説明

車載用地図表示装置

【課題】 簡易な構成で、表示器に表示された地図画像と同一の地図画像を、車外の表示機器に表示させることが可能な車載用地図表示装置を提供すること。
【解決手段】操作スイッチ4またはリモコン5の送信スイッチが押されると、ECU8は、送信画像データの表示形式を所定の表示形式に決定した後、ビデオメモリ81に記憶された地図表示データを読み出す。さらに、操作スイッチ4およびリモコン5の減色スイッチによって表示色の減色が設定されている場合、ECU8は、読み出した地図表示データの表示色を所定数以下に減色した画像データを生成し、送信画像データとしてサブメモリ82に保存する。サブメモリ82に保存された送信画像データは、通信機7を介して車外へと送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて地図画像を表示する車載用地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、あるパソコンで生成された地図画像を他のパソコンで表示させる方法が公知である。例えば、特許文献1に開示された方法では、あるパソコンで目的地までのルート探索を行い、探索されたルートを含む地図画像の画像データを生成した後、当該データに表示用ドライバを加えて自己再生ファイルとし、他のパソコンへと送信する。自己再生ファイルを受信したパソコンは、当該ファイル内に含まれる表示用ドライバを利用して、画像データを地図画像として表示させる。
【特許文献1】特開平10−149422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来方法では、あるパソコンで表示された地図画像と同一の地図画像を他のパソコンでも表示させることができ、大変便利である。しかしながら、パソコンのような高い汎用処理能力を有しない機器、例えば車両用ナビゲーション装置では、画像データに表示用ドライバを加える等の複雑な処理を行うことは難しい。すなわち、車両用ナビゲーション装置が表示する地図画像と同一の地図画像を車外の表示機器に表示させることを考えた場合、従来方法は利用できない。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、表示器に表示された地図画像と同一の地図画像を、車外の表示機器に表示させることが可能な車載用地図表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載用地図表示装置は、表示器と、表示器に地図を表示するための地図データを記憶する記憶手段と、記憶手段によって記憶された地図データを用いて生成される地図表示データを格納するビデオメモリと、ビデオメモリに格納された地図表示データに基づいて、表示器に地図を表示する表示制御手段とを備えた車載用地図表示装置であって、ビデオメモリに格納された地図表示データを保存する保存手段と、保存手段に保存された地図表示データを送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の車載用地図表示装置に代表される車載機器は、パソコンのような高い汎用処理能力を有しておらず、表示用ドライバを加える等の複雑な処理を行うことは難しい。しかしながら、ビデオメモリに格納された地図表示データを保存し、車外の表示機器に送信することは性能的に十分可能である。ビデオメモリに格納された地図表示データを保存手段に保存するとともに、保存された地図表示データを送信手段によって車外の表示機器へと送信することで、本車載用地図表示装置は、簡易な構成で、表示器に表示された地図画像と同一の地図画像を、車外の表示機器に表示させることができる。
【0007】
請求項2に記載のように、ビデオメモリに格納された地図表示データを保存手段に保存する際に、地図表示データの変換を行う変換手段を備え、保存手段は、その変換後の地図表示データを保存することが望ましい。これにより、保存手段は、車外の表示機器の機能に合わせて変換手段が変換した地図表示データを保存することができる。
【0008】
請求項3に記載のように、変換手段は、地図表示データに用いられる表示色を所定数以下に減少させるように、当該地図表示データの変換を行うことが望ましい。これにより、本車載用地図表示装置の表示器における表示色数と、車外の表示機器における表示色数とが異なる場合でも、表示色を所定数以下に減色させた地図表示データにより、車外の表示機器は地図画像を適切に表示することができる。また、当該変換によって地図表示データのデータ量の低減も図ることができる。
【0009】
請求項4に記載のように、変換手段は、地図表示データを拡大または縮小するように、当該地図表示データの変換を行うことが望ましい。これにより、本車載用地図表示装置における表示器の表示特性(縦横比、ドット数、ドット形状等)と、車外の表示機器における表示特性(縦横比、ドット数、ドット形状等)とが異なる場合でも、拡大または縮小した地図表示データにより、車外の表示機器は地図画像を適切に表示することができる。
【0010】
