説明

軌道表示のための方法及び装置

本発明の実施形態は、グラフィック情報を表示するための表示装置(14、240)と、前記グラフィック情報を表示するために、前記表示装置(14、240)を制御するためのプロセッサ(11、210)と、軌道の方向に関する情報と色との関係を表すカラーマッピング情報(20)のためのストア(12、230)と、前記判断された情報と前記カラーマッピング情報(20)に基づいて、軌道の方向に関する情報と色とを判断するための軌道-色モジュール(490)とを有し、前記プロセッサ(11、210)は前記軌道-色モジュール(490)に応答して、グラフィック構成要素の少なくとも一部を前記判断された色で表示するように、表示部(14、240)を制御することを特徴とする装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道を表示する方法及び装置に関する。特に、これに限られるものではないが、本発明の実施形態は軌道の方向に関する情報を示す方法及び装置に関し、更に詳しくは、方向に関する複数軌跡の情報を同時に示すための方法及び装置に関する。本発明の一実施形態は、携帯型ナビゲーション装置(いわゆるPND)に関し、特に、全地球測位システム(GPS)の信号受信及び処理機能を有するPNDに関する。別の実施形態は、一般的に、例えば、測定した、又は、受信したデータを分析するために用いるデータ処理システムなどの、軌道を表示するために構成されたどのようなタイプの処理装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
軌道は2次元ワークスペースにおける経路である。軌道は、離散していても連続的であってもよく、また、物理的処理や、1以上のパラメータを計測して求めたものであっても、又は、完全に理論的なものであってもよい。時折、例えば、計測したデータを示す表示を行う時などに、複数の反平行軌道を表示する必要がある。そのような場合、例えば、表現された軌道の少なくとも一部がオーバーラップしているため、複数の軌道それぞれを見分けることが難しい。
【0003】
図1は、21の車両の軌道のシミュレーションを示しており、各軌道は区分線形曲線により表されている。軌道は、周期的な各車両の位置計測により形成され、ランダムエラーを含む。進行方向は、各曲線において一定の時間間隔で重ねて表示した矢印の頭により示されており、矢印の頭は時間に依存した速度を示している。しかしながら、図1に示す軌道の1つは、他の車両と反対方向に向かっている車両のものである。
【0004】
重なり合う軌道を個別に分解し、どの軌道が間違った方向に進んでいる車両のものであるかを立証するのは難しい。これを解決する1つの方法は、各軌道をより細い線で表し、シンボルをより小さくすることであろうが、結局は、軌道は判別しにくくなり、所望の情報を伝えることができなくなるだろう。
【0005】
本発明の実施形態は、従来技術の1以上の問題を軽減することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の現在好適な実施形態は、グラフィック情報を表示するための表示装置と、前記グラフィック情報を表示するために、前記表示装置を制御するためのプロセッサとを有し、更に、軌道の方向に関する情報と色との関係を表すカラーマッピング情報のためのストアと、前記判断された情報と前記カラーマッピング情報に基づいて、軌道の方向に関する情報と色とを判断するための軌道-色モジュールとを有し、前記プロセッサは前記軌道-色モジュールに応答して、グラフィック構成要素の少なくとも一部を前記判断された色で表示するように、表示部14(240)を制御することを特徴とする装置を含むナビゲーション装置を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、軌道の方向に関する情報を判断する工程と、前記情報に対応する色を決定する工程と、グラフィカル構成要素の少なくとも一部を、前記決定した色で表示装置に表示する工程とを有することを特徴とするグラフィック表示方法に関する。
【0008】
また、本発明の更に別の実施形態は、実行可能な環境下において実行された時に、プロセッサにグラフィック表示方法を実行させる1以上のソフトウェアモジュールを含むコンピュータソフトウェアであって、軌道の方向に関する情報を判断し、前記情報に対応する色を決定し、グラフィック構成要素の少なくとも一部を、前記決定した色で表示装置に表示することを特徴とする。
【0009】
これらの実施形態の利点は以下に述べるが、これらの実施形態それぞれの更なる詳細及び特徴は、添付した従属請求項及び以下の詳細な説明のどこかに定義する。
【0010】
本発明の開示の様々な視点、及びそれら開示を具現化した構成について、添付図面を参照しながら以下に一例として述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、複数の軌道の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる計算機器の概略を示す図である
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる属性−カラーマッピング情報を示す図である。
【図4】図4は、3つのベクトルにより形成される軌道例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる方法を示す図である。
【図6(a)】、
【図6(b)】図6は、本発明の一実施形態により表示される複数の軌道を示す図である。
【図7】図7は、全地球測位システム(GPS)の概略図である。
【図8】図8は、ナビゲーション装置を提供するための電子的な構成要素の概略図である。
【図9】図9は、ナビゲーション装置が無線通信チャンネルを介して情報を受信するための方法を示す概略図である。
【図10A】、
【図10B】図10A及び図10Bは、ナビゲーション装置の透視図である。
【図11】図11は、ナビゲーション装置により用いられるソフトウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、データ分析システムを参照して説明する。しかしながら、1以上の軌道の方向に関する情報を示す表示を行う本発明の他の実施形態であっても、実現することが可能である。例えば、本発明の実施形態は、軌道の方向又は勾配を示す計算機器である。更に、本発明の実施形態は、パラメータが時間であって、軌道が位置の離散した測定値である、パラメータ化された経路により形成される軌道を参照して説明するが、他のパラメータ及び離散した値を用いても良いことは、理解できるであろう。
【0013】
