説明

運転支援装置、自動車及び運転支援方法

【課題】カーナビゲーションシステムの経路誘導によるウインカの点灯を運転者の意思に沿ったものにできる。
【解決手段】運転支援装置は、カーナビゲーションシステムからの経路誘導に基づいて、右折又は左折する地点で車外方向指示器の点灯を制御する車外方向指示点灯器制御部13aと、カーナビゲーションシステムからの地図情報と自車両の現在位置とに基づいて、点灯先行時間を算出する点灯先行時間算出部13bと、点灯先行時間算出部13bが算出した点灯先行時間に基づいて、車外方向指示器12の点灯に先行して、車室内方向指示器動作表示灯11を点灯させる車室内方向指示器動作表示灯制御部13cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路誘導情報に基づいて、方向指示器を点灯させる運転支援装置、自動車及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーションシステム等の経路誘導を基に、運転操作の支援を行う装置が知られている。
例えば、特許文献1に開示の技術では、カーナビゲーションシステムの地図情報を基に、方向指示器(ウインカ)を自動点灯させている。さらに、この技術では、運転者がカーナビゲーションシステムの経路誘導とは異なる経路を選択する場合等のために、カーナビゲーションシステムの経路誘導とは逆方向に方向指示スイッチが所定時間オンされ続けると、方向指示器の点灯を中止又は中断することとしている。
【特許文献1】特開平10−129342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、カーナビゲーションシステムの経路誘導の方向と運転者の意思とが合致しない場合でも、カーナビゲーションシステム等の経路誘導により方向指示器が点灯されてしまうため、運転者の意思が尊重され難いという課題が存在している。
本発明の課題は、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明に係る運転支援装置は、
自車両の経路誘導に基づいて行う方向指示器の点灯を、事前に運転者に報知することを特徴とする。
また、本発明に係る自動車は、
自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段と、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、車体外側に配置されて、点灯により周囲に自車両の進行方向を報知する方向指示器と、前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段と、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを車室内の運転者に報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る運転支援方法は、
自車両の経路誘導に基づいて、方向指示器の自動点灯を行うか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて方向指示器の点灯を行うと判定した場合に、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知ステップと、前記報知ステップにおける報知の後に、前記方向指示器の点灯を実行する方向指示器点灯ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、経路誘導に基づく方向指示器の点灯に先行して、方向指示器が点灯することを報知手段によって報知することで、運転者は、事前に該方向指示器の点灯の適否を判断することができる。これにより、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な運転支援装置とできる。
また、本発明によれば、経路誘導情報取得手段が取得した経路誘導情報と、現在位置取得手段が取得した自車両の現在位置とに基づいて、方向指示器点灯制御手段が、車体外側に配置された方向指示器を点灯制御すると共に、その点灯に先行して、報知手段が車室内の運転者に方向指示器が点灯することを報知する。そのため、周囲の車両に対して方向指示器が方向指示を行ってしまう前に、車室内の運転者に方向指示器の点灯予定が報知され、運転者がその点灯の適否を判断できるので、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な自動車とできる。
【0007】
また、本発明によれば、方向指示器の自動点灯を行うか否かが判定され、自動点灯を行うと判定された場合に、報知ステップにおいて、方向指示器が点灯することが運転者に報知された後、方向指示器点灯ステップで方向指示器の点灯が行われる。したがって、運転者の確認を経て方向指示器が点灯されるため、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な運転支援方法とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、本発明を適用した運転支援装置である。
(構成)
図1及び図2は、運転支援装置の構成を示す。図1は、運転支援装置の車両への搭載状態を示し、図2は、運転支援装置の構成の詳細を示す。
【0009】
図1及び図2に示すように、運転支援装置は、運転席シート1の前方に配置されたステアリングホイール2と直結されたステアリングシャフト3上に設置された舵角センサ4と、車速を検出する車速センサ5と、GPS(GlobalPositioning System)内蔵のカーナビゲーションシステム6と、方向指示器用のスイッチレバー(操作スイッチレバー)7を駆動するアクチュエータ8と、スイッチレバー7の操作状態を検出するレバー状態センサ9と、動作音を出力するブザー10と、車室内メータ等に設けられた車室内方向指示器動作表示灯11と、車外に設けられた車外方向指示器(ウインカ)12と、各種制御を行うコントローラ13とを備える。
【0010】
このような構成において、コントローラ13には、舵角センサ4、車速センサ5、カーナビゲーションシステム6及びレバー状態センサ9からの検出値等の種々の情報が入力されており、コントローラ13は、これら情報に基づいて、アクチュエータ8やブザー10を駆動させたり、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動点灯させたりしている。
【0011】
図3は、コントローラ13の構成例を示す。
図3に示すように、コントローラ13は、車外方向指示器12を点灯制御する車外方向指示器点灯制御部13a、車外方向指示器12に対して先行点灯させるための点灯先行時間を算出する点灯先行時間算出部13b、及び点灯先行時間算出部13bが算出した点灯先行時間に基づいて、車室内方向指示器動作表示灯11を点灯制御する車室内方向指示器動作表示灯点灯制御部13c、及びアクチュエータ8(スイッチレバー7)を制御するスイッチレバー制御部13d及びブザー10を駆動制御するブザー制御部13eを備えている。このコントローラ13の構成は一例であるから、他の構成とすることもできる。
【0012】
コントローラ13が車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を点灯制御する機能として、カーナビゲーションシステム6からの経路誘導(経路誘導情報)に従って車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動的に点灯させる機能(以下、「経路誘導時自動点灯機能」という。)、及び運転者の運転操作、例えば運転者がスイッチレバー7を操作せずに車線変更を行う運転操作をした場合に車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動的に点灯させる機能(以下、「運転操作時自動点灯機能」という。)とがある。この機能の処理手順については、後で詳述する(図5〜図9)。
【0013】
スイッチレバー7は、コントローラ13(スイッチレバー制御部13d)により制御されるアクチュエータ8により駆動されて、5段階で変位する構造になっている。アクチュエータ8は、例えば駆動モータであり、スイッチレバー7の回転軸7aと駆動モータの駆動軸8aとを動力伝達ベルト14で連結することで、スイッチレバー7を回動させている。
【0014】
アクチュエータ8は、図4に示すように、L1,L2,R1,R2,Nの5段階(中立位置を1段階として、左右方向それぞれ2段階)でスイッチレバー7を変位させることができるようになっており、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12で左側(経路誘導時自動点灯機能又は運転操作時自動点灯機能による点灯)を自動点灯する場合には、スイッチレバー7をレバー位置L2にして、また、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12で右側を自動点灯(経路誘導時自動点灯機能又は運転操作時自動点灯機能による点灯)する場合には、スイッチレバー7をレバー位置R2にする。ここで、レバー位置L2は、運転者が通常、左折時にスイッチレバー7を操作する位置(該操作方向で深い位置又は最上位置)であり、レバー位置R2は、運転者が通常、右折時にスイッチレバー7を操作する位置(該操作方向で深い位置又は最下位置)である。
【0015】
また、車室内方向指示器動作表示灯11のみ、左側を自動点灯(経路誘導時自動点灯機能又は運転操作時自動点灯機能による点灯)する場合には、スイッチレバー7をレバー位置L1にして、また、車室内方向指示器動作表示灯11のみ、右側を自動点灯(経路誘導時自動点灯機能又は運転操作時自動点灯機能による点灯)する場合には、スイッチレバー7をレバー位置R1にする。そして、システムが非動作時、すなわち、車室内方向指示器動作表示灯11と車外方向指示器12とを共に自動点灯することなく、さらに、車室内方向指示器動作表示灯11のみの自動点灯をすることもない場合、スイッチレバー7を中立位置であるレバー位置Nにする。
【0016】
ここで、レバー位置L1は、運転者が通常左折時にスイッチレバー7を操作する方向において浅い位置(L2とNとの間)にあり、レバー位置R1は、運転者が通常、右折時にスイッチレバー7を操作する方向において浅い位置(R2とNとの間)にある。