請求項5に記載のように、地図表示データの拡大率または縮小率を指定する指定手段を設け、変換手段は、指定手段によって指定された拡大率または縮小率に従って、地図表示データを拡大または縮小することが望ましい。これにより、変換手段が地図表示データを拡大および縮小する際の拡大率および縮小率の指定を行うことができる。
【0011】
請求項6に記載のように、指定手段は、予め用意された複数の拡大率または縮小率のうちのいずれかを選択して指定することが望ましい。これにより、ユーザーは前述した拡大率および縮小率の指定を容易に行うことができる。
【0012】
請求項7に記載のように、地図表示データは、地図を描画した地図描画データと、その地図描画データ上に重畳表示される文字データとを有し、ビデオメモリは、地図描画データと文字データとを別個に格納するものであって、変換手段は、大きさが異なる複数の文字データを有し、指定手段によって指定された拡大率および縮小率と対応する文字データを利用して、当該文字データの大きさも変換することが望ましい。これにより、前述したいずれの拡大率および縮小率に従って地図表示データを拡大・縮小した場合でも、重畳表示された文字が大きくなり過ぎたり小さく潰れたりするのを防止し、適切な大きさの文字を重畳表示させることが可能となる。
【0013】
請求項8に記載のように、変換手段は、地図表示データを任意の角度だけ回転させたるように、当該地図表示データの変換を行うことが望ましい。これにより、例えば地図画像を横向きにしたり、北を上向きにした地図画像を車外の表示機器に表示させることができる。
【0014】
請求項9に記載のように、地図表示データは、地図を描画した地図描画データと、その地図描画データ上に重畳表示される所定の情報を表示するための表示データとを有し、ビデオメモリは、地図描画データと表示データとを別個に格納するものであって、変換後の地図表示データにおいても残すべき情報の表示データを指定する情報指定手段を備え、変換手段は、情報指定手段によって指定された表示データのみが地図表示データに重畳表示されるように、地図表示データの変換を行うことが望ましい。これにより、ユーザーは変換後の地図表示データに残したい表示データを情報指定手段によって指定し、所望の表示データのみを変換後の地図表示データに残すことが可能となる。
【0015】
請求項10に記載のように、出発地及び目的地が特定されることによって、その目的地までの案内経路を算出する案内経路算出手段と、案内経路算出手段によって算出された案内経路を、地図表示データに重ね合わせてビデオメモリに格納する案内経路表示手段とを備え、変換手段は、案内経路、案内経路と交差する道路、および案内経路周辺の建造物に関する情報を地図表示データから抽出することによって、当該地図表示データの変換を行うことが望ましい。案内経路、案内経路と交差する道路、および案内経路周辺の建造物に関する情報を抽出して地図表示データの変換を行うことで、車外の表示機器から地図画像を閲覧するユーザーに対し、車両の走行状況を確実に把握させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における車載用地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。本車載用地図表示装置はカーナビゲーション装置Aに組み込まれて動作するものであり、当該装置が表示する地図画像を車外の表示機器である端末機器Bへ送信して表示させる。
【0017】
はじめに、カーナビゲーション装置Aの各部について説明する。
【0018】
図1に示すように、位置検出器1は、地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、GPS受信機14から構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0019】
地磁気センサ11は、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0020】
ジャイロスコープ12は、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0021】
距離センサ13は、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出する。
【0022】
GPS受信機14は、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信される位置測定用のGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0023】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって精度の高い位置検出を行う。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向の検出に関しては、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号に基づいて行うこととしてもよい。
【0024】
