説明

運転操作評価装置

【課題】車両の走行局面を考慮して運転者の運転操作を適正に評価することが可能な運転操作評価装置を提供すること。
【解決手段】運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置1であって、自車両の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、周辺状況検出手段により検出された自車両の周辺状況、及び車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて、自車両の置かれた走行局面を判断する走行局面判断手段82と、車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて運転者の運転操作を評価する評価手段84と、を備え、評価手段84は、走行局面判断手段82により判断された自車両の走行局面に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー価格の上昇やCO排出量を削減する要請を背景として、エネルギー消費を抑制する必要が高まっている。車両においてエネルギー消費を抑制するには、車両自体のエネルギー効率を向上させるのは当然であるが、運転者がエネルギー消費を抑制した運転操作を行なうことが重要である。
【0003】
これを実現させるため、燃費を悪化させる運転が行なわれた場合に、過剰に消費された燃料量を表示して運転者に警告を発する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、急加速や急減速、所定車速以上での走行等が行なわれた場合に、燃費を悪化させる運転が行なわれたと判断している。
【特許文献1】特許第3642745号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加速度や減速度を緩やかにして適度な車速で走行を行なうことによりエネルギー消費が抑制されるのは確かであるが、上記従来の装置では車両の走行局面を考慮していないため、運転者の運転操作を適正に評価できない場合が生じる。
【0005】
すなわち、実際の交通においては、渋滞によって断続的に加減速が必要となる走行局面や、高速道路において比較的高速走行が許容される走行局面、駐車場における駐車時にアイドリングストップが望まれる走行局面等、種々の走行局面が存在する。こうした走行局面を考慮しない画一的な基準によって、運転者がエネルギー消費を抑制した運転を達成できているか否かを適正に判定するのは一般的に困難であると考えられる。
【0006】
従って、上記従来の装置では、過剰な警告により運転者が煩わしさを感じる場合が生じうる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両の走行局面を考慮して運転者の運転操作を適正に評価することが可能な運転操作評価装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置であって、自車両の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、周辺状況検出手段により検出された自車両の周辺状況、及び車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて、自車両の置かれた走行局面を判断する走行局面判断手段と、車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて運転者の運転操作を評価する評価手段と、を備え、評価手段は、走行局面判断手段により判断された自車両の走行局面に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価することを特徴とするものである。ここで、車両状態検出手段が検出する自車両の状態は、車速や加速度等の走行状態であってもよいし、アクセルペダルやブレーキペダルに対する操作量であってもよい。
【0009】
この本発明の一態様によれば、自車両の周辺状況、及び自車両の状態に基づいて自車両の置かれた走行局面を判断する走行局面判断手段を備え、走行局面に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価するから、車両の走行局面を考慮して運転者の運転操作を適正に評価することができる。
【0010】
また、本発明の一態様において、評価手段は、好ましくは、走行局面に対応付けられた評価方法を記憶した記憶手段を有し、走行局面判断手段により判断された自車両の走行局面に対応する評価方法を記憶手段から読み出し、読み出した評価方法を用いて運転者の運転操作を評価する手段である。
【0011】
また、本発明の一態様において、周辺状況検出手段は、例えば、地図データにおける自車両の現在位置を検出可能なナビゲーション装置、路車間通信を行なう通信機、及び、先行車両を検出するレーダー装置のいずれかを少なくとも含み、車両状態検出手段は、少なくとも自車両の車速を自車両の状態として検出する手段である。
【0012】
また、本発明の他の態様は、運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置であって、自車両の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて運転者の運転操作を評価する評価手段と、を備え、評価手段は、周辺状況検出手段により検出された自車両の周辺状況に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の走行局面を考慮して運転者の運転操作を適正に評価することが可能な運転操作評価装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0015】