また、自動点灯中のスイッチレバー7の操作状態をレバー状態センサ9で検出している。レバー状態センサ9の検出値は、コントローラ13に入力される。
【0017】
また、アクチュエータ8でスイッチレバー7を操作する場合には、自動点灯状態に応じて前述のように5段階の位置の何れかに位置させるようにして、運転者が右折、左折又は進路変更する場合の手動操作では、スイッチレバー7をL1,R1で止まらないようにして、L2,N,R2の3段階の位置の何れかの位置だけで止まるようにする。このような動作を実現する処理手順については、後で詳述する(図10)。
【0018】
図5は、経路誘導時自動点灯機能を実現する処理手順を示す。ここでは、ナビゲーションシステムにより経路誘導を行っている最中であることを前提とする。
図5に示すように、処理を開始すると、コントローラ13は、先ずステップS1において、車速センサ5からの検出値に基づいて、車速を計測する。
続いてステップS2において、コントローラ13は、前記ステップS1で計測した車速に基づいて、車速による視野低下量を算出しており、具体的には次のような処理を行う。
【0019】
図6及び図7は、自車速と視野角度との関係を示す。
図6及び図7に示すように、自車速が大きくなるほど(図7では40km/h→70km/h→100km/h)、視野角度が小さくなる(図7ではa°→b°→c°)。コントローラ13は、この図6及び図7に示すような特性図をテーブルとして持っており、計測した自車速に対応する視野角度を算出する。
【0020】
そして、コントローラ13は、下記(1)式により、視野低下補償時間(秒)を算出する。
視野低下補償時間=補正基準値×(200/視野角度) ・・・(1)
ここで、200は、車両静止時の視野角度(°)である。なお、200(°)はあくまでも例示であるので、他の値に換えることもできる。また、補正基準値は、実験値又は経験値であり、例えば1秒程度である。なお、視野低下補償時間を視野角度に基づいて算出しているが、視野角度に換えて視力に基づいて、又は視野角度及び視力の両方に基づいて算出することもできる。
【0021】
続いてステップS3において、コントローラ13は、前記ステップS2で算出した視野低下補償時間を用いて、下記(2)式により、点灯先行時間を算出する。
点灯先行時間=基準時間+視野低下補償時間 ・・・(2)
ここで、基準時間は、車外方向指示器12を点灯させるか否かを判断するために必要時間として想定して固定的に設定された時間又は運転者がカーナビゲーションシステム6の指示(経路誘導)に従うか否かを判断するために必要時間として想定して固定的に設定された時間(基本時間)である。ここで、基準時間は、実験値又は経験値であり、例えば5秒程度である。また、その基準時間の補正値となる視野低下補償時間は、自車両の周囲の状況を運転者が確認することができる程度の時間である。
【0022】
続いてステップS4において、コントローラ13は、方向指示器動作地点までの到達時間を推定する。ここで、方向指示器動作地点は、右折又は左折が必要となる地点であり、例えば交差点である。また、車速及びカーナビゲーションシステム6の地図情報に基づいて到達時間を算出する。例えば、カーナビゲーションシステム6から地図情報として得た方向指示器動作地点(例えば交差点)と自車両の位置(カーナビゲーションシステム6から取得)との距離や自車速に基づいて、到達時間を算出する。
【0023】
続いてステップS5において、コントローラ13は、前記ステップS4で推定した到達時間(到達予測時間)が前記ステップS3で算出した点灯先行時間未満か否かを判定する。ここで、コントローラ13は、到達時間が点灯先行時間未満の場合(到達時間<点灯先行時間)、ステップS6に進み、そうでない場合(到達時間≧点灯先行時間)、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0024】
ステップS6では、コントローラ13は、前記ステップS4で推定した到達時間が0か否かを判定する。ここで、コントローラ13は、到達時間が0の場合(到達時間=0)、すなわち、自車両が方向指示器動作地点に達した場合(例えば自車両が交差点の直前に位置した場合)、ステップS7に進み、そうでない場合(到達時間>0)、ステップS8に進む。
ステップS8では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11(右折又は左折側)の点灯を開始する。そして、コントローラ13は、前記ステップS1から再び開始する。
【0025】
また、ステップS7では、コントローラ13は、自車両が方向指示器動作地点に達したとして、右折又は左折が完了するまで車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を点灯(右折又は左折側を点灯)する。ここで、コントローラ13は、運転者の行為を優先させて、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を点灯制御する。例えば、運転者によりスイッチレバー7が操作されたり、運転者により自動点灯がキャンセルされたりした場合、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を消灯する。また、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯中(車外方向指示器12の点灯前)に、運転者によりスイッチレバー7が操作されたり、運転者により自動点灯がキャンセルされたりした場合、車外方向指示器12の自動点灯を行わないようにする。そして、コントローラ13は、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0026】
次に、運転操作時自動点灯機能を説明する。
図8は、その機能を実現する処理手順を示す。ここでは、運転者がスイッチレバー7を操作することなく車線変更する場合の運転操作時自動点灯機能を説明する。
図8に示すように、処理を開始すると、コントローラ13は、先ずステップS11において、舵角センサ4及び車速センサ5の検出値に基づいて、操舵角及び車速を計測する。
続いてステップS12において、コントローラ13は、前記ステップS11で計測した車速及び操舵角とナビゲーションシステムからの地図情報とに基づいて、車両軌道を予測する。
【0027】
続いてステップS13において、コントローラ13は、前記ステップS12で予測した車両軌道に基づいて、現時点の車両軌道が維持された場合に車線(車線区分線)を逸脱(車線を変更)するまでの時間Tdを推定する。ここで、車線がない走行路では、車線の延長線上の位置に車体の一部が重なったときを自車両が車線を逸脱したと認識する。すなわち、この場合、車線又はその延長線上の位置が、前記時間Td(以下、車線逸脱推定時間という。)の基準点又は方向指示器動作地点となる。
【0028】
続いてステップS14において、コントローラ13は、前記ステップS13で推定した車線逸脱推定時間Tdが第1のしきい値Td_th1未満か否かを判定する。ここで、コントローラ13は、車線逸脱推定時間Tdが第1のしきい値Td_th1未満の場合(Td<Td_th1)、ステップS15に進み、そうでない場合(Td≧Td_th1)、ステップS21に進む。
【0029】
ここで、例えば、第1のしきい値Td_th1は、前記経路誘導時自動点灯機能における点灯先行時間に相当し、また、車線逸脱推定時間Tdは、前記経路誘導時自動点灯機能における到達時間に相当する。すなわち、車線逸脱推定時間Tdが第1のしきい値Td_th1未満になる場合とは、到達時間が点灯先行時間未満になる場合に相当する。
ステップS21では、コントローラ13は、タイマのカウントTimをクリアする。そして、コントローラ13は、前記ステップS11から再び処理を開始する。
【0030】
一方、ステップS15では、コントローラ13は、車線逸脱推定時間Tdが第2のしきい値Td_th2未満か否かを判定する。ここで、第2のしきい値Td_th2は、前記第1のしきい値Td_th2よりも小さい値である(Td_th2<Td_th1)。例えば、第2のしきい値Td_th2は3秒であり、第1のしきい値Td_th1は5秒である。そして、コントローラ13は、車線逸脱推定時間Tdが第2のしきい値Td_th2未満の場合(Td<Td_th2)、ステップS16に進み、そうでない場合(Td≧Td_th2)、ステップS18に進む。
ここで、例えば、車線逸脱推定時間Tdが第2のしきい値Td_th2未満の場合とは、前記経路誘導時自動点灯機能において、到達時間が0になることに相当する。
【0031】
ステップS16では、コントローラ13は、自車両が方向指示器動作地点又はその付近に達したとして、車線変更が完了するまで車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を点灯(車線変更側を点灯)する。ここで、コントローラ13は、運転者の行為を優先して、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を点灯制御する。例えば、運転者によりスイッチレバー7が操作されたり、運転者により自動点灯がキャンセルされたりした場合、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を消灯する。また、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯中(車外方向指示器12の点灯前)に、運転者によりスイッチレバー7が操作されたり、運転者により自動点灯がキャンセルされたりした場合、車外方向指示器12の自動点灯を行わないようにする。
【0032】
続いてステップS17において、コントローラ13は、タイマのカウントTimをクリアする。そして、コントローラ13は、前記ステップS11から再び処理を開始する。
一方、ステップS18では、コントローラ13は、タイマのカウントTimが所定のしきい値Tim_th(例えば1秒)未満か否かを判定する。ここで、コントローラ13は、タイマのカウントTimが所定のしきい値Tim_th未満の場合(Tim<Tim_th)、ステップS19に進み、そうでない場合(Tim≧Tim_th)、ステップS20に進む。
【0033】
