の交通規制情報マーク40は、進行道路R3と接続する道路R9上に設定されているが、図3の地図画面では表示されていない。
【0027】
なお、自車両の進行道路と接続する道路上に設定されていない交通規制情報であっても、その進行道路と接続する道路につながる道路上に設定されており、かつ、進行道路と接続する道路を挟んで両側に設定されている交通規制情報については、上記と同様に表示することが好ましい。したがって、図2の交通規制情報マーク42および43は、自車両の進行道路R3と接続しない道路R2上に設定されているが、進行道路R3と接続する道路R7およびR8をそれぞれ挟んで両側に設定されているスクールゾーンを表しているため、図3の地図画面でも表示されている。
【0028】
ただし、一つの道路に対し、同一種類の交通規制情報が複数の位置に設定されている場合は、自車両の進行道路から最も近い位置に設定された交通規制情報のみを表示すればよい。したがって、図2において道路R6の制限速度を表す交通規制情報マーク25と26のうち、図3の地図画面では交通規制情報マーク26のみが表示されている。
【0029】
以上説明した図3のような地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートを図4に示す。このフローチャートは、ナビゲーション装置1において、制御部10により実行される。ステップS10では、自車位置周辺の地図を表示するために必要な範囲の地図データをHDD13から読み出す。ここで読み出された地図データに基づいて、図3のような地図画面が表示モニタ16において表示されると共に、その地図上の所定の位置に設定された交通規制情報が制御部10において入手される。
【0030】
ステップS20では、ステップS10で読み出した地図データに基づいて、自車両の進行道路の予測を行う。このとき、目的地までの推奨経路が設定されている場合は、その推奨経路を自車両の進行道路として予測することができる。一方、推奨経路が設定されていない場合は、自車両が道なりに走行したときの道路、すなわち現在の自車位置から前方につづく道路を、自車両の進行道路として予測することができる。これ以外にも、たとえば渋滞の状況や過去の走行履歴などに基づいて自車両の進行道路を予測してもよい。
【0031】
ステップS30では、表示対象とする交通規制情報の設定を行う。ここでは、ユーザの操作に応じて、地図上に交通規制情報マークを表示する交通規制の種類を選択する。たとえば、制限速度と一時停止については表示し、それ以外の交通規制情報マークについては表示しないように設定することができる。このとき、必ず表示すべき重要な交通規制情報については、ユーザの操作内容に関わらず表示対象に設定することが好ましい。たとえば、一方通行を表す交通規制情報マークを常に表示対象とする。なお、このような交通規制情報の設定を任意のタイミングで実行できるようにしてもよい。
【0032】
ステップS40では、ステップS10でHDD13から読み出した地図データに含まれている交通規制情報のうちいずれかを選択する。すなわち、地図データにおいて地図上の様々な位置に設定されている交通規制情報から、いずれかの位置に対応する交通規制情報を選択する。
【0033】
ステップS50では、ステップS40で選択した交通規制情報が、ステップS20で予測した自車両の進行道路と接続する道路上に設定されているか否かを判定する。自車両の進行道路と接続する道路上にその交通規制情報が設定されている場合は、ステップS60へ進む。なお、前述のように、自車位置よりも後方で接続する道路上に設定された交通規制情報はここでは除かれる。一方、自車両の進行道路と接続する道路上にその交通規制情報が設定されていない場合は、ステップS110へ進む。
【0034】
ステップS50からステップS60へ進んだ場合、ステップS60では、選択した交通規制情報が、ステップS20で予測した自車両の進行道路に対して設定された交通規制情報と重複する内容のものであるか否かを判定する。進行道路と重複する内容の交通規制情報である場合は、ステップS130へ進む。この場合、選択した交通規制情報は抽出されず、地図上に表示されることはない。一方、自車両の進行道路と重複する内容の交通規制情報でない場合は、次のステップS70へ進む。
【0035】
ステップS70では、選択した交通規制情報が、一時停止を表すものであるか否かを判定する。一時停止を表す交通規制情報を選択していた場合は、ステップS80へ進む。そうでない場合、すなわち一時停止以外の内容を表す交通規制情報を選択していた場合は、ステップS90へ進む。
【0036】
ステップS80では、ステップS70で一時停止を表すと判定した交通規制情報が、自車両の進行道路から1リンク以内の距離範囲に設定されているか否かを判定する。1リンク以内の距離範囲に設定されている場合はステップS100へ進み、その交通規制情報の抽出をステップS100において行う。これにより、図2において一時停止を表す交通規制情報マーク37〜41のうち、交通規制情報マーク38および39に対応する交通規制情報が抽出される。ステップS100を実行したら、ステップS130へ進む。一方、当該交通規制情報が、自車両の進行道路から1リンク以内の距離範囲に設定されていない場合は、ステップS100を実行せずにステップS130へ進む。この場合、交通規制情報の抽出は行われず、その交通規制情報が地図上に表示されることはない。
【0037】
