説明

車載装置

【課題】判断の回避を行うことが非常に難しい車載装置を提供する。
【解決手段】本発明の車載装置は、ナビゲーションシステムなどの車両に搭載される車載装置の操作者を判定するための操作者判定システムを備えるものであり、該車両装置周辺の画像を撮影し画像データとして出力する撮像装置200と、この撮像装置200によって取得された画像データに基づいて該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向を解析する画像解析手段(CPU110など)と、画像解析手段(CPU110など)によって解析された該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う操作者判定手段(CPU110など)とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムなどの車両に搭載される車載装置に係り、特に操作者を判定する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムなどの車両に搭載される車載装置は運転中に操作をするためには、視線を前方の道路から離して装置を見なくてはならないので、車両走行中にはこの操作を禁止するように設定されることが一般的である。しかしながら、車両が走行中であるか否かに基づいて、装置の操作許可・不許可を判定すると、助手席に座っているドライバー以外の人による操作も装置が受け付けないこととなり、使い勝手が悪いものとなってしまう。
【0003】
そこで、車載装置の操作を行おうとしている人が、ドライバーであるのか、ドライバー以外の人であるのかを判定する操作者判別装置が提案されている。例えば、特許文献1(特開2004−67031号公報)には、運転者席および非運転者席から操作可能な位置にある操作部と、前記運転者席および非運転者席から前記操作部へ伸ばされた乗員の手を共に視野に入れて、前記操作部から前記運転者席と非運転者席とを含む座席側手前の所定範囲を撮影可能に設置された撮影手段と、該撮影手段による画像データを処理して、前記操作部へ手を伸ばした操作者が運転者であるか非運転者であるかを判別する画像処理部を有することを特徴とする操作者判別装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−67031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の操作者判別装置においては、中央の基準線の右側領域に手の画像が存在するか、左側領域に手の画像が存在するかに応じた判定基準となっている。従って、ドライバーが操作者判別装置の判断を回避しようとすれば、逆の領域(左側領域)から手を伸ばすことによって、操作者判別装置の判断を回避することができてしまう、という問題がある。また、操作者判別装置の判断を回避するためのこのような行為を走行中ドライバーが行えば非常に危険な状態となってしまうことは言うまでもない。すなわち、この種の操作者判別装置においては、簡単に判断を回避できるような構成することは、判別装置の判断を回避する者がでてきてしまう結果となり、逆に危険な状態を作り上げてしまう、という問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載される車載装置であって、該車載装置周辺の画像を撮影し画像データとして出力する撮像手段と、該撮像手段によって取得された画像データに基づいて該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向を解析する画像解析手段と、該画像解析手段によって解析された該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う操作者判定手段とからなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車載装置であって、前記操作者判定手段が操作者の腕がドライバー席方向から伸びていると判定した時、車載装置の操作を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車載装置によれば、車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う構成となっているので、操作者がドライバーか否かを確実に判定することができる。また、本発明の車載装置は、回避を行うことが非常に難しくなっているので、当該判断を回避しようとする者の出現を抑制することができる、という副次的な効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車載装置のブロック構成の概略を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る車載装置が搭載された車両の運転席を模式的に示す図である。図1及び図2において、100はシステムバス、110はCPU、120はメモリ、130は外部記憶装置、140は車両状態情報取得部、150はビデオ入力インターフェイス、160はビデオ出力インターフェイス、170は周辺機器インターフェイス、200は撮像装置、300はディスプレイ、400はタッチパネル、500はステアリングをそれぞれ示している。
【0009】
