説明

車載機器およびそのモード切替方法

【課題】カーナビゲーションシステム、車載テレビジョン受像機などの車載機器において、運転者の気が散って安全運転を妨げる危険性をなくす。
【解決手段】車が走行中か否かを判定し(ステップS2)、車が走行中でない場合は、停車中モードに切り替える(ステップS3)。リモコン16の発信方向が運転席方向か否かを判定し(ステップS5)、運転席方向以外の方向である場合は、同乗者モードに切り替える(ステップS6)。運転席方向である場合は、リモコンの発信位置が運転席か否かを判定する(ステップS9)。そして、リモコンの発信位置が運転席でない場合は、同乗者モードに切り替える(ステップS6)。リモコンの発信位置が運転席である場合は、運転者モードに切り替える(ステップS10)。これにより、走行中の同乗者による操作が一部制限され、運転者の気が散って安全運転を妨げる危険性がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステム、車載テレビジョン受像機などの車載機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の車載機器が一般に普及しており、今後テレビ放送がデジタル化されると、その普及にも拍車がかかると予想される。こうした車載機器の仕様上で常に懸念されるものに、走行中の運転者による使用に対する安全性の確保がある。
【0003】
従来、この安全性を確保する技術としては、走行中の運転者によるキー入力を無効とする手法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この手法においては、まず、車載機器を操作している者が運転者か同乗者かを車載機器の固定位置(運転席側か助手席側か)によって推定する。そして、同乗者が車載機器を操作している場合には、走行中であろうと停車中であろうと、キー入力が有効となる。他方、運転者が車載機器を操作している場合、停車中であればキー入力が有効となるが、走行中であればキー入力が無効となる。これにより、走行中の運転者による使用に対する安全性が確保されることになる。
【特許文献1】特開2001−174268号公報(段落〔0028〕〜〔0034〕の欄、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これでは次のような不都合があった。
【0005】
第1に、同乗者が車載機器を操作している場合、走行中であっても車載機器の機能が制限されないため、同乗者が音量や画面輝度を調整することがある。この場合、運転者の気が散り、安全運転を妨げる危険性がある。
【0006】
第2に、車載機器を操作している者が運転者か同乗者かを車載機器の固定位置によって推定していることから、運転者とその後席の同乗者とを区別できない。また、車載機器の移動(固定位置の変更)は面倒であるため、助手席側に固定された車載機器を運転席で使う場合や、逆に、運転席側に固定された車載機器を助手席で使う場合も想定されるが、これらの場合に十全に対処できない。したがって、運転者による操作が可能となって運転が疎かになったり、同乗者による操作が不可能となって不便を感じたりする事態を招来する恐れがある。
【0007】
本発明は、こうした不都合を解消することが可能な、車載機器およびそのモード切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、請求項1に係る車載機器の発明は、車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器において、前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知手段と、前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替手段と、前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替手段とが設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る車載機器の発明は、車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器において、前記車が走行中か否かを判定する走行判定手段と、前記車が走行中でない場合に前記機器本体を停車中モードに切り替える停車中モード切替手段と、前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知手段と、前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替手段と、前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替手段とが設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に係る車載機器の発明は、前記リモコンは、リモコン発光部を備え、前記機器本体は、互いに水平方向に分離する一対の本体受光部を備え、前記リモコン発信位置検知手段は、前記リモコン発光部から前記各本体受光部にそれぞれ入力される制御信号の到達時間差に基づいて前記リモコンの発信方向を算出し、この発信方向から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする。
