説明

車載機器操作装置

【課題】車載機器の操作性を向上させる。
【解決手段】車載機器操作装置10では、乗員が車載機器104を操作するためのダイヤルスイッチ18を操作しようとする操作意思を示したときには、この乗員の操作意思が検出されてパームレスト30が使用位置に変位される。従って、乗員がダイヤルスイッチ18を実際に操作し始めるときには既にパームレスト30が手を支持可能な状態とされるので、このときに乗員が手をパームレスト30によって支持させれば手の負担が軽減される。これにより、車載機器104の操作性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器操作装置に係り、特に乗員が車載機器を操作するための操作手段を操作する際に乗員の手を支持可能な支持手段を有して構成された車載機器操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車載機器操作装置としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1)。例えば、特許文献1には、パームレストを備えた車両用制御装置の例が開示されている。この特許文献1に記載の例では、例えば、ナビゲーションシステム、エアコンディショナ、オーディオシステム等の車載機器に設けられた操作部の使用時及び不使用時に応じてパームレストをインストルメントパネルに対し出し入れすることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−182464号公報
【特許文献2】特開2003−72486号公報
【特許文献3】特開2005−1416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えばパームレストは乗員が車載機器を操作するための操作部を操作する際に乗員の手を支持することで乗員の手の負担を軽減するものである。従って、乗員の手の負担を軽減し車載機器の操作性を向上させるためには、例えば、乗員が操作部を実際に操作し始めるときには既にパームレストが乗員の手を支持可能な状態とされていることが必要であり改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車載機器の操作性を向上させることが可能な車載機器操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車載機器操作装置は、車載機器を操作するための操作手段と、車室部材に収納された収納位置と乗員が前記操作手段を操作する際に手を支持させることが可能な使用位置とに変位可能な支持手段と、前記支持手段を前記収納位置と前記使用位置とに変位させる駆動手段と、乗員の前記操作手段を操作する意思の有無を検出する操作意思検出手段と、前記操作意思検出手段の検出結果に基づいて乗員の操作意思があると判断した場合に前記支持手段が前記使用位置に変位するように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の車載機器操作装置では、操作意思検出手段によって乗員の操作手段を操作する意思の有無が検出され、制御手段によって乗員の操作意思があると判断された場合には、駆動手段が駆動されて支持手段が使用位置に変位される。
【0007】
このように、請求項1に記載の車載機器操作装置によれば、乗員が車載機器を操作するための操作手段を操作しようとする操作意思を示したときには、この乗員の操作意思が検出されて支持手段が使用位置に変位される。従って、乗員が操作手段を実際に操作し始めるときには既に支持手段が手を支持可能な状態とされるので、このときに乗員が手を支持手段によって支持させれば手の負担が軽減される。これにより、車載機器の操作性を向上させることが可能となる。
【0008】
また、請求項1に記載の車載機器操作装置において、例えば、制御手段によって乗員の操作意思が無いと判断されている間は支持手段を収納位置に位置させておくようにすれば、乗員の操作手段の操作意思が無いにも拘らず支持手段が使用位置に変位して乗員の邪魔になることを防止することが可能となる。また、収納位置に位置しているときの支持手段を車室部材と一体意匠となるように構成すれば、支持手段の収納時には車室内の見栄えを向上することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の車載機器操作装置は、請求項1に記載の車載機器操作装置において、前記支持手段が乗員の手を支持しているか否かを検出する支持対象検出手段を備え、前記制御手段は、前記支持手段が前記使用位置に位置しているときに前記支持対象検出手段による検出結果に基づいて前記支持手段が乗員の手を支持していないと判断した場合には前記支持手段が前記収納位置に変位するように前記駆動手段を駆動させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の車載機器操作装置では、支持対象検出手段によって支持手段が乗員の手を支持しているか否かが検出され、支持手段が使用位置に位置しているときに、制御手段によって支持手段が乗員の手を支持していないと判断された場合には、駆動手段が駆動されて支持手段が収納位置に変位される。
