説明

透明フィルム外観検査システム

【課題】透明フィルム外観検査システムにおいて、簡単な構成により、透明フィルムや半透明フィルムにおける目視による発見が困難な欠陥に対し、その欠陥場所やその他情報を効率よく人に認識させることができるようにする。
【解決手段】外観検査システム1は、巻出し搬送される透明な帯状フィルム2の外観検査を行うシステムであり、フィルム2の巻出し搬送を行うフィルム搬送機構3と、フィルム搬送中にフィルム2の外観を撮像する撮像部4と、撮像した画像を処理してフィルム2の欠陥を検出する欠陥検出部5と、検出された欠陥データを記憶する欠陥データ記憶部6と、記憶された欠陥データを提示する欠陥提示部7と、を備える。欠陥提示部7は、巻出し搬送されるフィルム2の欠陥位置に対応して当該フィルム2の背面側に欠陥データを提示する。検査作業員は、リアルタイムで現物のフィルム上において、システム1が外観検査した結果を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻出し搬送される透明な帯状フィルムの外観検査を行うための外観検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外観検査システムによるフィルム表面の外観検査の自動化が行われており、その自動化には検査システムにおける検出レベルの調整が必要である。例えば、人間の目による判断を外観検査の基準とする場合、外観検査システム立上げ時や定期的な確認のために、人がその欠陥部を見て自動検出のためのレベル調整や欠陥検出の良否判定をする必要がある。この場合、人の検出レベルとシステムの外観検査の検出レベルとの調整は必須であって省略することができない。
【0003】
そこで、外観検査システムによって検査された製品を、自動検査後に人間が目視検査することが考えられる。この場合、人間が個々の欠陥レベルを判定する作業を行う際、欠陥位置、種類、大きさなどの情報が、外観検査システムによって数値データによって提示されたとしても、当該箇所を製品上に発見することは非常に時間を要する作業となる。そこで、外観検査システムによる検査時に、フィルムそのものに欠陥位置が分かるように当該箇所にインクでマーキング処理したり、フィルム中の製品部分以外の端部などに当該箇所がわかるデータが記入されたタグを貼り付けたりすることが考えられる。
【0004】
ところが、上述のマーキング処理を行う場合、一旦、フィルムにマーキングしてしまうと、システム側が欠陥とした部分を人が再判定によって良品判定としても、その部分はマーキングのせいで製品としての機能を失ってしまうという問題がある。これは、外観検査システムにおいて欠陥と認識したものでも、最終的な欠陥のレベルを判定するのは人間であり、人の肉眼で確認できるかとうか微妙な低コントラストのもとで微細な欠陥の位置を見つけるためのマーキングであり、良品判定となる可能性を含んでいることによる。
【0005】
また、製品部分にマーキングするのではなく、データが記入されたタグなどを頼りにして欠陥部を探すことは、やはり非常に時間を要することになる。そこで、当該欠陥箇所に取り外し可能なようにタグ付けすると、やはり、取り外し可能であっても接着させる糊などの影響をうけたり、フィルムをロール状に巻き取ったときにタグの厚みによってフィルムに凹凸変形ができたりするという問題がある。
【0006】
ところで、走行中の帯状物の表面欠陥を画像検出装置で光学的に検出し、その検出された欠陥画像の特徴量と、目視検査員による目視判定情報とから欠陥の程度及び種類の判別アルゴリズムを作成する機能を持つ表面検査装置が知られている。この装置では、画像検出装置で検出された表面欠陥は、走行する帯状物の下流側で目視検査員によってリアルタイムで目視判定され、その情報が表面検査装置に送られる。この場合、目視検査員が表面欠陥を検出し易いように、走行する目視検査エリアの周囲の線が、ライトポインタによって周囲よりも明るく連続照射される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平05−149890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような表面検査装置の技術は、これを透明フィルムの外観検査に適用する場合、次のような問題がある。すなわち、透明フィルムの場合、目視検査エリアを周囲より明るくするためライトポインタによって照射しても、フィルムが透明であるため効果的に目視検査エリアを示すことができない。
