説明

通信基地局、その制御方法、その制御プログラム及び記録媒体、及び、測位装置

【課題】通信基地局と通信可能な測位装置に対して、通信基地局におけるコードフェーズを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、通信基地局におけるコードフェーズを提供することができる通信基地局等を提供すること。
【解決手段】通信基地局40は、測位装置20との間を通信電波が伝播する伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価手段と、各衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出手段と、通信基地局40が算出したコードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出手段と、差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価手段と、差分評価手段によって、差分がマルチパス影響範囲内であると判断した場合に、通信基地局40が算出したコードフェーズを測位装置20に送信する補正値送信手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位の補助をする通信基地局、その制御方法、その制御プログラム及び記録媒体、及び、測位装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星を利用した衛星航法システムであるSPS(Satellite Positioning System)を利用して測位装置の現在位置を測位する測位システムが実用化されている(特開平10−339772号公報等参照)。
ところが、測位装置は、衛星からの電波が建築物等に反射した間接波(以後、マルチパスと呼ぶ)が直接波に干渉した状態の電波を受信する場合がある。マルチパスは建築物等に反射する分、測位装置への到達が遅くなる。このマルチパスが直接波に干渉する結果として相関ピーク値がずれて、測位演算に大きな誤差が発生するという問題がある。なお、本明細書において、マルチパスが発生し易い環境をマルチパス環境と呼ぶ。
これに関連して、携帯電話機と一体になった測位装置について、通信基地局の位置が衛星電波を使用して算出した位置よりも精度が高いと判断した場合に、通信基地局の位置を利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、通信基地局で算出したC/A(Coarse and Acquisition)コードのコードフェーズを、測位装置のコードフェーズとして使用することも考えられる。
【特許文献1】特開2006−109355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、通信基地局の位置は固定であるから、携帯電話と一体となった測位装置が移動中においては、特許文献1の技術によって出力される位置は不都合な場合がある。
また、通信基地局で算出したC/Aコードのコードフェーズは、測位装置の位置における真のコードフェーズとは異なるはずであるから、測位装置が通信基地局と通信可能であるという根拠だけで、一律に、通信基地局におけるコードフェーズを測位装置におけるコードフェーズとして使用すると、測位位置の精度が劣化する場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、通信基地局と通信可能な測位装置に対して、通信基地局におけるコードフェーズを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、通信基地局におけるコードフェーズを提供することができる通信基地局、その制御方法、その制御プログラム及び記録媒体、及び、測位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局であって、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出手段と、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価手段と、前記衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出手段と、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信手段と、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出手段と、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価手段と、前記差分評価手段によって、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信手段と、を有することを特徴とする通信基地局により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記通信基地局は、前記伝播時間評価手段によって、前記伝播時間が前記時間許容範囲内か否かを判断することができる。このため、前記通信基地局は、前記測位装置が、前記通信基地局の通信領域(セル)内にあるということだけではなくて、前記通信基地局に近接した位置にあるか否かを認識することができる。
そして、前記通信基地局は、前記差分算出手段によって、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出することができる。ここで、前記通信基地局と前記測位装置は、近接している場合であっても、その真の位置は異なるのが通常であるから、前記差分には、真の位置の相違による差分と、マルチパス以外による誤差による差分と、マルチパスによる誤差による差分が含まれる可能性がある。