図2は、1又は複数のナビゲーション装置から受信した経路データを表示するための計算機器10を示す図である。計算機器10は、メモリ12、1以上のI/O機器13、表示部14、及びネットワーク通信インターフェース15に作用可能に接続されたCPU11を含む。計算機器10は、デスクトップ型のコンピュータ、携帯型計算機器、又は、ネットワーク構築された複数の構成要素から成る計算機器であってもよく、例えば、表示部14は、CPU11と通信可能であるが、必ずしもCPU11と同じ物理的な機器の一部である必要はない。計算機器10の構成は単なる一例であり、様々に変更可能であることは理解されるであろう。
【0014】
計算機器10は、サーバコンピュータ(不図示)から、ネットワーク通信インターフェース15を介して、1以上のナビゲーション装置(不図示)からのルートデータを受信するように構成されている。又は、計算機器10は、1以上のナビゲーション装置から直接、経路データを受信してもよい。即ち、計算機器10はサーバとして、ナビゲーション装置と通信しても良い。何れの場合も、計算機器10は、ユーザ向けに表示部14に表示するために、経路データにアクセスするように構成されている。経路データは、各ナビゲーション装置の周期間隔の位置情報を含む。例えば、経路データは、予め決められた座標系における予め決められた時間間隔での各ナビゲーション装置の位置を含む。これにより、それぞれ2つの位置の間の距離から、それぞれの位置の間におけるナビゲーション装置(及びナビゲーション装置を運んでいる車両又は人)の平均速度を求めることができる。さらに、それぞれの位置の間におけるナビゲーション装置の平均的な方向、又は、進行方向を求めることもできる。
【0015】
計算機器10は、各ナビゲーション装置の位置情報から求められた1以上の軌道を示す表示を、表示部14に表示するように構成されている。軌道は、パラメータ化された座標組により形成されている。この場合、軌道は各ナビゲーション装置が辿った経路を示す。各軌道は色つきで表示部14に表示され、各軌道の一区間、即ち、軌道のその一部に相当する部分における色である局地的な色は、その軌道の局地的な方向を示す。すなわち、各軌道の局地的な色は、その地点におけるその軌道の局地的な方向、又は進行方向に応じて判断される。本発明の実施形態においては、軌道の局地的な勾配等、方向に関する軌道の他の属性を考えることもできる。
【0016】
軌道上の複数地点の内の1つにおける局地的な色を決定する為に、計算機器10のメモリ12は角度方向を色にマッピングする情報を保持している。図3は、メモリ12に保持されたカラーマッピング情報20の一例を示す図である。図3に示すように、カラーマッピング情報20は、環又は輪として描かれ、その色は、環に添って連続的に変化している。すなわち、環の色は、環の上の各半径方向の位置がそれぞれ特有の色を持つように、環に添って変化する。これにより、例えば、環の中心と、例えば右0°などの予め決められた基準ベクトルとから判断されたどの回転角についても、その角度に対する唯一の色が決められる。このようにすることで、与えられた色で表示されたグラフィック要素は、移動方向又はユーザに向かっているかを示す情報を提供する。カラーマッピング情報は、他の実施形態において、例えば、勾配を色に関連付けるといったように、方向に関する属性を色に関連付けてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、カラーマッピング情報20は、それぞれが基準又は基本色を有するように、複数の基準角度を選択することにより決定することができる。例えば、図3に示すカラーマッピング情報20は、3つの基本色である、赤30、緑40、青50を含む。図3に示すこの実施形態において、基本色30、40、50は環の周りに120度おきに等しく配分されている。しかしながら他の分布や基本色数を選択しても構わない。基本色の間それぞれでは、環の色はその2つの基本色間の色で変化する、又は滑らかに変化(つまり、色が徐々に変わる)する。色は、S状又は直線状の様々な度合いを介して、段階的に変化してもよい。例えば、赤30と緑40との間の領域35では、赤と緑の間を滑らかに変化し、その間の点において、環はオレンジ色を有する。同様に、緑30と青40との間の環の領域45は、緑と青の間を滑らかに変化し、その間の点では水色となり、青40と赤20の間の領域55は紫となる。カラーマッピング情報を複数の基本色を参照して説明しているが、他の実施形態では、例えば、数学的変換により、360度の周期を有する変動周期的な角度−色マッピングを達成することもできる。
【0018】
図3において、カラーマッピング情報20のために3つの基本色30、40、50が選択されている。しかしながら、2以上の基本色を選択しても良いが、基本色が2色だけの場合、基本色が180ずつ均等に配置されると、反対となる方向を区別することができない。また、図3は、方向−カラーマッピング情報20を環で示しているが、情報をどのような形式でメモリ12に保持してもよい。一実施形態では、カラーマッピング情報20は与えられた角度に対して色を決定することができるルックアップテーブルの形式でメモリ12に保持されている。別の実施形態では、メモリ12は、例えば、角度をCMYK値に変換する変換式を保持する。ベクトルの角度の決定と、角度に対応する色の決定は、計算機器のCPU11を制御することができる、方向−色モジュールにより行われる。必須では無いが、色は角度と共に滑らかに変化し、反対となる方向が区別が付けられるように異なる色を持つことが好ましい。更には、反対となる方向は、見易いように、互いにコントラストが高くなる色を有するとともに、現在の技術の限界において唯一の色を有することが好ましい。
【0019】
図4は、CPU11の制御により表示部14に表示された離散した軌道60を示す。軌道60は、単位時間間隔で記録された4つの位置から構成され、その4つの位置の間は、矢印が示す方向へのナビゲーション装置の動きを表す3つのベクトル61、62、63により表すことができる。
【0020】
3つのベクトル61、62、63を表示する方法70を、図5を参照して説明する。方法は、ステップ71で始まる。ステップ72において、少なくとも軌道の一部を形成する、表示すべきベクトルが選択される。例えば、図4に示す軌道を表示するために、第1及び第2位置の測定値間の第1ベクトル61がステップ72で選択される。ステップ73において、そのベクトル61の角度が求められる。ベクトルの角度は、ベクトル61と、基準ベクトルとの角度により求めることができ、例えば、表示画面に対して固定の関係にある、(表示画面の面における)特定の基準方向から反時計回りに計測された、(表示画面のユーザが見るように)同一平面内において2直線が成す角である。いくつかの実施形態では、基準方向は右である。しかしながら、他の基準方向を用いても良い。ステップ74において、求められた角度に対応する色を、メモリ12に保持されたカラーマッピング情報20に基づいて決定する。例えば、ステップ74は、選択されたベクトル61の角度に対する色を決定するために、メモリ12に保持されたルックアップテーブルをCPU11が調べる動作を含んでもよい。そして、ベクトル61、又はそれを示すものが表示部14に決定された色で表示される。ステップ76において、表示されたベクトル61が表示する最後のベクトルであるかを判断する。ベクトル61が軌道60の最後のベクトルであれば、ステップ76で方法を終了する。ベクトル61が軌道60の最後のベクトルでなければ、ステップ72へ移行し、新しいベクトル、例えば、次のベクトル62を選択する。これにより、軌道60の各ベクトル61、62、63が、各ベクトルの方向に応じた色で、表示部14に表示される。いくつかの実施形態においては、各軌道は、少なくとも一部が透明で表示されている。つまり、下に隠れている1以上の軌道を、上の軌道を通して部分的に見ることができる。更に、いくつかの実施形態においては、複数の軌道が表示されている背景色を、1を超える軌道が互いに重なっている場合に、部分的に透明な軌道の色が混ざって、背景に近い色とならないように決める。
