説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】適切な警告動作を行うことにより、緊急車両の走行を妨げることなく、自車両の退避動作を有効に行わせることのできる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両の走行情報を取得する自車両走行情報取得手段(16)と、緊急車両の走行情報を取得する緊急車両走行情報取得手段(17)と、自車両の走行情報と緊急車両の走行情報とに基づき、自車両が緊急車両に追い抜かれるか否かを判定する判定手段(10)と、自車両が緊急車両に追い抜かれると判定されたとき、緊急車両の接近を警告する警告手段(20)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、自車両を退避させるための警告を適切に行い、緊急車両の走行を妨げることのない車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車道を走行中の車両には、消防車、救急車、パトカー等の緊急車両が接近した場合、車両を路側に退避させる等により走行路を開放し、緊急車両が速やかに目的地に移動できるようにすることが義務付けられている。
【0003】
このような退避動作を促すシステムとして、車載用ナビゲーション装置を利用して、緊急車両の位置を一般車両に早めに認知させ、緊急車両の走行路を予め開放するようにした先行技術が知られている。なお、車載用ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)等により車両の現在位置を検出し、その現在位置をディスプレイ上に道路地図とともに表示することにより、ドライバを目的地まで円滑に導くようにしたものである。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2003−256993号公報)には、緊急車両の走行についての情報を一般車両側に転送するようにした車両用通信システムが開示されている。この特許文献1に開示された技術は、緊急車両の走行予定経路を示す情報、現在位置情報、現在時刻情報を一般車両に送信し、これらの情報を受信した一般車両が、車載用ナビゲーション装置を用いて取得した自車両の現在位置と緊急車両からの情報とを比較し、自車両が緊急車両の走行予定経路上にあるか、あるいは、緊急車両の走行予定経路と自車両の走行予定経路とが交わっている場合、ドライバに対して緊急車両が接近している旨の警告を行うようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−256993号公報(段落[0022]、[0027]、[0028])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された車両用通信システムは、緊急車両が自車両に接近していることのみをもって警告動作を行うようにしている。この場合、例えば、緊急車両が自車両の先を走行しているとき、あるいは、緊急車両が自車両と異なる対向車線を走行して自車両に向って近づいているときには、車両を退避させる必要がないにも関わらず、警告動作が行われてしまうため、ドライバに無用な退避動作を強制して不快感を与えてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、適切な警告動作を行うことにより、緊急車両の走行を妨げることなく、自車両の退避動作を有効に行わせることのできる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、車載用ナビゲーション装置において、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路情報を記憶する地図記憶手段と、目的地を入力する入力手段と、前記目的地、前記現在位置及び前記道路情報に基づき、前記現在位置から前記目的地に至る前記自車両の走行予定経路を探索する経路探索手段と、緊急車両の走行情報を取得する通信手段と、前記自車両の走行予定経路と前記緊急車両の走行情報とに基づき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定する判定手段と、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定されたとき、前記緊急車両の接近を警告する警告手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の走行予定経路を含む情報であり、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の目的地及び現在位置を含む情報であり、前記経路探索手段は、該目的地、該現在位置及び前記道路情報に基づき、前記緊急車両の走行予定経路を探索し、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項2又は請求項3にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両及び前記緊急車両が前記走行予定経路の重なる個所の始点及び終点に到達する予想時刻をそれぞれ算出し、前記走行予定経路が重なる個所における前記自車両及び前記緊急車両の走行方向が同一であり、前記自車両が前記始点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記始点に到達する予想時刻よりも早く、且つ、前記自車両が前記終点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記終点に到達する予想時刻よりも遅いとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記自車両及び前記緊急車両の前記予想時刻は、前記自車両及び前記緊急車両のそれぞれの現在位置、それぞれの前記走行予定経路及びそれぞれの走行速度に基づいて算出することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項2乃至請求項5のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前に到達したとき、前記緊急車両の接近を警告することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記緊急車両の接近を表示する表示手段であることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記緊急車両の接近を音声により報知する音声報知手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1にかかる発明においては、車載用ナビゲーション装置において、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路情報を記憶する地図記憶手段と、目的地を入力する入力手段と、前記目的地、前記現在位置及び前記道路情報に基づき、前記現在位置から前記目的地に至る前記自車両の走行予定経路を探索する経路探索手段と、緊急車両の走行情報を取得する通信手段と、前記自車両の走行予定経路と前記緊急車両の走行情報とに基づき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定する判定手段と、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定されたとき、前記緊急車両の接近を警告する警告手段と、を備える。