そして、前記通信基地局は、前記差分評価手段によって、前記差分がマルチパス影響範囲内か否かを判断することができる。すなわち、前記通信基地局は、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの間に差分があるというだけではなくて、その差分が、前記マルチパス影響範囲内であるか否かを判断することができる。
そして、前記通信基地局は、前記補正値送信手段を有するから、前記差分評価手段によって、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信することができる。
上述のように、前記通信基地局は、前記測位装置が前記通信基地局に近接した位置にあるか否かを認識することができるから、前記測位装置が前記通信基地局に近接した位置にあるという条件を満たし、かつ、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信することができる。前記測位装置が前記通信基地局に極めて近接した位置にあるという条件を満たせば、前記測位側コードフェーズはマルチパスの影響を受けていないとすれば、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズとほぼ同一のはずである。このため、前記測位装置が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを測位に使用することは妥当である。また、前記測位装置がマルチパスの信号を使用して算出した前記測位側コードフェーズを使用するのではなくて、近接する前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを測位に使用することは妥当である。すなわち、前記測位装置の測位精度が向上する可能性が大きい。
これにより、通信基地局と通信可能な測位装置に対して、通信基地局におけるコードフェーズを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、通信基地局におけるコードフェーズを提供することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記時間許容範囲は、前記通信基地局と前記測位装置との位置が、ほぼ同一であるとみなすことができる程度に近接している場合の時間範囲として規定されていることを特徴とする通信基地局である。
【0008】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記マルチパス影響範囲は、前記時間許容範囲分の距離と、前記測位側コードフェーズの算出誤差を考慮して規定されていることを特徴とする通信基地局である。
【0009】
第3の発明の構成によれば、前記通信基地局は、前記測位側コードフェーズがマルチパスの影響を受けているか否かを、確実に判断することができる。
【0010】
前記目的は、第4の発明によれば、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、を有することを特徴とする通信基地局の制御方法によって達成される。
【0011】
第4の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、通信基地局と通信可能な測位装置に対して、通信基地局におけるコードフェーズを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、通信基地局におけるコードフェーズを提供することができる。
【0012】
前記目的は、第5の発明によれば、コンピュータに、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、を有することを特徴とする通信基地局の制御プログラムによって達成される。
【0013】
前記目的は、第6の発明によれば、コンピュータに、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、 前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、 前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、を有することを特徴とする通信基地局の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【0014】
前記目的は、第7の発明によれば、固定位置に位置する通信基地局と通信可能であり、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置であって、前記通信基地局によって前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間が予め規定した時間許容範囲内であると判断され、さらに、前記通信基地局が前記通信基地局が前記衛星信号を受信して算出したコードフェーズと前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズとの差分が算出され、さらに、前記差分がマルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内である場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを受信して、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズ及び前記測位側コードフェーズを使用して測位を行うことを特徴とする測位装置によって達成される。
【0015】
第7の発明の構成によれば、前記測位装置は、通信基地局におけるコードフェーズを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、通信基地局におけるコードフェーズを受信して、測位に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の測位システム10を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、GPS(Global Positioning System)衛星12a,12b,12c,12d,12e及び12fを有する。GPS衛星12a等は、それぞれ電波S1,S2,S3,S4,S5及びS6を送信することができる。GPS衛星12a等は測位衛星の一例である。
