説明

軌道用距離画像取得システム

【課題】車両の床下に配置され、レール締結装置や継目板や軌道パッドなど軌道近傍の装置の異常を検査するために使用する画像情報を走行中に取得して、異常の判定を的確に行える、軌道用距離画像取得システムを提供する。
【解決手段】レール踏面24に対する垂直面内に設置されて、レーザスリット光11をその垂直面内で照射するレーザスリット光源2と、その垂直面に対して角度を持って設置されて、レーザスリット光11による光切断画像を取得する2次元画像撮像装置2と、取得した光切断画像に基づいて2次元画像撮像装置2からの距離に基づく距離画像を生成する画像信号処理装置3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道軌道を走行しながら軌道近傍の距離画像データを収集して、締結装置、継目板、軌道パッドなどの検査を行う距離画像取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道におけるレールは、締結装置や継目板によって正しい位置に固定することにより、運行の安全を確保している。
レールの締結装置は、レール基部の両側から板バネの先端部で押さえ込んでレールを固定する。板バネは、中央部を締結ボルトで枕木上に圧着して押力を確保する。したがって、レール締結ボルトに緩みが生じると板バネの先端部がレール基部から浮き上がり、レールが横ずれを起こしたり、レールの高さを調整するレールパッドが外れたりして、大きな事故に繋がるおそれが生じる。
また、継目板は、レール端の突き合わせ部分の側面に板を当てて、ボルトでレールに固定することによりレールの連続性を確保する。したがって、ボルトが緩むとレールの継ぎ目がずれて車輪にぶつかり異常な振動が発生したり、車輪がレールから外れて大きな事故の原因になったりするおそれがある。
【0003】
このため、締結ボルトや継目板ボルトの緩みを定期的に検査する必要がある。
これらボルトの緩み検査は、通常列車運行が少ない夜間などに作業員が巡回して、目視やハンマ打撃音の観察により行われるため、多数の熟練保守作業員が必要であり、また人力によるため見落とす可能性があった。
そこで、軌道を走行する車両に締結装置や継目板の状態を監視する検査装置を搭載して、異常を検出するようにできれば便利である。また、自動的な検査装置を用いて日頃からレールの状態を把握しておけば、予防保全にも役立つ。また、巡回作業には危険も伴うため、車両上から検査できることが望まれていた。
【0004】
特許文献1には、枕木の位置を判定する軌道画像解析装置が開示されている。特許文献1開示の軌道画像解析装置は、画像センサをレール近傍の締結装置の垂直上方に配置し、画像センサの光学軸に対して5〜35°の輻輳角をもって照明するランプを備えて、陰影を有する鉄道軌道画像を得やすくしている。特許文献1開示の軌道画像解析装置は、軌道確認車の床下に設置されており、高速走行中に撮像装置を作動させて画像信号を取得する。撮像装置の画像出力からエッジと判定される信号の積算値を算定して、エッジ積算値が低い領域を枕木の表面と見なして、枕木の位置を判定する。さらに、各枕木について、締結蔵置の存在すべき位置にエッジが存在するか否かに基づいて、締結装置の異常の有無を判定することができる。
【0005】
また、特許文献2には、軌道確認車などの床下に設置され、走行中に鉄道レール締結ボルトの緩み具合を検査する検査装置が開示されている。特許文献2に開示された検査装置は、締結ボルトの頭に当たるスポットレーザをラインセンサで検知して、三角測量の原理に基づいて締結ボルトの頭の高さを測定することにより、締め込み異常を検出するものである。
軌道確認車は110km/hr程度の高速度運行をするため、車両は上下運動をする上、車両が水平方向に揺れて測定位置が変動することは避けられない。また、レールを抑える板バネには複数の形式があり、板バネの種類が異なれば締結ボルトの位置が変化する。
【0006】
特許文献2記載の発明は、レール頭頂部の高さも測定して、ボルト頭部の高さをレール頭頂部を基準として算定することによって、正確にボルトの緩みを評価する。また、車両の横揺れや締結装置の位置の不整を原因とする検出落ちを防ぐため、複数のスポットレーザ投光器を並べて配置し、少なくとも1個はボルトに照射するようにしている。なお、各スポットレーザ投光器は、発光時間をずらして照射し、三角測量の基準線を正しく特定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−176071号公報