また、請求項4に係る車載機器の発明は、前記本体受光部は、前記機器本体の水平方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする。
また、請求項5に係る車載機器の発明は、前記機器本体は、本体発光部を備え、前記リモコンは、リモコン受光部を備え、前記リモコン発信位置検知手段は、前記制御信号を受けて前記本体発光部から前記リモコン受光部に入力される応答信号の到達時間に基づいて前記リモコンの発信距離を算出し、この発信距離から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする。
また、請求項6に係る車載機器の発明は、前記同乗者モードにおいては、前記機器本体の音量および画面輝度の調整が制限されることを特徴とする。
また、請求項7に係る車載機器の発明は、前記運転者モードにおいては、前記リモコンの操作が無効となり、前記機器本体が緊急放送を受信した場合に警告が発せられることを特徴とする。
また、請求項8に係る車載機器のモード切替方法の発明は、車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器のモード切替方法であって、前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知工程と、前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替工程と、前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替工程とを含むことを特徴とする。
また、請求項9に係る車載機器のモード切替方法の発明は、車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器のモード切替方法であって、前記車が走行中か否かを判定する走行判定工程と、前記車が走行中でない場合に前記機器本体を停車中モードに切り替える停車中モード切替工程と、前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知工程と、前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替工程と、前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替工程とを含むことを特徴とする。
また、請求項10に係る車載機器のモード切替方法の発明は、前記リモコンは、リモコン発光部を備え、前記機器本体は、互いに水平方向に分離する一対の本体受光部を備え、前記リモコン発信位置検知工程においては、前記リモコン発光部から前記各本体受光部にそれぞれ入力される制御信号の到達時間差に基づいて前記リモコンの発信方向を算出し、この発信方向から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする。
また、請求項11に係る車載機器のモード切替方法の発明は、前記本体受光部は、前記機器本体の水平方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする。
また、請求項12に係る車載機器のモード切替方法の発明は、前記機器本体は、本体発光部を備え、前記リモコンは、リモコン受光部を備え、前記リモコン発信位置検知工程においては、前記制御信号を受けて前記本体発光部から前記リモコン受光部に入力される応答信号の到達時間に基づいて前記リモコンの発信距離を算出し、この発信距離から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする。
また、請求項13に係る車載機器のモード切替方法の発明は、前記同乗者モードにおいては、前記機器本体の音量および画面輝度の調整が制限されることを特徴とする。
また、請求項14に係る車載機器のモード切替方法の発明は、前記運転者モードにおいては、前記リモコンの操作が無効となり、前記機器本体が緊急放送を受信した場合に警告が発せられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行中の同乗者による操作が一部制限されるため、運転者の気が散って安全運転を妨げる危険性をなくすことができる。
【0010】
また、運転者と同乗者とを明確に区別できることから、運転者による操作が可能となって運転が疎かになったり、同乗者による操作が不可能となって不便を感じたりする事態の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係るカーナビゲーションシステムの一実施形態を示すブロック図、図2は図1に示すカーナビゲーションシステムの使用状態図、図3はモード切替プログラムのフローチャートである。
