説明

車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法

【課題】目的地までの誘導経路が長距離であり案内ポイントが多数存在する場合であっても、ユーザの必要とする経路の概要を容易に把握することが可能な経路案内を表示する機能を備えた「車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法」を提供すること。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、表示手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、道路及び案内ポイントの情報を含む地図情報が格納された地図データ記憶手段と、自車位置から目的地までの誘導経路を探索する制御手段と、誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準が格納された記憶手段と、を有する。制御手段は、誘導経路、地図情報及び選択基準を基に、誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成し、簡易案内データに従って簡易化した誘導経路案内を表示手段の画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路の全体を容易に把握できるように表示する経路案内表示機能を備えた車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御装置、地図データを予め記憶させたDVD(Digital Versatile Disk)−ROMやICメモリカード等の記憶装置、表示装置、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路案内機能)が搭載されている。この経路案内機能によれば、制御装置により、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また、自車が案内経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいか、また、交差点でどの方向に進んだらよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
このような誘導経路を分かりやすくする技術として、特許文献1には、道路の正式名称を表示するだけでなく、ユーザにとって馴染みの深い道路名称の俗称を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、探索された誘導経路の情報を基に車両の走行中に経路案内をする際に、交差点等の案内ポイント毎に拡大図を表示したり、馴染みのある名称を表示するなどしてユーザに分かりやすく表示する技術が種々検討され実施されている。
【0007】
一方、誘導経路の全体(全行程)の情報は、ルート情報案内図や行程ガイド図によって確認することができる。ルート情報案内図や行程ガイド図では、自車両の現在位置から目的地までに利用する道路や施設などの案内ポイントが画面に表示される。例えば、ルート情報案内図では自車位置から目的地までの経路上の道路名称や、右折あるいは左折をする交差点名などが順番に表示される。このようなルート情報案内図では一画面に表示できる案内ポイントの数は限られているため、表示されている地点より先の地点の案内ポイント等は画面をスクロールさせることによって表示される。このように、画面をスクロールさせてルート情報案内を順次表示させることにより、目的地までのすべての案内ポイントを確認することができる。
【0008】
しかし、目的地までの距離が長く、多数の案内ポイントが経路上に存在する場合には、すべての案内ポイントの情報を取得するために何度もスクロール操作しなければならず面倒であり、誘導経路の全体を把握することが容易ではない。
【0009】
また、ユーザにとって、すべての案内ポイントの情報を必要としない場合も考えられる。例えば、全行程のうちの走行上注意を要するような交差点や、自車位置及び目的地周辺を詳細に知りたい場合が考えられる。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、目的地までの誘導経路が長距離であり案内ポイントが多数存在する場合であっても、ユーザの必要とする経路の概要を容易に把握することが可能な経路案内を表示する機能を備えた車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、表示手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、道路及び案内ポイントの情報を含む地図情報が格納された地図データ記憶手段と、自車位置から目的地までの誘導経路を探索する制御手段と、前記誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準が格納された記憶手段と、を有し、前記制御手段は、前記誘導経路、前記地図情報及び前記選択基準を基に、前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成し、当該簡易案内データに従って簡易化した誘導経路案内を前記表示手段の画面に表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0012】
この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、道路種別のうちの所定の道路種別の道路を前記誘導経路上の道路から選択する前記選択基準に基づいて選択するようにしてもよく、前記制御手段は、複数の階層レベルに分割された道路ネットワーク階層レベルのうちの所定の階層レベルの道路を前記誘導経路上の道路から選択する前記選択基準に基づいて選択するようにしてもよく、前記制御手段は、自車位置からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイント並びに目的地からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイントを選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを選択するようにしてもよく、前記制御手段は、自車位置から誘導経路上の所定の距離毎に存在する道路を選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の道路を選択するようにしてもよく、前記制御手段は、所定の規模の案内ポイントを選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の案内ポイントを選択するようにしてもよい。
【0013】