【特許文献2】特開2008−224631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された発明は、3次元情報が得られないこと、また汚れや錆の影響がおおきいこと、などにより自動検査判定が困難であるため、結局、収録画像を目視で判定するために利用されているのが実情である。また、特許文献2に開示された発明は、スポットレーザ投光器がターゲットとする部分の高さだけしか判定できず、また、継目板のボルトのように緩んだときに水平方向に移動するだけで頭の高さが変化しない部材について異常状態の判定ができないという問題がある。また、部品の最高点を高さ情報のみで検出するものであるため、バラストやケーブル外乱などを区別することが困難であった。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両の床下に配置され、レール締結装置や継目板や軌道パッドなど軌道近傍の装置の異常を検査するために使用する画像情報を走行中に取得して、異常の判定を的確に行える、軌道用距離画像取得システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の軌道用距離画像取得システムは、レールの踏面に対する垂直面内に設置されて、レーザスリット光をその垂直面内で照射するレーザスリット光源と、その垂直面に対して角度を持って設置されて、レーザスリット光による光切断画像を取得する2次元画像撮像装置と、取得した光切断画像に基づいて2次元画像撮像装置からの距離に基づく距離画像を生成する画像信号処理装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
レールの周辺部の比較的狭い範囲について光切断画像を取得するために利用できる2次元画像撮像装置には、たとえば市販されている1秒間に10000回以上撮影できるプロファイルカメラなどがある。このようなカメラを使って、レールに沿って僅かな刻みごとに光切断画像を取得し、画像中の光切断線についてカメラからの距離を算定して、平面上に距離を示す画像として配置し直せば、高い密度で距離画像を得ることができる。たとえば、部分部分の高さ距離を濃淡や色彩で表して、色彩画像や濃淡画像として画像表示装置に表示すれば、人にも理解できる距離情報として、対象物品の形状や寸法を判断することができる。なお、走行距離に連動したトリガー信号を用いて一定の距離間隔で撮影をした結果を利用することにより、実物の寸法に対応する距離画像が得られる。
【0012】
さらに、可搬式記憶媒体に画像信号を記録する画像記憶装置を備えて、2次元画像撮像装置で取得した画像信号を可搬式記憶媒体に記録し、画像信号処理装置がその可搬式記憶媒体から受信した画像信号に基づいて距離画像を生成するように構成されていてもよい。可搬式記憶媒体を介して画像信号を伝達できるようになっていれば、車内で直ちに解析しなくても、後に設備のそろった地上の解析室で記録媒体から記録された画像信号を読み出して解析することができる。
【0013】
なお、レーザスリット光の強度が不足する場合は、複数のレーザスリット光源をスリットが重なるように配置して、光強度の補強を図ることができる。
また、締結装置や継目板はレールの両側に用いられているので、レーザスリット光源と2次元画像撮像装置の組合せが、レールを挟んで両側にセットされることが好ましい。また、レールは2本付設されているので、軌道用距離画像取得システムは、レールごとに備えることが好ましい。
【0014】
さらに、情報処理装置を備えて、締結装置や継目板の3次元形状モデルと、取得した距離画像と特徴を照らし合わせて、期待される位置や形状を保持しているか否かを確認することができる。
また、速度発電機の出力パルスを利用して、一定の距離ごとに光断面画像を取得するようにすれば、距離画像は縦軸横軸それぞれに等密度の平面図として得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の軌道用距離画像取得システムは、営業車等に搭載して、営業運転時にレール、締結装置、継目板等の詳細な3次元形状データを得ることが可能である。高密度データを高頻度で取得することにより、劣化トレンドを観測してメンテナンスタイミングを的確に予測することができる。また、3次元形状データを距離画像に変成して表示することにより、人による判定も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の1実施形態に係る軌道用距離画像取得システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態におけるカメラとレーザプロジェクタの配置を表す側面図である。
【図3】本実施形態における測定状態を説明する主要部配置図である。
【図4】本実施形態における光切断画像の例を示す図面である。