【0011】
このように、請求項2に記載の車載機器操作装置によれば、支持手段が使用位置に位置しているにも拘らず乗員の手を支持していない場合には収納位置に変位される。従って、例えば、操作手段の操作終了後、若しくは、当初操作手段を操作する意思があったがその後に操作することを止めた等の場合には、支持手段を収納位置に変位させることができるので、支持手段を収納位置に収納させるための操作が不要となる。これにより、支持手段を収納させるための手間を省くことで乗員に対する操作の負担が軽減されるので、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の車載機器操作装置は、請求項1又は請求項2に記載の車載機器操作装置において、前記支持手段は、車両に備えられた空調用ダクトと連結されて空調風を吹き出し可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の車載機器操作装置では、支持手段が、車両に備えられた空調用ダクトと連結されて空調風を吹き出し可能に構成されている。従って、支持手段によって支持されている乗員の手に空調風を供給することができるので、例えば、乗員の手の汗を乾かしたり手を温めたりすることができる。これにより、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の車載機器操作装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車載機器操作装置において、前記支持手段は、乗員の手を支持する支持部に柔軟性を有する柔軟部材を有して構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の車載機器操作装置では、支持手段が、乗員の手を支持する支持部に柔軟性を有する柔軟部材を有して構成されている。従って、乗員が操作手段を操作する際に手を支持手段に支持させても、この支持手段の柔軟部材で乗員の手を支持することができる。これにより、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように、本発明によれば、乗員が車載機器を操作するための操作手段を操作しようとする操作意思を示したときには、この乗員の操作意思が検出されて支持手段が使用位置に変位される。従って、乗員が操作手段を実際に操作し始めるときには既に支持手段が手を支持可能な状態とされるので、このときに乗員が手を支持手段によって支持させれば手の負担が軽減される。これにより、車載機器の操作性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1乃至図8を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1,図2には、本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10の全体構成が示されており、図3乃至図7には、本発明の一実施形態に係るパームレストユニット14が示されている。また、図8には、本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10の動作を示すフローチャートが示されている。なお、図1,図2において、矢印Fr、矢印Out、矢印Upは、それぞれ車両前後方向前方側、車両幅方向外側、車両上下方向上側を示すものである。
【0019】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両100には、車室前部にインストルメントパネル102が設けられており、このインストルメントパネル102の上部中央には、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステム等の車載機器104の操作状況を表示するモニタ106が設けられている。
【0020】
また、インストルメントパネル102の中央部に設けられたセンタクラスタ108には、本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10が設けられている。本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10は、上述の車載機器104を操作するためのものであり、操作ユニット12と、パームレストユニット14と、制御手段としての制御ユニット16とを有して構成されている。
【0021】
操作ユニット12は、乗員の操作に応じて車載機器104に操作信号を出力する操作手段としてのダイヤルスイッチ18を有して構成されている。このダイヤルスイッチ18は、センタクラスタ108に設けられた操作パネル108A上で例えば左右に回転可能であると共に、操作パネル108A上を上下左右方向及びこの各方向に対する斜め方向に移動可能に設けられている。そして、本実施形態の操作ユニット12では、上述の如くダイヤルスイッチ18を操作パネル108A上で例えば左右に回転させたり上下左右方向や斜め方向に移動させたりすると、この回転や移動に応じた信号が車載機器104に出力され、モニタ106上に表示された各ボタン106Aや項目106Bを選択することができるように構成されている。
