説明

車載装置及び情報提供方法

【課題】横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性がある場合にも情報提供を行い、乗員に十分な注意を促すことができる車載装置を提供する。
【解決手段】 車載装置は、処理部17の制御のもとに、車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、対象地点について歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を算出し、算出した横断歩道外横断確率に基づいて、情報提供部18を介して、車両の乗員に対して情報提供を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載可能な車載装置及び運転者等の乗員に情報を提供する情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、事故多発地帯等の所定地点を地図データに登録しておき、車両が当該所定地点に近付いた場合に、乗員に注意情報を通知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−195840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術においては、車両の現在位置と、地図データに登録された事故多発地点等とに基づいて、注意情報を通知するので、例えば交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性がある場合には、注意情報を通知することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性がある場合にも情報提供を行うことができる車載装置及び情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、車両が走行する道路付近の歩行者位置について歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を算出し、算出された横断歩道外横断確率に基づいて、車両の乗員に対して情報提供を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歩行者が横断歩道以外を横断する確率に基づいて情報提供を行うので、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性がある場合に、適切な情報提供を行うことができ、乗員に十分な注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態として示す車載装置の構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す車載装置において、横断歩道外横断確率を推定する際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態として示す車載装置において、横断歩道外横断確率を推定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、図2とは異なる手法について説明するための図である。
【図5】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図である。
【図6】横断歩道が横断可能となるまで待機する平均時間を算出可能である理由について説明するための図である。
【図7】横軸に通過時間間隔をとり、縦軸に各通過時間間隔を持つデータの割合をとったグラフの具体例を示す図である。
【図8】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図であり、横断歩道を横断するルートを通るのに要する平均時間と、横断歩道を横断しないルートを通るのに要する平均時間とについて説明するための図である。
【図9】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図であり、横断先の地点を横断歩道よりも左側の地点から横断歩道よりも右側の地点に変えた様子について説明するための図である。
【図10】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図であり、図9に示す横断元の位置を変化させて横断歩道外横断確率を算出する様子について説明するための図である。
【図11】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図であり、横断先の地点を横断歩道よりも右側の地点から横断歩道よりも左側の地点に変えた様子について説明するための図である。
【図12】図4に示す横断歩道外横断確率の推定に使用する場面の具体例を示す図であり、図11に示す横断元の位置を変化させて横断歩道外横断確率を算出する様子について説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態として示す車載装置において、運転者に対する情報提供を実行するか否かを判定する際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態として示す車載装置において、運転者に対する情報提供を実行するか否かを判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、図13とは異なる手法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態としての車載装置について具体的に説明する。
【0010】
[車載装置の構成]