また、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、更に、ユーザが指示する情報を入力する情報入力手段を備え、前記制御手段は、前記情報入力手段を介した指示により前記簡易化した誘導経路案内を表示するようにしてもよく、前記制御手段は、前記情報入力手段を介した指示により前記選択基準を切り替えるようにしてもよく、前記制御手段は、前記誘導経路上の道路及び案内ポイントの数が所定数より多いときに前記簡易化した誘導経路案内の表示をするようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の他の形態によれば、表示手段と、道路及び案内ポイントの情報を含む地図情報が格納された地図データ記憶手段と、誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準が格納された記憶手段とを備える車載用ナビゲーション装置において行われる経路案内表示方法であって、指定された目的地までの経路を探索するステップと、前記探索された誘導経路、前記地図情報及び前記選択基準を基に前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成するステップと、前記簡易案内データに従って前記表示手段の画面に簡易化した誘導経路案内を表示するステップと、を有することを特徴とする経路案内表示方法が提供される。
【0015】
この形態に係る経路案内表示方法において、前記簡易案内データを生成するステップは、道路種別のうちの所定の道路種別の道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、を含むようにしてもよく、前記簡易案内データを生成するステップは、複数の階層レベルに分割された道路ネットワーク階層レベルのうちの所定の階層レベルの道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、を含むようにしてもよく、前記簡易案内データを生成するステップは、自車位置からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイント並びに目的地からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイントを前記誘導経路上の道路及び案内ポイントから選択することを選択基準とするステップと、当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路及び案内ポイントから簡易案内データ生成用の道路及び案内ポイントを抽出するステップと、を含むようにしてもよく、前記簡易案内データを生成するステップは、自車位置から経路上の所定の距離毎に存在する道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、を含むようにしてもよく、前記簡易案内データを生成するステップは、所定の規模の案内ポイントを前記誘導経路上の案内ポイントから選択することを選択基準とするステップと、当該選択基準に従って前記誘導経路上の案内ポイントから簡易案内データ生成用の案内ポイントを抽出するステップと、を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法によれば、誘導経路案内情報の表示において、探索された誘導経路の道路及び案内ポイントのすべてをルート案内データとする代わりに、予め定められた誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準の下に抽出された道路及び案内ポイントをルート案内データとする簡易案内データを生成している。これにより、誘導経路が長距離であって誘導経路案内の道路及び案内ポイントが多数存在する場合であっても、一定条件を満たす道路及び案内ポイントだけをルート案内データとするため、すべての道路及び案内ポイントをルート案内データとする場合に比べて数が少なくなり、誘導経路の全体を短時間で容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】誘導経路の経路データの一例を示す図である。
【図3】道路種別を選択基準として道路又は案内ポイントを限定した簡易誘導経路案内をルート案内図に適用した一例を示す図である。
【図4】道路種別を選択基準として道路又は案内ポイントを限定した簡易誘導経路案内を行程ガイド図に適用した一例を示す図である。
【図5】道路ネットワーク階層種別の一例を示す図である。
【図6】道路ネットワーク階層種別を選択基準として道路又は案内ポイントを限定した簡易誘導経路案内をルート案内図に適用した一例を示す図である。
【図7】道路ネットワーク階層種別を選択基準として道路又は案内ポイントを限定した簡易誘導経路案内を行程ガイド図に適用した一例を示す図である。
【図8】簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図9】簡易誘導経路案内のための道路又は案内ポイントの選択基準を説明する図である。
【図10】道路又は案内ポイントの選択基準によって限定された簡易誘導経路案内をルート情報案内図に適用した一例を示す図である。
【図11】簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図12】簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャート(その3)である。
【図13】簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャート(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0019】
(1)第1の実施形態
(車載用ナビゲーション装置の構成)
図1は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【0020】
図中、1はDVD−ROMドライブであり、1aは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてDVD−ROM1aを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、1/12500、1/25000、1/50000、1/100000等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点(ノード)の座標集合として記憶されている。地図データは、(1)道路リンクデータ、交差点データ、ノードデータ等からなる道路レイヤ、(2)地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【0021】
