説明

転回ユニット

【課題】 ワーク転回(反転を含む)のための機構が簡単で、かつ、転回作動を高速化できる転回ユニットの提供。
【解決手段】 ワーク収容部材24と第1、第2の蓋部材23a,23bを有するヘッド3と、ヘッド3を正転位置、反転位置とする間欠駆動機構モーター4及びヘッド3の第1、第2の蓋部材を前後にスライド移動させ、ワーク収容部材24に設けたワーク配置孔26を開閉するスライド駆動モーター5を有し、ヘッド3が正転位置にあるとき第1蓋部材23aを開閉し、ヘッド3が反転位置にあるとき第2蓋部材23bを開閉するとともに、ヘッド3が反転するとき第1、第2の蓋部材23a,23bをともにワーク配置孔26を閉じた位置とするワーク転回ユニット1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体チップなどの微小部品(ワーク)を表裏反転を含む所定の角度に転回する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器関連の表面実装部品のコンデンサ・抵抗・トランスなどの受動部品やトランジスタなどの半導体部品、小形電池、その他さまざまな微小部品について、表面で測定(検査)を行った後、裏面でも測定を行う、表面の検査をして表裏反転し、梱包(エンボステープへのテーピング)を行う、表面に加工をし、ついで裏面にも加工を施す、などワークを表裏反転(正転・反転)して行う作業ないし加工がある。このような場合にPPU(ピックアンドプレースユニット)などと共に転回ユニットが用いられる。
従来の転回ユニットについてみると、特許文献1のように、2個の反転ヘッドによる受け渡し方式が主である。
【0003】
【特許文献1】特開平06−115687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の受け渡し方式では、2個のヘッドをタイミングよく駆動する機構、ワークを受け渡しするためのタイミングを合わせたエア機構を必要とし、構造が複雑である上、ワークを受ける位置とこれを反転したワークを渡す位置が異なり、PPUの先端作業部を移動させたり、反転ヘッドの先端作業部を移動させたりする必要がある。また、ヘッドの回転やエアによる押し込みと吸い込みのタイミングを常に監視していないと受け渡しミスの生じることがある。さらに、エア回路は応答にロス時間を見込む必要があり、反転操作を高速化するときに支障を生じることがある。
この発明は、ワークの反転そのものに厳密なタイミングが要求されず、ワーク反転のための機構が簡単で、かつ、反転作動(180°の回転)を高速化できる転回ユニットの提供を課題とする。また、さらに進んで、180°に限らず、反転を包含する所定の角度に転回できる転回ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ヘッドと間欠駆動機構及び制御機構を備えたユニットとする。
ヘッドは、貫通したワーク配置孔を有するワーク収容部材とこれの両面を開閉できる蓋部材を備えたものとする。
間欠駆動機構は、ヘッドを正転位置、反転位置を含む所定の角度位置との間で転回するものとする。
なお、この明細書において、反転は180°回転した姿勢を意味し、転回は回転によって姿勢を変えることを意味する。また、90°の転回を含むその他の所定角度姿勢への変更を角度転回と称することとする。
制御機構は、ワーク収容部材や蓋部材など、ヘッド構成部材の作動を制御するものであり、次のタイミングとする。
ワークをワーク配置孔に収容して蓋部材で閉じる。ついで、ヘッド全体を回転し、ワーク配置孔に収容したワークを転回する。ワークの受け入れと取り出しは、蓋部材によりワーク配置孔を開閉して行う。すなわち、ワークを受け入れるときは蓋部材を開いて受け入れ、ついで蓋を閉じる。ワークの取り出しは蓋部材を開いて行う。
【発明の効果】
【0006】
ワークの転回を同一個所で行えるので、ワークの受け入れと取り出しを省スペースで行える。