【0008】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、透明フィルムや半透明フィルムにおける目視による発見が困難な欠陥に対し、その欠陥場所やその他情報を効率よく人に認識させることができる透明フィルム外観検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、巻出し搬送される透明な帯状フィルムの外観検査システムにおいて、フィルムの巻出し搬送を行うフィルム搬送機構と、前記フィルム搬送機構によるフィルム搬送中にフィルム外観を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像した画像を処理してフィルムの欠陥を検出する欠陥検出部と、前記欠陥検出部により検出された欠陥データを記憶する欠陥データ記憶部と、前記欠陥データ記憶部に記憶された欠陥データを提示する欠陥提示部と、を備え、前記欠陥提示部は、前記フィルム搬送機構によって巻出し搬送されるフィルムの欠陥位置に対応して当該フィルムの背面側に前記欠陥データを提示するものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の透明フィルム外観検査システムにおいて、前記欠陥提示部は、フィルム背面に配置される投影板と、前記欠陥データの画像を前記投影板に投影する投影装置と、を備えたものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の透明フィルム外観検査システムにおいて、前記欠陥提示部は、フィルム背面に配置され、前記欠陥データの画像を表示するモニタ装置である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システムにおいて、前記フィルム搬送機構は、フィルムの巻出し量を検知するセンサを備え、前記欠陥提示部は、前記センサによって検知された巻出し量に基づいてフィルム搬送に同期させて前記欠陥データの提示を行うものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システムにおいて、前記欠陥提示部によって提示される欠陥データを予め設定した区分に応じて選択する提示データ選択部を備えるものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システムにおいて、前記欠陥提示部は、欠陥データの区分に応じて定めた表示色や表示図形を用いて欠陥データを提示するものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、巻出し搬送されるフィルムの欠陥位置に対応して当該フィルムの背面側に欠陥データを欠陥提示部によって提示するので、フィルムの被検査部を傷つけることなく、欠陥情報を検査員に提供することができる。外観検査員は、提示される欠陥データをフィルムを透して読み取ることができ、同時にリアルタイムで、その欠陥データによって示される欠陥を現物のフィルムにおいて確認することができる。従って、透明フィルムや半透明フィルムにおける目視による発見が困難な低コントラスト欠陥に対し、フィルムが透明であることを有効に利用して、その欠陥場所やその他情報を効率よく容易に人に認識させることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、フィルム背面側に配置した投影板に欠陥データを容易に投影描画でき、視認性良く欠陥データを提示できる。また、投影板の色や照明を、フィルムや欠陥の特性に合わせて調整することにより、低コントラスト欠陥に対して、より認識容易とすることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、モニタ装置の表示画面に、欠陥データの情報やイメージを、投影装置などのように空間を介することなく、直接描画することができるので、簡単な配置設定や操作によって欠陥データを提示できる。また、投影装置を用いる場合には投影光の光源が外観検査員側にあるので、投影光を遮ることなく投影像を正対視できないのに対し、モニタ装置を用いる場合には、モニタ画面を正対視できるので、フィルム上の欠陥を任意の角度から観察して検査することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、透明フィルム外観検査システムの欠陥検出部が検出した欠陥を欠陥提示部が提示する際に、欠陥の位置を位置精度良く提示できる。すなわち、本システムは、搬送されるフィルムの上流側で撮像された画像について欠陥検出部が欠陥を検出し、下流側に移動した撮像部位について欠陥の位置を欠陥提示部が提示するものであり、センサによってフィルムの巻出し量を検知することにより、欠陥の下流側への移動量をより確実に把握して欠陥位置提示の位置合わせ精度を向上できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、欠陥提示の目的に合わせて欠陥データを提示できるので、欠陥場所やその他情報を効率よく人に認識させることができる。従って、外観検査員は、目視によって検査したい特定の欠陥に絞って観察することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、欠陥データの区分に応じて定めた表示色や表示図形を用いて欠陥データを提示するので、視認性のよい欠陥データの提示ができる。例えば、特定の欠陥を、強調したり、また、欠陥の形状や種別を一目で識別し易く提示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムについて、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要を示し、図2は同システムのブロック構成を示す。外観検査システム1は、巻出し搬送される透明な帯状フィルムの外観を検査するシステムであって、システムが外観検査した結果を、検査作業員がリアルタイムで現物のフィルム上において確認できるように、少なくとも欠陥の位置が分かるように欠陥データを提示することができるシステムである。