データ記憶器2は、例えばハードディスクであり、道路情報、建造物情報、各地域の住所情報や郵便番号情報などを含む地図情報データと、地図画像を表示するための地図描画データを記憶する。また、地図画像に重畳表示する文字の文字データや、同じく地図画像に重畳表示するマークのマークデータを記憶する。前述したデータの各々に関しては、CD−ROMやDVD−ROM等に記憶することとしても良い。
【0025】
ディスプレイ3は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像の表示を含む、各種ナビゲーション表示を行う。前述の各種ナビゲーション表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0026】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、カーナビゲーション装置Aに対して、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。さらに、操作スイッチ4は、ディスプレイ3に表示された地図画像の地図表示データから送信画像データを生成し、車外へ送信するよう指示する送信スイッチを有する。また、送信画像データを生成する際、地図表示データの表示色を所定数以下に減色するよう設定する減色スイッチを有する。前述の各種指示および減色設定に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーを押したことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチによって構成しても良い。
【0027】
リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0028】
通信機7は、小型の無線送信機であり、後述するサブメモリ82に記憶された送信画像データを、無線を利用して車外へと送信する。送信画像データの車外への送信に関しては、携帯電話や自動車電話等の公衆回線を利用することとしても良い。
【0029】
ECU8は、ナビゲーション用ECUであり、操作スイッチ4やリモコン5からの指示に従って、地図画像の表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、車両の現在位置周辺の地図描画データと地図情報データを読み出すとともに、地図画像に重畳表示する文字データをデータ記憶器2から読み出す。そして、地図描画データの地図画像に対し、地図情報データの示す地図情報や文字データの示す文字、車両の現在位置を示すマークを重畳した地図表示データを生成して、ビデオメモリ81へ記憶する。ビデオメモリ81に記憶された地図表示データは、ディスプレイ3へ出力されて表示させる。また、ECU8はスピーカ9から各種音声案内を行わせる。
【0030】
また、ECU8はナビゲーション動作として、経路案内を実行する。すなわち、公知の種々の手法によって目的地が設定された場合、その目的地までの経路を算出し、その経路を地図画像に重ねて表示すると共に、案内交差点等において曲がるべき方向を音声案内する。
【0031】
さらに、ECU8はサブメモリ82を有し、操作スイッチ4またはリモコン5の送信スイッチが押されると、ビデオメモリ81に記憶された地図表示データを読み出して送信画像データを生成し、サブメモリ82へ保存する。具体的には、まず、送信画像データの表示形式(JPEGやBMP等)を所定の表示形式に決定した後、ビデオメモリ81に記憶された地図表示データを読み出す。操作スイッチ4およびリモコン5の減色スイッチによって表示色の減色が設定されている場合、ECU8は、読み出した地図表示データの表示色を、例えば類似した表示色を同一の表示色に変換する等、所定数以下に減色した画像データを生成(変換)する。表示色の減色が設定されていない場合には、ビデオメモリ81から読み出した地図表示データを画像データとする。そして、生成した画像データを送信画像データとして、サブメモリ82へ保存する。サブメモリ82に保存された送信画像データは、通信機7を介して車外へと送信される。
【0032】
端末機器Bは、図示しない無線受信器および表示画面を備え、カーナビゲーション装置Aから送信された送信画像データを受信し、当該データの示す地図画像を表示画面に表示する。端末機器Bに関しては、無線受信器および表示画面を備えるものであればよく、例えば携帯電話等を利用することとしても良い。
【0033】
図2は、本実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へ送信する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、操作スイッチ4およびリモコン5の送信スイッチが押されるたびに実行される。
【0034】
ステップ201では、ECU8は、送信画像データの保存形式を所定の表示形式に決定する。ステップ202では、ビデオメモリ81から地図表示データを読み出す。ステップ203では、地図表示データにおける表示色の減色設定に従って、画像データを生成する。本ステップの詳細な処理については、後述する。
【0035】
ステップ204では、ステップ203で生成した画像データを送信画像データとしてサブメモリ82に保存する。
【0036】