同一個所で転回できるので、PPUなどの先端作業部の移動を単純な一方向とでき、PPUなどの制御や機構を簡単なものとできる。
ワーク配置孔はワークの形状に合わせ、内部で回転が生じない貫通孔でよく、通常単純な形態となるので加工が容易であり、転回ユニットのコストダウンを図ることができる。
間欠駆動機構にステッピングモーターを利用してワーク転回作業の高速化を図ることができる。
ワークの受け渡しが不調となって、ワークの姿勢変更(転回)に失敗するということが生じない。
受け渡しにエア回路を用いないので、制御にエア応答のロス時間を見込む必要がなく、転回操作を高速化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
前記のヘッドにワーク収容部材と第1、第2の蓋部材を設け、間欠駆動機構によりヘッドを正転位置、反転位置とすることを基本とした転回ユニットとする。ワーク収容部材は貫通したワーク配置孔を有し、第1蓋部材はワーク配置孔の一方側開口を開閉する位置にあり、第2蓋部材は他方側の開口を開閉する位置とする。制御機構を備え、制御機構はヘッド構成部材の作動を制御するものであって、ワーク配置孔を第1、第2の蓋部材が開閉するタイミングを、ヘッドが正転位置にあるとき第1蓋部材を開閉し、ヘッドが反転位置にあるとき第2蓋部材を開閉するとともに、ヘッドが反転するときには第1、第2の蓋部材でワーク配置孔を閉じるものとする。
【実施例1】
【0008】
図1は、転回ユニットの一つである転回ユニット1の全体を機構的に示している。転回ユニット1は、本体2とヘッド3、転回駆動モーター4(間歇駆動モーター)、スライド駆動モータ−5を備える。
本体2(図、2,3)は、内部を円筒穴6とした外形角筒のシャーシ7と円筒穴6に収めた主軸8とスライドブロック9、駆動ローラー10、移動リング11、固定リング12及びリニアガイド13(13a,13b)を備える。円筒穴6は、前方(図左)が開放され、後壁に主軸貫通用の孔14が、また、底壁にスライド駆動モーター5のモーターヘッド15が位置する開口16が形成されている。
【0009】
主軸8は、後部を前記の貫通孔14に配置したベアリング17に支持され、前部は後述するヘッド3の部材を介在させて、シャーシ7の開放縁との間に配置したベアリング18によって回転可能に支持される。
スライドブロック9は、スライド軸受け構造により主軸8に支持されると共に回転方向の移動が規制され、且つ、主軸8の軸方向へ往復移動可能とされている。スライドブロック9は、主軸より上部が半円筒形でその前方に移動リング11を一体に有している。移動リング11は、1個の環状リングを上下に分割した上半180°の部分であり、前記半円筒形部分の半円に沿っている。
【0010】
固定リング12は、前記の移動リング11に対向して、前記環状リングの下方180°の部分である。従って、移動リング11と固定リング12を上下に合わせて見ると、垂直方向の同一面にあって環状となる(図3)。
前記スライドブロック9の下面には駆動ローラー10を受け入れるカム溝19が左右方向直線に形成されている(図4)。
リニアガイド13は、主軸8の上面側と下面側に上下対称に配置され、レール部材20が主軸8に固定されてスライド部材21が前後方向へ移動可能となっている(図5)。
【0011】
ヘッド3は第1のスライドプレート22a、第2のスライドプレート22b、第1の蓋部材23aと第2の蓋部材23bおよびワーク収容部材24を備える(図6)。第1の蓋部材23aは上方の第1スライドプレート22aと連結され、第2の蓋部材23bは下方の第2スライドプレート22bと連結されている。これらはワーク収容部材24を挟んで上下対称に配置されている。また、第1、第2のスライドプレート22a、22bはいずれも、後部外面側に前後方向で対向した一対のガイドローラー25a,25bを備えている(図5,6,7)。