【0017】
このような構成によれば、自車両が緊急車両に追い抜かれる場合にのみ、適切な警告動作が行われるため、無用な警告動作を行うことでユーザに不快感を与えることがないとともに、緊急車両の走行を妨げることがなく、自車両の退避動作を有効に行わせることができる。
【0018】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の走行予定経路を含む情報であり、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することにより、無用な判定動作を回避することができる。
【0019】
また、本願の請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の目的地及び現在位置を含む情報であり、前記経路探索手段は、該目的地、該現在位置及び前記道路情報に基づき、前記緊急車両の走行予定経路を探索し、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することにより、緊急車両の走行情報に緊急車両の走行予定経路が含まれない場合であっても緊急車両の走行予定経路が探索でき、無用な判定動作を回避することができる。
【0020】
また、本願の請求項4にかかる発明においては、請求項2又は請求項3にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両及び前記緊急車両が前記走行予定経路の重なる個所の始点及び終点に到達する予想時刻をそれぞれ算出し、前記走行予定経路が重なる個所における前記自車両及び前記緊急車両の走行方向が同一であり、前記自車両が前記始点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記始点に到達する予想時刻よりも早く、且つ、前記自車両が前記終点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記終点に到達する予想時刻よりも遅いとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定することができる。この結果、自車両が緊急車両に追い抜かれるときにのみ、適切な警告動作を行わせることができる。
【0021】
また、本願の請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記自車両及び前記緊急車両の前記予想時刻は、前記自車両及び前記緊急車両のそれぞれの現在位置、それぞれの前記走行予定経路及びそれぞれの走行速度に基づいて算出することができる。
【0022】
また、本願の請求項6にかかる発明においては、請求項2乃至請求項5のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前に到達したとき、前記緊急車両の接近を警告することにより、必要な範囲でのみ退避動作を行わせることができる。
【0023】
また、本願の請求項7にかかる発明においては、請求項1乃至請求項6のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記緊急車両の接近を表示する表示手段とすることにより、警告表示に従って自車両の退避動作を行わせることができる。
【0024】
また、本願の請求項8にかかる発明においては、請求項1乃至請求項6のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記警告手段は、前記緊急車両の接近を音声により報知する音声報知手段とすることにより、音声の警告動作に従って自車両の退避動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【図3】自車両及び緊急車両の走行予定経路の模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施形態及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための車載用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの車載用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用ナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【0028】
制御手段10は、CPU11、ROM12、RAM13からなるプロセッサで構成され、ROM12、RAM13に記録された制御プログラムに従って車載用ナビゲーション装置の各部の動作を制御するものである。
【0029】
現在位置検出手段14は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在位置を検出するものである。また、現在位置検出手段14は、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。
【0030】
なお、GPS衛星からの電波には、時刻情報も含まれ、現在位置検出手段14は、現在日時を検出することも可能である。
【0031】
地図記憶手段15は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報および地図画像を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0032】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、道路種別毎の走行速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0033】