ステップS19では、コントローラ13は、タイマのカウントTimを加算する。そして、コントローラ13は、前記ステップS11から再び処理を開始する。
ステップS20では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11(車線逸脱側)の点灯を開始する。そして、コントローラ13は、前記ステップS11から再び処理を開始する。
ここで、前記ステップS17で車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の自動点灯を開始した場合、逆点灯判定を行う(ステップS30)。以下、この逆点灯判定により実現される機能を「自動逆点灯機能」という。
【0034】
図9は、その機能の処理手順を示す。
図9に示すように、処理を開始すると、コントローラ13は、ステップS31において、前記ステップS11と同様に、舵角センサ4及び車速センサ5の検出値に基づいて、操舵角及び車速を計測する。
続いてステップS32において、コントローラ13は、前記ステップS12と同様に、前記ステップS31で計測した車速及び操舵角とナビゲーションシステムからの地図情報とに基づいて、車両軌道を予測する。
【0035】
続いてステップS33において、コントローラ13は、前記ステップS12で予測した車両軌道に基づいて、車線変更中に車両が進路を変化させたか否かを判定する。例えば、運転者が車線変更側(車線逸脱側)とは逆方向に操舵することで、車線変更中の車両が進路を変化させることが考えられる。ここで、コントローラ13は、車線変更中の車両の進路が変化する場合、ステップS34に進み、車線変更中の車両の進路が変化しない場合、すなわち、車両が車線変更をそのまま維持する場合、前記ステップS31から再び処理を開始する。
【0036】
ステップS34では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11の逆先行点灯を開始する。すなわち、前記ステップS17(ステップS20)で点灯している側(車線変更側)の車室内方向指示器動作表示灯11を消灯して、その逆側の車室内方向指示器動作表示灯11の点灯を開始する。
続いてステップS35において、コントローラ13は、舵角センサ4からの検出値に基づいて、操舵角を計測する。
【0037】
続いてステップS36において、コントローラ13は、前記ステップS35で計測した操舵角に基づいて、舵角が進路変更方向(前記ステップS33の進路変化方向と同一方向)に増加しているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、舵角が進路変更方向に増加している場合、ステップS37に進み、そうでない場合、前記ステップS31から再び処理を開始する。
【0038】
ステップS37では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の点灯方向を反転させる(前記ステップS16の点灯側(車線変更側)とは反対側を点灯させる)。この点灯は、車線変更が完了するまで(車両が元の走行位置に戻るまで)行われる。そして、コントローラ13は、前記ステップS31から再び処理を開始する。
【0039】
以上のような処理手順により、運転操作時自動点灯機能を実現している。例えば、この機能は、経路誘導時自動点灯機能とは独立して動作可能であるから、運転者が運転操作時自動点灯機能を実現するシステムをオフにしない限り、カーナビゲーションシステム6の動作状態に関係なく動作するようにする。例えば、経路誘導時自動点灯機能では、到達時間が点灯先行時間以上の場合、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動点灯しないが、この場合でも、運転操作時自動点灯機能では、条件を満たす限り、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動点灯させる。また、運転者によるスイッチレバー7の操作があった場合、運転操作時自動点灯機能を中止させることもできる。
【0040】
図10は、前記自動点灯に基づくコントローラ13(アクチュエータ8又はスイッチレバー制御部13d)によるスイッチレバー7の駆動制御の処理手順を示す。
図10に示すように、処理を開始すると、先ずステップS41において、コントローラ13は、システムがONになっているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、システムがONの場合、ステップS43に進み、そうでない場合(システムがOFFの場合)、ステップS42でスイッチレバー7のレバー位置をNの状態にして、再びステップS41の判定処理を行う。
【0041】
ステップS43では、コントローラ13は、運転者による手動操作があるか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、運転者による手動操作がある場合、ステップS52に進み、そうでない場合、ステップS44に進む。
ステップS52では、コントローラ13は、スイッチレバー7が移動可能なレバー位置をL2,N,R2だけにする。そして、コントローラ13は、該図10に示す処理を終了する(前記ステップS41から再び処理を開始する)。
【0042】
ステップS44では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯(車室内方向指示器動作表示灯11のみを自動点灯)しているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯している場合(車室内方向指示器動作表示灯11=ON)、ステップS46に進み、そうでない場合(車室内方向指示器動作表示灯11=OFF)、ステップS45に進む。
【0043】
ステップS46では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11の左側を点灯しているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11の左側を点灯している場合(車室内方向指示器動作表示灯11の左側=ON)、ステップS47に進み、そうでない場合(車室内方向指示器動作表示灯11の右側=ON)、ステップS48に進む。
コントローラ13は、ステップS47では、スイッチレバー7のレバー位置をL1にして、ステップS48では、スイッチレバー7のレバー位置をR1にする。そして、コントローラ13は、該図10に示す処理を終了する。
【0044】
一方、前記ステップS44にて車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯していないと判定した場合に進むステップS45では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を自動点灯しているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を自動点灯している場合(車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12=ON)、ステップS49に進み、そうでない場合(車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12=OFF)、該図10に示す処理を終了する。
【0045】
ステップS49では、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の左側を点灯しているか否かを判定する。ここで、コントローラ13は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の左側を点灯している場合(車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の左側=ON)、ステップS50に進み、そうでない場合(車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の右側=ON)、ステップS51に進む。
【0046】
コントローラ13は、ステップS50では、スイッチレバー7のレバー位置をL2にして、ステップS51では、スイッチレバー7のレバー位置をR2にする。そして、コントローラ13は、該図10に示す処理を終了する。
なお、この処理では、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の自動点灯状態に基づいてスイッチレバー7を駆動制御しているが、前記図5、図8及び図9のように、車速等の値を直接用いて、スイッチレバー7を駆動制御することもできる。
また、コントローラ13(ブザー制御部13e)は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12のうちの何れか一方を動作させた場合、それと同時にブザー10を動作させる(動作音を出力させる)。
【0047】
(動作)
次に動作を説明する。
(1)経路誘導時自動点灯機能による動作
運転支援装置は、車速による運転者の視野低下量を算出することとして、視野低下補償時間を算出し、その算出した視野低下補償時間を用いて点灯先行時間を算出する(前記ステップS1〜ステップS3)。そして、運転支援装置は、到達時間が点灯先行時間未満で、かつ到達時間が0でなければ、車室内方向指示器動作表示灯11の先行点灯(自動点灯)を開始する(前記ステップS4、ステップS5の判定で“Yes”の場合、ステップS6の判定で“No”の場合、ステップS8)。ここで、点灯先行時間は、自車速等により変化するため、走行中随時更新される。さらに、運転支援装置は、到達時間が0になると、すなわち自車両が方向指示器動作地点に達すると、右折又は左折が完了するまで車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を自動点灯する(前記ステップS4、ステップS5の判定で“Yes”の場合、ステップS6の判定で“Yes”の場合、ステップS7)。
一方、運転支援装置は、到達時間が点灯先行時間以上の場合、以上のような自動点灯を行わない(前記ステップS4、ステップS5の判定で“No”の場合)。
【0048】
(2)運転操作時自動点灯機能による動作