【0023】
外観検査システム1は、フィルム2の巻出し搬送を行うフィルム搬送機構3と、フィルム搬送機構3によるフィルム搬送中にフィルム2の外観を撮像する撮像部4と、撮像部4によって撮像した画像を処理してフィルム2の欠陥を検出する欠陥検出部5と、欠陥検出部5により検出された欠陥データを記憶する欠陥データ記憶部6と、欠陥データ記憶部6に記憶された欠陥データを提示する欠陥提示部7と、を備えている。
【0024】
外観検査システム1は、また、中央制御部10を備えており、中央制御部10によって、システム各部が制御される。中央制御部10は、汎用の電子計算機によって構成することができる。また、特に、欠陥検出部5や欠陥データ記憶部6などは、CPUやメモリや外部記憶装置や表示装置や入力装置などを備えた一般的な構成の電子計算機上のプロセス又は機能の集合として構成することができる。
【0025】
フィルム搬送機構3は、供給側の巻出しローラ3a、搬送途中のテンションローラ3b,3c、回転駆動される回収側の巻取りローラ3dを備えて構成される。フィルム2は、巻き取りローラ3dの回転によって、定常状態において一定の速度Vで搬送される。
【0026】
撮像部4は、速度Vで走行する帯状フィルム2の外観をその全幅にわたって撮像するラインカメラを備えて構成される。撮像された画像は、中央制御部10に送られて、欠陥検出部5によって欠陥の検出や区分分けなどの処理が行われる。
【0027】
欠陥検出部5は、一般に広く行われている画像処理に基づいて、フィルム2の表面や内部における、傷、変色、凹凸、異物などの欠陥を検出する。検出された欠陥は、欠陥の大きさや種類、フィルム2上の位置座標などを含む欠陥データとして分類されて、欠陥データ記憶部6に記憶される。欠陥データ記憶部6は、電子計算機に付属したメモリによって構成される。欠陥データには、フィルム上の欠陥位置、欠陥の種類、大きさなどが含まれる。
【0028】
欠陥提示部7は、フィルム搬送機構3によって巻出し搬送されるフィルム2の欠陥位置に対応して、その搬送方向の下流側において、当該フィルム2の背面側に欠陥データを提示する。すなわち、欠陥提示部7は、フィルム2の背面に配置される投影板72と、欠陥データの画像を投影板72に投影する投影装置71と、を備えている。
【0029】
上記構成のもとで、撮像部4で撮像された画像は、その撮像されたフィルム上の部位が距離Lだけ搬送される間に欠陥検出部5によって処理され、欠陥が検出されれば、検出された欠陥データは欠陥データ記憶部6に記憶される。さらに、欠陥提示部7は、前述の距離Lだけ離れた位置において、検出された欠陥位置がフィルム上で分かるように、フィルム上の欠陥の移動に同期させて欠陥データを提示する。従って、欠陥提示部7が提示する欠陥データは、フィルム2の搬送速度Vで搬送方向に移動する動画となっている。
【0030】
検査員は、矢印pで示すように、フィルム2上の欠陥を、提示された欠陥データに基づいて容易に位置を見つけ、実際の欠陥を検査することができる。なお、撮像してから投影するまでの投影時間の遅れT、投影板72の設置された投影部までの距離L、およびフィルム搬送速度Vは、T=L/Vの関係がある。
【0031】
本実施形態の透明フィルム外観検査システム1によれば、巻出し搬送されるフィルム2の欠陥位置に対応して当該フィルム2の背面側に欠陥データを欠陥提示部7によって提示するので、フィルム2の被検査部を傷つけることなく、欠陥情報を検査員に提供することができる。外観検査員は、提示される欠陥データをフィルムを透して読み取ることができ、同時にリアルタイムで、その欠陥データによって示される欠陥を現物のフィルム2において確認することができる。従って、透明フィルムや半透明フィルムにおける目視による発見が困難な低コントラスト欠陥に対し、フィルム2が透明または半透明であることを利用して、その欠陥場所やその他情報を効率よく容易に人に認識させることができる。
【0032】
また、フィルム背面側に配置した投影板72に欠陥データを容易に投影描画でき、視認性良く欠陥データを提示できる。投影板72の色や照明を、フィルム2や欠陥の特性に合わせて調整することにより、低コントラスト欠陥に対して、より認識容易とすることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図3は第2の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要を示す。本実施形態の透明フィルム外観検査システム1は、第1の実施形態とは、欠陥提示部7の構成が異なり、他の点は第1の実施形態と同様である。すなわち、透明フィルム外観検査システム1において、欠陥提示部7は、表示画面73をフィルム2の背面に配置し、その表示画面73に欠陥データの画像を表示するモニタ装置で構成されている。
【0034】