なお、測位衛星は、GPS衛星に限らず、広くSPSにおいて使用される衛星であってもよい。SPSは、GPSの他に、例えば、Galileo、準天頂衛星等を含む。
電波S1等には各種のコード(符号)が乗せられている。そのうちの一つがC/Aコードである。このC/Aコードは、1.023Mbpsのビット率、1,023bit(=1msec)のビット長の信号である。C/AコードScaは、1,023チップ(chip)で構成されている。C/Aコードは、衛星信号の一例である。
【0018】
測位システム10は、また、端末20A及び端末20Bを有する。端末20A及び端末20Bを総称して、端末20と呼ぶ。
端末20は、測位機能を有する携帯電話機であり、C/Aコードを使用して現在位置を測位することができる。端末20は、測位装置の一例である。
【0019】
端末20は、例えば、3個以上の異なるGPS衛星12a等からのC/Aコードのコードフェーズ(位相)を特定して、各GPS衛星12a等と端末15との擬似距離を算出し、その擬似距離を使用して現在位置を測位することができるようになっている。
【0020】
図2は、測位方法の一例を示す概念図である。
図2に示すように、例えば、GPS衛星12aと端末20との間には、C/Aコードが連続的に並んでいると観念することができる。そして、GPS衛星12aと端末20との間の距離は、C/Aコードの長さ(約300キロメートル(km))の整数倍とは限らないから、コード端数部C/Aaが存在する。つまり、GPS衛星12aと端末20との間には、C/Aコードの整数倍の部分と、端数部分が存在する。C/Aコードの整数倍の部分と端数部分の合計の長さが擬似距離である。端末20は、3個以上のGPS衛星12a等についての擬似距離を使用して測位を行う。
本明細書において、C/Aコードの端数部C/Aaをコードフェーズ(位相)と呼ぶ。コードフェーズは、例えば、C/Aコードの1,023あるチップの何番目かで示すこともできるし、距離に換算して示すこともできる。
【0021】
GPS衛星12aの軌道上の位置はエフェメリスを使用して算出可能である。エフェメリスは、電波S1等に乗せられている各GPS衛星12a等の精密な軌道を示す情報である。そして、例えば、GPS衛星12aの軌道上の位置と初期位置Q0(図示せず)との距離を算出すれば、C/Aコードの整数倍の部分を特定することができる。なお、C/Aコードの長さが約300キロメートル(km)であるから、初期位置Q0の位置誤差は、150キロメートル(km)以内である必要がある。
【0022】
端末20は、コヒーレント処理及びインコヒーレント処理で構成される相関処理を行う。
端末20は、コヒーレント処理において、コヒーレント時間が5msecであれば、5msecの時間において同期積算したC/AコードとレプリカC/Aコードとの相関値等を算出する。コヒーレント処理の結果、相関をとったときのコードフェーズと、相関値が出力される。
端末20は、インコヒーレント処理において、コヒーレント結果の相関値を積算することによって、相関積算値(インコヒーレント値)を算出する。
相関積算値が最大になったコードフェーズがコード端数C/Aaである。
【0023】
測位システム10は、また、基地局40を有する。基地局40は、端末20と通信可能である。基地局40は、携帯電話システムにおける通信基地局であって、固定位置に位置する。この固定位置の座標は既知である。基地局40が位置する固定位置は、周辺に障害物がないオープンスカイの環境である。このため、基地局40は、例えば、GPS衛星12cから、直接波r1として電波S3を受信することができる。基地局40は、通信基地局の一例である。
基地局40は、専用回線65を介して端末20と他の端末の通信の仲介を行うことができる。
基地局40は、GPS受信機42を有し、GPS衛星12a等から電波S1等を受信することができる。
そして、基地局40は、C/Aコードのコードフェーズを算出することができる。
【0024】
ここで、端末20Aの位置のように周辺に障害物がない場合には、例えば、電波S3は、端末20Aに直接波r2として到達する。
これに対して、端末20Bの位置のように周辺にビル13A及び13Bのような障害物がある場合には、例えば、電波S3は、ビル13Bに反射して、間接波(マルチパス)r3として端末20Bに到達する。
マルチパスr3の場合、直接波よりも伝播経路が長いから、端末20Bはコードフェーズを直接波の場合よりも長く算出する。この結果、測位位置の精度が劣化する。
【0025】
これに対して、基地局40は、直接波r1を受信して算出したコードフェーズと、通信電波が基地局40と端末20を往復するまでの時間(RTT(Round Trip Time))が所定の要件を満たした場合にのみ、端末20Bがマルチパスの影響を受けて算出したコードフェーズを補正するために、基地局40が算出したコードフェーズを送信することによって、端末20Bが高精度の測位を行うための補助を行うことができる。
なお、通信電波の伝播速度は既知である(光速)であるから、基地局40は、RTTを使用して、基地局40と端末20Bとの距離dを算出することができる。
また、基地局40は、通信電波を、例えば、4つのアンテナ(図示せず)を使用して送受信している。4つのアンテナは、例えば、それぞれ東西南北という4つの異なる方向に通信電波を送信し、端末20からの通信電波を受信する。そして、基地局40は、通信中の端末20が、どの方向の基地局40のアンテナからの通信電波を受信しているかについて、認識できるように構成されている。
【0026】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図3は端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末20は、バス22を有する。