【0021】
図6(a)は、本発明の一実施形態にかかる、シミュレーションされた図1の車両軌道80を21本分、表わしたものである。図6(b)は、図6(a)に示す軌道の一部を拡大したものを示している。拡大された部分は、2つの主要道路間のランプを表している。本発明の理解を助けるために、特に図においてグレースケールで表す場合、図6(a)及び(b)は、軌道を形成するベクトルの局地的な色により示されるように明示されている。図6(a)及び(b)から、各ベクトルが図3に示す環におけるベクトルの方向に応じた色を採用していることが分かるであろう。
【0022】
特に、図6(b)を参照すると、軌道81の1つである「反対軌道」が、他の軌道とおおよそ反対の方向に進んでいるのを見ることができる。軌道例を82で示している。図6(b)で示される点において、反対軌道は、図3の環におけるおおよそ上方向に対応する、ほぼ赤の色を採用したベクトルを含む。対照的に、軌道例82は、図3の環におけるおおよそ下方向に対応する、ほぼ青の色を採用したベクトルを含む。この利点により、本発明の実施形態には、軌道が互いに重なり合っているとしても、反対軌道81を別の軌道と容易に見分けることができる。
【0023】
局地的な方向に応じて各ベクトルが色づけされた、複数の離散ベクトルにより構成される軌道を参照して本発明の実施形態を説明してきたが、別の実施形態として、連続する軌道、すなわち、離散ベクトルにより構成されていない軌道が、連続的に変化するように色づけられたものが考えられる。すなわち、各点における軌道の色を軌道上のその点における接ベクトルの方向に応じて決定する。いくつかの実施形態において、軌道の色を周期間隔で決めても良く、これらの間隔の間の軌道の色は決定された隣の色との間で徐々に変化させる。更に、本発明の実施形態は物理的な物体の現在位置の指標などのグラフィカルな特徴が、その動きの方向に応じた色で示されることが考えられる。例えば、動きの平均的な方向を、過去の複数の位置測定値を用いて求め、その動きの平均的な方向を、対応する色で示すようにしてもよい。
【0024】
本発明の実施形態は、パラメータ化された座標組を表示機器に表示することのできるシステム又はデバイスであってもよく、座標は表示機器の座標である。座標組は、WGS(World Geodesic System)84楕円に投影された3次元GPSから得た測定値であってもよく、続けて表示機器に表示される。しかしながら、別の実施形態において、座標組は、シミュレーションされた、又は、計測された、例えば、株式市場価格又は他の値などの、時間などの指標に対して表示機器上に描かれたパラメータを表したものであっても良い。
【0025】
本発明の更なる実施形態を図2の装置を参照しながら説明する。装置10は、sin(x)又はcos(x)などの連続的な数学的関数を表す軌道を、表示部14上に表示するために構成されている。特定の関数は単なる例示であって、他の実施形態においては、車両の速度などの計測されたパラメータ、複数の計測値の数学的な近似、又は、シミュレーション値を表したものであってもよいことは理解されるであろう。一実施形態において、CPU11は軌道の1以上の点における軌道の接線の勾配を最も適切に決定するように構成されている。勾配は、軌道の各点において微分により求めてもよい。他の実施形態において、CPU14は、軌道の各点における勾配を、各点における軌道に対する接線の角度を求めることにより、勾配を最も適切に求めるように構成されている。この場合、勾配はtan(角度)により求めることができる。そして、表示部14において接線を表示する色は、勾配に対応する色を決定するために、CPUにより、カラーマッピング情報20を参照して決定される。勾配が求められた点の間の軌道の色は、近隣の決定された色を参照して決めることができる。いくつかの実施形態では、勾配の1象限を考慮してもよい。例えば、同じ大きさの反対方向のベクトルは同じ勾配を有するため、軌道のそれぞれの象限、又はそれらの軌道の接線を考えることで、反対方向の同じ勾配は、相対する方向に応じて、区別され、色付けされてもよい。
【0026】
本発明の実施形態は、道路交通分析システム10であっても良く、その場合、表示部14は1以上の車両の位置又は経路を示す表示を行う。データは、衛星ナビゲーション装置などの現在地を判断することができる1以上の車載機器から受信したデータに基づいていても良い。同様に、本発明の一実施形態は、航空交通管制又はモニタリングシステムであってもよく、その場合、各表示部14は、1以上の飛行機の位置又は経路を示す表示を行う。この利点として、これらの状況において、車両や飛行機などの動体の現在位置又は経路を示す表示を行うことで、複数が同時に表示された場合であっても、同じ方向に動く動体と、異なる方向に動く動体とをユーザは容易に識別することができる。
【0027】
本発明の実施形態は、携帯型ナビゲーション装置であってもよい。
【0028】
GPS(全地球測位システム)信号受信機能及び処理機能を含む携帯型ナビゲーション装置(PND)は良く知られており、車載又は他の車両ナビゲーションシステムとして広く利用されている。
【0029】
一般的に、現代のPNDは、プロセッサ、メモリ(少なくとも、揮発性及び不揮発性メモリの一方又は普通は両方)、及び、そのメモリに格納されたマップデータを含む。プロセッサとメモリは、ソフトウェアオペレーティングシステムが構築された実行環境を共同で提供し、更に、PNDの機能を制御できるように、1以上の追加ソフトウェアプログラムを提供し、様々な他の機能を提供することは一般的に行われている。
【0030】
典型的には、これらの機器は、ユーザが機器に相互作用して制御できるようにするための1以上の入力インターフェースと、情報をユーザに中継するための1以上の出力インターフェースと更に含む。出力インターフェースの例として、視覚的な表示器と可聴なスピーカーとを含む。入力インターフェースの例として、機器のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するための1以上の物理的ボタン(機器が車両に作り込まれている場合、ボタンは機器上になくても良く、ステアリングホイール上にあってもよい。)、ユーザの声を検出するマイクとを含む。特に好ましい構成では、振れることによりユーザが機器を操作することができるように、入力インターフェースを更に付加するために、出力インターフェース表示器はタッチ感応表示器(タッチ感応オーバーレイなどを用いて)として構成されていても良い。