ワーク収容部材24は前端部にワーク配置孔26を備え、後端部をスリーブ27に連結している。ワーク配置孔26は、取り扱うワークの形状に合わせた上下方向に貫通した孔である。ワークの形状に合わせるとは、この配置孔26に収容されたワーク収容部材の反転時に配置孔26の内部で回転したり、反転したりしない大きさと形状のことである。
【0012】
転回駆動モーター4はステッピングモーターであり、180°ずつ同じ方向へ間歇的に駆動する(正逆方向に反復回動してもよい)。このモーター4は、モーターヘッド28(図1)を用いて主軸8と連結してある。スライド駆動モーター5もステッピングモーターであり、モーターヘッド15を用いてスライドブロック9と連結してある。このモーターヘッド15は、前記の駆動ローラー10を備え、駆動ローラー10とスライドブロック9下面のカム溝19に嵌合する。
【0013】
ヘッド3は、第1、第2のスライドプレート22a,22bの後部をシャーシ7に差込み、その後部をリニアガイド13におけるスライド部材21の上面と下面に固定する。このとき、上方のスライドプレート22aの一対のガイドローラー25a,25bがその間に本体2側の移動リング11を挟み込んで回動できるようにする。下方のスライドプレートについても同様に一対のガイドローラー25a,25bで、こちらは固定リング12を挟み込んで移動できるように取付ける。
【0014】
ワーク収容部材24は、後部のスリーブ27を主軸8の先端部ヘ固定して本体2に支持される。
リニアガイド13に後部を固定されたヘッド3は、その全体としての中間部に取り付けた軸支部材29により、シャーシ7の開口縁に前記のベアリング18を介して回転可能に軸支される(図8)。これは同時に、主軸8の前部をシャーシ7へ回転可能に軸支することになる。
転回駆動モーター4とスライド駆動モーター5には制御装置30(図1)から次の作動を行うタイミングでそれぞれに所定のパルス量が送られる。この発明では、制御装置30とスライドブロック9など第1、第2の蓋部材23a,23bをスライド移動させるための機構及びヘッド3を回動させるための機構により制御機構が構成されている。
【0015】
図1,2は、第1、第2のスライドプレート22a,22bがもっとも前方へ移動した位置にある。この状態では、スライドプレート22a,22b先端部の蓋部材23a,23bがワーク収容部材24のワーク配置孔26の上方開口及び下方開口を共に閉じている。
また、移動リング11と固定リング12は上下方向で同じ面に位置している。
転回駆動モーター4が駆動されると、ヘッド3が第1、第2の蓋部材23a,23b及びワーク収容部材24ともども回転し、反転される。また、スライド駆動モーター5が駆動されると、駆動ローラー10が回動され、カム溝19との係合でスライドブロック9が前後に移動する。
【0016】
これにより、第1蓋部材23aはヘッド3が正転位置(第1蓋部材23aが上方にあるときを正転位置とする)にあるとき、一対のガイドローラー25a,25bが移動リング11に押され、また、引かれて、上方のスライドプレート22aを介してワーク配置孔26の上方側開口を開閉する。このとき、一方の第2蓋部材23bは、下方のスライドプレート22bのガイドローラー25a,25bが固定リング12と係合しており、前方に突出したままで移動せず、ワーク配置孔26の下方側の開口を閉じて、ワーク配置孔26の底を形成している。
【0017】
第1、第2の蓋部材23a,23bがともにワーク配置孔26を閉じた位置にあるとき、ヘッド3が反転される。すると、これまで上方であった第1のスライドプレート22aと第1蓋部材23aが下方位置となり、下方であった第2のスライドプレート22bと第2蓋部材23bが上方位置となる(逆転位置)。したがって、ワーク収容部材24のワーク配置孔26に収められたワークwはヘッド3の反転と共に表裏反転される。また、反転回動により第2スライドプレート22bのガイドローラー25a,25bは移動リング11と係合し、第1スライドプレート22aのガイドローラー25a,25bは固定リング12と係合する。したがって、逆転位置では第2蓋部材23bが前後に移動してワーク配置孔26を開閉することができ、第1蓋部材23aは、ワーク配置孔26を閉じた位置に維持される。