【0013】
カーナビゲーションシステム1は、図1に示すように、機器本体2を有しており、機器本体2にはメインマイコン3が内蔵されている。メインマイコン3には、地上デジタルテレビ放送用のアンテナ5と、車台の振動を検知する振動センサ6と、予め地図情報、図3に示すモード切替プログラムPRGなどが読み出し自在に格納されたメモリ7と、後述するリモコン16に向けて応答信号(ACK信号)を送信する本体発光部9と、このリモコン16からの制御信号を受信する一対の本体受光部10、11とが接続されて機器本体2の内部に格納されている。また、メインマイコン3には、GPS(全地球測位システム)によって車の位置を三次元測位するためのGPSアンテナ12と、地図情報やテレビ放送画面を表示するモニタ13と、車の様々な制御を司るカーマイコン15とが接続可能となっている。なお、カーマイコン15には、車輪の回転数を検知して車速を算出する車速パルスセンサ18が接続されている。ここで、一対の本体受光部10、11は、図2に示すように、機器本体2の水平方向(左右方向)の両端部に取り付けられた形で互いに水平方向に分離している。
【0014】
また、カーナビゲーションシステム1は、図1に示すように、車の各座席から機器本体2を操作するための双方向通信型のリモコン(リモートコントローラ)16を備えており、リモコン16にはマイコン17が内蔵されている。マイコン17には、各種の操作を入力するための操作キー19と、機器本体2に向けて制御信号を送信するリモコン発光部20と、機器本体2からの応答信号を受信するリモコン受光部21とが接続されている。
【0015】
カーナビゲーションシステム1は以上のような構成を有するので、このカーナビゲーションシステム1を車に搭載するには、図2に示すように、センターコンソール22の上部に機器本体2を組み込み、機器本体2上にモニタ13を取り付けて機器本体2に接続する。すると、一方の本体受光部10は助手席側に、他方の本体受光部11は運転者側に、それぞれ位置決めされる。また、GPSアンテナ12を車内または車外に取り付けて機器本体2に接続する。さらに、機器本体2をカーマイコン15に接続する。
【0016】
その後、カーナビゲーションシステム1の使用に先立ち、メモリ7にユーザ設定情報を書き込む。ここで、ユーザ設定情報とは、ハンドル23の取付位置(右ハンドルか左ハンドルか)、シート配列(2列シートか3列シートか、2人掛けシートか3人掛けシートか)、機器本体2から見た各座席の位置(方向および距離)等に関する情報を意味する。
【0017】
例えば、カーナビゲーションシステム1を搭載した車が、図4に示すように、2人掛け2列シート(4人乗り)の右ハンドル車である場合、ハンドル23の取付位置を「右」とし、運転席T1、助手席T2、後列上座席T3、後列下座席T4の位置をそれぞれ(+45°、30cm)、(−45°、30cm)、(+30°、100cm)、(−30°、100cm)とする。また、カーナビゲーションシステム1を搭載した車が、図5に示すように、2人掛け3列シート(6人乗り)の左ハンドル車である場合、ハンドル23の取付位置を「左」とし、運転席T1、助手席T2、中央列上座席T3、中央列下座席T4、後列上座席T5、後列下座席T6の位置をそれぞれ(−45°、30cm)、(+45°、30cm)、(−30°、90cm)、(+30°、90cm)、(−20°、150cm)、(+20°、150cm)とする。さらに、カーナビゲーションシステム1を搭載した車が、図6に示すように、2〜3人掛け2列シート(5人乗り)の右ハンドル車である場合、ハンドル23の取付位置を「右」とし、運転席T1、助手席T2、後列上座席T3、後列中央席T7、後列下座席T4の位置をそれぞれ(+45°、30cm)、(−45°、30cm)、(+30°、90cm)、(±0°、80cm)、(−30°、90cm)とする。
【0018】
そして、このカーナビゲーションシステム1を運転者や同乗者が使用する際には、リモコン16の操作キー19を押す。すると、リモコン16のマイコン17は、リモコン発光部20から機器本体2の本体受光部10、11に向けて制御信号を出力する。
【0019】
そして、この制御信号が機器本体2の本体受光部10、11に入力されると、メインマイコン3は、本体発光部9からリモコン受光部21に向けて応答信号を出力するとともに、モード切替プログラムPRGをメモリ7から読み出し、このモード切替プログラムPRGに基づいて各種の動作を実行する。
【0020】
すなわち、メインマイコン3は、まず、振動センサ6を介して車台の振動の有無を検知するとともに、車速パルスセンサ18を介して車速を検知する(モード切替プログラムPRGのステップS1)。
【0021】
次いで、メインマイコン3は、これらの検知データに基づき、車が走行中か否かを判定する(モード切替プログラムPRGのステップS2)。すなわち、メインマイコン3は、車台が振動しているときは走行中であると判定し、車台が振動していないときは走行中でない(停車中である)と判定する。また、メインマイコン3は、車速がゼロのときは走行中でない(停車中である)と判定し、車速がゼロ以外のときは走行中であると判定する。このように、車が走行中か否かの判定は、2種類の検知データ(車台の振動の有無および車速)に基づいて実行されるので、信頼性の高い判定結果が得られる。