操作者を判定するシステムの構成は、ナビゲーションシステムなどの車両に搭載される車載装置の構成を一部流用するものである。CPU110は中央演算装置であり、システムバス100はCPU110はとその他の構成間のデータ転送を行う主要伝達路である。メモリ120は、ROMなどの不揮発性の記憶手段、RAMなどの書き換え可能な記憶手段、また高速で書き換え可能なVRAMなどからなり、ROMにはハードウエアの最も基本的な制御を行うためのプログラムを記憶させて、RAMはCPU110の主メモリ、ワークエリア等として運用し、VRAMにはディスプレイ300に表示するための画像を展開する。
【0010】
外部記憶装置130は、ハードディスクなどの大容量記憶手段であり、ナビゲーションシステムなどの車載装置や本発明の操作者を判定するシステムの制御プログラムを動作させるための基本オペレーティングシステムプログラム(以下OS)及びこの基本オペレーティングシステムプログラム上で動作するその他のプログラム等が記憶されている。
【0011】
車両状態情報取得部140は、車両に搭載される各種のセンサ類(不図示)の情報を取得するものである。このような車両に搭載される各種のセンサ類には、例えば、車速センサやジャイロなどがある。この車両状態情報取得部140を用いて、本発明の車載装置では特に車両が走行しているか否かの情報を参照する。車両が走行しているか否かを検知するためには、例えばパーキングブレーキに連動した信号を取得することなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
ビデオ入力インターフェイス150は撮像装置200からの画像入力をCPU110などが扱い得るような信号に変換し、ビデオ出力インターフェイス160は、メモリ120のVRAM上に展開された画像データをディスプレイ300に表示可能な信号に変換する。また、周辺機器インターフェイス170は、タッチパネル400からの信号をCPU110などが扱い得るような信号に変換するものである。
【0013】
撮像装置200は、例えば運転席の図2に示すように位置に搭載され、ディスプレイ300、タッチパネル400の周辺の画像を撮影する。本発明の車載装置は、この撮像装置200により撮影された画像情報を元に判定を行うものであり、撮像装置200で取得された画像は、CPU110がメモリ120などと協働することによって画像解析される。
【0014】
ディスプレイ300は、ナビゲーションシステムなどの車載装置からの出力情報を表示するものであり、タッチパネル400は、ナビゲーションシステムなどの車載装置の設定等をユーザーが行う際に用いられる入力手段である。
【0015】
本実施形態においては、図2に示すようにステアリング500が、運転席の右側に位置する、いわゆる右ハンドルの例に基づいて説明するが、本発明は左ハンドルの車両にも適用することができる。
【0016】
次に撮像装置200で撮影される画像データのイメージについて図3を参照して説明する。図3(A)はナビゲーションシステムなどの車載装置を操作している状態を示す図であり、図3(B)はそのときに撮像装置200で撮影される画像データのイメージを示す図である。
【0017】
右ハンドルの車両を仮定すると、車載装置の操作をドライバーが行う際には、図3(A)に示すように、操作者の腕は右側から伸びてくる。逆に、車載装置の操作をドライバー以外の助手席に乗車している者が行う際には、操作者の腕は左側から伸びてくる。本発明の車載装置は、車載装置の周辺の画像を撮像装置200で撮影し、車載装置の操作を行うために伸びてくる腕の方向を画像解析技術によって判定することによって、操作者の判定を行う。図3(B)は、操作者の腕は右側から伸びてくるときに、撮像装置200で撮影される画像データのイメージを示す図である。なお、以上のような画像解析のためには、例えば特開2005−99897号公報などに開示された技術を用いることができる。また、左ハンドルの車両に本発明の車載装置を適用する場合には、左右を逆に考えればよいことは言うまでもない。
【0018】
このように本発明によれば、車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う構成となっているので、操作者を判定するシステムの判断の回避を行うことが非常に難しくすることができる。
【0019】
次に、図4乃至図6を参照しつつ、本発明の車載装置における制御について説明する。なお、以下の制御はCPU110がメモリ120や、外部記憶装置130などのその他の構成と協働することによって実現されるものである。図4は本発明の操作者を判定するシステムの起動処理に関連するフローチャートを示す図である。
【0020】
図4において、ナビゲーションシステムなどの車載装置などの起動に伴い、ステップS100で操作者判定システムの運転処理が開始されると、次にステップS101へと進み、本発明の操作者判定システムが起動される。ステップS102においては、タッチパネル400からの入力があるかどうか判定される。ステップS102でNOと判定されると、ステップS102をループする。テップS102でYESであると判定されると、続いてステップS103の入力受付判定処理サブルーチンに進む。
【0021】
ステップS104においては車載装置終了の入力を受け付けたかどうかが判定される。ステップS104の判定の結果がNOであれば、ステップS102に戻る。ステップS104の判定の結果がYESであれば、続いてステップS105に進み、本発明の操作者判定システムのシャットダウンを行い、ステップS106で処理を終了する。
【0022】