また、運転者がスイッチレバー7を操作することなく、ステアリング2を操作して、車線変更を開始すると、運転支援装置では、車速、操舵角及び地図情報に基づいて、車両軌道を予測し、その予測した車両軌道に基づいて、現時点の車両軌道が維持された場合の車両逸脱推定時間Tdを算出する(前記ステップS11〜ステップS13)。そして、運転支援装置は、車線逸脱推定時間Tdが先ず第1のしきい値Td_th1未満になると、タイマのカウンタTimを加算していき(前記ステップS15の判定で“No”の場合、ステップS18の判定で“Yes”の場合、ステップS19)、そのカウンタTimが所定値Tim_thになると、運転者による修正操舵がなく、車線逸脱する可能性が高いとして、先ず車室内方向指示器動作表示灯11(車線逸脱側)の先行点灯(自動点灯)を開始する(前記ステップS14の判定で“Yes”の場合、ステップS15の判定で“No”の場合、ステップS18の判定で“No”の場合、ステップS20)。
【0049】
そして、運転支援装置は、車線逸脱推定時間Tdが第2のしきい値Td_th2未満になると、車線変更が完了するまで車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12(車線変更側)を自動点灯する(前記ステップS15の判定で“Yes”の場合、ステップS16)。このとき、運転支援装置は、タイマのカウンタTimをクリアする(ステップS17)。
なお、運転支援装置は、車線逸脱推定時間Tdが第1のしきい値Td_th1以上であれば、タイマのカウンタTimをクリアしておく(ステップS21)。
【0050】
(3)自動逆点灯機能による動作
一方で、運転支援装置は、運転操作時自動点灯機能により、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の点灯(車線変更側の点灯)を開始すると、先ず、車速、操舵角及び地図情報に基づいて、車両軌道を予測し、その予測した車両軌道に基づいて、車線変更中の車両が進路を変化(変更)するか否かを判定する(前記ステップS31〜ステップS33)。ここで、運転支援装置は、運転者が車線変更側とは反対側に操舵する等して、車線変更中の車両が進路を変更すると判定した場合、舵角が進路変更方向に増加すると判定するまで、車室内方向指示器動作表示灯11を逆先行点灯させ(前記ステップS34、ステップS35、ステップS36の判定で“No”の場合)、さらに運転者が舵角を増加させる等して、舵角が進路変更方向に増加すると判定すると、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯も反転させ、その点灯を、車線変更が完了するまで(自車両が元の走行位置に戻るまで)維持する(前記ステップS36の判定で“Yes”の場合、ステップS37)。
【0051】
(4)スイッチレバー7及びブザー10の動作
スイッチレバー7は、前述のような車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の自動点灯に連動して、レバー位置L1,L2,R1,R2,Nに移動する(前記図10)。すなわち、車室内方向指示器動作表示灯11のみが自動点灯した場合、スイッチレバー7は、車外方向指示器12の点灯側に応じたレバー位置L1,R1になる。また、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12が自動点灯した場合、スイッチレバー7は、その点灯側に応じたレバー位置L2,R3になる。このとき、運転者による運転者による手動操作があると、スイッチレバー7は、レバー位置をL2,N,R2の範囲で操作可能とされる。
また、ブザー10は、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12のうちの何れか一方が動作した場合、それと同時に動作する(動作音を出力する)。
【0052】
(作用)
次に作用を説明する。
運転支援装置では、経路誘導時自動点灯機能により、カーナビゲーションシステム6による経路誘導に基づく車外方向指示器12の自動点灯に先行して、車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯させている。
このように、運転支援装置では、カーナビゲーションシステム6による経路誘導に基づく車外方向指示器12の自動点灯に先行して、車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯させて、該車外方向指示器12の自動点灯を、事前に運転者に報知している。これにより、車外方向指示器12の自動点灯を停止させる時間的余裕(点灯先行時間分)を運転者に与えることができる。これにより、運転者は、カーナビゲーションシステム6による誘導経路による車外方向指示器12の自動点灯が自己の意図に合致しない場合に、該自動点灯を事前に停止させることができ、例えば、スイッチレバー7を操作するだけで停止させることができ、カーナビゲーションシステム6の経路誘導による車外方向指示器12の点灯を自己の意思或いは実際の走行状態に沿ったものにできる。
【0053】
また、運転操作時自動点灯機能でも、運転者がスイッチレバー7を操作しないで車線変更を開始すると、操舵角等に基づいて、所定時間(第1のしきい値Td_th1)後に自車両が車線変更すると判断(予測)すると、先ず車室内方向指示器動作表示灯11を先行点灯させて、その後、所定時間(第2のしきい値Td_th2(<第1のしきい値Td_th1))後に自車両が車線変更すると判断(予測)したとき、車外方向指示器12もさらに点灯させている(運転操作時自動点灯機能による動作)。すなわち、運転者がスイッチレバー7の操作していない状況下で、自車両が車線変更する可能性があると判断すると、車室内方向指示器動作表示灯11を先行点灯させて、運転者に、該自車両挙動についての警告と確認を行い、自車両が車線変更する可能性がさらに高くなったときに、車外方向指示器12も加えて自動点灯させている。
【0054】
このように、経路誘導時自動点灯機能とは別に設けた運転操作時自動点灯機能でも、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の自動点灯を可能にしている。これにより、カーナビゲーションシステム6による誘導経路とは関係なく、しかも、運転者が車外方向指示器12の点灯操作(スイッチレバー7の操作)を忘れて、自車両を車線変更等させてしまう場合にも、車外方向指示器12を自動点灯させることができ、さらに、車外方向指示器12の自動点灯に先行して車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯させることで、車外方向指示器12の自動点灯がなされることを、事前に運転者に報知することができる。
【0055】
ここで、経路誘導時自動点灯機能による点灯先行時間の値と、運転操作時自動点灯機能による点灯先行時間の値とは、カーナビゲーションシステム6による経路誘導によるものと、運転者の運転操作(スイッチレバー7を操作することなく、右折、左折又は車線変更する場合)によるものと、といったように性質に違いがあることを考慮し、互いに異なる値にしている。これにより、カーナビゲーションシステム6からの経路誘導により車外方向指示器12を自動点灯させる場合と、運転者の運転操作に起因して車外方向指示器12を自動点灯させる場合とにそれぞれ適合させて、車外方向指示器12の自動点灯を停止させるための時間的余裕、すなわち、車外方向指示器12の適否を判断するための時間を運転者に与えることができる。
【0056】
また、運転操作時自動点灯機能においては、運転者によるステアリング操作時に、車速や操舵角が大きいと、車両逸脱推定時間Tdが非常に小さい値になるので、該運転者によるステアリング操作直後に、車線逸脱推定時間Tdが短時間で第2のしきい値Td_th2未満になる場合がある。この場合、運転者がステアリングを操作した直後に、車室内方向指示器動作表示灯11と車外方向指示器12とが同時に自動点灯する。なお、この自動点灯の動作は、点灯先行時間が0のときの自動点灯の動作と等価である。このようにすることで、カーナビゲーションシステム6からの経路誘導とは無関係に、運転者の意思で車線変更がなされる場合でも、それに応じて、より安全方向となるタイミングで、車室内方向指示器動作表示灯11と車外方向指示器12とを同時に点灯させることができる。
【0057】
また、運転操作時自動点灯機能においては、車速、操舵角及び地図情報に基づいて予測進路を得て、自車両の車線変更の可能性を判定している。これにより、運転者の意思で自車両を車線変更させる可能性が高い場合には、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を点灯させることができ、より安全方向となるタイミングで車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を点灯させることができる。また、車線変更を操舵角により予測しているので、車線変更の予測を簡単に実現できる。
【0058】
また、運転操作時自動点灯機能においては、車線変更しているとして車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12の点灯を開始した後、その車線変更中に車両が進路を変更する(元の車線に戻る)と判断した場合、先ず車室内方向指示器動作表示灯11を逆先行点灯させて、その後、舵角が進路変更方向に増加すると判断すると、さらに車外方向指示器12の点灯方向も反転させている(自動逆点灯機能による動作)。すなわち、自車両が車線(車線区分線)に達した後に、その車線又はその近傍にいる場合、車外方向指示器12の点灯を維持する一方で、その状況下で、運転者が該車外方向指示器12の点灯方向と反対側(進路方向とは逆方向)に操舵した場合には、車外方向指示器12の点灯を反転させている。
【0059】
ここで、運転者が、車線変更を途中で止めて元の車線に自車両を戻したり、走路上の障害物を回避するために一時的に隣の車線に自車両をはみ出させて、障害物を回避した後すぐに元の車線に自車両を戻したりする場合がある。このような運転特性に対応させて、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動点灯できる。