本発明の実施形態として示す車載装置は、移動体である車両に搭載される。この車載装置は、例えば、当該車両の現在位置を検出し、地図データに基づいて描画された車両の現在位置に対応する地図をユーザである運転者に提示しながら、所望の目的までの経路案内を行うナビゲーション装置等から構成される。具体的には、車載装置は、図1に示すように、車両の現在位置を特定する位置特定部であるGPS処理部11と、現在時刻を特定する時刻特定部であるタイマ12と、各種情報を記憶する情報記憶部であるハードディスク装置13と、車両周囲の映像を撮像するカメラ14と、外部と無線通信を行う通信回路15と、車両の移動速度等の情報を取得する車両情報取得回路16と、当該車載装置を統括的に制御する処理部17と、各種情報をユーザに提供するディスプレイやスピーカ等からなる情報提供部18とを備える。なお、これら各部のうち、カメラ14及び通信回路15は、必須構成ではなく、任意に設けられるものである。なお、図1にお示す車載装置は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0011】
GPS処理部11は、いわゆるGPS(Global Positioning System)受信機から構成される。GPS処理部11は、処理部17の制御に従って、GPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナを介して受信することにより、GPS航法による位置計測を行い、当該車載装置が搭載された移動体である車両の絶対位置(緯度、経度)情報を算出する。また、GPS処理部11は、図示しない距離センサによって検出された走行距離情報や図示しない方位センサによって検出された進行方位情報に基づいて、自律航法による車両の相対位置を算出する。そして、GPS処理部11は、上述した絶対位置(緯度、経度)情報と、相対位置情報とに基づいて、当該車載装置が搭載された車両の地図上における位置を算出する。GPS処理部11は、算出した車両の現在位置情報を処理部17に供給する。
【0012】
タイマ12は、時刻計時を行い、GPS処理部11によって車両の現在位置情報が取得された時刻を現在時刻情報として取得する。タイマ12は、取得した現在時刻情報を処理部17に供給する。
【0013】
ハードディスク装置13は、ナビゲーション装置としての当該車載装置で実行される各種アプリケーションソフトウェア、情報提供部18に表示させる地図情報、マップマッチングやルートガイダンス等に用いる道路情報、車両の通行状態に関する情報等、車両のナビゲーションや処理部17による各種処理に必要となる各種データを記憶する。このハードディスク装置13に記憶された情報は、処理部17によって読み出される。
【0014】
カメラ14は、ハードディスク装置13に記憶されている情報を更新するための更新情報を取得する情報取得手段の一部を構成し、処理部17の制御に従って、車両周囲の映像を撮像する。具体的には、カメラ14は、更新情報として、車両が走行する道路の幅員や中央分離帯の設置状況等を撮像して取得する。カメラ14は、取得した更新情報をハードディスク装置13に記憶させる。
【0015】
通信回路15は、ハードディスク装置13に記憶されている情報を更新するための更新情報を取得する情報取得手段の一部を構成し、処理部17の制御に従って、広域通信網を介した無線通信により、例えば外部の情報センタ装置から送信された情報を受信する。具体的には、通信回路15は、更新情報として、交通量に関する情報や地図の更新情報等を情報センタ装置から受信して取得する。通信回路15は、取得した更新情報をハードディスク装置13に記憶させる。
【0016】
車両情報取得回路16は、車両の移動速度、進行方向と向き、舵角、動作しているウィンカー等の運転者による操作状態に関する車両情報を取得する。車両情報取得回路16は、取得した車両情報を処理部17に供給する。
【0017】
処理部17は、GPS処理部11によって算出された現在位置情報に基づいて、対応する地図データや道路データ等、車両のナビゲーションに必要となる各種情報を、ハードディスク装置13から読み出したり、通信回路15を介して情報センタ装置から無線通信によって取得したりする。また、処理部17は、図示しない操作手段を介してユーザによって入力される目的地と、位置特定部11により取得された現在位置情報とを用いて、現在位置から目的地までの最適な走行経路を演算して、情報提供部18によって提示させ、目的地の近傍領域までの経路案内(ナビゲーション)を行うルートガイダンスを行う。このとき、処理部17は、情報提供部18を制御して、音声によるナビゲーションを行うこともできる。さらに、処理部17は、情報提供部18に表示させる表示画像を生成する。例えば、処理部17は、表示画像としてナビゲーション用の地図を生成し、情報提供部18に表示させる。
【0018】
さらにまた、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、車両が走行する道路付近の歩行者位置(対象地点)について歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を推定する。そして、処理部17は、GPS処理部11によって特定された車両の現在位置情報、タイマ12によって特定された現在時刻情報、車両情報取得回路16によって取得された車両情報、及び、カメラ14若しくは通信回路15によって取得された更新情報と、推定した横断歩道外横断確率とに基づいて、運転者に対する情報提供を行うか否かを判定する。
【0019】
なお、処理部17は、予め推定されてハードディスク装置13に記憶されている横断歩道外横断確率を読み出して、運転者に対する情報提供を行うか否かを判定するようにしてもよい。処理部17は、情報提供を行うものと判定した場合には、必要な情報を生成して情報提供部18を介して提示させる。
【0020】
情報提供部18は、処理部17によって生成された表示画像を表示する表示手段である。情報提供部18は、液晶ディスプレイ等から構成され、例えば車両に搭載されている場合には、主に運転者に視認しやすい位置等、ユーザから視認しやすい位置に設置される。また、情報提供部18の表示パネルは、ユーザが操作可能なタッチパネルとして構成されていてもよい。さらに、情報提供部18は、スピーカ等の音声出力手段としても構成される。かかる音声出力手段としての情報提供部18は、例えば車両に搭載されている場合には、主に運転者の左右両側位置等、ユーザから聴取しやすい位置に設置される。
【0021】