【0022】
また、ダイヤルスイッチ18は、操作パネル108Aの板厚方向に押し操作可能に構成されている。そして、本実施形態の操作ユニット12では、ダイヤルスイッチ18を操作パネル108Aの板厚方向に押し操作すると、この押し操作に応じた信号が車載機器104に出力され、モニタ106上に表示された各ボタン106Aを押したり項目106Bを決定したりすることができるように構成されている。
【0023】
また、本実施形態の操作ユニット12では、操作パネル108Aの運転席側の部分に乗員の手の存否を検出する静電容量センサ20が設けられている。この静電容量センサ20は、乗員の手が近づくと乗員の手の存在を検知し、これに応じた信号を制御ユニット16に出力することができるように構成されている。
【0024】
パームレストユニット14は、ダイヤルスイッチ18を操作する乗員の手のひらを支持するためのものであり、図1,図2に示される如くダイヤルスイッチ18の近傍下方位置に配置されている。このパームレストユニット14は、図3に示される如く、アウターケース22と、モータアッシー24と、サブアッシー26とを有して構成されている。
【0025】
アウターケース22は、断面四角形状の筒状体で構成されており、開口部22Aから支持手段としてのサブアッシー26をX方向に出し入れ可能に収容している。サブアッシー26は、開口部28Aを有する枡状体で構成されたボックス28と、このボックス28に収容され乗員の手のひらを支持するパームレスト30とを備えている。パームレスト30は、乗員の手のひらを支持する部分に湾曲した支持部32を有して構成されており、その四隅の部分に車両幅方向に延びる第一ピン34、第二ピン36を備えている。
【0026】
第一ピン34は、図3,図6に示されるように、ボックス28の両側面部に形成された孔部38に回転自在に挿入支持されており、第二ピン36は、図3,図7に示されるように、ボックス28の両側面部に上下方向に円弧状に形成されたガイド溝40に移動自在に挿通支持されている。そして、パームレスト30は、第一ピン34を回動軸として第二ピン36がガイド溝40を移動することによりボックス28に対して回動可能に固定されている。
【0027】
また、第二ピン36は、ガイド溝40よりも外側に突出し、この第二ピン36のガイド溝40よりも外側に突出した部分は、図7に示されるように、アウターケース22の両側面部に形成されたガイド溝42に移動自在に係止されている。このアウターケース22の両側面部に形成されたガイド溝42は、図3,図4に示される如く、サブアッシー26のスライド方向後側(X1側)からスライド方向先側(X2側)に向かうに従って車両上下方向上側に向かう傾斜部を有して構成されている。
【0028】
従って、図4の想像線(二点鎖線)で示す如く、サブアッシー26全体がアウターケース22の開口部22Aから外側にスライドされたときには、パームレスト30の第二ピン36がアウターケース22のガイド溝42に案内され、これにより、パームレスト30が第一ピン34を回動軸としてボックス28に対して回動しボックス28の開口部28Aを塞ぐ構成である。
【0029】
また、本実施形態のパームレストユニット14では、上述のサブアッシー26のアウターケース22に対する出し入れが駆動手段としてのモータアッシー24により行われる。すなわち、図3に示されるアウターケース22の下側面には、モータアッシー24がネジ44により固定されている。このモータアッシー24は、駆動モータ46と、モータハウジング48と、出力ギア50と、ピニオン52とを有して構成されている。駆動モータ46は、モータハウジング48に収容されており、この駆動モータ46の出力軸には、出力ギア50が固定されている。また、ピニオン52は、モータハウジング48に設けられた支持部54によって回転自在に支持されると共に出力ギア50に噛合されている。
【0030】
また、サブアッシー26のボックス28の下側面には、図4に示されるように、ラック56がX方向に沿って形成されており、モータアッシー24に設けられたピニオン52は、アウターケース22の下側面に板厚方向に貫通形成された孔部58を介してラック56に噛合されている。そして、駆動モータ46が回転すると、出力ギア50の回転と共にピニオン52が回転し、このピニオン52と噛合するラック56が送り出し又は引き込みされ、これにより、サブアッシー26のアウターケース22に対する出し入れが行われる構成である。
【0031】
また、ボックス28の下側面の後端部には、図5に示されるように、下方に突出するストッパ60が形成され、アウターケース22の下側面の開口部22A側の部分には、ストッパ60と係止可能な係止部62が形成されている。そして、上述の如く、サブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから外側にスライドされたときには、ストッパ60が係止部62に係止され、これにより、サブアッシー26のスライドが阻止されてアウターケース22からの抜けが防止されるようになっている。