また、基準時間と視野低下補償時間との合計時間として点灯先行時間を得ている。ここで、右折又は左折する際に、運転者は、周囲の状況の確認を視覚に頼る部分が大きい。その一方で、車外方向指示器12の自動点灯を運転者が余裕をもって事前に停止させることができるようにするためには、点灯先行時間はある一定時間以上である必要がある。このようなことから、点灯先行時間として、基準時間だけ確保しつつ、運転者による周囲環境の認識状態に応じた視野低下補償時間を可変にすることで、車室内方向指示器動作表示灯11の先行点灯のタイミングを、運転者に適合したタイミングとしつつ、時間的余裕をもって運転者が車外方向指示器12の自動点灯を停止できるタイミングにすることができる。
【0060】
また、視野低下補償時間を、運転者の視野角度又は視力のうちの少なくとも一方に基づいて設定している。運転者が周囲の状況の確認を視覚で行う場合、運転者による周囲の状況の認識度は、その視野角度や視力に大きく影響される。このようなことから、視野低下補償時間を、運転者の視野角度や視力に基づいて設定することで、運転者により適合したタイミングで車室内方向指示器動作表示灯11を先行点灯させることができる。
【0061】
また、運転者の視野角度を自車速に基づいて算出している。運転者の視野角度は、自車速に大きく影響を受ける。このようなことから、運転者の視野角度を自車速に基づいて算出することで、運転者により適合したタイミングで車室内方向指示器動作表示灯11の点灯を開始させることができる。
また、車外方向指示器12の自動点灯を事前に運転者に報知する手段として、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯及びブザー10の出力(動作音)を行っている。このように、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯の他にブザー10による出力を行うことで、視覚及び聴覚の面から車室内方向指示器動作表示灯11の動作を運転者に認識させるようにして、車外方向指示器12が自動点灯することを運転者が事前に認識し易くしている。
【0062】
また、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の点灯に連動して、スイッチレバー7を動作させている。これにより、スイッチレバー7を介しても、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の点灯状態を運転者に認識させることができる。特に、運転者が車室内方向指示器動作表示灯11を目視できない状況下でも、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の点灯状態をスイッチレバー7の動作から運転者に認識させることが可能になる。
【0063】
ここで、スイッチレバー7を中立位置Nから、自車両を右折又は左折する際の運転者による該スイッチレバー7の操作方向に一致させて、車外方向指示器12の右折又は左折の指示方向及び車室内方向指示器動作表示灯11による右折又は左折の指示方向に応じて変位させるとともに、車外方向指示器12(及び車室内方向指示器動作表示灯11)の指示方向に応じた変位量(レバー位置L2,R2)と車室内方向指示器動作表示灯11の指示方向に応じた変位量(レバー位置L1,R1)とを異ならせている。すなわち、スイッチレバー7を、左右の各方向指示に関する操作をそれぞれ2段階で行う構成としつつ、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯に合わせてスイッチレバー7を第1段階に駆動するとともに、車外方向指示器12(及び車室内方向指示器動作表示灯11)の点灯に合わせてスイッチレバー7を第2段階に駆動している。これにより、車室内方向指示器動作表示灯11の点灯状態と車外方向指示器12の点灯状態とを、スイッチレバー7の位置により運転者に認識させることができる。
【0064】
そして、そのように点灯状態(特に車室内方向指示器動作表示灯11の点灯状態)に応じて位置されているスイッチレバー7を運転者が操作した場合、該運転者の行為を優先して、自動点灯制御から運転者の手動操作に切り換える、すなわち、車室内方向指示器動作表示灯11を自動点灯させるのをキャンセルする。すなわち、車室内方向指示器動作表示灯11を先行点灯させている間に、運転者によりスイッチレバー7が操作された場合、該車室内方向指示器動作表示灯11の先行点灯に係る車外方向指示器12の点灯予定を解除する解除操作がなされたとして、該車室内方向指示器動作表示灯11の先行点灯に対応する車外方向指示器12の点灯を取りやめる。このように、運転者の手動操作を優先させることで、実際の車両動作(右折、左折又は車線変更等)に合致させて車外方向指示器12を点灯させることができる。
【0065】
ここで、車外方向指示器12の先行点灯開始直後に運転者がスイッチレバー7を操作した場合にのみ、該運転者の操作を有効にして、該車外方向指示器12の先行点灯に対応する車外方向指示器12の点灯を取りやめることもできる。これにより、車室内方向指示器動作表示灯11の先行点灯と運転者によるスイッチレバー7の操作(例えばキャンセル操作)とを関連付けることができ、運転者の誤操作により車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の自動点灯が終了してしまうのを防止できる。
【0066】
また、運転者がスイッチレバー7を操作するだけで自動点灯をキャンセルできるようにしているので、運転者は、通常時にスイッチレバー7により行う車外方向指示器12の点灯のキャンセル操作と同じ感覚で、車外方向指示器12の自動点灯をキャンセルできる。
なお、次のような構成により本発明を実現することもできる。
すなわち、動作音(ブザー10による出力)や車室内方向指示器動作表示灯11の動作パターン(出力パターン)を、状況に応じて変化させることもできる。例えば、経路誘導時自動点灯機能によるブザー10や車室内方向指示器動作表示灯11の先行動作(以下、第1先行動作という。)と、運転操作時自動点灯機能によるブザー10や車室内方向指示器動作表示灯11の先行動作(以下、第2先行動作という。)とで、ブザー10や車室内方向指示器動作表示灯11の動作パターンを異ならせる。
【0067】
図11は、その例を示す。同図(a)は、通常動作時の動作パターンを示し、同図(b)は、第1先行動作時の動作パターンを示し、同図(c)は、第2先行動作時の動作パターンを示す。
図11(b)に示すように、第1先行動作では、通常のブザー10及び車室内方向指示器動作表示灯11の動作周期(同図(a)の通常動作時パターン)と同周期としながらも、通常動作では1回動作させるところを、2回動作させる。これにより、先行動作中であることを運転者が認識し易くなる。また、図11(c)に示すように、第2先行動作では、通常のブザー10及び車室内方向指示器動作表示灯11の動作周期(同図(a)の通常動作時パターン)の2倍の周期で動作させる。これにより、先行動作を運転者にいち早く認識させることができる。
【0068】
以上のように、車外方向指示器12の自動点灯の有無(点灯状態)に基づいてブザー10及び車室内方向指示器動作表示灯11の動作形態を異ならせており、これにより、運転者がブザー10や車室内方向指示器動作表示灯11の動作形態を確認するだけで、運転者に車外方向指示器12の点灯の有無等を認識させることができる。
また、車外方向指示器12の点灯前の先行動作中(車室内方向指示器動作表示灯11のみ点灯)と、車外方向指示器12と同時動作中(車外方向指示器12と車室内方向指示器動作表示灯11とが点灯)とで、ブザー10及び車室内方向指示器動作表示灯11の動作形態を異ならせることもできる。これにより、運転者がブザー10や車室内方向指示器動作表示灯11の動作形態を確認するだけで、運転者に車外方向指示器12の点灯の有無等を認識させることができる。
【0069】
また、前記実施形態では、視野低下補償時間を自車両に基づいて設定している。これに対して、視野低下補償時間を自車両の周囲の明るさ、走行時天候状態及び走行時刻のうちの少なくとも一つにより設定することもできる。運転者による周囲環境の認識度は、自車速の他にも、自車両の周囲の明度、走行時天候状態や走行時刻(朝、昼及び夜)に大きく影響を受ける。このようなことから、視野低下補償時間を自車両の周囲の明るさ、走行時天候状態や走行時刻により設定することで、運転者により適合したタイミングで車室内方向指示器動作表示灯11を先行点灯させることができる。
【0070】
また、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の点灯タイミングを運転者が手動入力により調整する調整手段(調整スイッチ等)を備えることもできる。これにより、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を自動点灯させる場合でも、その開始のタイミングを、運転者の好みに合致させることができる。例えば、車外方向指示器12の自動点灯を停止させるための時間的余裕(点灯先行時間相当)は運転者により異なるので、このような場合にも、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12を運転者の好みのタイミングで点灯開始させることができる。
【0071】
また、車外方向指示器12を自動点灯した後、自車両が道なりに走行した場合、例えば自車両が直進した場合、該車外方向指示器12を消灯することもできる。例えば、車外方向指示器12を自動点灯した後、所定時間、自車両が道なりに走行した場合に該車外方向指示器12を消灯する。これにより、車外方向指示器12を自動点灯した後の運転者による該車外方向指示器12の消し忘れを防止できる。ここで、所定時間は、実験値又は経験値であり、運転者が車外方向指示器12を消し忘れていると判定できる程度の時間である。
【0072】
また、走行路上、車外方向指示器12の点灯が必要になる地点が連続し、車外方向指示器12の点灯が必要になる地点の通過時点で、車外方向指示器12の点灯が必要になる次の地点について点灯先行時間を確保できない場合、その確保ができるように該点灯先行時間を短縮(最短で点灯先行時間を0に短縮)することもできる。すなわち、車外方向指示器12の点灯が必要な方向指示器点灯状況が連続し、先行する方向指示器点灯状況における車外方向指示器12の点灯時間と後続の方向指示器点灯状況における報知開始時間(点灯先行時間)とが重複することとなる場合、後続の方向指示器点灯状況における報知動作を行う報知開始時間(点灯先行時間)を短縮することもできる。これにより、車外方向指示器12の点灯が必要になる各地点に対応して、車室内方向指示器動作表示灯11を点灯させることができる。