ステップ205では、ステップ204でサブメモリ82に保存された送信画像データを、通信機7を介して車外へと送信させる。端末機器Bは、前述の送信画像データを受信して、地図画像を表示画面に表示することとなる。
【0037】
図3は、本実施形態の車載用地図表示装置が、地図表示データの表示色の減色設定に従って画像データを生成する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図2のフローチャートにおける、ステップ203の処理に相当する。
【0038】
ステップ301では、ECU8は、地図表示データにおける表示色の減色が設定されているか否かを判定する。表示色の減色が設定されている場合には、ステップ302へ進む。設定されていない場合には、ステップ303へ進む。
【0039】
ステップ302では、ビデオメモリ81から読み出した地図表示データの表示色を、例えば類似した表示色を同一の表示色に変換する等、所定数以下に減色した画像データを生成し、処理を終了する。これにより、ECU8は、ディスプレイ3の表示色数と端末機器Bの表示画面の表示色数とが異なる場合でも、端末機器Bの表示画面の表示色数に合わせた適切な画像データを生成することができる。また、地図表示データの表示色を所定数以下に減色することで、データ量の低減も図ることができる。
【0040】
一方、ステップ303では、ビデオメモリ81から読み出した地図表示データを画像データとして、処理を終了する。
【0041】
このように、本実施形態の車載用地図表示装置では、ビデオメモリ81に記憶された地図表示データを読み出して送信画像データを生成し、車外へと送信する。本車載用地図表示装置に代表される車載機器は、パソコンのような高い汎用処理能力を有しておらず、表示用ドライバを加える等の複雑な処理を行うことは難しいが、ビデオメモリに記憶された地図表示データを読み出して送信画像データを生成し、車外へと送信することは性能的に十分可能である。これにより、本車載用地図表示装置は、簡易な構成で、本装置のディスプレイに表示された地図画像と同一の地図画像を、車外の端末機器に表示させることができる。
【0042】
本実施形態の車載用地図表示装置では、ビデオメモリ81に記憶された地図表示データを読み出して送信画像データの生成を行い、車外の端末機器Bへと送信した。これに加えて、目的地や経由地等を示すマークを重畳した送信画像データを生成することとしても良い。これにより、車外の端末機器の表示画面を閲覧するユーザーは、地図画像に重畳されたマークから目的地や経由地等を把握することができる。さらには、送信画像データに重畳する(残す)マークを指定できるよう構成しても良い。これにより、車外の端末機器の表示画面を閲覧するユーザーに通知するマークのみを、送信画像データに重畳する(残す)ことが可能となる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の車載用地図表示装置では、送信画像データを生成する際、ディスプレイ3に表示された地図画像を基準として設定された拡大率・縮小率に従って地図画像を拡大・縮小するとともに、当該拡大率・縮小率に応じて文字の大きさも変換する。また、当該地図画像を設定された回転角度だけ回転させることも行う。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0044】
操作スイッチ4は、前述した第1の実施形態の機能に加え、送信画像データを生成する際、ディスプレイ3に表示された地図画像を基準とした拡大率および縮小率を設定する図示しない倍率変更スイッチを有する。また、ディスプレイ3に表示された地図画像を基準として、任意の角度を回転角度として設定する回転角度スイッチを有する。
【0045】
リモコン5は、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0046】
本実施形態のビデオメモリ81は、図4に示すように、地図描画データ領域、文字データ領域、地図情報データ領域、地図表示データ領域の4つの記憶領域を有し、地図描画データ、文字データ、地図情報データ、地図表示データの各々を各領域へ別個に記憶する。
【0047】
本実施形態のECU8は、ビデオメモリ81の各領域に記憶された地図描画データ、文字データ、地図情報データの各々を読み出して地図表示データを生成し、地図表示データ領域へ記憶するとともに、当該データをディスプレイ3へ出力して各種ナビゲーション表示を行わせる。さらに、ECU8は、文字を表示する文字画像データを図示しない内部メモリに記憶する。この文字画像データは、操作スイッチ4およびリモコン5によって設定される拡大率および縮小率毎に、各文字に対して用意される。そして、操作スイッチ4またはリモコン5の送信スイッチが押されると、ECU8は、前述の各種設定に基づいて送信画像データを生成する。
【0048】