本実施形態の透明フィルム外観検査システム1によれば、モニタ装置の表示画面73に、欠陥データの情報やイメージを、第1の実施形態における投影装置71などのように空間を介することなく、直接描画することができるので、簡単な配置設定や操作によって欠陥データを提示できる。また、投影装置71を用いる場合には投影光の光源が外観検査員側(図1ではフィルム2の上方側)にあるので、投影光を遮ることなく投影像を正対視できないのに対し、本実施形態のようにモニタ装置を用いる場合には、モニタ画面(表示画面73)を、矢印qで示すように正対視できるので、フィルム上の欠陥を任意の角度から観察してより確実に検査することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図4は第3の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要を示し、図5は同システムのブロック構成を示す。本実施形態の透明フィルム外観検査システム1は、第1または第2の実施形態において、フィルムの搬送に従って走行する欠陥部位とその欠陥部位の移動に同期して欠陥データを提示する際の同期の精度を向上させるものであり、他の点は第1の実施形態と同様である。
【0036】
すなわち、本実施形態の透明フィルム外観検査システム1は、フィルム搬送機構3に、フィルム2の巻出し量を検知するセンサ31を備えており、欠陥提示部7は、センサ31によって検知された巻出し量に基づいてフィルム2の搬送に同期させて欠陥データの提示を行う。なお、図4には、第1の実施形態における外観検査システム1について、センサ31を付加した例を示したが、第2の実施形態についても同様に構成できる。
【0037】
センサ31は、テンションローラ3cの回転数を検知するエンコーダを用いて構成され、エンコーダの信号に基づいて、フィルムがどれだけ巻き出されるかを検知する。テンションローラ3cの直径と、その回転数からフィルム2の巻き出し量Xを求めることは容易であり、(巻出し量X)=(回転数)×π×(直径)、の計算式によって求められる。
【0038】
本実施形態の透明フィルム外観検査システム1によれば、欠陥検出部5が検出した欠陥を欠陥提示部7が提示する際に、欠陥の位置を位置精度良く提示できる。すなわち、本システムは、搬送されるフィルム2の上流側で撮像された画像について欠陥検出部5が欠陥を検出し、下流側に移動した撮像部位について欠陥の位置を欠陥提示部7が提示するものであり、センサ31によってフィルムの巻出し量を検知することにより、欠陥の下流側への移動量をより確実に把握して欠陥位置提示の位置合わせ精度を向上できる。
【0039】
(第4の実施形態)
図6は第4の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムのブロック構成を示し、図7は同システムで用いられる欠陥データ区分の例を示し、図8は同システムにより欠陥データが提示されたフィルムを示す。本実施形態の透明フィルム外観検査システム1は、上述の第1乃至第3の実施形態における透明フィルム外観検査システムにおいて、欠陥提示部7によって提示される欠陥データを予め設定した区分に応じて選択する提示データ選択部8を、さらに備えるものであり、他の点は同様である。
【0040】
上述の提示データ選択部8は、欠陥を区分するためのデータ(欠陥区分データ)を有しており、そのデータに基づいて、欠陥データ記憶部6に記憶されている各欠陥データに対する提示方法を選択する。
【0041】
欠陥区分データは、図7に示すように、欄aにおける欠陥の名称A,B,Cなど、欄bにおける欠陥重篤度(重軽度)の区分を示す重欠陥、中欠陥、軽欠陥など、欄cにおける表示図形(マーク)と表示色、欄dにおける欠陥の特徴的な寸法、などを備えて構成されている。図7の場合、赤い○印マークによって欠陥データが提示されると、そのマークによって、「提示された欠陥は、欠陥名称A、重欠陥、大きさ10mmである」、と特定される。
【0042】
欠陥提示部7は、図8に示すように、欠陥区分データにおける欠陥データの区分に応じて提示データ選択部8が選択した表示色や表示図形を用いて、投影板72(または、表示画面73)に、欠陥データを提示する。例えば、それぞれ表示色を有する円マークd1、星形マークd3によって、欠陥の位置や区分が視覚的に示され、文字データd2,d4によって、欠陥の位置と欠陥名称が示されている。欠陥の位置を数値的に示す場合、フィルム2に対して設定されたフィルム幅方向のX座標、フィルム搬送方向のY座標、を用いて、(x,y)座標値によって示すことができる。このXY座標系は、フィルム2に固定された座標系とすることができる。これにより、座標値に基づいて欠陥場所を特定でき、後工程におけるフィルム2の製品化や再検査に際して、欠陥データを有効利用できる。
【0043】
本実施形態の透明フィルム外観検査システム1によれば、欠陥データを予め設定した区分に応じて選択する提示データ選択部8を備えたので、欠陥提示の目的に合わせて選択した欠陥データを提示でき、欠陥場所やその他情報を効率よく人に認識させることができる。従って、外観検査員は、目視によって検査したい特定の欠陥に絞って欠陥を観察することができる。
【0044】
また、欠陥データの区分に応じて定めた表示色や表示図形を用いて欠陥データを提示するので、視認性のよい欠陥データの提示ができる。例えば、特定の欠陥を、強調したり、また、欠陥の形状や種別を一目で識別し易く提示できる。