[車載装置の動作]
このような車載装置は、図2に示すような一連の手順にしたがって、信号機の設置状況等の道路状況を示す情報、交差点を構成するノード及びリンクや交差点形状等の交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。道路状況を示す情報、交差点情報、交通量情報は、予めハードディスク装置13に記憶されているものとする。
【0022】
道路状況を示す情報とは、歩行者が道路を横断しようとする場合に影響を与える設置物の情報である。例えば道路状況を示す情報としては、交差点付近に設けられた信号機の有無、設置数及び設置位置、交差点付近に描かれた横断歩道の有無及び設置位置、歩道橋の有無などが含まれる。
【0023】
交差点情報は、交差点を構成する道路のリンク情報(道路の幅員)、接続状態(十字路、T字路)を示す情報、脇道を示すリンク情報の交差点に対する接続状況を含む。交差点間における交通量は、交差点を構成するリンクにおける平均的な車両の交通量を示す。
【0024】
これらの道路状況を示す情報、交差点情報、交通量情報は、予めハードディスク装置13に記憶された地図データに含まれる地点に対応して記憶されている。したがって、処理部17は、歩行者の現在位置情報を取得することによって、当該現在位置情報付近の交差点についての道路状況を示す情報、交差点情報、交通量を取得することができる。ここで、歩行者の現在位置に複数の交差点が存在する場合には、処理部17は、複数の交差点に関する情報を取得することとなる。
【0025】
なお、以下の説明では、図3に示す地点Aにおける横断歩道外横断確率を推定する場合を想定して説明するが、この推定手法は、道路上の任意の地点に対して適用することができるものである。
【0026】
なお、図2中ステップS1乃至ステップS7の処理は、それぞれ、横断歩道外横断確率を推定する処理であるが、互いに独立した処理である。そのため、処理部17は、これらステップS1乃至ステップS7の処理を個別に実行することにより、横断歩道外横断確率を推定することができる。ただし、処理部17は、少なくともステップS1又はステップS7のいずれか一方の処理を実行する必要がある。また、処理部17は、各ステップにおいて得られる結果を組み合わせることにより、より正確に横断歩道外横断確率の推定を行うこともできる。なお、ここでは、ステップS1乃至ステップS7の全ての処理を行うものとして説明するが、これらステップの実行順序は任意であり、また、実行するステップの組み合わせも任意である。
【0027】
まず、車載装置は、図2に示すように、ステップS1において、処理部17によって、対象地点A付近における歩行者の道路横断が許可されている地点(横断許可地点)からの距離に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。この歩行者の道路横断が許可されている地点(横断許可地点)は、例えば法律上で歩行者の許可が設定されている地点である。なお、「法律上歩行者の道路横断が許可されている地点」とは、横断歩道、歩道橋、横断地下通路等を意味する。この場合、処理部17は、図3に示す車両が走行する道路付近の歩行者位置(対象地点A)と、対象地点Aから最も近くに存在する法律上歩行者の横断が許可されている地点A’との間の距離lに基づいて、横断歩道外横断確率k1を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、対象地点Aと、この対象地点Aから最も近くに存在する横断歩道(A’点)との間の距離lを計測する。そして、処理部17は、距離lに所定値e1を乗算し、横断歩道外横断確率k1を算出する。ここで、所定値e1は、横断歩道からの距離と歩行者が横断歩道外横断をする確率との関係を実験的に評価した結果から導出される値であり、予めハードディスク装置13などに記憶されている。
【0028】
続いて、処理部17は、ステップS2において、対象地点A付近の道路の幅員に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。この場合、処理部17は、図3に示す対象地点Aにおける道路幅dに基づいて、横断歩道外横断確率k2を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、道路幅dを取得する。そして、処理部17は、道路幅dに所定値e2を乗算し、横断歩道外横断確率k2を算出する。ここで、所定値e2は、道路幅と歩行者が横断歩道外横断をする確率との関係を実験的に評価した結果から導出される値であり、予めハードディスク装置13などに記憶されている。
【0029】
続いて、処理部17は、ステップS3において、対象地点A付近における横断許可地点の種類に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。なお、種類とは、横断歩道、横断歩道橋、横断地下道路等の種類を意味する。この場合、処理部17は、図3に示す対象地点Aから最も近くに存在する歩行者の横断が許可されている地点の種類に基づいて、横断歩道外横断確率k3を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、対象地点Aから最も近くに存在する歩行者の横断が許可されている地点A’の種類が横断歩道である旨を特定する。そして、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている下記の表1を内容とするテーブルを参照し、特定した種類に基づいて、横断歩道外横断確率k3を推定する。ここで、横断歩道外横断確率k3は、種類が横断歩道である場合を基準とした確率A31である。
【表1】

【0030】