以下、図1、2を用いて、本発明に係る運転操作評価装置の一実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例に係る運転操作評価装置1の全体構成の一例を示す図である。図示する如く、運転操作評価装置1は、主要な構成として、通信装置10と、レーダー装置20と、車速センサー30と、シフトポジションセンサー40と、方向指示器センサー50と、サイドブレーキセンサー60と、ナビゲーション装置70と、運転操作評価用電子制御ユニット(以下、運転操作評価用ECUと称する)80と、を備える。なお、以下の説明における車両内の機器間の通信は、CAN(Controller Area Network)等の適切な通信プロトコルを用い行なわれる。
【0016】
通信装置10は、例えば、ビーコン受信機や、FM多重放送受信機を含む。また、携帯電話の電波ネットワークを利用して送受信可能な通信アンテナ及び通信モジュールから構成される装置を含んでもよい。本実施例では、通信装置10は、走行中の道路の交通量を基地局から取得して、これを運転操作評価用ECU80に送信する。
【0017】
レーダー装置20は、例えば、フロントグリル裏に配設されたミリ波レーダー装置である。レーダー装置20は、ミリ波の反射波が帰ってくるまでの時間、反射波の角度、及び周波数変化を利用して、物体の距離、方位、速度を検出する。また、これに限られず、レーザーレーダーや赤外線レーダーであってもよい。レーダー装置20は、上記検出結果を運転操作評価用ECU80に送信する。
【0018】
車速センサー30は、例えば、トランスミッション部に取り付けられ、車速に応じた周期のパルス信号を運転操作評価用ECU80に送信する。なお、以下の説明で車速センサー30により検出された車速Vを微小時間Δtで微分して加速度を求めているが、加速度を直接的に検出するGセンサーを更に備えてもよい。
【0019】
シフトポジションセンサー40は、シフトレバーに取り付けられ、シフトポジション(例えば、一般的な走行用のDポジションや、N(Neutral)ポジション等)を検出して運転操作評価用ECU80に送信する。
【0020】
方向指示器センサー50は、例えば、ステアリングホイール脇の方向指示器に取り付けられ、方向指示器の作動状態を検出して運転操作評価用ECU80に送信する。
【0021】
サイドブレーキセンサー60は、例えば、サイドブレーキユニットに取り付けられ、サイドブレーキの作動状態を検出してオン/オフ信号を運転操作評価用ECU80に送信する。
【0022】
ナビゲーション装置70は、自車両の現在位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)受信機71と、ハードディスクやDVD、CD−ROM等の記憶媒体上に地図データを保有する地図データベース72と、ナビゲーション装置70全体を制御するナビゲーション装置用電子制御ユニット(以下、ナビゲーション装置用ECUと称する)73と、を備え、液晶ディスプレイ等の表示装置74により地図表示や経路案内表示を出力すると共に、スピーカー75を用いて音声により経路案内等を行なう。なお、ナビゲーション装置用ECU73では、自車両の現在位置を検出するに際し、GPS受信機71から入力される入力信号に加え、車速センサー30やジャイロセンサー等の各種センサーの出力や、通信装置10を介して受信される各種情報に基づいて適宜補正されてもよい。
【0023】
ナビゲーション装置用ECU73は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等が図示しないバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、通信ポートやタイマー、カウンター等を備える。ナビゲーション装置用ECU73は、上記の一般的なナビゲーション装置の機能を実行する他、地図データにおける自車両の位置の種別(例えば、一般道か高速道路か、又は駐車場等の道路から外れた位置にあるか等;以下、ロケーション情報と称する)を運転操作評価用ECU80に送信する。
【0024】
運転操作評価用ECU80は、例えば、ナビゲーション装置ECU73と同様のハードウエア構成のコンピューターユニットである。また、運転操作評価用ECU80は、こうしたハードウエア構成を用いて実現される主要な機能ブロックとして、走行局面判断部82と、評価部84と、を備える。
【0025】
走行局面判断部82は、上記通信装置10や、レーダー装置20、車速センサー30、シフトポジションセンサー40、方向指示器センサー50、ナビゲーション装置60から入力される情報に基づいて、自車両が置かれた走行局面が以下に列挙する走行局面のうちいずれに該当するかを判断する。
【0026】
走行局面は、大まかな分類として(1)停車局面、(2)加速局面、(3)減速局面、(4)巡航走行局面に分類され、更に、(1−1)路上外での駐車局面、(1−2)路上での停車局面、(2−1)発進加速局面、(2−2)追従加速局面、(3−1)停止減速局面、(3−2)追従減速局面、(4−1−1)一般道路における渋滞局面、(4−1−2)住宅街走行局面、(4−1−3)その他一般道路走行局面、(4−2−1)高速道路における渋滞局面、(4−2−2)高速道路における追い越し局面、(4−2−3)その他高速道路走行局面、に分類され、各走行局面に対応付けられた評価方法(判定基準)と共に運転操作評価用ECU80のROMに予め格納されている。以下、自車両が置かれた走行局面が、各走行局面に該当するための条件について述べる。