具体的には、ECU8は、送信画像データの表示形式(JPEGやBMP等)を所定の表示形式に決定した後、ビデオメモリ81から地図描画データ、文字データ、地図情報データの各々を各領域から読み出す。操作スイッチ4やリモコン5の倍率変更スイッチによって拡大率および縮小率が設定されている場合、ECU8は、読み出した地図描画データおよび地図情報データから、当該データの示す画像を設定された拡大率および縮小率に従って拡大および縮小した画像データを生成する。その際、読み出した文字データの文字と同一の文字の文字画像データであり、かつ、設定された拡大率および縮小率に対応する文字画像データを内部メモリから読み出して、生成した画像データに重畳させる。さらに、操作スイッチ4やリモコン5の回転角度スイッチによって回転角度が設定されている場合、ECU8は、設定された回転角度だけ画像データの画像を回転させる。その後は、前述の第1の実施形態の場合と同様、表示色の減色処理を行い、生成された画像データを送信画像データとしてサブメモリ82へ保存する。サブメモリ82に保存された送信画像データは、通信機7を介して車外へと送信される。
【0049】
その他の構成・動作に関しては、前述した第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
図5は、本実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へと送信する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した第1の実施形態の図2のフローチャートの処理における、ビデオメモリ81から地図表示データを読み出すステップに代えて、ビデオメモリ81から地図描画データ、文字データ、地図情報データの各々を読み出すステップを設けるとともに、設定された拡大率および縮小率に従って拡大・縮小した画像データを生成するステップを加える。さらに、内部メモリに記憶された文字画像データのうち、ビデオメモリ81から読み出した文字データの文字と同一の文字であり、かつ、設定された拡大率および縮小率に対応する文字画像データを読み出して、生成した画像データに重畳させるステップを加える。また、設定された回転角度に従って画像データの画像を回転させるステップを加える。言い換えれば、ステップ502〜505以外の全ての処理は、前述した図2のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
ステップ502では、ビデオメモリ81の各領域に別個に記憶された地図描画データ、文字データ、地図情報データの各々を読み出す。ステップ503では、操作スイッチ4やリモコン5の倍率変更スイッチによって設定された拡大率および縮小率に従って、ステップ502で読み出した地図描画データおよび地図情報データを拡大・縮小した画像データを生成する。
【0052】
ステップ504では、ステップ502でビデオメモリ81から読み出した文字データの文字と同一の文字であり、かつ、設定された拡大率および縮小率に対応する文字画像データを内部メモリから読み出し、ステップ503で生成した画像データに重畳させる。これにより、文字が大きくなり過ぎたり小さく潰れたりするのを防止し、設定された拡大率および縮小率に従って文字を適切に表示できるのである。
【0053】
ステップ505では、ステップ504で生成した画像データの示す画像を、操作スイッチ4およびリモコン5の回転角度スイッチによって設定された回転角度だけ回転させた画像データを生成する。これにより、端末機器Bの表示画面において、例えば地図画像を横向きに表示させたり、北を上向きに表示させたりすることが可能となる。
【0054】
このように、本実施形態の車載用地図表示装置では、送信画像データを生成する際、ディスプレイ3に表示された地図画像を基準として設定された拡大率・縮小率に従って地図画像を拡大・縮小する。これにより、例えば、ディスプレイ3の縦横比と端末装置Bの縦横比とが異なる場合でも、ディスプレイ3に表示された地図画像を拡大・縮小することで、ディスプレイ3に表示された地図画像と同一の地図画像を、端末機器Bの表示画面に適切に表示させることができる。
【0055】
また、例えば、ディスプレイ3のドット数と端末装置Bのドット数とが異なる場合には、当該ドット数に合わせて縦方向および/又は横方向に拡大・縮小(ディスプレイ3で横方向に1mmを表示するのに3ドット必要であり、端末装置Bで横方向に1mmを表示するのに6ドット必要である場合には、横方向に2倍)すればよい。さらに、例えば、ディスプレイ3のドット形状と端末装置Bのドット形状が異なる場合には、当該ドット形状に合わせて縦方向および/又は横方向に拡大・縮小する(ディスプレイ3の1ドットの形状が端末装置Bの4ドット分の形状に該当する場合、縦・横方向に2倍)すればよい。このようにしても、ディスプレイ3に表示された地図画像と同一の地図画像を、端末機器Bの表示画面に適切に表示させることができる。
【0056】
本実施形態では、操作スイッチ4およびリモコン5により、ディスプレイ3に表示された地図画像を基準とした、任意の拡大率・縮小率および回転角度を設定できるものとした。しかしながら、所定の複数の拡大率・縮小率および回転角度を予め用意しておき、その中の1つを操作スイッチ4およびリモコン5によって選択するよう構成しても良い。これにより、ユーザーは拡大率・縮小率および回転角度の設定を容易に行うことができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の車載用地図表示装置では、前述した第2の実施形態におけるディスプレイ3に代えて、各種ナビゲーション表示を行うとともに、カーナビゲーション装置Aの各種ナビゲーション動作を操作可能なタッチディスプレイ10が設けられる。そして、操作スイッチ4およびリモコン5の送信スイッチが押されると、タッチディスプレイ10の表示画像から操作キーを消去した地図画像が送信画像データとして生成される。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0058】