【0031】
このタイプの機器は、電力と、選択的にデータ信号とを機器と送受信可能にする1以上の物理的コネクタインターフェースと、セルラ通信や、例えば Wi-Fi、 Wi-Max GSMといった、他の信号及びデータネットワークを介した通信を行うための、1以上の無線送信機/受信機を選択的にしばしば含む。
【0032】
このタイプのPND機器は、機器の現在位置を判断するために、位置データを含む衛星ブロードキャスト信号を受信して処理できるようにする、GPSアンテナも含む。
【0033】
PND機器は、現在の角加速度及び線形加速度を判断し、そして、GPS信号から得られる位置情報と合わせて、機器、すなわちそれが搭載されている車両の、速度及び相対移動量を判断するために、処理する信号を生成する電子ジャイロスコープ及び加速度計を含んでもよい。典型的には、そのような特徴は、車載ナビゲーションシステムに提供されているのが最も一般的であるが、都合が良ければ、PND機器に提供しても良い。
【0034】
そのようなPNDの有用性は、まず、第1の位置(典型的には、スタート位置又は現在位置)と第2の位置(典型的には、目的地)との間の経路を決定する能力に現れる。これらの位置は、例えば、郵便番号、通りの名前、番地、過去に保存した「よく知られた」目的地(有名な場所や、(スポーツ広場やスイミングプールなどの)市営の場所や、その他の興味がある場所)、お気に入りの場所、最近訪れた場所といった多くの様々な方法により、機器のユーザにより入力される。
【0035】
典型的には、PNDは、スタート地点と目的地点との間の「最高」又は「最良」の経路をマップデータから計算するためのソフトウェアにより実現される。「最高」又は「最良」の経路は、予め決められた基準により決められ、必ずしも、最速又は最短の経路である必要はない。ドライバーをガイドする経路の選択は非常に精密で、選択された経路は、存在する情報、予測される情報、動的及び/又は無線により受信される道路交通情報、道路速度に関する過去の情報、道路を選択する際の要因となるドライバー自身の好み(例えば、ドライバーが自動車専用道路又は有料道路を経路に含まないことを指定する)を考慮に入れてもよい。
【0036】
更に、機器は、道路交通状況を続けて監視し、変化した状況に応じて、残りの道程の経路の変更を提供又は選択する。様々な技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPS全車両追尾など)に基づいたリアルタイム交通監視システムは、交通遅滞を把握し、その情報を通知システムに渡すために用いられている。
【0037】
このタイプのPNDは、通常、車両のダッシュボード又は風防ガラスに取り付けられているが、車両ラジオの車載コンピュータの一部や、さらには車両自身の制御システムの一部として形成しても良い。ナビゲーション装置は、PDA(Portable Digital Assistant)、メディアプレイヤー、移動電話などのハンドヘルドシステムの一部であってもよく、その場合、ハンドヘルドシステムの通常機能は、経路計算及び計算した経路のナビゲーションを行うために、ソフトウェアを機器にインストールすることにより拡張される。
【0038】
経路プランニング及びナビゲーション機能は、デスクトップ又は適切なソフトウエアを実行している移動型計算資源により提供することができる。例えば、the Royal Automobile Club (RAC)は、オンライン経路プランニング及びナビゲーションサービスを、http://www.rac.co.ukで提供している。このサービスはユーザがスタート地点と目的地を入力すると、ユーザのPCが接続されたサーバが経路を計算し(その考慮されるべき特徴はユーザが指定したものであってもよい)、地図を生成し、選択したスタート地点から選択した目的地までユーザをガイドするための一連の包括的なナビゲーション命令を生成する。このサービスは、計算された経路の疑似3次元描画と、ユーザが経路を移動するシミュレーションを行う経路プレビュー機能も提供し、これにより、計算した経路のプレビューをユーザに提供する。
【0039】
PNDに関連して、一度経路を計算すると、ユーザはナビゲーション装置とやりとりを行って、オプションで、提案された経路のリストから、所望の計算された経路を選択する。また、ユーザは例えば、特定の移動中に、避けかったり、必ず通りたかったりする特定の経路、道路、場所、条件を特定することにより、経路選択処理を調停又はガイドすることができる。PNDの経路計算の側面は1つの主要な機能を形成し、そのような経路に沿ったナビゲーションは、別の主要な機能である。
【0040】
計算された経路をナビゲーションする間、選択された経路の終点、すなわち、所望の目的地までの経路に沿ってユーザをガイドするために、通常、そのようなPNDは視覚的及び/又は可聴命令を提供する。また、ナビゲーションの間、PNDが地図情報を画面に表示することも通常行われており、そのような情報は、地図情報が機器の位置、すなわち、機器が車載ナビゲーションとして用いられている場合には、ユーザ又はユーザの車両の現在位置を示すように、定期的に画面で更新される。
【0041】
画面に表示されたアイコンは、通常、現在の機器の位置を示し、現在の道路、現在の機器の位置近辺の周辺道路、及びその他の地図の特徴が表示された地図情報の中心に示される。更に、ナビゲーション情報が表示された地図情報の上、下、又は左右の一方に表示されたステータスバー上に表示される。そのようなナビゲーション情報の一例としては、ユーザが辿っている現在の道路から次に離れるまでの距離を含み、そのように現在の道路からの離れることは、例えば、左折、右折などの特定のタイプの離脱を提案する、例えば更なるアイコンにより表される。ナビゲーション機能は、経路に沿ってユーザをガイドすることができる可聴命令の内容、期間、タイミングを決定する。「100m先を左折」といった簡単な命令にも、かなりの処理と分析とを必要とすることは理解されるであろう。先に述べた通り、ユーザの機器に対する相互作用は、タッチスクリーンにより、又は追加的又は代わりに、ハンドル軸に搭載されたリモートコントロール、音声起動又は、他の適した方法によって行われる。
【0042】
機器により提供される更に重要な機能は、ナビゲーション中に先に計算された経路からユーザが離れたときや(アクシデント又は意図的に)、リアルタイム交通状況が別の経路の方がより都合が良いことを示し、機器がそのような状況を自動的に認識することが適切にできる場合、又は、何らかの理由でユーザが積極的に機器に経路を再計算させる場合の、自動経路再算出機能である。
【0043】