【0027】
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置28、電源装置30、通信装置32、GPS装置34が接続されている。端末20は、GPS装置34によって、電波S1等を受信することができる。
また、このバス22には、各種情報を表示するための表示装置36が接続されている。
【0028】
(基地局40の主なハードウエア構成について)
図4は基地局40の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、基地局40は、バス42を有する。
【0029】
このバス42には、CPU44、記憶装置46、外部記憶装置48等が接続されている。外部記憶装置48は例えば、HDD(Hard Disk Drive)等である。
また、このバス42には、各種情報等を入力するための入力装置50、電源装置52、通信装置54、GPS装置56、表示装置58及び時計60が接続されている。
なお、基地局40は、特定の端末20が、4つのアンテナのうちどのアンテナを使用して通信電波を送受信しているかを認識することができる。
基地局40は、時計60によって、RTT(図1参照)を計測することができる。
【0030】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図5は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図5に示すように、端末20は、各部を制御する端末制御部100、図3の通信装置32に対応する通信部102、GPS装置34に対応するGPS部104、表示装置36に対応する表示部106等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
【0031】
図5に示すように、端末20は、第2記憶部150に、衛星軌道情報152を格納している。衛星軌道情報152は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを含む。
アルマナック152aは、すべてのGPS衛星12a等(図1参照)の概略の軌道を示す情報である。アルマナック152aは、いずれのGPS衛星12a等の信号G1等からも、デコードして取得することができる。
エフェメリス152bは、各GPS衛星12a等(図1参照)の精密な軌道を示す情報である。例えば、GPS衛星12aのエフェメリス152bを取得するためには、GPS衛星12aからの信号G1を受信し、デコードして取得する必要がある。
端末20は、衛星軌道情報152を、測位のために使用する。
【0032】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、衛星信号受信プログラム112を格納している。衛星信号受信プログラム112は、制御部100が、GPS衛星12a等から、電波S1等を受信するためのプログラムである。
具体的には、制御部100は、アルマナック152aを参照して、現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を判断し、観測可能なGPS衛星12a等からの電波S1等を受信する。このとき、基準となる自己位置は、例えば、基地局40の位置を使用する。端末20は、基地局40の位置を示す情報を、通信中の基地局40から取得することができる。
【0033】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、コードフェーズ算出プログラム114を格納している。コードフェーズ算出プログラム114は、端末制御部100が、GPS衛星12a等ごとのC/Aコードのコードフェーズを算出するためのプログラムである。
端末制御部100は、例えば、GPS衛星12aについてのコードフェーズCPm1、GPS衛星12bについてのコードフェーズCPm2、GPS衛星12cについてのコードフェーズCPm3、GPS衛星12dについてのコードフェーズCPm4を算出する。
端末制御部100は、コードフェーズCPm1等を示すコードフェーズ情報154を第2記憶部150に格納する。なお、コードフェーズCPm1等を総称して端末コードフェーズCPmと呼ぶ。
【0034】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、コードフェーズ送信プログラム114を格納している。コードフェーズ送信プログラム114は、端末制御部100が、基地局40に対して、コードフェーズ情報154を送信するためのプログラムである。
【0035】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、補正情報受信プログラム118を格納している。補正情報受信プログラム118は、端末制御部100が、基地局40から基地局コードフェーズCPbを受信するためのプログラムである。
基地局コードフェーズCPbは、端末20が受信している電波S1等がマルチパスである場合に、基地局40によって提供される情報である。
端末制御部100は、基地局コードフェーズCPbを示す補正情報156を第2記憶部150に格納する。
【0036】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位プログラム120を格納している。測位プログラム120は、端末制御部100が、コードフェーズ情報154及び補正情報156を使用して、現在位置を測位するためのプログラムである。
【0037】
図6は、測位プログラム120の説明図である。
図6に示すように、端末制御部100は、例えば、GPS衛星12cについてのみki基地局コードフェーズCPb3を受信した場合には、GPS衛星12a,12b及び12dについては端末20が算出したコードフェーズCPm1,CPm2及びCPm4を使用する。そして、GPS衛星12cについては、コードフェーズCPm3の替わりに基地局コードフェーズCPb3を使用する。