【0032】
また、図4に示されるように、アウターケース22の後端部22Bには、空気導入部64が穿設されており、この空気導入部64には、図2に示される空調装置110から延びる空調用ダクト112がシール部材66を介して連結されている。また、ボックス28の後端部28Bには、シール部材68が設けられており、パームレスト30の支持部32の中央部(乗員の手を支持する支持部)には、複数の空気吹出口70が板厚方向に貫通形成されている。
【0033】
そして、本実施形態のパームレストユニット14では、図4の実線で示される如くサブアッシー26がアウターケース22内に格納されている状態では、ボックス28の後端部28Bに設けられたシール部材68がアウターケース22の後端部22Bの空気導入部64の周縁部に気密状態で密着されるようになっており、これにより、空調用ダクト112を通じて送られてきた空調風がアウターケース22内に進入しないようになっている。
【0034】
一方、図4の想像線(二点鎖線)で示される如くサブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから外側にスライドされた状態では、ボックス28の後端部28Bに設けられたシール部材68がアウターケース22の後端部22Bから離間し、これにより、空調用ダクト112を通じて送られてきた空調風は、図4中の矢印Wで示される如くアウターケース22内に進入し、その後、ボックス28の後端部28Bを超えてボックス28内に導かれてパームレスト30の空気吹出口70から外部に吹き出されるようになっている。そして、このようにしてパームレスト30の空気吹出口70から空気を吹き出すことにより、乗員の手のひらの汗を乾かしたり手を温めたりすることが可能となっている。
【0035】
また、以上の構成からなるパームレストユニット14は、図3に示されるように、アウターケース22の両側面部に突設された固定部72を有して構成されており、この固定部72を介して図2に示されるセンタクラスタ108に内側からネジ止め等により固定されている。そして、図2の想像線(二点鎖線)に示される如く、サブアッシー26がアウターケース22から外側にスライドされた状態(使用位置)では、パームレスト30がセンタクラスタ108のパネル部材114から車室側に突出してダイヤルスイッチ18の下方且つ後方に位置し、これにより、乗員がダイヤルスイッチ18を操作する際に手をパームレスト30によって支持させることが可能となる。
【0036】
また、サブアッシー26がアウターケース22内に格納されている状態(収納位置)では、図1に示される如く、サブアッシー26がセンタクラスタ108のパネル部材114内に収納されてボックス28のフロント面28Cがセンタクラスタ108のパネル部材114(本発明に係る車室部材に相当)と一体意匠(例えば、略面一状で同一色・同一質感等)となるように構成されている。
【0037】
制御ユニット16は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えた電気回路で構成されており、上述の静電容量センサ20から出力された信号を入力してモータアッシー24の駆動モータ46を作動させる構成である。なお、この制御ユニット16の動作については以下に詳述する。
【0038】
次に、本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0039】
制御ユニット16は、例えば、車載機器104をスイッチオンとしたことに伴って出力された起動信号を入力すると、図8のフローチャートで示されるプログラムの処理を開始する。制御ユニット16は、図8のフローチャートで示されるプログラムの処理を開始すると、先ず、静電容量センサ20から出力された信号を入力し、乗員のダイヤルスイッチ18を操作する意思の有無を検出する(ステップS1)。そして、制御ユニット16は、この静電容量センサ20から出力された信号に基づいて乗員がダイヤルスイッチ18を操作する意思を有しているか否かを判断する(ステップS2)。
【0040】
ここで、乗員がダイヤルスイッチ18を操作する意思がないときには、ダイヤルスイッチ18に手を差し伸べていないので、このときには、静電容量センサ20は、乗員の手を検知していないことに応じた信号を制御ユニット16に出力する。従って、この場合、制御ユニット16は、静電容量センサ20から出力された信号に基づいて乗員がダイヤルスイッチ18を操作する意思を有していないと判断して(ステップS2:NO)、上述のステップS1の処理に戻る。そして、制御ユニット16は、ステップS2の処理で乗員がダイヤルスイッチ18を操作する意思を有していると判断するまで、上述のステップS1〜ステップS2の処理を繰り返し行う。
【0041】
一方、制御ユニット16が上述のステップS1〜ステップS2の処理を繰り返し行う中で、乗員がダイヤルスイッチ18を操作しようとしてダイヤルスイッチ18に手を差し伸べると、この乗員の手が静電容量センサ20の近くを通過する。従って、この場合、静電容量センサ20は、乗員の手が近づいたことを検知して検知信号を制御ユニット16に出力する。