【0045】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を矛盾のない範囲で互いに組み合わせた構成とすることができ、そのような組合せ可能な構成の実施形態は明記されていなくても当然に本発明に含まれる。撮像部4による撮像に際して、透明フィルム2の背面に遮光板や反射板などを配置して、欠陥のコントラストを際立たせるようにしてもよい。また、撮像のための照明光として偏光を用いたり、撮像部4に偏光フィルタを備えたりしてもよい。
【0046】
また、本発明は、透明乃至半透明のフィルムに対して効果的に欠陥データを提示するものであるが、フィルム透明性が低い場合は、背面における提示でなくフィルムそのものの表面側に欠陥データを投影表示することができる。また、フィルムの投光度の応じて、フィルムの表面側と背面側の両面から、欠陥データの提示を行うようにしてもよい。
【0047】
また、撮像部4のラインカメラとして複数のラインカメラを設けて、それぞれ受光条件を変えた画像を同時に撮像するようにしてもよい。この場合、欠陥検出部5においては、それぞれの画像に対して画像処理を行ったり、その結果を互いに相関処理したりして欠陥を検出できる。また、撮像部4のカメラとして、エリアカメラを用いることもできる。また、欠陥データの提示に際して、点滅表示や音声報知の援用などを行うことができる。また検査員による目視検査結果は、中央制御部10に入力して保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要図。
【図2】同上システムのブロック構成図。
【図3】第2の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要図。
【図4】第3の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムの概要図。
【図5】同上システムのブロック構成図。
【図6】第4の実施形態に係る透明フィルム外観検査システムのブロック構成図。
【図7】同上システムで用いられる欠陥データ区分の例を示す図。
【図8】同上システムによる欠陥データ提示の例を示すフィルムの平面図。
【符号の説明】
【0049】
1 透明フィルム外観検査システム
2 フィルム
3 フィルム搬送機構
4 撮像部
5 欠陥検出部
6 欠陥データ記憶部
7 欠陥提示部
8 提示データ選択部
31 センサ
71 投影装置
72 投影板
73 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻出し搬送される透明な帯状フィルムの外観検査システムにおいて、
フィルムの巻出し搬送を行うフィルム搬送機構と、
前記フィルム搬送機構によるフィルム搬送中にフィルム外観を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像した画像を処理してフィルムの欠陥を検出する欠陥検出部と、
前記欠陥検出部により検出された欠陥データを記憶する欠陥データ記憶部と、
前記欠陥データ記憶部に記憶された欠陥データを提示する欠陥提示部と、を備え、
前記欠陥提示部は、前記フィルム搬送機構によって巻出し搬送されるフィルムの欠陥位置に対応して当該フィルムの背面側に前記欠陥データを提示することを特徴とする透明フィルム外観検査システム。
【請求項2】
前記欠陥提示部は、フィルム背面に配置される投影板と、前記欠陥データの画像を前記投影板に投影する投影装置と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の透明フィルム外観検査システム。
【請求項3】
前記欠陥提示部は、フィルム背面に配置され、前記欠陥データの画像を表示するモニタ装置であることを特徴とする請求項1に記載の透明フィルム外観検査システム。
【請求項4】
前記フィルム搬送機構は、フィルムの巻出し量を検知するセンサを備え、
前記欠陥提示部は、前記センサによって検知された巻出し量に基づいてフィルム搬送に同期させて前記欠陥データの提示を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システム。
【請求項5】
前記欠陥提示部によって提示される欠陥データを予め設定した区分に応じて選択する提示データ選択部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システム。
【請求項6】
前記欠陥提示部は、欠陥データの区分に応じて定めた表示色や表示図形を用いて欠陥データを提示することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の透明フィルム外観検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−53122(P2009−53122A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221897(P2007−221897)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】