端末制御部100は、コードフェーズCPm1,CPm2,CPm4及び、CPfを使用して現在位置を測位し、測位位置Pを算出する。
端末制御部100は、算出した測位位置Pを示す測位位置情報158を第2記憶部150に格納する。
【0038】
図5に示すように、端末20は、第1記憶部110に、測位位置出力プログラム122を格納している。測位位置出力プログラム122は、端末制御部100が、測位位置Pを表示装置36(図3参照)に表示するためのプログラムである。
【0039】
(基地局40の主なソフトウエア構成について)
図7は、基地局40の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図7に示すように、基地局40は、各部を制御する制御部200、図4の通信装置54に対応する通信部202、GPS装置56に対応するGPS部204、表示装置58に対応する表示部206、時計60に対応する計時部208等を有する。
基地局40は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部210、各種情報を格納する第2記憶部250を有する。
【0040】
図7に示すように、基地局40は、第2記憶部250に、衛星軌道情報252を格納している。衛星軌道情報252は、アルマナック252a及びエフェメリス252bを含む。
【0041】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、RTT算出プログラム212を格納している。RTT算出プログラム212は、制御部200が、通信電波が基地局40と端末20との間を判断する伝播時間RTTを算出するためのプログラムである。RTT算出プログラム212と制御部200は、伝播時間算出手段の一例である。
具体的には、制御部200は、端末20に対して特定のフレーム(基地局フレームと呼ぶ)を送信し、その基地局フレームに対応して端末20が送信したフレーム(端末フレームと呼ぶ)を受信する。そして、特定の基地局フレームの送信時刻と、その基地局フレームに対応する端末フレームの受信時刻を計時部208によって計測することで、RTTを算出する。
このように、制御部200は、通信電波が基地局40と端末20との間を往復する往復時間(RTT)を算出する構成となっている。
制御部200は、算出したRTTを示すRTT情報254を第2記憶部250に格納する。
【0042】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、RTT評価プログラム214を格納している。RTT評価プログラム214は、制御部200が、RTTが予め規定した時間閾値α以下か否かを判断するためのプログラムである。時間閾値αは、例えば、0.7マイクロ秒(μs)である。時間閾値α以下の時間範囲は、時間許容範囲の一例である。RTT評価プログラム214と制御部200は、伝播時間評価手段の一例である。
時間閾値αは、制御部200が、端末20が基地局40の通信可能エリア(セルとも呼ぶ)内に位置し、かつ、基地局40と十分に近い距離にあるとみなすことができる時間として規定されている。言い換えると、時間閾値αによって規定される時間範囲は、基地局40と端末20の位置が、ほぼ同一であるとみなすことができる程度に近接している場合の時間範囲として規定される。
RTTが0.7マイクロ秒(μs)であれば、基地局40から端末20へ通信電波が到達するための時間は、その2分の1の0.35マイクロ秒(μs)である。そして、通信電波は光速(約299792.456(m/ms))で伝播するから、基地局40と端末20との距離は、約105メートル(m)である。この距離は、後述のように、基地局40が算出したコードフェーズと端末20が算出したコードフェーズを比較して、端末20が算出したコードフェーズがマルチパスの影響を受けていると判断した場合には、基地局40が算出したコードフェーズを端末20に送信し、端末20は基地局40が算出したコードフェーズを測位に使用することが妥当な距離として規定する。
【0043】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、衛星信号受信プログラム216を格納している。衛星信号受信プログラム216は、制御部200が、GPS衛星12a等から電波S1等を受信するためのプログラムである。衛星信号受信プログラム216と制御部200は、衛星信号受信手段の一例である。
衛星信号受信プログラム216の内容は、上述の端末20の衛星信号受信プログラム112(図5参照)と同様である。
【0044】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、コードフェーズ算出プログラム218を格納している。コードフェーズ算出プログラム218は、制御部200が、GPS衛星12a等ごとのC/Aコードのコードフェーズを算出するためのプログラムである。コードフェーズ算出プログラム218と制御部200は、コードフェーズ算出手段の一例である。
制御部200は、例えば、GPS衛星12aについてのコードフェーズCPb1、GPS衛星12bについてのコードフェーズCPb2、GPS衛星12cについてのコードフェーズCPb3、GPS衛星12dについてのコードフェーズCPb4を算出する。
RTTが予め規定した時間閾値α以下であれば、基地局40と端末20との距離は、極めて短いから、基地局40は端末20がコードフェーズの算出に使用したGPS衛星12a等とほぼ同じGPS衛星12a等から電波S1等を受信し、コードフェーズを算出することができる。
ここで、基地局40の電波S1等の受信環境は、オープンスカイであり、電波S1等の受信状態は良好であるから、コードフェーズCPb1等は、マルチパスの影響を受けておらず、極めて精度が高い。なお、コードフェーズCPb1等を総称してコードフェーズCPbと呼ぶ。
制御部200は、コードフェーズCPb1等を示すコードフェーズ情報258を第2記憶部250に格納する。