【0042】
そして、制御ユニット16は、静電容量センサ20から出力された検知信号を入力すると、ステップS2の処理で乗員がダイヤルスイッチ18を操作する意思を有していると判断する(ステップS2:YES)。続いて、制御ユニット16は、タイマを起動させ、1秒間だけ待機する(ステップS3)。その後、制御ユニット16は、駆動モータ46を作動させ、パームレスト30を使用位置へ駆動させる(ステップS4)。
【0043】
つまり、図4に示される駆動モータ46が作動すると、出力ギア50の回転と共にピニオン52が回転し、このピニオン52と噛合するラック56が送り出され、これにより、サブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから外側にスライドされる。また、このようにして、サブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから外側にスライドされると、パームレスト30の第二ピン36がアウターケース22のガイド溝42に案内され、これにより、パームレスト30が第一ピン34を回動軸としてボックス28に対して回動しボックス28の開口部28Aを塞ぐようになる。
【0044】
また、このときには、図2の想像線(二点鎖線)で示されるように、パームレスト30がセンタクラスタ108のパネル部材114から車室側に突出してダイヤルスイッチ18の下方且つ後方に配置され、これにより、乗員がダイヤルスイッチ18を操作する際に手をパームレスト30によって支持させることが可能となる。このように、本実施形態では、乗員によってダイヤルスイッチ18を操作する意思が示されてから1秒後にパームレスト30が使用位置に変位する。
【0045】
さらに、図4の想像線(二点鎖線)で示されるように、パームレスト30が使用位置に変位したときには、ボックス28の後端部28Bに設けられたシール部材68がアウターケース22の後端部22Bから離間する。従って、このときに、図2に示される空調装置110を作動させて空調用ダクト112に空調風を送り出せば、空調用ダクト112を通じて送られてきた空調風が図4中の矢印Wで示される如くアウターケース22内に進入し、その後、ボックス28の後端部28Bを超えてボックス28内に導かれてパームレスト30の空気吹出口70から外部に吹き出されるようになる。このようにしてパームレスト30の空気吹出口70から空気を吹き出させれば、乗員の手のひらの汗を乾かしたり手を温めたりすることが可能となる。
【0046】
そして、制御ユニット16は、再び、静電容量センサ20から出力された信号を入力し、乗員によるダイヤルスイッチ18の操作状態を検出する(ステップS5)。また、制御ユニット16は、この静電容量センサ20から出力された信号に基づいて乗員がダイヤルスイッチ18の操作を終了したか否かを判断する(ステップS6)。
【0047】
ここで、乗員がダイヤルスイッチ18の操作を継続しているときには、ダイヤルスイッチ18に手を差し伸べているので、このときには、静電容量センサ20は、乗員の手を検知して検知信号を制御ユニット16に出力する。従って、この場合、制御ユニット16は、静電容量センサ20から出力された信号に基づいて乗員がダイヤルスイッチ18の操作を継続している、すなわち、ダイヤルスイッチ18の操作を終了していないと判断して(ステップS6:NO)、上述のステップS5の処理に戻る。そして、制御ユニット16は、ステップS6の処理で乗員がダイヤルスイッチ18の操作を終了したと判断するまで、上述のステップS5〜ステップS6の処理を繰り返し行う。
【0048】
一方、制御ユニット16が上述のステップS5〜ステップS6の処理を繰り返し行う中で、乗員がダイヤルスイッチ18の操作を終了してダイヤルスイッチ18から手を遠ざけると、静電容量センサ20は、乗員の手を検知しなくなるので、乗員の手を検知していないことに応じた信号を制御ユニット16に出力する。
【0049】
そして、制御ユニット16は、静電容量センサ20から出力された検知信号に基づいて乗員がダイヤルスイッチ18の操作を終了したと判断する(ステップS6:YES)。続いて、制御ユニット16は、上述のステップS5の処理で静電容量センサ20から乗員の手を検知していないことに応じた信号を入力してから10秒が経過したか否かを判断する(ステップS7)。このとき、10秒経過していないと判断した場合には、上述のステップS5の処理に戻る。そして、制御ユニット16は、ステップS7の処理で10秒経過したと判断するまで上述のステップS5〜ステップS7の処理を繰り返し行う。
【0050】
一方、上述のステップS5の処理で静電容量センサ20から乗員の手を検知していないことに応じた信号を入力してから10秒が経過すると、制御ユニット16は、ステップS7の処理で10秒経過したと判断し(ステップS7:YES)、駆動モータ46を上記とは逆方向に作動させ、パームレスト30を収納位置へ駆動させる(ステップS8)。
【0051】