【0022】
そして、車が走行中でないと判定された場合は、リモコン16の使用者が運転者であろうと同乗者であろうと、安全運転を妨げる恐れはないので、メインマイコン3は、機器本体2を停車中モード(フルモード)に切り替える(モード切替プログラムPRGのステップS3)。こうして停車中モードに切り替わると、リモコン16の使用者はカーナビゲーションシステム1のすべての機能を制限なく使うことができる。
【0023】
他方、車が走行中であると判定された場合は、リモコン16の使用者が運転者であるか同乗者であるかにより、カーナビゲーションシステム1の機能を適宜制限しなければならない。
【0024】
そこで、メインマイコン3は、一対の本体受光部10、11にそれぞれ入力される制御信号の到達時間差に基づき、リモコン16の発信方向を算出する(モード切替プログラムPRGのステップS4、S5)。すなわち、この制御信号の到達時間差が正(プラス)のときは、助手席側の本体受光部10からリモコン16までの距離L1よりも運転者側の本体受光部11からリモコン16までの距離L2の方が短いことになるため、メインマイコン3は、リモコン16の発信方向を運転席方向と算出する。一方、この制御信号の到達時間差が負(マイナス)またはゼロのときは、運転者側の本体受光部11からリモコン16までの距離L2よりも助手席側の本体受光部10からリモコン16までの距離L1の方が短いか、或いは両方の距離L1、L2が等しいことになるため、メインマイコン3は、リモコン16の発信方向を運転席方向以外の方向(助手席方向または中央席方向)と算出する。このとき、一対の本体受光部10、11は機器本体2の水平方向の両端部に取り付けられているので、制御信号の到達時間差を最大限に増幅することができる。その結果、リモコン16の発信方向の算出動作は高精度に行われる。
【0025】
そして、リモコン16の発信方向が運転席方向以外の方向であると算出された場合は、リモコン16の使用者は同乗者(図4に示す4人乗りの車では、助手席T2、後列下座席T4に座っている2人、図5に示す6人乗りの車では、助手席T2、中央列下座席T4、後列下座席T6に座っている3人、図6に示す5人乗りの車では、助手席T2、後列中央席T7、後列下座席T4に座っている3人)しか考えられないので、メインマイコン3は、機器本体2を同乗者モード(一部制限モード)に切り替える(モード切替プログラムPRGのステップS6)。こうして同乗者モードに切り替わると、機器本体2の音量および画面輝度の調整が制限される。したがって、運転者の気が散って安全運転を妨げる危険性をなくすことができる。
【0026】
他方、リモコン16の発信方向が運転席方向であると算出された場合は、リモコン16の使用者は運転者か同乗者か不明である。例えば、図4に示す4人乗りの車では、運転席T1に座っている人なのか、後列上座席T3に座っている人なのか、はっきりしない。また、図5に示す6人乗りの車では、運転席T1に座っている人なのか、中央列上座席T3に座っている人なのか、後列上座席T5に座っている人なのか、はっきりしない。さらに、図6に示す5人乗りの車では、運転席T1に座っている人なのか、後列上座席T3に座っている人なのか、はっきりしない。
【0027】
そこで、メインマイコン3は、マイコン17に対して、リモコン16の発信距離(機器本体2からリモコン16までの距離)L3を伝送するよう指令する。これを受けてマイコン17は、制御信号の出力から応答信号の入力までの時間に基づいてリモコン16の発信距離L3を算出し、この発信距離L3をメインマイコン3側に伝送する(モード切替プログラムPRGのステップS7)。なお、リモコン16の発信距離L3は、ミリメートル単位まで正確に算出しなくてもよいので、本体受光部10からリモコン16までの距離L1と本体受光部11からリモコン16までの距離L2との誤差情報をリモコン16の発信距離L3に重畳する必要はない。
【0028】
このリモコン16の発信距離L3を受けてメインマイコン3は、発信元(リモコン16)の位置を求める(モード切替プログラムPRGのステップS8、S9)。すなわち、メインマイコン3は、ユーザ設定情報をメモリ7から読み出し、運転席T1から機器本体2までの距離をリモコン16の発信距離L3と比較する。その結果、両者がほぼ同一であれば、メインマイコン3は、運転席T1を発信元とみなす。また、前者より後者が大きければ、メインマイコン3は、後列上座席T3または後列上座席T5を発信元とみなす。
【0029】
そして、発信元が後列上座席T3または後列上座席T5であるとみなされた場合は、いずれにせよリモコン16の使用者は同乗者であるので、メインマイコン3は、機器本体2を同乗者モードに切り替える(モード切替プログラムPRGのステップS6)。
【0030】