続いて、処理部17は、ステップS4において、対象地点A付近の法律上横断許可地点A’の信号機設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。ここで、信号機設置状況とは、車両用信号機と歩行者用信号機との設置状況を意味する。この場合、処理部17は、図3に示す対象地点Aから最も近くに存在する法律上歩行者の横断が許可されている地点A’の信号機設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率k4を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、対象地点Aから最も近くに存在する法律上歩行者の横断が許可されている地点A’の信号機設置状況が、車両用信号機のみが設置されている旨を特定する。そして、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている下記の表2を内容とするテーブルを参照し、特定した信号機設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率k4を推定する。ここで、横断歩道外横断確率k4は、車両用信号機のみが設置されている場合を基準とした確率A42である。
【表2】

【0031】
続いて、処理部17は、ステップS5において、対象地点A付近の歩行者の横断を妨げるような法律上歩行者の道路横断が許可されていない道路構造物の設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、対象地点Aの歩行者の横断を妨げる道路構造物として、中央分離帯柵と縁石とが設置されている旨を特定する。そして、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている下記の表3を内容とするテーブルを参照し、特定した道路構造物の設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率k5を推定する。ここで、横断歩道外横断確率k5は、歩行者の横断を妨げる道路構造物として、中央分離帯柵と縁石とが設置されている場合を基準とした確率A513である。
【表3】

【0032】
続いて、処理部17は、ステップS6において、対象地点A付近の脇道の接続状況に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。この場合、処理部17は、図3に示す対象地点Aの脇道の接続状況に基づいて、横断歩道外横断確率k6を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、対象地点Aの脇道の接続状況が、脇道接続なしである旨を特定する。そして、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている下記の表4を内容とするテーブルを参照し、特定した脇道の接続状況に基づいて、横断歩道外横断確率k6を推定する。ここで、横断歩道外横断確率k6は、脇道の接続状況が、脇道接続なしである場合を基準とした確率A63である。
【表4】

【0033】
続いて、処理部17は、ステップS7において、対象地点A付近における交差点間における交通量の逆数(1/交通量)に基づいて、横断歩道外横断確率を推定する。この場合、処理部17は、図3に示す対象地点Aの交通量の逆数に基づいて、横断歩道外横断確率k7を推定する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている車両の通行状態に関する情報に基づいて、対象地点Aの交通量を特定する。そして、処理部17は、交通量の逆数に所定値e7を乗算し、横断歩道外横断確率k7を算出する。ここで、所定値e7は、交通量の逆数と歩行者が横断歩道外横断をする確率との関係を実験的に評価した結果から導出される値であり、予めハードディスク装置13などに記憶されている。
【0034】
そして、処理部17は、ステップS8において、次式(1)に示すように、ステップS1乃至ステップS7にて推定した横断歩道外横断確率を集計し、地点Aにおける横断歩道外横断確率Kを算出し、一連の処理を終了する。
【数1】

【0035】
車載装置は、このような一連の手順にしたがって、横断歩道外横断確率を推定することができる。
【0036】
なお、車載装置は、このような一連の手順に代えて、図4に示すような一連の手順にしたがって、横断歩道外横断確率を推定することもできる。ここでは、歩行者が図5に示す対象地点Aから対向地点B1に移動する場合における横断歩道外横断確率を推定するものとして説明する。
【0037】
まず、車載装置は、図4に示すように、ステップS11において、処理部17によって、図5に示す対象地点Aから対向地点B1までのルートについて、図中において対象地点Aの右側にある横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率を算出する。具体的には、処理部17は、ハードディスク装置13に記憶されている地図情報に基づいて、横断歩道Rが描かれた道路脇に設置されている信号機の青色継続時間Tbを特定する。そして処理部17は、この青色継続時間Tbに基づいて、当該横断歩道Rが横断可能となるまで待機する平均時間Twrを算出する。
【0038】
横断歩道Rが横断可能となるまで待機する平均時間Twrは、次式(2)によって算出される。ここで、次式(2)によって平均時間Twrが算出可能である理由は、図6を用いて説明できるように、以下の2つの理由による。第1には、横断歩道Rがある道路に設置されている信号機が青色である青色継続時間Tbの間は、歩行者は横断することができないことによる。第2には、算出する平均時間Twrは、横断歩道Rが横断可能となるまで待機する時間を平均した値であることによる。なお、処理部17は、横断歩道Rがある道路に設置されている信号機の青色継続時間Tbの値を得ることができない場合には、横断歩道Rがある交差点に交差している道路の幅員や種別等に基づいて、青色継続時間Tbを推定するようにしてもよい。
【数2】

【0039】