道路レイヤにおいて、道路リンクデータは各道路の属性情報を供給するものであり、道路を構成するリンク毎に道路の種別(国道、高速道路、都道府県道、その他の道路)、道路ネットワークの階層化レベル、リンクを構成するノードの数、道路番号(道路名称)、各ノードを接続するリンクの幅などのデータで構成される。交差点データは、交差点に結合されたリンク上のノードのうち交差点に最も近いノードのセットである。ノードデータは、道路を構成するすべてのノードのリストであり、各ノードに対する位置情報やノードが交差点か交差点でないかを識別する情報等で構成される。
【0022】
また、2はナビゲーション装置本体10を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部2にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体10を操作することもできる。
【0023】
また、3は複数のGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、PDOP(Position DOP)値及びHDOP(Horizontal DOP)値等のGPSデータを生成して出力するGPS受信機を示す。4は自立航法センサを示す。この自立航法センサ4は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されている。
【0024】
また、5は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、6は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるVICS(道路交通情報通信システム)情報を受信するVICS受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報等を提供する。
【0025】
また、7は液晶パネル等の表示部であり、ナビゲーション装置本体10は、この表示部7に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。表示部7はその画面上にタッチパネルが設けられ、表示画面の表示内容と対になった各種のボタンが構成される。また、タッチパネルはこれら各種のボタンで示されるメニュー等を選択するための入力装置となる。8は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【0026】
ナビゲーション装置本体10は以下のものから構成されている。11はDVD−ROMドライブ1を介してDVD−ROM1aから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【0027】
12はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部12は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信機3から出力される信号や、自立航法センサ4から出力される信号に基づいて自車の現在位置を算出したり、表示させたい地図のデータをDVD−ROMドライブ1を介してDVD−ROM1aからバッファメモリ11に読み出したり、バッファメモリ11に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。また、後述するように、探索した誘導経路上の道路や案内ポイントから所定の基準に従った道路や案内ポイントを抽出し、誘導経路の案内を簡易化する処理を行う。
【0028】
13はバッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、14は動作状況に応じた各種メニュー画面(操作画面)や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【0029】
15は制御部12で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、16は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部15には、制御部12によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部16は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部15から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【0030】
17はハードディスク等で構成される記憶部を示し、後述する誘導経路案内の簡易化のための道路や案内ポイントを選択する選択基準が格納される。また、簡易化した誘導経路案内のための簡易案内データを生成するための情報が一時保存される。
【0031】
18は音声出力部を示し、制御部12からの信号に基づいて音声信号をスピーカー8に供給する。19は画像合成部を示し、地図描画部13で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部14で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部22で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示部7に表示させる。
【0032】
このように構成された車載用ナビゲーション装置100において、出発地から目的地までの誘導経路が探索された後、その誘導経路の情報を基に誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成して、誘導経路全体を容易に把握可能とする簡易化した誘導経路案内を表示する。本実施形態では、誘導経路案内をルート案内図又は行程ガイド図で表示する場合を対象として説明する。
【0033】
ルート案内図とは、出発地から目的地までの誘導経路上の道路名称や案内ポイントを自車両に近い順に画面に表示するものである。画面に表示される案内ポイント等の数は限られているため、表示されていない箇所は画面をスクロールさせることによって表示させることができる。このようにして画面をスクロールさせて誘導経路の全行程を把握することができるようになっている。また、行程ガイド図とは、自車位置から目的地に至る道路の名称を誘導経路順に並べたものであり、自車位置より前方に存在する誘導経路上の地点や道路名称を特定する地点名称表示枠を自車位置から近い順に複数個配置した図である。
【0034】
(誘導経路情報の階層化)
第1の実施形態では、誘導経路案内に表示される情報を簡易化するために、誘導経路のルート情報を階層化して道路等を分類し、階層化レベルを特定することにより、案内される道路等の数を削減するようにしている。
【0035】
階層化の対象として、道路種別を利用する。道路種別としては、「高速道路」及び「一般道」に分類され、「一般道」はさらに、「国道」、「県道」、「市道」、「その他の一般道」に分類される。これらの道路種別は、DVD−ROM(地図データ記憶手段)1aに格納された地図データの道路レイヤに定義されている。