また、ステップS70からステップS90へ進んだ場合、ステップS90では、ステップS70で一時停止以外の内容を表すと判定された交通規制情報が、自車両の進行道路から3リンク以内の距離範囲に設定されているか否かを判定する。3リンク以内の距離範囲に設定されている場合はステップS100へ進み、その交通規制情報の抽出をステップS100において行う。これにより、図2において交通規制情報マーク23、26、31および33に対応する交通規制情報が抽出される。ステップS100を実行したら、ステップS130へ進む。一方、当該交通規制情報が、自車両の進行道路から3リンク以内の距離範囲に設定されていない場合は、ステップS100を実行せずにステップS130へ進む。この場合も、交通規制情報の抽出は行われず、その交通規制情報が地図上に表示されることはない。
【0038】
なお、以上説明したステップS80およびS90の処理において判定に用いた距離のしきい値、すなわちしきい距離は、あくまで一例であるため、他のしきい距離を用いてもよい。たとえば、リンクの長さに関係なく予め設定された一定のしきい距離を用いることとしてもよいし、あるいは、道路種別に応じたしきい距離を用いてもよい。すなわち、選択した交通規制情報が表す交通規制の種類に応じて変化させることができれば、どのようなしきい距離としてもよい。
【0039】
ステップS50からステップS110へ進んだ場合、ステップS110では、ステップS50で自車両の進行道路と接続する道路上に設定されていないと判定された交通規制情報が、自車両の進行道路と接続する道路につながる道路上に設定されているか否かを判定する。当該道路上にその交通規制情報が設定されている場合は、ステップS120へ進む。一方、当該道路上にその交通規制情報が設定されていない場合、すなわち、自車両の進行道路と接続する道路のいずれにも接続していない道路上にその交通規制情報が設定されている場合は、ステップS130へ進む。この場合、交通規制情報の抽出は行われず、その交通規制情報が地図上に表示されることはない。
【0040】
ステップS120では、ステップS110で自車両の進行道路と接続する道路につながる道路上に設定されていると判定された交通規制情報が、当該道路において自車両の進行道路と接続する道路を挟んだ両側の範囲に設定されているか否かを判定する。自車両の進行道路と接続する道路を挟んだ両側の範囲にその交通規制情報が設定されている場合は、ステップS100へ進み、その交通規制情報の抽出をステップS100において行う。これにより、図2において交通規制情報マーク42および43に対応する交通規制情報が抽出される。ステップS100を実行したら、ステップS130へ進む。一方、自車両の進行道路と接続する道路を挟んだ両側の範囲にその交通規制情報が設定されていない場合は、ステップS130へ進む。この場合も、交通規制情報の抽出は行われず、その交通規制情報が地図上に表示されることはない。
【0041】
ステップS130では、ステップS10で読み出した地図データに含まれる交通規制情報のうち、ステップS30で表示対象に設定した全ての交通規制情報を、これまで実行したステップS40において選択したか否かを判定する。全ての交通規制情報を選択済みである場合は、次のステップS140へ進む。一方、まだ選択していない交通規制情報がある場合はステップS40へ戻り、その未選択の交通規制情報の中からいずれかをステップS40において選択した後、上記で説明したような処理を繰り返す。このようにして、表示対象に設定した全ての交通規制情報に対して抽出するか否かの判定を行う。
【0042】
ステップS140では、ステップS100で抽出した交通規制情報を、ステップS20で予測した自車両の進行道路に隣接させて、地図上に表示する。これにより、抽出した交通規制情報が各々の内容に応じた交通規制情報マークによって地図上に表され、図3のような地図画面が表示される。なお、このとき前述のように、一つの道路に対して、同一種類の交通規制情報が複数の位置において抽出された場合は、その抽出された交通規制情報のうち、進行道路から最も近い位置に設定された交通規制情報のみを表示する。ステップS140を実行したら、図4のフローチャートを終了する。
【0043】
以上説明したような処理が制御部10によって実行されることにより、ナビゲーション装置1は、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を地図上に表示することができる。
【0044】
なお、これまでに説明したような交通規制情報の表示方法を、自車位置から目的地までの推奨経路を探索し、その探索結果を示す全体経路図を表示する際に行ってもよい。その場合に表示モニタ16において表示される全体経路図の例を図5に示す。この全体経路図では、自車位置20から設定された目的地まで至る複数の経路が簡略化されて表示されており、それぞれの経路に対して、符号51〜56に示すような交通規制情報マークが表示されている。
【0045】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)HDD13から地図データを読み出す(ステップS10)ことにより、地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する。また、自車両の進行道路を予測する(ステップS20)。そして、ステップS10で入手された交通規制情報のうち、ステップS20で予測された進行道路上に設定されていない交通規制情報を、その進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示する(ステップS140)こととした。このようにしたので、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を地図上に表示することができる。