【0045】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、端末コードフェーズ受信プログラム220を格納している。端末コードフェーズ受信プログラム220は、制御部200が、端末20から端末コードフェーズ情報154(図5参照)を受信するためのプログラムである。端末コードフェーズ受信プログラム220と制御部200は、測位側コードフェーズ受信手段の一例である。
制御部200は、受信した端末コードフェーズ情報154を、端末コードフェーズ情報258として、第2記憶部250に格納する。
【0046】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、コードフェーズ差分算出プログラム222を格納している。コードフェーズ差分算出プログラム222は、制御部200が、基地局コードフェーズCPb1等と端末コードフェーズCPm1等との差分CPdifを算出するためのプログラムである。差分CPdifは、差分の一例である。コードフェーズ差分算出プログラム222と制御部200は、差分算出手段の一例である。
【0047】
図8は、コードフェーズ差分算出プログラム222の説明図である。
図8は、コードフェーズの比較を概念的に示している。
制御部200は、各GPS衛星12a等ごとに、差分CPdifを算出する。例えば、GPS衛星12aについての基地局コードフェーズCPb1と、GPS衛星12aについての端末コードフェーズCPm1との差分を算出する。そして、図8に示すように、差分CPdifを、c1チップ(chip)、c2チップというチップ単位で算出する。このチップは、C/Aコードを構成する基礎単位である。
制御部200は、算出した差分CPdifを示すコードフェーズ差分情報260を第2記憶部250に格納する。
【0048】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、コードフェーズ差分評価プログラム224を格納している。コードフェーズ差分評価プログラム224は、制御部200が、差分CPdifが、閾値β以上か否かを判断するためのプログラムである。閾値βは、例えば、1チップである。差分CPdifが閾値β以上である場合には、その差分CPdifの算出に使用した端末側コードフェーズは、マルチパスの影響を受けていると判断することができる。言い換えると、閾値βは、閾値β以上の差分範囲は、端末コードフェーズがマルチパスの影響を受けている場合の差分範囲として規定されている。
閾値β以上は、差分範囲の一例である。コードフェーズ差分評価プログラム224と制御部200は、差分評価手段の一例である。
制御部200は、上述のRTT評価プログラムによって、RTTが時間閾値α以下であると判断した場合に、上述の衛星信号受信プログラム216、コードフェーズ算出プログラム218、端末コードフェーズ受信プログラム220、コードフェーズ差分算出プログラム222及びコードフェーズ差分評価プログラム224に基づいて、動作するようになっている。
【0049】
図7に示すように、基地局40は、第1記憶部210に、補正値送信プログラム226を格納している。補正値送信プログラム226は、制御部200が、差分CPdifが閾値β以上であると判断した場合に、対応するGPS衛星12a等についての基地局コードフェーズCPb1等を端末20に送信するためのプログラムである。補正値送信プログラム226と制御部200は、補正値送信手段の一例である。
【0050】
測位システム10は、上述のように構成されている。
上述のように、基地局40は、RTTが閾値α以下か否かを判断することができる。このため、基地局40は、端末20が、基地局40の通信領域(セル)内にあることだけではなくて、基地局40に近接した位置にあるか否かを認識することができる。
そして、基地局40は、基地局40が算出したコードフェーズCPbと端末コードフェーズCPmとの差分CPdifを算出することができる。ここで、基地局40と端末20が近接している場合であっても、双方の真の位置は異なるのが通常であるから、差分CPdifには、真の位置の相違による差分と、マルチパス以外による誤差による差分と、マルチパスによる誤差による差分が含まれる。
そして、基地局40は、差分CPdifが閾値β以上か否かを判断した場合に、基地局40が算出したコードフェーズCPbを端末20に送信することができる。
上述のように、基地局40は、端末20が基地局40に近接した位置にあるか否かを認識することができるから、端末20が基地局40に極めて近接した位置にあるという条件を満たし、かつ、差分CPdifが閾値β以上であると判断した場合に、基地局コードフェーズCPb1等を端末20に送信することができる。端末20が基地局40に極めて近接した位置にあるという条件を満たせば、端末コードフェーズCPmがマルチパスの影響を受けていないとすれば、基地局コードフェーズCPbとほぼ同一のはずである。このため、端末20が、基地局コードフェーズCPbを測位に使用することは妥当である。また、端末20がマルチパスの信号を使用して算出した端末コードフェーズCPmを使用するのではなくて、近接する基地局40が算出した基地局コードフェーズCPbを測位に使用することは妥当である。すなわち、端末20の測位精度が向上する可能性が大きい。
これにより、基地局40は、基地局40と通信可能な端末20に対して、基地局コードフェーズCPbを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、基地局コードフェーズCPbを提供することができる。
【0051】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図9を使用して説明する。
図9は測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
まず、基地局40が、端末20との間のRTTを算出する(図9のステップST1)。このステップST1は、伝播時間算出ステップの一例である。
【0052】