【図5】本実施形態で得られる距離画像の例を示す図面である。
【図6】本実施形態に使用されるレーザプロジェクタの別例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用い実施形態に基づいて本発明の軌道用距離画像取得システムを詳細に説明する。
本実施形態の軌道用距離画像取得システムは、鉄道軌道を走行しながら軌道近傍を詳細な3次元形状データとして取得し、締結装置、継目板、軌道パッドなど、軌道近傍の器具の検査を行うためのデータを収集する装置である。
【0018】
本実施形態の軌道用距離画像取得システムは、図1及び図3に示すように、たとえば、板バネの中央部を締結ボルトで枕木上に圧着し板バネの先端部でレール23の基部を押さえ込むようにしたレール締結装置21と、2本のレールを突き合わせて繋ぐ位置のレール23の側面両側に設置されそれぞれのレール23にボルトで固定される継目板22を対象として、それらの状態、特にボルトの緩み具合を共に検査することができる。
【0019】
本実施例の軌道用距離画像取得システムは、レーザスリット光11を放射するレーザスリット光投光装置1、すなわちレーザプロジェクタ1と、レーザスリット光11がレール23の近傍に存在する物品の表面で反射して形成する輝線12を光切断画像として取り込む2次元画像撮像装置2と、2次元画像撮像装置2の出力から輝線12の各部分における高さ、すなわち、2次元画像撮像装置2からの距離、あるいは任意の水平面からの距離、を算定する画像信号処理装置3と、これら距離情報に基づいて距離画像を形成する情報処理装置4と、画像表示する表示装置5と、を含んで構成される。
2次元画像撮像装置に代えて、たとえばプロファイルカメラを利用することができる。プロファイルカメラとは、光切断像を撮影し、光切断計測処理をリアルタイムに実行して、高さの1次元情報として出力する機能を持ったカメラである。
なお、対象とする装置の高さは普通、レール23の踏面24を超えることがないので、高さ距離を算定するための基準水平面を、レール踏面24とすると便利である。
【0020】
センサ部は、レーザスリット光投光装置1とプロファイルカメラ2で構成される。レール23の鉛直上方からレーザスリット光11を投射すると、レール23とその周辺部の表面でレーザスリット光11を反射して、1条の輝線12が形成される。この輝線12はレーザスリット光11の投射面上から見る限り単なる直線であるが、レーザスリット光11の投射面に対して垂直方向に少し離れた位置から見ると、たとえば図4に表したように、光切断面中に輪郭線が現れ、反射表面の高さに対応した光切断画像として観察することができる。光切断画像における対象物体表面の高さ距離は、画像における縦方向長さと対応し、画面中で輝線の位置が高いほど実際の位置も高いため、簡単に算定できる。
【0021】
本実施例の軌道用距離画像取得システムでは、図2に示すように、レーザスリット光投光装置1をレール23の上方から鉛直下方に向けてレーザスリット光11を投射するように配置し、2次元画像を1秒間に10000回以上撮影することができるプロファイルカメラ2をレーザスリット光11の放射面に対して垂直方向に僅かにずれた位置からレーザスリット光11が照射する部分に向けて撮影するように配置することにより、センサ部が構成されている。なお、プロファイルカメラの画像において、レール踏面上の光切断線あるいは水平面上の光切断線が画像枠と平行になるように撮影すると、光切断画像における光点の高さと画像中の画素の位置とが単純な関係を有するようになるので、撮影された物体の輪郭の高さが画像信号から簡単に算出できるようになる。
【0022】
レーザスリット光投光装置1とプロファイルカメラ2で構成されたセンサ部は、車両台枠31の下に設けられた保護筐体32に収納されている。保護筐体32には、センサ部とレール23など測定対象との間に保護ガラス33を備えている。保護ガラス33は、内部と外部を遮断するもので、センサ部に異物が侵入したり衝突したりすることを防ぎ、ヒータフィルムを貼ってあって、冷気でガラスに結露して不透明になることを防ぐ。
【0023】
レール23の鉛直上方からレーザスリット光11を投射すると光切断像が生成されるので、車両の走行に伴いセンサ部をレール23に沿って移動させる間に、レール23近傍の輝線12をプロファイルカメラ2で繰り返し撮影すると、撮影間隔ごとに僅かずつ位置のずれた光切断画像を取得することができる。1秒間に10000回以上撮影できるプロファイルカメラ2を使う場合には、時速110kmで移動する車両に搭載したときでも、光切断画像を約3mm間隔で取得することができる。
【0024】