また、処理部17は、対象地点Aから対向地点B1に横断歩道外横断をする場合に、横断歩道外横断可能となるまで待機する平均時間Twiを算出する。これについて具体的に説明するために、単位時間あたりの片側交通量をQとして1時間に亘って求めた10秒あたりの交通量(車両通行台数)が得られた場合を例とする。この場合、処理部17は、図7に示すように、横軸を、通過時間間隔(10秒/10秒あたりの車両通行台数)とし、縦軸を、各通過時間間隔を持つデータの割合としたグラフを作成する。続いて、処理部17は、作成したグラフについて、図7中斜線部に示すように、対象地点Aから対向地点B1に横断歩道外横断をするのに要する平均時間Tciに所定のマージンαを乗じた値に基づいて、通過時間間隔の値が小さくなるデータの割合合計を算出する。なお、処理部17は、かかるグラフを用いることなく図7中斜線部に相当する割合合計を算出することができる場合には、グラフを作成しなくてもよい。そして、処理部17は、図7中斜線部に示す割合合計と、1時間の総通行台数とに基づいて、次式(3)に示すように、横断歩道外横断可能となるまで待機する平均時間Twiを算出する。
【数3】

【0040】
最後に、処理部17は、算出した平均時間Twr,Twiに基づいて、地点Aから地点B1までのルートについて、横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PRbを推定する。この推定は、次式(4)に示す判定式によって行われる。すなわち、処理部17は、図8に示すように、横断歩道Rを横断して対象地点Aから対向地点B1に到達するルートR1を通るのに要する平均時間Trと、横断歩道Rを横断せずに対象地点Aから対向地点B1に到達するルートR2を通るのに要する平均時間Tiとの差分Tr−Tiが、横断歩道外横断をすることによる移動短縮期待時間T3以上である場合に、横断歩道外横断確率を「高」として推定する。一方、差分Tr−Tiが移動短縮期待時間T3未満である場合に、横断歩道外横断確率を「低」として推定する。なお、次式(4)において、時間Tprは、対象地点Aから横断歩道Rに移動するのに要する平均時間であり、時間Tcrは、横断歩道Rを横断するのに要する平均時間であり、Lpは、対象地点Aから横断歩道Rまでの距離であり、Lcは、対象地点Aから対向地点B1までの距離であり、Vprは、対象地点A、対向地点B1から横断歩道Rまでの歩道を歩行する際の平均速度であり、Vcrは、横断歩道Rを横断する際の平均速度(4km/h程度)であり、Vciは、横断歩道外横断をする際の平均速度(4km/h〜8km/h程度)である。
【0041】
【数4】

これにより、処理部17は、対象地点Aから対向地点B1までのルートについて、横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PRbを算出することができる。
【0042】
続いて、処理部17は、図4中ステップS12において、ステップS11にて推定した横断歩道外横断確率PRbに基づいて、図9に示すように、横断歩道Rよりも左側の対向地点B1を横断歩道Rよりも右側の地点B2に変えた場合における、横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率を算出する。
【0043】
対象地点Aにおける横断歩道外横断確率は、歩行者の目的地が対向地点B1であるか地点B2であるかによって異なる。ここで、無作為に抽出した歩行者を想定した場合において、歩行者が対向地点B1に横断するか地点B2に横断するかは、等確率である。
【0044】
そこで、処理部17は、各場合における横断歩道外横断確率PRb,PRb2を推定し、これらを統合することにより、歩行者の行き先が地点B1であるか地点B2であるかを問わない横断歩道外横断確率PRを推定することができる。具体的には、処理部17は、対象地点Aから地点B2までのルートについて、横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PRb2を推定するために、次式(5)に示す判定式を用いる。
【数5】

【0045】
処理部17は、上記判定式を用いて、対象地点Aから地点B2まで移動するルートについて、横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PRb2を推定する。そして、処理部17は、式(4)、式(5)を用いて横断歩道外横断確率PRb,PRb2を推定すると、図4中ステップS13において、これら横断歩道外横断確率PRb,PRb2を統合し、対象地点Aから横断歩道Rを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PRを算出する。具体的には、処理部17は、次表5に示すように、「高」、「中」、「低」の3段階に横断歩道外横断確率PRを推定する。また、次表6、図10に示すように、対象地点Aの位置を変化させ、すなわち、対象地点Aから横断歩道Rまでの距離Lpを変化させ、次表5にしたがって横断歩道外横断確率PRを算出した例を示す。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
処理部17は、このようにして、対象地点Aの右側にある横断歩道Rに地点B2ついての横断歩道外横断確率PRを推定することができる。
【0049】
また、対象地点Aには、その両側に横断歩道R,Lがあり、それぞれに対する横断歩道外横断確率は、歩行者が横断歩道Rを横断するか横断歩道Lを横断するかによって異なる。
【0050】
そこで、処理部17は、各場合における横断歩道外横断確率PR,PLを推定し、これらを統合することにより、歩行者が横断歩道Rを横断するか横断歩道Lを横断するかを問わない横断歩道外横断確率Pを推定することができる。
【0051】
すなわち、処理部17は、図4中ステップS14において、ステップS11と同様にして、対象地点Aから対向地点B1までのルートについて、対象地点Aの左側にある横断歩道Lを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PLbを算出する。
【0052】
続いて、処理部17は、ステップS15において、ステップS12と同様にして、図11に示すように、横断歩道Lよりも右側の対向地点B1を横断歩道Lよりも左側の地点B3に変えた場合における、横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PLb2を算出する。
【0053】