続いて、基地局40が、RTTが時間閾値α以下か否かを判断する(ステップST2)。このステップST2は、伝播時間評価ステップの一例である。
基地局40は、RTTが時間閾値α以下であると判断すると、電波S1等を受信する(ステップST3)。このステップST3は、衛星信号受信ステップの一例である。
続いて、基地局40は、コードフェーズCPbを算出する(ステップST4)。このステップST4は、コードフェーズ算出ステップの一例である。
【0053】
続いて、基地局40は、端末20から端末コードフェーズCPmを受信する(ステップST5)。このステップST5は、測位側コードフェーズ受信ステップの一例である。
続いて、基地局40は、コードフェーズ差分CPdifを算出する(ステップST6)。このステップST6は、差分算出ステップの一例である。
【0054】
続いて、基地局40は、少なくとも1つのコードフェーズCPdifが、閾値β以上か否かを判断する(ステップST7)。このステップST7は、差分評価ステップの一例である。
基地局40は、少なくとも1つのコードフェーズCPdifが閾値β以上であると判断した場合には、端末20に、対応するGPS衛星12a等についての基地局コードフェーズCPb1等を送信する(ステップST8)。このステップST8は、補正値送信ステップの一例である。
【0055】
続いて、端末は、基地局コードフェーズCPb1等に対応するGPS衛星12a等の端末コードフェーズCPm1等を基地局コードフェーズCPb1に補正する(ステップST9)。
続いて、端末20は、測位を行う(ステップST130。ステップST10において、端末20は、基地局コードフェーズCPbを受信したGPS衛星については基地局コードフェーズCPbを使用し、基地局コードフェーズCPbを受信していないGPS衛星については端末コードフェーズCPmを使用して測位を行う。
続いて、端末20は、測位位置Pを出力する(ステップST11)。
【0056】
なお、基地局40は、上述のステップST2において、RTTが時間閾値αよりも大きいと判断した場合には、端末20に対して、基地局コードフェーズCPbを送信しない旨の通知を行う。
そして、基地局40は、上述のステップST7において,閾値β以上のコードフェーズ差分CPdifが存在しない場合にも、端末20に対して、基地局コードフェーズCPbを送信しない旨の通知を行う。
【0057】
基地局40は、基地局40と通信可能な端末20に対して、基地局コードフェーズCPbを使用することが妥当である条件を満たした場合にのみ、基地局コードフェーズCPbを提供することができる。
そして、端末20は、基地局コードフェーズCPbを受信したGPS衛星については基地局コードフェーズCPbを使用し、基地局コードフェーズCPbを受信していないGPS衛星については端末コードフェーズCPmを使用することによって、精度よく測位を行うことができる。
【0058】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の伝播時間算出ステップと、伝播時間評価ステップと、衛星信号受信ステップと、コードフェーズ算出ステップと、測位側コードフェーズ受信ステップと、差分算出ステップと、差分評価ステップと、補正値装置ステップ等を実行させるための通信基地局の制御プログラムとすることができる。
また、このような通信基地局の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0059】
これら通信基地局の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0060】
本発明は、上述の実施の形態に限定されない。
本実施の形態とは異なり、基地局40の制御部200は、RTT情報254(図7参照)とコードフェーズ情報256を端末20に送信し、端末20がコードフェーズ差分CPdifを算出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図2】測位方法を示す概念図である。
【図3】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】基地局の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図5】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である
【図6】測位プログラムの説明図である。
【図7】基地局の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図8】コードフェーズ差分算出プログラムの説明図である。
【図9】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
12a,12b,12c,12d,12e,12f・・・GPS衛星、20A,20B・・・端末、40・・・基地局、212・・・RTT算出プログラム、214・・・RTT評価プログラム、216・・・衛星信号受信プログラム、218・・・コードフェーズ算出プログラム、220・・・端末コードフェーズ受信プログラム、222・・・コードフェーズ差分算出プログラム、224・・・コードフェーズ差分評価プログラム、226・・・補正値送信プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局であって、
前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出手段と、
前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価手段と、
前記衛星信号を受信する衛星信号受信手段と、
各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出手段と、
前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信手段と、
前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出手段と、