【0046】
(2)ステップS10で入手された交通規制情報のうち、自車両の進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を判断し(ステップS50)、その交通規制情報を抽出する(ステップS100)。ステップS140では、こうして抽出された交通規制情報を、自車両の進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示することとした。このようにしたので、交通規制情報を適切に絞り込んで地図上に表示することができる。
【0047】
(3)自車両の進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報のうち、自車両の進行道路から所定のしきい距離以内に設定された交通規制情報を判断し(ステップS80、S90)、その交通規制情報をステップS100において抽出することとした。このようにしたので、地図上に表示すべき交通規制情報をさらに絞り込むことができる。
【0048】
(4)交通規制情報が表す交通規制の種類に応じて、ステップS80またはS90のいずれかを実行することにより、抽出判定時のしきい距離を変化させることとした。このようにしたので、交通規制情報を抽出するか否かの判定を適切に行うことができる。
【0049】
(5)一時停止の情報を表す交通規制情報を抽出する場合はステップS80を実行し、それ以外の交通規制情報を抽出する場合はステップS90を実行することにより、これらの判定に用いるしきい距離を変化させることとした。このようにしたので、自車両の走行道路から離れた位置に設定された一時停止の情報は運転者にとってあまり必要でないため、表示しないようにすることができる。
【0050】
(6)一つの道路に対して、同一種類の交通規制情報が複数の位置において抽出された場合、ステップS140では、ステップS100で抽出された同一種類の交通規制情報のうち、自車両の進行道路から最も近い位置に設定された交通規制情報のみを、自車両の進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示することとした。このようにしたので、同一種類の交通規制について複数の交通規制情報マークが重複して表示されるのを防ぐことができる。
【0051】
(7)ステップS10で入手された交通規制情報のうち、自車両の進行道路と接続する道路につながる道路上に設定された交通規制情報を判断する(ステップS110)。この交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路を挟んで両側に設定されている交通規制情報を判断し(ステップS120)、その交通規制情報をステップS100でさらに抽出することとした。このようにしたので、自車両の進行道路と接続する道路上に設定されていなくても、必要な交通規制情報を地図上に表示することができる。
【0052】
(8)表示対象とする交通規制情報の種類を設定する(ステップS30)。ステップS140では、ステップS10で入手された交通規制情報のうち、ステップS30で表示対象に設定された交通規制情報のみを、自車両の進行道路に隣接させてまたは重ねて、地図上に表示することとした。このようにしたので、ユーザが自分の好みに応じて、地図上に表示する交通規制情報を選択することができる。
【0053】
(9)HDD13から地図データを読み出す(ステップS10)ことにより、地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する。また、自車両の進行道路を予測する(ステップS20)。そして、ステップS10で入手された交通規制情報のうち、進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を抽出し(ステップS100)、抽出された交通規制情報を地図上に表示する(ステップS140)こととした。このようにしたので、地図の視認性を低下させずに交通規制情報を表示することができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、HDD13に記録された地図データを読み出すことで交通規制情報を入手することとしたが、他の方法により交通規制情報を入手するようにしてもよい。たとえば、無線通信によって配信される交通規制情報を受信することで、交通規制情報を入手することができる。それ以外にも、様々な方法で入手される交通規制情報を用いて、図3のような地図画面を表示することができる。
【0055】
以上説明した実施の形態では、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両に搭載されて地図を表示する車両用の地図表示装置であれば、様々な装置に対して本発明を適用することができる。
【0056】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0057】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、ナビゲーション装置1の制御部10において実行される処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置1の制御部10は、情報入手手段、予測手段、表示制御手段、抽出手段、変化手段および表示対象設定手段として機能することができる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】交通規制情報をそのまま地図上に表示した通常の地図画面の例を示す図である。