そして、処理部17は、ステップS16において、ステップS13と同様にして、横断歩道外横断確率PLb,PLb2を統合し、対象地点Aから横断歩道Lを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率PLを算出する。この場合にも、処理部17は、「高」、「中」、「低」の3段階に横断歩道外横断確率PLを推定する。
【0054】
処理部17は、このようにして横断歩道外横断確率PR,PLを推定すると、ステップS17において、これら横断歩道外横断確率PR,PLを統合し、対象地点Aから2つの横断歩道R,Lを横断せずに横断歩道外横断をする横断歩道外横断確率Pを算出する。具体的には、処理部17は、次表7に示すように、「高」、「中」、「低」の3段階に横断歩道外横断確率Pを推定する。また、次表8、図12に示すように、対象地点Aの位置を変化させ、すなわち、対象地点Aから横断歩道Rまでの距離Lpを変化させ、次表7にしたがって横断歩道外横断確率Pを算出した例を示す。
【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
車載装置は、このような一連の手順にしたがって、横断歩道外横断確率を推定することができる。
【0058】
車載装置は、以上のようにして推定される横断歩道外横断確率に基づいて、運転者に対する情報提供を行うか否かを判定する。この情報提供実行判定処理は、定期的に実行されるものである。この判定手法としては、自車両位置の前方の判定対象地点における横断歩道外横断確率を、定期的な情報提供実行判定処理を行う度に推定し、その横断歩道外横断確率に基づいて情報提供実行判定処理を行う手法と、予め推定されてハードディスク装置13に記憶されている横断歩道外横断確率に基づいて情報提供実行判定処理を行う手法とがある。
【0059】
まず、前者の手法について説明する。この場合、車載装置は、図13に示すような一連の手順にしたがって、運転者に対する情報提供を行うか否かを判定する。
【0060】
車載装置は、図13に示すように、ステップS21において、処理部17の制御に従って、GPS処理部11によって車両の現在位置を特定する。
【0061】
次のステップS22において、車載装置は、車両情報取得回路16によって車両についての車両情報を取得する。
【0062】
続いて、処理部17は、ステップS23において、ステップS21にて取得した現在位置情報と、ステップS22にて取得した車両情報と、予め設定された情報提供タイミングとに基づいて、情報提供を行うかを判定する対象地点及び範囲を特定する。なお、情報提供タイミングは、横断歩道外横断確率が高い地点若しくは横断歩道外横断確率が高い部分を含む道路上の部分に至るまでの時間又は距離によって規定される。
【0063】
続いて、処理部17は、ステップS24において、先に図2又は図4に示した一連の手順にしたがって、ステップS23にて特定した地点及び範囲についての横断歩道外横断確率を推定する。
【0064】
そして、処理部17は、ステップS25において、ステップS24にて推定した横断歩道外横断確率と、所定の情報提供実行閾値とを比較する。なお、情報提供実行閾値は、車両情報取得回路16によって取得される車両の移動状態や車両周囲の外的環境に基づいて変化するものである。例えば、処理部17は、車両がライトを点灯していて夜間であると判別されるような車両情報が得られた場合には、情報提供を行うと判定するように情報提供実行閾値を変更する。これにより、車載装置は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上である場合に情報提供を実行する設定となっている場合には、情報提供実行閾値を小さくすることによって、昼間よりも夜間の方が情報提供を実行しやすくする。
【0065】
ここで、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値未満であった場合には、情報提供を実行せずにそのまま一連の処理を終了する。
【0066】
一方、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上であった場合には、ステップS26へと処理を移行する。そして、ステップS26において、処理部17は、情報提供部18によって、車両の運転者に対して視覚的情報及び/又は聴覚的情報による情報提供を行わせる。例えば、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上であってその段階が「高」であった場合には、「進行方向に歩行者が飛び出してくる可能性が高いです。注意してください。」といった視覚的情報及び/又は聴覚的情報によるメッセージを出力させる。この場合、処理部17は、運転者の注意を強く喚起するために、メッセージを繰り返し出力させたり、繰り返す度に音量を大きくして出力させたりするのが望ましい。また、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上であってその段階が「中」であった場合には、「進行方向に歩行者が横切る可能性があります。注意してください。」といった視覚的情報及び/又は聴覚的情報によるメッセージを出力させる。さらに、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上であってその段階が「低」であった場合には、「進行方向に歩行者が存在します。注意してください。」といった視覚的情報及び/又は聴覚的情報によるメッセージを出力させる。
【0067】
車載装置は、このような一連の手順にしたがって、自車両位置の前方の判定対象地点における横断歩道外横断確率を、定期的な情報提供実行判定処理を行う度に推定し、その横断歩道外横断確率に基づいて情報提供実行判定処理を行うことができる。
【0068】
また、車載装置は、予め推定されてハードディスク装置13に記憶されている横断歩道外横断確率に基づいて情報提供実行判定処理を行う場合には、図14に示すような一連の手順にしたがって、処理部17の制御に従って、運転者に対する情報提供を行うか否かを判定する。
【0069】
まず、車載装置は、図14に示すように、ステップS31において、処理部17の制御に従って、GPS処理部11によって車両の現在位置を特定する。