【0027】
(1−1)路上外での駐車局面は、(A)車速センサー30から入力される車速Vが停車の基準となる閾値V1(例えば0コンマ数[km/h]〜数[km/h]等)未満であり、且つ、(B)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が道路外に在ることを示し、且つ、(C)シフトポジションセンサー40から入力されるシフトポジションがP(Parking;駐車用の)ポジションであり、且つ、(D)サイドブレーキセンサー60からオン信号が入力されている場合に、該当する。
【0028】
(1−2)路上での停車局面は、(A)車速Vが上記閾値V1未満であり、且つ、路上外での駐車局面でない場合に、該当する。
【0029】
(2−1)発進加速局面は、(A)車速Vの微小時間Δt前からの変化(以下、単に加速度と称する)が正の値であり、且つ、(B)所定時間T1(例えば、数[sec]〜数[min]等)以内に車速Vが上記閾値V1未満であった(すなわち、停車していた)場合に、該当する。
【0030】
(2−2)追従加速局面は、(A)加速度が正の値であり、且つ、(B)車速Vが閾値V2以上であり、且つ(C)レーダー装置20の検出値により計算される先行車との車間時間が所定時間T2(例えば、0コンマ数[sec]〜十数[sec]等)以内である場合に、該当する。この走行局面に該当するのは、典型的には、比較的高速で車両間の間隔が余りなく一団となって走行している場合、すなわち、車の流れに乗って走行する必要のある場合である。なお、この車間時間の計算については、当業者には周知であり、説明を省略する。
【0031】
(3−1)停止減速局面は、(A)加速度が負の値であり、且つ、(B)車速Vが上記閾値V1未満となる(すなわち、停車する)過程である場合に、該当する。従って、この停止減速局面であるか否かの判定は、リアルタイムでは行なわれ得ず、過去に遡って行なわれる。すなわち、車速Vが閾値V1未満となった時点から上記所定時間T1(所定時間T1と異なる時間でも構わない)だけ過去に遡った時点までが、本走行局面に該当する。
【0032】
(3−2)追従減速局面は、(A)加速度が負の値であり、(B)車速Vが上記閾値V2以上であり、且つ(C)レーダー装置20の検出値により計算される先行車との車間時間が上記所定時間T2よりも短い所定時間T3以内である場合に、該当する。この走行局面に該当するのも、追従加速局面と同様に、車の流れに乗って走行する必要のある場合である。
【0033】
以上説明した(1−1)〜(3−2)のいずれにも該当しない場合は、(4)巡航走行局面であると判断する。以下、これを前提に説明する。
【0034】
(4−1−1)一般道路における渋滞局面は、(A)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が一般道を走行中であることを示し、且つ、(B)通信装置10から入力される道路の交通量が渋滞中であることを示す、又は、レーダー装置20の検出値により計算される先行車との車間時間が上記所定時間T2と所定時間T3の中間程度の時間である所定時間T4以内である場合に、該当する。
【0035】
(4−1−2)住宅街走行局面は、ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が住宅街を走行していることを示す場合に、該当する。なお、この住宅街走行局面は、後述する如く、一般道路における渋滞局面と同じ評価方法に対応付けられているため、一般道路における渋滞局面と重複該当しても構わない。
【0036】
(4−1−3)その他一般道路走行局面は、(A)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が一般道を走行中であることを示し、且つ、(B)上記(4−1−1)及び(4−1−2)のいずれにも該当しない場合に、該当する。
【0037】
(4−2−1)高速道路における渋滞局面は、(A)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が高速道路を走行中であることを示し、且つ、(B)通信装置10から入力される道路の交通量が渋滞中であることを示す、又は、レーダー装置20の検出値により計算される先行車との車間時間が上記所定時間T4以内である場合に、該当する。
【0038】
(4−2−2)高速道路における追い越し局面は、(A)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が高速道路を走行中であることを示し、且つ、(B)レーダー装置20の検出値により計算される先行車との車間時間が上記所定時間T4以内であり、且つ、(C)方向指示器センサー50から入力される方向指示器の作動状態が、右側を指示している状態である場合に、該当する。
【0039】
(4−2−3)その他高速道路走行局面は、(A)ナビゲーション装置60から入力されるロケーション情報が、自車両が高速道路を走行中であることを示し、且つ、(B)上記(4−2−1)及び(4−2−2)のいずれにも該当しない場合に、該当する。
【0040】
評価部84では、上記の如く判断される自車両が置かれた走行局面に対応付けられた評価方法を、運転操作評価用ECU80のROMから読み出し、この評価方法に従って、運転者の運転操作を評価する。
【0041】