そこで、走行中の車両から高頻度に撮影して密度濃く取得した光切断画像を使って、たとえば、距離情報にしたがって反射面の高さが低いほど濃い色で表した光切断線を、レールに沿って並べることにより、図5のような濃淡画像を得ることができる。
【0025】
画像信号処理装置3は、高速演算装置であって、プロファイルカメラ2の2次元画像信号を受け入れて、光切断画像として高い位置にある光点を淡く、低い位置にある光点を濃く表示するように指定して、レーザスリット光11により照射された直線上の各位置における距離情報とする。濃淡情報は、たとえば7ビットで128段階の高さを表現するデジタル信号で指定して、画像化しなくても、デジタル演算装置で直接利用できるようにすることができる。撮影ごとにプロファイルカメラ2の2次元画像信号から形成された距離情報付き画像情報は、画像信号処理装置3に内蔵された記憶装置、あるいは外部に付けた記憶装置8に格納される。
【0026】
記憶装置は、格納された情報を情報処理装置4に伝送することができる。記憶装置は、また可搬式記録媒体に情報を記録するものであってもよい。可搬式記録媒体を使うときには、地上の情報処理装置4は、車両走行中に得られた距離情報付き画像情報を記録した可搬式記録媒体から必要な情報を取得して解析することができる。
【0027】
情報処理装置4は、レール23に沿って多数生成された距離情報付き画像情報を受け取って、所定の位置におけるレール23の周辺領域を表す距離画像情報を形成して、表示装置5に濃淡によって距離を表す距離画像として表示させる。
図5に例示した濃淡画像は、平面図上に高さに関する距離情報が表された距離画像であり、このような濃淡画像から対象領域の3次元立体形状を把握することができる。
たとえば、締結装置21における締結ボルトの存否や緩みは、締結ボルトの存在すべき位置における高さ距離が予定の値と異なるため濃淡値が違うことにより判明する。また、継目板22の固定ボルトの存否や緩みは、固定ボルトの水平位置が予定の位置と異なるため、ボルトを表す濃淡度を有する部分の位置がずれていることにより判明する。
【0028】
このため、情報処理装置4は、内蔵あるいは外付けのパラメータ収納用記憶装置を付属していて、各種の締結装置や継目板の形状情報、特に締結ボルトの頭の高さや継目板ボルトの締め込み位置に係る位置情報など、標準状態を示す基準情報を予め格納してある。そして、実測に基づいて形成された距離画像のデジタル情報について、対象となった締結装置や継目板の高さ情報などの基準情報と対照することにより、締結装置21の締結ボルトの存否や緩み、継目板22の固定ボルトの存否や緩みを検出し、良否を判定する。たとえば、得られたボルト頂面高さデータに基づき、予め定めた基準値(たとえば、5mm)より高くなっているボルトが見つかったときに、このボルトに緩みが生じたと判断してボルトの位置情報と一緒に報知する。判定結果は表示装置5に表示する。
【0029】
本実施例の軌道用距離画像取得システムによれば、演算処理装置がデジタルデータに基づいて容易に判定することができるばかりでなく、人が濃淡画像を見ても容易にこれらボルトや装置の位置異常を発見することができる。なお、濃淡画面に代えて、彩色地形図のように色彩で高さを表現してもよい。
【0030】
レーザスリット光投光装置1とプロファイルカメラ2で構成されるセンサ部は、レール23を挟んだ内側と外側それぞれに設置され、レール23の内側と外側にそれぞれ設置される締結装置21と継目板22を内側と外側それぞれ別々に監視する。また、レーザスリット光投光装置1は、レーザスリット光11を継目板22に照射して輪郭を正確に把握できるようにするため、レール23の真上よりそれぞれ内側あるいは外側に少し変位した位置に設置して影ができにくくする。さらに、2本のレール23の両方に、同じ構成のセンサ部が対称の位置に対称に設けられることにより、全てのボルトを監視対象にすることが好ましい。
【0031】
なお、車両に設けられ車輪の回転数を検出する速度発電機6から供給される車軸の回転に同期したパルスを、パルス逓倍装置7により必要な周期に調整したパルスを駆動パルスとして画像信号処理装置3に取り込んで、この駆動パルスに従ってプロファイルカメラ2の撮影を行うこともできる。速度発電機6を利用する場合は、プロファイルカメラ2の撮影間隔は、車両の走行距離と対応して、等しい距離間隔になる。1秒間に10000回以上撮影することができるプロファイルカメラ2では、時速110km程度で走行する場合でも、約3mmの距離間隔で撮影することができる。
【0032】