【0036】
図2は、誘導経路の経路データの一例を示している。この経路データは、誘導経路を探索した結果が格納されている誘導経路記憶部15から取得する。誘導経路を構成する道路情報として、距離、道路名称、道路種別及び階層レベルを含んでいる。
【0037】
図2(a)は、誘導経路のうちすべての道路種別の道路を選択した例であり、誘導経路を構成するすべての道路を抽出したものである。このようにすべての道路種別を対象としたときの階層レベルを「通常」とする。
【0038】
図2(b)は、図2(a)の経路データに対して、道路種別が「高速道路」の経路を抽出したものである。このように道路種別が「高速道路」を対象としたときの階層レベルを「簡易」とする。なお、「簡易」レベルとして、「高速道路」と「国道」を対象としたり、「簡易」レベルを複数の段階で定義するようにしてもよい。
【0039】
通常のルート案内図では、階層レベルが「通常」の図2(a)の経路データが使用されて、出発地から目的地までの誘導経路案内が表示される。これに対し、階層レベルを「簡易」に指定すると、誘導経路上の道路から「高速道路」だけが抽出されることになり、図2(a)のすべての道路種別の場合よりも目的地までの経路情報の数は削減される。
【0040】
図3は、ルート案内画面31の一例を示した図である。ルート案内画面31には、誘導経路を表示する経路案内表示領域33と道路や案内ポイントに関する補助的な情報を表示する補助情報表示領域34が含まれている。また、表示されている経路の階層情報が階層レベル32に表示される。
【0041】
図3(a)は階層レベルが「通常」の場合のルート案内画面であり、図3(b)は階層レベルが「簡易」の場合のルート案内画面を示している。ルート案内画面は、出発地Sから目的地Gまでの誘導経路上の道路や案内ポイントを、自車両から近い順に表示している。図3(a)及び(b)のルート案内画面では、一度に表示される道路又は案内ポイントが6か所であるが、スクロールバー36を操作することにより、他の地点における案内ポイントを表示することができる。
【0042】
図3(a)では、経路案内表示領域33に、誘導経路のうちのLS4号線以降6か所の道路又は案内ポイントが表示されている。また、補助情報表示領域34には、走行予定の道路の距離数や案内ポイントへの到着予測時刻が表示されている。
【0043】
図3(a)の誘導経路案内では、LS4号線を0.5km走行し、NR5号線を0.5km走行した後、インターチェンジの入口Aに12時25分に到達することを示している。また、補助記号35aは、入口Aがインターチェンジの入口であることを示しており、補助記号35bは、A20出口がジャンクションであることを示している。
【0044】
図3(a)の経路案内表示領域33に表示されている道路名称(LS4号線、NR5号線、EW1高速、EW2高速)は、図2(a)の通常の経路データに基づいている。
【0045】
図3(b)では、誘導経路のうち、道路種別が「高速道路」の道路だけがルート情報として表示されている。図3(b)の経路案内表示領域33に表示されている道路名称(EW1高速〜EW6高速)は、図2(b)の簡易化された経路データに基づいている。
【0046】
このように簡易化された経路データに基づいて誘導経路情報を表示することにより、経路案内表示領域33に表示される情報の数が削減され、経路案内表示領域33の画面のスクロール回数が減るため全体のルートの確認を容易に行うことが可能となる。
【0047】
図4(a)及び(b)は、経路データを基にした行程ガイド図画面及び地図画面の一例を示している。
【0048】
図4(a)及び(b)に示すように、2分割した画面の一方のスクリーン(地図表示画面41a)に自車位置周辺の地図を表示し、他方のスクリーン(行程ガイド図画面41b)に行程ガイド図が表示されている。行程ガイド図画面41bに表示されている経路の階層情報は、階層レベル42に表示されている。
【0049】
地点名称表示枠43a〜43cは、経路を表す道路表示を横断するように配置され、これらの地点名称表示枠43a〜43cに自車位置から近い順に道路名称や案内ポイント名称が記入されて表示されている。また、地点間の距離や到達予想時刻、高速道路の場合にはSA内の施設などの情報が地点名称表示枠内あるいは地点名称表示枠に隣接して表示される。
【0050】
図4(a)の行程ガイド図画面41bには、図3(a)のルート案内図に対応した階層レベルが「通常」の行程ガイド図が表示されている。行程ガイド図の地点名称表示枠43a〜43cには、それぞれ「NR5号線」、「EW1高速入口」、「出口A」が表示されている。また、NR5号線までは0.5km、NR5号線からEW1高速入口までは0.5km、EW1高速入口から出口Aまでは4.0kmであることがそれぞれの地点名称表示枠43a〜43cに表示されている。
【0051】
図4(b)の行程ガイド図画面41bには、図3(b)のルート案内図に対応した階層レベルが「簡易」の行程ガイド図が表示されている。行程ガイド図の地点名称表示枠43a〜43cには、それぞれ「EW1高速入口」、「EW2高速JCT」、「EW3高速」が表示されている。このように、簡易化された階層レベルにおける行程ガイド図では、地点名称表示枠に高速道路の情報が表示されている。また、EW1高速入口までは、10.2km、EW1高速入口からEW2高速JCTまでは4.0km、EW2高速JCTからEW3高速までは5.0kmであることがそれぞれの地点名称表示枠43a〜43cに表示されている。
【0052】
なお、図4(a)及び(b)の工程ガイド図では、地点名称表示枠が3個示されているがこれに限らない。例えば、画面の大きさに応じて地点名称表示枠の個数を増やすようにしてもよい。
【0053】
このように、簡易化された経路データに基づいて行程ガイド図を表示することにより、誘導経路上で案内される道路等の数が削減され、誘導経路全体の行程を確認するときに行う行程ガイド図画面のスクロール回数が減るため、全体のルートの確認が容易になる。
【0054】
誘導経路情報の簡易化の選択基準として上記した道路種別による階層化に限らない。例えば、階層化による簡易化の他の例として、誘導経路の算出等に使用される道路ネットワークの階層レベルを使用することができる。
【0055】
図5は、道路ネットワークの階層化の一例を示した図である。道路ネットワークは、下位のレベル0から上位のレベル3まで階層化されており、それぞれのレベルにおいて探索の対象となる道路が設定されている。例えば、最上位の階層化レベル3では高速道路と番号の桁数が1〜2桁の国道が含まれ、階層化レベル2は階層レベル3の国道以外の国道が含まれる。また、階層化レベル1では地方道が含まれ、レベル0ではその他の一般道が含まれる。その他の一般道には、細街路等の細かい道路が含まれる。
【0056】
道路ネットワークデータは、道路形状を表現する最小単位であるリンクが一つ以上連続したリンク列で表現され、地図データの道路レイヤに格納されている。