【0018】
PPUなどに対応させたワークwの反転操作は次の手順となる(図9〜11)。
イ. 転回ユニット1は、第1蓋部材23aを後方へ引き、ワーク収容部材24のワーク配置孔26が開放された待機状態にある。ワーク配置孔26の下方は第2蓋部材23bで閉鎖されている。PPUの吸着ヘッドp(先端作業部)でワークwを吸引し、転回ユニット1のワーク配置孔26にワークwを入れる(図9)。
ロ. PPUの吸着ヘッドpがワークwの保持を解除して上方に退避する。上方の蓋部材23aが前進してワーク配置孔26を閉じる。ワーク配置孔26は上方及び下方の開口が第1、第2の蓋部材23a,23bにより閉鎖されてワークwを内部に閉じ込めた状態となる。
ハ. ついで、主軸8の回転でヘッド3が180°回転して、収容したワークwを反転する。
ニ. 上方となっている第2の蓋部材23bが後方へ引かれ、ワーク配置孔26を開放し、ホ. PPUの吸着ヘッドpにより内部のワークwを取り出す。このワークwは反転されている。
【0019】
実施例1としての特徴は、ワークwの反転が受け入れ個所で行われ、且つ、反転するときはワーク配置孔26が完全に閉じられていることである。これにより、ワークが脱落する恐れがまったくなく、また、PPUの吸着ヘッドpは、ワークwの受け渡しに際しては同じ位置での上下運動だけで良いから、PPU側の機構も簡単になる。
【実施例2】
【0020】
図12,13は第2の実施例であって、全体の機構(図12)とヘッド3の部分(図13)を示している。第2の実施例は概略、シャーシ7、回転ブロック31、上方プレート32a、下方プレート32b、第1蓋部材23a、第2蓋部材23b、ワーク収容部材24及び上面が平らなワーク置き台33を有する。回転ブロック31はその軸を前後方向としてシャーシ7に軸支され、後面側に固定されたプーリー34とタイミングベルト35により図示していない間歇駆動モーターにより駆動される。上下のプレート32a,32bは、後部を回転ブロック31に固定され、前部に第1、第2の蓋部材23a,23bを固定している。第1、第2の蓋部材23a,23bは前後方向の位置を一致させて対向しており、その間隔はワーク収容部材24の厚みにほぼ等しい。
【0021】
ワーク収容部材24はワーク配置孔26を備えて、その後部がスリーブ27を介して主軸8に固定されている。主軸8は回転ブロック31、プーリー34を貫通して後方に突出しており、後端がカップリング36によって図示していないシリンダーのピストンと連結される。主軸8は前後方向に移動するが回転はしない。
ワーク置き台33は、第1、第2の蓋部材の直前にあって、上面の高さが第2蓋部材の上面と同じ高さとされている。
【0022】
実施例2では、第1、第2の蓋部材23a,23bはスライド移動せず、ワーク収容部材24がシリンダーにより主軸8を介して前後にスライド移動する。そして、ワーク収容部材24が前方に移動したときワーク配置孔26がワーク置き台33の上面に位置する。この状態はワーク配置孔26が下方開口をワーク置き台33で塞がれ、上方開口が開放された状態であるから、この状態でワークwの受け入れと取り出しを行う。
【0023】
ワークwの反転操作は次のように行われる。
PPUの吸着ヘッドpによってワークwをワーク配置孔26に入れて吸着ヘッドpが上方へ退避した後(図14イ、ロ)、まず、ワーク収容部材24を後方に移動してワーク配置孔26を第1、第2の蓋部材23a,23bの対向位置とする(図15ハ)。すると、ワーク収容部材24の先端はワーク置き台33の上面を離れ、且つ、ワークwは第1、第2の蓋部材によりワーク配置孔26に閉じ込められた状態となる。
【0024】