前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価手段と、
前記差分評価手段によって、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信手段と、
を有することを特徴とする通信基地局。
【請求項2】
前記時間許容範囲は、前記通信基地局と前記測位装置との位置が、ほぼ同一であるとみなすことができる程度に近接している場合の時間範囲として規定されていることを特徴とする請求項1に記載の通信基地局。
【請求項3】
前記マルチパス影響範囲は、前記時間許容範囲分の距離と、前記測位側コードフェーズの算出誤差を考慮して規定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信基地局。
【請求項4】
複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、
前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、
前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、
前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、
前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、
前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、
前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、
前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、
を有することを特徴とする通信基地局の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、
前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、
前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、
前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、
前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、
前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、
前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、
前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、
を有することを特徴とする通信基地局の制御プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置と通信可能であって、固定位置に位置する通信基地局が、前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間を算出する伝播時間算出ステップと、
前記通信基地局が、前記伝播時間が予め規定した時間許容範囲内か否かを判断する伝播時間評価ステップと、
前記通信基地局が、前記衛星信号を受信する衛星信号受信ステップと、
前記通信基地局が、各前記衛星信号のコードフェーズを算出するコードフェーズ算出ステップと、
前記通信基地局が、前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズを受信する測位側コードフェーズ受信ステップと、
前記通信基地局が、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズと測位側コードフェーズとの差分を算出する差分算出ステップと、
前記通信基地局が、前記差分が、マルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内か否かを判断する差分評価ステップと、
前記通信基地局が、前記差分評価ステップにおいて、前記差分が前記マルチパス影響範囲内であると判断した場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを前記測位装置に送信する補正値送信ステップと、
を有することを特徴とする通信基地局の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
固定位置に位置する通信基地局と通信可能であり、複数の測位衛星からの衛星信号を使用して測位する測位装置であって、
前記通信基地局によって前記測位装置との間を通信電波が伝播する伝播時間が予め規定した時間許容範囲内であると判断され、さらに、前記通信基地局が前記通信基地局が前記衛星信号を受信して算出したコードフェーズと前記測位装置が算出した各前記衛星信号のコードフェーズである測位側コードフェーズとの差分が算出され、さらに、前記差分がマルチパスの影響を受けている場合の差分範囲であるマルチパス影響範囲内である場合に、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズを受信して、前記通信基地局が算出した前記コードフェーズ及び前記測位側コードフェーズを使用して測位を行うことを特徴とする測位装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−26137(P2008−26137A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198758(P2006−198758)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】