【0057】
例えば、通常レベルのルート情報案内では、階層レベル0から階層レベル3のすべての階層の道路及びすべての主要地点を案内の対象とし、簡易案内では、階層レベル2及び階層レベル3の道路を案内の対象としたり、階層レベル3の道路のみを案内の対象とする。以下の説明では、簡易レベルを2段階設け、簡易1の案内対象を階層レベル2及び階層レベル3の道路とし、簡易2の案内対象を階層レベル3の道路とする。
【0058】
図6は、道路ネットワークの階層化レベルを誘導経路案内の簡易化の選択基準とした場合のルート案内画面の一例を示している。図6(a)は、階層レベルを「通常」とした場合であり、道路ネットワーク階層化のレベル0からレベル3及び案内ポイントを案内の対象としている。この場合、図2の道路データに対してルート案内画面は、図3(a)のルート案内画面と同一となる。
【0059】
図6(b)は、階層レベルを簡易1とした場合であり、道路ネットワーク階層のレベル2及びレベル3を案内の対象としている。この場合、ルート案内画面31の経路案内表示領域33には、国道と高速道路だけが表示され、誘導経路全体を確認するためのスクロールバー36によるスクロール操作を短時間で行うことができる。
【0060】
また、図6(c)は、階層レベルを簡易2とした場合であり、道路ネットワーク階層のレベル3だけを案内の対象としている。この場合、ルート案内画面31の経路案内表示領域33には、高速道路だけが表示され、誘導経路全体の確認をさらに短時間で行うことができる。
【0061】
図7(a)〜(c)は、経路データを基にした行程ガイド図画面及び地図画面であり、行程ガイド図は、図6(a)〜(c)のルート案内図に対応している。図7(a)は、図4(a)と同様である。
【0062】
図7(b)は、図6(b)のルート案内図に対応し、簡易1に簡易化された階層レベルにおける表示である。行程ガイド図の地点名称表示枠43aには「NR1号線」が、地点名称表示枠43bには「NR2号線」が、地点名称表示枠43cには「NR5号線」が表示されている。
【0063】
また、NR1号線までは0.5km、NR1号線からNR2号線までは、1.0km、NR2号線からNR5号線までは2.0kmであることがそれぞれの地点名称表示枠43a〜43cに表示されている。
【0064】
図7(c)は、図6(c)のルート案内図に対応し、簡易2に簡易化された階層レベルにおける表示である。行程ガイド図の地点名称表示枠43aには「EW1高速」が、地点名称表示枠43bには「EW2高速」が、地点名称表示枠43cには「EW3高速」が表示されている。
【0065】
また、EW1高速までは10.2km、EW1高速からEW2高速までは4.0km、EW2高速からEW3高速までは5.0kmであることがそれぞれの地点名称表示枠43a〜43cに表示されている。
【0066】
上記したように誘導経路案内の表示を簡易化するためのルート情報階層化の基準として、道路種別を選択基準とする場合と、道路ネットワークの階層レベルを選択基準とする場合の2種類について説明した。これら2種類の選択基準のいずれを使用するかを指定し、選択基準の切り替えができるようにしてもよい。例えば、誘導経路案内の表示を選択するメニュー画面(不図示)において、ルート情報階層化の基準を選択させる選択ボタンを用意しておき、選択された基準に従って簡易誘導経路案内表示のための簡易案内データを作成するようにする。
【0067】
また、ルート情報階層化の基準が指定されなかった場合であっても、簡易化された誘導経路案内の表示が選択されたときには、予め決められた基準に従って簡易化された誘導経路案内の表示を行う。そして、誘導経路案内の表示画面において、ルート情報階層化の基準を選択する選択ボタンを用意しておき、いずれの基準であっても表示可能であるようにする。
【0068】
また、誘導経路案内の表示を選択する際に、簡易誘導経路案内の表示が選択されなかった場合であっても、自動的に簡易誘導経路案内の表示を行うようにしてもよい。例えば、探索された誘導経路上の道路及び案内ポイントの数が予め設定した数を超える場合、自動的に簡易湯堂経路案内の表示を行うようにする。また、簡易誘導経路案内の表示と通常の誘導経路案内の表示との切り替えも可能とする。簡易誘導経路案内の表示によって誘導経路の概要を把握したとき、より詳細な経路案内を見たい場合に、表示されている地点(道路)を基準として通常の誘導経路案内表示に切り替えて確認することができる。
【0069】
次に、車載用ナビゲーション装置100の制御部12が行う簡易誘導経路案内表示処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8は、誘導経路情報の階層化データを利用した簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、図8のステップS11において、誘導経路の探索を行う。自車両の現在位置から指定された目的地までの推奨経路を探索し、探索結果を誘導経路記憶部15に格納する。
【0071】
次のステップS12において自車位置を検出する。自車位置はGPS受信機3からの信号(GPS情報)を基に絶対座標としての自車位置を算出する。また、自立航法センサ4から入力された検出結果を基に、直前の自車位置からの変化分である相対位置としての自車位置を算出する。行程ガイド図を表示する場合には、地図画面に自車位置周辺の道路地図を表示する。この道路地図上には、自車位置マーク及び誘導経路を合成して表示する。
【0072】
次のステップS13において、誘導経路記憶部15から経路データを抽出し記憶部17に一時保存する。誘導経路記憶部15にはステップS11で探索をした結果の誘導経路の経路データが格納されている。
【0073】
次のステップS14において、ルート情報階層化の基準を取得する。ルート情報を階層化する基準としては、道路種別のランクによる階層化や、道路ネットワークの階層レベルによる階層化が定義されている。どの階層化を基準として使用するかを、操作部22を介してユーザの指示によって決定する。
【0074】
なお、ユーザの指示がない場合でも簡易誘導経路案内表示の指示があった場合には予め決定したルート情報階層化基準(例えば、道路種別)を用いるようにしてもよい。
【0075】
また、簡易誘導経路案内表示の指示がない場合であっても、誘導経路上の使用道路及び案内ポイントの数が所定の数を超える場合には、簡易誘導経路案内情報表示をするようにしてもよい。
【0076】
次のステップS15において、経路データからルート情報階層化基準に応じた特定の経路データを抽出してルート情報データとして記憶部17に保存する。
【0077】