図6は、本発明の第3の実施形態における車載用地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0059】
図6に示すタッチディスプレイ10は、地図画像表示を含む各種ナビゲーション表示に重畳して、カーナビゲーション装置Aを操作するための操作キーを表示する。表示された操作キーにタッチされると、タッチディスプレイ10は、タッチされた操作キーに対応する操作信号をECU8へ出力する。
【0060】
データ記憶器2は、前述した第2の実施形態の機能に加え、タッチディスプレイ10に操作キーを表示するための操作キー画像データを記憶する。
【0061】
ビデオメモリ81は、前述した第2の実施形態の機能に加え、図7に示すように、操作キー画像データを記憶する操作キー画像データ領域を有する。
【0062】
本実施形態のECU8は、前述した第2の実施形態の機能に加え、地図表示データを生成した後、ビデオメモリ81の操作キー画像データ領域に記憶された操作キー画像データを読み出して、生成された地図表示データに重畳させる。そして、ビデオメモリ81の地図表示データ領域へ再び記憶するとともに、当該データをタッチディスプレイ10へ出力する。こうして、各種ナビゲーション表示に重畳して、ナビゲーション装置Aを操作するための操作キーをタッチディスプレイ10に表示させる。また、タッチディスプレイ10から操作信号を受け取ると、当該信号に対応するナビゲーション動作を行う。
【0063】
さらに、ECU8は、操作スイッチ4およびリモコン5の送信スイッチが押されたり、タッチディスプレイ10に表示された送信キーがタッチされると、タッチディスプレイ10の表示画像から操作キーを消去した送信画像データを生成し、車外の端末装置Bへと送信させる。具体的には、前述の第2の実施形態の場合と同様、送信画像データの表示形式(JPEGやBMP等)を所定の表示形式に決定した後、ビデオメモリ81から地図描画データ、文字データ、地図情報データの各々を各領域から読み出し、拡大・縮小処理、文字の大きさの変換、回転処理、表示色の減色処理およびマークの重畳処理を行う。そして、生成した画像データを送信画像データとしてサブメモリ82に保存する。タッチディスプレイ10の表示画像に重畳表示される操作キー画像データは、ビデオメモリ81の操作キー画像データ領域に別個に記憶されているため、前述した第2の実施形態の場合と同様の処理を行うことにより、操作キーを含まない送信画像データを生成できるのである。
【0064】
その他の構成・動作に関しては、前述した第2の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。また、本実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へと送信する処理は、前述した第2の実施形態における図5のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
このように、本実施形態の車載用地図表示装置は、タッチディスプレイ10の表示画像から操作キーを消去した地図画像を、送信画像データとして生成してサブメモリ82に保存し、端末機器Bへと送信する。これにより、本車載用地図表示装置は、端末機器Bの表示画面を閲覧するユーザーが必要とする地図画像のみを、送信画像データとして送信することができる。
【0066】
本実施形態では、タッチディスプレイ10の表示画像から操作キーを消去した地図画像を送信画像データとして生成し、端末機器Bへと送信した。しかしながら、タッチディスプレイ10の表示画像から操作キーを消去するか否か(操作キーの表示を残すか否か)については、選択可能に構成してもよい。これにより、タッチディスプレイ10の表示画像(操作キーを消去していない表示画像)を、そのまま送信画像データとして端末装置Bへ送信し、表示させることができる。
【0067】
本実施形態では、操作スイッチ4およびリモコン5に加え、タッチディスプレイ10によっても、カーナビゲーション装置Aの各種ナビゲーション動作を操作可能とした。しかしながら、これに限定されるものではなく、タッチディスプレイ10のみで各種ナビゲーション動作を操作するよう構成しても良い。
【0068】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の車載用地図表示装置では、送信画像データを生成する際、目的地までの案内経路が設定されており、かつ、地図画像を簡素化するよう設定されている場合には、当該案内経路、当該案内経路と交差する道路、当該案内経路周辺の建造物情報を地図表示データから抽出し、送信画像データを生成する。上述した点が、本実施形態のポイントである。