さらに、地図記憶手段15には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称を含む施設データからなる背景データが記憶されている。
【0034】
経路探索手段16は、ユーザが後述する入力手段18を用いて目的地を入力すると、地図記憶手段15に記憶されている道路情報を参照し、現在位置又は出発地から目的地に至る最適経路を自車両の走行情報である走行予定経路として探索するものである。
【0035】
最適経路の探索は、現在位置又はユーザによって指定された出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる経路を最適経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを走行予定経路として提供するものである。
【0036】
なお、経路探索手段16は、後述するように、通信手段17を介して取得した緊急車両の目的地及び現在位置に基づき、緊急車両の走行予定経路を探索することもできる。
【0037】
通信手段17は、無線通信装置などで構成され、例えば、インフラとして所定の監視地点に配備されている交通情報提供システムを介して通信を行い、あるいは、緊急車両との間で直接通信を行い、緊急車両の走行予定経路、現在位置、走行速度等の走行情報を含む緊急車両情報を定期的に取得するものである。なお、緊急車両情報に含まれる走行情報は、上記に限らず、例えば、緊急車両情報に、緊急車両の走行予定経路および走行速度等の走行情報が含まれない場合であっても、緊急車両情報に、緊急車両の現在位置及び目的地が含まれておれば、これらの情報に基づき、前述したように、経路探索手段16が緊急車両の走行予定経路を探索することが可能であり、また、前回、通信手段17を介して受信した緊急車両の現在位置及び受信した時刻と、今回、通信手段17を介して受信した緊急車両の現在位置及び受信した時刻とに基づき、制御手段10が、前回の受信時から今回の受信時までの移動距離を算出し、当該移動距離と、前回の受信時刻と今回の受信時刻の差から緊急車両の走行速度を算出することも可能である。
【0038】
入力手段18は、車載用ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0039】
表示手段19は、地図画像や走行予定経路の画像、さらには、緊急車両の接近を知らせる画像を表示することでユーザに警告できるようにするためのものであり、液晶ディスプレイなどで構成される。表示する走行予定経路には、自車両の走行予定経路に加えて、緊急車両の走行予定経路を表示してもよい。なお、この表示手段19は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0040】
音声報知手段20は、自車両の走行予定経路にかかる経路案内を音声で報知するとともに、緊急車両の接近を、「緊急車両が接近しています。速やかに左側に寄って下さい。」といった音声による警告で報知するものである。なお、表示手段19に表示される緊急車両の接近を知らせる画像の画像データや、音声報知手段20が報知する警告の音声データなどは、例えば、ROM102に記憶されている。
【0041】
次に、図2のフローチャート及び図3の模式図を用いて、本実施形態の車載用ナビゲーション装置の動作を説明する。なお、図3は、道路21上での自車両の走行予定経路22と、自車両の走行予定経路22に一部が重なっている緊急車両の走行予定経路23との関係を示す。これらの走行予定経路22、23は、始点Sと終点Eとの間で重なっているものとして以下説明する。
【0042】
なお、自車両では、ユーザが入力手段18を用いて目的地を入力し、経路探索手段16が、現在位置検出手段14により検出した現在位置又は出発地から目的地までの自車両の走行予定経路22を探索する。そして、探索された走行予定経路22は、表示手段19に表示され、ドライバは、その経路案内に従って自車両を目的地に向って走行させることができる。
【0043】
走行予定経路22に従って走行しているとき(ステップS101のY)、通信手段17を介して緊急車両情報を受信すると(ステップS102のY)、制御手段10は、受信した緊急車両情報に基づき、自車両の走行予定経路22と、緊急車両の走行予定経路23とが重なる個所が存在するか否かを判定する(ステップS103)。
【0044】
すなわち、制御手段10は、受信した緊急車両情報に緊急車両の走行予定経路23の情報が含まれている場合、自車両の走行予定経路22と緊急車両の走行予定経路23とを比較し、これらの経路が重なる個所があるか否かを判定する。なお、前述の通り、緊急車両情報に走行予定経路23の情報がなく、緊急車両の現在位置及び目的地の情報が含まれている場合には、これらの情報を用いて、経路探索手段16により緊急車両の走行予定経路23を探索することができる。
【0045】
次に、自車両の走行予定経路22と緊急車両の走行予定経路23とが重なる個所が存在すると判定された場合(ステップS103のY)、制御手段10は、走行予定経路22、23を用いて、重なる個所の始点S及び終点Eを算出する(ステップS104)。なお、始点Sは、自車両が重なる個所に入る地点とし、終点Eは、自車両が重なる個所から出る地点とする。
【0046】
始点S及び終点Eを算出した後、制御手段10は、自車両及び緊急車両が始点S及び終点Eに到達する予想時刻を算出する(ステップS105)。自車両が始点S及び終点Eに到達する予想時刻は、現在位置検出手段14により検出した自車両の現在位置、自車両の走行予定経路22、及び、自車両の走行速度から算出することができる。なお、自車両の走行速度は、自車両の速度計で検出した速度とし、あるいは、自車両が走行する道路の道路種別毎の走行速度を地図記憶手段15から取得することができる。
【0047】
一方、緊急車両が始点S及び終点Eに到達する予想時刻は、通信手段17を介して受信した緊急車両の現在位置、緊急車両の走行予定経路23、及び、緊急車両の走行速度から算出することができる。なお、緊急車両の走行速度は、前述の通り、受信した緊急車両の現在位置に基づく移動距離と、現在位置の受信時刻とから算出することもできる。
【0048】
自車両及び緊急車両が始点S及び終点Eに到達する予想時刻が算出されると、制御手段10は、これらの予想時刻を用いて、走行予定経路22、23が重なる個所で自車両が緊急車両に追い抜かれるか否かを判定する(ステップS106)。
【0049】