次のステップS16において、ルート情報データを基に自車位置以降のルート案内図を表示する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法によれば、誘導経路案内情報の表示において、探索された誘導経路の道路及び案内ポイントのすべてをルート案内データとする代わりに、予め定められた誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準の下に抽出された道路及び案内ポイントをルート案内データとする簡易案内データを生成している。これにより、誘導経路が長距離であって誘導経路案内の道路及び案内ポイントが多数存在する場合であっても、一定条件を満たす道路及び案内ポイントだけをルート案内データとするため、すべての道路及び案内ポイントをルート案内データとする場合に比べて数が少なくなり、誘導経路の全体を短時間で容易に把握することが可能となる。
【0079】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態では、道路データの階層化を利用した誘導経路データの簡易化とは異なる基準により簡易誘導経路案内に表示される道路又は案内ポイントの数の削減する点を除いて第1の実施形態と同様である。
【0080】
図9(a)〜(c)は、ルート情報簡易化の選択基準を説明する図である。図9(a)〜(c)は、自車位置CMから目的地Gまでの誘導経路が探索された一例を示している。
【0081】
図9(a)〜(c)は、目的地Gまでの誘導経路GRが探索され、自車位置CMから目的地Gまでの誘導経路GRが表示された一例を示しており、自車位置CMから目的地Gまでの誘導経路GR上の道路(R1〜R8)が表示されている。また、誘導経路GR上の案内ポイントである交差点(IS1〜IS8)が表示されている。
【0082】
図9(a)は、ルート情報簡易化の選択基準を、自車位置周辺及び目的地周辺に存在する道路に限定した例である。ユーザは、ルート案内によって、走行上注意すべき地点を予め確認しておくことが考えられる。その場合、誘導経路GRが長距離であると、注意地点の数も増え、注意地点のすべてを把握することが困難となる。自車位置に近い範囲及び目的地に近い範囲に限定することにより、表示される道路名称及び案内ポイント数が削減され、注意地点の把握を容易に行うことができる。
【0083】
なお、自車位置周辺の指定範囲PCA及び目的地周辺の指定範囲GOAは、適宜距離等を設定可能であり、自車位置周辺の指定範囲PCAと目的地周辺の指定範囲GOAとが異なるようにしてもよい。
【0084】
図9(b)は、ルート情報簡易化の選択基準を、自車位置CMから誘導経路GR上の所定の距離毎に存在する道路に限定する例である。自車位置CMから所定距離、例えば10km毎の地点(P1〜P11)の道路を案内情報として表示する。
【0085】
この所定の距離は予め決定しておく。また、誘導経路GRの総距離数に応じて所定の距離を決定するようにしてもよい。例えば、誘導経路GRの総距離数が500km以上の場合は、所定の距離を50kmとしたり、総距離数が100km以下のときは、所定の距離を10kmとするようにしてもよい。
【0086】
図9(c)は、ルート情報簡易化の選択基準を、誘導経路GR上に存在する交差点(IS1〜IS8)の規模が所定の規模の交差点に限定する例である。交差点の規模としては、例えば、その交差点に接続される道路数が4以上の交差点や、交差点に接続されている道路の幅員が所定の幅より広い場合や、交通量の多い交差点とする。
【0087】
なお、上記ルート情報簡易化の選択基準の説明で使用した図9は誘導経路GRの一例であり、目的地までの距離が長くなれば誘導経路GR上の道路や案内ポイントの数は増えてくる。その場合に、上記選択基準を基にルート案内に表示する道路名称等を限定することにより、通常のルート案内表示よりも表示画面のスクロール回数を減少させることが可能になる。
【0088】
図10(a)〜(c)は、図9(a)〜(c)のルート情報簡易化の選択基準によって選択された道路又は案内ポイントが表示されるルート案内画面の一例を示している。なお、行程ガイド図もルート情報簡易化の選択基準により選択された道路又は案内ポイントを用いることにより、ルート案内画面と同様に簡易表示することができる。
【0089】
図10(a)は、図9(a)のルート情報簡易化の選択基準を用いた場合のルート案内画面の一例を示した図である。図10(a)に示すように、経路案内表示領域33に自車位置周辺の指定範囲PCA内の道路名称及び交差点名(R1,IS1,R2,IS2,R3)並びに目的地周辺の指定範囲GOA内の道路名称(R7)が表示されている。
【0090】
このような限定によって、自車位置周辺の指定範囲PCAと目的地周辺の指定範囲GOAとが重なるまで、ルート案内画面におけるスクロール量がほぼ一定であり、少ないスクロール量で誘導経路GRの情報を把握することが可能になる。
【0091】
図10(b)は、図9(b)のルート情報簡易化の選択基準を用いた場合のルート案内画面の一例を示した図である。図10(b)に示すように、経路案内表示領域33に自車位置CMから所定の距離毎の地点(P1からP6)の道路名称(R2,R3,R3,R5,R6,R6)が表示されている。地点P5と地点P6における道路はともにR6であるため、図10(b)ではR6が連続して表示されているが、道路名称が連続して同一の場合には一つだけを表示するようにしてもよい。
【0092】
図10(c)は、図9(c)のルート情報簡易化の選択基準を用いた場合のルート案内画面の一例を示した図である。図10(c)に示すように、経路案内表示領域33に自車位置CMの前方の交差点のうち、所定の規模(図10(c)では、IS5、IS6及びIS7)が表示されている。
【0093】
上記したようなルート情報簡易化の選択基準をいずれの選択基準にするかを切り替える指定ができるようにしてもよい。例えば、ルート案内画面を選択するメニュー画面(不図示)において、簡易誘導経路案内のための選択基準を指定させるボタンを用意しておき、指定された基準に従って簡易誘導経路案内のための簡易ルート案内データを作成する。
【0094】
また、選択基準が指定されなかった場合であっても、簡易誘導経路案内の表示が選択されたときには、予め決められた選択基準に従って簡易誘導経路案内表示を行う。そして、簡易誘導経路案内の表示画面において、選択基準を指定するボタンを用意しておき、いずれの基準であっても表示可能であるようにする。
【0095】
次に、簡易誘導経路案内表示処理について、図11から図13を参照して説明する。
【0096】
図11は、ルート情報簡易化の選択基準を自車位置及び目的地周辺の所定距離の道路とする場合の簡易誘導経路案内表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、選択基準として自車位置からの所定範囲内及び目的地からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイントを選択する基準が選択されているものとする。
【0097】
まず、図11のステップS21において、誘導経路の探索を行う。自車両の現在位置から指定された目的地までの推奨経路を探索し、探索結果を誘導経路記憶部15に格納する。