また、プロファイルカメラ2が取得した光断面画像情報を格納して蓄積する記憶装置8を備えた軌道用距離画像取得システムは、営業運転する営業車両に取り付けて、通常の運行中に適宜情報収集しておいて、記憶装置8で情報を蓄積した記憶媒体を解析室に搬入して、解析室のコンピュータが読み出した情報に基づいて距離画像化し、路線中のボルトや装置の位置異常を検出することができる。このようなシステムを営業車に搭載して利用すれば、営業運転を妨げることなく締結装置21や継目板22を密度高く監視して、ボルトなどの異常を見落としなく発見するばかりでなく、経時的に観察することにより把握するそれらの変位傾向から劣化予測を行うことにより、効果的な予防保全が可能となる。
【0033】
図6は、本実施形態において、レーザスリット光発光装置1に1個のレーザプロジェクタを用いる代わりに、複数のプロジェクタ1'を並置したものを使用する態様を示す正面図である。1個のプロジェクタ1では光出力が不足して正確な測定が困難になることが多い。また、昼間では、外光が強いため、光切断線を明確に認識しかねる場合も多い。また、1個のレーザ装置で必要とされる光量を確保するためには、非常に大きい高価なレーザ装置を必要とする。
【0034】
そこで、レーザスリット光11を放射するレーザプロジェクタ1'を複数並置して、1本のレーザスリット光と同等のものにすることにより、必要な光量を確保することができる。ただし、1本のレーザスリット光11と同等なレーザスリット光にするために、個々のレーザプロジェクタ1'の出力光の放射面は互いに正確に重なるように、アライメントを精密に合わせることが要求される。
このようにして、レーザプロジェクタを小型化することにより、装置全体のコストを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の軌道用距離画像取得システムによれば、鉄道輸送産業において、営業車両や軌道確認車の床下に固定して走行させるだけで、レール締結ボルトと継目板ボルトの緩みを自動的に検査することができる。したがって、鉄道軌道の徒歩巡回が不要になり、検査効率が向上し、運行安全性向上に寄与する。
【符号の説明】
【0036】
1,1' レーザスリット光投光装置(レーザプロジェクタ)
2 2次元画像撮像装置(プロファイルカメラ)
3 画像信号処理装置
4 情報処理装置
5 表示装置
6 速度発電機
7 パルス逓倍装置
8 記憶装置
11 レーザスリット光
12 輝線
21 レール締結装置
22 継目板
23 レール
24 レール踏面
25 枕木
31 車両台枠
32 保護筐体
33 保護ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの踏面に対する垂直面内に設置されて、レーザスリット光を該垂直面内で照射するレーザスリット光源と、
前記垂直面に対して角度を持って設置されて、前記レーザスリット光による光切断画像を取得する2次元画像撮像装置と、
前記光切断画像に基づいて前記2次元画像撮像装置からの距離に基づく距離画像を生成する画像信号処理装置と、
を備えた軌道用距離画像取得システム。
【請求項2】
さらに、画像記憶装置を備えて、前記2次元画像撮像装置で取得した画像の画像信号を可搬式記憶媒体に記録し、前記画像信号処理装置が該可搬式記憶媒体から受信した画像信号に基づいて前記距離画像を生成する、請求項1記載の軌道用距離画像取得システム。
【請求項3】
前記画像記憶装置と前記2次元画像撮像装置は、車両床下のレール上方位置に設けられる筐体に収納される、請求項1又は2記載の軌道用距離画像取得システム。
【請求項4】
前記レーザスリット光源は、スリット光を発生する複数のレーザダイオードを、スリット光照射面が上記垂直面内で互いに重なるように配置したものである、請求項1から3のいずれか1項記載の軌道用距離画像取得システム。
【請求項5】
レーザスリット光源と2次元画像撮像装置の組み合わせを2対備えて、前記レールを挟んで1対ずつ設置される、請求項1から4のいずれか1項記載の軌道用距離画像取得システム。
【請求項6】
さらに、事前に記憶したレールの締結装置及び継目板の3次元形状モデルと前記距離画像とを照合することにより、締結装置及び継目板の検査を行う情報処理装置を備える、請求項1から5のいずれか1項記載の軌道用距離画像取得システム。
【請求項7】
さらに、車両に付帯する速度発電機から得られるパルス信号に基づいて、前記2次元画像撮像装置を作動させて前記光断面画像を取得する、請求項1から6のいずれか1項記載の軌道用距離画像取得システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−214933(P2011−214933A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82134(P2010−82134)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】