例えば、ユーザが眺めの良い経路を機器に計算してもらうことを好んだり、また、交通渋滞が起きているようであったり、交通渋滞が予測されたり、交通渋滞が現在起こっている道路を避けることを望むなど、ユーザが定義した基準を用いて、経路を算出できるようにすることが知られている。そして、機器のソフトウェアは、様々な経路を計算し、例えば眺めが美しいとのタグがつけられた最も高いポイント・オブ・インタレスト(POIとして知られている)を含む経路により高く重みをつけたり、ある道路の有力な交通状況を示す保持された情報を用いて、経路において渋滞や遅延が起こりやすいレベルにより、その算出された経路に順位をつけてもよい。他のPOIや交通情報に基づいた経路算出及びナビゲーション基準であってもよい。
【0044】
経路計算及びナビゲーション機能は、PNDの総合的なユティリティにとって基本的なものであるが、機器を純粋に情報表示、又は「フリードライビング」に用いることもでき、その場合、現在の機器の位置に関連した地図情報のみを表示し、経路を算出せず、機器によるナビゲーションも行わない。そのような処理モードは、ユーザが通りたい経路を既に知っており、ナビゲーションによる補助を必要としない場合に、しばしば適用することができる。
【0045】
例えば、トムトム・インターナショナルB.V.により製造され、供給されている720Tモデルなどの上述したタイプの機器は、一地点から別の地点までユーザをナビゲートできるようにする、信用できる手段を提供する。
【0046】
図7は、ナビゲーション装置で利用することができる、全地球測位システム(GPS)の一例を示す図である。そのようなシステムは公知で、様々な目的のために用いられる。一般的に、GPSは、連続的な位置、速度、時間、及び、場合によっては無数のユーザの方向情報を判断することができる衛星電波によるナビゲーションシステムである。以前よりNAVSTARとして知られているGPSは、非常に厳密な軌道で地球を周回する複数の衛星を含む。これらの厳密な軌道に基づいて、GPS衛星は、どのような数の受信ユニットに対してもその位置を中継することができる。
【0047】
GPSデータを受信する能力を特別に備える装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0048】
図7に示すように、GPSシステム全体を参照番号100で示す。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期せず、実際には非同期であることが多い。GPS受信機140は、種々の衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0049】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信機140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。
【0050】
図8は、本発明の好適な一実施形態にかかるナビゲーション装置200の電子構成要素の一例を、ブロック構成要素の形式で示すブロック図である。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0051】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、及び情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置のうちの少なくとも1つを含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。特に好適な構成では、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化されているため、ユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために、表示画面240の一部分に接触するだけでよい。
【0052】
ナビゲーション装置は、例えば可聴出力機器(例えば、スピーカー)などの出力装置260を含んでいてもよい。出力装置260がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、同様に、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解される。
【0053】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置240から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置260のうちの少なくとも一方に出力接続245を介して動作可能に連結される。更に、プロセッサ210は、接続235を介してメモリリソース230に動作可能に接続され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置280に接続可能である。メモリリソース230は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリや、例えばフラッシュメモリなどのデジタルメモリなどの不揮発性メモリを含む。外部I/O装置280は、例えばイヤホン等の外部聴音装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー動作と音声起動動作との少なくとも一方のため、イヤホン又はヘッドフォンへの接続のため、並びに/あるいは例えば移動電話への接続のためのカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線接続又は無線接続であってもよい。この場合、移動電話接続は、ナビゲーション装置200とインターネット又は例えば他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するためと、インターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するためとの少なくとも一方のために使用されてもよい。
【0054】
図8はプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の接続255を介した有効な接続を示しており、アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機である。参照番号250により示されるアンテナ及び受信機は、図では簡易的に一体的に示されているが、アンテナ及び受信機は離れた位置にある構成要素で、アンテナは、例えば、GPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが分かるであろう。
【0055】
また、当業者であれば、図8に示す電子構成要素は、従来の方法で電源(不図示)から電力を供給されることは理解されるであろう。当業者であれば理解できるように、図8に示す構成要素と異なる構成も本発明の範囲に含まれると考えられる。例えば、図8に示す構成要素は、有線及び/又は無線接続等を介して、互いに通信することができる。従って、本出願のナビゲーション装置200の範囲は、携帯型又はハンドヘルドナビゲーション装置200を含む。