図5は、入力受付判定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。ステップS200において、入力受付判定処理サブルーチンが開始されると、ステップS201において、車両状態情報取得部140の情報に基づいて車両が走行中であるか否かが判定される。ステップS201においてNOであると判定されると、続いてステップS202に進む。この場合、車両は停車状態であるので、ステップS202においては、入力受付可として、車載装置の操作を許可する。ステップS203では当該操作に基づく画面更新などを行い、ステップS205でリターンする。
【0023】
ステップS201における判定の結果がYESである場合には、続いてステップS204の操作者判定処理サブルーチンへと進む。
【0024】
図6は操作者判定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。ステップS300で操作者判定処理サブルーチンが開始されると、ステップS301において、撮像装置200で取得された画像が解析されて、車載装置の操作を行うために伸びてくる腕の方向が解析される。
【0025】
次に、ステップS302では、画像解析の結果、画像データの腕はドライバー席から伸びた腕であるのか否かが判定される。ステップS302の判定の結果がNOであれば、ステップS303に進む。ステップS303では、操作者は助手席の乗車者であるとして、ステップS304では、入力受付可として、車載装置の操作を許可する。ステップS205では当該操作に基づく画面更新などを行い、ステップS308でリターンする。
【0026】
ステップS302における判定の結果がYESであると、続いてステップS306に進む。ステップS306では、操作者がドライバーでることが判るので、ステップS307において、入力受付不可として、車載装置の操作を禁止する。ステップS308ではリターンする。
【0027】
なお上記の実施形態では腕の伸びている方向に基づいてドライバーか否かを判定したが、図7に示すように撮像装置200により腕が伸びてくる軌跡を取得し、該軌跡に基づいて腕の伸びてくる方向を判定するようにしてもよい。図7(A)はナビゲーションシステムなどの車載装置を操作している状態を示す図であり、図7(B)はそのときに撮像装置200で撮影される画像データのイメージを示す図である。
【0028】
以上、本発明の車載装置によれば、車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う構成となっているので、操作者がドライバーであるのか否かを確実に判定することができる。また、本発明の操作者判定は、回避を行うことが非常に難しくなっているので、当該判断を回避しようとする者の出現を抑制することができる、という副次的な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車載装置が搭載された車両の運転席を模式的に示す図である。
【図3】(A)はナビゲーションシステムなどの車載装置を操作している状態を示す図であり、(B)はそのときに撮像装置200で撮影される画像データのイメージを示す図である。
【図4】本発明の操作者判定システムの起動処理に関連するフローチャートを示す図である。
【図5】入力受付判定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】操作者判定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】(A)はナビゲーションシステムなどの車載装置を操作している状態を示す図であり、(B)はそのときに撮像装置200で撮影される画像データのイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0030】
100・・・システムバス、110・・・CPU、120・・・メモリ、130・・・外部記憶装置、140・・・車両状態情報取得部、150・・・ビデオ入力インターフェイス、160・・・ビデオ出力インターフェイス、170・・・周辺機器インターフェイス、200・・・撮像装置、300・・・ディスプレイ、400・・・タッチパネル、500・・・ステアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
該車載装置周辺の画像を撮影し画像データとして出力する撮像手段と、
該撮像手段によって取得された画像データに基づいて該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向を解析する画像解析手段と、
該画像解析手段によって解析された該車載装置の操作者の腕が伸びてくる方向に応じて操作者の判定を行う操作者判定手段とからなることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記操作者判定手段が操作者の腕がドライバー席方向から伸びていると判定した時、車載装置の操作を制限することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−221959(P2008−221959A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61283(P2007−61283)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】