【0098】
次のステップS22において自車位置を検出する。自車位置はGPS受信機3からの信号を基に絶対座標としての自車位置を算出する。また、自立航法センサ4から入力された検出結果を基に、直前の自車位置からの変化分である相対位置としての自車位置を算出する。
【0099】
次のステップS23において、誘導経路記憶部15から経路データを抽出し記憶部17に一時保存する。誘導経路記憶部15にはステップS21で探索をした結果の誘導経路の経路データが格納されている。
【0100】
次のステップS24において、自車位置から経路上の所定の範囲の道路(現在地周辺簡易案内路)を記憶部17に一時保存された誘導経路から抽出する。
【0101】
次のステップS25において、目的地から経路上の所定の範囲の道路(目的地周辺簡易案内路)を記憶部17に一時保存された誘導経路から抽出する。
【0102】
次のステップS26において、現在地周辺簡易案内路及び目的地周辺簡易案内路をルート情報データとして記憶部17に保存する。
【0103】
次のステップS27において、ルート情報データを基に自車位置以降のルート案内図を表示する。
【0104】
以上の簡易誘導経路案内表示処理によって、自車位置周辺及び目的地周辺の誘導経路上の所定の範囲内の道路又は案内ポイントだけがルート案内として表示される。
【0105】
図12は、ルート情報簡易化の選択基準を自車位置から所定の距離の道路に限定する場合の簡易案内表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、選択基準として自車位置から所定の距離毎に存在する道路とする基準が選択されているものとする。
【0106】
図12のステップS31からステップS33までは、図11のステップS21からステップS23と同様である。
【0107】
次のステップS34において、自車位置から経路上の所定の距離毎の地点(簡易案内地点)を記憶部17に一時保存した誘導経路から抽出する。
【0108】
次のステップS35において、簡易案内地点をルート情報データとして記憶部17に保存する。
【0109】
次のステップS36において、ルート情報データを基に自車位置以降のルート案内図を表示する。
【0110】
以上の簡易誘導経路案内表示処理によって、自車位置から所定の距離毎の誘導経路上の道路だけがルート案内として表示される。なお、所定の距離は適宜変更するようにしてもよい。
【0111】
図13は、ルート情報簡易化の選択基準を所定の規模の交差点(案内ポイント)に限定する場合の簡易案内表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、選択基準として、所定の規模の交差点に限定する基準が選択されているものとする。
【0112】
図13のステップS41からステップS43までは、図11のステップS21からステップS23と同様である。
【0113】
次のステップS44において、経路上の交差点のうち所定の規模の交差点(簡易案内地点)を抽出する。
【0114】
次のステップS45において、経路データから階層化基準に応じた特定の経路データを、記憶部17に一時保存した誘導経路から抽出してルート情報データとして記憶部17に保存する。
【0115】
次のステップS46において、ルート情報データを基に自車位置以降のルート情報案内図を表示する。
【0116】
以上の簡易誘導経路案内表示処理によって、誘導経路上の接続数の多い交差点等の所定の規模の交差点だけがルート案内として表示される。なお、本処理では案内ポイントとして交差点を例として説明したが、交差点に限らず、交通量の多い地点等を指定するようにしてもよい。
【0117】
以上説明したように、第2の実施形態の車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法によれば、第1の実施形態の車載用ナビゲーション装置及び経路案内表示方法と同様に、誘導経路案内情報の表示において、探索された誘導経路の道路及び案内ポイントのすべてをルート案内データとする代わりに、予め定められた誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準の下に抽出された道路及び案内ポイントをルート案内データとする簡易案内データを生成している。これにより、誘導経路が長距離であって誘導経路案内の道路及び案内ポイントが多数存在する場合であっても、一定条件を満たす道路及び案内ポイントだけをルート案内データとするため、すべての道路及び案内ポイントをルート案内データとする場合に比べて数が少なくなり、誘導経路の全体を短時間で容易に把握することが可能となる。
【0118】
上記選択基準として、自車位置及び目的地の周辺の道路に限定したり、所定の距離ごとの道路に限定したり、所定の規模の交差点(案内ポイント)に限定したりしている。これにより、ユーザにとって誘導経路上で必要となる案内ポイントの情報を取得することが可能となる。例えば、表示する案内ポイントを規模の大きな交差点と指定すれば、誘導経路全体のうちどの位存在するかが分かり、走行前に注意地点を確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0119】
100…車載用ナビゲーション装置、
1a…DVD−ROM(地図データ記憶手段)、
2…操作部(情報入力手段)、
3…GPS受信機、
4…自立航法センサ、
7…表示部(表示手段)、
10…ナビゲーション装置本体、
11…バッファメモリ(地図データ記憶手段)、
12…制御部(制御手段)、
15…誘導経路記憶部、
16…誘導経路描画部、
17…記憶部(記憶手段)、
31…ルート案内画面、
41b…行程ガイド図画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
道路及び案内ポイントの情報を含む地図情報が格納された地図データ記憶手段と、
自車位置から目的地までの誘導経路を探索する制御手段と、