すなわち、評価部84では、車両挙動から検知される運転者の運転操作が走行局面に対応付けられた判定基準を満たすか否かを判定し、判定基準を満たす度に減点ポイントを加算して運転操作評価用ECU80のRAMに記憶する。そして、所定のタイミングで(例えば、車両の給油時や、エンジンオフ時、イグニッションオフ時等が考えられる)、減点ポイントの合計値(又は、当該合計値が閾値を超えたか等)を表示装置74により表示するようにナビゲーション装置70に指示信号を送信する。図2は、表示装置74により表示される評価結果の一例を示す図である。また、各走行局面における減点ポイントの合計値(又は、当該合計値が閾値を超えたか等)をそれぞれ表示してもよい。なお、この判定基準は、(1)停車局面を除き、エネルギー消費を抑制するための基本的な判定基準、すなわち、車速が適正な範囲にあるか、速度変動が過剰でないか、加減速度が過剰でないか、等を確認するものである。但し、自車両が置かれた状況に応じて、許容すべき運転操作(例えば、渋滞時の頻繁な加減速等)については、上記減点ポイントを加算しないように、走行局面に応じて確認項目を取捨選択している。
【0042】
以下、各走行局面に対応付けられた判定基準について述べる。なお、以下の各判定基準に該当した際に加算される所定の減点ポイントは、均一であってもよいし、走行局面毎に重み付けをしてもよい。
【0043】
(1−1)路上外での駐車局面では、エンジンのアイドル時間が所定時間T5(例えば、数[sec]〜数十[sec]等)を超えたか否かを判定し、所定時間T5を超えた場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、駐車場等において駐車を行なう際には、速やかにエンジンを停止することを推奨するためのものである。なお、この判定は、車両のエンジンECU等から情報を入力して行なうことができる。
【0044】
(1−2)路上での停車局面では、シフトポジションセンサー40により検出されたシフトポジションがN(Neutral)ポジションであるか否かを判定し、Nポジションでない場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、車両の停車中には、シフトポジションをよりエンジン抵抗の小さいNポジションにすることを推奨するためのものである。
【0045】
(2−1)発進加速局面では、加速度が閾値A1を超えるか否かを判定し、閾値A1を超える場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、緩やかな加速を推奨するためのものである。
【0046】
(2−2)追従加速局面では、加速度が閾値A2を超えるか否かを判定し、閾値A2を超える場合に、所定の減点ポイントを加算する。ここで閾値A2は上記閾値A1よりも小さい値であってよい。通常は、発進加速局面の加速度は、追従加速局面の加速度を上回るからである。
【0047】
(3−1)停止減速局面では、加速度が負の閾値A3未満であるか否かをし、負の閾値A3未満である場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、緩やかな減速を推奨するためのものである。
【0048】
(3−2)追従減速局面は、加速度が負の閾値A4未満であるか否かを判定し、負の閾値A4未満である場合に、所定の減点ポイントを加算する。ここで閾値A4は上記閾値A3よりも絶対値が小さい値であってよい。通常は、停止減速局面の減速度は、追従減速局面の減速度を上回るからである。
【0049】
(4−1−1,4−1−2)一般道路における渋滞局面、及び住宅街走行局面では、車速Vが上限速度Vmax1を超えたか否かを判定し、車速Vが上限速度Vmax1を超えた場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、車速が過剰にならないように適正な車速での走行を推奨するためのものである。
【0050】
(4−1−3)その他一般道路走行局面では、車速Vが上記上限速度Vmax1を超えたか否か、車速Vが下限速度Vmin1未満となったか否か、及び車速Vの所定時間内の変動幅が閾値V3を超えたか否かを判定し、いずれか一つに該当した場合に、所定の減点ポイントを加算する。これは、本走行局面は、これまでの各走行局面に比して、運転の自由度が比較的高い走行局面であると判断して、許容される運転操作の範囲をより制限したものである。すなわち、適正な範囲の車速で、且つ車速の変動幅を小さくして緩やかな運転を推奨するためのものである。
【0051】
(4−2−1)高速道路における渋滞局面では、車速Vが上限速度Vmax2を超えたか否かを判定し、車速Vが上限速度Vmax2を超えた場合に、所定の減点ポイントを加算する。ここで上限速度Vmax2は、一般道における上限速度Vmax1よりも大きいものであってよい。ある程度の高速走行を許容するためである。
【0052】
(4−2−2)高速道路における追い越し局面では、車速Vが上限速度Vmax3を超えたか否か、及び車速Vの所定時間内の変動幅が閾値V4を超えたか否かを判定し、いずれかに該当した場合に、所定の減点ポイントを加算する。ここで、上限速度Vmax3は、追い越し時の上限速度であるから、上限速度Vmax2よりも更に大きくてよい。閾値V4についても、閾値V3より大きくてよい。
【0053】
(4−2−3)その他高速道路走行局面では、車速Vが上記上限速度Vmax2を超えたか否か、車速Vが下限速度Vmin1未満となったか否か、及び車速Vの所定時間内の変動幅が閾値V3を超えたか否かを判定し、いずれか一つに該当した場合に、所定の減点ポイントを加算する。
【0054】
以上説明した如く、評価部84では、走行局面に応じた運転操作の評価を行なっている。それぞれ比較すると、例えば、(2−1)発進加速局面や(3−1)停止減速局面では、一時的な低速走行や車速の変動が予測されるため、車速や車速の変動幅に対する判定は行なわず、加速度についてのみ判定を行なっている。また、(2−2)追従加速局面や(3−2)追従減速局面では、車の流れに乗って走行する必要があるため、同様に加速度についてのみ判定を行なっている。さらに、(4)巡航走行局面においても、渋滞時や追い越し時には、異なる判定基準を設けている。