【0056】
更に、図8に示す携帯型又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば、自転車、オートバイ、車、又はボートなどの車両に、公知の方法により接続、又は「ドッキングする」ことができる。このようなナビゲーション装置200は、携帯型又はハンドヘルドナビゲーションとして用いるために、ドッキングされた位置から離すことができる。
【0057】
図9を参照すると、ナビゲーション装置200は、少なくとも1つの実施形態において、デジタル接続(例えば、周知のBluetooth技術を介するデジタル接続)を確立する移動装置(不図示)(移動電話、PDA、及び移動電話技術を用いる任意の装置のうちの少なくとも1つ等)を介して、サーバ302との「モバイル」又は遠隔通信ネットワーク接続を確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、移動装置は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、情報に対する「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイを提供するために、ナビゲーション装置200(単体時、及び車載走行時の少なくとも一方において移動可能であり且つ多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立される。
【0058】
例えばインターネット(World Wide Webなど)を使用して、移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、周知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置は、CDMA、GSM、WAN等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0059】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介するデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続の場合、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置及びGPRS(汎用パケット無線サービス)接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行われうる。
【0060】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、例えば既存のBluetooth技術を介して周知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等の任意の数の規格を利用できる。
【0061】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自身の中に、自身の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含むか、又は、ナビゲーション装置200の内部アンテナを用いてもよい)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上述のような内部構成要素を含むことができ、且つ/又は例えば必要な移動電話技術とアンテナとの少なくとも一方を備える挿入可能なカード(例えば、Subscriber Identity Module又はSIMカード)を含むことができる。そのため、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、任意の移動装置の方法と同様の方法で、例えばインターネットを介して、ナビゲーション装置200とサーバ302との間にネットワーク接続を同様に確立できる。
【0062】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応のナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新されうる。
【0063】
図9において、ナビゲーション装置200は、多数の異なる構成のいずれによっても実現することが可能な一般的な通信チャネル318を介して、サーバ302と通信しているものとして図示している。通信チャネル318を介する接続がサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、サーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0064】
サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。更に、プロセッサ304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。
【0065】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0066】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号及び/又はデータを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用される。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0067】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0068】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。
【0069】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信、及び電磁通信のうちの少なくとも1つ等のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0070】
1つの説明的な構成では、例えば通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できてもよい。更に、通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0071】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0072】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置するネットワークサーバを含んでもよい。
【0073】
サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0074】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、自動的に、又はユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続する場合に周期的に更新されてもよく、且つ/又は例えば無線移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより継続して又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0075】
図8に示す様に、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、表示画面240を含む。入力装置220及び表示画面240は、例えばタッチパネルスクリーンを介して情報(直接入力、メニュー選択など)を入力すること及び情報を表示することとの両方を可能にするために、一体型入力表示装置に統合される。このようなスクリーンは、当業者には周知のものであるように、例えばタッチ入力LCDスクリーンであってもよい。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる任意の入力装置220と更なる任意の出力装置241との少なくとも一方を有しても良い。
【0076】
図10A及び図10Bは、ナビゲーション装置200の一実施形態の一実施例の斜視図を示している。図10Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム230などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0077】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、吸着カップ294を用いて、車両のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0078】
図10Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図10Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置をドッキングステーションに連結したり分離したりするための他の同様の適切な構成は当業者には良く知られている。
【0079】
ここで添付図面の図11を参照すると、メモリリソース230は、機能ハードウェア構成要素460によって実行されるようにメモリリソース230からオペレーティングシステム470をロードするために、プロセッサ210によって実行されるブートローダプログラム(不図示)を保持する。これにより、アプリケーションソフトウェア480を走らせる環境を提供する。オペレーティングシステム470は機能ハードウェア構成要素460を制御するために用いられ、アプリケーションソフトウェア480と機能ハードウェア構成要素460との間に常駐する。アプリケーションソフトウェア480は、ナビゲーション装置200の中核機能、例えばマップビューイング、経路プラニング、ナビゲーション機能、及びこれらに関連する他の機能をサポートするGUIを含む操作環境を提供する。本発明の好適な実施形態によれば、この機能の一部は、軌道−色表示モジュール490を含む。軌道−色モジュール490は、図1〜6を参照して上述したように、局地的な行き先、軌道の方向又は勾配などの、局地的な方向に関する情報を示す色により、軌道の表示を実行する。
【0080】
一実施形態において、ナビゲーション装置200は、交通遅滞の方向を見分けられる色で道路交通情報を表示するように構成されている。例えば、ナビゲーション装置は、通信チャンネルを介して、サーバ302から交通情報を受信してもよい。軌道−色モジュール490は、例えば、地図データのある領域における交通遅滞の表示を表示装置240に行うように、ナビゲーション装置200のプロセッサ210を効果的に制御する。軌道−色モジュール490は、ユーザが交通遅滞の方向、すなわち、交通遅滞が反対の第2の方向ではなく、第1の方向の道路に影響を与えていることを見分けることができるように、交通遅滞の方向に応じた視覚的な交通遅滞を表す色を決定する。軌道−色モジュール490は、図3に示すように、交通が遅れている道路の方向をカラーマッピング情報と比較することで、色を決めても良い。このようにすることで、ユーザが、複数の交通遅滞の表示が重なり合っているような、地図データの広い領域を見ている場合であっても、ユーザは交通遅滞の方向を確かめることができる。いくつかの本発明の実施形態では、交通遅滞を示す濃度や明るさを交通遅滞の酷さに応じて決定しても良い。例えば、10分の交通遅滞は明るさレベルXで表示し、30分の交通遅滞は、Xよりも濃い明るさレベルYで表示しても良い。
【0081】
本発明の別の実施形態では、ナビゲーション装置200は、1以上の実在物それぞれの位置を示す情報を受信するように構成されている。一実施形態では、実在物は、通信チャンネル318を介してサーバ302に位置を定期的に報告するように構成された別のナビゲーション装置である。軌道−色モジュール490を含む他のナビゲーション装置200は、1以上の別のナビゲーション装置200それぞれの位置を識別する位置情報をサーバ302から受信するように構成されている。位置情報を受信するナビゲーション装置200は、表示装置に1以上の他のナビゲーション装置の位置を示す印を含む地図データを表示するように構成されており、その印は、その印の動き方向に応じて決められた色を有する。例えば、ナビゲーション装置200が最後の更新時の第1の位置から第2の位置に動いたことを位置情報が示す場合、軌道−色モジュール490は、ナビゲーション装置200の第1及び第2の位置間のベクトルの方向又は勾配を決定し、そして、決定された方向に基づいてナビゲーション装置の位置が表示される印の色を決定するように構成されている。
【0082】
ここで、本発明の実施形態を、PNDを特に参照して説明する。しかしながら、本発明が提示するものはPNDに限られるものではなく、経路プランニング及びナビゲーション機能を提供するためのナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されたどのようなタイプの処理装置にも、一般的に適用可能であることを忘れてはならない。従って、本願の文脈において、ナビゲーション装置は(無制限に)どのようなタイプの経路プランニング及びナビゲーション装置をも含むことを意図しており、装置がPND、車両に取り付けられたナビゲーション装置、又は、経路プランニング及びナビゲーションソフトウェアを実行している計算リソースそのもの(例えば、デスクトップ又は携帯型パソコン(PC)、携帯電話、又はportable digital assistant(PDA)など)として実現されているかに依らない。
【0083】