他方、発信元が運転席T1であるとみなされた場合は、リモコン16の使用者は運転者であるため、メインマイコン3は、機器本体2を運転者モード(操作制限モード)に切り替える(モード切替プログラムPRGのステップS10)。こうして運転者モードに切り替わると、リモコン16の操作が無効となり、運転者はカーナビゲーションシステム1のいずれの機能も使えなくなる。したがって、運転者はそれ以降の操作を断念せざるを得ず、ひいては安全運転が確保されることになる。ただし、機器本体2が緊急放送を受信した場合、メインマイコン3は、緊急放送を受信した旨の警告を発し、停車を促す。この緊急放送には、渋滞放送、事故情報、重大ニュースなどが含まれる。また、警告としては、音や映像によるものが考えられる。そして、この警告に従って運転者が停車させれば、機器本体2が停車中モードに切り替わるので、緊急放送を視聴することが可能となる。したがって、運転者モードに切り替わったからといって、緊急放送による喫緊な情報を入手し損なう恐れはない。
【0031】
このように、リモコン16が使用された際には、リモコン16の発信方向および発信距離L3に基づき、リモコン16の使用者が運転者なのか同乗者なのかを明確に区別することが可能となる。したがって、運転者による操作が可能となって運転が疎かになったり、同乗者による操作が不可能となって不便を感じたりする事態の発生を防止することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態においては、車台の振動の有無や車速に基づき、車が走行中か否かを判定する場合について説明したが、走行中か否かの判定手法は他にも種々考えられる。例えば、パーキングブレーキ(ハンドブレーキ、フットブレーキ)の状態を監視し、パーキングブレーキが作動している場合は走行中でないと判定し、パーキングブレーキが解除されている場合は走行中であると判定するようにしてもよい。或いはまた、ギア(トランスミッション)の位置を監視し、ギアがPポジション(駐車位置)に位置決めされている場合は走行中でないと判定し、ギアがPポジション以外のポジション(Dポジション、Nポジションなど)に位置決めされている場合は走行中であると判定するようにしても構わない。
【0033】
なお、上述の実施形態では、運転者モードにおいてカーナビゲーションシステム1のすべての機能を無効にする場合について説明したが、音量調整など一部の機能に限って有効にすることもできる。
【0034】
なお、上述の実施形態においては、カーナビゲーションシステム1について説明したが、カーナビゲーションシステム1以外の車載機器(例えば、車載テレビジョン受像機など)に本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、カーナビゲーションシステム、車載テレビジョン受像機など各種の車載機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るカーナビゲーションシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカーナビゲーションシステムの使用状態図である。
【図3】モード切替プログラムのフローチャートである。
【図4】車のシート配列の第1例を示す平面図である。
【図5】車のシート配列の第2例を示す平面図である。
【図6】車のシート配列の第3例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1……カーナビゲーションシステム(車載機器)
2……機器本体
3……メインマイコン(走行判定手段、停車中モード切替手段、リモコン発信位置検知手段、同乗者モード切替手段、運転者モード切替手段)
6……振動センサ
7……メモリ
9……本体発光部
10、11……本体受光部
15……カーマイコン
16……リモコン
17……マイコン(リモコン発信位置検知手段)
18……車速パルスセンサ
20……リモコン発光部
21……リモコン受光部
L3……リモコンの発信距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器において、
前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知手段と、
前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替手段と、
前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替手段と
が設けられていることを特徴とする車載機器。
【請求項2】
車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器において、
前記車が走行中か否かを判定する走行判定手段と、
前記車が走行中でない場合に前記機器本体を停車中モードに切り替える停車中モード切替手段と、
前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知手段と、
前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替手段と、
前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替手段と
が設けられていることを特徴とする車載機器。