【0069】
操作スイッチ4は、前述した第1の実施形態の機能に加え、案内経路を設定する際の出発地および目的地を入力する図示しない出発地スイッチと目的地スイッチを有する。さらに、操作スイッチ4は、送信画像データを生成する際、ディスプレイ3に表示された地図画像を簡素化するよう設定する簡素化スイッチを有する。
【0070】
リモコン5は、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0071】
ECU8は、前述した第1の実施形態の機能に加え、操作スイッチ4およびリモコン5によって入力された出発地から目的地までの案内経路を設定(算出)し、当該案内経路を地図表示データに重畳してビデオメモリ81に記憶させる。そして、送信画像データを生成する際には、案内経路が設定されており、かつ、地図画像を簡素化するよう設定されている場合には、当該案内経路、当該案内経路と交差する道路、および当該案内経路周辺の建造物情報を地図表示データから抽出し、送信画像データとしてサブメモリ82に保存する。
【0072】
その他の構成・動作に関しては、前述した第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
図8は、本実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へと送信する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した第1の実施形態における図2のフローチャートの処理に加え、地図表示データから案内経路抽出処理を行って画像データを生成するステップを設ける。言い換えれば、ステップ803以外の全ての処理は、前述した図2のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
図9は、本実施形態の車載用地図表示装置が、案内経路抽出処理を行って画像データを生成する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図8のフローチャートにおける、ステップ803の処理に相当する。
【0075】
ステップ901では、ECU8は、ディスプレイ3に地図画像が表示されているか否かを判定する。地図画像が表示されている場合は、ステップ902へ進む。そうでない場合は、ステップ905へ進む。ステップ902では、案内経路が設定されているか否かを判定する。案内経路が設定されている場合は、ステップ903へ進む。案内経路が設定されていない場合は、ステップ905へ進む。
【0076】
ステップ903では、地図画像の簡素化が設定されているか否かを判定する。地図画像の簡素化が設定されている場合は、ステップ904へ進む。地図画像の簡素化が設定されていない場合は、ステップ905へ進む。
【0077】
ステップ904では、設定された案内経路、当該案内経路と交差する道路、当該案内経路周辺の建造物情報を地図表示データから抽出し、画像データを生成して、処理を終了する。ステップ905では、ビデオメモリ81から読み出した地図表示データを画像データとして、処理を終了する。
【0078】
このように、本実施形態の車載用地図表示装置では、送信画像データを生成する際、案内経路が設定されており、かつ、地図画像を簡素化するよう設定されている場合には、当該案内経路、当該案内経路と交差する道路、当該案内経路周辺の建造物情報を地図表示データから抽出し、送信画像データを生成する。これにより、端末機器Bの表示画面を閲覧するユーザーは、車両の走行状況を確実に把握することができる。
【0079】
前述した第1〜第4の実施形態における車載用地図表示装置は、それぞれ単独でも十分な効果を発揮するが、これらを組み合わせて用いることにより、さらに十分な効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態における車載用地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へ送信する処理に関するフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の車載用地図表示装置が、地図表示データの表示色の減色設定に従って画像データを生成する処理に関するフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の車載用地図表示装置における、ビデオメモリの4つの記憶領域を示す図である。
【図5】第2の実施形態における車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へと送信する処理に関するフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態における車載用地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態の車載用地図表示装置における、ビデオメモリの5つの記憶領域を示す図である。
【図8】第4の実施形態の車載用地図表示装置が、送信画像データを生成して車外へと送信する処理に関するフローチャートである。