つまり、図4に示される駆動モータ46が上記とは逆方向に作動すると、出力ギア50及びピニオン52の回転によりラック56が引き込まれ、これにより、サブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから内側にスライドされる。また、このようにして、サブアッシー26がアウターケース22の開口部22Aから内側にスライドされると、パームレスト30の第二ピン36がアウターケース22のガイド溝42に案内され、これにより、パームレスト30が第一ピン34を回動軸としてボックス28に対して回動しボックス28の内側に収納される。
【0052】
また、このときには、図1に示される如く、サブアッシー26がセンタクラスタ108内に収納されてボックス28のフロント面28Cがセンタクラスタ108のパネル部材114と一体意匠となる。このように、本実施形態では、乗員によってダイヤルスイッチ18の操作が終了されてから10経過後にパームレスト30が収納位置に変位する。つまり、パームレスト30が使用位置に位置しているにも拘らず乗員の手を支持していない場合(ダイヤルスイッチ18の操作が10秒以上行われない場合)にはパームレスト30が収納位置に変位する。
【0053】
そして、制御ユニット16は、例えば、車載機器104をスイッチオフとしたことに伴って出力された処理停止信号が検出されたか否かに基づいて一連のプログラム処理を終了するか否かを判断(ステップS9)し、一連のプログラム処理を終了すると判断するまで、上述のステップS1〜ステップS8の処理を繰り返し行う。
【0054】
以上詳述したように、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、乗員が車載機器104を操作するためのダイヤルスイッチ18を操作しようとする操作意思を示したときには、この乗員の操作意思が検出されてパームレスト30が使用位置に変位される。従って、乗員がダイヤルスイッチ18を実際に操作し始めるときには既にパームレスト30が手を支持可能な状態とされるので、このときに乗員が手をパームレスト30によって支持させれば手の負担が軽減される。これにより、車載機器104の操作性を向上させることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、乗員の操作意思が無い間はパームレスト30が収納位置に収納されるので、乗員のダイヤルスイッチ18の操作意思が無いにも拘らずパームレスト30が使用位置に変位して乗員の邪魔になることを防止することが可能である。つまり、パームレスト30をセンタクラスタ108に使用位置で固定すると、意匠上突起感が出て好ましくない。また、パームレスト30をセンタクラスタ108に使用位置で固定すると、パームレスト30から操作パネルにかけて連続意匠となり、ボリューム感(圧迫感)が大となる。また、サイドウォークスルーのニーズが高いミニバン等の車種ではウォークスルーの邪魔になるためセンタクラスタ108にパームレスト30を使用位置で固定することが困難である。これに対して、本実施形態の車載機器操作装置10のように、乗員の操作意思が無い間はパームレスト30が収納位置に収納されるようにすれば、これらの問題も解消することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、サブアッシー26が収納位置に位置しているときのボックス28のフロント面28Cがセンタクラスタ108のパネル部材114(本発明に係る車室部材に相当)と一体意匠となるように構成されているので、サブアッシー26の収納時には車室内の見栄えを向上することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、パームレスト30が使用位置に位置しているにも拘らず乗員の手を支持していない場合には収納位置に変位される。従って、例えば、ダイヤルスイッチ18の操作終了後、若しくは、当初ダイヤルスイッチ18を操作する意思があったがその後に操作することを止めた等の場合には、パームレスト30を収納位置に変位させることができるので、パームレスト30を収納位置に収納させるための操作が不要となる。これにより、パームレスト30を収納させるための手間を省くことで乗員に対する操作の負担が軽減されるので、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、パームレスト30から空調装置110の空調風を吹き出し可能に構成されている。従って、パームレスト30によって支持されている乗員の手に空調風を供給することができるので、例えば、乗員の手の汗を乾かしたり手を温めたりすることができる。これにより、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係る車載機器操作装置10では、乗員のダイヤルスイッチ18の操作意思を検出するための静電容量センサ20が運転席の足元よりも上方の高さ位置(概略ウェストライン高さ位置)に配置されている。従って、乗員のダイヤルスイッチ18の操作時には乗員の手の通過を確実に検知することができる。また、その一方で、乗員のひざを誤って検知することを防止できる。
【0060】