【請求項3】
前記リモコンは、リモコン発光部を備え、
前記機器本体は、互いに水平方向に分離する一対の本体受光部を備え、
前記リモコン発信位置検知手段は、前記リモコン発光部から前記各本体受光部にそれぞれ入力される制御信号の到達時間差に基づいて前記リモコンの発信方向を算出し、この発信方向から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記本体受光部は、前記機器本体の水平方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の車載機器。
【請求項5】
前記機器本体は、本体発光部を備え、
前記リモコンは、リモコン受光部を備え、
前記リモコン発信位置検知手段は、前記制御信号を受けて前記本体発光部から前記リモコン受光部に入力される応答信号の到達時間に基づいて前記リモコンの発信距離を算出し、この発信距離から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする請求項3又は4に記載の車載機器。
【請求項6】
前記同乗者モードにおいては、前記機器本体の音量および画面輝度の調整が制限されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車載機器。
【請求項7】
前記運転者モードにおいては、前記リモコンの操作が無効となり、前記機器本体が緊急放送を受信した場合に警告が発せられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車載機器。
【請求項8】
車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器のモード切替方法であって、
前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知工程と、
前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替工程と、
前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替工程と
を含むことを特徴とする、車載機器のモード切替方法。
【請求項9】
車に搭載される機器本体をリモコンで操作する車載機器のモード切替方法であって、
前記車が走行中か否かを判定する走行判定工程と、
前記車が走行中でない場合に前記機器本体を停車中モードに切り替える停車中モード切替工程と、
前記リモコンの発信位置が運転席か否かを判定するリモコン発信位置検知工程と、
前記リモコンの発信位置が運転席でない場合に前記機器本体を同乗者モードに切り替える同乗者モード切替工程と、
前記リモコンの発信位置が運転席である場合に前記機器本体を運転者モードに切り替える運転者モード切替工程と
を含むことを特徴とする、車載機器のモード切替方法。
【請求項10】
前記リモコンは、リモコン発光部を備え、
前記機器本体は、互いに水平方向に分離する一対の本体受光部を備え、
前記リモコン発信位置検知工程においては、前記リモコン発光部から前記各本体受光部にそれぞれ入力される制御信号の到達時間差に基づいて前記リモコンの発信方向を算出し、この発信方向から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする請求項8又は9に記載の、車載機器のモード切替方法。
【請求項11】
前記本体受光部は、前記機器本体の水平方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の、車載機器のモード切替方法。
【請求項12】
前記機器本体は、本体発光部を備え、
前記リモコンは、リモコン受光部を備え、
前記リモコン発信位置検知工程においては、前記制御信号を受けて前記本体発光部から前記リモコン受光部に入力される応答信号の到達時間に基づいて前記リモコンの発信距離を算出し、この発信距離から当該リモコンの発信位置が運転席か否かを判定することを特徴とする請求項10又は11に記載の、車載機器のモード切替方法。
【請求項13】
前記同乗者モードにおいては、前記機器本体の音量および画面輝度の調整が制限されることを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の、車載機器のモード切替方法。
【請求項14】
前記運転者モードにおいては、前記リモコンの操作が無効となり、前記機器本体が緊急放送を受信した場合に警告が発せられることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の、車載機器のモード切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−335237(P2006−335237A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162954(P2005−162954)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】