【0070】
次のステップS32において、処理部17は、車両情報取得回路16によって車両についての車両情報を取得する。
【0071】
続いて、処理部17は、ステップS33において、ステップS31にて取得した現在位置情報と、ステップS32にて取得した車両情報と、上述した情報提供タイミングとに基づいて、判定対象地点及び範囲を特定する。
【0072】
続いて、処理部17は、ステップS34において、予め推定されてハードディスク装置13に記憶されている横断歩道外横断確率のうち、ステップS33にて特定した地点及び範囲についての横断歩道外横断確率を参照する。
【0073】
そして、処理部17は、ステップS35において、ステップS34にて参照した横断歩道外横断確率と、上述した所定の情報提供実行閾値とを比較する。
【0074】
ここで、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値未満であった場合には、情報提供を実行せずにそのまま一連の処理を終了する。一方、処理部17は、横断歩道外横断確率が情報提供実行閾値以上であった場合には、ステップS36へと処理を移行し、情報提供部18を介して、車両の運転者に対して視覚的情報及び/又は聴覚的情報による情報提供を行う。
【0075】
車載装置は、このような一連の手順にしたがって、予め推定されてハードディスク装置13に記憶されている横断歩道外横断確率に基づいて情報提供実行判定処理を行うことができる。
【0076】
なお、車載装置は、通信回路15を介して、実際に歩行者が保有する携帯端末装置から当該歩行者の位置情報を受信して取得し、取得した位置情報を基点として、横断歩道外横断確率の推定及び情報提供実行の判定を行うことにより、極めて高精度な情報提供システムを構築することができる。
【0077】
また、このような車載装置と携帯端末装置との間で行われる通信は、車両の近傍に存在する歩行者の位置情報を取得可能なように直接通信を利用することができるが、歩行者と車両との間の距離が直接通信では通信不可能な程度にまで離れている場合には、広域通信網を介した無線通信を介して、所定の情報センタ装置と歩行者が保有する携帯端末装置との間で通信を行うことによって当該歩行者の位置情報を情報センタ装置が収集し、さらに、情報センタ装置と車載装置との間で通信を行うことにより、情報センタ装置経由で歩行者の位置情報を取得することができる。したがって、車載装置は、歩行者と車両との間の距離が直接通信では通信不可能な程度にまで離れている場合であっても、情報センタ装置経由で歩行者の位置情報を取得し、取得した位置情報を基点として、横断歩道外横断確率の推定及び情報提供実行の判定を行うことにより、極めて高精度に横断歩道外横断確率の推定及び情報提供実行の判定を行うことができる。
【0078】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した車載装置は、移動体である車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、対象地点について歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を算出し、算出した横断歩道外横断確率に基づいて、情報提供部18を介して、車両の乗員に対して情報提供を行う。
【0079】
これにより、この車載装置によれば、歩行者が横断歩道以外を横断する確率を算出することができるため、この確率に基づいて、情報提供を行うタイミングを規定することができる。したがって、この車載装置によれば、例えば事故多発地点として登録されていない地点であっても、潜在的な横断歩道外横断中の歩行者との事故の可能性が高い地点等、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性がある場合にも適切に情報提供を行うことができ、乗員に十分な注意を促すことができる。
【0080】
また、この車載装置によれば、対象地点と、当該対象地点の近くに存在する横断許可地点との間の距離に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0081】
さらに、この車載装置によれば、対象地点の近くに存在する横断許可地点の種類に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもでき、これにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0082】
さらにまた、この車載装置によれば、対象地点の近くに存在する横断許可地点の信号機設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもでき、これにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0083】
また、この車載装置によれば、対象地点の近くに存在する歩行者の道路横断が許可されていない道路構造物の設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもできる。具体的には、この車載装置によれば、歩行者の横断を妨げる道路構造物の設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0084】
さらに、この車載装置によれば、対象地点がある道路の幅員に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもでき、これにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0085】
さらにまた、この車載装置によれば、対象地点についての脇道の接続状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもでき、これにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0086】