【0073】
また、運転者により複数の点灯モード(報知モード)が選択可能なモード選択手段(選択スイッチ等)を備えることもできる。この場合、モード選択手段の選択状態に基づいて、車室内方向指示器動作表示灯11及び車外方向指示器12を点灯制御できるようにするとともに、例えば、複数の点灯モードとして、車室内方向指示器動作表示灯11の自動点灯と車外方向指示器12の自動点灯とを可能にする第1点灯モードと、車外方向指示器12の点灯を運転者により操作可能としつつ、自動点灯を不可能にし、かつ車室内方向指示器動作表示灯11の自動点灯を可能にする第2点灯モードと、車外方向指示器12の点灯を運転者により操作可能としつつ、自動点灯を不可能にし、車室内方向指示器動作表示灯11の自動点灯を不可能にする第3点灯モードとを用意する。これにより、運転者がモード選択手段を操作することで、運転者の好みに応じて、車室内方向指示器動作表示灯11や車外方向指示器12の自動点灯を行うことができる。
【0074】
また、前記実施形態では、経路誘導時自動点灯機能を、カーナビゲーションシステム6による経路誘導により交差点を右折又は左折させる場合において説明しているが、カーナビゲーションシステム6がそれ以外の走行シーンで経路誘導する場合においても適用できる。また、運転操作時自動点灯機能を、運転者が自車両を車線変更する場合において説明しているが、カーナビゲーションシステム6による経路誘導とは無関係になされるものであれば、交差点を右折又は左折させる場合においても適用できる。
【0075】
また、前記実施形態では、運転操作時自動点灯機能において、車線逸脱推定時間Tdが第2のしきい値Td_th2未満であることを条件として、車外方向指示器12を点灯させているが(前記ステップS15、ステップS16)、車線逸脱推定時間Tdが第1のしきい値Td_th1未満になってから、所定時間(例えば1秒)経過した場合、又は車室内方向指示器動作表示灯11を点灯開始してから、所定時間(例えば1秒)経過した場合、車外方向指示器12を点灯させることもできる。
【0076】
なお、前記実施形態の説明において、カーナビゲーションシステム6は、自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段及び自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段を実現しており、コントローラ13のステップS7又はステップS16の処理(例えば車外方向指示器点灯制御部13a)は、前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段を実現しており、車室内方向指示器動作表示灯11及びコントローラ13のステップS8又はステップS20の処理(例えば車室内方向指示器動作表示灯点灯制御部13c)は、 前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知手段を実現している。また、車外方向指示器12は、車体外側に配置されて、点灯により周囲に自車両の進行方向を報知する方向指示器を実現している。
【0077】
また、前記実施形態では、点灯先行時間を、カーナビゲーションシステム6による経路誘導によるものと、運転者の運転操作によるものとで異ならせたり、自車速等により設定したりと、車両の走行状態に基づいて設定しているが、他の走行状態に基づいて設定しても、同様な効果を得ることができる。
また、舵角センサ4は、運転者の運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段を実現している。
【0078】
また、前記実施形態では、経路誘導時自動点灯機能と運転操作時自動点灯機能との切り替えが実質的に舵角センサ4により行われているのに等しいので、舵角センサ4は、自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を実現していると言える。また、車速センサ5も走行状態検出手段を実現する。
また、スイッチレバー7は、前記方向指示器の点灯および消灯を操作する操作レバーを実現しており、アクチュエータ8は、前記操作レバーを駆動するアクチュエータを実現している。
【0079】
(効果)
(1)自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段と、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段と、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知手段と、を備える。すなわち、経路誘導情報取得手段が取得した経路誘導情報と、現在位置取得手段が取得した自車両の現在位置とに基づいて、方向指示器点灯制御手段が、方向指示器を点灯制御すると共に、その点灯に先行して、報知手段が運転者に方向指示器が点灯することを報知する。これにより、運転者は、事前に該方向指示器の点灯の適否を判断することができ、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることができる。
【0080】
(2)前記報知手段は、前記方向指示器に対応する車室内の表示灯を点灯させることにより、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する。これにより、運転者が認識し易い車室内の表示灯を利用して、方向指示器が点灯することを運転者に報知できる。
(3)自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、前記報知手段は、前記方向指示器の点灯に先行して該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知開始時間を、前記走行状態検出手段によって検出された自車両の走行状態に応じて異ならせる。これにより、運転者が方向指示器の適否を判断するための時間を方向指示器の点灯が必要になる走行シーンに適合させることができる。
【0081】
(4)運転者の運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段を備え、前記方向指示器点灯制御手段は、前記運転操作状態検出手段によって検出された運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器の点灯をさらに制御し、前記報知手段は、自車両の誘導経路を示す経路誘導情報と自車両の現在位置とに基づいて、前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合と、前記運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合とで、前記方向指示器の点灯に先行して該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知開始時間を異ならせる。これにより、経路誘導情報と自車両の現在位置とに基づいて方向指示器を点灯させる場合と、運転者の運転操作に起因して方向指示器を点灯させる場合とにそれぞれ適合させて、方向指示器の適否を判断するための時間を運転者に与えることができる。
【0082】
(5)前記報知手段は、前記運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合、その点灯と同時に、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する。これにより、経路誘導情報とは関係なく、運転者の意思で車線変更等をした場合に、点灯先行時間を0にすることと等価な処理として、より安全方向となるタイミングで、方向指示器の点灯と報知動作とを同時に行うことができる。
【0083】
(6)前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器が点灯することを前記報知手段により運転者に報知している際に、前記運転者の運転操作状態、前記経路誘導情報および自車両の現在位置に基づいて前記方向指示器の点灯が必要であると新たに判定した場合、新たに判定された前記方向指示器の点灯を実行する。これにより、運転者の意思で自車両を車線変更等させる可能性が高い場合には、より安全方向となるタイミングで、報知動作させ、方向指示器を点灯させることができる。
(7)前記運転操作状態検出手段は、操舵角を検出する。運転者の運転操作状態を操舵角により検出するので、運転者の運転操作状態をより簡単に検出できる。
【0084】
(8)前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器を点灯させている際に、前記運転者の運転操作状態を基に、前記方向指示器を点灯させている進路方向と逆方向への運転操作が行われたと判定した場合、新たに判定された進路方向を示す前記方向指示器の点灯を実行する。これにより、運転者の運転特性に対応させて、方向指示器の点灯させることができる。例えば、運転者が、車線変更を途中で止めて元の車線に自車両を戻したり、走路上の障害物を回避するために一時的に隣の車線に自車両をはみ出させて、その後すぐに元の車線に自車両を戻したりする場合がある。このような運転特性に対応させて、方向指示器を点灯させることができる。
【0085】
(9)前記報知手段は、運転者が前記方向指示器を点灯させるか否かを判断するための必要時間と想定して固定的に設定された基本時間と、運転者による周囲環境の認識状態に基づいて設定された可変時間との合計時間分、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する。ここで、右折又は左折する際に、運転者は、周囲の状況の確認を視覚に頼る部分が大きい。その一方で、方向指示器の点灯を事前に運転者が余裕をもって停止することができるように報知するためには、方向指示器の点灯に先行して報知する時間は、ある一定時間以上である必要がある。このようなことから、方向指示器の点灯に先行して報知する時間を、基本時間だけ確保しつつ、運転者による周囲環境の認識状態に応じて可変にできるようにすることで、