ついで、タイミングベルト35、プーリー34を介してヘッド3が回転され、ワークwが反転する(同ニ)。そして、シリンダーにより主軸8を前方へ突き出してワーク収容部材24のワーク配置孔26をワーク置き台33の上面とする(図16ホ)。この状態はワーク置き台33の上面でワーク配置孔26が開放されているから、PPUの吸着ヘッドpが下降してワークwをワーク配置孔26から取出し、上方に搬出する(図16ヘ、ト)。
【0025】
主軸8を前後移動させるには、シリンダーに限らず、モーターを用いたカム機構で行うこともできる。
この実施例では、第1の実施例のようにスライドブロック9を用いないので、機構が簡素になり、ヘッド3を回転可能に軸支する構造を頑丈に、且つ、安定したものとできる特徴がある。
【実施例3】
【0026】
図17、18は、第3の実施例であり、本体2とヘッド3(第1、第2のスライドプレート22a,22bだけ示されている)、転回駆動モーター4及びスライド駆動モーター5を備えている。ヘッド3は全体を図示していないが第1の実施例と同様である。第3の実施例が特徴とするところは、第1の実施例におけるスライドブロック9、移動リング11及び固定リング12による第1蓋部材23a、第2蓋部材23bの前後移動運動を円板カム37で行う構造である。他の構造は、第1の実施例と同様なので、説明を省略する。
【0027】
すなわち、本体2を軸方向に貫通した主軸8に第1スライドスリーブ38と第2スライドスリーブ39を同軸に、それぞれが前後方向へ移動可能に取り付けられている。なお、これらのスリーブ38,39は主軸8と一体に回動しないようシャーシ7の内面とスライド可能に係合して回り止めされている。一方、本体2の底部には円板カム37が縦方向の軸で回動可能に取付けられ、スライド駆動モーター5で駆動されるようになっている。この円板カム37の上面には第1のカム溝40と第2のカム溝41が形成されている。そして、第1のスライドスリーブ38に設けた駆動ローラー42が第1のカム溝40に、第2のスライドスリーブ39に設けた駆動ローラー43が第2のカム溝41にそれぞれ嵌り込んでいる。図は、スライドプレート22a,22bがもっとも前方に移動した状態である。
【0028】
第1のスライドスリーブ38は前部の環状溝44で上方のスライドプレート22aの後部に設けたローラー45と係合し、第2のスライドスリーブ39はやはり前部の環状溝46で下方のスライドプレート22bのローラー47と係合している。
したがって、スライド駆動モーター5が反復回転すると、第1の蓋部材23aと第2の蓋部材23bは交互にワーク配置孔26を開閉し、第1蓋部材23aがワーク配置孔26を開放するとき第2蓋部材23bはワーク配置孔26を閉じている。また、その交互開閉が入れ替わるとき、すなわち、図の状態では第1、第2の蓋部材23a,23bが共にワーク配置孔26を閉じており、この時に転回駆動モーター4でヘッド3を反転させるタイミングとなっている。
ワークを反転操作する手順とタイミングは第1実施例の場合と同様である。
第3の実施例では、第1、第2の蓋部材23a,23bの前後移動を一枚の円板カムで行うので、作動が滑らかであり、また、繰り返し精度が高い特徴がある。
【0029】
さらに、第3の実施例は、次の特徴を有している。
第1の実施例では、第1、第2のスライドプレート22a,22bのガイドローラー25a,25bが移動リング11と固定リング12間を乗り移り移動する構造であるから、前記ガイドローラー25a,25bが移動リングと固定リングの両方に渡ってしまうときは、スライドプレート22a,22bを前後に移動できない。従って、ワークwの転回角度をこのときの角度に設定することができない。また、第2の実施例ではワーク置き台33の上面に第1あるいは第2の蓋部材23a,23bの平面を合わせなくてはならないから、結局は180°の転回角度すなわち反転しかできない。第1、第2の実施例構造は、反転操作に適合したものといえる。
【0030】