次に、本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置10の変形例について説明する。
【0061】
上記実施形態では、図2に示される如くパームレスト30を有するサブアッシー26がセンタクラスタ108のパネル部材114から車室側に直線状にスライドするように構成されていたが、例えば、図9に示される変形例のように、円弧状にスライドするように構成されていても良い。
【0062】
また、上記実施形態では、パームレスト30が支持部32を有するように構成されていたが、例えば、図10に示される変形例のように、パームレスト30は、乗員の手を支持する支持部32にゴム等の柔軟性を有する柔軟部材116を有して構成されていても良い。このようにすると、乗員がダイヤルスイッチ18を操作する際に手をパームレスト30に支持させても、このパームレスト30の柔軟部材116で乗員の手を支持することができる。これにより、乗員に対しより快適な操作性を与えることが可能となる。
【0063】
また、上記実施形態では、パームレスト30を有するサブアッシー26がモータアッシー24の作動により電動でスライドされるように構成されていたが、電動及び手動でスライドされるように構成されていても良く、また、低コスト用に手動のみでスライドされるように構成されていても良い。また、この場合に、サブアッシー26を反使用位置側にプッシュすることで使用位置側にスライドされてオープンされるように構成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置が搭載された車両の室内を示す図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットを図3のB−B線で切断した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットを図3のC−C線で切断した断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットを図3のD−D線で切断した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットを図3のE−E線で切断した断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る車載機器操作装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るパームレストユニットの変形例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10 車載機器操作装置
16 制御ユニット(制御手段)
18 ダイヤルスイッチ(操作手段)
20 静電容量センサ(操作意思検出手段、支持対象検出手段)
26 サブアッシー(支持手段)
28 ボックス
30 パームレスト
46 駆動モータ(駆動手段)
112 空調用ダクト
114 パネル部材(車室部材)
116 柔軟部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器を操作するための操作手段と、
車室部材に収納された収納位置と乗員が前記操作手段を操作する際に手を支持させることが可能な使用位置とに変位可能な支持手段と、
前記支持手段を前記収納位置と前記使用位置とに変位させる駆動手段と、
乗員の前記操作手段を操作する意思の有無を検出する操作意思検出手段と、
前記操作意思検出手段の検出結果に基づいて乗員の操作意思があると判断した場合に前記支持手段が前記使用位置に変位するように前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載機器操作装置。
【請求項2】
前記支持手段が乗員の手を支持しているか否かを検出する支持対象検出手段を備え、
前記制御手段は、前記支持手段が前記使用位置に位置しているときに前記支持対象検出手段による検出結果に基づいて前記支持手段が乗員の手を支持していないと判断した場合には前記支持手段が前記収納位置に変位するように前記駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の車載機器操作装置。
【請求項3】
前記支持手段は、車両に備えられた空調用ダクトと連結されて空調風を吹き出し可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載機器操作装置。
【請求項4】
前記支持手段は、乗員の手を支持する支持部に柔軟性を有する柔軟部材を有して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車載機器操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−216798(P2007−216798A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38388(P2006−38388)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】