報知動作のタイミングを、運転者に適合したタイミングとしつつ、時間的余裕をもって運転者が方向指示器の点灯の停止できるタイミングにすることができる。
【0086】
(10)前記可変時間を、運転者の視野角度又は視力のうちの少なくとも一方に基づいて設定する。これにより、運転者が周囲の状況の確認を視覚で行う場合、運転者による周囲の状況の認識度は、その視野角度や視力に大きく影響される。このようなことから、可変時間を、運転者の視野角度や視力に基づいて設定することで、運転者により適合したタイミングで報知動作させることができる。
【0087】
(11)前記可変時間を、自車速、自車両の周囲の明るさ、走行時天候状態及び走行時刻のうちの少なくとも一つに基づいて設定する。運転者による周囲環境の認識の程度は、自車速、自車両の周囲の明度、走行時天候状態や走行時刻(朝、昼及び夜)に大きく影響を受ける。このようなことから、可変時間を、自車速、自車両の周囲の明度、走行時天候状態及び走行時刻のうちの少なくとも一つに基づいて設定することで、運転者により適合したタイミングで報知動作させることができる。
【0088】
(12)前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器の点灯が必要な方向指示器点灯状況が連続し、先行する前記方向指示器点灯状況における方向指示器の点灯時間と後続の前記方向指示器点灯状況における報知開始時間とが重複することとなる場合、後続の前記方向指示器点灯状況における報知動作を行う報知開始時間を短縮する。これにより、方向指示器の点灯が必要な方向指示器点灯状況が連続する場合でも、それに対応して、報知動作することができる。
【0089】
(13) 前記方向指示器点灯制御手段によって前記方向指示器を点灯させる点灯タイミング及び前記報知手段によって前記方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知タイミングを手動入力により調整する調整手段をさらに備える。これにより、運転者の好みのタイミングで、方向指示器を点灯させ、報知動作させることができる。
【0090】
(14)前記報知手段は、前記方向指示器が点灯することを運転者に報知すると共に、前記方向指示器の点灯中は該方向指示器が点灯していることを運転者に報知し、前記方向指示器の点灯状態に応じて、報知形態を異ならせる。これにより、運転者が報知形態を確認するだけで、運転者に方向指示器の点灯状態を認識させることができる。
(15)前記報知手段は、車室内の前記表示灯の点灯タイミングに合わせて、報知音を出力する。これにより、視覚及び聴覚の面から運転者に報知動作を認識させるようにすることで、方向指示器が点灯することを運転者に認識させ易くできる。
【0091】
(16)前記方向指示器点灯制御手段は、前記報知手段によって前記方向指示器が点灯することが運転者に報知されている間に、該報知に係る前記方向指示器の点灯予定を解除する解除操作が行われた場合、該報知に対応する前記方向指示器の点灯を取りやめる。これにより、運転者により解除操作が行われた場合、該報知に対応する方向指示器の点灯を取りやめることで、方向指示器の点灯状態を運転者に意思に合致させることができる。
【0092】
(17)前記方向指示器点灯制御手段は、左右いずれかの方向への前記方向指示器の点灯操作の直後に、該点灯を解除する消灯操作が行われることを前記解除操作と認識する。報知動作に対応する運転者による消灯操作を方向指示器の解除操作と認識することで、運転者の誤操作、例えば報知動作に対応しない操作により経路誘導情報と自車両の現在位置とに基づく方向指示器の点灯が終了してしまうのを防止できる。
【0093】
(18)前記方向指示器の点灯および消灯を操作する操作レバーと、前記操作レバーを駆動するアクチュエータとを備え、前記方向指示器点灯制御手段が前記方向指示器を点灯させる場合あるいは前記報知手段が前記方向指示器が点灯することを運転者に報知する場合には、前記アクチュエータが前記操作レバーを点灯状態に駆動する。これにより、操作レバーを介しても、運転者に方向指示器の点灯を事前に報知できる。
【0094】
(19)前記方向指示器制御手段は、前記アクチュエータによって駆動された前記操作レバーが手動で消灯状態に戻された場合、前記報知手段の報知に係る前記方向指示器の点灯予定を解除するための解除操作と認識する。これにより、運転者は、通常時に操作レバーにより行う方向指示器の点灯の消灯操作と同様な操作により、経路誘導情報と自車両の現在位置とに基づく方向指示器の点灯を解除できる。
【0095】
(20)前記操作レバーは、左右の各方向指示に関する操作をそれぞれ2段階で行う構成であり、前記アクチュエータは、前記報知手段による報知に合わせて前記操作レバーを第1段階に駆動し、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に合わせて前記操作レバーを第2段階に駆動する。これにより、運転者は、操作レバーの位置により、報知動作状態及び方向指示器の点灯状態を確認できる。
(21)前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器を点灯した後、自車両が道なりに進行していると判定した場合、該方向指示器を消灯する。これにより、方向指示器を自動点灯した後の運転者による消し忘れを防止できる。
【0096】
(22)前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯制御と、前記報知手段による報知とを自動的に行う第1のモードと、前記報知手段による報知を自動的に行い、前記方向指示器制御手段による前記方向指示器の点灯制御に代えて、運転者の手動操作により前記方向指示器の点灯を行わせる第2のモードと、前記報知手段による報知を行うことなく、前記方向指示器制御手段による前記方向指示器の点灯制御に代えて、運転者の手動操作により前記方向指示器の点灯を行わせる第3のモードと、の少なくとも何れか1つのモードを選択するモード選択手段を備える。これにより、運転者の好みに応じて、方向指示器を点灯させ、報知動作をさせることができ、方向指示器の点灯や報知動作が運転者に煩わしさを与えてしまうのを防止できる。
(23)自車両の経路誘導に基づいて行う方向指示器の点灯を、事前に運転者に報知する。これにより、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な運転支援装置とできる。
【0097】
(24)自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段と、自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、車体外側に配置されて、点灯により周囲に自車両の進行方向を報知する方向指示器と、前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段と、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを車室内の運転者に報知する報知手段と、を備える。これにより、経路誘導情報取得手段が取得した経路誘導情報と、現在位置取得手段が取得した自車両の現在位置とに基づいて、方向指示器点灯制御手段が、車体外側に配置された方向指示器を点灯制御すると共に、その点灯に先行して、報知手段が車室内の運転者に方向指示器が点灯することを報知する。そのため、周囲の車両に対して方向指示器が方向指示を行ってしまう前に、車室内の運転者に方向指示器の点灯予定が報知され、運転者がその点灯の適否を判断できるので、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な自動車とできる。
【0098】
(25)自車両の経路誘導に基づいて、方向指示器の自動点灯を行うか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて方向指示器の点灯を行うと判定した場合に、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知ステップと、前記報知ステップにおける報知の後に、前記方向指示器の点灯を実行する方向指示器点灯ステップと、を含む。これにより、方向指示器の自動点灯を行うか否かが判定され、自動点灯を行うと判定された場合に、報知ステップにおいて、方向指示器が点灯することが運転者に報知された後、方向指示器点灯ステップで方向指示器の点灯が行われる。したがって、運転者の確認を経て方向指示器が点灯されるため、経路誘導に基づく方向指示器の点灯制御を、より適確に運転者の意思に沿ったものとすることが可能な運転支援方法とできる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明を適用した運転支援装置の車両への搭載状態を示す図である。
【図2】前記運転支援装置の構成を示す図である。
【図3】コントローラの構成例を示すブロック図である。
【図4】前記運転支援装置によるスイッチレバーの駆動の説明に使用した図である。
【図5】経路誘導時自動点灯機能を実現する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】車速と視野角度との関係を示す特性図である。
【図7】車速と視野角度との関係を説明する図である。
【図8】運転操作時自動点灯機能を実現する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】自動逆点灯機能を実現する処理手順を示すフローチャートである。
【図10】前記スイッチレバーの駆動手順を示すフローチャートである。
【図11】ブザーや車室内方向指示器動作表示灯の動作パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
4 舵角センサ、5 車速センサ、6 カーナビゲーションシステム、7 スイッチレバー、8 アクチュエータ、9 レバー状態センサ、10 ブザー、11 車室内方向指示器動作表示灯、12 車外方向指示器、13 コントローラ、13a 車外方向指示点灯器制御部、13b 点灯先行時間算出部、13c 車室内方向指示器動作表示灯点灯制御部、13d スイッチレバー制御部、13e ブザー制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段と、