【図9】第4の実施形態の車載用地図表示装置が、案内経路抽出処理を行って画像データを生成する処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
A…カーナビゲーション装置
1…位置検出器
11…地磁気センサ
12…ジャイロスコープ
13…距離センサ
14…GPS受信機
2…データ入力器
3…ディスプレイ
4…操作スイッチ
5…リモコン
6…リモコンセンサ
7…通信機
8…ECU
81…ビデオメモリ
9…スピーカ
10…タッチディスプレイ
B…端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、
前記表示器に地図を表示するための地図データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された地図データを用いて生成される地図表示データを格納するビデオメモリと、
前記ビデオメモリに格納された地図表示データに基づいて、前記表示器に地図を表示する表示制御手段とを備えた車載用地図表示装置であって、
前記ビデオメモリに格納された地図表示データを保存する保存手段と、
前記保存手段に保存された地図表示データを送信する送信手段とを備えることを特徴とする車載用地図表示装置。
【請求項2】
前記ビデオメモリに格納された地図表示データを前記保存手段に保存する際に、地図表示データの変換を行う変換手段を備え、前記保存手段は、その変換後の地図表示データを保存することを特徴とする請求項1に記載の車載用地図表示装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記地図表示データに用いられる表示色を所定数以下に減少させるように、当該地図表示データの変換を行うことを特徴とする請求項2記載の車載用地図表示装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記地図表示データを拡大または縮小するように、当該地図表示データの変換を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車載用地図表示装置。
【請求項5】
前記地図表示データの拡大率または縮小率を指定する指定手段を設け、
前記変換手段は、前記指定手段によって指定された拡大率または縮小率に従って、前記地図表示データを拡大または縮小することを特徴とする請求項4に記載の車載用地図表示装置。
【請求項6】
前記指定手段は、予め用意された複数の拡大率または縮小率のうちのいずれかを選択して指定することを特徴とする請求項5記載の車載用地図表示装置。
【請求項7】
前記地図表示データは、地図を描画した地図描画データと、その地図描画データ上に重畳表示される文字データとを有し、
前記ビデオメモリは、前記地図描画データと前記文字データとを別個に格納するものであって、
前記変換手段は、大きさが異なる複数の文字データを有し、前記指定手段によって指定された拡大率および縮小率と対応する文字データを利用して、当該文字データの大きさも変換することを特徴とする請求項5または請求項6記載の車載用地図表示装置。
【請求項8】
前記変換手段は、前記地図表示データを任意の角度だけ回転させたるように、当該地図表示データの変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の車載用地図表示装置。
【請求項9】
前記地図表示データは、地図を描画した地図描画データと、その地図描画データ上に重畳表示される所定の情報を表示するための表示データとを有し、
前記ビデオメモリは、前記地図描画データと前記表示データとを別個に格納するものであって、
変換後の地図表示データにおいても残すべき情報の表示データを指定する情報指定手段を備え、
前記変換手段は、前記情報指定手段によって指定された表示データのみが前記地図表示データに重畳表示されるように、前記地図表示データの変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の車載用地図表示装置。
【請求項10】
出発地及び目的地が特定されることによって、その目的地までの案内経路を算出する案内経路算出手段と、
前記案内経路算出手段によって算出された案内経路を、前記地図表示データに重ね合わせて前記ビデオメモリに格納する案内経路表示手段とを備え、
前記変換手段は、前記案内経路、前記案内経路と交差する道路、および前記案内経路周辺の建造物に関する情報を前記地図表示データから抽出することによって、当該地図表示データの変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の車載用地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−251698(P2006−251698A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71550(P2005−71550)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】