【図3】自車両にとって必要な交通規制情報のみを地図上に表示した地図画面の例を示す図である。
【図4】図3の地図画面を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図5】全体経路図の例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置、20:自車位置、21〜43:交通規制情報マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する情報入手手段と、
自車両の進行道路を予測する予測手段と、
前記情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、前記進行道路上に設定されていない交通規制情報を、前記進行道路に隣接させてまたは重ねて、前記地図上に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載地図表示装置において、
前記情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、前記進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を抽出する抽出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記抽出手段により抽出された交通規制情報を、前記進行道路に隣接させてまたは重ねて、前記地図上に表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載地図表示装置において、
前記抽出手段は、前記進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報のうち、前記進行道路から所定のしきい距離以内に設定された交通規制情報を抽出することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載地図表示装置において、
前記交通規制情報が表す交通規制の種類に応じて、前記しきい距離を変化させる変化手段をさらに備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載地図表示装置において、
前記交通規制情報は、一時停止の情報を少なくとも含み、
前記変化手段は、前記一時停止の情報を抽出する場合と、それ以外の交通規制情報を抽出する場合とで、前記しきい距離を変化させることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項2〜5いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記抽出手段により、一つの道路に対して、同一種類の交通規制情報が複数の位置において抽出された場合、前記表示制御手段は、前記抽出された同一種類の交通規制情報のうち、前記進行道路から最も近い位置に設定された交通規制情報のみを、前記進行道路に隣接させてまたは重ねて、前記地図上に表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項7】
請求項2〜6いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記抽出手段は、前記情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、前記進行道路と接続する道路につながる道路上に設定された交通規制情報をさらに抽出することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載地図表示装置において、
前記抽出手段は、前記進行道路と接続する道路につながる道路上に設定された交通規制情報のうち、前記進行道路と接続する道路を挟んで両側に設定されている交通規制情報をさらに抽出することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
表示対象とする交通規制情報の種類を設定する表示対象設定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、前記表示対象設定手段により表示対象に設定された交通規制情報のみを、前記進行道路に隣接させてまたは重ねて、前記地図上に表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項10】
地図上の所定の位置に設定された交通規制情報を入手する情報入手手段と、
自車両の進行道路を予測する予測手段と、
前記情報入手手段により入手された交通規制情報のうち、前記進行道路と接続する道路上に設定された交通規制情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された交通規制情報を前記地図上に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−232797(P2008−232797A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72240(P2007−72240)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】