すなわち、走行予定経路22、23が重なる個所における自車両及び緊急車両の走行方向が同一であり、自車両が始点Sに到達する予想時刻が、緊急車両が始点Sに到達する予想時刻よりも早く、且つ、自車両が終点Eに到達する予想時刻が、緊急車両が終点Eに到達する予想時刻よりも遅いとき、走行予定経路22、23が重なる個所で自車両が緊急車両に追い抜かれるものと判定することができる。なお、自車両及び緊急車両の走行方向は、緊急車両が始点Sに到達する予想時刻が、緊急車両が終点Eに到達する予想時刻よりも早ければ同一である、と判定することができる。
【0050】
自車両が緊急車両に追い抜かれると判定されたとき(ステップS106のY)、制御手段10は、自車両が緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前において、自車両に緊急車両が接近していることを示す画像を表示手段19に表示させ、ドライバに警告の報知を行う。同時に、制御手段10は、音声報知手段20を駆動し、「緊急車両が接近しています。速やかに左側に寄って下さい。」といった音声による警告を報知する(ステップS107)。ドライバは、これらの警告に従って自車両を路側に寄せることにより、緊急車両の走行路を開放することができる。
【0051】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置によれば、自車両が緊急車両に追い抜かれると判定されたとき、緊急車両の接近をドライバに警告し、緊急車両の走行路を速やかに開放させるように促すことができる。この場合、緊急車両の通過に際して退避動作が必要となるのは、緊急車両が自車両と同一方向に走行して自車両を追い抜くときだけである。本実施形態では、緊急車両が自車両を追い抜くときのみ、退避動作を行わせるための警告を行うようにしているため、ユーザに対して無用な警告を行って不快感を与えることはない。また、ドライバに対する警告のタイミングを、自車両が緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前とすることにより、自車両を退避させる時間を必要最小限とすることができる。これにより、緊急車両の通過によるユーザの不快感を少なくすることができる。
【0052】
なお、上記実施例では、自車両が緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前において、自車両に緊急車両が接近していることを示す画像を表示手段19に表示、または、音声報知手段20を駆動し、音声による警告を報知したが、これに限ることはなく、走行予定経路22、23が重なる個所で自車両が緊急車両に追い抜かれるものと判定することができた時点で、例えば、自車両の現在位置から始点Sに至るまでの距離、または、時間を算出し、表示手段19や音声手段20を介して「○○km先、緊急車両に追い抜かれます。ご注意下さい。」などの警告を報知してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・制御手段
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・現在位置検出手段
15・・・地図記憶手段
16・・・経路探索手段
17・・・通信手段
18・・・入力手段
19・・・表示手段
20・・・音声報知手段
21・・・道路
22、23・・・走行予定経路
S・・・始点
E・・・終点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
道路情報を記憶する地図記憶手段と、
目的地を入力する入力手段と、
前記目的地、前記現在位置及び前記道路情報に基づき、前記現在位置から前記目的地に至る前記自車両の走行予定経路を探索する経路探索手段と、
緊急車両の走行情報を取得する通信手段と、
前記自車両の走行予定経路と前記緊急車両の走行情報とに基づき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定する判定手段と、
前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定されたとき、前記緊急車両の接近を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の走行予定経路を含む情報であり、
前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記緊急車両の走行情報は、前記緊急車両の目的地及び現在位置を含む情報であり、
前記経路探索手段は、該目的地、該現在位置及び前記道路情報に基づき、前記緊急車両の走行予定経路を探索し、
前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記自車両の走行予定経路と、前記緊急車両の走行予定経路とが重なるとき、前記自車両及び前記緊急車両が前記走行予定経路の重なる個所の始点及び終点に到達する予想時刻をそれぞれ算出し、前記走行予定経路が重なる個所における前記自車両及び前記緊急車両の走行方向が同一であり、前記自車両が前記始点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記始点に到達する予想時刻よりも早く、且つ、前記自車両が前記終点に到達する予想時刻が、前記緊急車両が前記終点に到達する予想時刻よりも遅いとき、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれると判定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記自車両及び前記緊急車両の前記予想時刻は、前記自車両及び前記緊急車両のそれぞれの現在位置、それぞれの前記走行予定経路及びそれぞれの走行速度に基づいて算出することを特徴とする請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記警告手段は、前記自車両が前記緊急車両に追い抜かれる個所の近傍手前に到達したとき、前記緊急車両の接近を警告することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記警告手段は、前記緊急車両の接近を表示する表示手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記警告手段は、前記緊急車両の接近を音声により報知する音声報知手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−52963(P2011−52963A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199156(P2009−199156)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】