また、この車載装置によれば、車両の通行状態に関する情報に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することもでき、これにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0087】
さらに、この車載装置によれば、交通量に基づいて横断歩道外横断確率を算出する場合には、交通量の逆数を利用することにより、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0088】
さらにまた、この車載装置によれば、対象地点の近くに横断許可地点が複数ある場合には、各地点について算出した横断歩道外横断確率を統合した一の横断歩道外横断確率を算出することにより、歩行者がいずれの地点を横断するかを問わず、交差点間において横断歩道以外を横断しようとする歩行者が存在する可能性を適切に推定することができる。
【0089】
また、この車載装置によれば、横断歩道外横断確率を複数段階にわけて算出し、情報提供部18を介して、段階毎に異なる情報を車両の乗員に対して提供することにより、状況に応じた適切な注意を乗員に促すことができる。
【0090】
さらに、この車載装置によれば、歩行者が保有する携帯端末装置から当該歩行者の位置情報を受信して取得し、処理部17の制御に従って、取得した位置情報をさらに加味して、横断歩道外横断確率を算出することにより、極めて高精度に横断歩道外横断確率の推定を行い、適切な情報提供を行うことができる。
【0091】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0092】
11 位置特定部
11 GPS処理部
12 タイマ
13 ハードディスク装置
14 カメラ
15 通信回路
16 車両情報取得回路
17 処理部
18 情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置から当該歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を算出する確率算出手段と、
前記確率算出手段によって算出された横断歩道外横断確率に基づいて、前記車両の乗員に対して情報提供を行う情報提供手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置と、当該歩行者位置の近くに存在する歩行者の道路横断が許可されている地点との間の距離に基づいて、前記横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置の近くに存在する歩行者の道路横断が許可されている地点の種類に基づいて、前記横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置の近くに存在する歩行者の道路横断が許可されている地点の信号機設置状況に基づいて、前記横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置の近くに存在する歩行者の道路横断が許可されていない道路構造物の設置状況に基づいて、前記横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記確率算出手段は、歩行者の横断を妨げる前記道路構造物の設置状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置近傍の道路幅員に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置における脇道の接続状況に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項9】
前記確率算出手段は、前記車両の通行状態に関する情報に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項10】
前記確率算出手段は、前記交通量の逆数に基づいて、横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項11】
前記確率算出手段は、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置の近くに歩行者の道路横断が許可されている地点が複数ある場合には、各地点について算出した横断歩道外横断確率を統合した一の横断歩道外横断確率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項10のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項12】
前記確率算出手段は、横断歩道外横断確率を複数段階にわけて算出し、
前記情報提供手段は、段階毎に異なる情報を前記車両の乗員に対して提供すること
を特徴とする請求項1乃至請求項11のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項13】
歩行者が保有する携帯端末装置から当該歩行者の位置情報を受信して取得する通信手段を備え、
前記確率算出手段は、前記通信手段を介して取得した位置情報をさらに加味して、横断歩道外横断確率を算出すること
を特徴とする請求項1乃至請求項12のうちの何れか一項に記載の車載装置。
【請求項14】
車両の乗員に情報を提供する情報提供方法において、
前記車両が走行する道路状況を示す情報、交差点情報、及び交差点間における交通量に基づいて、前記車両が走行する道路付近の歩行者位置について歩行者が横断歩道以外を横断する確率を示す横断歩道外横断確率を算出し、当該横断歩道外横断確率に基づいて、前記車両の乗員に対して情報提供を行うことを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−170390(P2010−170390A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13060(P2009−13060)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】