【0055】
このように、本発明の一実施例に係る運転操作評価装置1では、走行局面判断部82において、運転操作評価装置1が備える各機器から入力される情報に基づいて自車両が置かれた走行局面を判断し、評価部84において、走行局面に応じた判定基準を用いた評価方法により運転者の運転操作を評価する。この結果、自車両が置かれた走行局面を考慮して運転者の運転操作を適正に評価することができる。
【0056】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、走行局面やこれに応じた評価方法の具体的態様については、上記実施例のものに限られず、任意に定めてよい。例えば、(1)停車局面を省略してもよいし、より細分化した走行局面を予め用意してもよい。評価部84が用いる判定基準や閾値等も、車速等の車両状態や運転操作に関するものであれば、上記実施例のものに限られず、任意に定めてよい。
【0058】
また、車速センサー30からの入力による車速Vに基づいて計算される加速度や速度変動を用いて運転操作の評価を行なうものとしたが、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサーを備え、これらの検出値を閾値と比較評価してもよい。
【0059】
また、ハードウエア構成の点では、運転操作評価用ECU80は、ナビゲーション装置用ECU73や、その他の車両が備えるECU等に統合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、少なくとも車両に搭載され運転者の運転操作を評価する装置に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例に係る運転操作評価装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】表示装置74により表示される評価結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 運転操作評価装置
10 通信装置
20 レーダー装置
30 車速センサー
40 シフトポジションセンサー
50 方向指示器センサー
60 サイドブレーキセンサー
70 ナビゲーション装置
71 GPS受信機
72 地図データベース
73 ナビゲーション装置用電子制御ユニット
74 表示装置
75 スピーカー
80 運転操作評価用電子制御ユニット
82 走行局面判断部
84 評価部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置であって、
自車両の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、
自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記周辺状況検出手段により検出された自車両の周辺状況、及び前記車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて、自車両の置かれた走行局面を判断する走行局面判断手段と、
前記車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて運転者の運転操作を評価する評価手段と、を備え、
該評価手段は、前記走行局面判断手段により判断された自車両の走行局面に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価する、
ことを特徴とする、運転操作評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転操作評価装置であって、
前記評価手段は、走行局面に対応付けられた評価方法を記憶した記憶手段を有し、前記走行局面判断手段により判断された自車両の走行局面に対応する評価方法を該記憶手段から読み出し、該読み出した評価方法を用いて運転者の運転操作を評価する手段である、
運転操作評価装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運転操作評価装置であって、
前記周辺状況検出手段は、地図データにおける自車両の現在位置を検出可能なナビゲーション装置、路車間通信を行なう通信機、及び、先行車両を検出するレーダー装置のいずれかを少なくとも含み、
前記車両状態検出手段は、少なくとも自車両の車速を自車両の状態として検出する手段である、
運転操作評価装置。
【請求項4】
運転者の運転操作を評価する運転操作評価装置であって、
自車両の周辺状況を検出する周辺状況検出手段と、
自車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記車両状態検出手段により検出された自車両の状態に基づいて運転者の運転操作を評価する評価手段と、を備え、
該評価手段は、前記周辺状況検出手段により検出された自車両の周辺状況に応じた評価方法を用いて運転者の運転操作を評価する、
ことを特徴とする、運転操作評価装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−233731(P2007−233731A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55156(P2006−55156)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】