しかし、第3の実施例では、スライドプレート22a,22b(第1、第2の蓋部材23a,23b)の前後移動を主軸8の回転から独立した円板カム37で行うので、例えば、転回駆動モーター4、スライド駆動モーター5をステッピングモーターとして、転回駆動モーター4の1回の回転角度とスライド駆動モーター5の回転タイミングを調整することにより、ワークwの転回角度をほぼ任意に設定して蓋部材23a,23bによる開閉を実行することができる。このため、ワーク配置孔26のワークwに対する作業を180°ごとの反転位置にこだわらずに、種々の角度から作業が可能となる。
例えば、ワーク配置孔26に上方からワークwを収容して、第1、第2の蓋部材23a,23bで閉じ、90°転回した位置でワークwの正面を画像検査機で検査し、ついで反転させて背面を同じ画像検査機で検査し、さらに、水平に戻してPPUで取り出し次の工程に搬送するなどのことができる。この結果、高価な画像検査機を2台用意するよりもコスト的にもスペース的にも節約が可能となる。
【0031】
以上実施例を説明した。実施例では転回駆動やスライド駆動のために、ステッピングモーターを利用しているが、高速性を要求されない場合ではエアシリンダーなどを用いることもできる。
本願の発明では、1個のヘッドが回転してワークがその位置で転回される構造が重要である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】全体の機構を概略で示した側面図(第1の実施例)
【図2】本体部を中心とした側面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】本体部の一部断面図
【図5】ヘッド部の斜視図
【0033】
【図6】ヘッド部を機構的に示した側面図
【図7】スライドプレートの平面図
【図8】ヘッド部の正面図
【図9】反転操作の手順を示す斜視図1
【図10】反転操作の手順を示す斜視図2
【図11】反転操作の手順を示す斜視図3
【0034】
【図12】全体の機構を概略で示した側面図(第2の実施例)
【図13】ヘッド部の斜視図
【図14】反転操作の手順を示す斜視図1(第2の実施例)
【図15】反転操作の手順を示す斜視図2
【図16】反転操作の手順を示す斜視図3
【図17】全体の機構を概略で示した側面図(第3の実施例)
【図18】本体部の一部断面図
【符号の説明】
【0035】
1 転回ユニット
2 本体
3 ヘッド
4 転回駆動モーター
5 スライド駆動モーター
6 円筒穴
7 シャーシ
8 主軸
9 スライドブロック
10 駆動ローラー
【0036】
11 移動リング
12 固定リング
13a,13b リニアガイド
14 主軸貫通用孔
15 モーターヘッド(スライド駆動モーターの)
16 開口
17 ベアリング(主軸後部の)
18 ベアリング(シャーシ開口縁s)
19 カム溝
20 レール部材(リニアガイドの)
【0037】
21 スライド部材(リニアガイドの)
22a 第1のスライドプレート
22b 第2のスライドプレート
23a 第1蓋部材
23b 第2蓋部材
24 ワーク収容部材
25a,25b (一対の)ガイドローラー
26 ワーク配置孔
27 スリーブ
28 モーターヘッド(転回駆動モーターの)
29 軸支部材
30 制御装置
【0038】
31 回転ブロック
32a 上方プレート
32b 下方プレート
33 ワーク置き台
34 プーリー
35 タイミングベルト
36 カップリング
37 円板カム
38 第1スライドスリーブ
39 第2スライドスリーブ
40 第1のカム溝
41 第2のカム溝
42 駆動ローラー(第1スライドスリーブの)
43 駆動ローラー(第2スライドスリーブの)
44 環状溝(スライドプレート22aの)
45 ローラー
46 環状溝(スライドプレート22bの)
47 ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通したワーク配置孔を有するワーク収納部材とこれの両面を開閉できる蓋部材を備えたヘッド、ヘッドを正転位置、転回位置とできる間欠駆動機構及びヘッド構成部材の作動を制御する制御機構を備え、ワークをワーク配置孔に収容して蓋部材により閉じ、ヘッドを転回することによりワークを転回し、蓋部材によりワーク配置孔を開閉することでワークの受け入れと取り出しを可能としたことを特徴とする転回ユニット。