前記誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準が格納された記憶手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記誘導経路、前記地図情報及び前記選択基準を基に、前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成し、当該簡易案内データに従って簡易化した誘導経路案内を前記表示手段の画面に表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、道路種別のうちの所定の道路種別の道路を前記誘導経路上の道路から選択する前記選択基準に基づいて選択することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、複数の階層レベルに分割された道路ネットワーク階層レベルのうちの所定の階層レベルの道路を前記誘導経路上の道路から選択する前記選択基準に基づいて選択することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、自車位置からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイント並びに目的地からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイントを選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを選択することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、自車位置から誘導経路上の所定の距離毎に存在する道路を選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の道路を選択することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、所定の規模の案内ポイントを選択する前記選択基準に基づいて前記誘導経路上の案内ポイントを選択することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
更に、ユーザが指示する情報を入力する情報入力手段を備え、
前記制御手段は、前記情報入力手段を介した指示により前記簡易化した誘導経路案内を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記情報入力手段を介した指示により前記選択基準を切り替えることを特徴とする請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記誘導経路上の道路及び案内ポイントの数が所定数より多いときに前記簡易化した誘導経路案内の表示をすることを特徴とする請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記誘導経路案内は自車位置から目的地までの道路及び案内ポイントを表示するルート案内図又は当該道路及び案内ポイントを自車の進行順に直線的に配置して表示する行程ガイド図で表示されることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
表示手段と、道路及び案内ポイントの情報を含む地図情報が格納された地図データ記憶手段と、誘導経路上の道路又は案内ポイントを選択する選択基準が格納された記憶手段とを備える車載用ナビゲーション装置において行われる経路案内表示方法であって、
指定された目的地までの経路を探索するステップと、
前記探索された誘導経路、前記地図情報及び前記選択基準を基に前記誘導経路上の道路及び案内ポイントを削減した簡易案内データを生成するステップと、
前記簡易案内データに従って前記表示手段の画面に簡易化した誘導経路案内を表示するステップと、
を有することを特徴とする経路案内表示方法。
【請求項12】
前記簡易案内データを生成するステップは、道路種別のうちの所定の道路種別の道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、
当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項13】
前記簡易案内データを生成するステップは、複数の階層レベルに分割された道路ネットワーク階層レベルのうちの所定の階層レベルの道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、
当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項14】
前記簡易案内データを生成するステップは、自車位置からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイント並びに目的地からの所定範囲内に存在する道路及び案内ポイントを前記誘導経路上の道路及び案内ポイントから選択することを選択基準とするステップと、
当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路及び案内ポイントから簡易案内データ生成用の道路及び案内ポイントを抽出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項15】
前記簡易案内データを生成するステップは、自車位置から経路上の所定の距離毎に存在する道路を前記誘導経路上の道路から選択することを選択基準とするステップと、
当該選択基準に従って前記誘導経路上の道路から簡易案内データ生成用の道路を抽出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項16】
前記簡易案内データを生成するステップは、所定の規模の案内ポイントを前記誘導経路上の案内ポイントから選択することを選択基準とするステップと、
当該選択基準に従って前記誘導経路上の案内ポイントから簡易案内データ生成用の案内ポイントを抽出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項17】
前記ルート案内情報を表示するステップの前に、
ユーザが指示する情報を入力する情報入力手段を介して簡易化した誘導経路案内の表示の指示を受信するステップと、
当該簡易化した誘導経路案内の表示の指示があったとき、前記簡易案内データを誘導経路案内の表示データとするステップと、
を有することを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。
【請求項18】
さらに、前記情報入力手段を介して、前記簡易案内データの生成のための選択基準を取得するステップと、
当該指示された選択基準に従って前記簡易案内データを生成するステップと、
を有することを特徴とする請求項17に記載の経路案内表示方法。
【請求項19】
さらに、前記誘導経路上の道路及び案内ポイントの数を算出するステップと、
前記算出された数が所定の数より多いときに前記簡易案内データを前記誘導経路案内の表示データとするステップと、
を有することを特徴とする請求項17に記載の経路案内表示方法。
【請求項20】
前記誘導経路案内は自車位置から目的地までの道路及び案内ポイントを表示するルート案内図又は当該道路及び案内ポイントを自車の進行順に直線的に配置して表示する行程ガイド図で表示されることを特徴とする請求項11に記載の経路案内表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−266389(P2010−266389A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119436(P2009−119436)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】