本発明の様々な側面及び実施形態をここまで説明してきたが、本発明の範囲は、ここで設定された特定の構成により限られるものではなく、すべての構成及び改造及びその変形を含むように広がっており、添付の請求項の範囲に入ることを理解されたい。
【0084】
なお、例えば、上述した詳細な説明において、実施形態はGPSを参照したが、ナビゲーション装置は、GPSの代わりになるもの(又は追加するもの)として、どのような位置感知技術を用いてもよい。例えば、ナビゲーション装置は、欧州ガリレオシステム(European Galileo System)などの他の全地球的航行衛星システムを用いて利用しても良い。同様に、本発明は衛星型だけではなく、地上型ビーコン又は、装置が地理的な位置を判断することができるようにするどのようなシステムを用いてももちろん機能する。
【0085】
好適な実施形態は、特定の機能をソフトウェアにより実現したが、その機能をハードウェアのみ(例えば、1以上のASIC(application specific integrated circuit)により)、又はハードウェアとソフトウェアとを両方用いても同等に実現できることは、当業者であれば理解できるであろう。そのため、本発明の範囲は、ソフトウェアによってのみ実現されるものと解釈されるべきではない。
【0086】
最後に、添付の請求項はここで記載された特徴の特定の組み合わせを示しているが、本発明の範囲は以下に請求される特定の組み合わせに限定されるものではなく、特定の組み合わせが今回添付の請求項に特に列挙されたかどうかに関わらず、開示された特徴又は実施形態のどのような組み合わせをも含むように広がるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィック情報を表示するための表示装置(14、240)と、
前記グラフィック情報を表示するために、前記表示装置(14、240)を制御するためのプロセッサ(11、210)とを有し、更に、
軌道の方向に関する情報と色との関係を表すカラーマッピング情報(20)のためのストア(12、230)と、
前記判断された情報と前記カラーマッピング情報(20)に基づいて、軌道の方向に関する情報と色とを判断するための軌道-色モジュール(490)とを有し、前記プロセッサ(11、210)は前記軌道-色モジュール(490)に応答して、グラフィック構成要素の少なくとも一部を前記判断された色で表示するように、表示部14(240)を制御することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記軌道-色モジュール(490)は、前記方向に関する情報を、前記軌道(61、62、63)に関連するベクトルと基準ベクトルとの間の角度として判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記軌道-色モジュールは、前記方向に関する情報を、前記軌道(61、62、63)に関するベクトルの勾配として判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カラーマッピング情報(20)は、複数の基準情報値を表すために選択された複数の色(30、40、50)を有し、中間情報値には、その近隣の色(30、40、50)の混合として判断された色が割り当てられることを特徴とする請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記カラーマッピング情報(20)は、前記ストア(12、230)に、ルックアップテーブル又は1以上の等式のいずれかとして保持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記軌道-色モジュール(490)は、前記軌道上の点への接線、又は前記軌道上の少なくとも第1及び第2の点の間に基づいて、前記軌道(61、62、63)の前記方向に関する情報を判断するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記点は、ある特定物の地理的な位置を示すことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記グラフィック構成要素は、前記第1及び第2基準点を繋ぐベクトル(61、62、63)又は軌道の局地的な色のいずれかあることを特徴とする請求項5、6、7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、サーバ(302)からデータを受信する受信機(322)を含む携帯型ナビゲーション装置(200)であって、前記軌道-色モジュール(490)は前記軌道 (61、62、63)の方向に関する情報を前記受信したデータから判断することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
軌道(61、62、63)の方向に関する情報を判断する工程と、
前記情報に対応する色を決定する工程と、
グラフィカル構成要素の少なくとも一部を、前記決定した色で表示装置(14、240)に表示する工程と
を有することを特徴とするグラフィック表示方法。
【請求項11】
前記方向に関する情報は、前記軌道(61、62、63)に関連するベクトルと基準ベクトルとの角度として判断された前記軌道(61、62、63)の方向であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記属性は、前記軌道に関連するベクトルの勾配であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記色を判断する工程は、メモリ(230)に格納されたルックアップテーブルにおける情報に対応する色をルックアップする工程、又は、前記情報に関連する1以上の色の値を計算する工程を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
1以上の機器から、予め決められた座標系におけるそれぞれの位置を示す情報を受信する工程を更に有し、前記軌道(61、62、63)は、機器の連続した位置間で決められることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記軌道は、機器の経路を示し、各軌道は予め決められた色の1以上のグラフィカル構成要素により構成されていることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【公表番号】特表2011−525973(P2011−525973A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515371(P2011−515371)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057881
【国際公開番号】WO2009/156429
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】