自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段と、
前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記方向指示器に対応する車室内の表示灯を点灯させることにより、該方向指示器が点灯することを運転者に報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、
前記報知手段は、前記方向指示器の点灯に先行して該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知開始時間を、前記走行状態検出手段によって検出された自車両の走行状態に応じて異ならせることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
運転者の運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段を備え、
前記方向指示器点灯制御手段は、前記運転操作状態検出手段によって検出された運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器の点灯をさらに制御し、
前記報知手段は、自車両の誘導経路を示す経路誘導情報と自車両の現在位置とに基づいて、前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合と、前記運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合とで、前記方向指示器の点灯に先行して該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知開始時間を異ならせることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記運転者の運転操作状態に基づいて前記方向指示器点灯制御手段により前記方向指示器が点灯される場合、その点灯と同時に、該方向指示器が点灯することを運転者に報知することを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器が点灯することを前記報知手段により運転者に報知している際に、前記運転者の運転操作状態、前記経路誘導情報および自車両の現在位置に基づいて前記方向指示器の点灯が必要であると新たに判定した場合、新たに判定された前記方向指示器の点灯を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記運転操作状態検出手段は、操舵角を検出することを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器を点灯させている際に、前記運転者の運転操作状態を基に、前記方向指示器を点灯させている進路方向と逆方向への運転操作が行われたと判定した場合、新たに判定された進路方向を示す前記方向指示器の点灯を実行することを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記報知手段は、運転者が前記方向指示器を点灯させるか否かを判断するための必要時間と想定して固定的に設定された基本時間と、運転者による周囲環境の認識状態に基づいて設定された可変時間との合計時間分、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを運転者に報知することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記可変時間を、運転者の視野角度又は視力のうちの少なくとも一方に基づいて設定することを特徴とする請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記可変時間を、自車速、自車両の周囲の明度、走行時天候状態及び走行時刻のうちの少なくとも一つに基づいて設定することを特徴とする請求項9又は10に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器の点灯が必要な方向指示器点灯状況が連続し、先行する前記方向指示器点灯状況における方向指示器の点灯時間と後続の前記方向指示器点灯状況における報知開始時間とが重複することとなる場合、後続の前記方向指示器点灯状況における報知動作を行う報知開始時間を短縮することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記方向指示器点灯制御手段によって前記方向指示器を点灯させる点灯タイミング及び前記報知手段によって前記方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知タイミングを手動入力により調整する調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記報知手段は、前記方向指示器が点灯することを運転者に報知すると共に、前記方向指示器の点灯中は該方向指示器が点灯していることを運転者に報知し、前記方向指示器の点灯状態に応じて、報知形態を異ならせることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記報知手段は、車室内の前記表示灯の点灯タイミングに合わせて、報知音を出力することを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項16】
前記方向指示器点灯制御手段は、前記報知手段によって前記方向指示器が点灯することが運転者に報知されている間に、該報知に係る前記方向指示器の点灯予定を解除する解除操作が行われた場合、該報知に対応する前記方向指示器の点灯を取りやめることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記方向指示器点灯制御手段は、左右いずれかの方向への前記方向指示器の点灯操作の直後に、該点灯を解除する消灯操作が行われることを前記解除操作と認識することを特徴とする請求項16に記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記方向指示器の点灯および消灯を操作する操作レバーと、
前記操作レバーを駆動するアクチュエータとを備え、
前記方向指示器点灯制御手段が前記方向指示器を点灯させる場合あるいは前記報知手段が前記方向指示器が点灯することを運転者に報知する場合には、前記アクチュエータが前記操作レバーを点灯状態に駆動することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項19】
前記方向指示器制御手段は、前記アクチュエータによって駆動された前記操作レバーが手動で消灯状態に戻された場合、前記報知手段の報知に係る前記方向指示器の点灯予定を解除するための解除操作と認識することを特徴とする請求項18に記載の運転支援装置。
【請求項20】
前記操作レバーは、左右の各方向指示に関する操作をそれぞれ2段階で行う構成であり、
前記アクチュエータは、前記報知手段による報知に合わせて前記操作レバーを第1段階に駆動し、前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に合わせて前記操作レバーを第2段階に駆動することを特徴とする請求項18又は19に記載の運転支援装置。
【請求項21】
前記方向指示器点灯制御手段は、前記方向指示器を点灯した後、自車両が道なりに進行していると判定した場合、該方向指示器を消灯することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項22】
前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯制御と、前記報知手段による報知とを自動的に行う第1のモードと、
前記報知手段による報知を自動的に行い、前記方向指示器制御手段による前記方向指示器の点灯制御に代えて、運転者の手動操作により前記方向指示器の点灯を行わせる第2のモードと、
前記報知手段による報知を行うことなく、前記方向指示器制御手段による前記方向指示器の点灯制御に代えて、運転者の手動操作により前記方向指示器の点灯を行わせる第3のモードと、
の少なくとも何れか1つのモードを選択するモード選択手段を備えることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項23】
自車両の経路誘導に基づいて行う方向指示器の点灯を、事前に運転者に報知することを特徴とする運転支援装置。
【請求項24】
自車両の誘導経路を示す経路誘導情報を取得する経路誘導情報取得手段と、
自車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
車体外側に配置されて、点灯により周囲に自車両の進行方向を報知する方向指示器と、
前記経路誘導情報と前記自車両の現在位置とに基づいて、自車両の方向指示器の点灯を制御する方向指示器点灯制御手段と、
前記方向指示器点灯制御手段による前記方向指示器の点灯に先行して、該方向指示器が点灯することを車室内の運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする自動車。
【請求項25】
自車両の経路誘導に基づいて、方向指示器の自動点灯を行うか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて方向指示器の点灯を行うと判定した場合に、該方向指示器が点灯することを運転者に報知する報知ステップと、
前記報知ステップにおける報知の後に、前記方向指示器の点灯を実行する方向指示器点灯ステップと、
を含むことを特徴とする運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−283933(P2007−283933A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114426(P2006−114426)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】