【請求項2】
ワーク収納部材と、第1、第2の蓋部材を有するヘッドと、ヘッドを正転位置、及び反転位置とする間欠駆動機構及びヘッド構成部材の作動を制御する制御機構を備え、ワーク収容部材は貫通したワーク配置孔を有し、第1蓋部材はワーク配置孔の一方側開口を開閉する位置にあり、第2蓋部材は他方側の開口を開閉する位置にあり、制御機構は、ヘッドが正転位置にあるとき第1蓋部材を開閉し、ヘッドが反転位置にあるとき第2蓋部材を開閉するとともに、ヘッドが転回するとき第1、第2の蓋部材をともにワーク配置孔を閉じた位置とするタイミングの制御を行うことを特徴としたワーク転回ユニット。
【請求項3】
本体に主軸とヘッドを同軸で回転可能に取付け、主軸を間欠駆動機構に結合すると共にヘッドを制御機構に結合し、主軸前端部をワーク配置孔を設けたワーク収納部材に構成すると共に、ヘッドに、主軸の軸方向へスライド可能な第1、第2のスライドプレートを設け、スライドプレートの前端部に第1、第2の蓋部材を取付けて前記のワーク配置孔の両面をスライド移動により開閉可能とし、第1スライドプレートの後端部を環状リングを上下に2分した一方の移動リングに係合し、他方の固定リングに第2スライドプレートの後端部を係合し、移動リングは本体へ制御機構により前後移動可能に取付け、固定リングは本体の定位置に固定し、第1、第2の蓋部材がワーク配置孔を閉じた前進位置にあるとき、移動リングと固定リングが上下方向で環状面を揃えた位置にあることを特徴とした請求項2に記載のワーク転回装置。
【請求項4】
ワーク置き台と本体及び回転ブロックを備え、本体に主軸とヘッドを同軸で回転可能に取付け、主軸を前後方向スライド機構に結合すると共にヘッドを反転機構に結合し、主軸前端部をワーク配置孔を設けたワーク収納部材に構成し、ヘッドに取付けた第1、第2の蓋部材を、ワーク置き台直後の定位置で反転可能に、かつ、上下の蓋部材の間でワーク収納部材のワーク配置孔が前後にスライド可能な位置に取付け、制御機構により主軸の前後移動がワーク配置孔をワーク置き台上面と第1、第2の蓋部材の間とできる範囲とし、ヘッドの反転をワーク収納部材が後方に移動し、ワーク置き台の上面から退避しているタイミングとしてあることを特徴としたワーク転回装置。
【請求項5】
ワーク収容部材と第1、第2の蓋部材を有するヘッドと、ヘッドを正転位置、角度転回位置及び反転位置とする間欠駆動機構及びヘッド構成部材の作動を制御する制御機構を備え、ワーク収容部材は貫通したワーク配置孔を有し、第1蓋部材はワーク配置孔の一方側開口を開閉する位置にあり、第2蓋部材は他方側の開口を開閉する位置にあり、制御機構は、ヘッドが正転位置及び正転側角度転回位置にあるとき第1蓋部材を開閉し、ヘッドが反転位置及び反転側角度転回位置にあるとき第2蓋部材を開閉するとともに、ヘッドが転回するとき第1、第2の蓋部材をともにワーク配置孔を閉じた位置とするタイミングの制御を行うことを特徴とした請求項1に記載のワーク転回ユニット。
【請求項6】
第1、第2蓋部材の開閉タイミングが、制御機構において間欠駆動機構から機械的に独立して作動が可能な、カム溝式の円盤カムによって達成されていることを特徴とした請求項5に記載のワーク転回装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−103880(P2006−103880A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292765(P2004−292765)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000137351)株式会社マシンエンジニアリング (14)
【Fターム(参考)】